JP2594367B2 - 動物細胞大量培養法およびそれに用いる培養用支持基質の製法 - Google Patents

動物細胞大量培養法およびそれに用いる培養用支持基質の製法

Info

Publication number
JP2594367B2
JP2594367B2 JP50420389A JP50420389A JP2594367B2 JP 2594367 B2 JP2594367 B2 JP 2594367B2 JP 50420389 A JP50420389 A JP 50420389A JP 50420389 A JP50420389 A JP 50420389A JP 2594367 B2 JP2594367 B2 JP 2594367B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solution
collagen
culture
cells
protective film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP50420389A
Other languages
English (en)
Inventor
淳平 榎並
直人 近藤
俊和 高野
銀男 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitta Gelatin Inc
Original Assignee
Nitta Gelatin Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitta Gelatin Inc filed Critical Nitta Gelatin Inc
Priority to JP50420389A priority Critical patent/JP2594367B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2594367B2 publication Critical patent/JP2594367B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 この発明は、動物細胞を大量に培養する方法、およ
び、これに用いる培養用支持基質を製造する方法に関す
る。
〔背景技術〕
動物細胞は、支持基質に接着することによりはじめて
増殖・生育できる接着依存性細胞と、支持基質を必要と
せず、浮遊状態でも増殖・生育できる接着非依存性細胞
とに分類される。接着依存性細胞(「付着依存性細胞」
ということもある)を大量に培養する方法は、接着非依
存性細胞を大量に培養する方法とは異なり、細胞が接着
するための何らかの支持基質を必要とし、その支持基質
の構造あるいは素材の違いによって様々な2次元的な培
養法および3次元的な培養法が提案されている(日本国
特表昭62−502936号公報(国際公開番号WO86/05811)、
ファーマシア・ファイン・ケミカルズ(Pharmacia Fine
Chemicals)社製商品名サイトデックス(Cytodex)、
日本国特開昭63−209581号公報)。
2次元的培養法は、動物細胞を支持基質の表面に付着
させ、その表面に沿って細胞を単層状に生育させていく
ものである。2次元的培養法としては、培養する動物細
胞の細胞密度を高めること、培養産物の産生を亢進させ
ること、培養産物の回収および精製を便利にすること、
などに主眼をおいたものが多数提案されている。
他方、発明者らの一部は、コラーゲンゲルを支持基質
として用いて接着依存性動物細胞を3次元的に培養させ
るという大量培養法を提案してある(日本国特開昭62−
175172号公報、日本国特開昭62−171680号公報、国際公
開番号WO87/04458、USSN110749、および、EP出願公開番
号0258441)。この培養法は、コラーゲンゲル内に動物
細胞を包埋して、このゲル内で細胞を3次元的に生育さ
せるものである。このコラーゲンゲルを用いた3次元的
培養法は、より生体内に近い生育環境を生体外に再現す
ることができるため、単層培養法や、コラーゲン以外の
3次元的支持基質を用いた培養法では培養できなかった
種類の細胞を培養することが可能であることが実証され
ている。したがって、コラーゲンゲルを用いた3次元的
培養法は、2次元的培養法や他の3次元的支持基質によ
る培養法に比べると、単に3次元であることによる細胞
接着表面積の増大という生産性の向上と細胞の固定化に
よる培養の簡便化だけにとどまらず、培養可能な細胞の
種類を増大させるという利点を有するのである。
発明者らは、これらの利点に着目して動物細胞をコラ
ーゲンゲルに包埋させて3次元的に培養するという大量
培養法の研究を進めていたところ、この培養法が下記
ないしの問題点のうち少なくとも1つを有することを
見出した。
コラーゲンゲルが柔らかいと、取り扱いにくく、傷み
やすい。
コラーゲンゲルが細胞の生育にともなって収縮し、細
胞の長期にわたる増殖を維持できない。
支持基質としてゲル強度の高いコラーゲンゲルを使用
すれば、上記およびの問題点を解消できる。しか
し、コラーゲンゲルのゲル強度が高いと、細胞の増殖速
度が減少すること、培養可能な動物細胞の種類が限定さ
れてしまうことなど新たな問題点が生じる。
これらの問題点は、単に取り扱い上の不都合だけでは
なく、細胞の生育そのものにも影響を与えるため、ぜひ
とも解決すべきものである。
そこで、この発明は、動物細胞を包埋させたコラーゲ
ンゲルの取り扱いが容易になり、細胞の生育に伴う同コ
ラーゲンゲルの収縮が防がれ、しかも、支持基質として
所望のゲル強度を持つコラーゲンゲルが使用できる動物
細胞大量培養法を提供することを第1の課題とする。さ
らに、この発明は、前記大量培養法に用いる支持基質を
容易に製造できる方法を提供することを第2の課題とす
る。
〔発明の開示〕
請求項1の発明にかかる動物細胞大量培養法は、上記
第1の課題を解決するために、動物細胞を包埋したコラ
ーゲンゲルを培養液中に浸して前記動物細胞を大量培養
する動物細胞大量培養法であって、前記動物細胞を包埋
したコラーゲンゲルは、前記動物細胞を懸濁したコラー
ゲン溶液を2重ノズルの内筒から吐出するとともに、ア
ルギン酸、アルギン酸塩およびアルギン酸誘導体塩の中
から選ばれる少なくとも1つを含む保護皮膜形成剤溶液
を前記2重ノズルの外筒から吐出し、前記コラーゲン溶
液を前記保護皮膜形成剤溶液で覆ってから、コラーゲン
溶液を覆う前記保護皮膜形成剤溶液をカルシウム塩を含
む硬化液で硬化させて保護皮膜を形成し、そののち前記
コラーゲン溶液をゲル化させることにより得られたもの
であることを特徴とする。すなわち、2重ノズルからの
吐出により、動物細胞を懸濁させたコラーゲン溶液と皮
膜形成剤溶液とが液状態で接触し、前記コラーゲン溶液
を皮膜形成剤溶液が覆い、この状態で硬化液中で皮膜形
成剤溶液が硬化し、保護皮膜を形成する。
コラーゲンは動物の体の至る所に存在する繊維性の蛋
白質であり、これをゲル化して細胞の支持基質とするこ
とにより、生体外において生体内の環境を再現できる点
で好ましい支持基質形成剤である。この発明に用いるコ
ラーゲンの種類は特に限定されず、種々のものを用いる
ことができる。
コラーゲンは溶液として用いる。コラーゲン溶液は、
生理的塩濃度およびpHを持つように調製されたコラーゲ
ン溶液であり、この中に細胞を懸濁させておく。このコ
ラーゲン溶液を用いてコラーゲンゲルを作製し、ゲル中
に細胞を包埋するには、同コラーゲン溶液をたとえば25
〜37℃に加温すれば、コラーゲン溶液がゲル化し、懸濁
された細胞はコラーゲンゲル中に包埋される。コラーゲ
ン溶液中には必要に応じて種々の成分(たとえば、血
清、細胞増殖因子、ホルモン等の生理活性物質)を添加
することができる。
動物細胞をコラーゲンゲルに包埋させるのは、接着依
存性増殖を行う細胞が3次元的に増殖できるようにそれ
らの細胞を支持し、生体内での環境に近づけるためであ
る。このようにすることにより、細胞を3次元的に増殖
させることができるので、従来よりも高密度に大量培養
でき、細胞を長期にわたって培養することができる。さ
らには、細胞分化を誘導することなども可能である。
コラーゲンゲルは、大量培養に適した形状であれば、
特に形状は限定されない。たとえば、球,円柱,楕円
体,立方体,直方体および不定形などの粒子状、ヌード
ル状、ならびに、シート状などである。粒子状であれ
ば、体積あたりの表面積を大きくすることができるの
で、内外の物質交換に有利である。その大きさも特に限
定されず、たとえば、縦横高さの各方向についてそれぞ
れ0.1〜10mmの範囲内であることが好ましい。この範囲
よりも大きいと、保護皮膜およびコラーゲンゲルと、外
部の培養液とのあいだで、栄養成分あるいは老廃物の透
過、あるいはガス交換か、遅滞したり、あるいは全く行
われなかったりする可能性があり、細胞の増殖が阻害さ
れることがある。前記範囲よりも小さいと、培養液交換
の際、成形物が浮遊分散し、フィルターに目づまりを起
こす等の不便がおこるというおそれがある。なお、保護
皮膜付きコラーゲンゲルは、直径3mm以下のビーズまた
はこれに類似の形状が好ましい。これは、培養液交換の
際にコラーゲンゲルを浸している培養液との分離がしや
すくなるのに充分な大きさを持ち、しかも、コラーゲン
ゲル内外の物質交換が容易になるからである。この発明
の動物細胞大量培養法によれば、小さなスペースで大量
培養することが可能であり、細胞や生産物を効率良く採
取できる。
保護皮膜は、コラーゲンゲルを保護し、支持するた
め、強固であること、短時間のうちに硬化すること、細
胞に対する毒性のないこと、同保護皮膜を通して培養液
中の栄養分、細胞の代謝(生産)物が容易に通過できる
こと、などの特性を有していることが好ましい。さら
に、好ましくは、これらの特性に加えて、細胞に障害を
与えない条件で再溶解可能であると、大量培養した後に
細胞を生きたまま回収することができる。
保護皮膜としては、アルギン酸、アルギン酸塩、およ
びアルギン酸誘導体塩から選ばれる高分子化合物この発
明では、これらの高分子化合物を「皮膜形成剤」と総称
する)を薄層状態で硬化してなる皮膜が用いられる。皮
膜形成剤は、細胞に障害を与えない条件で硬化しうるよ
うなもので、コラーゲンゲルよりも強固なものであれ
ば、特に限定はない。なお、コラーゲンゲルと保護皮膜
との接合力を一層大きくするという点からは、皮膜形成
剤としてコラーゲンとの親和性の良いものの方が好まし
い。保護皮膜の厚みは、特に限定されないが、0.01〜10
mmの範囲とするのが好ましく、0.1〜1.0mmの範囲とする
のがより好ましい。保護皮膜が、これらの範囲の上限よ
りも厚いと、内外の物質交換に差し障りが生じることが
あり、下限よりも薄いと、充分な保護皮膜を形成するこ
とが困難であり、また、皮膜ができたとしても破損した
りコラーゲンゲルの収縮をおさえられないことがある。
保護皮膜は、コラーゲンゲルの表面全体の50%以上を
被覆していることが好ましく、100%被覆していること
がより好ましい。被覆が50%よりも少ないと、物理的強
度が弱く、取り扱いにくくなることがある。
ヌードル状、シート状などに成形した、保護皮膜付き
コラーゲンゲルを成形後、切断するような場合、被覆率
は100%未満になる。また、被覆率が50%よりも少ない
と、コラーゲンゲルの収縮をおさえられないことがあ
る。
保護皮膜は、たとえば、動物細胞を包埋させたコラー
ゲンゲルまたは動物細胞を懸濁させたコラーゲン溶液の
滴などの外面を、保護皮膜を形成させるための皮膜形成
剤溶液で包み込み、同皮膜形成剤溶液を硬化することに
より得られる。皮膜形成剤溶液でコラーゲン溶液の滴な
どの外面を包み込んだ場合、保護皮膜を形成した後、あ
るいは、保護皮膜の形成と同時に、コラーゲン溶液をゲ
ル化させる。保護皮膜は、コラーゲンゲルを被覆してこ
れとしっかりと接合し、外側からコラーゲンゲルを支持
する。これにより、コラーゲンゲルの収縮を防ぐのであ
る。また、保護皮膜で被覆されているので、他のものと
衝突したり、接触したりしても、コラーゲンゲルが保護
され、動物細胞も保護される。
皮膜形成剤溶液は、皮膜形成剤のみを含む溶液であっ
てもよいが、他の皮膜形成剤、緩衝液、培養液、血清、
その他の添加物などを含んでいてもよい。
皮膜形成剤溶液の硬化は、どのように行ってもよい
が、たとえば、硬化液中に入れることにより行うことが
できる。この硬化液は、カルシウム塩を含むものであ
り、皮膜形成剤溶液の種類に応じて適宜調製される。硬
化液は、細胞に障害を与えないものが好ましい。皮膜形
成剤溶液と硬化液との組み合わせの中で、より具体的な
例を挙げると、皮膜形成剤溶液がアルギン酸ナトリウム
水溶液であれば、カルシウムイオン含有溶液が使用され
る。皮膜形成剤溶液がアルギン酸ナトリウム水溶液であ
れば、たとえば、後述の2重ノズルを用いた連続的なゲ
ル成形法では50〜70mM(ミリモル)のカルシウムイオン
によりすみやかなゲル化がおこる。
なお、皮膜形成剤として、アルギン酸、アルギン酸
塩、アルギン酸誘導体塩を用いるので、0.1M以下のカル
シウムイオンによってすみやかにゲル化するものを用い
るのが好ましい。これは、このようなカルシウムイオン
濃度が、生体と近似している範囲または短時間の接触に
よって細胞が損傷をうけない範囲だからである。
この発明では、硬化とは、上記のような天然高分子物
質のゲル化、および、合成高分子物質の架橋構造形成な
どをも含むものである。
保護皮膜およびコラーゲンゲルは、いずれも、多量の
水を保有しうるので、それらの内部と外部との間で物質
のやりとり(たとえば、呼吸、栄養吸収、排泄、分泌物
の放出など)が可能であり、細胞を培養するのに適して
いる。たとえば、保護皮膜が上記天然高分子物質の硬化
物であると、同硬化物はゲルであり、多量の水を保有し
うる。
なお、請求項1の発明の動物細胞大量培養法を実施す
るにあたっては、保護皮膜で被覆されたコラーゲンゲル
に包埋された動物細胞は、特に限定されないが、たとえ
ば、請求項2の発明の培養用支持基質の製法により得る
ことができる。すなわち、内筒と外筒からなる2重ノズ
ルを用い、その内筒に動物細胞を懸濁させたコラーゲン
溶液を管などを通して連続的あるいは断続的に供給する
と同時に、その外筒に皮膜形成剤溶液を管などを通して
連続的に供給し、2重ノズルから両溶液を滴下または押
出などにより吐出する。また、2重ノズルは、密閉され
た容器中に設置されるのがよい。この2重ノズルは、内
筒先端が外筒先端よりも長く伸びているものを使用して
もよいし、両先端が同寸、あるいは内筒先端が外筒先端
よりも短くてもよい。内筒から出たコラーゲン溶液が、
外筒から出た皮膜形成剤溶液によって一部包み込まれ、
または、全体的に包み込まれ、球状またはヌードル状な
どの形をとる。この状態で、前記硬化液に入れると、外
層の皮膜形成剤溶液か硬化し、保護皮膜を形成する。こ
の後、硬化液と分離し、余剰のカルシウムイオンなどの
金属イオンを除くために、生理的塩類溶液(たとえば、
ハンクス氏溶液)により洗浄する。その後、培養液に浸
して、培養液を攪拌したり、循環したりして培養を行う
のである。なお、コラーゲン溶液のゲル化は、培養前で
あれば、との時点で行ってもよい。
動物細胞を包埋しているコラーゲンゲルを保護皮膜で
被覆したものを培養液中に浸して培養を行う。培養液の
成分およびその濃度、培養温度などは、包埋されている
動物細胞に適したものを適宜選んで設定する。
大量培養の手段は、特に限定はなく、たとえば、攪拌
子型ボトル,ローラーボトル,プロペラ型ボトル,エア
ー攪拌型ボルトなどの中に入れて培養液を適宜攪拌し交
換したり、または、培養液を灌流できるカラム中に充填
して保持し、培養液をそのカラムに灌流させたりするこ
となどが挙げられる。これらの大量培養手段を利用して
も、コラーゲンゲルが傷んだりせず、取り扱いも容易で
ある。このため、動物細胞を培養するための容器として
大容量のものを使用することができ、より効率良くする
ことができる。
なお、保護皮膜および/またはコラーゲンゲル中に重
量物を混合すれば、比重を調節でき、培養液の交換に際
して細胞と細胞培養液を分離しやすくすることができ
る。
請求項1の発明にかかる動物細胞大量培養法は、以上
のようなものであるので、下記(ア)〜(ウ)の効果を
すべて有する。
(ア)コラーゲンゲルを保護皮膜で保護しているため、
培養装置などへ移すときなどの取り扱いが容易で、ま
た、培養液の交換や循環などを行ってもゲルが傷みにく
い。
(イ)細胞の生育に伴って、コラーゲンゲルが収縮する
のが防がれるため、細胞を長時間にわたって維持でき
る。
(ウ)上記(ア)および(イ)の効果は、コラーゲンゲ
ルのゲル強度の高低に関係なく得られるので、培養しよ
うとする動物細胞に適したゲル強度を選択でき、これに
より、培養可能な動物細胞の種類が広範になる。
請求項2の発明にかかる培養用支持基質の製法は、上
記大量培養法に用いる、保護皮膜付きコラーゲンゲルに
包埋された動物細胞を容易に得ることができる。
〔図面の簡単な説明〕
第1図は実施例で用いた2重ノズルを表し、図(a)
が縦断面図、図(b)が横断面図、第2図は実施例で使
用した大量培養装置の模式図である。
〔発明を実施するための最良の形態〕
以下に、この発明の具体的な実施例および比較例を示
すが、この発明は下記実施例に限定されない。
−実施例1− セルマトリックスI−A(酸可溶性コラーゲン溶液、
濃度3.0mg/ml、pH3.0;新田ゼラチン株式会社製)8容量
部、ハムF12培地(10培濃度)1容量部、再構成用緩衝
液(2.2gの炭酸水素ナトリウムおよび4.77gのHEPESを50
mM−水酸化ナトリウム100mlに溶解したもの)1容量
部、牛胎仔血清1容量部を混合し、得られたコラーゲン
混合溶液にマウス乳癌樹立株細胞懸濁液1容量部を加
え、4℃に保ち、動物細胞を懸濁させたコラーゲン溶液
を得た。これを内層液とした。
一方、1%アルギン酸ナトリウム水溶液を外層液とし
た。第1図に示すような二重同芯円筒ノズル1を用いて
外層液を外筒3から連続的に、内層液を内筒2から断続
的に流し、1%−塩化カルシウム・2水和物水溶液中に
滴下してビーズを成形した。10〜20分間放置後、ナイロ
ンメッシュで濾過してビーズを回収し、カルシウム−マ
グネシウム不含ハンクス氏液中で洗浄し過剰の塩化カル
シウムを除去した。
なお、滴下速度は、50滴/分、外層液および内層液を
合計した容量30μl/滴、内層液容量:外層液容量=1:2
とした。第1図(a)および(b)にみるように、ノズ
ル1は、内筒2と外筒3とか同芯状に配置されている。
内筒2は内径D1=0.30mm、外径D2=0.50mm、外筒3は内
径d1=0.85mm、外径d2=1.20mmであった。第1図中、4
は、筒軸保持材である。
次に、ビーズをダブルベッコ変法イーグル培地中で37
℃、60分間保温することにより、細胞が分散された内層
のコラーゲンもゲル化し、アルギン酸被覆コラーゲンゲ
ルビーズが得られた。その平均径は、約3.5mmであっ
た。
得られたアルギン酸被覆細胞含有コラーゲンゲルビー
ズを、10%牛胎仔血清および10mM−HEPESを添加したダ
ルヘッコ変法イーグル培地を用いて、37℃に保温したフ
ラスコ中で震蘯培養した。
−比較例1− 実施例1で得られた二重ゲル層ビーズを10mM−EDTA、
カルシウム−マグネシウム不含ハンクス氏液中に7〜15
分間浸漬すると、外層のアルギン酸が溶解し、内層の細
胞を含むコラーゲンゲルのみから成る保護皮膜のないビ
ーズが得られた。このコラーゲンゲルビーズで実施例1
と同様にして培養を行った。
保護皮膜のないコラーゲンゲルビーズ(比較例1)
は、培養12日目にその平均径が培養開始時の約2.6mmか
ら約1.1mmに収縮していた。これに対し、アルギン酸皮
膜コラーゲンゲルビーズ(実施例1)は培養12日目でも
平均径の変化がなかった。
第1表は、それぞれのビーズ内における細胞数の測定
結果を示したものである。アルギン酸被覆コラーゲンゲ
ル中では、細胞増殖が維持されるのに対し、保護皮膜の
ないコラーゲンゲルの場合は増殖が培養7日目から頭打
ちになることが認められる。また、アルギン酸被覆コラ
ーゲンゲルビーズ内のマウス乳癌樹立株細胞は、樹枝状
形態形成が認められた。これは、接着依存性細胞を生育
させるのに、コラーゲンゲルが極めて適切な支持基質で
あることを示している。
−実施例2− 実施例1において、マウス乳癌樹立株細胞にかえてマ
ウス線維芽細胞を用いたこと以外は、実施例1と同様に
処理してアルギン酸被覆細胞含有コラーゲンゲルビーズ
を得た。第2図にみるように、1000個のビーズ(カサ約
40cm2)15…を50mlのポリスチレンカラム12に詰めた。
第2図にみるように、カラム12にチューブ11を接続し、
ポンプ13で培地14を循環させた。第2図に示す装置を37
℃のCO2インキュベーター中に設置して実施例1で用い
た培地14を連続的に循環させ培養した。その結果、ビー
ズが破壊されることなく、細胞を約1カ月間培養するこ
とができ、ビーズが強い物理的性質をもっていることが
確かめられた。なお、培地循環量は約1ml/分で培地使用
量は初期50ml/日〜末期500ml/日で毎日メディウムビン
を取り換えることで培地変換を行った。
実施例2のようにカラムを用いる培養方法で長期間細
胞を培養することができることは、下記(A)〜(C)
などの効果があり、動物細胞大量培養システムとして極
めて有効である。
(A)培地交換が極めて容易に行える。
(B)細胞の生産物の回収が容易にかつ効果的に行え
る。
(C)コンパクトなスペースで大量の細胞を培養でき
る。
−実施例3− 実施例1において、細胞をマウス線維芽細胞にかえた
こと、ならびに、内層液および外層液を同時に連続的に
押し出したこと以外は、実施例1と同様にし、二重層の
ヌードル状の成形体を得た。これを洗浄後、37℃で1時
間加温して内層コラーゲン液をゲル化した。このゲル
は、径約1mmのヌードル状の二重ゲルであった。
得られた成形物を実施例1で用いた培地を用いて37℃
でCO2インキュベーター中で静置培養した。
培養2日目には伸展した線維芽細胞が認められた。
〔産業上の利用可能性〕
この発明の動物細胞大量培養法は、動物細胞であれ
ば、接着依存性細胞および接着非依存性細胞のいずれで
あっても利用することができる。特に、接着依存性細胞
を培養するのに利用すると、その効果が著しい。接着依
存性細胞であっても、コラーゲンの収縮によりその生育
が阻害されないもの、あるいは、増殖が進んでも大きな
収縮が起こらないものなどについては、コラーゲンゲル
と保護皮膜の接合に特に留意することなく、アルギン
酸、アルギン酸塩、アルギン酸誘導体塩の中から皮膜形
成剤を選ぶことができる。
この発明の動物細胞大量培養法によれば、大量培養し
た動物細胞を短期間のうちに、少ないスペースで得るこ
とができる。また、この方法により、コラーゲンゲル中
で細胞を培養すれば、培養している動物細胞の機能発現
も活発であるので、種々の細胞生産物を効率良く手に入
れることができる。そのような生産物としては、たとえ
ば、ワクチン、酵素、ホルモン、抗体、核酸などが挙げ
られる。また、細胞自身を大量に増やして種々の目的に
用いることもできる。
培養後の細胞の採取方法は、たとえば、保護皮膜が、
アルギン酸−カルシウム皮膜の場合、EDTA、EGTA等のキ
レート剤によってカルシウムイオンを取り除き、容易に
アルギン酸皮膜を溶解させることができる。内層のコラ
ーゲンゲルは、コラゲナーゼ等を用いてこれを分解する
ことができ、細胞を生きたまま回収することができる。
また、大量培養としている細胞による生産物を回収す
るには、たとえば、保護皮膜を通過して培養液中に出て
くる培養液と共に集めるだけで良い。
なお、この発明の動物細胞大量培養法を実施するにあ
たっては、保護皮膜で被覆されたコラーゲンゲルに包埋
された動物細胞は、特に限定されないが、たとえば、こ
の発明の培養用支持基質の製法により得ることができ
る。この方法によれば、そのような動物細胞を効率良く
準備することができ、しかも、有機溶媒を用いずに水溶
液だけを使用することができる。また、外部からの汚染
(コンタミネーション)を防ぎやすく、滅菌状態を維持
しやすい。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動物細胞を包埋したコラーゲンゲルを培養
    液中に浸して前記動物細胞を大量培養する動物細胞大量
    培養法であって、前記動物細胞を包埋したコラーゲンゲ
    ルは、前記動物細胞を懸濁したコラーゲン溶液を2重ノ
    ズルの内筒から吐出するとともに、アルギン酸、アルギ
    ン酸塩およびアルギン酸誘導体塩の中から選ばれる少な
    くとも1つを含む保護皮膜形成剤溶液を前記2重ノズル
    の外筒から吐出し、前記コラーゲン溶液を前記保護皮膜
    形成剤溶液で覆ってから、コラーゲン溶液を覆う前記保
    護皮膜形成剤溶液をカルシウム塩を含む硬化液で硬化さ
    せて保護皮膜を形成し、そののち前記コラーゲン溶液を
    ゲル化させることにより得られたものであることを特徴
    とする動物細胞大量培養法。
  2. 【請求項2】コラーゲンゲルに包埋された動物細胞を大
    量培養するのに用いる培養用支持基質の製法であって、
    前記動物細胞を懸濁したコラーゲン溶液を2重ノズルの
    内筒から吐出するとともに、アルギン酸、アルギン酸塩
    およびアルギン酸誘導体塩の中から選ばれる少なくとも
    1つを含む保護皮膜形成剤溶液を前記2重ノズルの外筒
    から吐出し、前記コラーゲン溶液を前記保護皮膜形成剤
    溶液で覆ってから、コラーゲン溶液を覆う前記保護皮膜
    形成剤溶液をカルシウム塩を含む硬化液で硬化させて保
    護皮膜を形成し、そののち前記コラーゲン溶液をゲル化
    させて、動物細胞を包埋したコラーゲンゲルを前記保護
    皮膜で包むようにすることを特徴とする培養用支持基質
    の製法。
JP50420389A 1988-04-18 1989-04-13 動物細胞大量培養法およびそれに用いる培養用支持基質の製法 Expired - Fee Related JP2594367B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP50420389A JP2594367B2 (ja) 1988-04-18 1989-04-13 動物細胞大量培養法およびそれに用いる培養用支持基質の製法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63-96528 1988-04-18
JP9652888 1988-04-18
JP50420389A JP2594367B2 (ja) 1988-04-18 1989-04-13 動物細胞大量培養法およびそれに用いる培養用支持基質の製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2594367B2 true JP2594367B2 (ja) 1997-03-26

Family

ID=26437728

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50420389A Expired - Fee Related JP2594367B2 (ja) 1988-04-18 1989-04-13 動物細胞大量培養法およびそれに用いる培養用支持基質の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2594367B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6038111A (ja) * 1983-08-12 1985-02-27 日研産業株式会社 石材加工装置
JPS6111139A (ja) * 1984-06-27 1986-01-18 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 不安定な機能性物質を内包したカプセル体およびその製造法
JPS633786A (ja) * 1986-06-23 1988-01-08 Asahi Chem Ind Co Ltd コラ−ゲンゲル包括カプセル

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6038111A (ja) * 1983-08-12 1985-02-27 日研産業株式会社 石材加工装置
JPS6111139A (ja) * 1984-06-27 1986-01-18 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 不安定な機能性物質を内包したカプセル体およびその製造法
JPS633786A (ja) * 1986-06-23 1988-01-08 Asahi Chem Ind Co Ltd コラ−ゲンゲル包括カプセル

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6900055B1 (en) Preparation of porous silicone rubber for growing cells or living tissue
CN100467594C (zh) 细胞生长表面的制法
US4565580A (en) Substrate consisting of regenerated collagen fibrils and method of manufacturing same
US5264359A (en) Methods for large-scale cultivation of animal cells and for making supporting substrata for the cultivation
JPS6038111B2 (ja) 固定依存性細胞の培養法
JPH089966A (ja) 動物細胞の輸送方法
JP2594367B2 (ja) 動物細胞大量培養法およびそれに用いる培養用支持基質の製法
EP0420171A1 (en) Carrier for culturing animal cells and a process for preparing it
CA2256369C (en) A process for encapsulating viable animal cells
EP0245338A1 (en) MICROPORTER FOR CELL CULTURE.
JPS62171680A (ja) 動物細胞培養法
JP2003052361A (ja) 接着依存性細胞の外形制御集合体形成用基板および細胞培養方法
JPH0581A (ja) 細胞培養担体及び培養方法
JPH06277050A (ja) 動物細胞の固定化物および培養方法
JPS6225974A (ja) コラ−ゲンよりなるゲル状組成物
JP3219305B2 (ja) 動物細胞固定化用担体及びそれを用いる細胞培養方法
JPS62175172A (ja) 動物細胞の大量培養法
JPS633786A (ja) コラ−ゲンゲル包括カプセル
WO1987004458A1 (en) Process for cultivating animal cells on a large scale
JPS60224627A (ja) 動物遊離細胞のカプセル化方法
JPH0634699B2 (ja) 動物細胞培養方法及び装置
JP2987441B1 (ja) 動物細胞の固定化方法
JPH02150276A (ja) 細胞培養法
JPH04278081A (ja) 細胞の培養方法
JPH07106146B2 (ja) 動物細胞の流通培養床及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees