JP2600075B2 - X線発生装置 - Google Patents

X線発生装置

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JP2600075B2
JP2600075B2 JP63020376A JP2037688A JP2600075B2 JP 2600075 B2 JP2600075 B2 JP 2600075B2 JP 63020376 A JP63020376 A JP 63020376A JP 2037688 A JP2037688 A JP 2037688A JP 2600075 B2 JP2600075 B2 JP 2600075B2
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多喜夫 冨増
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、X線発生装置に関し、特に設計電子軌道
に沿って周回しながら高周波加速空洞で加速され、蓄積
されている高エネルギー電子のベータトロン振動特性を
利用して、電子蓄積リングから取り出されたシンクロト
ロン放射光を分光用結晶板に照射してエネルギーと方向
の揃った大口径X線ビームを発生させ、これによりX線
大面積照射を可能とするX線発生装置に関するもので、
例えば心臓の冠頭動脈系の毛細血管の撮影や、超々LSI
回路パターンの転写等の加工に好適な大強度X線の大口
径平行ビームの照射を可能にするものである。
[従来の技術] 第12図は従来の電子蓄積リングの一例を概略構成を示
す。ここで、1a〜1hは軌道半径2m,偏向角45゜の偏向電
磁石、2は入射用セプタム電磁石、3はキッカーコイ
ル、4は高周波空洞、5は垂直方向の集束力をもつ四重
極電磁石(以下、Qdと呼ぶ)、6は水平方向の集束力を
もつ四重極電磁石(以下Qfと呼ぶ)、7は上述のQf6をQ
d5の両側に配した3台1セットのトリプレット、8はウ
ィグラ(またはアンジュレータ)、9は分光用結晶板、
および10は単色X線である。なお、11は設計電子軌道、
12は電子を示す。
従来の電子蓄積リングを用いたX線発生装置では、電
子がウィグラ8を通過するときに放射するウィグラX線
を分光用結晶板9で分光して、エネルギーの揃った単色
X線10の平行ビームを得ていた。
次に、第12図のX線発生装置から発生する単色X線10
の特性を第13図の図面に基いて説明する。
この図において、電子12は電子蓄積リングの設計電子
軌道11上におかれたウィグラ8によって蛇行しながら強
力なX線を放射する。このウィグラX線は、水平方向
(あるいは垂直方向)に偏平で、垂直方向(あるいは水
平方向)にのみ指向性を持ち、水平方向でも幅狭のX線
ビームであり、分光用結晶板9によっても水平方向(あ
るいは垂直方向)の一方向にのみ広がったX線10である
という特徴を有する。
[発明が解決しようとする課題] 上述のような従来のX線発生装置から得られるウィグ
ラX線は、第13図の斜線部分で示すように、極めて照射
野が狭いのでX線の大面積照射を必要とする心臓の冠状
動脈系の毛細血管の撮影や超LSIリソグラフィ技術へ利
用していく上で問題があった。
この欠点を解決するために、本出願人が先に出願した
ような可変電磁石を電子蓄積リングの電子軌道上に設け
て電子軌道を上下に動かす試みもあるが、これは電子蓄
積リングにおいて軌道位置調整などに従来使用されてき
た手法を利用したものであって、照射野拡大の手法とし
ては実用上あまり有効なものではなく、改善の余地があ
った。また、可変電磁石を蓄積リングの電子軌道上に設
けたときの電子軌道は非常に複雑で、所定方向へ放射光
SRを出力するのは容易でなかった。
この発明は、上述の問題点を解決するためになされた
もので、電子蓄積リング固有のベータトロン振動特性を
利用して電子ビームを設計電子軌道のまわりに波動運動
させ、その波動(振動)の節近くで放射光を取り出すこ
とにより設計電子軌道からの開き角を大きくして垂直方
向のシンクロトロン放射光SRの照射野を拡大できるよう
にするとともに、電子ビームを水平,垂直方向に安定し
て移動でき、かつ放射光SRや高輝度のウィグラX線を発
生して大面積照射することによって、分光用結晶板によ
る単色大強度X線の大口径平行ビーム発生が可能なX線
発生装置を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するため、請求項1の発明は、偏向電
磁石を設計電子軌道上の所定箇所に所定数配置し、この
偏向電磁石の間に所定数の高周波加速空洞と、入射する
電子を集束する多重極電磁石の所定数とを前記設計電子
軌道上の所定位置に設けて前記入射する電子を蓄積する
電子蓄積リングと、前記設計電子軌道上の任意の位置に
蓄積された電子を前記設計電子軌道のまわりに所定の方
向に所定の振幅と所定数の節を持つ波動運動をさせ、波
動する波動電子から放射されるシンクロトロン放射光を
取り出す偏向手段とを具備し、かつ前記波動電子が前記
偏向電磁石で放射するシンクロトロン放射光を前記電子
蓄積リング外に取り出し、取り出した前記シンクロトロ
ン放射光を分光用結晶板に照射し、該シンクロトロン放
射光と該分光用結晶板とを該分光用結晶板と該シンクロ
トロン放射光との角度が一定となるように連動させるこ
とによりエネルギーと方向の揃った大口径X線ビームを
発生することを特徴する。
ここで、前記偏向手段は、前記波動電子の振幅と波動
の節の数を任意に変化させるものであるとすることがで
きる。
請求項3の発明は、偏向電磁石を設計電子軌道上に所
定箇所に所定数配置し、この偏向電磁石の間に所定数の
高周波加速空洞と、入射する電子を集束する多重極電磁
石の所定数とを前記設計電子軌道上の所定位置に設けて
前記入射する電子を蓄積する電子蓄積リングと、前記設
計電子軌道上の任意の位置に蓄積された電子を前記設計
電子軌道のまわりに軌道面に垂直方向および水平方向に
所定の振幅と所定数の節を持つ波動運動をさせ、波動す
る波動電子から放射されるシンクロトロン放射光を取り
出す垂直方向偏向手段および水平方向偏向手段と、さら
に、各前記偏向手段で垂直および水平方向に同時にまた
は別個に波動運動する電子にX線領域で高輝度X線を発
生させるウィグラとを具備し、前記波動電子が前記ウィ
グラで放射するウィグラX線を取り出し、前記分光用結
晶板に前記ウィグラX線を照射し、該ウィグラX線と該
分光用結晶板とを該分光用結晶板と該ウィグラX線との
角度が一定となるように連動させることによりエネルギ
ーと方向の揃った大口径X線ビームを発生することを特
徴とする。
ここで、前記ウィグラの代わりにアンジュレータを具
備したとすることができる。
また、前記偏向手段は、前記波動電子と振幅と波動の
節の数を任意に変化させるものであるとすることができ
る。
[作 用] この発明においては、垂直方向の偏向手段により蓄積
された電子を設計電子軌道のまわりに垂直方向の波動運
動をさせ、放射光SRの照射野を拡大し、シンクロトロン
放射光を電子蓄積リング外に取り外し、取り出したシン
クロントロン放射光を分光用結晶板に照射し、シンクロ
トロン放射光と分光用結晶板とを当該分光用結晶板とシ
ンクロトロン放射光との角度が一定となるように連動さ
せることによって、エネルギーと方向の揃った大口径X
線ビームを目標に向かって発生する。
また、本発明の別の発明にかかる電子波動リングで
は、垂直方向偏向手段,水平方向偏向手段およびウィグ
ラまたはアンジュレータによって、大口径で平行ビーム
の大強度X線を発生させ、分光用結晶板によって、エネ
ルギーと方向の揃った大口径X線ビームを目標に向かっ
て発生する。
[実施例] 第1図はこの発明の一実施例であるX線発生装置の概
略構成を示す。ここで、1a〜1h,2〜7,および11,12は第1
2図の従来例と同じものである。
第1図において、8は電子ビームの波動運動によって
平行移動あるいは偏向された電子のエネルギーの一部を
赤外線からX線までの領域の光子に変換するウィグラま
たはアンジュレータである。21aは前述したトリプレッ
ト7Aの例えば下流側のQd5とQf6の間に設けた可変垂直偏
向電磁石、21bは同じくトリプレット7Aに近接して設け
た可変水平偏向電磁石である。以下、電子ビームの軌道
偏向について垂直偏向への偏向,水平方向への偏向の順
に述べる。
まず、垂直偏向を実行するために、トリプレット7Aの
Qf6,Qd5,Qf6のうち下流側のQf6とQd5との間に設けた可
変垂直偏向電磁石21aを励磁する。この可変垂直偏向電
磁石21aの磁場(例えば100ガウス程度)の方向によっ
て、第2図に示すように、下流側のQf6に入射する電子
ビーム軌道が上方向または下方向に偏向し、さらにQf6
の垂直方向の発散力によって実線で示すように増幅され
て偏向し、偏向角45゜の偏向電磁石1dに入射する(第1
図)。
偏向電磁石1dは、第3図(a)に示すように、傾入射
角θ(例えば11.7゜)がつけられていて、第3図
(b)に示すように、縦集束力を持っているので、上方
向または下方向に偏向して入射してきた電子ビームは偏
向電磁石1dによりそれぞれ下方向,上方向に軌道修正を
受けて偏向電磁石1d中を通過し、偏向電磁石1dの下流側
の傾出射角θ(例えば11.7゜)によって縦集束され軌
道を修正する。
また、偏向電磁石1dを平行に通過する電子ビームは、
第4図に示すように、安定軌道から上下にdzcm離れてほ
ぼ水平に通過し、下流側の偏向電磁石1fで上述と同じよ
うに縦集束力を受けながら通過する。その時、さらに下
流のトリプレット7Dに入射する電子ビームはそのトリプ
レット7のQd5で安定軌道と交叉し、上方向に偏向した
ものは下方向に、下方向に偏向したものは上方向に偏向
する。
これにより電子12は第4図に示すように、可変垂直偏
向電磁石21aをほぼ中心とする前後3番目の偏向電磁石1
a,1fをそれぞれ節Noとする上下波動を行う。この可変垂
直偏向電磁石21aと上下波動の節Noと振幅dzとの位置関
係は、電子蓄積リング固有のベータトロン振動特性によ
って決まるものであり、可変垂直偏向電磁石21aが第1
図の位置にあるときは、電子ビーム12は設計電子軌道12
からほぼdz離れた所に移動する。この点が従来の電子ビ
ーム軌道の説明で多くの人が間違って説明していた点で
ある。
本発明では、波動電子12が設計電子軌道11の上下に波
動するとき放射するシンクロトロン放射光を用いて電子
軌道面に垂直な方向の照射野を拡大することにより、分
光用結晶板9によって単色大強度X線10の照射野を拡大
する。
第5図は、上述の設計電子軌道(安定軌道)11に対し
て上下に波動する電子ビーム12を立体的に図示したもの
であり、Hは照射野の縦幅、Wは同じく横幅であり、放
射光SRの垂直方向の照射野が著しく拡大されている様子
が示されている。なお、図中の斜線部分は従来の照射野
である。
このように、照射野の拡大を利用することにより、分
光用結晶板9によって単色大強度X線10の照射を拡大す
ることが可能になる。
次に、電子ビームの水平方向の波動運動による水平方
向への安定した移動について説明する。なお、水平偏向
を実行するための可変水平偏向電磁石21bの設置位置は
可変垂直偏向電磁石21aの設置位置または他のトリプレ
ット7B〜7Dの位置で良いが、本実施例ではトリプレット
7Aの下流側のQd5とQf6の間とする。
可変水平偏向電磁石21bの磁場(例えば±100ガウス程
度)の方向によって、下流側のQf6に入射する電子ビー
ムの軌道は第6図に示すように、左方向(内側)Iまた
は右方向(外側)IIに偏向され、さらにQf6の水平方向
集束力によって、それぞれ逆方向に軌道修正されて偏向
電磁石1dに水平に入射する。このとき、偏向電磁石1dの
傾入射角θ(例えば、11.7゜)によって上述の偏向に
よる左右方向のずれは磁場中の軌道半径Rに大きく影響
を与えることなく、その電子ビーム12の軌道は安定軌道
に対してほぼ平行に外側または内側に安定して移動し、
また下流に位置するQf6によって、電子ビームはさらに
水平集束されていく。
この電子ビームの水平方向の波動特性は第6図に示す
ように水平方向のベータトロン振動数が1.5以上で2.5以
下の場合に、振動の節Noが4個所ある。また、ウィグラ
またはアンジュレータ8の位置では電子ビームが設計電
子軌道11に対してほぼ平行移動して、第6図に示すよう
に、左右にそれぞれdxcmずれる。
第7図は上述の可変垂直偏向電磁石21aと可変水平偏
向電磁石21bにより上下,左右に平行移動する電子ビー
ムを立体的に図示したものであり、ウィグラまたはアン
ジュレータ8の中で発生した指向性の良い大強度光子を
振動の腹にあたるところから放射して大面積照射できる
ことを示している。dxは前述した左右方向の移動量、dz
は上下方向の移動量であり、H,Wは第5図と同じもので
ある。また、電子ビーム12の軌道はベータトロン振動特
性によって波打っているので、振動の節Noのところで安
定軌道に対して最大傾斜となる。従って、この節Noのと
ころにウイグラーをおいて光をとり出すと、そのウィグ
ラX線の拡がりは最大となる。
このように放射光SRの照射野が拡大されることを利用
すれば、分光用結晶板9から単色大強度X線10の照射野
も拡大される。
このような電子波動特性は、第1図に示したトリプレ
ット7(7A〜7D)を集束レンズとする蓄積リングだけで
はなく、第8図,第9図に示すような各偏向電磁石1a〜
1f間にそれぞれ1個または2個の四重極電磁石22を設け
て電子を蓄積する蓄積リングであれば、また、第8図,
第9図に示した8ケの偏向電磁石を有する蓄積リングだ
けでなく、電子を蓄積できる蓄積リングであれば、先に
述べた電子波動用の偏向手段21a,21bを用いることによ
って、その蓄積リング固有のベータトロン振動特性に応
じた電子波動特性を持たせ、シンクロトロン放射光と分
光用結晶板9とを分光用結晶板9とシンクロトロン放射
光との角度が一定となるように連動させることにより、
エネルギーと方向の揃った大口径X線ビームを発生する
X線発生装置として使用することが可能である。
この「分光用結晶板9の連動」は、「エネルギーと方
向の揃った大口径X線ビームを発生する」ためである。
電子波動によって放射される単色化すべきシンクロトロ
ン放射光の方向(光路)が絶えず変化するため、照射す
る結晶板9とシンクロトロン放射光の角度を一定に保つ
ように結晶板9を連動しなければ、回折効果によって生
ずるエネルギーと方向の揃ったX線を例えば心臓の毛細
血管に照射できないからである。
次に、電子ビームの波動振幅制御について第10図の励
磁電流波形図を参照して説明する。
第10図で、横軸は時間t、縦軸は励磁電流I0であり、
第1図の可変垂直偏向電磁石21a,可変水平偏向電磁石21
bに対して時間t0〜t1の間に任意可変な励磁電流I0を第1
0図のように印加制御する。
この場合では、電子ビームを等速にt0秒の間に垂直方
向および水平方向に対し、最大振幅でdzcm,dxcm変位す
ることになり、t1秒間停止した後、再び等速でt0秒の間
にそれぞれ最大振幅で−dzcm,−dxcmまで等速に変位
し、t1秒間停止後、再びもとの位置に復帰するように励
磁電流I0を制御する。このようにすることによって上述
した第5図に示すように、大面積にわたってほぼ均一に
放射光SRを分光用結晶板に照射することによって単色X
線の大面積照射が可能になる。
次に、波動電子ビームに大強度X線を放射させるウィ
グラまたはアンジュレータ8の構造と作用について、第
11図(a),(b),(c),(d)を参照して説明す
る。
第11図(a)はウィグラ8の概略を示す。ここで31は
超伝導コイルを含む電磁石で、極性は交互に上下に配列
している。また、33は電子ビームである。ウィグラ8か
ら放射される放射光WRは、ウィグラ磁場Bが10テスラ以
上の高磁場であるため従来の蓄積リングからの放射光SR
と比較すると光子のエネルギーで10倍以上も高エネルギ
ーのX線である。
電子のエネルギーをE(GeV)とすると、上記放射光W
RのピークエネルギーEpは次式で与えられる。
Ep(KeV)=1.584×E2(GeV)×B(T) 放射光WRの強度は第11図(a)の蛇行する電子軌道の
腹の数に比例して増し、Nを周期数とすると強度は2N倍
以上、干渉効果が生じた場合は4N2倍の強度が得られ
る。
ウィグラ8を通過する波動電子は、第7図に示すよう
に、大面積にわたってほぼ均一に放射光WRを分光用結晶
板9に照射できるので、分光用結晶板9から単色で方向
の揃った大強度X線10の大面積照射が可能となる。
第11図(b)はアンジュレータ8の概略を示す。ここ
で32は小型永久磁石であり、異極性の磁石を交互に配列
している。また33は電子ビーム、λは周期長である。
アンジュレータ8から放射される放射光URは従来の電
子蓄積リングからの放射光SRと比較すると、102〜103
の高輝度で準単色の放射光である。従来の電子蓄積リン
グからの放射光SRの指向性は、第11図(d)に示すよう
に、設計電子軌道面11に対して垂直な方向のみで、軌道
面では円軌道の接線方向に拡散する発散光源である。
ところが、アンジュレータ8からの放射光URは、第11
図(c)に示すように、電子が蛇行しながら放射する直
線状指向性をもった放射光である。この放射光URと放射
光SRとの相対輝度比[UR]/[SR]を示すと、 2N<[UR]/[SR]<4N2 の関係となる。上記式中のNはアンジュレータ8の周期
数である。ここで、相対輝度比の最小値は蛇行した電子
軌道の腹の数に等しく、最大値は電子ビームの方向が揃
っている腹のところで放射された放射光の干渉効果が生
じた時の値に等しい。
また、磁性体としてSmCO5等を用いた永久磁石のアン
ジュレータ8の場合の周期長λは3〜4cm程度で、こ
のときの周期Nを10とすると、放射光URは放射光SRに比
べて400倍の輝度が得られ、周期数Nを16とすれば、放
射光URは放射光SRに比べて1000倍の輝度が得られ、この
ようにアンジュレータ8を通過する電子は大強度X線を
放射する。なお、アンジュレータ8の設置位置は電子波
動リングの構成上、電子入射部と高周波空洞を除いた直
線部分とする。
[発明の効果] 以上説明したように、この発明によれば、第1に、電
子蓄積リング軌道上に設置した可変垂直偏向電磁石によ
って電子ビームを波動させ、放射光SRの大面積照射がで
きるようにしたので、従来のX線発生装置と比べて、分
光用結晶板9からの単色X線10の照射野を大きく拡大で
きる。また、第2に、電子蓄積リング軌道上に設置した
個別の水平,垂直偏向電磁石およびウィグラまたはアン
ジュレータ8によって、従来の放射光に比べてはるかに
照射野の広い大強度X線を得ることができ、また安定し
て波動電子ビーム軌道の振幅を垂直,水平方向に任意の
速度で変化させることによって、放射光WRまたは放射光
URを分光用結晶板に大面積にわたって照射できるように
なり、単色X線の大面積照射が自由自在になるので、心
臓の毛細血管撮影や超々LSIリソグラフィー技術等に利
用でき、その医学診断や工業利用上意義はきわめて大き
い。
特に本発明は電子波動によって放射されるシンクロト
ロン放射光の方向(光路)が絶えず変化するが、結晶板
とシンクロトロン放射光の角度を一定に保つように結晶
板をシンクロトロン放射光に連動しているので、回折効
果によって生ずるエネルギーと方向の揃ったX線を例え
ば心臓の毛細管に照射できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示す概略構成図、 第2図は可変垂直偏向電磁石と電子ビームとの関係を説
明する図、 第3図(a)は偏向電磁石の平面図、 第3図(b)は偏向電磁石の側面図、 第4図は電子ビームの垂直方向の波動特性を示す図、 第5図は上下に波動する電子ビームを立体的に図示した
もので、単色X線の照射野が拡大されることを示す図、 第6図は電子ビームの水平方向の波動特性を示す図、 第7図は上下,左右に平行移動する電子ビームを立体的
に図示したもので、ウィグラまたはアンジュレータの中
で発生した指向性の良い大強度光子を大面積照射できる
ことを示す図、 第8図および第9図はそれぞれこの発明の他の実施例を
示す概略構成図、 第10図は励磁電流の波形を示す波形図、 第11図(a)はウィグラの構成を示す概略図と放射光WR
の指向性を示す図、 第11図(b)はアンジュレータの構成を示す概略図、 第11図(c)は放射光URの指向性を説明する図、 第11図(d)は放射光SRの指向性を説明する図、 第12図は従来の電子蓄積リングの構成を示す概略図、 第13図は従来の電子蓄積リングを用いたX線発生装置か
らの単色X線を説明する図である。 1a〜1h……偏向電磁石、 2……入射用セプタム電磁石、 3……キッカーコイル、 4……高周波空洞、 5,6……四重極電磁石、 7……トリプレット、 8……ウィグラまたはアンジュレータ、 9……分光用結晶板、 10……単色X線、 11……設定電子軌道、 12……電子、 21a……可変垂直偏向電磁石、 21b……可変水平偏向電磁石、 22……四重極電磁石、 31……超伝導コイルを含む電磁石、 32……小型永久磁石、 33……電子ビーム、 λ……周期長。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】偏向電磁石を設計電子軌道上の所定箇所に
    所定数配置し、この偏向電磁石の間に所定数の高周波加
    速空洞と、入射する電子を集束する多重極電磁石の所定
    数とを前記設計電子軌道上の所定位置に設けて前記入射
    する電子を蓄積する電子蓄積リングと、 前記設計電子軌道上の任意の位置に蓄積された電子を前
    記設計電子軌道のまわりに所定の方向に所定の振幅と所
    定数の節を持つ波動運動をさせ、波動する波動電子から
    放射されるシンクロトロン放射光を取り出す偏向手段と
    を具備し、 かつ前記波動電子が前記偏向電磁石で放射するシンクロ
    トロン放射光を前記電子蓄積リング外に取り出し、取り
    出した前記シンクロトロン放射光を分光用結晶板に照射
    し、該シンクロトロン放射光と該分光用結晶板とを該分
    光用結晶板と該シンクロトロン放射光との角度が一定と
    なるように連動させることによりエネルギーと方向の揃
    った大口径X線ビームを発生することを特徴するX線発
    生装置。
  2. 【請求項2】前記偏向手段は、前記波動素子の振幅と波
    動の節の数を任意に変化させるものであることを特徴と
    する請求項1に記載のX線発生装置。
  3. 【請求項3】偏向電磁石を設計電子軌道上に所定箇所に
    所定数配置し、この偏向電磁石の間に所定数の高周波加
    速空洞と、入射する電子を集束する多重極電磁石の所定
    数とを前記設計電子軌道上の所定位置に設けて前記入射
    する電子を蓄積する電子蓄積リングと、 前記設計電子軌道上の任意の位置に蓄積された電子を前
    記設計電子軌道のまわりに軌道面に垂直方向および水平
    方向に所定の振幅と所定数の節を持つ波動運動をさせ、
    波動する波動電子から放射されるシンクロトロン放射光
    を取り出す垂直方向偏向手段および水平方向偏向手段
    と、 さらに、各前記偏向手段で垂直および水平方向に同時に
    または別個に波動運動する電子にX線領域で高輝度X線
    を発生させるウィグラとを具備し、 前記波動電子が前記ウィグラで放射するウィグラX線を
    取り出し、前記分光用結晶板に前記ウィグラX線を照射
    し、該ウィグラX線と該分光用結晶板とを該分光用結晶
    板と該ウィグラX線との角度が一定となるように連動さ
    せることによりエネルギーと方向の揃った大口径X線ビ
    ームを発生することを特徴とするX線発生装置。
  4. 【請求項4】前記ウィグラの代わりにアンジュレータを
    具備したことを特徴とする請求項3に記載のX線発生装
    置。
  5. 【請求項5】前記偏向手段は、前記波動電子の振幅と波
    動の節の数を任意に変化させるものであることを特徴と
    する請求項3または4に記載のX線発生装置。
JP63020376A 1988-01-29 1988-01-29 X線発生装置 Expired - Lifetime JP2600075B2 (ja)

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