JP2588895Y2

JP2588895Y2 - タフトカーペット

Info

Publication number: JP2588895Y2
Application number: JP1993033973U
Authority: JP
Inventors: 裕伊藤; 久治 ▲くわ▼原
Original assignee: Kuraray Co Ltd
Current assignee: Kuraray Co Ltd
Priority date: 1993-06-23
Filing date: 1993-06-23
Publication date: 1999-01-20
Anticipated expiration: 2008-06-23
Also published as: JPH076293U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ポリエステル製のタフ
トカーペットに係り、より詳細には、該タフトカーペッ
トをその素材的に再成形、再利用可能に構成する場合
の、軽くて寸法安定性の良好なポリエステル製タフトカ
ーペットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のタフトカーペットは、一次基布に
ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等を用いた織物
や不織布が用いられ、これにパイルを植設後該一次基布
裏面をラテックス等のゴム物質で固定し、さらにその下
にジュート織物や塩化ビニル樹脂等のシートからなる二
次基布を一体化して構成している。しかし、これら従来
のカーペットは、その使用素材が異種バラバラで、該カ
ーペット素材を再利用しようとしても、その素材ごとに
分離することが必須となり、このための関連工程をも含
めた工程は手間がかかり過ぎ、採算上実現困難な状態で
ある。従って、本考案の大きな目的は、使用後のタフト
カーペットを再成形、再利用可能に構成することである
が、これを前提に、軽くて寸法（形態）安定性の良好な
ポリエステル製タフトカーペットを得るには、該カーペ
ットをいかに構成したらよいか、未だ提案されていな
い。

【０００３】即ち、従来のカーペットは、その形態安定
性を高める手法として、パイル抜け防止に使われるラテ
ックス等接着材層を厚くするとか、また裏張り材層（二
次基布）を厚く、重くすることによって達成しているの
が一般的であるが、この厚くて重いカーペットを薄くて
軽くするために、例えば、単に二次基布を取り除くのみ
では、無論上記の如き再利用できるものとならないばか
りか、皺になり易く、伸び易く、または耐久性に劣った
ものとしかならないのである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】従って本考案は、使用
後のタフトカーペットが再成形、再利用し易いポリエス
テル製カーペットで、しかもそのタフトカーペットが軽
くて、形態安定性の良好なカーペットを創出し提供せん
とするものである。また本考案は、上記カーペットの特
性を保有しつつ、さらに弾力性があり、滑り難いポリエ
ステル製タフトカーペットを創出し提供せんとするもの
である。さらにまた本考案は、安価なタフトカーペット
を創出し提供せんとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案者は以上のような
要求を満足できるポリエステル製タフトカーペットにつ
き検討し、該カーペットを次ぎのように構成することに
よってその目的が達せられることを見いだした。すなわ
ち、本考案の第一の考案は、「パイルおよび該パイルを
植設する一次基布が共に熱可塑性ポリエステル樹脂材料
からなるタフトカーペットであって、一次基布は、その
裏面側で、熱融着性ポリエステル系バインダー繊維を含
有したポリエステル系繊維からなるウェブを一体化させ
たものであり、パイル基部が、該一次基布に、ポリエス
テル系樹脂からなる水溶性樹脂あるいは水分散性樹脂で
固定され、さらに該一次基布が、前記バインダー繊維で
の融着により安定化されていることを特徴とするタフト
カーペット。」として構成するものである。また、また
第二の考案は、「上記に記載のタフトカーペット裏面
に、さらに該カーペット素材と同種の熱可塑性ポリエス
テル樹脂からなる見掛け密度０．０４〜０．２０ｇ／ｃ
ｍ³、厚み０．３〜１．０ｃｍの弾力性を有する不織シ
ートを一体化してなるタフトカーペット。」として構成
するものである。

【０００６】図１は、本考案のポリエステル製タフトカ
ーペットを説明する該カーペットの部分的な拡大断面図
であり、符号１はパイル、符号２は一次基布を示し、該
パイル１はポリエチレンテレフタレートよりなる、いわ
ゆるポリエステル繊維で構成されており、また該基布２
もポリエステル繊維からなる織物、不織布で構成されて
いる。ところで、このパイル１の固定を行うための接着
剤は、前記のように本考案の目的がカーペット素材の再
成形、再利用を前提とするものであるので、パイルなら
びに一次基布の素材との関係で、通常のラテックスを使
用することはできない。したがって、パイルおよび一次
基布素材と同種の樹脂で接着固定することとなると、水
溶性あるいは水分散性のポリエステル樹脂液を使用する
こととなるが、これを使用しようとしても、単に該樹脂
液を一次基布２の裏面に塗布したのみでは、該水溶液あ
るいは分散液が一次基布２の裏面側から表面側に浸透し
パイル表面基部に至り、該パイルの風合を硬くしてしま
い、商品としての価値のないものとなってしまう不都合
が生ずるのである。

【０００７】したがって、本考案はこの不都合を克服す
るために、一次基布２の裏面に、同種ポリエステル繊維
からなるウェブ３を予めニードリングなどで一体化して
おくものである。すなわち、このウェブの一体化された
一次基布２（以後、これを、わた付き基布２と記す場合
がある）にパイル１を植設後（タクト後）、裏面より水
溶性あるいは水分散性ポリエステル樹脂液を含浸させれ
ば、含浸させても該樹脂液は該ウェブに留どまり、一次
基布２の表面側にわずかにしか浸透することがなく、し
たがって表面側パイルの風合を硬くしてしまうという不
都合が解消できる点が本考案の第１の肝要点であり、水
溶性あるいは水分散性のポリエステル樹脂液含浸後、乾
燥処理を行うことによってパイル１の固定ができるもの
である。

【０００８】しかも本考案においては、前記わた付き基
布２を単に用いたのではその基布２の寸法安定性および
パイル糸引抜き強力が乏しいので、該わた（ウェブ３）
中に予めこれもポリエステル系の熱接着性繊維（バイン
ダー繊維）４を配合しておくものであり、これにより、
前記水溶性あるいは水分散性ポリエステル樹脂液の接着
のための乾燥熱処理によって、ウェブ３自体および該ウ
ェブ３と一次基布２とを、また該基布とパイル糸とを強
固に固定し、パイル糸引抜き強力を高め、さらに該一次
基布２の寸法（形態）安定性を高めたものであり、この
点が本考案での第２の肝要点である。

【０００９】本考案でのポリエステル繊維あるいはポリ
エステルテープヤーン等からなる一次基布２としては、
通常のタフトカーペットの場合に用いられる織物あるい
は不織布からなる基布条件が採用されるが、該目付けと
しては９０〜１８０ｇ／ｍ²の基布が好ましい。

【００１０】また該基布２の裏面に一体化するポリエス
テル繊維からなるウェブ３としては、その単繊維繊度が
２〜２０デニールからなる繊維からなり、またその目付
けが１００〜４００ｇ／ｍ²であるものが好ましい。１
００ｇ／ｍ²未満では接着剤としての前記水溶液あるい
は分散液の保持が不十分となり好ましくない。また４０
０ｇ／ｍ²を越すものとなっては該基布２にパイル１を
植設する際に、タフトニードルへの抵抗が大きくなり、
好ましくない。

【００１１】このウェブ３は、一般にニードリングを用
い、一次基布２に、該一次基布２をも含めた全体の厚み
で４ｍｍ前後の厚みとなるように一体化するのが好まし
い。この厚みがあまり薄くては前記接着剤としての分散
液の一次基布表面側への浸透が防げず、また厚過ぎると
今度はパイル植設不良およびパイルの接着固定が出来な
くなる。

【００１２】また、このウェブ３に配合させるポリエス
テル製バインダー繊維４は、従来からのポリエステル系
バインダー繊維としてしられている繊維が用いられる
が、本考案においては、このバインダー繊維によって一
次基布２の形態安定性およびパイル抜糸強力向上を高め
るものである点から、このバインダー繊維が、低融点成
分のみからなる繊維よりも、一方が低融点成分、他方が
高融点成分（強力保持成分）からなる、すなわち共重合
ポリエステル／ポリエステル型の鞘芯構造あるいはサイ
ドバイサイド構造の強度保持成分を有する複合繊維型バ
インダー繊維であることが、より好ましい。このような
共重合ポリエステル／ポリエステル型の複合繊維として
は、例えば共重合ポリエステル成分がエチレンイソフタ
レート単位を２０〜５０モル％含むエチレンテレフタレ
ート単位からなるポリエステルで、ポリエステル成分が
実質上エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタ
レート単位のみからなるポリエステル、で構成される繊
維である。もっとも、本考案においては、この複合バイ
ンダー繊維に限られるものではない。

【００１３】本考案では、ウェブ３中に、このバインダ
ー繊維４を予め配合しておくことによって、パイル１の
接着固定のための乾燥熱処理によって、該バインダー繊
維４の低融点成分が熔融し、該バインダー繊維４を含ん
だわた（ウェブ３）および該ウェブ３を一体化させた一
次基布２が、該バインダー繊維４で固定されるのであ
り、これにより該一次基布２および該基布に植設された
パイル糸は、該一次基布２のみで伸び縮みの少ない寸法
安定性の優れたものとなり、さらにパイル引抜き強力も
高くなるのである。したがって、本考案の第一考案にお
いては、そのカーペットが、使用後再成形、再利用可能
で、軽くて、形態安定性の優れたタフトカーペットとな
るのである。

【００１４】図２は、上記第一考案のわた付き一次基布
２の裏面にさらに弾力性不織布シートを一体化すること
によって、第一考案カーペットでの弾力性、滑りを改善
する第二考案を示す部分的な拡大断面図である。わた付
き一次基布２の裏面に一体化するポリエステル繊維、ポ
リエステル樹脂からなる不織シートの密度としては、そ
の見掛け密度が０．０４〜０．２０ｇ／ｃｍ³のもの
で、厚みが０．３〜１．０ｃｍに構成すればよいことが
解った。下限未満の密度では柔らかすぎ、また上限密度
を越えるものでは硬すぎるものとなり、好ましくない。

【００１５】このような密度の不織布シートは、例えば
５〜２０デニールのポリエステル繊維に、２〜１０デニ
ールの芯鞘型構造のポリエステル系バインダー繊維が２
０〜５０％混綿されてカードウエッブを所定厚みに積層
して熱融着する方法、あるいは５〜２０デニールのポリ
エステル繊維からなるカードウエッブを所定厚さに積層
してニードリングにより一体化し、さらにポリエステル
系水溶性樹脂あるいは水分散液を該ニードリングウエッ
ブに含浸し、乾燥処理する方法、あるいはさらに、これ
らの方法を複合化した方法でつくることができる。

【００１６】

【実施例】以下実施例を用いてさらに本考案を説明す
る。綿染めされた、単繊維繊度８デニール、カット長１
３１ｍｍのポリエステル繊維を用い、セミ梳毛方式によ
ってパイル糸（番手Ｗ−１／４）を製造した。また一
方、ポリエステル繊維からなる目付け１２０ｇ／ｍ²の
織物基布（一次基布）には、単繊維繊度が４デニールと
同６デニールからなるポリエステル繊維を５０％、５０
％配合し、さらにこの両者に対して５０％のポリエステ
ルバインダー繊維を配合してなる目付け２１０ｇ／ｍ²
のポリエステル繊維ウェブをニードリングにより結合一
体化させておいた。なお、ポリエステルバインダー繊維
は、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がイ
ソフタール酸４５モル％変成の共重合ポリエステルから
なる芯／鞘比が５／５で、鞘成分溶融温度が１１０℃、
単繊維繊度が３デニールの複合バインダー繊維を用い
た。前者パイル糸を、後者わた付き一次基布に、該わた
が裏面となるように植設（タフト）し、該パイル糸が植
設された該一次基布の裏面に「ペスレジン」（高松油脂
株式会社製商品名；水分散性ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂からなる接着剤）を塗布し、１２０℃で１０分間
乾燥機内で乾燥熱処理を行い、本考案でのタフトカーペ
ットサンプル（Ａ）（本考案の第一考案）を得た。これ
を実施例１とする。

【００１７】また、該サンプル（Ａ）の基布裏面に、さ
らに、単繊維繊度が３デニールの芯鞘型ポリエステル系
バインダー繊維、および単繊維繊度が６デニール、１０
デニールの捲縮付与されたポリエステル繊維からなる混
合ウェブを１２０℃の成形型枠内に挿入し成形した見掛
け密度０．１０ｇ／ｃｍ³、厚み５．５ｍｍの弾力性シ
ートを前記「ペスレジン」で接着固定して、本考案での
タフトカーペットサンプル（Ｂ）（本考案の第二考案）
を得た。これを実施例２とする

【００１８】また、上記実施例１とは、パイルを植設す
る一次基布として、裏面にわた（ウェブ）を一体化しな
い点のみが異なる基布を用い、他は実施例１と同様条件
を用いてタフトカーペット（Ｃ）を得た。これを比較例
１とする。

【００１９】さらにまた、上記実施例１とは、上記実施
例１のわた付き基布のわた（ウェブ）中にバインダー繊
維を配合しない点のみが異なる基布を用い、他は実施例
１と同様条件を用いてタフトカーペット（Ｄ）を得た。
これを比較例２とする。

【００２０】上記本考案例サンプル（Ａ）、（Ｂ）と比
較例サンプル（Ｃ）、（Ｄ）並びに一般のカーペットと
の主要構成並びにその特性を表１に示す。

【００２１】

【表１】

【００２２】一次基布裏面にわた（ウェブ）を一体化し
なかった比較例サンプル（Ｃ）は、パイル固定のための
接着剤が基布を表面側まで浸透しパイルの風合を硬くし
てしまい、パイル引抜強力もなく、商品価値の低いもの
としかならない。またこのサンプル（Ｃ）は、床に敷設
使用後早期に基布が伸縮して皺が発生し、その形態安定
性が悪い。また一次基布としてわた付き基布を用いるが
該わた（ウェブ）中にバインダー繊維を混入していない
比較例サンプル（Ｄ）は、比較例サンプル（Ｃ）の如く
パイル固定のための接着剤が基布の表面側まで浸透する
ことはなく、パイルの風合は良好である。しかし、この
サンプル（Ｄ）は、パイル引抜強力が低く、また床に敷
設使用すると、（Ｃ）と同様に、やはり基布が伸縮して
皺が発生し、その形態安定性が不十分である。これに対
して本考案例サンプル（Ａ）は、パイルの風合は良好で
あり、パイル引抜強力は大で、また床に敷設して使用し
ても、その形態安定性が良好に保たれている。また、本
考案例サンプル（Ａ）は、二次基布がない点、コストが
安くできる点で一般の折り畳みタイプのタフトカーペッ
ト（Ｅ）と同様であるが、この後者が敷設使用すると早
急に皺となり、その形態安定性が劣るのに対し、前者本
考案例サンプル（Ａ）はその形態安定性がよいことが特
徴的である。

【００２３】また、タフトカーペットの豪華さは、大ま
かに言ってそのパイル部の厚み（重量）によって決まる
が、本考案例サンプル（Ａ）は、一般のジュート張りタ
フトカーペット（Ｆ）に比べてパイル部が同じでもその
全体重量が約３０％弱も減少できるものであり、抜糸強
力もあり、硬さもあり、また皺にならない形態安定性の
よいものである。無論このカーペット（Ａ）は、その使
用後その素材が再利用可能であり、カーペット（Ｆ）に
比べてコストも大幅に低廉である。

【００２４】本考案例サンプル（Ｂ）は、塩化ビニル樹
脂が裏打ちされた一般のタイルカーペット（Ｇ）に対応
するものであるが、このカーペット（Ｇ）に比べて豪華
さを備え、しかもその軽さが半分以下以上に軽い。しか
も、硬さもあり、また皺にならず、形態安定性もすぐれ
ている。

【００２５】

【考案の効果】以上説明したように、本考案のタフトカ
ーペットは、熱可塑性ポリエステル材料のみよりなり、
再成形、再利用を行うことが出来、資源を有効に利用で
きるカーペットであり、しかも本考案は、その場合での
軽くて形態保持性の良好なカーペットを実現したもので
あり、しかも安価に製作できるカーペットを実現したも
ので、その実用上の価値は大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のタフトカーペットを示す部分的な拡大
断面図である。

【図２】本考案のタフトカーペットの別の態様例を示す
部分的な拡大断面図である。

【符号の説明】

１パイル２一次基布３ウェブ４バインダー繊維５不織シート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) D05C 17/02 A47G 27/02 102 D06N 1/00 DAA

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】パイルおよび該パイルを植設する一次基布
が共に熱可塑性ポリエステル樹脂材料からなるタフトカ
ーペットであって、一次基布は、その裏面側で、熱融着
性ポリエステル系バインダー繊維を含有したポリエステ
ル系繊維からなるウェブを一体化させたものであり、パ
イル基部が、該一次基布に、ポリエステル系樹脂からな
る水溶性樹脂あるいは水分散性樹脂で固定され、さらに
該一次基布が、前記バインダー繊維での融着により安定
化されていることを特徴とするタフトカーペット。
【請求項２】請求項１に記載のタフトカーペット裏面
に、さらに該カーペット素材と同種の熱可塑性ポリエス
テル樹脂からなる見掛け密度０．０４〜０．２０ｇ／ｃ
ｍ³、厚み０．３〜１．０ｃｍの弾力性を有する不織シ
ートを一体化してなるタフトカーペット。