JP2599904B2 - 塩素含有樹脂成型品 - Google Patents

塩素含有樹脂成型品

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JP2599904B2 JP61038643A JP3864386A JP2599904B2 JP 2599904 B2 JP2599904 B2 JP 2599904B2 JP 61038643 A JP61038643 A JP 61038643A JP 3864386 A JP3864386 A JP 3864386A JP 2599904 B2 JP2599904 B2 JP 2599904B2
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雅明 助田
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は塩素含有樹脂の成型品、特にPb或はSnなどの
金属化合物からなる安定剤を含まない塩素含有樹脂の成
型品に関する。
(従来の技術) 塩素含有樹脂の代表例である塩化ビニル(以下、PVC
と略称する)樹脂は安価・強靱且つ耐薬品性、二次加工
性に優れていることから合成樹脂成型品として広くもち
いられている。該PVC樹脂は樹脂構造の特性から、成型
時の温度によりHおよびC1元素が遊離して脱塩酸し、成
型品が黄変乃至黒変する為、樹脂原料中に事前にPVC樹
脂用安定剤を添加させておくのが一般的である。斯かる
安定剤としてはPb或はSn系金属化合物の安定剤が主に用
いられており、またPVC以外の他の塩素含有樹脂におい
ても然りであった。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、近時半導体を主体とした電子部品の発展は
目覚ましいものがあるが、斯かる半導体の製造設備や半
導体部品の梱包容器、該半導体を用いた機器のケースな
どの関連機器にも合成樹脂成型品が用いられるようにな
ったことは周知の通りである。このような製造設備はそ
の工程中に種々の処理をしなければならず、また梱包容
器、機器ケース等も酸洗い或は水洗等の処理をしなけれ
ばならず、上記のごとくPb或はSnなどの金属化合物を安
定剤として含むPVC樹脂は、上記処理の際にこれらの金
属元素が溶出し、電子部品等に悪影響を及ぼすことにな
る為、高品質の半導体、例えば1メガビットの半導体用
の部材としては使用出来なかった。この他、生化学、医
療、医薬、食品関連の用途においても金属の溶出が種々
のトラブルの原因となっていた。このような実情から上
記のごとき用途に適用される合成樹脂としては熱安定性
に極めて優れたフッ素樹脂が用いられる場合もあるが、
該フッ素樹脂は高価であり且つ溶接などの二次加工がし
にくいと云う欠点を有しているため汎用性に乏しかっ
た。従ってこのような欠点を有さない塩素含有樹脂での
上記用途への適正化が強く望まれるところであった。
本発明は叙上に鑑みなされたもので、PbやSnなどの金
属元素を含まない有効な安定剤にて塩素含有樹脂の熱安
定化を図り、これを成型することにより上記用途に極め
て有効な成型品を提供せんとし、加えてこれを不透明乃
至実質的に不透明(以下、これらを総称して非透光性と
云う)とすることにより他の用途への適正化も図らんと
するものである。
(問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するための本発明塩素含有樹脂成型品
の構成は、アミノカルボン酸により安定化され、且つ非
透光性を付与するためのアクリル変性改質剤を含有した
実質的に金属元素を含まない塩素含有樹脂を、所望形状
に成型して厚さ10mmにおける全光線透過率が7%以下の
白色系非透光性の成型品とすることを特徴とするにあ
る。
ここで塩素含有樹脂とは上記のPVC樹脂の他に塩素化
塩化ビニル樹脂、エチレン化塩化ビニル樹脂、他の樹脂
とのアロイなど、塩化ビニルを主体とする樹脂を云う。
斯かる塩素含有樹脂の重合度は種々選定されるが、加工
温度を低く出来耐熱性をさほど要求しない低重合度、例
えば平均重合度700〜800のものを用いると加工範囲が広
げられ高品質の成型品が得られる。この低重合度の樹脂
は特に透明成型品を得る場合に好ましく採用される。此
処に採用されたアミノカルボン酸は、アミノ基とカルボ
ン酸基とを有する化合物の総称である。
代表的なものとしては、アセチルグルタミン酸、グリシ
ン、アラニン、ピロリドンカルボン酸、リジン、アルキ
ニン、トリプトファン、アントラニル酸、β−アミノク
ロトン酸、α−アミノアクリル酸、α−アミノアジピン
酸、アミノマロイン酸、アセチルフェニルアラニン、ア
セチルメチオニン及びこれらのエステル化合物、更にア
セチルアミノ酸とペンタエリスリトール又はジペンタエ
リスリトールとのエステル化合物、2−ピロリドン−5
−カルボン酸とペンタエリスリトールとのエステル化合
物等が挙げられる。これらのアミノカルボン酸のうち、
β−アミノクロトン酸エステルは、一般式 但し、n;1〜6 R;1〜6価のアルコールの残基 で示されるものである。また、このエステルを構成する
R-OH)nの具体例としては、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−エチ
ルヘキサノール、イソオクタノール、オクタノール、イ
ソノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリ
スチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリル
アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレ
ングリコール、チオジエタノール、トリメチロールプロ
パン、グリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イ
ソシアヌレート、トリエタノールアミン、ペンタエリス
リトール、ジトリメタノールプロパン、ジグリセリン、
ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ジペンタ
エリスリトールなどが挙げられる。そしてこれらのアル
コールとβ−アミノクロトン酸とが縮重合して本発明の
エステルが得られるが、該エステルの望ましい具体例と
して、ステアリルアルコールβ−アミノクロトン酸エス
テル、1,4ブタンジオールジβ−アミノクロトン酸エス
テル、チオジエタノールジβ−アミノクロトン酸エステ
ル、トリメチロールプロパントリβ−アミノクロトン酸
エステル、ペンタエリスリトールテトラβ−アミノクロ
トン酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサβ−ア
ミノクロトン酸エステルなどが挙げられる。
このようなアミノカルボン酸は、塩素含有樹脂100重
量部に対し0.5乃至5.0重量部添加され塩素含有樹脂を主
に安定化するが、安定剤としてのこのアミノカルボン酸
にはPbやSnなどの金属元素が何等含まれないことで特徴
づけられる。該アミノカルボン酸の塩素含有樹脂に対す
る適正な添加量は上記の通りであるが、0.5重量部未満
の場合熱安定性が充分に得られず、一方、5.0重量部を
超えると熱安定性はそれだけ向上するが経済的に不利と
なり(上記アミノカルボン酸は高価である)、望ましく
は1.0乃至3.0重量部の範囲で用いられる。
上記のようにアミノカルボン酸は主安定剤として塩素
含有樹脂の熱安定性に寄与するが、その他の金属を含ま
ない安定剤や添加剤、例えばエポキシ化動植物油、エポ
キシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂環化合物、グリシ
ジルエーテル又はグリシジルエステル化合物、エポキシ
化高分子化合物等のエポキシ化合物、モノフォスファイ
ト、ポリフォスファイト等の有機亜燐酸エステル、ヒン
ダードフェノール等のフェノール誘導体、ペンタエリス
リトール、ソルビトール等の多価アルコール、含窒素化
合物、含イオウ化合物、或は炭化水素、脂肪酸、脂肪酸
アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール、多価アル
コール等の滑剤、アミン系、フェノール系、イオウ系、
燐系等の抗酸化剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、ポリオ
ール、β−ジケト化合物、含窒素化合物等の助剤、フタ
ル酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族二塩
基エステル等の可塑剤、透明用のABS・MBS等の補強剤、
顔料、防黴剤、発泡剤等の安定剤や添加剤を添加して、
塩素含有樹脂の安定化を助長したり、加工性を良くした
り、耐候性を向上させたり、機械的特性を向上させたり
或は可塑化したり発泡させたりすることができる。特に
エポキシ化合物を0.5〜5.0重量部添加することにより熱
安定性が、また滑剤を0.3〜3.0重量部添加することで滑
性が夫々向上し成型性が著しく向上する。
亦、上記安定剤により安定化された塩素含有樹脂に
は、非透光性を付与する為、アクリル変性改質剤を含有
するが、その配合は、上記塩素含有樹脂100重量部に対
して、0.5〜50重量部添加され、成型品の10mm厚さで測
定した全光線透過率が7%以下になるように調製され
る。然し乍ら、この添加量は成型品の厚みにより種々選
定されることが必要である。即ち、厚さが大きい場合に
は、添加量を少なくしても非透光性となるが、厚さが薄
い場合には多くして非透光性を確保するようにしなけれ
ばならない。これらの非透光性を付与する物質のうち、
アクリル変性改質剤としては、アクリル酸エステルとメ
チルメタエクリレートとの共重合体、アルキルアクリレ
ートとスチレンとを共重合し、その後メチルメタクリレ
ートを重合したもの、メチルメタクリレートを重合し、
その後アクリルアクリレートとスチレンとを共重合した
もの、メチルメタクリレートを重合し、その後にアルキ
ルアクリレートとスチレンとを重合し、更にその後メチ
ルメタクリレートを重合したもの、ブタジエンとアクリ
ル酸とスチレンとを共重合させ、その後メタクリル酸メ
チルをグラフト重合させ、更にスチレンを重合させたも
の、及びブタジエンとアクリロニトリルとスチレンとを
共重合させ、その後スチレンを重合させ、更にメタクリ
ル酸メチルをグラフト重合させたものなどが挙げられ
る。
(作用) 上記のごとく主安定剤としてのアミノカルボン酸を含
む塩素含有樹脂は、通常の成型法、即ちカレンダーロー
ル、プレス或は押出し法等により板体、シート状、パイ
プ、アングル更には溶接棒などに成型される。そしてこ
の成型時には塩素含有樹脂の温度は150-200℃になる。
従って樹脂中に安定剤が含まれていないと樹脂構造のH
とC1が遊離して脱塩酸し、樹脂が黄変乃至黒変する。し
かし本発明の塩素含有樹脂成型品はアミノカルボン酸の
作用により熱安定性が付与されているから、成型時の温
度上昇によっても変色することがない。
亦、アクリル系変性改質剤は、上記塩素含有樹脂に添
加混練し成型固化させると、光の屈折率の相違による光
学的作用により、成型体が厚さ10mmにおける全光線透過
率が7%以下の実質的に不透明な白色系非透光性とな
る。さらに、実質的に金属元素を含まないから、極めて
微量の不可避的不純物を別にして、金属の単体、金属元
素を有する化合物などの無機物質を含むことなく、即
ち、顔料、無機充填剤などの無機物質により非透光性に
するのではなくて、上記アクリル系改質剤の配合だけで
成型品を上記の全光線透過率に調節して、白色系の不透
明にする。
上記アミノカルボン酸で主に安定化された塩素含有樹
脂は、金属を含まない物質により非透光性とされ、安定
剤にも一切金属元素が含まれないから、該樹脂の成型品
を薬洗などの処理を施してもPbやSnなどの有害な金属元
素が溶出する懸念がなく、しかも塩素含有樹脂の安価・
強靱な特性及び耐薬品性が維持されるから、前述の半導
体部品、医療、医薬、生化学、食品等の製造設備、関連
機器などに応用すれば経済的にも多大の利益がもたらさ
れる。亦、塩素含有樹脂は切断、切削、溶接、溶着、熱
曲げなどの二次加工が極めて容易であるから従来のフッ
素樹脂製成型品に比べ多用性に富み、上記用途関連の様
々な用途が約束される。更に、本発明の成型品は、上記
耐薬品性(酸洗い、水洗い等の処理に対し)の特性に加
え、非透光性であるから、内部を透視されることが望ま
しくない上記電子部品の梱包容器・各種ケース・機器、
或は光化学反応を起し易い医療、医薬、生化学、食品関
係物質の保管容器・調製器具等にも極めて好適である。
(実施例) 次に実施例について述べる。
(i)サンプルの調製 (i−1)試料を下記の配合で調製した。
なお、試料3〜6は本発明の実施例を示す。
実施例のアクリル変性改質剤には、メチルメタアクリ
レート−アクリルニトリルゴム−スチレン共重合体系の
改質剤(三菱レイヨン(株)製、品名メタブレンW529)
を使用した。
(i−2)従来例として下記の3種の試料を調製した。
(ii)熱安定性の測定 上記各試料についてカレンダーロール(160℃×5
分)及びプレス(160℃×5分)にて加熱成型し、成型
品の色相の変化によりその熱安定性を測定した。結果を
第1表に示す。
この第1表で理解される通り試料2〜9の樹脂は、従
来の試料13、即ち錫系安定剤を用いた時と略同様の熱安
定性を有する。試料2〜9は略同じ色相を呈して色相の
変化はなかった。また、試料1は試料13よりやや熱安定
性に欠けている。一方、試料11及び12における添加剤は
殆ど熱安定機能を果たさないことも理解される。
(iii)一般物性の測定 上記試料2及び6と13とのテストピースについて一般
物性を測定した。結果を第2表に示す。また、上記試料
2〜8と同13とのテストピース(厚さ10mm)について、
JIS K6745に準拠して、積分球光透過率測定装置により
全光線透過率を測定した。その結果を第3表に示す。
上記第2表で理解される通り、試料2は試料13と比べ
てほぼ同等の物性値を示し、従来のPVC板と同じように
使用出来ることがわかる。また実施例の試料6は試料2
又は試料13と比べると、シャルピー衝撃値が7.5倍も向
上し、耐衝撃性PVC板としての特性を備えていることが
わかる。しかも第3表から理解される通り、試料3〜8
の全光線透過率は試料2と比べると極端に低下してお
り、非透光性を必要とする上記の如き用途に充分適用で
きることが理解される。
(iv)上記とは別に実施例の試料6及び従来例の試料13
のテストピースについて含有する微量金属元素を原子吸
光法(Sn、Pb)及びICP発光分光分析法(Ca、Zn、Ti、M
g)にて分析した。その結果を第4表に示す。
但し、単位はppmを示す。
第4表で理解される通り、実施例の試料6では、PbやSn
等の金属元素はほとんど検出されなかった。
(v)溶出テスト 上記実施例の試料6、従来例の試料13、及び別途調製
したPbを主安定剤とするPVC樹脂〔試料14とする〕の試
料についてJISK6743に基づいて純水中に浸し溶出した微
量金属を原子吸光法及びICP発光分析法にて分析した。
その結果を第5表に示す。
この第5表から理解される通り、試料6からは金属が
溶出されなかった。また、従来の試料13,14からはその
安定剤に含まれるSn或はPbが溶出した。
尚、上記実施例以外のアミノカルボン酸を安定剤とし
て用いたPVC樹脂についても上記と同様の試験をしたと
ころ略同様の結果を得た。
更に、本発明の成型体を白色且つ非透光性のシート状
となし、通常のPVC樹脂成型品の表面にラミネートする
ようにすれば、成型品として上記同様の効果が得られる
と共に経済的効果も付加されるので、目的用途に応じて
望ましく採用される。更に亦、PVC樹脂に代えて塩素化
塩化ビニル樹脂を用いると熱変形温度が略100℃まで向
上し、エチレン化塩化ビニル樹脂を用いると耐衝撃性が
向上し、アロイを用いると二次加工性が向上する。
(発明の効果) 叙上のごとく、本発明の塩素含有樹脂成型品は従来の
ごとくPbやSnなどの金属化合物を安定剤として含まない
から、半導体、生化学、医療、医薬、食品等の関連機器
等に供しても金属元素が溶出する懸念がなく、また塩素
含有樹脂が本来有する安価で強靱な特性及び耐薬品性・
二次加工性に優れた特性が維持されるから上記用途関連
の機器等に極めて好適に用いられる。また、アミノカル
ボン酸によって熱安定性が付与されているから、成型時
の温度上昇によっても黄変乃至黒変することがなくその
本来の外観が維持される。更に、金属が溶出しない特性
に加え、上記上記アクリル系変性改質剤の添加によって
実質的に白色系不透明とされるから、透視を必要としな
い場合或は光学的影響を排除したい場合の前記用途にも
極めて好適である。
斯かる優れた性能を有する本発明塩素含有樹脂成型品
は有用性極めて大である。
フロントページの続き (72)発明者 助田 雅明 大阪市東区安土町2丁目30番地 タキロ ン株式会社内 (72)発明者 中山 忠 大阪市東区安土町2丁目30番地 タキロ ン株式会社内 (56)参考文献 特公 昭51−37215(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アミノカルボン酸により安定化され、且つ
    非透光性を付与するためのアクリル変性改質剤を含有し
    た実質的に金属元素を含まない塩素含有樹脂を、所望形
    状に成型して厚さ10mmにおける全光線透過率を7%以下
    としたことを特徴とする白色系非透光性の塩素含有樹脂
    成型品。
  2. 【請求項2】上記塩素含有樹脂が、該アミノカルボン酸
    と共にエポキシ系安定剤により安定化されて成る特許請
    求の範囲第1項に記載の白色系非透光性の塩素含有樹脂
    成型品。
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