JP2593654B2 - 高強度高弾性炭素繊維の編物及び織物の工業的製法 - Google Patents

高強度高弾性炭素繊維の編物及び織物の工業的製法

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JP2593654B2 JP62071712A JP7171287A JP2593654B2 JP 2593654 B2 JP2593654 B2 JP 2593654B2 JP 62071712 A JP62071712 A JP 62071712A JP 7171287 A JP7171287 A JP 7171287A JP 2593654 B2 JP2593654 B2 JP 2593654B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は100%メソフエーズピツチを溶融紡糸し之を
不融化、焼成及び炭化、黒鉛化して長繊維の高強度高弾
性炭素繊維の束とする製造工程中その炭素繊維束を機械
に依りよりをかけ之を機械的に編機で編物、或は織機で
織物としうる条件を具備した物性を発揮し得る炭素繊維
を、先ず機械的に編物及び織物とし、これを2,000°乃
至2,800℃で黒鉛化して工業的に高強度高弾性炭素繊維
の編物織物とする製造法に関する。
〔発明の技術〕
近年生活が多様化することにともない災害の頻度も多
く、これに対する対応材料として防災性、防火性、耐爆
性及び作業性のすぐれた安価な新材料(編物、織物)が
強く要求されている。更に航空機及び宇宙用の機材の複
合材のフイラーとしての編物及び織物も嘱望されてい
る。
これに対応する新素材として現在入手出来る高強度高
弾性炭素繊維がある。その炭素繊維として市販されてい
る商品で米国のUCC社のソーネルP−75 ソーネルP−100 があつた、しかしU.C.C.は今はその装置、設備を売却し
て高強度高弾性炭素繊維をUCCから入手出来ないしかも
これ等の炭素繊維は伸度が極めて小さく、従つてこれ等
の炭素繊維を機械で編物及び織物とする際に、毛ば立ち
が多く編物及び織物の製作が困難で煩雑である。而も高
強度高弾性炭素繊維は高価であるため、機械で製作され
る安価な炭素繊維の編物及び織物は今まで全く世に出て
いない。
〔問題を解決する手段〕
防災性、防火性、耐爆性及び作業性の勝ぐれる新材料
更に炭素・炭素複合材のフイラー(編物、織物)を合理
的に安価に製造する方法として、極めて安価な脱硫減圧
軽油の熱接触分解(FCC)に依つて副生する石油系ピツ
チ(初留460℃乃至終留560℃)に非酸化性ガスを吹き込
み攪拌しながら温度380℃乃至420℃で加熱処理してメソ
フエーズを含有するピツチを造り、之を温度300℃乃至3
50℃で非酸化性ガス気流下生成ピツチ中のメソフエーズ
のみを融着巨大化させ上層に全くメソフエーズを含有せ
ぬ非メソピツチを下層にメソフエーズピツチを比重の差
に依り画然と分離区分し、この上層の非メソピツチを前
駆体とし之に非酸化性ガスを吹き込み攪拌しながら温度
380℃乃至420℃で加熱処理し、メソフエーズを含有する
ピツチを造り、この生成ピツチを温度300℃乃至350℃で
非酸化性ガス気流下で熟成させ、生成ピツチ中のメソフ
エーズのみを融着巨大化させ、上層に全くメソフエーズ
を含有せぬ非メソピツチを、下層に100%メソフエーズ
ピツチ(偏光顕微鏡に依り確認)を比重の差により画然
と分離精製する。この100%メソフエーズピツチを溶融
紡糸し、この長繊維の紡糸繊維を空気で温度300℃乃至3
40℃で不融化し、この不融化糸を先ず不活性ガス中温度
550℃乃至850℃で焼成し、伸度1.8%乃至4.0%、強度20
kg/mm2乃至44kg/mm2の物性を有する機械的に編み或は織
り易い焼成糸を造り、この長繊維の焼成糸を数百本乃至
数千本を機械を用いてより、或はそのまゝ束にし、編機
或は織機で夫々編物或は織物を毛ば立ちも無く容易に製
作することが出来る。この焼成糸の編物及び織物を不活
性ガス中で温度2,000℃乃至2,800℃で黒鉛化し強度180k
g/mm2乃至320kg/mm2、弾性率36 /mm2乃至72 /mm2の物性を有する高強度高弾性炭素繊維の編物及び
織物を合理的に製造することが出来る。
この方法で製作した高強度高弾性炭素繊維の編物及び
織物を基材とし消火衣、防弾チヨツキ、耐爆布などの製
造に使用できる。
亦この基材をフイラーとして炭素・炭素複合材用に使
用する。
加熱処理で使用する非酸化性ガスは石油系ピツチを加
熱処理する際副生する分解ガスを挙げることができる。
その組成の一例を挙げると水素6.0%、メタンCH474.0
%、エタン13.3%、プロパン3.6%、ブタン1.3%、ペン
タン0.9%、その他、熟成処理で使用するガスは水素、
メタン、プロパン、窒素及び非酸化性ガスが挙げられ
る。
実施例1 脱硫減圧軽油を熱接触分解(FCC)に依つて副生する
石油系ピツチを減圧蒸留し85%カツトして得られる留分
(初留460℃乃至終留560℃)に非酸化性ガスを吹き込み
攪拌しながら温度400℃で6時間加熱処理してメソフエ
ーズを25.4%含有するピツチを造り、この生成ピツチを
窒素ガス下、温度320℃で、20時間熟成させ、ピツチ中
のメソフエーズのみを融着巨大化させ、上層に全くメソ
フエーズを含有せぬ非メソピツチを、下層に100%メソ
フエーズピツチを比重の差に依り画然と区分し分離精製
し、この100%メソフエーズピツチを溶融紡糸し、この
長繊維の紡糸繊維を空気で温度320℃で不融化し、後こ
の不融化糸を窒素ガス中で温度700℃で焼成し、伸度2.2
%、強度44kg/mm2の焼成糸を造り、これを束ねた2K(20
00本)糸を織機を使用し織物を造り、この織物をアルゴ
ン中で温度2,600℃で黒鉛化して強度300kg/mm2、弾性率 伸度0.48%の物性を有する高強度高弾性炭素繊維よりな
る炭素繊維の織物を造ることが出来る。
この織物をフイラーとし溶融した100%メソフエーズ
ピツチ中で加圧含浸させ、後加圧焼成して炭素・炭素複
合材を造ることも出来る。
〔発明の効果〕
高強度高弾性炭素繊維の製造工程中の繊維の物性が編
機や織機にかけられる程度のものである(伸度1.8%乃
至4.0%、強度20kg/mm2乃至44kg/mm2)焼成糸から編物
及び織物を造りこれを高温で黒鉛化することに依り、従
来の手作業の高強度高弾性炭素繊維の編物及び織物の極
めて煩雑な製法にかえることが出来る。
具体的に説明すると、次の通りである。
特開昭60−21911には、400−650℃で初期炭化し、破
断強度を約10kg/cm2、破断伸度を1.5−5.0%程度にした
後に繊維束を製織して炭化し、必要により黒鉛化する方
法が開示されている。
この方法は、特公昭51−12740で開示されている、700
℃以上で初期炭化処理を行い強度を高める方法では、破
断伸度が小さく弾性率が高く折れ易いという問題を、初
期炭化温度と破断伸度の関係に約500℃の炭化温度の点
で破断伸度の極大点が存在することを知見し、初期炭化
温度を制限することで解決したものである。特開昭60−
21911には、ピッチとして特定のものを使用する点の記
載はないが、初期炭化後の強度が10kg/cm2(即ち0.1kg/
mm2)程度で非常に小さい値であることから、いわゆる
難黒鉛化性のピッチに相当するピッチであると推定され
る。
一方、特公昭51−12740の実施例においては、難黒鉛
化性のピッチであるエチレンボトム油が使用されてお
り、緊張下2800℃での黒鉛化後の炭素繊維の強度は20to
n/cm2(即ち200kg/mm2)、弾性率は2000ton/cm2(即ち2
0ton/mm2)という値である。
しかしながら、織物にした後は緊張下で黒鉛化するこ
とができないので、もし難黒鉛化性ピッチ系炭素繊維か
ら織物が製造できたとしても、強度、弾性率はかなり小
さい値にならざるを得ない。
これに対し本発明は、100%メソフェーズピッチを使
用し、伸度1.8%乃至4.0%、強度20kg/mm2乃至44kg/mm2
の物性を有する焼成糸を造り、これを織物にした後に黒
鉛化することによって、張力をかけなくとも強度、弾性
率が増大するので、例えば強度300kg/mm2、弾性率62ton
/mm2という高い物性を有する炭素繊維からなる、従来で
は容易に得られなかった織物を造ることを可能にしたも
のである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脱硫減圧軽油の熱接触分解(FCC)に依っ
    て副生する石油系ピッチから得られた100%メソフェー
    ズピッチを溶融紡糸、不融化し、得られた不融化糸を不
    活性ガス中で焼成し、伸度1.8%乃至4.0%、強度20kg/m
    m2乃至44kg/mm2の物性を有する焼成糸を造り、得られた
    長繊維の焼成糸を1K乃至10K(1K=1,000本)の束にし、
    束のまま或はよりをかけた状態で編物或は織物としその
    後不活性ガス中で黒鉛化することを特徴とする高強度高
    弾性炭素繊維の編物及び織物の製造方法。
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