JP2592257B2 - 回転圧入式杭打設装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、杭を回転させつつ地中へ貫入させる回転
圧入式の杭打設装置に関するものである。

従来の技術 軟弱地での住宅建築の場合、小径の鋼管杭を打設し、
この鋼管杭で基礎の補強を行なうことが行なわれてい
る。このような補強用鋼管杭の打設方法として、従来、
杭頭を打撃して貫入させるモンケン打撃方法、杭へ
水平方向の振動を与えて地中へ貫入される振動式打設方
法、杭へ回転力を与えつつ地中へ貫入させる回転圧入
式打設方法がある。

発明が解決しようとする問題点 上記従来の杭打設工法において、及びの工法で
は、振動・騒音が大きく、近隣住民からのクレーム発生
の原因となるという不都合がある。特に、近年では、建
て替え需要その他等で住宅の密集した地域に建築される
場合が増加しており、振動・騒音の低減を図ることが必
要となっている。また、同じくの工法では、地盤に
ガラ等が混入しているとより振動が激しくなり、著しい
場合には施工不能となる場合がある。他方、の回転圧
入式工法では、そのような振動・騒音が少ないという利
点があるが、地盤への圧入力は、杭を回転させる油圧モ
ータやその他装置の自重のみであり、圧入力が精々600
キログラム程度と非常に弱く、ガラが混入していたり或
いは土質によっては施工不可能となる場合があるという
欠点があり、更には、圧入力が弱いため打設時間が長く
なるという欠点を有している。

この発明は、かかる従来の欠点を解消した回転圧入式
杭打設装置を提供することを目的としてなされたもので
ある。

問題点を解決するための手段 上記の目的を達成するため、この発明の杭打設装置
は、その回転軸を杭上端へ連結する油圧モータからなる
回転力付与手段と、この回転力付与手段を昇降自在に支
持するリーダと、前記回転力付与手段をワイヤーで下向
きに引っ張って垂直下向きの圧入力を付与する油圧シリ
ンダとからなることを特徴とする。

作用 以上本発明の装置によれば、まず、杭（10）がその水
平方向に回転されるので、杭（10）周面と地盤との摩擦
がこれによりカットされるとともに、装置の自重に加え
てその自重以外の垂直下向きの圧入力が与えられるの
で、大きな貫入力が得られ、従来不可能であった場合で
も容易に杭（10）の打設を行なうことができる。

実 施 例 第１図は、この発明の装置を示しており、図におい
て、（１）は現場の地盤面に立設される支柱としてのリ
ーダであり、このリーダ（１）には、そのリーダ（１）
に対して上下方向に昇降自在として油圧モータ（２）が
装備されている。また、リーダ（１）の下端近傍に台板
（３）が取り付けられており、この台板（３）上には、
ロッド（４）を、垂直上方へ向けて伸張させるようにし
た油圧シリンダ（５）が垂直に取り付けられている。
（６）は、その一端を前記油圧モータ（２）へ連結した
引張ワイヤーであり、その他端が、台板（３）両端の１
対のガイドローラ（７）（７）へ巻掛けられて油圧シリ
ンダ（５）の側方を上方に伸び、更に、その油圧シリン
ダ（５）におけるロッド（４）先端のガイドローラ
（８）へ巻掛けられた後、台板（３）へ連結されてい
る。

鋼管杭（10）は、その上端部が、油圧モータ（２）の
回転軸（９）へ、その軸（９）によって水平方向に回転
させられるよう連結されて垂直に設置される。そして、
まず、この油圧モータ（２）によって、鋼管杭（８）へ
円周方向の回転軸を附与すると同時に、油圧シリンダ
（５）へ圧油を供給してロッド（４）を上方へ伸張させ
ると、ワイヤー（６）によって油圧モータ（２）が下向
きに引っ張られるので、杭（10）へ垂直下向きの圧入力
が与えられることになる。そのため、鋼管杭（８）は、
その回転によって地盤面との摩擦をカットしつつ、油圧
モータ（２）及びリーダ（１）の自重による圧入力のみ
ならず、油圧シリンダ（５）による圧入力によってスム
ーズに貫入せしめられることになる。第２図が、その貫
入途中の状態を示している。

第３図は、上記リーダ（１）を作業車両へ取付けた場
合の実施例を示している。すなわち、クローラ走行装置
（11）を備えた下部走行体（12）に対し、水平方向へ旋
回自在として取り付けられた上部旋回体（13）へ、ブー
ム（14）を取り付け、このブーム（14）の先端へ前記リ
ーダ（１）の上部部分を枢着し、更に、上部旋回体（1
3）より突出させた支持用油圧シリンダ（15）のロッド
先端を、リーダ（１）の下端近傍部へ連結して、上部旋
回体（13）を旋回させ或いは走行させることによって、
装置全体を任意の位置に移動させることができるように
なっている。なお、この実施例において、圧入用の油圧
シリンダ（５）は、そのボトム部分がリーダ（１）の下
端部近傍に枢支連結されている。（16）は、ブーム（1
4）より突出されたブームシリンダで、そのロッド先端
がリーダ（１）の上端部近傍へ連絡してある。

発明の効果 以上のように、この発明では、圧入力を油圧モータ等
の装置の自重のみに頼っていた従来の回転圧入式打設に
比較して、装置の自重のみならず、それ以外の圧入力を
与えて貫入させるため、例えば、従来の600キログラム
程度の圧入力に対して、本発明では約４トンの圧入力が
得られたものであり、貫入力が大きく、或程度のガラ等
が混入していても充分施工可能であるという効果が得ら
れたものである。また、そのように貫入力が大きいた
め、Ｎ値30〜50の値点までも施工が可能であり、しかも
殆ど土質を選ばないという利点がある。勿論、本発明の
装置では、モンケン打設工法のように杭等を打撃するも
のでないし、且つ振動式のように水平方向の振動を与え
るものではないから、低騒音且つ無振動である。

更に、この発明では、圧入力を与える手段として油圧
シリンダを用いているので、回転圧入式に用いられてい
る油圧モータの油圧供給装置をそのまま利用して、油圧
シリンダに圧油を供給できるため装置の構成が容易とな
る利点がある。更に、かかる油圧シリンダの場合、その
作動時でも騒音を発生することがなく、また、リーダに
沿って垂直方向に配置するだけであるから、さほど大型
化することもない。加えて、第３図実施例で示すよう
に、リーダ等を作業車両に取り付ければ、運搬及び現場
での移動が容易であるとともに、いわゆるクローラ式の
作業車両を用いれば、かなりの地盤の悪いところでも比
較的容易に作業を行なえるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の実施例を示す回転圧入式杭打設装
置の正面図、第２図は、同じく第１図の打設装置による
杭打ち作業の途中の状態を示す正面図、第３図は、この
発明の装置を作業車両に取り付けた場合の実施例を示す
正面図である。 （１）……リーダ、（２）……油圧モータ、 （５）……油圧シリンダ、（10）……杭。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】その回転軸を杭上端へ連結する油圧モータ
   からなる回転力付与手段と、その回転力付与手段を昇降
   自在に支持するリーダと、前記回転力付与手段をワイヤ
   ーで下向きに引っ張って垂直下向きの圧入力を付与する
   油圧シリンダとからなることを特徴とする回転圧入式杭
   打設装置。