JP2592126Y2

JP2592126Y2 - 建築物の外部養生設備

Info

Publication number: JP2592126Y2
Application number: JP1993035903U
Authority: JP
Inventors: 英夫星野; 恭平高橋
Original assignee: 東海機工株式会社
Priority date: 1993-06-30
Filing date: 1993-06-30
Publication date: 1999-03-17
Anticipated expiration: 2008-06-30
Also published as: JPH076387U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、高層ビル等の建築物
の外側を覆うように養生壁を配設し、この養生壁を上昇
設置しながら建築を進めるようにした建築物の外部養生
設備に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の建築物の外部養生設備に
おいては、建築の進行に従って養生壁を上昇設置する場
合、複数の電動チェーンブロックを使用して養生壁を引
き上げたり、複数の油圧シリンダを使用して養生壁を押
し上げたりしていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが、この従来の
外部養生設備においては、電動チェーンブロックや油圧
シリンダを使用して養生壁を上昇設置しているため、建
築物の各階ごとに養生壁を上昇させて組み直す必要があ
った。このため、養生壁の上昇設置作業が非常に面倒で
時間がかかるという問題があった。

【０００４】この考案は、このような従来の技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、建築物の各階ごとに養生壁を上昇させて
組み直す必要がなく、養生壁の上昇設置作業を容易かつ
短時間に遂行することができる建築物の外部養生設備を
提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この考案では、建築物の外側を覆うように養生壁
を配設し、この養生壁を上昇設置しながら建築を進める
ようにした建築物の外部養生設備において、前記建築物
の既設部分の外縁にエンドレスウインチの駆動部を着脱
可能に取り付け、養生壁の内面の上部及び下部には滑車
を取り付け、エンドレスウインチの駆動部から上下に延
びるワイヤを両滑車に掛装して駆動部のシャーシに固定
したものである。

【０００６】

【作用】上記のように構成された建築物の外部養生設備
において、養生壁を上昇設置する場合には、エンドレス
ウインチの駆動部を建築物の既設部分から取り外した状
態で、その駆動部を駆動させると、ワイヤを介して駆動
部全体が引き上げられる。その後、エンドレスウインチ
の駆動部を建築物の既設部分に取り付けた状態で、その
駆動部を駆動させると、ワイヤ及び滑車を介して養生壁
が引き上げられる。これにより、養生壁を建築物の既設
部分から未設部分へ、容易かつ短時間に上昇させること
ができる。

【０００７】

【実施例】以下、この考案を具体化した建築物の外部養
生設備の一実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。

【０００８】図１〜図４に示すように、養生壁１は建築
物２の外側を覆うように配設される。この養生壁１は複
数の枠体３を横方向及び縦方向に組み付けて構成され、
この実施例では建築物２の４〜５階分を同時に覆うよう
に、１枚の養生壁１の寸法が横９ｍで縦１６．２ｍに形
成されている。

【０００９】図２及び図４〜図６に示すように、前記各
枠体３は複数の枠材４により四角枠状に形成され、その
中間部には網体５が張設されている。連結片６は養生壁
１の両側縁に突設され、この連結片６を介して隣接する
養生壁１間を連結できるようになっている。

【００１０】図１、図３及び図４に示すように、係止板
７は前記養生壁１の内面の上中下に所定間隔おきで固定
され、その上端縁及び内面には複数の係止部８が設けら
れている。各一対の取付板９は養生壁１に対応して建築
物２の既設部分における任意階の外端上面にアンカーボ
ルト等を介して固定され、その外端縁には取付フランジ
部１０が設けられている。

【００１１】図３〜図５に示すように、複数の支持板１
１は前記建築物２の既設部分における各階の外端上面に
アンカーボルト等を介して固定され、その外端縁及び内
端上面には係止部１２が設けられている。ブラケット１
３は各支持板１１の外端上面に固定され、その中間部に
はピン挿通孔１５を有する四角筒状の保持筒１４が固定
されている。

【００１２】図１、図４及び図７に示すように、一対の
エンドレスウインチとしてのチルクライマ（チルコーポ
レーションの商品名）の駆動部１６は前記建築物２の既
設部分において、取付板９の取付フランジ部１０に着脱
可能に取り付けられている。この駆動部１６はシャーシ
１７と、そのシャーシ１７に取り付けられたモータ１８
と、そのモータ１８により駆動される駆動滑車１９と、
シャーシ１７に回転可能に支持された第１及び第２の中
間滑車２０，２１とから構成されている。

【００１３】第１及び第２の上部滑車２２，２３は前記
各チルクライマの駆動部１６に対応して上部係止板７の
内面に回転可能に支持されている。第１及び第２の下部
滑車２４，２５は各チルクライマの駆動部１６に対応し
て下部係止板７の内面に回転可能に支持されている。

【００１４】チルクライマのワイヤ２６は前記駆動部１
６の駆動滑車１９に掛装され、その両端が駆動部１６か
ら上方及び下方に延長されている。そして、ワイヤ２６
の上方延長部２６ａは第１上部滑車２２、第１中間滑車
２０及び第２上部滑車２３を周回して、駆動部１６のシ
ャーシ１７上の固定部２７に固定されている。また、ワ
イヤ２６の下方延長部２６ｂは第１下部滑車２４、第２
中間滑車２１及び第２下部滑車２５を周回して、駆動部
１６のシャーシ１７上の固定部２８に固定されている。

【００１５】図３〜図５に示すように、一対の四角筒状
のガイド棒２９は取付アーム３０を介して前記養生壁１
の内面の上部及び中間係止板７に垂下固定され、その両
側面には多数のピン挿通孔３１が所定間隔おきに形成さ
れている。そして、このガイド棒２９が建築物２側のブ
ラケット１３上の保持筒１４に挿通されることによっ
て、養生壁１が建築物２の外側に昇降可能に配設保持さ
れている。

【００１６】ピン３２は前記各保持筒１４の近傍におい
て連結索３３を介してブラケット１３に連結支持され、
その先端には小孔３４が設けられている。そして、この
ピン３２を保持筒１４及びガイド棒２９のピン挿通孔１
５，３１に挿通して、その小孔３４に止め金３５を差し
込むことにより、養生壁１を建築物２の所定高さ位置に
保持して、その落下を防止することができる。

【００１７】チャンネル上のクランプ３６は前記建築物
２側における各ブラケット１３の先端に設けられ、養生
壁１側における枠体３の枠材４に相対移動可能に係合さ
れている。そして、養生壁１が所定高さ位置に配置され
た状態で、このクランプ３６をボルト３７により枠材４
に固定することにより、養生壁１の移動を規制すること
ができる。

【００１８】図３に示すように、複数のチェーンブロッ
ク３８は前記養生壁１側の係止板７の係止部８と建築物
２側の支持板１１の係止部１２との間に介装され、養生
壁１の重量を支持している。複数の棒ジャッキ３９は養
生壁１側の係止板７の係止部８と建築物２側の支持板１
１の係止部１２との間に介装され、養生壁１を起立状態
に保持している。

【００１９】次に、前記のように構成されたこの実施例
の建築物の外部養生設備について動作を説明する。さ
て、この建築物の外部養生設備において、建築物２の施
工が所定階まで終了して、養生壁１を上昇設置する場合
には、まずチルクライマの駆動部１６を建築物２側の取
付板９の取付フランジ部１０から取り外す。この状態
で、チルクライマの駆動部１６を駆動させて、モータ１
８により駆動滑車１９を図７の時計方向に回転させる
と、ワイヤ２６が上方延長部２６ａ側から引き込まれ
て、下方延長部２６ｂ側に繰り出される。これにより、
チルクライマの駆動部１６全体が引き上げられる。

【００２０】そして、チルクライマの駆動部１６が建築
物２における所定階の取付板９と対応する位置まで上昇
された時点で、モータ１８の回転を停止させ、駆動部１
６をその取付板９の取付フランジ部１０に取り付ける。
その後、保持筒１４及びガイド棒２９のピン挿通孔１
５，３１からピン３２を抜き取るとともに、ボルト３７
を緩めて、クランプ３６を養生壁１の枠材４に対する固
定状態から解放する。また、チェーンブロック３８及び
棒ジャッキ３９による養生壁１と建築物２との連結を解
放する。

【００２１】この状態で、チルクライマの駆動部１６を
再び駆動させて、モータ１８により駆動滑車１９を図７
の反時計方向に回転させると、ワイヤ２６が下方延長部
２６ｂ側から引き込まれて、上方延長部２６ａ側に繰り
出される。これにより、上部滑車２２，２３及び下部滑
車２４，２５に引上げ力が生起され、養生壁１が建築物
２の既設部分と対応する位置から未設部分へと上昇され
る。このとき、養生壁１側のガイド棒２９と建築物２側
の保持筒１４との係合により、養生壁１の上昇移動が案
内される。

【００２２】そして、養生壁１が所定位置まで上昇され
た時点で、モータ１８の回転を停止させる。この状態
で、保持筒１４及びガイド棒２９のピン挿通孔１５，３
１にピン３２を挿通するとともに、ボルト３７を締め付
けて、クランプ３６を養生壁１の枠材４に固定する。ま
た、チェーンブロック３８及び棒ジャッキ３９により養
生壁１と建築物２とを連結する。それにより、養生壁１
が建築物２の外側に沿って垂立状態に保持され、この状
態で建築物２の未設部分の施工を再開することができ
る。

【００２３】このように、この実施例の建築物の外部養
生設備においては、電動チェーンブロックや油圧シリン
ダを使用して、養生壁を上昇させている従来構成とは異
なり、チルクライマを使用して養生壁１を複数階分同時
に上昇させることができる。従って、建築物２の各階ご
とに養生壁１を上昇させて組み直す必要がなく、養生壁
１の上昇設置作業を容易かつ短時間に遂行することがで
きる。

【００２４】なお、この考案は前記実施例の構成に限定
されるものではなく、この考案の趣旨から逸脱しない範
囲で、例えば次のように各部の構成を任意に変更して具
体化することも可能である。（ａ）養生壁１が建築物２の３階分以上を同時に覆うよ
うに構成すること。（ｂ）滑車１９〜２５の数を適宜増減させ、それに対応
してワイヤ２６の掛装を行うこと。

【００２５】

【考案の効果】この考案は、以上説明したように構成さ
れているため、建築物の各階ごとに養生壁を上昇させて
組み直す必要がなく、養生壁の上昇設置作業を容易かつ
短時間に遂行することができるという優れた効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案を具体化した建築物の外部養生設備の
一実施例を示すもので、特に図２のＡ−Ａ線における断
面図である。

【図２】その建築物の外部養生設備の部分正面図であ
る。

【図３】図２のＢ−Ｂ線における断面図である。

【図４】同じく建築物の外部養生設備の平面図である。

【図５】図３のＣ−Ｃ線における部分拡大断面図であ
る。

【図６】隣接する養生壁間の連結構成を示す部分拡大横
断面図である。

【図７】チルクライマにおけるワイヤの掛装構造を示す
略体側面図である。

【符号の説明】

１…養生壁、２…建築物、１６…エンドレスウインチと
してのチルクライマの駆動部、１７…シャーシ、１８…
モータ、１９…駆動滑車、２０…第１中間滑車、２１…
第２中間滑車、２２…第１上部滑車、２３…第２上部滑
車、２４…第１下部滑車、２５…第２下部滑車、２６…
ワイヤ、２６ａ…上方延長部、２６ｂ…下方延長部、２
７…固定部、２８…固定部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E04G 3/14 E04G 21/32

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】建築物の外側を覆うように養生壁を配設
し、この養生壁を上昇設置しながら建築を進めるように
した建築物の外部養生設備において、前記建築物の既設部分の外縁にエンドレスウインチの駆
動部を着脱可能に取り付け、養生壁の内面の上部及び下
部には滑車を取り付け、エンドレスウインチの駆動部か
ら上下に延びるワイヤを両滑車に掛装して駆動部のシャ
ーシに固定したことを特徴とする建築物の外部養生設
備。