JP2596224Y2 - 太陽熱利用型穀物乾燥機における排塵装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、静置状態のもとに乾燥
筐内に収容した穀物を撹拌混合作用と太陽熱の吸熱作用
とにより均一に乾燥させるために、搬送されてきた穀物
を流調タンクに供給する時および流調タンクより搬送台
車へ供給する時に、周囲に舞い上がる塵埃を吸引排塵せ
しめて衛生的な環境条件のもとで穀物を供給するととも
に、太陽熱を吸収する乾燥作業場内における塵埃の浮遊
をなくして太陽熱による能率的な乾燥ができる太陽熱利
用型穀物乾燥機における排塵装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上面を開放した横長の乾燥筐内
に、水平通風盤を敷設し、該水平通風盤を境として上部
に乾燥室を、下部に吸引室を区画形成し、前記乾燥筐上
には長手方向に沿い往復走行ができる搬送台車と撹拌混
合移送機を搭載せしめるとともに、乾燥筐の投入側には
搬送台車へ穀物を供給する流調タンクを配設して静置状
態のもとに乾燥筐内に収容した穀物を撹拌混合作用と太
陽熱の吸熱作用とにより乾燥することができる撹拌通風
乾燥機は、本出願前特開平４−９３５８６号公報に記載
されて公知である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、従前のこの
種撹拌通風乾燥機においては、乾燥筐の投入側には排塵
装置が何等設けられていなかったので、穀物を流調タン
クに投入する時や流調タンクから搬送台車へ投入する際
に、穀物中に多く混入している塵埃が周囲に舞い上がっ
て作業衛生環境を悪化させ作業能率を低下させる許りで
なく、舞い上がった塵埃が太陽熱透過吸収室の壁面に付
着して太陽熱透過吸熱効率を低下させ、乾燥作業能率を
減退させるという問題点を有していた。

【０００４】本考案は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とする
ところは、搬送されてきた穀物を流調タンクに投入する
時および流調タンクより搬送台車へ投入する時に、それ
ぞれ穀物の分散状流下にともなって周囲に舞い上がる多
くの塵埃を上下の吸引排塵室を介して効果的に外部へ強
制的に吸引排塵せしめ、もって、衛生的な環境条件のも
とで穀物投入作業を容易に達成させることができる許り
か、太陽熱の吸熱効果を増大せしめて、より効率のよい
乾燥作業を行うことができるようにする太陽熱利用型穀
物乾燥機における排塵装置を提供しようとするものであ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案に係る太陽熱利用型穀物乾燥機における排塵
装置は、上面を開放した横長の乾燥筐内に、水平通風盤
を境として上部に乾燥室を、下部に吸引室を区画形成
し、前記乾燥筐上には長手方向に従い往復走行ができる
搬送台車と撹拌混合移送機を搭載せしめるとともに、乾
燥筐の投入側には搬送台車へ穀物を供給する流調タンク
を配設した太陽熱利用型穀物乾燥機において、前記乾燥
筐の投入側には前記流調タンクに穀物を分散状に流下供
給する搬入コンベア装置を設けており、前記流調タンク
の上部対向位置には該流調タンクの上部空間に飛散する
塵埃を、かつ流調タンクの下部対向位置には流調タンク
から の穀物流下にともなって搬送台車の上部空間に舞い
上がる塵埃をそれぞれ吸引する上下の吸引排塵室を設
け、これら上下の吸引排塵室には吸引排塵機を接続して
なるものである。

【０００６】

【作用】乾燥筐の投入側に、シャッタが開となった流調
タンク、その下部にシャッタが閉となった搬送台車を設
置した後、搬送されてきた穀物を次々と流調タンク内に
投入すれば、該穀物は流調タンクを経て下段の搬送台車
内に供給される。

【０００７】そして、上述のような穀物を流調タンクを
経て搬送台車に順次供給せしめる作業と同時に吸引排風
機を運転せしめて流調タンク内の上部対向位置および流
調タンクの下部対向位置にそれぞれ配設した上下吸引排
塵室内を負圧状態ならしめる。

【０００８】さすれば、搬入コンベアから穀物が分散状
に流調タンク内に流下する際、および流調タンクより下
段の搬送台車に分散状に流下する際に周囲に舞い上がる
多くの塵埃は対向する位置にそれぞれ配設された上下の
吸排塵室内に効率よく強制的に吸引された後、外部に集
中排塵されるので、流調タンクへの穀物投入作業および
搬送台車への穀物投入作業を塵埃が周囲に舞い上がらな
い衛生環境条件のもとで営ませることができる許りか、
塵埃が太陽熱透過吸収壁に付着しないので、太陽熱の透
過率を高め乾燥作業場内の空気温度を効率よく高めるこ
とができる。

【０００９】そして、搬送台車に穀物が満杯に投入され
たら、流調タンクのシャッタを閉とした後、搬送台車を
横長状の乾燥筐に沿って排出側へ向け前進せしめると同
時に搬送台車のシャッタを開けば、収容されていた穀物
は次々と乾燥室内に投入される。

【００１０】したがって、前述の如き作動を反復するこ
とにより、所定量の穀物が乾燥室内に投入されたら、撹
拌混合移送杆を乾燥筐の長手方向に沿い往復走行せしめ
て穀物を均平ならしめると同時に、撹拌混合しながら移
送せしめる間に乾燥室を通って吸引室に向け吸引流通さ
れる太陽熱で得られた加温空気で所定水分までゆっくり
と乾燥し、最後に排出部より排出せしめる乾燥作業を営
ませる。

【００１１】

【実施例】実施例について図面を参照して説明する。図
１ないし図３において、１は、上面を開放した横長状
（本実施例では２５ｍ〜３０ｍ）を呈する乾燥筐であっ
て、該乾燥筐１内の適当高さ位置には多数の通風孔３を
穿孔した水平通風盤２が敷設され、これが水平通風盤２
を境として、上部に乾燥室４を、また、下部に仕切壁６
で仕切られた複数の吸引室５を区画形成せしめる。そし
て、複数の吸引室５の一側には排風機７の吸気側を開口
接続せしめてある。前記乾燥筐１上の左右両側には、横
長方向に沿って一対のレール８，８が敷設されており、
該一対のレール８，８上には乾燥室４内に収容した穀物
を撹拌しながら排出部９に向け順次移送することができ
る撹拌混合移送機１０が往復移動走行できるように搭載
されている。前記撹拌混合移送機１０は、一対のレール
８，８に沿い往復自走ができる走行機体１１と、該走行
機体１１に正逆回転ができるように軸架された回転軸１
２へ放射状に植着された複数本の撹拌混合杆１３とによ
り構成されている。前述した横長状の乾燥筐１は、周囲
を太陽熱透過吸収壁１５（例えばファイロン板）で囲ん
で形成した乾燥作業場１４内に設置されるとともに、排
風機７の吐出側は乾燥作業場１４外に臨ませてある。１
６は、乾燥筐１の投入側に該乾燥筐１を跨ぐように設置
された取付枠体であって、該取付枠体１６内には、下部
に開閉自在のシャッタ１８′を備え、上面を開放した漏
斗状の流調タンク１７が配設されており、前記流調タン
ク１７の上部対向位置には二面に多数の吸塵孔２０・・
・・を穿孔した壁板１９，１９で囲って形成した上部の
吸引排塵室１８を、また、流調タンク１７の下部対向位
置には、下面に多数の吸塵孔２３・・・・を穿孔した壁
板２２で形成された下部の吸引排塵室２１を配設すると
ともに、前記上下の吸引排塵室１８，２１の一側は吸塵
ダクト２４，２５を介し吐出側が乾燥作業場１４外に臨
ませた吸引排塵機２６の吸気側に接続されている。２７
は、流調タンク１７の下部に設置し、上面を開放した自
走式の搬送台車であって、該搬送台車２７は一対のレー
ル８，８上に搭載されて、乾燥筐１上を長手方向に沿い
往復走行できるように構成されており、前記搬送台車２
７の落下口位置には落下口を開閉するためのシャッタ２
８が設けられている。なお、シャッタ１８′，２８は、
カータ式ゲートであってもよい。２９は、流調タンク１
７上を、その長手方向に沿って往復移動しながら流調タ
ンク１７内へ穀物を均一に投入するための自走式の搬入
コンベア装置である。３０は、自走式の搬入コンベア装
置２９に穀物を供給するための固定式の搬入コンベア装
置である。

【００１２】

【考案の効果】本考案によれば、搬送されてきた穀物を
流調タンクに投入する時および流調タンクより搬送台車
へ投入する時に、それぞれ穀物の分散状流下にともなっ
て周囲に舞い上がる多くの塵埃を上下の吸引排塵室を介
して効果的に外部へ強制的に吸引排塵せしめ、もって、
衛生的な環境条件のもとで穀物投入作業を容易に達成さ
せることができる許りか、太陽熱の吸熱効果を増大せし
めて、より効率のよい乾燥作業を行うことができるよう
にする太陽熱利用型穀物乾燥機における排塵装置を提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】太陽熱利用型穀物乾燥機における排塵装置の一
部切欠した縦断正面図である。

【図２】図１の自走式搬入コンベア装置および固定式搬
入コンベア装置を取外した場合の一部を切欠し、かつ要
部を破断した拡大側面図である。

【図３】一部を切欠し、要部を縦断した拡大正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 乾燥筐 ２ 水平通風盤３ 通風孔 ４ 乾燥室 ５ 吸引室６ 仕切壁 ７ 排風機 ８ レール ９ 排出部 １０ 撹拌混合移送機１１ 走行機体 １２ 回転軸 １３ 撹拌混合杆 １４ 乾燥作業場 １５ 太陽熱透過吸収壁 １６ 取付枠体 １７ 流調タンク １８ 上部の吸引排塵室１８′ シャッタ １９ 壁板 ２０ 吸塵孔 ２１ 下部の吸引排塵室２２ 壁板 ２３ 吸塵孔 ２４，２５ 吸塵ダクト ２６ 吸引排塵機 ２７ 搬送台車２８ シャッタ ２９ 自走式の搬入コンベア装置 ３０ 固定式の搬入コンベア装置

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上面を開放した横長の乾燥筐内に、水平
   通風盤を境として上部に乾燥室を、下部に吸引室を区画
   形成し、前記乾燥筐上には長手方向に従い往復走行がで
   きる搬送台車と撹拌混合移送機を搭載せしめるととも
   に、乾燥筐の投入側には搬送台車へ穀物を供給する流調
   タンクを配設した太陽熱利用型穀物乾燥機において、前
   記乾燥筐の投入側には前記流調タンクに穀物を分散状に
   流下供給する搬入コンベア装置を設けており、前記流調
   タンクの上部対向位置には該流調タンクの上部空間に飛
   散する塵埃を、かつ流調タンクの下部対向位置には流調
   タンクからの穀物流下にともなって搬送台車の上部空間
   に舞い上がる塵埃をそれぞれ吸引する上下の吸引排塵室
   を設け、これら上下の吸引排塵室には吸引排塵機を接続
   してなることを特徴とする太陽熱利用型穀物乾燥機にお
   ける排塵装置。