JP2599519B2 - グリーンシート及び多層セラミック回路基板の製造方法 - Google Patents

グリーンシート及び多層セラミック回路基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グリーンシート及び多
層セラミック回路基板の製造方法に係り、詳しくはVL
SIを高密度に実装し信号の高速伝播に適した超低誘電
率セラミック回路基板を構成するグリーンシートの成形
方法に関する。近年、大型汎用コンピュータ及びスーパ
ーコンピュータに使用される半導体素子の高速化は著し
く、ゲート当たりの遅延時間が100 psを下回るようにな
り、相対的に基板配線部における伝送遅延がコンピュー
タの演算速度を左右するにっている。この結果、コン
ピュータのCPU回路基板の材料には、高密度かつ微細
な多層配線に適しているセラミックスが適用されるよう
になってきた。そして、将来より高速なコンピュータ
を実するためには高密度かつ微細な多層配線を活か
し、かつ信号の高速伝播に適した超低誘電率セラミック
スの開発が不可欠である。
【0002】
【従来の技術】従来の多層セラミック回路基板において
は、伝送系全体に影響するインピーダンスを変えずに材
料の誘電率を下げるのに信号配線の幅を広げるか、電源
及びグランドと信号配線との間隔を狭める必要がある。
しかしながら、高密度実装の目的から配線幅を広げるこ
とはできないため、材料の誘電率を下げ信号伝播速度を
上げるには、層間距離即ちグリーンシートの厚さを薄く
することが必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の多層セラミック回路基板では、セラミックス粉
と樹脂を溶剤中で混練し焼成してグリーンシートを形成
しており、誘電率を下げようとしてグリーンシート厚を
薄くすると薄いグリーンシートが変形し易いため、グリ
ーンシート上にLSIを搭載すると寸法精度が補償でき
なくなるという問題があった。このため、高速コンピュ
ータ用多層基板のように大きなグリーンシートを扱う製
造プロセスでは、200 μm以下のグリーンシートを必要
とする低誘電率化を行うことが実際上困難であるという
問題があった。
【0004】また、セラミックスは焼成時に収縮して寸
法変化するが、この寸法変化が大きいと高密度実装に要
求される高精度の寸法を補償することが困難であるとい
う問題があった。そこで本発明は、厚みを薄くしても
形し難くすることができ、LSIを搭載した際寸法精度
を補償することができるとともに、プロセス中の取り扱
いを容易にすることができ、しかも焼成した際収縮し難
くして寸法精度を補償することができるグリーンシート
及びセラミック回路基板の製造方法を提供することを目
的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
多層セラミック回路基板に用いるグリーンシートであっ
て、セラミック及びガラス繊維からなる布を、キャリア
フィルム上で、セラミックス、ガラスあるいはこれらの
混合物と樹脂・可塑剤及び溶剤からなるスラリーを含浸
させながらテープキャスティングすることを特徴とす
る。請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明におい
て、テープキャスティングされたグリーンシート上に導
体ペーストを印刷し、電源あるいはグランド配線を形成
した後、更にスラリーを含浸させながらテープキャステ
ィングすることを特徴とする。請求項3記載の発明は、
請求項1記載の発明において、前記テープキャスティン
グ後、キャリアフィルムを剥離することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、
前記テープキャスティング後、多層グリーンシートをキ
ャリアフィルムとともに再度プレスして張り合わせた
後、キャリアフィルムを剥離することを特徴とする。請
求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前
記セラミックスが中空のセラミックスであることを特徴
とする。請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明に
おいて、前記ガラスが軟化点の異なる複数のガラスであ
ることを特徴とする。請求項7記載の発明は、請求項1
記載の方法によって製造されたグリーンシートに導通孔
を形成し、該グリーンシート上に導体ペーストを印刷し
て導体配線を形成するとともに該導通孔に導体ペースト
を充填し、次いで、積層した後更に焼結することを特徴
とする。
【0006】
【0007】
【0008】
【作用】本発明では、図1に示すように、セラミックス
及びガラス繊維の無機繊維布3でグリーンシート5を形
成したため、従来のセラミックス粉末で構成する場合よ
りも厚みを薄くしても変形し難くすることができ、LS
Iを搭載した際寸法精度を補償することができるととも
に、プロセス中の取り扱いを容易にすることができる。
しかも、焼成した際のグリーンシート5の面方向の収縮
を従来の20%から5%に低減することができ、寸法精度
を補償することができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。図
1は本発明の一実施例に則したグリーンシートの製造方
法を説明する図である。図1において、1はスラリー2
が充填されたドクターブレードであり、3は中空アルミ
ナ繊維、硼珪酸ガラス及び石英ガラス繊維が平編みされ
形成された無機繊維布である。そして、4は無機繊維布
3をテープキャスティングするポリエステルフィルムか
らなるキャリアテープであり、5は無機繊維布3がスラ
リー2で含浸されキャリアテープ4上でテープキャステ
ィングされ成形されたグリーンシートである。
【0010】次に、そのグリーンシートの製造方法を図
1を用いて説明する。まず、直径12μmの中空アルミナ
繊維と、同じく直径12μmの硼珪酸ガラス及び石英ガラ
ス繊維を1:1:1の比率で平編みして幅 500m程度の
無機繊維布3を形成する。別途、中空繊維、硼珪酸ガラ
スをバインダ樹脂及びアセトン、2−ブタノン等の溶剤
及び可塑剤と混練してスラリー2を製作する。次いで、
無機繊維布3をドクターブレード1内に充填されたスラ
リー2を含浸させながらドクターブレード1を用いてポ
リエステルフィルムからなるキャリアテープ4上にテー
プキャスティングして成形することにより、厚さ50μm
程度のグリーンシートを得ることができる。
【0011】次に、図2は本発明の一実施例に則した多
層セラミック回路基板の製造方法を説明する図である。
図2において、図1と同一符号は同一または相当部分を
示し、6はグリーンシート5に形成された導通孔であ
り、7はこのグリーンシート5内に充填される銅ペース
トであり、8はグリーンシート5が積層され形成された
多層セラミック回路基板である。
【0012】次に、その多層セラミック回路基板の製造
方法を図2を用いて説明する。図1に示す如く成形され
たグリーンシート5を自然乾燥させ、キャリアテープ4
を剥がした後、所定の寸法に切断し、パンチにて上下に
導通孔6を形成する。次いで、導通孔6内に銅ペースト
7を充填した後、銅ペースト7で幅 100μの配線パター
ンをスクリーン印刷する。そして、このグリーンシート
5を交互に30層重ねてプレスした積層体を窒素雰囲気10
00℃程度で焼成することにより、多層セラミック回路基
板8を得ることができる。
【0013】すなわち、本実施例では、セラミックス及
びガラス繊維からなる無機繊維布3に樹脂、可塑剤及び
溶剤からなるスラリー2を含浸させてグリーンシート5
を形成するようにしている。このようにセラミックス及
びガラス繊維の無機繊維布3でグリーンシート5を形成
したため、従来のセラミックス粉末で形成する場合より
も厚みを薄くしても変形し難くすることができ、LSI
を搭載した際寸法精度を補償することができるととも
に、プロセス中の取り扱いを容易にすることができる。
なお、グリーンシート5の厚みについては無機繊維布3
にスラリー2を含浸させた際含浸前と略同じ厚みにする
ことができ、厚み30μm程度のグリーンシート5を取り
扱うことができる。また、焼成した際のグリーンシート
5の面方向の収縮を従来の20%から5%に低減すること
ができ、寸法精度を補償することができる。
【0014】なお、上記実施例では、無機繊維布3を1
個のドクターブレード1内に通して無機繊維布3上下か
らスラリー2を含浸させる場合について説明したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、図3に示すよう
に、無機繊維布3を挟むようにスラリー2が充填された
ドクターブレード1を2個のキャリアテープ4上に配置
し、まず最初に無機繊維布3進行方向の後方に配置した
ドクターブレード1によって無機繊維布3下側からスラ
リー2を含浸させ、次いで、無機繊維布3進行方向の前
方に配置したドクターブレード1によって無機繊維布3
上側からスラリー2を含浸させ、最終的に上下からスラ
リー2を含浸させる場合であってもよい。
【0015】次に、本発明においては、グリーンシート
を図4に示す如く次のように製造してもよい。中空石
英、硼珪酸ガラス及びアルミナを焼成後の基板の誘電率
が 3.0となるように調合する。次いで、これをバインダ
樹脂及びアセトン、2 −ブタノン等の溶剤、可塑剤と混
練してスラリー2を作製する。次いで、ドクターブレー
ド1を用いてポリエステルフィルムからなるキャリアテ
ープ4上に厚さ100 μm程度のグリーンシートを成形
し、自然乾燥させ、表面に電源あるいはグランド層とす
るメッシュパターンを印刷する。次いで、キャリアテー
プ4を剥がさずに巻き取ったグリーンシートに再度、ド
クターブレード1を用いて厚さ100 μm程度のグリーン
シートを成形し、自然乾燥した後、キャリアテープ4を
剥がす。なお、多層セラミックス回路基板の製造につい
ては図2で説明した実施例と同様であるのでここでは省
略する。この実施例の場合、キャリアテープ4上にテー
プキャスティングしたドクターブレード1上に導体ペー
スト9を印刷して電源あるいはグランド配線を形成した
後、更に重ねてテープキャスティングしたため、1層の
厚さは薄いが多層構造とすることができるため、プロセ
ス中の取り扱いに耐えるグリーンシートを得ることがで
きる。また、多層グリーンシートをキャリアテープ4と
共に再度プレスして張り合わせたため、従来のグリーン
シートと略同等の平坦性を得ることができる。なお、図
4において、10はスキージであり、11はスクリーンマス
クである。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、厚みを薄くしても変形
し難くすることができ、LSIを搭載した際寸法精度を
補償することができるとともに、プロセス中の取り扱い
を容易にすることができ、しかも、焼成した際収縮し難
くして寸法精度を補償することができるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に則したグリーンシートの製
造方法を説明する図である。
【図2】本発明の一実施例に則した多層セラミック回路
基板の製造方法を説明する図である。
【図3】本発明に適用できるグリーンシートの製造方法
を説明する図である。
【図4】本発明に適用できるグリーンシートの製造方法
を説明する図である。
【符号の説明】
1 ドクターブレード 2 スラリー 3 無機繊維布 4 キャリアテープ 5 グリーンシート 6 導通孔 7 銅ペースト 8 多層セラミック回路基板 9 導体ペースト 10 スキージ 11 スクリーンマスク

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多層セラミック回路基板に用いるグリーン
    シートであって、セラミック及びガラス繊維からなる布
    を、キャリアフィルム上で、セラミックス、ガラスある
    いはこれらの混合物と樹脂・可塑剤及び溶剤からなるス
    ラリーを含浸させながらテープキャスティングすること
    を特徴とするグリーンシートの製造方法。
  2. 【請求項2】テープキャスティングされたグリーンシー
    ト上に導体ペーストを印刷し、電源あるいはグランド配
    線を形成した後、更にスラリーを含浸させながらテープ
    キャスティングすることを特徴とする請求項1記載のグ
    リーンシートの製造方法。
  3. 【請求項3】前記テープキャスティング後、キャリアフ
    ィルムを剥離することを特徴とする請求項1記載のグリ
    ーンシートの製造方法。
  4. 【請求項4】前記テープキャスティング後、多層グリー
    ンシートをキャリアフィルムとともに再度プレスして張
    り合わせた後、キャリアフィルムを剥離することを特徴
    とする請求項1記載のグリーンシートの製造方法。
  5. 【請求項5】前記セラミックスが中空のセラミックスで
    あることを特徴とする請求項1記載のグリーンシートの
    製造方法。
  6. 【請求項6】前記ガラスが軟化点の異なる複数のガラス
    であることを特徴とする請求項1記載のグリーンシート
    の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1記載の方法によって製造されたグ
    リーンシートに導通孔を形成し、該グリーンシート上に
    導体ペーストを印刷して導体配線を形成するとともに該
    導通孔に導体ペーストを充填し、次いで、積層した後更
    に焼結することを特徴とする多層セラミック回路基板の
    製造方法。
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