JP2587475Y2 - シャンプーやリンス等の吐出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、浴室や洗面化粧台用の
シャワー設備や洗髪機等においてシャンプーやリンス等
の液の最適な吐出を可能とした吐出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】シャワーを用いる設備の一つとして、ボ
ールの中に多数のシャワーヘッドやノズルヘッドを組み
込み、これらからシャンプーやリンス及び湯をそれぞれ
の噴出の時間帯を適当に設定することによって自動的に
洗髪できるようにした洗髪機がある。

【０００３】たとえば、特公昭５６−１８２０７号公報
には、シャンプー及びリンスをそれぞれ溜めたタンクを
備え、洗髪機のボールに設けたノズルへこれらのシャン
プー又はリンスを供給する構成が記載されている。この
洗髪機では、シャンプーとリンスとはそれぞれ別々にポ
ンプによって供給され、流路中に組み込んだ混合器で湯
水混合栓からの湯や水と混合されてノズルへと供給され
る。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】このような洗髪機にお
いて、シャンプーやリンスを混合器によって湯や水と混
合するのは、粘性の高いシャンプーやリンスを流動化し
やすくすることが一つの目的であると考えられる。

【０００５】ところが、シャンプーやリンスは予めこれ
らを溜めておくためのタンクからポンプアップされ、湯
水混合栓からの湯や水と合流させた後にノズルへと供給
するので、シャンプーやリンスの性質によっては適切な
吐出に障害を生じることがある。

【０００６】すなわち、シャンプーやリンスは製品によ
ってその粘性が異なり、粘性が高いほど流動性が低い
し、温度が低ければ粘性は高く温度が高ければ粘性は低
くなるというふうに変化する。このため、たとえば湯水
混合栓からの湯や水の供給流量を一定としたとき、シャ
ンプーやリンスの粘性が高いほど流動性が悪くて吐水量
も絞られ、また温度が低い混合水を供給する場合でも同
様な現象を生じる。

【０００７】このように、ノズルの下流側でシャンプー
やリンスを湯や水と予め混合してノズルに供給するので
は、シャンプーやリンスの粘性が製品によって異なる場
合、ノズルからの吐出状態が変動してしまう。このた
め、市販のものの中から或る範囲のシャンプーやリンス
を指定したりすることが必要となり、汎用性の面で好ま
しくない。

【０００８】また、ボールに設けるノズルには、湯や水
を放出して髪を濯いだりシャンプーやリンスを十分に放
出したりするため、或る程度噴出力が強い機能が要求さ
れ、ノズル内の流路面積は増速のために比較的小さい。
一方、頭部に当たる水や湯が過度に強くならないように
するため、ノズルへの供給圧も大きくすることにも限界
がある。このことから、一つのノズルからのシャンプー
やリンスの噴射角度も小さくなる傾向にあり、髪全体に
シャンプーやリンスを万遍なく浴びせるにはノズルの数
を増やす必要がある。

【０００９】このように、従来の洗髪機では、シャンプ
ーやリンスの選択に制限を受けやすいだけでなく、広い
範囲への放出には適していないという問題がある。

【００１０】本考案において解決すべき課題は、洗髪機
等の設備において、シャンプーやリンスの性質によらず
安定した吐出を維持し、その吐出範囲も拡大してむらな
く頭髪の全体に浴びせるようにすることにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案は、シャンプーや
リンス等の界面活性剤をそれぞれ別に収納したタンク
と、水又は湯を供給する給水・給湯源と、これらのタン
ク及び給水・給湯源に流路系統をそれぞれ別として接続
したノズルヘッドとを備え、該ノズルヘッドは、前記界
面活性剤と給水・給湯源からの水又は湯とを別々に導入
し放出端において混合させる流路構造を備え、該ノズル
ヘッドは、給水・給湯源に内部が連通し且つ放出端に散
水板を備えた本体と、この本体の内部に同軸上に配置さ
れ界面活性剤のタンクに連通するチャンバブロックとに
よる二重管構造を持ち、このチャンバブロックの周壁
に、その内壁のほぼ接線方向に開口軸線を持つ導入孔を
開け、更に散水板に、チャンバブロックと同軸上にこの
チャンバブロックの内径よりも小径の散水孔を開けてな
ることを特徴とする。

【００１２】

【００１３】また、チャンバブロックは、タンクに連通
する流路を散水板の散水孔の近傍まで延ばした小径のス
ロートを備えることもできる。

【００１４】

【作用】ノズルヘッドには、水又は湯とは別々にシャン
プーやリンス等の界面活性剤が供給され、放出される前
にこれらが混合され、界面活性剤の種類によって異なる
粘性やその他の性質による影響を受けない吐出が可能と
なる。

【００１５】また、チャンバブロックの周壁に開けた導
入孔の開口軸線の姿勢によって、外部からの水や湯はチ
ャンバブロックの中で旋回し、放出端にある小径の散水
孔から増速されて放出されるので、散水孔からの吐水は
ミスト状となり、散水領域の拡大が可能となる。

【００１６】更に、スロートを散水孔の近傍まで延ばし
て界面活性剤を放出するものとすれば、増速されつつあ
る湯や水の中に効率よく混入でき、シャンプーやリンス
の希釈も良好に行われる。

【００１７】

【実施例】図１は本考案の空気混入シャワー装置を備え
た洗髪機の正面図、図２の（ａ）及び（ｂ）はその平面
図及び上部の右側面図である。

【００１８】図において、人が仰向けの姿勢となったと
きにその後頭部を受ける形状のボール１が床置き式のハ
ウジング２の上端に一体化されている。ボール１は人の
頭部を受け入れる程度の大きさを持ち、その上面には人
の頭部を受けるカバー１ａを開閉自在に設ける。そし
て、このカバー１ａには開口１ｂを開けてその開口縁に
ゴム等を素材としたパッド１ｃを取り付け、このパッド
１ｃの中に前頭部までを落とし込むようにして、頭髪部
分をボール１の中に臨ませる。

【００１９】ハウジング２の内部には、湯と水を混合し
てボール１に供給する湯水混合栓や各種のバルブユニッ
ト等を配置し、シャンプーやリンス等も別系統で供給で
きる配管構造を組み込み、ボール１からの排水経路を建
屋の配管に接続したものとする。そして、これらの配管
系による給水，給湯及びシャンプーやリンス等の供給停
止等は、ボール１のリム部分に設けた操作パネル１ｄに
よって行う。

【００２０】図３はカバー１ａを除いて示すボール１の
平面図、図４及び図５はそれぞれ図３のＡ−Ａ線及びＢ
−Ｂ線矢視による縦断面図である。

【００２１】ボール１の奥側の底部を深くしてその下端
に排水口１ｅを開け、これをハウジング２の中の排水管
（図示せず）に接続する。そして、ボール１の内壁には
複数のシャワーヘッド３とシャンプー及びリンス用の合
計５個のノズルヘッド４を組み込み、更に後部の上端に
は前頭部用のシャワーヘッド５を備える。シャワーヘッ
ド３，５はそれぞれハウジング２内の湯水混合栓への流
路に接続され、配管系統に組み込んだ電磁弁を適切に開
閉制御することによって独立して湯や水が供給されるも
のとする。

【００２２】図６はノズルヘッド４への配管系統の概略
図である。

【００２３】ハウジング２の内部には、シャワーヘッド
３，５と兼用の湯水混合栓６を備え、シャンプー及びリ
ンスのためのタンク７，８を設ける。湯水混合栓６から
各ノズルヘッド４との間の経路には電磁開閉弁６ａを組
み込み、これを開閉操作することによって設定した温度
の湯や水をノズルヘッド４に供給可能とする。なお、図
示していないシャワーヘッド３，５に対しても同様な電
磁弁を組み込んだ配管系を接続する。

【００２４】シャンプー及びリンス用のタンク７，８か
らの経路には、シャンプー又はリンスの何れか一方を各
ノズルヘッド４に供給するための電磁開閉弁７ａ，８ａ
を組み込む。そして、タンク７，８からシャンプー及び
リンスを吸引してノズルヘッド４に送るためのポンプ９
を備え、このポンプ９の作動によって設定した流量のシ
ャンプー又はリンスをノズルヘッド４へと供給可能とす
る。

【００２５】このように、各ノズルヘッド４には湯水混
合栓６からの水又は湯の供給系と、シャンプー及びリン
スの供給系とが接続され、シャンプー及びリンスの液は
ノズルヘッド４の中で初めて湯や水と混合されることに
なる。

【００２６】図７はノズルヘッド４の詳細を示す縦断面
図である。

【００２７】ノズルヘッド４は、ボール１の壁を貫通し
て固定する本体１０の先端に散水板１１を連結し、基端
部にはＴ字状の継手１２を接続した構成を持つ。散水板
１１はその中央に本体１０とほぼ同軸上とした１個の散
水孔１１ａを開け、この散水孔１１ａに向けての流れを
増速するために内部側から流路面積を次第に絞っていく
テーパ面１１ｂを形成したものである。また、継手１２
は、図６で示した湯水混合栓６側に接続する混合水流入
路１２ａを側方に突き出し、この混合水流入路１２ａか
ら本体１０の内部に連通する流路とは別系統としたシャ
ンプー及びリンス液のための供給管１２ｂを備えてい
る。

【００２８】供給管１２ｂはその基端部をブッシングと
して本体１０に結合され、この基端部から本体１０と同
軸配置として組み込まれている。そして、供給管１２ｂ
の先端部と散水板１１との間には、混合水とシャンプー
又はリンスとを混合させてミスト状に散水孔１１ａから
放出するためのチャンバブロック１３を組み込む。

【００２９】チャンバブロック１３はその先端側をネジ
接合によって散水板１１に結合され、基端部を供給管１
２ｂの先端に連通接続したものとして本体１０に組み込
む。そして、チャンバブロック１３の内部には、供給管
１２ｂと同軸上に伸びその開口端を散水孔１１ａの近傍
に位置させたスロート１３ａを設ける。このスロート１
３ａの内径は散水孔１１ａのそれよりも小さく、図示の
ようにスロート１３ａの開口端と散水孔１１ａは同軸上
に位置する。

【００３０】更に、チャンバブロック１３の周壁には、
本体１０内の混合水を導入して内部流れを旋回させるた
めの導入孔１３ｂを開ける。図８は図７のＣ−Ｃ線矢視
による横断面図であり、合計４個の導入孔１３ｂはチャ
ンバブロック１３の内周面に対して接線方向となる開口
軸線の姿勢を持つ。

【００３１】以上の構成において、各シャワーヘッド
３，５には、それぞれの流路系に組み込んだ電磁弁の開
閉を操作パネル１ｄでの操作によって、湯や水がそれぞ
れ適当なタイミングで放出される。そして、シャンプー
やリンスを使うときも同様であり、この場合では、図６
の系統図で示したように、湯水混合栓６からは混合水を
供給し、たとえばシャンプーを使うときは電磁開閉弁７
ａを開きポンプ９によってタンク７からシャンプーをノ
ズルヘッド４へと送り込む。

【００３２】なお、湯水混合栓６からの各ノズルヘッド
４への混合水の供給圧力は、ポンプ９によるシャンプー
やリンスの液の供給圧力よりも高くなるように設定す
る。

【００３３】湯水混合栓６からの混合水は混合水流入路
１２ａからノズルヘッド４の本体１０へ供給され、一方
シャンプーはこの流れとは別系統として供給管１２ｂか
ら直接チャンバブロック１３の内部へと送り込まれる。
そして、チャンバブロック１３の周りの混合水はその供
給圧力が内部のシャンプーの供給圧力よりも大きいた
め、導入孔１３ｂからチャンバブロック１３の中に流入
する。

【００３４】チャンバブロック１３の周壁に開けた４個
の導入孔１３ｂは、チャンバブロック１３の内周壁に対
してその接線方向に開口軸線を持つので、外部からの混
合水は図８に示すようにチャンバブロック１３の内周壁
に沿う流れとなる。このため、チャンバブロック１３の
内部流れは、図中の矢印に示すように時計方向に旋回す
る流れとなる。

【００３５】このような旋回流れとなって混合水は散水
板１１側へ向かうようになり、散水孔１１ａの手前でス
ロート１３ａからのシャンプーと合流する。

【００３６】ここで、図７に示すように、散水孔１１ａ
までの流路は散水板１１のテーパ面１１ｂによって次第
に絞られ、散水孔１１ａ部分で最大速度まで増速され
る。このため、スロート１３ａの先端部の内圧は低下
し、これによってスロート１３ａからのシャンプーは混
合水の流れに吸引されるようにして合流する。そして、
混合水はチャンバブロック１３内で旋回流となって散水
孔１１ａに向かうので、スロート１３ａからのシャンプ
ーと混合するときに激しく合流し、シャンプーと混合水
が混ざり合ったミスト状の噴流となって散水孔１１ａか
ら放出される。

【００３７】このように、ノズルヘッド４の本体１０の
内部で混合水とシャンプーとを混ぜ合わせてシャンプー
を希釈することができる。このため、ポンプ９の能力を
適正に選定すれば、タンク７から一定流量のシャンプー
をノズルヘッド４に供給でき、シャンプーの種類に制限
を受けることはない。

【００３８】また、ノズルヘッド４の散水孔１１ａから
のシャンプーと混合水の混合液は、ミスト状となって放
出される。このため、勢いも強くしかも散水範囲も広い
放出が可能となり、複数のノズルヘッド４をボール１の
適当な箇所に設けておけば、頭部に万遍なく噴射するこ
とができる。

【００３９】更に、リンスを使用する場合では、リンス
用のタンク８側の電磁開閉弁８ａのみを開き、ポンプ９
によってノズルヘッド４に供給し、シャンプーの場合と
同様に湯水混合栓６からの湯や水と混合させることによ
って、散水孔１１ａからミスト状に放出することができ
る。

【００４０】なお、本考案の吐出装置は、洗髪機だけで
なく、浴室や洗面化粧台用のシャワー設備等としても利
用することができる。

【００４１】

【考案の効果】本考案では、シャンプーやリンス等をそ
のまま噴出端のノズルヘッドまで供給し、このノズルヘ
ッドの内部で湯や水と混合させて噴出するので、従来の
ように予め湯や水と混合させた後に噴出端に送る場合に
比べると、シャンプーやリンスの粘性の影響を受けない
混合が可能となる。このため、使用するシャンプーやリ
ンスの種類を制限する必要がなくなり、使う人の好みに
合ったシャンプーやリンスをそのまま利用できる。

【００４２】また、ノズルヘッドからのシャンプーやリ
ンス液を含んだ混合液は、ミスト状に広い範囲に放出さ
れるので、頭部を万遍なくカバーすることができ、むら
のないシャンプーとリンスとが可能となる。そして、ミ
スト状とすることによって、シャンプーを使うときの泡
立ちを促進させるので、洗浄力も向上する。

【００４３】更に、湯を選択した場合は、シャンプー液
をノズルで混合して吐出するので、タンクのシャンプー
液が冬季等の季節に冷されていても、冷たいシャンプー
を浴びることはなく、またシャンプー等の供給圧力が供
給水圧よりも低くて済むので、ポンプの小型化も可能と
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の吐出装置を備えた自動洗髪機の一例を
示す正面図である。

【図２】図１に示す自動洗髪機であって、同図の（ａ）
はその平面図、同図の（ｂ）は上部の右側面図である。

【図３】カバーを除いて示すボールの平面図であって各
シャワーヘッド及びノズルヘッド等の配置を示す平面図
である。

【図４】図３のＡ−Ａ線矢視による縦断面図である。

【図５】図３のＢ−Ｂ線矢視による縦断面図である。

【図６】ノズルヘッドへの混合水，シャンプー及びリン
スの供給系統を示す概略図である。

【図７】ノズルヘッドの縦断面図である。

【図８】図７のＣ−Ｃ線矢視による横断面図である。

【符号の説明】

１ ボール １０ 本体 ２ ハウジング １１ 散水板 ３ シャワーヘッド １１ａ 散水孔 ４ ノズルヘッド １２ 継手 ５ シャワーヘッド １２ａ 混合水流
入路 ６ 湯水混合栓 １２ｂ 供給管 ７，８ タンク １３ チャンバ
ブロック ９ ポンプ １３ａ スロート １３ｂ 導入孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E03C 1/046 A47K 5/12

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シャンプーやリンス等の界面活性剤をそ
   れぞれ別に収納したタンクと、水又は湯を供給する給水
   ・給湯源と、これらのタンク及び給水・給湯源に流路系
   統をそれぞれ別として接続したノズルヘッドとを備え、
   該ノズルヘッドは、前記給水・給湯源に内部が連通し且
   つ放出端に散水板を備えた本体と、該本体の内部に同軸
   上に配置され前記界面活性剤のタンクに連通するチャン
   バブロックとによる二重管構造を持ち、該チャンバブロ
   ックの周壁に、その内壁のほぼ接線方向に開口軸線を持
   つ導入孔を開け、更に前記散水板に、前記チャンバブロ
   ックと同軸上に該チャンバブロックの内径よりも小径の
   散水孔を開けてなるシャンプーやリンス等の吐出装置。
2. 【請求項２】 前記チャンバブロックは、前記タンクに
   連通する流路を前記散水板の散水孔の近傍まで延ばした
   小径のスロートを備えてなる請求項１記載のシャンプー
   やリンス等の吐出装置。