JP2589626B2 - 光学手段駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は光学式ディスク再生装
置もしくは記録・再生装置において用いられる光学手段
駆動装置に関し、特に光スポットの焦点制御とトラッキ
ング制御を行なう装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図９は従来の光学手段駆動装置を示す斜
視図であり、図１０はこの装置の組立図である。この装
置の構成について説明すると、これらの図において、コ
イルホルダ３の上部中央に固定されたアルミ材の軸受５
に、その表面をテフロン系樹脂などの低摩擦係数の材料
でコーティングした支軸４が嵌入され、コイルホルダ３
は支軸４の軸方向に摺動自在にかつ支軸４の周りに回動
自在に設けられている。コイルホルダ３の上部の片側に
は支軸４から隔てて鏡筒２が固定されており、この鏡筒
２に対物レンズ１が装着されている。コイルホルダ３の
側部には焦点制御用コイル６が巻き付けられており、さ
らにコイルホルダ３の四隅にはトラック制御用コイル７
ａ，７ｂ，７ｃ，７ｄ（７ｃは図示せず）が設けられて
いる。コイルホルダ３の幅方向の両側部には、コイルホ
ルダ３と隔ててかつこれと対向して永久磁石８ａ，８ｂ
が設けられている。永久磁石８ａ，８ｂはコイルホルダ
３の長さ方向に着磁されており、永久磁石８ａ，８ｂの
背面にはそれぞれ鉄板９ａ，９ｂが張り付けられてい
る。コイルホルダ３の長さ方向の両側部にはコの字型の
ゴム弾性体１０ａ，１０ｂ（１０ｂは図示せず）が設け
られている。ゴム弾性体１０ａの一方の端部１０２ａは
コイルホルダ３の上部に固定されており、その他方の端
部１０１ａは固定台（図示せず）に固定されている。ゴ
ム弾性体１０ｂの端部についても同様に固定されてい
る。ゴム弾性体１０ａ，１０ｂはコイルホルダ３の摺動
および回動動作を規制する。

【０００３】次に、この装置の光スポットの焦点制御お
よびトラッキング制御動作について説明する。対物レン
ズ１からの光スポットによりディスクに記録された情報
の再生時、光スポットのディスク面に対する焦点ずれが
ある場合にはそのずれ量が検知され、この検知されたず
れ量に応じた電流が焦点制御用コイル６に流れる。この
とき、焦点制御用コイル６に流れる電流と永久磁石８
ａ，８ｂの磁束との相互作用によってコイルホルダ３が
支軸４に対してその軸方向に摺動され、対物レンズ１が
矢印Ｂ方向に移動されて光スポットの焦点ずれが補正さ
れる。同様に、光スポットのトラックに対するトラック
ずれがある場合にはそのずれ量が検知され、この検知さ
れたずれ量に応じた電流がトラック制御用コイル７ａ，
７ｂ，７ｃ，７ｄに流れる。このとき、焦点制御用コイ
ル７ａ，７ｂ，７ｃ，７ｄに流れる電流と永久磁石８
ａ，８ｂの磁束との相互作用によってコイルホルダ３が
支軸４の周りに回動され、対物レンズ１が矢印Ａ方向、
すなわちトラッキング方向に移動されて光スポットのト
ラックずれが補正される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の光学手段駆動装
置は以上のように構成されているので、焦点制御用コイ
ル６，トラック制御用コイル７ａ，７ｂ，７ｃ，７ｄの
利用効率が低く、またゴム弾性体１０ａ，１０ｂの形
状，取付位置が悪く対物レンズ１のトラッキング方向の
位置が定まりにくいという欠点があった。特に、この光
学手段駆動装置を光磁気ディスク装置に用いる場合に
は、ディスク面における永久磁石８ａ，８ｂからの漏れ
磁束が大きく問題となっていた。

【０００５】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、ディスク面における漏れ磁束
を低減させることができるように改良された光学手段駆
動装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に従う光学手段
駆動装置は、情報が記録されたディスクの情報トラック
に対する光スポットのトラックずれおよび上記ディスク
の情報記録面に対する上記光スポットの焦点ずれを検知
し、上記光スポットを形成するレンズの位置を上記トラ
ックずれおよび焦点ずれの検知量に応じて駆動制御し、
駆動制御された上記レンズから照射される上記光スポッ
トによって上記情報トラックから情報を光学的に記録ま
たは再生するものである。当該装置は、所定の軸線の周
りに回動可能で、かつ上記軸線に沿って移動可能なレン
ズホルダと、上記レンズホルダの上記軸線から偏心した
位置に支持され、かつその光軸が上記軸線とほぼ平行に
なるように支持されたレンズと、上記光スポットの焦点
ずれ量およびトラックずれ量に基づいて上記光スポット
の上記焦点制御および上記トラッキング制御を行なうた
めの駆動制御部とを備える。上記駆動制御部は、ヨーク
と、上記軸線に対して対称な位置に設けられた永久磁石
とから構成される。上記軸線から離間した位置で上記レ
ンズが配置される部分が切欠かれた磁性体を、上記ディ
スクと上記駆動制御部との間に設けている。

【０００７】

【０００８】

【作用】この発明によれば、軸線から離間した位置でレ
ンズが配置される部分が切欠かれた磁性体を、ディスク
と駆動制御部との間に設けているので、そのシールド効
果により、永久磁石による漏れ磁束がディスクの面に漏
れていくのが防止される。また、レンズが、レンズホル
ダの軸線から偏心した位置に支持されている。シールド
すべき漏れ磁束は磁気回路中心が最大であるが、磁気回
路中心と光スポット位置とを離して形成しているので、
光スポット位置への漏れ磁束が大きく低減される。

【０００９】

【実施例】以下、この発明の実施例ごとについて説明す
る。

【００１０】図１は、この発明に係る光学手段駆動装置
が用いられる光学式ディスク装置の概略構成を示す図で
ある。この光学ディスク装置の構成について説明する
と、図において、ディスク３０には螺旋状にトラック３
１が設けられており、このトラック３１に情報が記録さ
れている。その一方側に対物レンズ１を有する光学手段
駆動装置３２は移動装置３３に固定されている。ディス
ク３０に記録された情報の再生時には、ディスク３０が
回転し、移動装置３３がディスク３０の半径方向、すな
わち矢印Ｃ方向に移動して、対物レンズ１からの光スポ
ットがディスク３０のトラック３１を追尾する。このと
き、後述するように、光スポットのディスク３０面に対
する焦点ずれおよびトラック３１に対するトラックずれ
が補正されるように、光スポットの焦点制御およびトラ
ッキング制御が行なわれる。

【００１１】図２はこの発明の実施例である光学手段駆
動装置の平面図であり、図３は図２のＩ−Ｉ線断面図で
あり、図４はこの装置の組立図である。この装置の構成
について説明すると、これらの図において、支軸４は移
動装置３３に固定的に設けられており、この支軸４の下
部に内側ヨーク２２が固定的に設けられている。また、
内側ヨーク２２上に支軸４の周りに同心円状に扇型の永
久磁石２０ａ，２０ｂが固定的に設けられており、永久
磁石２０ａ，２０ｂ上にそれぞれ扇型の外側ヨーク２１
ａ，２１ｂが固定的に設けられている。

【００１２】図５は、内側ヨーク２２，永久磁石２０
ａ，２０ｂおよび外側ヨーク２１ａ，２１ｂから構成さ
れる磁気回路部の平面図であり、図６は図５のＩＩ−Ｉ
Ｉ線断面図である。さらに、外側ヨーク２１ａ，２１ｂ
上に固定ホルダ１４が固定的に設けられている。また、
支軸４の上部には、支軸４の軸方向に摺動自在にかつ支
軸４の周りに回動自在に軸受を兼ねる可動ホルダ１３が
設けられている。可動ホルダ１３の一方側の支軸４から
一定距離隔てた位置に鏡筒２が保持されており、この鏡
筒２に支軸４の軸方向と平行な光軸を有する対物レンズ
１が装着されている。また、可動ホルダ１３の他方側の
支軸４から一定距離隔てた位置に、対物レンズ１とのバ
ランスをとるカウンタウェート１２が保持されている。
支持ゴム１１は可動ホルダ１３上および固定ホルダ１４
上に支軸４を囲んで輪状に延びており、支持ゴム１１の
一部は鏡筒２の側部およびカウンタウェート１２の側部
で可動ホルダ１３に固定され、その他の一部は固定ホル
ダ１４にねじ１５ａ，１５ｂで固定されている。支持ゴ
ム１１は可動ホルダ１３の摺動および回動動作を規制す
る。また、支持ゴム１１は平板形状をしており、その断
面形状は支軸４の軸方向に垂直な方向の幅が支軸４の軸
方向と平行な方向の厚さよりも大きくなっていて、矢印
Ａのトラッキング方向における対物レンズ１の定位性が
優れた形状となっている。このため対物レンズ１に入射
する光束（図示せず）に対する光軸ずれの信頼性が向上
している。また、可動ホルダ１３の下部にコイルボビン
１６が固定的に設けられており、その支軸４の軸方向の
円筒側壁部上には、図７に示されるように焦点制御用コ
イル１７およびトラック制御用コイル１８ａ，１８ｂ，
１８ｃ，１８ｄ（１８ｄは図示せず）が設けられてい
る。図７はコイルボビン上でのこれらコイルのコイルア
センブリを示す斜視図である。内側ヨーク２２と永久磁
石２０ａ，２０ｂおよび外側ヨーク２１ａ，２１ｂ間に
はギャップ５０が設けられており、このギャップ５０に
コイルボビン１６の支軸４の軸方向の円筒側壁部および
焦点制御用コイル１７およびトラック制御用コイル１８
ａ，１８ｂ，１８ｃ，１８ｄが挿入されるように構成さ
れている。また、支持ゴム１１上部には、磁性体の平板
で形成されるカバー１９が設けられている。

【００１３】図８は、この発明の実施例である光学手段
駆動装置における光スポットの焦点制御およびトラッキ
ング制御系のブロック図である。

【００１４】次に、この装置の光スポットの焦点制御動
作およびトラッキング制御動作について図８を参照しな
がら説明する。ディスク３０の反りやディスク３０面の
上下振れなどの外乱により、対物レンズ１からの光スポ
ットのディスク３０面に対する焦点ずれやトラック３１
に対するトラックずれが生じると、これらずれが光検知
装置４０で検知され、制御装置４１はこれら検知された
ずれ量に応じて光学手段駆動装置３２を制御して、光ス
ポットの位置を補正する。すなわち、光スポットの焦点
ずれが検知された場合には、このずれ量に応じた電流が
焦点制御用コイル１７に流れ、このコイルに流れる電流
は永久磁石２０ａ，２０ｂにより内側ヨーク２２と外側
ヨーク２１ａ，２１ｂ間のギャップ５０に発生する磁束
と作用して可動ホルダ１３は支軸４に対してその軸方向
に摺動され、対物レンズ１が矢印Ｂ方向に移動されて光
スポットの焦点ずれが補正される。同様に、光スポット
のトラックずれが検知された場合には、このずれ量に応
じた電流がトラック制御用コイル１８ａ，１８ｂ，１８
ｃ，１８ｄに流れ、これらコイルに流れる電流は上記磁
束と作用して可動ホルダ１３は支軸４の周りに可動さ
れ、対物レンズ１が矢印Ａのトラッキング方向に移動さ
れて光スポットのトラックずれが補正される。このと
き、支持ゴム１１により対物レンズ１の定位性が十分確
保され、光スポットのトラッキング制御が適正に実現さ
れる。

【００１５】また、バイアス磁界中で記録・消去を行な
う光軸ディスク装置においては、一般にこうした光学手
段駆動装置で使用する永久磁石による漏れ磁界が問題と
される。これはディスク記録面における磁界の強さが２
００〜５００エルステッド程度の小さな値で情報の記録
・消去が行なわれるからであるが、これまで、数１００
０ガウス程度の磁束密度を利用する光学手段駆動装置の
漏れ磁界を問題のないと考えられる５０エルステッド以
下に抑えるのが困難であった。このため、この発明に係
る光学手段駆動装置においては、問題とする対物レンズ
１付近の漏れ磁束を小さくするために対物レンズ１周辺
の永久磁石を取除き、図５に示すように永久磁石２０
ａ，２０ｂを扇型としている。これにより永久磁石２０
ａ，２０ｂのある部分と永久磁石２０ａ，２０ｂのない
対物レンズ１付近のディスク面上での漏れ磁界を従来の
ものに比べて１／２以下とすることができる。さらに、
カバー１９を磁性体の平板で構成しているので、シール
ド効果によりディスク面上の漏れ磁界をさらに小さくす
ることができる。

【００１６】また、可動ホルダ１３を摺動および回動す
るための磁気回路部を、コイルボビン１６の支軸４の軸
方向の円筒側壁部に焦点制御用コイル１７およびトラッ
ク制御用コイル１８ａ，１８ｂ，１８ｃ，１８ｄを設
け、これらを内側ヨーク２２と、扇型の永久磁石２０
ａ，２０ｂおよび外側ヨーク２１ａ，２１ｂ間のギャッ
プ５０に挿入するようにして構成しているので、焦点制
御用コイル１７およびトラック制御用コイル１８ａ，１
８ｂ，１８ｃ，１８ｄの利用効率を向上することができ
る。

【００１７】また、支持ゴム１１は同一厚さの平面形状
であるため、これをゴム板をプレス加工するなどの簡単
な方法で安価に製作することができる。

【００１８】

【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、軸線か
ら離間した位置でレンズが配置される部分が切欠かれた
磁性体を、ディスクと駆動制御部の間に設けているの
で、磁性体のシールド効果により永久磁石によるディス
ク面への漏れ磁束が防止されるという効果を奏する。ま
た、レンズを、レンズホルダの軸線から偏心した位置に
形成している、すなわち、シールドすべき漏れ磁束が最
大である部分から、光スポット位置を離して形成してい
るので、光スポット位置への漏れ磁束が大きく低減され
る。その結果、情報の記録・消去が正確に行なえるよう
になるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る光学手段駆動装置が用いられる
光学式ディスク装置の概略構成を示す図である。

【図２】この発明の実施例である光学手段駆動装置の平
面図である。

【図３】図２のＩ−Ｉ線断面図である。

【図４】この装置の組立図である。

【図５】内側ヨーク、永久磁石および外側ヨークから構
成される磁気回路部の平面図である。

【図６】図５のＩＩ−ＩＩ線断面図である。

【図７】この発明に係る光学手段駆動装置におけるコイ
ルボビン上での焦点制御用コイルおよびトラック制御用
コイルのコイルアセンブリを示す斜視図である。

【図８】この発明の実施例である光学手段駆動装置にお
ける光スポットの焦点制御およびトラッキング制御系の
ブロック図である。

【図９】従来の光学手段駆動装置を示す斜視図である。

【図１０】この装置の組立図である。

【符号の説明】

１ 対物レンズ ２ 鏡筒 ３ コイルホルダ ４ 支軸 ５ 軸受 ６ 焦点制御用コイル １７ 焦点制御用コイル ７ａ トラック制御用コイル ７ｂ トラック制御用コイル ７ｄ トラック制御用コイル １８ａ トラック制御用コイル １８ｂ トラック制御用コイル １８ｃ トラック制御用コイル ８ａ 永久磁石 ８ｂ 永久磁石 ２０ａ 永久磁石 ２０ｂ 永久磁石 １０ａ ゴム弾性体 １１ 支持ゴム １２ カウンタウェート １３ 可動ホルダ １４ 固定ホルダ １６ コイルボビン １９ カバー ２１ａ 外側ヨーク ２１ｂ 外側ヨーク ２２ 内側ヨーク ３０ ディスク ３１ トラック ３２ 光学手段駆動装置 ３３ 移動装置 ４０ 光検知装置 ４１ 制御装置

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 情報が記録されたディスクの情報トラッ
   クに対する光スポットのトラックずれおよび前記ディス
   クの情報記録面に対する前記光スポットの焦点ずれを検
   知し、前記光スポットを形成するレンズの位置を前記ト
   ラックずれおよび焦点ずれの検知量に応じて駆動制御
   し、駆動制御された前記レンズから照射される前記光ス
   ポットによって前記情報トラックから情報を光学的に記
   録または再生するディスク装置において、 所定の軸線の周りに回動可能で、かつ前記軸線に沿って
   移動可能なレンズホルダと、 前記レンズホルダの前記軸線から偏心した位置に支持さ
   れ、かつその光軸が前記軸線とほぼ平行になるように支
   持されたレンズと、 ヨークと前記軸線に対して対称な位置に設けられた永久
   磁石とから成り、前記光スポットの焦点ずれ量およびト
   ラックずれ量に基づいて前記光スポットの前記焦点制御
   および前記トラッキング制御を行なうための駆動制御部
   とを備え、 前記軸線から離間した位置で前記レンズが配置される部
   分が切欠かれた磁性体を、前記ディスクと前記駆動制御
   部との間に設けたことを特徴とする光学手段駆動装置。
2. 【請求項２】 前記駆動制御部は、前記集光手段の可動
   範囲以外の部分に前記軸の周りに同心円状に設けられる
   要部と永久磁石とを含む特許請求の範囲第１項に記載の
   光学手段駆動装置。