JP2599642B2 - 複写装置 - Google Patents
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Description
するものである。特に、複写プロセスの中心的な役割を
担う感光体の長寿命化に関するものである。
電的な電荷像(潜像)を形成し、着色した帯電微粒子
(トナー)を静電気力で潜像に付着させ、可視像とする
プロセスである。感光紙に直接トナー画像を形成するCP
U法と感光体上のトナー画像を普通紙に転写するPPC法の
二種類が知られている。本発明は主にPPC法で用いられ
る技術に関する。PPC法では感光層表面に画像を形成す
るゼログラフィー法(カーソルン法ともいう)が最も一
般的であり、このプロセスは帯電、露光、現像、転写、
定着及びクリーニングの各プロセスに分けることができ
る。これらプロセスは、感光ドラム、帯電器、露光器、
現像器、転写器、定着器、除電器、クリーナーから構成
されている。
セスを用いたものであるが、その寿命を決定する要素と
して、前記構成要素のうち感光ドラムは最も重要であ
る。本発明は感光ドラムの長寿命化を図ることにより複
写装置の高信頼化を実現したものである。
として有機樹脂、アモルファスシリコン、セレン合金等
が知られている。これら感光ドラムはその使用時に転写
紙、現像ローラー等との摩擦や、クリーニングブレー
ド、ブラシ等を用いたクリーニングによりその表面に摩
擦を生じ、また、トナーやトナー中に含まれる潤滑剤に
より表面が摩耗される。その為、感光体表面に保護膜を
設けることが試みられ、各種有機樹脂やAl2O3,Si3N4等
の無機膜が検討されている。
8〜1012Ωcmであることが要求される。比抵抗が108Ωcm
以下であれば、電気潜像の拡散、即ち電荷の横方向のリ
ークが発生してしまい、転写像にボケが生じてしまう。
また、比抵抗が1013Ωcm以上であれば膜中に電荷が蓄積
され、繰り返し使用するにつれ露光を行っても本来散逸
するべき電荷が散逸せず、潜像が形成されなくなる。よ
って、長期にわたって安定した良質な転写像が得られな
くなる。
光域での使用を考えると保護膜は400nm〜800nmの範囲で
少なくとも50%以上、500nm〜800nの範囲では80%以上
の透過率が必要となる。
性、光学的特性を満足する保護膜として「炭素被膜を有
する複合体及びその作成方法」(特願昭56−146936号昭
和56年5月17日出願)が知られている。炭素を主成分と
する被膜は可視光域で概略透明であり、ビッカース硬度
は2000kg/mm2以上のものが容易に得られ、比抵抗は被膜
の作成条件を変えることにより、106〜1013Ωcmの範囲
で変えることができる。即ち、感光体への応用としては
極めて好適なものである。
良好である。それは、炭素を主成分とする被膜はある種
の有機膜であると考えられ、有機感光体と炭素を主成分
とする被膜の界面ではポリマー的な結合をしていると予
想されるからである。
かで、各々の特性はトレードオフの関係にあることが明
らかとなってきた。即ち、ビッカース硬度が2000kg/mm2
以上のものは容易に得られるが、透過率が低く(吸収係
数が0.6μm-1と高い。膜厚が5000Åであれば透過率は74
%となる。)、抵抗率が106〜107Ωcmと低いものとなっ
てしまう。そのため耐磨耗性には優れているものの透過
光の減少による低感度化と抵抗率の低下による画像流れ
が発生する。逆に吸収係数が0.2μm-1(膜厚5000Åで透
過率90%)と充分低いものは作製できるが、ビッカース
硬度は500kg/mm2と低く、抵抗率が1014〜1015Ωcmと高
くなってしまう。
かつ適当な導電率を有した被膜が必要とされていた。
抵抗率の各特性に要求される水準を満たした感光ドラム
を有することを特徴としている。
易である。即ち、プラズマCVDを用いて被膜を形成する
場合、その膜の硬度、透過率、抵抗率は被膜の形成条件
で制御できることが知られている。被膜の形成条件の中
でも最も重要視されるのは製膜圧力と基板にかかる負バ
イアス電圧である。負バイアス電圧は、平行平板型電極
を用いた場合は投入電力の関数となるが、主放電用電源
(1個乃至2個、13.56MHz)の他にバイアス電圧印加用
中周波数電源(1〜1000kHz)を備えた陽光柱方式のプ
ラズマCVDの場合はバイアス電圧印加用柱周波数電源の
出力が主放電用電源の出力に大きく影響されることなく
制御できる。よって、平行平板型電極方式よりも陽光柱
方式のほうが、自由度が大きい為有利である。なお、主
放電電力は製膜速度に大きく影響する。
置方法、基板温度、使用原料ガス、ガス混合比等)に影
響されることは確かであるが、製膜圧力と負バイアス電
圧が被膜特性を決定する寄与率が高いということを示し
ているものである。
図に示すように負バイアス電圧が大きい(値は負値とし
て観測されるが、大小を論じる場合はその絶対値の大小
で論ずる。以下絶対値のことをいう。)ほど、また、圧
力が低いほど硬度は高くなり(第1図A)、吸収係数は
大きくなり(第1図B)、抵抗率は小さくなる(第1図
C)。
て決まる。sp3結合が多いほど硬度が増す。これは、製
膜素過程のうち、水素、炭素、炭化水素等の原子もしく
は分子の正イオンによるボンバードメントが強いほどsp
3結合の比が増すと考えられている。それは、sp2結合が
正イオンによりエッチングされるためである。これは負
バイアス電圧が大きいほど、また、製膜圧力が低いほど
ボンバードメントが強くなることを考えれば硬度が高く
なることは納得できる。
がエッチングされてsp3結合の比が増すと同時に、膜中
のダングリングボンドが増加する。このダングリングボ
ンドには極在電子が存在し、ダングリングボンド間での
ホッピング電導が発生する。ダングリングボンドの密度
が増加すれば、それだけホッピングの確率が増し、抵抗
率が低下することになる。また、膜中を透過する光はダ
ングリングボンドに存在する極在電子に吸収され、結果
として透過率が減少(吸収係数が増加)する。よって、
この様な系では要求特性を満足する領域はない(第4
図)。
を与え、被膜の硬度を充分高くしておき、かつ、ダング
リングボンドを形成させないためには、供給される炭素
原料ガスとともに水素ガスを混合し、全流量に対し、炭
素原料ガス濃度が50%以下、好ましくは20%以下、とす
ると水素原子でダングリングボンドがターミネートさ
れ、硬度を低下させることなく吸収係数を0.2μm-1以下
とすることができることを究明した(第2図B)。ここ
でいう炭素原料ガスはCH4,C2H6,C3H8,等の飽和炭化水
素、C2H4,C2H2,C6H6等の不飽和炭化水素を用いることが
できる。また、炭素原子の水素原子のうち、いくつかは
フッ素の如きハロゲン系元素に置きかわっても良い。
ば適当な電気的欠陥がなくなるため、極在電子間のホッ
ピングの確率が減少し、抵抗率が高くなる。この時の抵
抗率は1015Ωcm以上であり、電子写真用には用いること
ができない(第2図C)。
抵抗率を適当な値に制御する方法として本発明人は原料
ガスにNF3を炭素原料ガス流量1に対して0.2乃至4を混
入することにより、その流量比に応じた抵抗率とするこ
とができることを見つけた。これを用いて電子写真用感
光体に最適な抵抗率(108〜1012Ωcm)を実現すること
ができる(第3図C)。この場合の導電機構はダングリ
ングボンドではなく、窒素原子により発生した正孔によ
るものと考えられる。ただし、炭素膜中の窒素による準
位は深いため、シリコン半導体のように導電率は高くな
く、依然絶縁体に近い抵抗率を示す。この時、膜中に含
有される窒素濃度はオージェ電子分光により1〜10原子
%であることが分かっている。また、膜に含有させる窒
素源として、アンモニア(NH3)も考えられるが、プラ
ズマ中での解離はNF3の方がし易く、また、解離したフ
ッ素原子がその強い電気陰性度により水素と結合してHF
をつくるため、水素の引抜き反応が促進され、反応速度
が高くなる。よって、NF3の方が有利である。
が、最近の研究で硬度よりむしろ膜の厚さが厚い方が耐
摩耗性に対しては有利であることが分かってきた。よっ
て、水素ガスの希釈により吸収係数を減少できるこの技
術は、膜厚に対して設計余裕がとれ、大変有意義なもの
である。さらに、耐摩耗性は下地の硬さに影響されるこ
とは上記の高膜厚が耐摩耗性に対して大変有利であるこ
とより推定されるが、実際、有機感光体の様な柔らかい
(ビッカース硬度4〜20kg/mm2)基体の上に成膜するよ
うな場合は中間層としてビッカース硬度100〜400kg/mm2
程度の硬さで膜厚が0.3〜0.8μmの被膜を挿入するのが
良い。該中間層が炭素を主成分とする被膜であれば密着
性の点からも非常に有利である。感光体自体がアモルフ
ァスシリコンのように硬いものであれば中間層は必要で
ない場合もある。
び、中間層は1層でも、また、複数層であっても構わな
い。
硬度、透過率、抵抗率を同時に満足することができなっ
かたが、炭化水素系のガスに水素を混入することによ
り、透過率を向上させることができ、更に、3フッ化窒
素を添加することにより抵抗率を制御することができ
た。また、適当な硬さと厚さの中間層を入れることによ
り耐摩耗性を向上させることができた。よって、これら
を組み合わせて要求特性を満足できる被膜を得、該皮膜
を応用した感光体を用いることにより、信頼性の高い複
写装置を実現することができた。
成し、複写機を構成したものを示す(第7図)。
ち、アルミニウム基体上に有機樹脂の中間層、電荷発生
層、電荷輸送層の順に塗工し、炭素を主成分とする被膜
を中間層として0.5μm積層した。被膜の形成はプロセ
スCVDを用いた。成膜条件は以下のようである。
件は原料ガスのみである。
以下に記す。
〜40原子%の水素と1〜10原子%の窒素からなる。
成し画像を評価した。
護膜部の透過率が低いことが伺える。
る。保護膜の抵抗率が高いことが分かる。
れず、耐摩耗性はいずれも高いことが分かる。
により、透過率を向上させることができ、更に、3フッ
化水素を添加することにより抵抗率を制御することがで
きた。これにより、硬度、透過率、抵抗率の要求特性を
満たす保護層を得ることができた。また、最表層の下に
適当な硬さと膜厚の膜を挿入することにより耐摩耗性を
向上させることができた。これにより、信頼性の高い複
写機を実現できた。
膜特性を示す。 第4図はエチレンのみを用いた場合の膜特性が最適領域
を有さないことを示す。 第5図はエチレンと水素を用いた場合の膜特性が最適領
域を有さないことを示す。 第6図はエチレンと水素と3フッ化窒素を用いた場合の
膜特性が最適領域を有することを示す。 第7図は複写機の概略を示す。
Claims (2)
- 【請求項1】電子写真方式を利用した複写装置であっ
て、 該複写装置の感光部材が、 導伝処理を施した基体と、 該基体上に設けられた感光体と、 該感光体表面の保護層で少なくとも構成された電子写真
用感光体であって、 前記保護層は炭素を主成分とする被膜であり、 かつ、該保護層の最表層は50原子%以上の炭素と10〜40
原子%の水素と1〜10原子%の窒素を含んでいる 電子写真用感光体を有することを特徴とする複写機。 - 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、前記保護
層最表層の780nmにおける吸収係数は0.2μm-1以下であ
り、ビッカース硬度は800〜2000kg/mm2であり、抵抗率
は1×108〜1×1012Ωcmであることを特徴とする特許
請求の範囲第1項記載の複写装置。
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