JP2600529B2 - Ti合金製ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Ti合金製ゴルフクラブヘッド

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    • B23K2103/08Non-ferrous metals or alloys
    • B23K2103/14Titanium or alloys thereof

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はTi合金製ゴルフクラ
ブヘッドに関し、冷間プレス加工により形成された複数
個の部材を溶接して形成したものであって、ヘッドの大
容積化を可能にし、飛距離及び方向安定性を改善するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、その特性が優れていることから、
Ti合金製のメタルウッドが使用されるようになった。
このTi合金製メタルウッドは、例えばTi−6Al−
4V合金を精密鋳造して形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
Ti合金製メタルウッドには、以下に示す問題点があ
る。即ち、Ti合金製メタルウッドにおいて、飛距離及
び方向安定性をより一層向上させるためには、ヘッドの
容積を 210cc以上にすることが必要とされている。しか
し、Ti合金は湯流れが悪く鋳造性がよくないため、薄
肉化が困難である。このため、容積が 210cc以上の大型
ヘッドを製造しようとすると、著しく困難になって製造
歩留りが低下すると共に、製造コストが上昇する。ま
た、従来のTi合金製メタルウッドは、その組織中に微
細なポア等の鋳造欠陥が存在するため、疲労特性が満足
できるものではない。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、疲労特性、飛距離及び方向安定性が良好で
あり、製造コストが低いTi合金製ゴルフクラブヘッド
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るTi合金製
ゴルフクラブヘッドは、冷間プレス加工により形成され
た複数個のβ型Ti合金製構成部材を溶接して形成され
たゴルフクラブヘッドであって、その容積が 210cc以上
であると共に溶接部の強度(耐力)が 100kgf/mm2 以上
であることを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明に係るゴルフクラブヘッドは、Ti合金
材を冷間プレス加工して得た複数の構成部材を溶接して
製造されたものである。従って、ポア等の鋳造に起因す
る欠陥がないため、疲労特性が従来に比して優れている
と共に、容積が210cc以上のヘッドを容易に形成するこ
とができて、製造コストを低減することができる。ま
た、大容積のヘッドを得ることができるため、飛距離及
び方向安定性を向上させることができる。
【0007】この場合に、ヘッドの材質としては、α型
Ti(純Ti)、α+β型Ti合金(Ti− 6Al− 4
V等)及びβ型Ti合金が考えられる。しかし、α型T
iには、ゴルフクラブヘッドの素材としての強度が不足
するため、ヘッドを大容積化することができないという
欠点がある。また、α+β型Ti合金には、伸びが小さ
いと共にスプリングバックが大きく、冷間加工性がよく
ないという欠点がある。従って、ヘッドの材質として
は、β型Ti合金であることが必要である。β型Ti合
金としては、Ti−13V−11Cr− 3Al合金、Ti−
11.5Mo− 6Zr− 4.5Sn合金及びTi−15Mo− 3
Cr− 3Sn− 3Al合金等がある。
【0008】なお、ゴルフクラブヘッドとして必要な強
度を維持するためには、溶接部の強度(耐力)が 100kg
f/mm2 以上であることが必要である。このために、例え
ば、レーザ溶接又は電子ビーム溶接により前記部材を溶
接し、溶接部の結晶組織の平均結晶粒径を 1mm以下(よ
り好ましくは 500μm以下)に制御することが好まし
い。
【0009】
【実施例】次に、本発明の実施例について添付の図面を
参照して説明する。
【0010】図1は、本発明の実施例に係るTi合金製
ゴルフクラブヘッドを示す組立図である。
【0011】本実施例に係るTi合金製ゴルフクラブヘ
ッドは、β型Ti合金の板材を冷間プレス法により塑性
加工して形成されたフェース部1、クラウン部2、ソー
ル部3及びホーゼル部4により構成されている。これら
の部材は、TIG溶接、MIG溶接、レーザ溶接又は電
子ビーム溶接等により溶接されている。なお、本実施例
に係るゴルフクラブヘッドの容積は 210cc以上に設定さ
れている。また、下記表1に種々のβ型合金の組成及び
その特性を示す(金属チタンとその応用、第62頁、日刊
工業新聞社発行)。
【0012】
【表1】
【0013】β型合金としては、この表1に示したもの
以外にも、例えばTi−15V− 3Cr− 3Sn− 3Al
合金及びTi−22V− 4Al合金等がある。
【0014】図2は、横軸に溶接部の結晶組織の平均結
晶粒径をとり、縦軸に耐力をとって両者の関係を示した
グラフ図である。但し、耐力は溶体化処理及び時効処理
を施した後の値である。また、横軸には、TIG溶接、
MIG溶接、レーザ溶接及び電子ビーム溶接により得ら
れる溶接部の平均結晶粒径の範囲を併せて示した。この
図2から明らかなように、 100kgf/mm2 以上の耐力を得
るためには、溶接部の結晶組織の平均結晶粒径が 1mm以
下であることが必要である。このためには、TIG溶接
又はMIG溶接でも可能であるが、レーザ溶接又は電子
ビーム溶接が好ましい。
【0015】本実施例に係るゴルフクラブヘッドは、β
型Ti合金板材を冷間プレス加工して得た4つの部材を
溶接して製造されたものであるから、ヘッド容積が 210
cc以上であると共に、疲労特性が優れたゴルフクラブヘ
ッドを得ることができる。このため、本実施例に係るゴ
ルフクラブヘッドは、飛距離及び方向安定性が従来に比
して優れている。
【0016】次に、本実施例に係るゴルフクラブヘッド
を実際に製造しその特性を調べた結果について比較例と
比較して説明する。
【0017】図1に示す4つの部材(フェース部1、ク
ラウン部2、ソール部3及びホーゼル部4)をレーザ溶
接して、容積が 220ccのゴルフクラブヘッドを製造し
た。これらの部材の材質はβ型Ti合金である。
【0018】一方、比較例として、TIG溶接により各
部材を溶接した以外は実施例と同様にして、容積が 220
ccのゴルフクラブヘッドを製造した。
【0019】これらの実施例及び比較例のゴルフクラブ
ヘッドについて、溶接部の平均結晶粒径を調べた。ま
た、ヘッドスピードを40m/秒に設定して実打し、耐久
性を調べた。その結果を下記表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】この表2から明らかなように、本発明の実
施例に係るゴルフクラブヘッドは、比較例が2000回の実
打で破損したのに対し、6000回実打を繰り返しても破損
せず、耐久性が優れている。
【0022】次に、ゴルフ用実打ロボットを使用して、
この実施例のゴルフクラブヘッドの飛距離及び方向安定
性を調べた。また、従来例として、精密鋳造法により、
容積が 200ccのTi合金製ゴルフクラブヘッドを製造
し、この従来例のゴルフクラブヘッドの飛距離及び方向
安定性も調べた。図3は、横軸にヘッド中心からの距離
をとり、縦軸にキャリーをとって、実施例及び従来例の
ゴルフクラブヘッドの飛距離及び方向安定性を調べた結
果を示すグラフ図である。この図3から明らかなよう
に、実施例のゴルフクラブヘッドは、従来のゴルフクラ
ブヘッドに比して、ヘッド中心位置での飛距離が約10%
以上向上し、ヘッド中心から約20mm離れた位置での飛距
離が約20%以上向上した。
【0023】なお、上述の実施例においては、ゴルフク
ラブヘッドがフェース部、クラウン部、ソール部及びホ
ーゼル部の4つの部材を溶接して形成されている場合に
ついて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。本発明には前記4つの部材に分割したものの外
に、2個、3個又は5個以上等、種々の態様に分割した
ものも含まれることは勿論である。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るTi合
金製ゴルフクラブヘッドは、複数個のβ型Ti合金製構
成部材を溶接して形成されているから、大容積のヘッド
を容易に得ることができると共に、製造コストが低く、
飛距離及び方向安定性が優れている。また、ポア等の鋳
造に起因する欠陥がないため、疲労特性も優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るゴルフクラブヘッドを
示す組立図である。
【図2】 溶接部の結晶組織の平均結晶粒径と耐力との
関係を示すグラフ図である。
【図3】 本発明の実施例及び従来例の飛距離及び方向
安定性を調べた結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1…フェース部、2…クラウン部、3…ソール部、4…
ホーゼル部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−51065(JP,A) 特開 昭63−154186(JP,A) 特開 平1−256982(JP,A) 実開 昭61−130257(JP,U) 「機械工学便覧改訂第6版昭和54年7 月20日社団法人日本機械学会発行(第5 −65頁〜66頁(特に、第5−66頁左欄第 21〜23行目))

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷間プレス加工により形成された複数個
    のβ型Ti合金製構成部材を溶接して形成されたゴルフ
    クラブヘッドであって、その容積が210cc以上であると
    共に溶接部の強度(耐力)が 100kgf/mm2 以上であるこ
    とを特徴とするTi合金製ゴルフクラブヘッド。
  2. 【請求項2】 前記溶接部の結晶組織の平均結晶粒径が
    1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のTi
    合金製ゴルフクラブヘッド。
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