JP2589529B2 - 曲面太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、小さな曲率半径の透明曲面板に太陽電池素
子を貼り合わせ一体化できる曲面太陽電池モジュールの
製造方法に関し、更に詳しくは、透明曲面板と太陽電池
素子との間隔変化に応じて透明樹脂からなる複数の中間
膜層を局所的且つ段階的に積層することにより、太陽電
池素子の貼り合わせ曲率を調整しながら透明曲面板に貼
り合わせる方法に関するものである。

［従来の技術］ 太陽電池モジュールを例えば自動車その他の両者に搭
載する場合には、走行特性上あるいはデザイン上等の観
点から自動車ルーフの曲面形状に対応した曲面構造とす
るのが望ましい。自動車のルーフガラスは車体の曲面形
状に合わせて成形されるから、かなり複雑な形状を呈し
曲率半径が小さい場合もある。それに対して太陽電子素
子として例えばガラス基板アモルファス太陽電池素子を
用いると、その曲げ強度の関係により、ある曲率半径以
下に曲げると素子が割れる虞れがあり自ずから一定の限
界がある。

そこで従来技術としては、平板基板上に配置した太陽
電池素子を透明樹脂層を介して曲面ガラスに貼り合わせ
る技術（例えば実開昭57−192853号参照）や、太陽電池
素子を小さく分割して曲面ガラスに沿ってそれらを貼り
合わせる技術（例えば実開昭62−105047号参照）等が提
案されている。

［発明が解決しようとする課題］ ところが平板状態にある太陽電池素子と曲面ガラスと
を組み合わせる構成では、ガラス中央部の貼り合わせ厚
みが増し光透過量が減少して太陽電池出力が小さくなる
問題がある。これは特に曲面ガラスの曲率半径が小さく
なるほど甚だしい。また太陽電池素子を搭載した基板が
平板状態であるため車両に搭載した場合には車内空間が
狭くなってしまう。

それに対して太陽電池素子を小さく分割して曲面ガラ
スに沿って貼り合わせる構成では、貼り合わせる素子の
寸法が制限され、大面積の太陽電池素子を使用すること
ができない問題がある。この問題は特に曲面ガラスの曲
率半径が小さくなるほど甚だしくなり、より小面積の太
陽電池素子を多数貼り合わせなければならなくなってし
まう。

本発明の目的は、上記のような従来技術が有する諸課
題を解決し、透明曲面板の曲率半径が小さくても、それ
より曲率半径の大きな太陽電池素子を貼り合わせること
が可能であり、光透過率の減少も最低限度に抑えること
ができ、また太陽電池素子を小さく分割する必要もな
く、任意の曲面形状の透明曲面板に容易に対応すること
ができる曲面太陽電池モジュールの製造方法を提供する
ことにある。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成できる本発明は、透明曲面板と太陽
電池素子との間に、両者の間隔の変化に応じて該間隔が
広い部分ほど多層になるように透明な樹脂からなる中間
膜層を局所的且つ段階的に積層して貼り合わせ、前記太
陽電池素子が湾曲した状態で一体化する曲面太陽電池モ
ジュールの製造方法である。

ここで太陽電池素子は例えばガラス基板アモルファス
シリコン太陽電池素子等であり、その許容曲げ曲率半径
に応じた湾曲状態で貼り合わせられる。透明曲面板は、
ガラスのみならずポリカーボネートあるいはアクリル等
のプラスチック成形体であってもよい。また中間膜の厚
みは0.1〜1mm程度が適当である。

［作用］ 本発明では透明曲面板と太陽電池素子との間に、両者
の間隔の変化に応じて透明中間膜層を局所的且つ段階的
に積層して貼り合わせるから、透明曲面板が小さな曲率
半径をなしていても大きな曲率半径の太陽電池素子を貼
り合わせることができる。中間膜層の形状と積層状態を
調整するだけで複雑な曲げ形状の透明曲面板に対応でき
るし、その曲率半径が小さくなっても透明中間膜層を極
力薄くし光透過量の減少を抑制できる。また車両搭載用
の場合は車内空間が広くなり、様々なルーフ形状の車種
に容易に対応できる。

［実施例］ 第１図は本発明に係る曲面太陽電池モジュールの製造
方法の一実施例を示す説明図である。

この実施例に示す曲面太陽電池モジュール10は、曲面
ガラス12と太陽電池素子14とを組み合わせて一体化され
る。曲面ガラス12は板厚が２〜6mm程度で曲率半径が500
0mm以下の湾曲形状をなすものである。それに対して太
陽電池素子14はアモルファスシリコン太陽電池に代表さ
れる0.3〜2mmの厚みのガラス基板を用いた太陽電池素子
である。

本実施例では曲面ガラス12と太陽電池素子14との間に
３層の中間膜層16a,16b,16cが配置される。また太陽電
池モジュール14の裏面側には同じ材質の中間膜層16dお
よび裏面フィルム18が配置される。

中間膜層16a,…,16dとしては、シート状のEVA（エチ
レンビニルアセテート）等の熱架橋硬化性樹脂あるいは
PVB（ポリビニルブチラール）等の熱軟化性樹脂が用い
られる。曲面ガラス12と太陽電池素子14との間に位置す
る中間膜層16a,…,16cは曲面ガラス12の曲率半径に応じ
て湾曲部の中央ほど厚く周辺部ほど薄くなるように段階
的に形状が異なるように裁断されている。つまり表面側
の中間膜層ほど漸次形状を小さくし積層枚数を多くして
周辺側ほど積層枚数を少なくして重ね合わせる。本実施
例では３層構造となっているが、曲面ガラス12の曲率半
径と太陽電池14の許容曲げ曲率半径に応じて積層数は適
宜調整する。これら中間膜層の厚みは0.1〜1mm程度が適
当である。

裏面フィルム18は例えばPVF（ポリフッ化ビニル）の
ような防湿性フィルムが望ましい。

これらの各部材はどのような順序で貼り合わせてもよ
い。例えば曲面ガラス12を基準として中間膜層16a,…,1
6c、太陽電池素子14等の順序で順次１枚ずつ貼り合わせ
てもよいし、数枚ずつ或いは全体を一度に接着してもよ
い。

このようにして製造した曲面太陽電池モジュールの断
面を第２図に示す。接着によって中間膜層16は一体構造
となり、太陽電池素子14が保護されると共に、曲面ガラ
ス12と太陽電池素子14とが強固に結合される。

なお透明曲面板としては上記実施例に示す曲面ガラス
に代えてポリカーボネートあるいはアクリル等のプラス
チック成形体を用いてもよい。またその透明曲面板の全
体形状としてはロール状の２次元曲げ構造の他、球状の
３次元曲げ形状でもよいし、自動車のルーフガラスのよ
うな複雑な曲げ形状でもよい。自動車のルーフガラスに
応用した例を第３図に示す。ここで符号20で示す部材が
曲面太陽電池モジュールである。

本発明は上記のように曲率半径が小さく複雑な曲面形
状の場合にも対応できるため様々な用途に適用できる。
例えば第４図はガラス瓦22に曲面太陽電池モジュール24
を組み込んだ例であり、第５図は交通警告灯26に曲面太
陽電池モジュール28を組み込んだ例である。

［発明の効果］ 本発明は上記のように、透明曲面板と太陽電池素子と
の間に両者の間隔の変化に応じて透明樹脂からなる中間
膜層を局所的且つ段階的に積層して貼り合わせ一体化す
る曲面太陽電池モジュールの製造方法であるから、透明
曲面板が小さな曲率半径を有する形状であったり複雑な
曲面形状を有する場合であっても、湾曲した太陽電池素
子を貼り合わせることができる効果がある。

このため透明曲面板の曲率半径が小さくても中間膜層
が極端に厚くなるのを防止でき、光透過率の減少が抑制
され太陽電池素子の持つ性能を十分発揮させることがで
きるし、デザイン上あるいは用途の特性上等からくる複
雑な透明曲面板の形状要求に対応することができる。特
に車両搭載用等の場合には太陽電池素子も湾曲している
ため車内空間を広くすることができる。

また本発明では貼り合わせる太陽電池素子の寸法に制
約がないため太陽電池素子を分割する必要もなく大きな
曲面太陽電池モジュールでも奇麗に仕上げることが可能
となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る曲面太陽電池モジュールの製造方
法の一実施例を示す説明図、第２図はそれにより得られ
た曲面太陽電池モジュールの断面図、第３図は曲面太陽
電池モジュールを自動車ルーフガラスに適用した例を示
す説明図、第４図はガラス瓦に適用した例を示す説明
図、第５図は交通警告灯に適用した例を示す説明図であ
る。 10……曲面太陽電池モジュール、12……曲面ガラス、14
……太陽電池素子、16a,16b,16c,16d,16……中間膜層、
18……裏面フィルム、20,24,28……曲面太陽電池モジュ
ール。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】透明曲面板と太陽電池素子との間に、両者
   の間隔の変化に応じて該間隔が広い部分ほど多層になる
   ように透明な樹脂からなる中間膜層を局所的且つ段階的
   に積層して貼り合わせ、前記太陽電池素子が湾曲した状
   態で一体化することを特徴とする曲面太陽電池モジュー
   ルの製造方法。