JP2594389B2 - 窒化アルミニウム組成物 - Google Patents

窒化アルミニウム組成物

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JP2594389B2 JP3143334A JP14333491A JP2594389B2 JP 2594389 B2 JP2594389 B2 JP 2594389B2 JP 3143334 A JP3143334 A JP 3143334A JP 14333491 A JP14333491 A JP 14333491A JP 2594389 B2 JP2594389 B2 JP 2594389B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化アルミニウム粉末
成形体の連続成形に好適な窒化アルミニウム組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウム焼結体は、熱伝導率が
高く、エレクトロニクス材料として脚光を浴びている。
窒化アルミニウム焼結体を得る方法として、窒化アルミ
ニウム粉末を乾式プレスにより成形して焼成する方法や
窒化アルミニウム粉末を湿式成形してグリーンシートを
得、これを焼成する方法等がある。前者においては窒化
アルミニウム粉末をそのまま成形型の中に詰めてプレス
成形機で加圧する方法が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、乾式プ
レスによる成形において、プレス成形を繰返し行うと窒
化アルミニウム粉末がプレス機のラムのプレス面に付着
するという現象が発生し、窒化アルミニウム粉末が付着
したままのラムを成形に使用すると表面が凹凸の成形不
良の窒化アルミニウム粉末成形体が得られる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、表面が平
滑で良好な窒化アルミニウム粉末成形体を得るために、
プレス機のラムに付着しにくい窒化アルミニウム粉末を
得ることを目的として鋭意研究を続けてきた。その結
果、窒化アルミニウム粉末に特定の化合物を配合するこ
とにより、得られる窒化アルミニウム焼結体の物性には
全く悪影響を与えることなく上記の目的が達成されるこ
とを見いだし、本発明を提案するに至った。
【0005】即ち、本発明は、窒化アルミニウム粉末1
00重量部、臨界表面張力が5〜25dyne/cmである化
合物0.005〜5重量部を含んでなることを特徴とす
る窒化アルミニウム組成物である。
【0006】本発明の窒化アルミニウム組成物の一成分
である窒化アルミニウム粉末は公知のものが何ら制限な
く使用しうる。一般に熱伝導性に優れた窒化アルミニウ
ム焼結体を得るためには、酸素含有量や陽イオン不純物
の少ないことが好ましい。即ち、AlNを窒化アルミニ
ウム組成とするとき、不純物となる酸素含有量が1.5
重量%以下、陽イオン不純物が0.3重量%以下である
窒化アルミニウム粉末が好適である。さらに、酸素含有
量が0.4〜1.3重量%、陽イオン不純物が0.2重
量%以下である窒化アルミニウム粉末がより好適であ
る。尚、本発明における窒化アルミニウムはアルミニウ
ムと窒素の1:1の化合物であり、これ以外のものをす
べて不純物として扱う。ただし、窒化アルミニウム粉末
の表面は空気中で不可避的に酸化され、Al−N結合が
Al−O結合に置き変っているが、この結合Alは陽イ
オン不純物とはみなさない。従って、Al−N、Al−
Oの結合をしていない金属アルミニウムは陽イオン不純
物である。
【0007】また、本発明で用いられる窒化アルミニウ
ム粉末の粒子は、粒子径の小さいものが揃っているもの
が好ましい。例えば、平均粒子径(遠心式粒度分布測定
装置、例えば、堀場製作所製のCAPA500などで測定した
凝集粒子の平均粒径を言う。)が5μm以下、さらには
3μm以下であることが好ましい。
【0008】次に、本発明の窒化アルミニウム組成物の
他の成分は、臨界表面張力が5〜25dyne/cmである公
知の化合物が何ら制限なく採用される。このような化合
物を具体的に示せば次のとおりである。例えば、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラ
フルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合
体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、メチ
ルメタクリレートとフルオロアルキルメタクリレートと
の櫛型共重合体等の含フッ素重合体;ポリジメチルシロ
キサン、ポリジエチルシロキサン、ポリハイドロジェン
メチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等のポリ
シロキサンおよびこれとメチルメタクリレートとのグラ
フト共重合体等の含ケイ素重合体;ポリ 1,2-ブタジエ
ン、ポリ 2-メチルプロパン、ポリビニルメチルエーテ
ル、ポリ 4,t-ブチルスチレン等の炭化水素系重合体等
を挙げることができる。なかでも含フッ素重合体及び含
ケイ素重合体が本発明において好適に使用でき、特に、
側鎖を多数有する櫛型重合体であってフッ素原子又はケ
イ素原子を側鎖に有する重合体が、窒化アルミニウム粉
末のラムへの付着を効果的に防止し、しかも少量の配合
で上記の効果が得られ、窒化アルミニウム組成物を焼結
して得た焼結体の物性を損なうことがないために、本発
明において好適に用いることができる。
【0009】臨界表面張力が5〜25dyne/cmである化
合物の窒化アルミニウム粉末への配合量は、窒化アルミ
ニウム粉末100重量部に対して0.005〜0.5
量部でなければならず、0.01〜0.2重量部の範囲
であることが好ましい。臨界表面張力が5〜25dyne/c
mである化合物の配合量が上記範囲よりも少ない場合に
は、プレス機のラムへの窒化アルミニウム粉末の付着を
防止することができず、上記範囲よりも多い場合には、
窒化アルミニウム組成物から得られる窒化アルミニウム
焼結体の物性が低下するために好ましくない。
【0010】本発明の窒化アルミニウム組成物はそのま
まで乾式プレスにより成形可能であり、成形された窒化
アルミニウム粉末成形体は焼成に供し得る。しかし、高
密度のプレス成形体を製造する場合は、本発明の窒化ア
ルミニウム組成物に界面活性剤、結合剤及び有機溶剤を
加えてスプレードライ法等の公知の造粒法により顆粒に
成形することが好ましい。
【0011】ここで、界面活性剤は、公知のものが何ら
制限なく採用できるが、特に、親水性親油性バランス
(以下、HLBと略す。)が4.5〜18のもの、さら
に好ましくは6.0〜10.0のものが窒化アルミニウ
ム粉末成形体の成形密度が上がるために好適に採用され
る。尚、本発明におけるHLBは、デービスの式により
算出された値である。
【0012】本発明において好適に使用しうる界面活性
剤を具体的に例示すると、カルボキシル化トリオキシエ
チレントリデシルエーテル、ジグリセリンモノオレエー
ト、ジグリセリンモノステアレート、カルボキシル化ヘ
プタオキシエチレントリデシルエーテル、テトラグリセ
リンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノオレエー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレエート等が挙げら
れる。本発明における界面活性剤は、2種以上を混合し
て使用しても良く、そのときのHLBは、それぞれの界
面活性剤のHLBの相加平均で算出できる。
【0013】また、前記の結合剤は、一般にセラミック
粉末の成形に用いられるものが何ら制限されず使用でき
る。例えば、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタク
リレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ2−エチル
ヘキシルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、
ポリアクリレート、セルロースアセテートブチレート、
ニトロセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチ
ルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオ
キサイド及びポリプロピレンオキサイド等の含酸素有機
高分子体;石油レジン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン等の炭化水素系合成樹脂;ポリ塩化ビ
ニール;ワックス及びそのエマルジョン等の有機高分子
体が1種または2種以上混合して使用される。結合剤と
して使用する有機高分子体の分子量は特に制限されない
が、一般には3,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜30
0,000のものを用いると窒化アルミニウム粉末成形体の
密度が上昇するために好ましい。
【0014】さらに有機溶媒としては、例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等
のケトン類;エタノール、プロパノール及びブタノール
等のアルコール類;ベンゼン、トルエンおよびキシレン
等の芳香族炭化水素類;あるいはトリクロロエチレン、
テトラクロロエチレン及びブロムクロロメタン等のハロ
ゲン化炭化水素類の1種または2種以上が混合して使用
される。
【0015】これら界面活性剤、結合剤及び有機溶媒の
使用量は、良好な窒化アルミニウム粉末成形体を製造す
るためには、通常、窒化アルミニウム粉末100重量部
に対して、界面活性剤が0.01〜10重量部、好まし
くは0.02〜3.0重量部であり、結合剤が0.1〜
30重量部、好ましくは2.0〜15重量部であり、有
機溶媒が20〜200重量部の範囲から選択される。
【0016】さらに、上記組成に加えて、窒化アルミニ
ウム粉末の焼結に使用することが公知の焼結助剤、例え
ば、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ
土類金属酸化物;酸化イットリウム、酸化ランタン等の
希土類酸化物;アルミン酸カルシウム等の複合酸化物等
を窒化アルミニウム粉末との合計量中に占める割合で
0.1〜10重量%の範囲で用いても良い。
【0017】前記した各成分は混合されて泥漿とされ、
その後、スプレードライヤー法等の公知の造粒法により
造粒されて窒化アルミニウム顆粒が得られる。
【0018】造粒された窒化アルミニウム顆粒は、次い
で、50〜250℃、好ましくは80〜200℃の範囲
で30分〜36時間加熱することが、窒化アルミニウム
粉末のラムへの付着をより効果的に防止することがで
き、また、窒化アルミニウム顆粒の破壊強度を適当な値
に調整できることによって緻密なプレス成形体が得られ
るために好ましい。
【0019】窒化アルミニウム顆粒は、嵩比重が0.5
〜1.5g/cc、平均粒径が20〜500μm、破壊
強度が0.5〜5.0g、形状は短径と長径の比が0.
93以上の真球状であることが、空隙の少ない高密度の
窒化アルミニウム粉末成形体を得るために好ましい。
【0020】こうして得られた窒化アルミニウム粉末成
形体は、公知の方法によって焼成され、窒化アルミニウ
ム焼結体となる。
【0021】
【発明の効果】本発明の窒化アルミニウム組成物は、乾
式プレス成形による窒化アルミニウム粉末成形体の製造
原料として好適である。即ち、本発明の窒化アルミニウ
ム組成物を用いて乾式プレス成形により窒化アルミニウ
ム粉末成形体を製造した場合、プレス成形機のラムへの
窒化アルミニウム粉末の付着を防止することができるた
め、長期に連続して窒化アルミニウム粉末成形体を製造
することができる。その時に、本発明の窒化アルミニウ
ム組成物を造粒した顆粒を用いれば、空隙の少ない高密
度の窒化アルミニウム粉末成形体を得ることができる。
【0022】さらに、窒化アルミニウム焼結体の物性、
例えば、熱伝導性や曲げ強度は、該窒化アルミニウム焼
結体中に含まれるわずかな量の不純物によって大きく低
下するが、本発明の窒化アルミニウム組成物の成分であ
る臨界表面張力が5〜25dyne/cmである化合物は、不
純物になると考えられるにもかかわらず、得られる窒化
アルミニウム焼結体の物性には全く悪影響を与えない。
【0023】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下に実施例および比較例を掲げるが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。
【0024】尚、以下の実施例及び比較例における各種
の物性の測定は次の方法により行った。
【0025】1)嵩密度 筒井理化学機械(株)製「A・B・D粉体特性測定器」
を用いて重装嵩密度を測定した。
【0026】2)破壊強度 平均粒径±5μm以内の窒化アルミニウム顆粒3個を一
辺5mmの正三角形の頂点に置き、上から静かに荷重をか
け、3個中1個以上破壊した時の荷重を顆粒の破壊強度
とした。測定は10回繰り返し、最低値と最高値を除い
た8点平均値を用いた。
【0027】3)プレス成形体密度 プレス成形体の寸法と重量とから生密度を求め、この値
からAlN粉末だけのプレス成形体密度を計算して求め
た。
【0028】 4)熱伝導率 理学電機レーザー法熱定数測定装置 PS−7sを使
用。
【0029】5)曲げ強度 JIS R−1601にしたがった。
【0030】実施例1 内容積2lのナイロン製ポットに鉄心入りナイロンボー
ルを入れ、次いで、表1に示す窒化アルミニウム粉末1
00重量部、および含フッ素重合体として臨界表面張力
が17dyne/cmであるヘキサフルオロプロピレンオリゴ
マー((株)ネオス製 商品名:ネオスFX−1)0.
05重量部、酸化イットリウム4.0重量部及び界面活
性剤としてヘキサグリセリンモノオレート2.0重量
部、結合剤としてメタクリル酸ブチル5.0重量部、ト
ルエン溶媒100重量部を投入して、十分にボールミル
混合した後、白色の泥漿を得た。
【0031】こうして得られた泥漿をスプレードライヤ
ー法により造粒し、その後に180℃で5時間加熱を行
い、窒化アルミニウム顆粒を作製した。得られた顆粒の
破壊強度は1.4g、嵩比重は1.21g/cm3、平
均粒径113μm、粒度分布は10μm未満および80
0μmを越える粒子がなく、真球度は0.95であっ
た。
【0032】この顆粒を用いて1.0t/cm2で1イ
ンチ角、厚さ1mmのプレス成形体を連続して作製し
た。窒化アルミニウム粉末がプレス機のラムのプレス面
に付着するまでの連続成形回数は1500回であった。
また、プレス成形体の密度は1.94g/cm3であっ
た。
【0033】上記で得られた窒化アルミニウム粉末成形
体を空気中で600℃、5時間焼成し、次いで、内面に
窒化ホウ素を塗布したカーボン製るつぼに入れ、窒素雰
囲気中1800℃で10時間焼成し、窒化アルミニウム
焼結体を得た。
【0034】窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率は18
5W/m・Kであり、曲げ強度は39kg/cm2であ
った。
【0035】
【表1】
【0036】比較例1 実施例1に於て、含フッ素重合体を添加しなかったこと
以外は実施例1と同様にして窒化アルミニウム顆粒を作
製し、さらにプレス成形体を得た。プレス成形は連続し
て26回まで可能であったが、それ以降は窒化アルミニ
ウム粉末がプレス機のラムのプレス面に付着し、表面状
態が凹凸の不良のプレス成形体しか得られなかった。
【0037】実施例2 含フッ素重合体を表2に示した化合物に変えたこと以外
は実施例1と同様にして表3に示す性状の窒化アルミニ
ウム顆粒を作製し、さらに、実施例1と同様にして表3
に示す密度のプレス成形体を得た。尚、いずれの顆粒も
10μm未満および800μmを越える粒子はなかっ
た。
【0038】窒化アルミニウム粉末がプレス機のラムの
プレス面に付着するまでの連続成形回数はいずれの化合
物を用いた場合も1000回以上であった。
【0039】さらに、得られた窒化アルミニウム粉末成
形体から、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結
体を得、その物性を表3に併記した。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム粉末100重量部、臨
    界表面張力が5〜25dyne/cmである化合物0.005
    〜0.5重量部を含んでなることを特徴とする窒化アル
    ミニウム組成物。
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DE3573916D1 (en) * 1984-12-24 1989-11-30 Ford Motor Co Method of making a net shape sintered ceramic product

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