JP2592784Y2

JP2592784Y2 - 医療用ガイドワイヤ

Info

Publication number: JP2592784Y2
Application number: JP1993042446U
Authority: JP
Inventors: 寛幸浅野
Original assignee: Piolax Inc
Current assignee: Piolax Inc
Priority date: 1993-07-05
Filing date: 1993-07-05
Publication date: 1999-03-24
Anticipated expiration: 2008-07-05
Also published as: JPH077653U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えば血管、尿管、胆
管、気管などにカテーテルを挿入する際に用いられる医
療用ガイドワイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、血管、尿管、胆管、気管などの人
体の管状器官における検査、治療のため、カテーテルを
挿入して造影剤などの薬剤を投与したり、カテーテルを
通して鉗子等によって組織の一部を採取したりすること
が行なわれている。カテーテルの挿入に際しては、管状
器官内に、まず、比較的細くて柔軟なガイドワイヤを挿
入し、このガイドワイヤの外周に沿ってカテーテルを挿
入した後、ガイドワイヤを抜き出すようにしている。

【０００３】上記したように、ガイドワイヤは、人体内
に網羅された管状器官に自由に挿入されるものであり、
それらの管状器官は太い部分や細い部分があり、また、
ところどころで分岐しているため、管状器官の形状によ
り進路を変更させたり、回転させたり、曲折させたりし
ながら所望の位置へ移動しなければならない。このた
め、ガイドワイヤの操作性は、その先端部の柔軟性と基
部側の適度な剛性に左右されることが多い。

【０００４】上記医療用ガイドワイヤーとしては、ステ
ンレス、形状記憶合金等の金属からなる細い線材をコイ
ル状にして柔軟性を持たせたもの、上記のような金属か
らなる線材を芯線にしてその外周を合成樹脂膜などで覆
ったものなど各種のものが提案されている。

【０００５】例えば、実開平3-24144 号、あるいは実開
平4-108555号には、形状記憶合金よりなる芯線の先端部
のみを所定長さ分だけ細く形成し、かつ先端部のみを熱
処理することにより変形しやすくするようにしたり、又
は先端部の途中を曲げ易い物性にして、挿入時に先端部
に柔軟性をもたせるとともに、この芯線の外周に合成樹
脂膜を被覆したガイドワイヤが開示されている。

【０００６】上記ガイドワイヤは、芯線が形状記憶合金
からなり、かつ、芯線の先端部が細くなっているため、
柔軟性に富んでいる。そして、このようなガイドワイヤ
を例えば血管等に挿入する場合には、血管の分岐した部
分で目指す方向の血管に導いて挿入する必要がある。こ
のため、上記ガイドワイヤを挿入するとき、その先端部
を管状器官の状態に合せてその場でくせ付けすることが
行われていた。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のガイドワイヤでは、芯線の最先端が合成樹脂膜の最
先端付近まで伸びており、芯線の最先端と合成樹脂膜の
最先端との間隔は0.5 〜１mm程度であった。すなわち、
芯線が実質的にガイドワイヤの最先端まで達するように
形成されていた。

【０００８】このため、ガイドワイヤの先端が管状器官
の曲がり角や分岐部に突き当たったとき、芯線の剛性及
び弾性力によってガイドワイヤの先端部が跳ね返り、芯
線の先端部を所望の方向に向けにくいことがあった。ま
た、ガイドワイヤの先端が体内組織に突き刺さったりし
て、体内組織を傷つける虞れもあった。

【０００９】したがって、本考案の目的は、芯線の外周
に合成樹脂膜を被覆してなるガイドワイヤにおいて、先
端部を所望の方向に向けやすく、使用中に体内組織を傷
つける虞れのない医療用ガイドワイヤを提供することに
ある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案の医療用ガイドワイヤは、芯線の外周に合成
樹脂膜を被覆してなる医療用ガイドワイヤにおいて、前
記芯線の最先端と、前記合成樹脂膜の最先端との間隔が
２〜４mmであることを特徴とする。

【００１１】また、本考案の好ましい態様においては、
前記芯線の最先端と前記合成樹脂膜の最先端との間に、
一端を前記芯線の先端部に固着されたコイル線が埋設さ
れている。

【００１２】

【作用】本考案の医療用ガイドワイヤは、芯線の先端部
と、ガイドワイヤの先端部との間に、合成樹脂のみから
なる長さ２〜４mmの部位が設けられているので、血管等
の分岐した箇所や曲がった箇所でその内壁に突き当たっ
たときに、合成樹脂のみからなる部位が折れ曲がって内
壁に沿って滑るように案内されるので、所望の方向に進
路を変更しやすくなる。

【００１３】また、上記合成樹脂のみからなる部位によ
って先端部に十分な柔軟性が付与されるとともに、その
部位がクッションとなって体内組織に突き当たったとき
の衝撃が軽減されるので、体内組織を傷つける虞れが少
なくなる。

【００１４】本考案の好ましい態様においては、ガイド
ワイヤ先端の合成樹脂膜だけの部分に、一端を芯線の先
端部に固着されたコイル線が埋設されているので、先端
部の合成樹脂膜が使用中に剥れてしまうなどの虞れがな
くなり、また、合成樹脂膜だけの場合よりは剛性が高
く、芯線が入っている場合よりは柔軟になるので、ガイ
ドワイヤの先端に適度な柔軟性を付与することができ
る。

【００１５】

【実施例】図１には、本考案による医療用ガイドワイヤ
の一実施例が示されている。このガイドワイヤ１１は、
金属材料からなる芯線１２と、その外周を被覆する合成
樹脂膜１３とから構成されている。芯線１２の先端部１
２ａは、段部１２ｂをなして所定の寸法長さだけ縮径さ
れた形状をなしている。

【００１６】上記芯線１２には、例えば、ステンレス、
ピアノ線のような弾性力のある材料が用いられる。ステ
ンレスの場合には、所定の線径になるように伸線加工さ
れた線材を一定の長さに切断したあと、その先端部１２
ａを更に細く伸線加工し形成する。なお、芯線１２のサ
イズは、全長は50〜2500mmが好ましく、500 〜1800mmが
より好ましい。また、外径は0.2 〜0.6 mmが好ましい。
更に、先端部１２ａの長さは、1 〜100 mmが好ましく、
5 〜50mmがより好ましい。

【００１７】また、上記芯線１２は、形状記憶合金を使
用してもよい。形状記憶合金の場合では、ＴｉＮｉ合金
が好ましく用いられる。この場合には、例えば形状記憶
合金を線状に成形し、この線材を加熱炉に入れて所望の
太さになるまで引き伸ばすことによって製造できる。こ
れによって、線材は所定の変態点を有する様に形状記憶
される。尚、この場合の芯線１２は、少なくとも体温以
下でしなやかな超弾性が得られるようにするため、形状
記憶合金の変態点を体温以下に設定することが好まし
い。

【００１８】そして、このような線材を所望の長さに切
断したあとは、先端部１２ａの部分を更に細く加工す
る。このような加工は、例えば先端部をエッチング液に
浸漬して徐々に引き上げるというようなエッチングによ
る方法、切削研磨、スエージング、圧延加工などの機械
的加工方法によって行なうことができる。

【００１９】なお、図示した実施例では、上記先端部１
２ａの部分は急激に細くなっているが、この形状をゆる
やかに細くなってゆくテーパー状としてもよい。

【００２０】芯線１２に被覆する合成樹脂膜１３は、比
較的軟質の樹脂材料を用いて形成するのが好ましく、例
えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレ
ン、フッ素樹脂、シリコンゴムなどが挙げられる。これ
らのうち、ポリウレタンは、血栓防止性に優れているの
で特に好ましく使用される。

【００２１】これらの樹脂は、例えば芯線１２にコーテ
ィングしたり、樹脂のチューブを芯線１２にかぶせて熱
収縮させたり、芯線１２と一体に射出成形したりして、
芯線１２に被覆させ、合成樹脂膜１３を形成する。合成
樹脂膜１３の厚さは、芯線１２の柔軟性に悪影響を与え
ない程度の範囲で適宜設定されるが、芯線１２の最先端
から、合成樹脂膜１３の最先端までの間隔Ａは、２〜４
mmとなるようにする。すなわち、この部位は合成樹脂膜
１３のみによって形成される。この間隔Ａが２mmより短
いと、ガイドワイヤ先端部の柔軟性が十分に得られない
ので好ましくなく、４mmより長いと、ガイドワイヤを手
もと側で回転させた時の回転伝達性が悪くなり、また、
使用中にこの部位が切れて剥れてしまう虞れがあるの
で、やはり好ましくない。

【００２２】なお、ガイドワイヤ１１の先端部は、図示
した実施例のように、その合成樹脂膜１３を丸く形成す
るか、あるいは、ゆるやかに細くなってゆくテーパー状
とするのが、使用する際により好適である。

【００２３】また、合成樹脂膜１３の外表面に、例えば
イソシアネート基などの官能基を形成し、この官能基
に、例えばポリエチレングリコールなどの親水性ポリマ
ーを結合させることにより、ガイドワイヤー１１を挿入
する際の滑りをよくする処理を施しておくこともでき
る。このような表面処理の方法は、例えば特開昭59-813
41号等に開示されている。

【００２４】図２には、本考案によるガイドワイヤの他
の実施例が示されている。なお、この実施例において
は、前記実施例と実質的に同一の部分には、同符号を付
してその説明を省略する。

【００２５】このガイドワイヤ２１では、芯線１２の最
先端と、合成樹脂膜１３の最先端との間に、細い線材に
よって加工されたコイル線２２が埋設されている。この
コイル線２２は、上記先端部１２ａの線径よりも幾分小
さい内径になるように加工され、このコイル線のピッチ
間隔を広げた状態にして、その基端を芯線１２の先端部
１２ａに挿入し、ロウ付けなどの手段によって固定され
て、他端を合成樹脂膜１３の最先端付近まで延出されて
いる。コイルの線材をステンレスのような弾性材にすれ
ば、先端部１２ａとの外径寸法差を気に掛けることな
く、先端部１２ａの寸法に従ってコイルが伸縮自由とな
り、取り付けることができるので便利である。

【００２６】

【考案の効果】以上説明したように、本考案の医療用ガ
イドワイヤは、芯線の最先端と合成樹脂膜の最先端との
間に長さ２〜４mmの間隔を設けることにより、ガイドワ
イヤの先端部が管状器官の内壁に突き当たったときに、
内壁の形状に沿って滑りやすくなるため、管状器官内に
おいて所望の方向に進路を変更しやすくなり、また、突
き当たったときの衝撃が軽減されて、体内組織を傷つけ
る虞れが少なくなる。このため、安全で操作性のよい医
療用ガイドワイヤを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のガイドワイヤの一実施例を示す一部省
略断面図である。

【図２】本考案のガイドワイヤの他の実施例を示す部分
断面図である。

【符合の説明】

１１、２１ガイドワイヤ１２芯線１２ａ芯線先端部１３合成樹脂膜２２コイル線

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】芯線（１２）の外周に合成樹脂膜（１
３）を被覆してなる医療用ガイドワイヤ（１１、２１）
において、前記芯線（１２）の最先端と、前記合成樹脂
膜（１３）の最先端との間隔（Ａ）が２〜４mmであるこ
とを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
【請求項２】前記芯線（１２）の最先端と前記合成樹
脂膜（１３）の最先端との間に、一端を前記芯線（１
２）の先端部（１２ａ）に固着されたコイル線（２２）
が埋設されている請求項１記載の医療用ガイドワイヤ。