JP2597681Y2 - 建設機械のアウトリガ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、建設機械のアウトリガ
装置に関し、詳しくはアウトリガに掛かる負荷と、アウ
トリガの張出位置を検知するセンサを備えた建設機械の
アウトリガ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】クレーン等の建設機械には、作業時の機
械本体の安定を図るために、アウトリガ装置が設けられ
ている。このアウトリガ装置は、例えば、機械本体に固
設したアウトリガフレームに水平回動及び上下動可能に
設けたアウトリガと、水平回動により張出したアウトリ
ガを、該アウトリガのピン孔及び前記アウトリガフレー
ムのピン孔に挿通させることにより張出位置に固定する
ロックピンと、アウトリガを上下動させるアウトリガシ
リンダとを備え、作業時には、アウトリガフレームから
アウトリガを水平回動により中間張出位置又は最大張出
位置のいずれかに張出し、ロックピンをアウトリガとア
ウトリガフレームのピン孔に挿通してアウ トリガを張出
位置に固定した後、アウトリガシリンダによりアウトリ
ガを接地させて機械本体を支持する。

【０００３】該アウトリガは、アウトリガフレームとの
連結部あるいは接続部に、回動のための隙間が設けられ
ているから、接地の際に、隙間分上動してアウトリガフ
レームの下部に当接して、アウトリガフレームを押し上
げる。即ち、アウトリガシリンダの伸縮によるアウトリ
ガの接地状態と非接地状態とでアウトリガが上下に移動
し、アウトリガのアウトリガフレームへの当接点が上下
に変化する。

【０００４】一方、建設機械に備えられたモーメントリ
ミッタには、アウトリガの各位置（最大、中間、格納）
におけるブーム長さ、ブーム角度に応じて安全に負荷さ
せることのできる定格総荷重のデータが入力されてお
り、作業時には、この入力データと、ブーム長さ、ブー
ム角度、吊り荷重等を検知する各センサからの検知デー
タとを比較して警報信号や停止信号等を出力している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかし、モーメントリ
ミッタに入力されるアウトリガの張出位置のデータは、
オペレータの手動入力によって行われているので、入力
ミスがあった場合は、モーメントリミッタが正常に作用
せず、また、通常４本あるアウトリガの各張出位置のデ
ータがそれぞれ正しく入力されている場合でも、アウト
リガのいずれかが完全に接地していない時等では、モー
メントリミッタは、入力された位置のデータとブーム角
度等検知データに基づいてアウトリガは正常な状態にあ
るものとして作動する虞がある。

【０００６】そこで本考案は、張出位置におけるアウト
リガとロックピンの差込状態及びアウトリガの接地状態
の双方を一度に検出して、モーメントリミッタへ自動的
に信号を送り、データの入力ミスや、不完全なロックピ
ンの差込状態や不完全な接地に伴う事故を未然に防止す
ることを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため本考案は、機械本体に固設したアウトリガフレーム
に水平回動及び上下動可能に設けたアウトリガと、水平
回動により張出したアウトリガを、該アウトリガのピン
孔及び前記アウトリガフレームのピン孔に挿通させるこ
とにより張出位置に固定するロックピンと、アウトリガ
を上下動させるアウトリガシリンダとを備え、接地によ
るアウトリガの上動により該アウトリガをアウトリガフ
レームの下部に当接させて機械本体を支持する建設機械
のアウトリガ装置において、前記アウトリガに、前記ア
ウトリガのアウトリガフレーム下部への当接の際にアウ
トリガフレームに押されて回動するセンサブラケットを
設けるとともに、該センサブラケットの回動により前記
ロックピンを検知するセンサを該センサブラケットに設
けたことを特徴としている。

【０００８】

【作 用】上記構成によれば、アウトリガを中間張出位
置又は最大張出位置に固定し、アウトリガシリンダの作
動によりアウトリガを接地させて、アウトリガをアウト
リガフレームの下部に当接させて機械本体を支持する
と、センサがアウトリガの各張出位置と、アウトリガと
アウトリガフレームとの当接を検知する。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１０】建設機械の一種であるクローラクレーン１
は、クローラ式下部走行体２に上部旋回体３を搭載し、
該上部旋回体３にブーム４を起伏可能に設けており、ク
ローラ式下部走行体２の前後両側に合計４本のアウトリ
ガ５を備えている。

【００１１】アウトリガ５は、アウトリガフレーム６に
水平回動及び上下動可能に設けられるアウトリガジョイ
ント７と、該アウトリガジョイント７に上下方向に回動
可能に設けられるアウトリガアーム８と、該アウトリガ
アーム８の上方位置でアウトリガジョイント７とアウト
リガアーム８との間に設けられ、該アウトリガアーム８
を上下方向に回動するアウトリガシリンダ９とで構成さ
れている。

【００１２】このアウトリガ５は、図３に二点鎖線で示
される如く、車体の側方に平行に収納される格納位置
と、作業時に車体の側方に大きく張出される実線で示す
最大張出位置と、作業場所等の制約から最大張出位置よ
りも小さく車体の側方に張出される二点鎖線で示す中間
張出位置に固定されるもので、該アウトリガ５は、図４
に示される如く、アウトリガフレーム６に形成されたピ
ン孔６ａに、アウトリガジョイント７に形成された最大
張出位置のピン孔７ａ又は中間張出位置のピン孔７ｂを
合致させて、ピン孔６ａ，７ａ又はピン孔６ａ，７ｂに
ロックピン１０を挿通して固定される。

【００１３】それぞれの位置で固定されたアウトリガ５
は、アウトリガシリンダ９を伸長してアウトリガアーム
８の先端を接地させて、クローラクレーン１を支持す
る。

【００１４】また、アウトリガジョイント７とアウトリ
ガフレーム６との間には、アウトリガシリンダ９が縮小
しているアウトリガアーム８の非接地状態における無負
荷状態では、図１に示される如く、アウトリガフレーム
６の下部とアウトリガジョイント７との間に隙間があ
り、アウトリガシリンダ９を伸長してアウトリガアーム
８の先端を接地させ、さらにアウトリガシリンダ９を伸
長してクローラクレーン１を支持することにより負荷の
掛かった状態では、図２に示される如く、アウトリガジ
ョイント７が上方へ移動してアウトリガフレーム６の下
部に当接し、アウトリガフレーム６の上部とアウトリガ
ジョイント７との間に隙間ができる。

【００１５】アウトリガジョイント７の下部の最大張出
位置のピン孔７ａと中間張出位置のピン孔７ｂの近傍に
は、近接スイッチからなるセンサ１１を備えたセンサブ
ラケット１２がそれぞれ回動可能に設けられている。こ
れらのセンサブラケット１２は、アウトリガアーム８の
接地によるアウトリガジョイント７の上動により、アウ
トリガジョイント７がアウトリガフレーム６の下部に当
接すると、センサブラケット１２のアーム１２ａがアウ
トリガフレーム６に押されて回動し、センサ１１を最大
張出位置のピン孔７ａ又は中間張出位置のピン孔７ｂに
挿通されたロックピン１０に接近させる。

【００１６】これにより、センサ１１がロックピン１０
を検知するので、ロックピン１０が最大張出位置のピン
孔７ａに挿通されていれば、最大張出位置のピン孔７ａ
近傍に設けられたセンサ１１が作動し、また、ロックピ
ン１０が中間張出位置のピン孔７ｂに挿通されていれ
ば、中間張出位置のピン孔７ｂ近傍に設けられたセンサ
１１が作動し、格納位置のピン孔にロックピン１０が挿
通されていれば、格納位置のピン孔近傍に設けられたセ
ンサブラケット１２のセンサ１１が作動する。

【００１７】したがって、センサ１１は、アウトリガ５
が接地してアウトリガジョイント７がアウトリガフレー
ム６の下部に当接すると、最大張出位置のピン孔７ａ又
は中間張出位置のピン孔７ｂのいずれかに挿通されたロ
ックピン１０に接近してこれを検知するので、各張出位
置におけるアウトリガ５とロックピン１０の差込状態及
びアウトリガ５の接地状態の双方を一度に検出して、ア
ウトリガ５の状態を正確に把握できる。

【００１８】センサ１１からの検知信号を図示していな
いモーメントリミッタに電気的に入力させれば、モーメ
ントリミッタはアウトリガ５の状態を正確に把握し、こ
れに基づいた定格総荷重のデータにより警報信号、停止
信号等を出力する。

【００１９】４本のアウトリガ５のいずれかが接地して
いなければ、そのアウトリガ５のセンサ１１が作動しな
いので、モーメントリミッタは警報信号、停止信号等を
出力する。

【００２０】４本のアウトリガ５全部が最大張出位置で
ある場合に限りモーメントリミッタは最大張出位置の定
格総荷重のデータにより警報信号、停止信号等を出力す
る。そして、４本のアウトリガ５のいずれか１つでも中
間張出位置で他が最大張出位置である場合には、モーメ
ントリミッタは安全上から中間張出位置の定格総荷重の
データにより警報信号、停止信号等を出力し、その他の
場合、即ち、４本のアウトリガ５のいずれか１つでも格
納位置にある場合や、アウトリガの位置に関係なく、い
ずれかのアウトリガが接地していない場合には、やはり
モーメントリミッタは安全上から最も低い格納位置の定
格総荷重のデータに基づいて警報信号、停止信号等を出
力する。

【００２１】したがって、モーメントリミッタへの入力
ミスが解消され、安全に作業を行うことができ、しか
も、センサ１１の取付構造も簡略で正確に作動する。

【００２２】

【考案の効果】 以上説明したように本考案は、建設機械
本体に固設したアウトリガフレームに水平回動及び上下
動可能に設けたアウトリガと、水平回動により張出した
アウトリガを、該アウトリガのピン孔及び前記アウトリ
ガフレームのピン孔に挿通させることにより張出位置に
固定するロックピンと、アウトリガを上下動させるアウ
トリガシリンダとを備え、接地によるアウトリガの上動
により該アウトリガをアウトリガフレームの下部に当接
させて機械本体を支持する建設機械のアウトリガ装置に
おいて、前記アウトリガに、アウトリガのアウトリガフ
レーム下部への当接の際にアウトリガフレームに押され
て回動するセンサブラケットを設けるとともに、該セン
サブラケットの回動により前記ロックピンを検知するセ
ンサを該センサブラケットに設けたことにより、張出位
置に設けた１個のセンサがアウトリガの張出位置におけ
るロックピンの完全な差込によるアウトリガの固定状態
及び接地状態の双方を一度に検出して、アウトリガの状
態を正確に把握できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 アウトリガが接地していない場合のアウトリ
ガジョイントとアウトリガフレームの状態を示す拡大図
である。

【図２】 アウトリガが接地している場合のアウトリガ
ジョイントとアウトリガフレームの状態を示す拡大図で
ある。

【図３】 アウトリガの各固定位置を示す概略図であ
る。

【図４】 アウトリガの固定状態を示す拡大図である。

【図５】 クローラクレーンの斜視図である。

【符号の説明】

１…クローラクレーン、２…クローラ式下部走行体、３
…上部旋回体、４…ブーム、５…アウトリガ、６…アウ
トリガフレーム、７…アウトリガジョイント、８…アウ
トリガアーム、９…アウトリガシリンダ、１０…ロック
ピン、１１…センサ、１２…センサブラケット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機械本体に固設したアウトリガフレーム
   に水平回動及び上下動可能に設けたアウトリガと、水平
   回動により張出したアウトリガを、該アウトリガのピン
   孔及び前記アウトリガフレームのピン孔に挿通させるこ
   とにより張出位置に固定するロックピンと、アウトリガ
   を上下動させるアウトリガシリンダとを備え、接地によ
   るアウトリガの上動により該アウトリガをアウトリガフ
   レームの下部に当接させて機械本体を支持する建設機械
   のアウトリガ装置において、前記アウトリガに、前記ア
   ウトリガのアウトリガフレーム下部への当接の際にアウ
   トリガフレームに押されて回動するセンサブラケットを
   設けるとともに、該センサブラケットの回動により前記
   ロックピンを検知するセンサを該センサブラケットに設
   けたことを特徴とする建設機械のアウトリガ装置。