JP2586646Y2 - 自動車用空気調和装置のインテークユニット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、車室の床面側に別途内
気吸入口を開設し、内気吸入口の開口面積拡大および内
気吸入口廻りの省スペースを可能とした自動車用空気調
和装置のインテークユニットに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、自動車用空気調和装置は、ファ
ンをモータで回転することにより車室内空気（以下簡単
に内気と称す）または車室外空気（以下簡単に外気と称
す）を取り込むインテークユニットと、このインテーク
ユニットの吐出口から吐出された空気が流入するように
連結され、内部にエバポレータが収容されたクーラユニ
ットと、このクーラユニットの吐出口から吐出された空
気をミックスドアによりヒータコア側と迂回路側に分岐
し、再度混合室で冷風と温風とを混合し所定温度の空気
にして各種ダクトから車室内所定域に向かって吹き出す
ようにしたヒータユニットとを有している。

【０００３】インテークユニットは、内気吸入口と外気
吸入口とが開設され、この両取入口を選択的に開閉する
インテークドアを有する構造となっている。この種のイ
ンテークユニットにおいては、内外気の選択を効率的に
行う構造の提案（特公昭５６ー３２１２５号、特開昭６
２ー２９４１１号参照）、吸入口開口面積を大きく取
り、吸入抵抗を小さくして吸入時の騒音を低下させる構
造（特開昭６２ー２９４１１号参照）等様々な提案がな
されている。

【０００４】また、車内に開口する内気吸入口を最も騒
音の少ない方向に開口させるという観点から、例えば、
図３に示すようなインテークユニットも提案されてい
る。このインテークユニットは、反床面側半体１と床面
側半体２とからなるケース３内に、ファン４を内蔵して
おり、反床面側半体１に設けられた外気吸入口５および
内気吸入口６の他に、床面側半体２に設けられた車室内
空気を取り入れるための内気吸入口８を有している。ま
た、内気と外気との選択は、反床面側半体１に取り付け
られたインテークドア９によって、外気吸入口５と内気
吸入口６とを選択的に開閉すると共に、インテークドア
９と連動する第２インテークドア１０にて床面側の内気
吸入口８を開閉して行う。そして、外気モードにあって
は外気吸入口５から外気が導入される一方、内気モード
にあっては、反床面側の内気吸入口６と床面側の内気吸
入口８の両方から内気がユニット内に導入される。した
がって、ユニット全体として内気を吸入する面積が増加
し、吸入抵抗および吸入抵抗に伴う騒音が減少する。ま
た、騒音源となる開口の内の一つ、すなわち床面側の内
気吸入口８が床面に向って開口されているため、ここで
発生する騒音はアンダーカバー３１等の足廻りの構造物
に遮られあるいは反射して伝わり減少することになる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところが、上述したイ
ンテークユニットにあっては、床面側の内気吸入口８を
床面に向って開口させることによって、確かにインテー
クユニットの内気吸入時の騒音を減少させることができ
るものの、床面側の内気吸入口８を開閉する第２インテ
ークドア９が片持ちドアであるため、インテークユニッ
トの床面側にドア開閉のためのスペースｓを必要とし、
このスペースｓの大きさによっては、ドア９の開放角度
が規制され、ドア９を小さくして開放角度を大きく取れ
るようにした場合には、吸入口も小さくしなければなら
ず十分な開口面積が確保できないとか、スペースｓを大
きくしてドア９の開放角度を確保しようとすると車室内
の足廻り空間が狭くなるという問題があった。また、こ
の従来のインテークドア９には、内気吸入口から吸入さ
れる内気の風圧によって、閉鎖方向に回転トルクが発生
するため、ドア９を任意の開放位置、例えば半開位置に
確実に保持することが困難であるという問題もあった。

【０００６】本考案は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、内気吸入口の開口面積を大きく取るこ
とができ、低騒音で、内気吸入口廻りの省スペースを図
ることが可能である他、内気吸入口の開放位置を正確に
保持できる自動車用空気調和装置のインテークユニット
を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本考案は、下部の床面側半体と上部の反床面側半体と
を合体することによりインテークケースを形成し、当該
インテークケースの反床面側半体の上側部に対向して開
設された車室内空気を取り入れる一対の内気吸入口と、
当該内気吸入口間に開設された、車室外空気を取り入れ
る１つの外気吸入口とを、前記各内気吸入口を開閉する
ように設けられた２枚のインテークドアにより選択的に
開閉するように構成し、前記インテークケース内に前記
内・外気吸入口から空気を吸入して下流側に接続された
ユニットに送風するファン及びモータを設け、さらに前
記インテークケースの床面側半体の底部に補助内気吸入
口を形成するとともに当該補助内気吸入口に開閉用のド
アを設けてなる自動車用空気調和装置のインテークユニ
ットにおいて、前記補助内気吸入口を、前記床面側半体
の底部の中心に設けられたボスを中心として対向する位
置に一対でかつ円弧状に開設するとともに当該補助内気
吸入口の外周縁部分及び一方の径方向縁部分に凸状部を
形成し、前記ボスを挿通する回転軸の前記インテークケ
ース内側の一端に、前記補助内気吸入口に対応する形状
の回転シャッタを設け、当該インテークケース外側の他
端に前記回転軸を回動する作動レバーを取り付け、当該
作動レバーを操作することにより前記回転シャッタを前
記凸状部に当接し補助内気吸入口を閉鎖する状態から補
助内気吸入口を全開する状態まで、前記補助内気吸入口
から流入する車室内空気の流入方向と直交する面で移動
するようにしたことを特徴とする自動車用空気調和装置
のインテークユニットである。

【０００８】

【作用】このようにすれば、インテークケースの床面側
に内気吸入口を設けたため、内気吸入時騒音が減少する
他、この床面側の内気吸入口の開閉を内気の流入する方
向と直交する面で移動するシャッタによって行うように
したため、インテークユニットと床面との間のスペース
を吸入口開閉のために大きくしなくても十分な開口面積
が確保でき、内気吸入口廻りの省スペースを図ることが
可能である。また、このようなシャッタでは、床面側の
内気吸入口から吸入される内気の風圧によってシャッタ
に加わる力は、シャッタの移動方向と直行し、その開閉
動に影響をあたえないため、シャッタを任意の開放位置
に確実に保持することができる。

【０００９】

【実施例】以下、本考案に係る実施例を図面に基づいて
説明する。図１は本校案の一実施例にかかる自動車用空
気調和装置のインテークユニットを示す断面図、図２は
床面側の内気吸入口の要部を示す分解斜視図である。な
お、図３に示す部材と同一部材には同一符号を付してあ
る。

【００１０】本実施例のインテークユニットは、図１に
示すように、反床面側の半体１と床面側の半体２とから
なるケース３内に、ファン４を内蔵している。反床面側
半体１には外気吸入口５と、車室内空気を取り入れるた
めに開設され外気吸入口５を挟んで対向する第１内気吸
入口６及び第２内気吸入口７とを有している。

【００１１】これら外気吸入口５、第１内気吸入口６及
び第２内気吸入口７には、第１インテークドア１１およ
び第２インテークドア１２が回動自在に設けられてい
る。第１インテークドア１１は第１内気吸入口６を開閉
し、一方、第２インテークドア１２は第２内気吸入口７
を開閉するが、第１インテークドア１１および第２イン
テークドア１６が第１内気吸入口６および第２内気吸入
口７を同時に全閉した時には外気吸入口５が全開する
（図１参照）。逆に、第１インテークドア１１が第１内
気吸入口６を全開すると共に第２インテークドア１２が
第２内気吸入口７を全開したときは、これら第１および
第２インテークドア１１、１２の共働によって外気吸入
口５が全閉する（図１一点鎖線参照）。また、第１イン
テークドア１１が第１内気吸入口６を半開すると共に第
２インテークドア１２が第２内気吸入口７を半開したと
きは、これら第１および第２インテークドア１１、１２
の共働によって外気吸入口５も半開する。一方、インテ
ークケース３に内蔵されるファン４は、電動モータ１５
により回転され、床面側と反床面側にそれぞれ吸入口１
５ａ，１５ｂを有している。

【００１２】本実施例のインテークユニットの床面側の
半体２は、内気を取り入れるために開設された２つの補
助内気吸入口８ａ、８ｂを有している。補助内気吸入口
８ａ、８ｂは、特に図２に詳しく示すように、床面側の
半体２の底部２１に設けられたボス２２を点対称として
扇形に形成されており、外周縁部分および一方の径方向
縁部分には、各々凸条部８ｃ，８ｄが形成されている。
また、この補助内気吸入口８ａ、８ｂは、ボス２２に挿
通される回転軸２３を中心として回転する回転シャッタ
２５によって開閉される。この回転シャッタ２５の回転
軸２３は、ボス２２を貫通した先端部分に作動レバ２６
がビス２７により固着されており、この作動レバ２６に
接続されたケーブルあるいはアクチュエータ等によって
回転シャッタ２５を回転させ、補助内気吸入口８ａ、８
ｂを開閉することができる。この場合、２つの補助内気
吸入口８ａ、８ｂであっても１枚の回転シャッタ２５に
より制御できるので、コスト的にも有利となる。

【００１３】すなわち、回転シャッタ２５が、補助内気
吸入口８ａ、８ｂの全閉位置にある場合、回転シャッタ
２５の外周面と補助内気吸入口８ａ、８ｂの上記外周縁
部分の凸条部８ｃとが当接すると共に、シャッタ２５の
一方の側面と補助内気吸入口８ａ、８ｂの半径方向縁部
分の凸条部８ｃとが当接する。この際、両当接部分が完
全に密着するように、当接面はパッキン（不図示）を設
けてもよい。そして、この回転シャッタ２５が開方向
（図２中、右回転方向）に回転すると、床面側の補助内
気吸入口８ａ、８ｂは徐々に開き、回転角４５度で半開
状態、９０度で全開状態となる。

【００１４】次に作用を説明する。本実施例に係わるイ
ンテークユニットは、以下に説明するように外気導入モ
ード、内外気導入モード（外気：内気＝８：２）、内外
気導入モード（外気：内気＝２：８）、内気導入モード
の何れかのモードが選択される。

【００１５】外気導入モード クーラユニットおよびヒータユニット側に外気のみを送
風する場合は、第１インテークドア１１、第２インテー
クドア１２および回転シャッタ２５により、第１内気吸
入口６、第２内気吸入口７、補助内気吸入口８ａ、８ｂ
をそれぞれ閉塞する。この状態で送風機を作動すると外
気吸入口５から外気がケース３内に導かれ、この空気は
ファン４の反床面側の吸入口１５ａからファンスクロー
ル部を通過してクーラユニット等（不図示）に送風され
る。

【００１６】内気導入モード クーラユニットおよびヒータユニット側に内気のみを送
風する場合は、第１インテークドア１１、第２インテー
クドア１２および回転シャッタ２５により、第１内気吸
入口６、第２内気吸入口７、補助内気吸入口８ａ、８ｂ
をそれぞれ全開する。このとき、第１インテークドア１
１と、第２インテークドア１２の共働により外気吸入口
４が閉塞される。この状態で送風機を作動すると第１内
気吸入口６および第２内気吸入口７から内気が反床面側
の半体１に導かれ、この空気はファン４の反床面側の吸
入口１５ａに吸入される一方、補助内気吸入口８ａ、８
ｂから導入された車室内空気は、ファン４の床面側の吸
入口１５ｂに導かれ、前述した内気とともにクーラユニ
ット等に送風される。このとき、本実施例にかかるイン
テークユニットにあっては、インテークケース３に補助
内気吸入口８ａ、８ｂを設けたため内気吸入時に騒音が
減少する他、この補助内気吸入口８ａ、８ｂを内気流入
方向と直交して回転移動する回転シャッタ２５によって
開閉しているため、インテークユニットと床面との間の
スペースｓを吸入口開閉のために大きくしなくても十分
に補助内気吸入口８ａ、８ｂを全開でき、したがって補
助内気吸入口８ａ、８ｂ廻りの省スペースを図ることが
可能である。

【００１７】内外気導入モード 所望の吸入風量比で、クーラユニットおよびヒータユニ
ット側に外気および内気の混合空気を送風する場合に
は、第１インテークドア１１、第２インテークドア１２
の２つのインテークドアにより第１内気吸入口２、第２
内気吸入口３をそれぞれ半開あるいは閉塞すると共に、
回転シャッタ２５によって、補助内気吸入口８ａ、８ｂ
を全開あるいは半開する。この状態で送風機を作動する
と外気吸入口５から外気が反床面側の半体１内に導か
れ、この空気はファン４の反床面側の吸入口１５ａに吸
入され、半開状態となった第１内気吸入口１１および第
２内気吸入口１２からは車室内空気が導入されて、ファ
ン４の反床面側の吸入口１５ａに導かれる。一方、補助
内気吸入口８ａ、８ｂからは内気が導入されてファン４
の床面側の吸入口１５ｂに導かれ、ここで外気と混合し
ながらクーラユニット等に送風される。このとき、本実
施例にかかるインテークユニットにあっては、補助内気
吸入口８ａ、８ｂから吸入される内気の風圧によって半
開状態にある回転シャッタ２５に加わる力は、シャッタ
２５の回転開閉動方向と直行するため、回転シャッタ２
５を開閉動させることがなく、ドア１３を半開位置に確
実に保持することができる。

【００１８】本考案は、上述した実施例のみに限定され
るものではなく、実用新案登録請求の範囲の範囲内にお
いて種々改変することができる。例えば、上述した実施
例は、扇状を２つ合せた形状のシャッタであるが、この
形状に限定されることなく種々変更することはできる。

【００１９】

【考案の効果】以上のように、本考案によれば、インテ
ークケースの補助内気吸入口を設けたため、内気吸入時
に騒音が減少する他、この補助内気吸入口の開閉を内気
流入方向と直交して移動するシャッタによって行うよう
にしたため、インテークユニットと床面との間のスペー
スを吸入口開閉のために大きくしなくても十分な開口面
積が確保でき、補助内気吸入口廻りの省スペースを図る
ことが可能である。また、補助内気吸入口から吸入され
る内気の風圧によってシャッタに加わる力は、シャッタ
の移動方向と直行し、その開閉動に影響を与えないた
め、シャッタを任意の開放位置に確実に保持することが
できる。さらに複数の補助内気吸入口であっても１枚の
ドアにより制御できるので、コスト的にも有利となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】は、本考案の一実施例を示す縦断面図、

【図２】は、床面側の内気吸入口部分を示す要部分解斜
視図、

【図３】は、従来の自動車用空気調和装置のインテーク
ユニットを示す断面図である。

【符号の説明】

３…インテークケース、４…ファン、 ５…外気吸入口、６…第１内気吸入口、 ７…第２内気吸入口、８ａ，８ｂ…補助内気吸入口、 ２５…回転シャッタ。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 下部の床面側半体(2）と上部の反床面側
   半体(1）とを合体することによりインテークケース(3)
   を形成し、当該インテークケース(3) の反床面側半体
   (1）の上部側方に相互に対向して開設された車室内空気
   を取り入れる一対の内気吸入口(6,7) と、当該内気吸入
   口(6,7) 間に開設された、車室外空気を取り入れる１つ
   の外気吸入口(5) とを、前記各内気吸入口(6,7) を開閉
   するように設けられた２枚のインテークドアにより選択
   的に開閉するように構成し、前記インテークケース(3)
   内に前記内・外気吸入口(5,6,7) から空気を吸入して下
   流側に接続されたユニットに送風するファン(4) 及びモ
   ータ(15)を設け、さらに前記インテークケース(3) の床
   面側半体(2）の底部(21)に補助内気吸入口(8a,8b)を形
   成するとともに当該補助内気吸入口(8a,8b) に開閉用の
   ドアを設けてなる自動車用空気調和装置のインテークユ
   ニットにおいて、前記補助内気吸入口(8a,8b) を、前記床面側半体(2）の
   底部(21)の中心に設けられたボス(22)を中心として対向
   する位置に一対でかつ円弧状に開設するとともに当該補
   助内気吸入口(8a,8b) の外周縁部分及び一方の径方向縁
   部分に凸状部(8c,8d）を形成し、前記ボス(22)を挿通す
   る回転軸(23)の前記インテークケース(3) 内側の一端
   に、前記補助内気吸入口(8a,8b) に対応する形状の回転
   シャッタ(25)を設け、当該インテークケース(3) 外側の
   他端に前記回転軸(23)を回動する作動レバー(26)を取り
   付け、当該作動レバー(26)を操作することにより前記回
   転シャッタ(25)を前記凸状部(8c,8d）に当接し補助内気
   吸入口(8a,8b) を閉鎖する状態から補助内気吸入口(8a,
   8b) を全開する状態まで、前記補助 内気吸入口(8a,8b)
   から流入する車室内空気の流入方向と直交する面で移動
   するようにしたことを特徴とする自動車用空気調和装置
   のインテークユニット。