JP2594493Y2 - 針座の形状 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、針座の形状に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来より時計には、指針のフラツキをな
くす為に、筒車と受部材との間に、指針の上下の動きを
抑制する為の針座が使用されている。

【０００３】以下に、番車の一つである筒車の上下の動
きを抑制する為の針座の形状、働き等を図面を用いて説
明する。図６は従来の針座の形状を示すもので、（ａ）
は上面図、（ｂ）は側面図であり、図７は従来の針座を
用いた腕時計の輪列部組立断面図を示すものである。

【０００４】図７において、筒車１の歯車部１ａは地板
２の筒車収納部２ａの底面と筒車押エ３の筒車受け部３
ａとの断面的隙間に介在している。これにより筒車１の
上下方向の動きを規制している。しかし、地板２と筒車
押エ３との隙間距離に対して筒車１の歯車部１ａの厚さ
が若干薄い為に微少隙間４が出来、わずかながら上下方
向に遊びを生ずる。そのために、図６に示すような、中
心穴５ａを持ち筒車１の円筒部１ｂに中心穴５ａを通す
ことによって位置決めを行う針座５を微少隙間４に載置
することにより筒車１の上下の動きを抑制出来る。

【０００５】ところで近年、どの企業でもコストダウン
が叫ばれており、その一例として製造ラインの自動化が
実施されている。そして、このような製造ラインの自動
化に伴い、パーツフィーダー（以下Ｐ．Ｆ．と略称す
る）が使用され、Ｐ．Ｆ．で各ステーションへ送られて
自動組み込みが行われるようになってきた。

【０００６】しかしながら従来の針座５は、時計組立時
の針座５の自動供給を念頭においておらず、このため
Ｐ．Ｆ．で針座５を供給する際に、数枚が重なったまま
供給され、組み込まれることがあった。針座５の数枚が
重なったまま組み込まれると、筒車１の上下方向の動き
を抑制する力が不要に大きくなり、止まりの原因とな
る。

【０００７】上記問題点を解決する方法の一事例とし
て、実開昭５７−２４５７号公報に示されるような針座
一体型の筒車形状が考えられる。図８は図７に示す従来
の針座５のもつ欠点を無くす為に考案された一事例であ
る針座一体型筒車６の形状を示すもので、従来技術の一
つである。図８に示すとうり、前記筒車６の歯車部６ａ
にバネ性を有する腕部６ｂを持ち、この腕部６ｂが針座
５のかわりに筒車押エ３と当接することにより、筒車６
の上下方向の動きを抑制している。

【０００８】

【考案がを解決しようとする課題】しかしながら、上記
実開昭５７−２４５７号公報に示す構造を用いた形状の
筒車６はプラスチックによる成形が基本で、成形が難し
いうえに、腕部６ｂ形状を成形出来るだけの歯車径が必
要となり、小形状の筒車には使用できない。又、腕部６
ｂ形状が短い為、バネとなるべき弾性部が充分に取れ
ず、変形を起こす危険性があり、筒車６の上下方向の動
きを抑制する力が得られないことも考えられる。

【０００９】本考案の目的は、上記課題を解決しようと
するもので、Ｐ．Ｆ．でのカラミを防止し、合わせて組
立時のコストダウンを計る針座の形状を提供することで
ある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為の
本考案の構成は、地板と、地板に載置された番車と、番
車を押える番車押エを有していて、番車と番車押エとの
間に針座を有する時計であって、針座は、番車を貫通さ
せる中心穴と、番車に当接する番車当接部と、その周囲
に番車当接部に対して立ち曲げられた番車押エ当接部
と、番車当接部と番車押エ当接部の間に溝を形成して番
車押エ当接部にバネ性を与える弾性部と、弾性部と番車
当接部を結ぶ為のつなぎ部と、番車押エ当接部と隣接し
番車押エ当接部と反対方向に立ち曲げられたカラミ防止
ツメ部とより形成されることを特徴としている。

【００１１】

【作用】すなわち本考案における針座の形状は、Ｐ．
Ｆ．供給中のカラミを防止する形状となっている。更
に、カラミを防止できる為、組立てにおける歩留りを上
げ時計のコストダウンへ寄与する。

【００１２】

【実施例】以下図面により本考案の実施例を詳細する。
図１は本考案の一実施例における針座の形状を示すもの
である。図２は本考案の一実施例における断面的時計構
造を示すものである。図３は本考案の一実施例における
針座付近の断面的構造を示す要部拡大図である。

【００１３】まず、図２により時計の全体配置について
説明する。本考案の実施例を示す時計モジュールは、指
針表示する為の駆動部にあたるアナログブロック７と、
デジタル表示する為の液晶表示装置などを含むデジタル
ブロック８とを有するコンビネーションウォッチであ
る。前記時計モジュールの全体配置構造としては、時計
の略中央部分に配設されるアナログブロック７と、該ア
ナログブロック７を平面的に包含するように配設したエ
ンジニアリングプラスチック材（以後、エンプラと略
す）製の回路支持台９をハウジングとしたデジタルブロ
ック８とに分けられる。

【００１４】前記デジタルブロック８は、回路支持台９
に対し断面的に見て文字板１０側に液晶セル１１が配設
され、液晶セル１１を保持する機能を有するエンプラ製
の液晶セル支持枠１２が、回路支持台９を断面的に包含
するように配設されている。

【００１５】前記アナログブロック７は、すでに周知の
指針表示３針時計の基本構造と同じように電気機械変換
器であるステップモーター１３と、前記ステップモータ
ー１３を構成するローター１４より指針に回転駆動力を
伝達する指針表示輪列１５と、指針修正を行う為の外部
操作切り換え機構１６を有している。

【００１６】次に、図２、図３により指針表示輪列１５
とその周辺の構造について説明する。アナログブロック
７を構成する基台である地板１７は、指針表示輪列１５
である中心車１８の軸受１７ａ及びコイル１９の逃げ穴
１７ｂなどを有する。輪列受２０は指針表示輪列１５で
ある四番車２１の軸受２０ａなどを有する。中受２２は
指針表示輪列１５である中心車１８などの軸受２２ａを
有し、且つ、外部操作切り換え機構１６を構成する部品
である巻真２３などを支持する為の凹凸部を形成して成
る。前記地板１７と輪列受２０は、金属製薄板の平板状
部材により形成されているが、中受２２は複雑形状の成
形が比較的容易でコスト的に安価なエンプラ材から成
る。

【００１７】又、地板１７に対し断面的に見て文字板１
０側に液晶セル支持枠１２が配設される。地板１７と液
晶セル支持枠１２の間には隙間２４が存在し、その隙間
２４に筒車２５が載置される。液晶セル支持枠１２は液
晶セル１１を保持する機能を有するだけでなく、従来筒
車押エが行ってきた筒車２５の上下の動きを規制する機
能も合わせ持っている。

【００１８】しかし、筒車２５の液晶セル支持枠当て部
２５ａと液晶セル支持枠１２の筒車受け部１２ａとの間
には若干の隙間（微小隙間）２６を設けている為に、わ
ずかながら上下方向に遊びを生じる。そのために、針座
２７を微小隙間２６に載置することにより、筒車２５の
上下の動きを抑制している。

【００１９】次に、図１により、本考案の特徴となる針
座２７の形状について説明する。図に示す如く針座２７
は、筒車２５を貫通させる中心穴２７ａと、筒車２５に
当接する筒車当接部２７ｂと、その周囲に筒車当接部２
７ｂに対して略直角に立ち曲げられた筒車押エ当接部２
７ｃと、筒車当接部２７ｂと筒車押エ当接部２７ｃの間
に溝２７ｄを形成して筒車押エ当接部２７ｃにバネ性を
与える弾性部２７ｅと、弾性部２７ｅと筒車当接部２７
ｂを結ぶ為に筒車押エ当接部２７ｃに対して略直角方向
に形成されたつなぎ部２７ｆとより形成されている。
又、筒車押エ当接部２７ｃに隣接し、筒車押エ当接部２
７ｃの立ち上げ方向に対し断面的に見て略反対方向に立
ち曲げられたカラミ防止ツメ部２７ｇを有する。このこ
とにより、後述するＰ．Ｆ．内において起こる部品同士
のカラミを防止することが出来る。

【００２０】次に、前記針座２７の載置方法を図３を使
用して説明する。針座２７は、筒車押エ当接部２７ｃ先
端を液晶セル支持枠１２側に向け、カラミ防止ツメ部２
７ｇ先端を地板１７側に向け、位置決めを行う中心穴２
７ａを筒車２５の円筒部２５ｂに通すことにより載置す
る。その時、筒車当接部２７ｂが筒車２５に押され、且
つ、筒車押エ当接部２７ｃが筒車押エの機能を果たして
いる液晶セル支持枠１２の筒車受け部１２ａに押される
ことにより、バネ性を持つ細長形状の弾性部２７ｅがた
わむ。このことにより筒車２５が地板１７側に押しつけ
られ、筒車２５の上下の動きを抑制している。

【００２１】次に、図４により前記針座２７がＰ．Ｆ．
内を流れる様子のうち、シュート部２８における針座２
７の並び方を模式図を使って表す。図のように、針座２
７の筒車押エ当接部２７ｃの一方を押し面２７ｈとし、
中心穴２７ａに対し略反対方向に存在するもう一方の筒
車押エ当接部２７ｃを受け面２７ｉとし、且つ、シュー
ト部２８において針座２７を引っ掛ける為の溝であるガ
イド部２９を設けることにより、前記シュート部２８内
において、針座２７を円滑に送ることが出来る。

【００２２】図５により、前記針座２７がＰ．Ｆ．内の
うち、シュート部２８を流れる上で引き起こすカラミの
一例を模式図を使って表す。図のように、針座３０の筒
車押エ当接部の一方が正常に流れている針座３１の溝に
入り込むことにより、針座同士が重なり合ってカラミを
生じている。しかし、針座３０が、正常に流れている針
座３１のカラミ防止ツメ部２７ｇにより持ち上げられ、
隙間を生じているので本考案の形状を有する針座の場
合、ガイド部２９の下方向から圧搾空気を吹き付けてや
るとにより、針座３０が吹き飛ばされ正常に流れている
針座３１だけがシュート部２８に残りカラミを解消する
ことが出来る。

【００２３】以上の技術は、筒車以外の番車である、中
心車や四番車等についても使用出来るものである。

【００２４】

【考案の効果】上記のごとく本考案によれば、筒車の上
下の動きを抑制している針座において、カラミ防止ツメ
部を設けたことにより、Ｐ．Ｆ．内のうちシュート部を
流れる上で針座同士が重なり合った場合に、ガイド部の
下方向から圧搾空気を吹き付けてやることで、正常に流
れている針座の上に乗ってカラミを生じている針座を吹
き飛ばし、正常に流れている針座だけをシュート部に残
すことが出来る。

【００２５】上記手段を構ずることで、カラミを補正す
る為の人員を無くし人件費の削減を行うことが出来、自
動化も容易で、しいては製品のコストダウンにつなげる
ことが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例における針座の形状を示す図
で有る。

【図２】本考案の一実施例における時計構造を示す組立
断面図（全体構造）で有る。

【図３】本考案の一実施例における針座付近の断面的構
造を示す要部拡大図で有る。

【図４】本考案の一実施例における針座のＰ．Ｆ．での
流れを示す模式図で有る。

【図５】本考案の一実施例における針座のＰ．Ｆ．で起
こるカラミの一例を示す模式図である。

【図６】従来の針座の形状を示す図で有る。

【図７】従来の時計構造を示す組立断面図で有る。

【図８】従来技術である針座の機能を合わせ持つ筒車の
形状を示す図で有る。

【符号の説明】

１ 筒車 ２ 地板 ３ 筒車押エ ４ 微小隙間 ５ 針座 ６ 筒車 ６ｂ 腕部 １２ 液晶セル支持枠 １２ａ 筒車受け部 １７ 地板 ２４ 隙間 ２５ 筒車 ２５ａ 液晶セル支持枠当て部 ２５ｂ 円筒部 ２６ 微小隙間 ２７ 針座 ２７ａ 中心穴 ２７ｂ 筒車当接部 ２７ｃ 筒車押エ当接部 ２７ｄ 溝 ２７ｅ 弾性部 ２７ｆ つなぎ部 ２７ｇ カラミ防止ツメ部 ２７ｈ 押し面 ２７ｉ 受け面 ２８ シュート部 ２９ ガイド部

フロントページの続き (56)参考文献 実開 平４−136591（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−53581（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−24684（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−112181（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭49−14622（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G04B 1/00 - 49/04

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 地板と、地板に載置された番車と、番車
   を押える番車押エを有していて、番車と番車押エとの間
   に針座を有する時計において、針座は、番車を貫通させ
   る中心穴と、番車に当接する番車当接部と、その周囲に
   番車当接部に対して立ち曲げられた番車押エ当接部と、
   番車当接部と番車押エ当接部の間に溝を形成して番車押
   エ当接部にバネ性を与える弾性部と、弾性部と番車当接
   部を結ぶ為のつなぎ部と、番車押エ当接部と隣接し番車
   押エ当接部と反対方向に立ち曲げられたカラミ防止ツメ
   部とより形成されることを特徴とする針座の形状。