JP2586041B2 - 複合磁気ヘッド - Google Patents

複合磁気ヘッド

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JP2586041B2 JP62110284A JP11028487A JP2586041B2 JP 2586041 B2 JP2586041 B2 JP 2586041B2 JP 62110284 A JP62110284 A JP 62110284A JP 11028487 A JP11028487 A JP 11028487A JP 2586041 B2 JP2586041 B2 JP 2586041B2
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【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は、所謂メタルテープ等の高抗磁力磁気記録媒
体に対して記録再生を行うのに好適な複合磁気ヘッドに
関し、詳細には磁気コア半体の大部分が酸化物磁性材料
で構成され且つ磁気ギャップ近傍部が軟磁性合金薄膜で
構成されてなる複合磁気ヘッドに関する。
B.発明の概要 本発明は、酸化物磁性材料と軟磁性薄膜とにより磁気
コア半体が構成されてなる複合磁気ヘッドにおいて、 軟磁性薄膜を第1の軟磁性薄膜と前記第1の軟磁性薄
膜の飽和磁束密度より大きい飽和磁束密度を有する第2
の軟磁性薄膜の2層構造とし、さらに酸化物磁性材料と
前記第1の軟磁性薄膜の接合界面を磁気ギャップ形成面
と非平行とすることにより、 磁気ギャップ近傍における磁束の飽和をなくして記録
・再生効率の向上を図り、同時に擬似出力の発生を抑制
しようとするものである。
C.従来の技術 例えばVTR(ビデオテープレコーダ)等の磁気記録再
生装置においては、情報信号の高密度記録化が進められ
ており、これに対応して磁気記録媒体として、磁性粉に
Fe,Co,Ni等の強磁性金属粉末を用いた所謂メタルテープ
や、ベースフィルム上に上記強磁性金属材料を蒸着等に
より直接被着した所謂蒸着テープ等が使用されるように
なっている。
この種の磁気記録媒体は高い抗磁力や残留磁束密度を
有するので、情報信号の電磁変換を行う磁気ヘッドのコ
ア材料には、この媒体の抗磁力に見合った十分高い飽和
磁束密度が要求される。また、特に記録・再生を同一の
磁気ヘッドで行う場合には、上述の飽和磁束密度のみな
らず、適用する周波数帯域で十分に高い透磁率を有する
ことが要求される。
ところが、従来から多用されているフェライトヘッド
では、透磁率が高いものの、飽和磁束密度が低いため、
上記磁気記録媒体に対して十分な記録特性が得られな
い。一方、Fe−Al−Si系合金等の軟磁性合金材料にて構
成される磁気ヘッドは、飽和磁束密度が大きく高抗磁力
磁気記録媒体に対して良好な記録特性を示すものの、一
般に使用されるヘッド形状でのコア厚では使用周波数帯
域での実効透磁率が低く再生特性が劣化してしまう。
かかる状況より、フェライトとFe−Al−Si系合金との
複合磁性材料を用いて磁気コア半体を構成し、これらFe
−Al−Si系合金薄膜同士の突き合わせ面を磁気ギャップ
とした所謂複合磁気ヘッドが開発され実用化されてい
る。
例えば、放送局用ビデオテープレコーダ等では、90μ
m程度の広いトラック幅が要求されること、フェライト
と軟磁性合金材料との界面には形状効果による擬似ギャ
ップが発生しやすいこと等の理由から、フェライト基板
上に所定角度の斜面を有する溝を形成し、この上にFe−
Al−Si系合金薄膜を30μm程度膜付けした後、表面を平
坦に研削して所定のトラック幅とした磁気ヘッドが開発
されている。
D.発明が解決しようとする問題点 しかしながら、このような磁気ヘッドでは、特にFe−
Al−Si系合金自体の飽和磁束密度がさほど高くないこと
から、高抗磁力メタルテープに対して記録するには磁気
特性が充分とは言えないという問題を残している。
飽和磁束密度の高い軟磁性合金材料としては、先に本
願出願人が提案したように、Fe−Ga−Si系合金等が有用
であるが、膜付け厚さに歪みによる制約があり、前述の
ような幅広のトラック幅を確保するには限度がある。例
えば、フェライトにFe−Ga−Si系合金材料を30μm程度
膜付けするとヒビが多発し、通常は5μm程度が限界と
なる。
そこで本発明は、上述の従来の実情に鑑みて提案され
たものであって、特に磁性膜での磁束の飽和を解消し、
記録・再生効率の改善を図ることを目的とし、さらにヒ
ビの発生が少なく歩留りや信頼性に優れた磁気ヘッドを
提供することを目的とする。
E.問題点を解決するための手段 上述の目的を達成するために、本発明は、酸化物磁性
材料と軟磁性薄膜とにより磁気コア半体が構成され、前
記磁気コア半体が突き合わされてなる複合磁気ヘッドに
おいて、前記軟磁性薄膜は、Fe−Al−Si系合金からなる
第1の軟磁性薄膜と、前記第1の軟磁性薄膜の飽和磁束
密度より大きい飽和磁束密度を有するFe−Ca−Si系合
金、Fe−Al−Ge系合金、Fe−Ga−Ge系合金、Fe−Si−Ge
系合金、Fe−Co−Si系合金又はFe−Co−Si−Al系合金か
らなる第2の軟磁性薄膜とよりなり、磁気ギャップ部に
おいて上記第2の軟磁性薄膜同士が相対峙し、前記酸化
物磁性材料と前記第1の軟磁性薄膜の接合界面は磁気ギ
ャップ形成面と非平行部を有し、かつ前記第1の軟磁性
薄膜と前記第2の軟磁性薄膜の接合界面は磁気ギャップ
形成面と略平行部を有することを特徴とするものであ
る。
F.作用 酸化物磁性材料と軟磁性合金薄膜との複合材からなる
磁気ヘッドにおいて、記録再生特性の上からは擬似出力
がないように軟磁性合金薄膜を斜め膜とすることが好ま
しい。但し、斜め膜とするにはある程度膜厚を必要とす
るため、材料によっては難しいことがある。例えばFe−
Ga−Si−Ru系材料は高い飽和磁束密度を持つが加工性に
乏しく前記斜め膜とするのは難しい。一方、センダスト
はある程度の加工性を有するものの、磁束密度がさほど
高くない。
本発明では、この両者の長所を生かし、センダストに
より斜め膜を形成し、その後Fe−Ga−Si−Ru系合金薄膜
等の高飽和磁束膜を平行膜として被着することで、ヒビ
の発生の問題と飽和磁束密度の問題の両者を同時に解消
する。
すなわち、フェライトと界面を接する軟磁性合金膜を
Fe−Al−Si系合金薄膜のようなある程度厚く膜付けする
ことができる材料とし、またフェライトとの界面を非平
行とすることで、トラック幅が確保され、また擬似ギャ
ップが形成されていることもない。
また磁気ギャップ近傍はこれよりも高い飽和磁気密度
を有する合金薄膜により構成されるので、磁束の飽和が
起こり難くなり、またこの薄膜の厚さは僅かなもので済
むためヒビが発生することもない。なお、2層構造とし
た軟磁性合金薄膜間は金属同士の接合となるため、擬似
ギャップとして機能することはない。
C.実施例 次に、本発明を適用した実施例を図面を参照しながら
説明する。
本実施例の磁気ヘッドは、第1図及び第2図に示すよ
うに、Mn−Znフェライト等の酸化物磁性材料よりなる磁
気コア部(1),(2)と、第1の軟磁性合金薄膜
(3),(4)及び第2の軟磁性合金薄膜(5),
(6)の2層構造かなる磁性薄膜部とを主要な構成要素
とする磁気コア半体(I),(II)同士を接合一体化し
てなるものである。
上記磁気コア部(1),(2)を構成する酸化物磁性
材料としては、たとえばMn−ZnフェライトやNi−Znフェ
ライト等が用いられる。また、この酸化物磁性材料は、
単結晶酸化物磁性体または多結晶酸化物磁性体の何れで
あっても良く、さらにはこれら単結晶酸化物磁性体と多
結晶酸化物磁性体を所謂熱間加圧処理法等にて一体化し
た接合体であってもよい。
上記第1の軟磁性合金薄膜(3),(4)は、上記磁
気コア部(1),(2)の突き合わせ方向先端の斜面
(1a),(2a)上に被着形成されるもので、この膜厚に
よって後述の磁気ギャップのトラック幅Twを確保するよ
うになっている。
したがって、この第1の軟磁性合金薄膜(3),
(4)を構成する合金材料としては、ある程度の膜厚で
膜付け可能なこと、飽和磁束密度が少なくともフェライ
トよりも高いこと等が要求され、たとえばFe−Al−Si系
合金薄膜が使用される。Fe−Al−Si系合金薄膜の組成と
しては通常の組成が選定され、必要に応じて従来公知の
添加元素を添加しても差し支えない。
また、上記第1の軟磁性合金薄膜(3),(4)は、
上記磁気コア部(1),(2)の斜面(1a),(2a)上
に形成されることから、磁気コア部(1),(2)との
接合界面が後述の磁気ギャップと非平行となり、所定の
角度を持って傾いた形になっているので、いわゆるアジ
マス損失によりこの接合界面が擬似ギャップとして機能
することがなくなっている。
なお、この第1の軟磁性合金薄膜(3),(4)と磁
気コア部(1),(2)との接合界面には、熱処理時の
Fe−Al−Si系合金薄膜−フェライト間の化学反応を防
ぎ、Fe−Al−Si系合金薄膜−フェライト間の付着強度の
改善を目的として、この例ではSiO2やCr等の中間膜
(7),(8)が設けられている。中間膜(7),
(8)の材質としては、前記の目的を達成し得るもので
あれば如何なるものであってもよく、磁性材,非磁性材
のいずれも使用可能である。
一方、上記第2の軟磁性合金薄膜(5),(6)は、
上記第1の軟磁性合金薄膜(3),(4)を覆うが如く
被着形成されるもので、これら第2の軟磁性合金薄膜
(5),(6)同士がギャップスペーサ(図示は省略す
る。)を介して突き合わされ、磁気ギャップgが構成さ
れている。磁気ギャップgのトラック幅はTwは、上記第
1の軟磁性合金薄膜(3),(4)を被着した磁気コア
部(1),(2)の突き合わせ面の幅方向両端を斜めに
削り落とすことにより規制され、これによって形成され
る空間には当たり特性を確保し耐摩耗性を向上するため
に、ガラス等の非磁性材(9)が充填される。
この第2の軟磁性合金薄膜(5),(6)は、膜厚が
さほど必要ないため、ヒビに対して配慮する必要がな
く、したがって出来るだけ飽和磁束密度の高い材料〔少
なくとも上記第1の軟磁性合金薄膜(3),(4)より
も高い飽和磁束密度を有する軟磁性合金材料〕が使用さ
れる。
かかる軟磁性合金材料としては、たとえばFe−Ga−Si
系合金,Fe−Al−Ge系合金,Fe−Ga−Ge系合金,Fe−Si−G
e系合金,Fe−Co−Si系合金,Fe−Co−Si−Al系合金等の
高飽和磁束密度を有し、かつ軟磁気特性に優れた軟磁性
合金材料が挙げられる。
例えばFe−Ga−Si系合金材料の場合には、その組成を
次式 FeaGabSic (但し、a,b,cはそれぞれ組成比を原子%として表
す。) で表したとき、組成範囲が 68≦a+b≦84 1≦b≦23 9≦c≦31 a+b+c=100 なる関係を満足するものが使用される。
また、上記Fe−Ga−Si系合金材料において、Feの一部
をCoで置換してもよい。この場合、Coの増加とともに飽
和磁束密度のみならず耐蝕性,耐摩耗性が向上するが、
Co置換量が多過ぎると飽和磁束密度の劣化が顕著になる
ばかりか軟磁気特性も悪化するので、Feに対するCo置換
量は0〜15原子%に抑えるのが好ましい。
さらに、上記Fe−Ga−Si系合金材料の耐蝕性や耐摩耗
性の一層の向上を図るために、Fe,Ga,Co(Feの一部をCo
で置換したものを含む),Siを基本組成とする合金Ti,C
r,Mn,Zr,Nb,Mo,Ta,W,Ru,Os,Rh,Ir,Re,Ni,Pd,Pt,Hf,Vの
少なくとも1種を添加しても良い。この場合、添加元素
毎に添加量による飽和磁束密度の減少の割合が異なるた
め、添加量は添加元素毎に所定範囲内で適宜設定する。
特に、Ruは耐摩耗性の点で良好な効果を示し、添加元素
として好適である。Ruの添加量は磁気特性の観点から15
原子%以下である。
なお、上記第2の軟磁性合金薄膜(5),(6)と先
の第1の軟磁性合金薄膜(3),(4)の接合界面は、
上記磁気ギャップgと略平行であるが、合金薄膜同士の
接合であるため擬似ギャップの虞れはない。
上述の第1の軟磁性合金薄膜(3),(4)や第2の
軟磁性合金薄膜(5),(6)の形成方法としては、従
来公知の種々の方法が考えられるが、なかでも真空薄膜
形成技術の手法が好適である。
この真空薄膜形成技術の手法としては、スパッタリン
グ法やイオンプレーティング法、真空蒸着法,クラスタ
ー・イオンビーム法等が挙げられる。特に、酸素ガスあ
るいは窒素ガスを含む不活性ガス(Arガス等)雰囲気中
でスパッタリングを行い、得られる軟磁性薄膜の耐蝕性
等をより一層改善するようにしても良い。
前記真空薄膜形成技術等により膜付けされた軟磁性合
金薄膜は、そのままの状態では保磁力が若干高い値を示
し良好な軟磁気持性が得られないので、熱処理を施して
膜の歪を除去し、軟磁気特性を改善することが好まし
い。
上述の磁気コア部(1),(2)、第1の軟磁性合金
薄膜(3),(4)及び第2の軟磁性合金薄膜(5),
(6)よりなる磁気コア本体(I),(II)は、前記第
2の軟磁性合金薄膜(5)、(6)を相対峙して突き合
わせることにより磁気ヘッドとされるが、ここで一方の
磁気コア半体(II)には、コイル巻線溝(10)が設けら
れ、磁気ギャップのデプスを規定するとともに、当該磁
気ヘッドに駆動信号を供給するコイルが巻回されるよう
になっている。
以上の構成を有する磁気ヘッドでは、磁気ギャップg
で相対峙する面に近くなるに従って磁気コア断面積が小
さくなるが、第1の軟磁性合金薄膜(3),(4)や第
2の軟磁性合金薄膜(5),(6)の容積比が増えるた
め、飽和磁束密度は高くなる。しかたがって、ヘッド各
部での磁束の飽和が起こり難くなり、記録・再生特性に
優れた磁気ヘッドとなる。
上述の磁気ヘッドは、次のような工程を経て作製され
る。以下、上記磁気ヘッドの作製方法について第3A図な
いし第3図Gを参照しながら説明する。
先ず、第3図Aに示すように、酸化物磁性材料よりな
る基板(11)を用意し、これに斜面(12a)が形成され
るように溝(12)を切削形成する。この溝(12)により
形成される斜面(12a)の傾斜角度は所望のトラック幅
やアジマス角等に応じて適宜設定すればよいが、ここで
は基板(11)面に対して15°程度とした。
次に、第3図Bに示すように、この基板(11)上に、
熱処理時のFe−Al−Si系合金薄膜−フェライト間の化学
反応を防ぎ、Fe−Al−Si系合金薄膜−フェライト間の付
着強度の改善を目的として、この例ではSiO2やCr等の中
間膜(13)を被着形成し、その上に第1の軟磁性合金薄
膜としてFe−Al−Si系合金薄膜(14)を被着する。これ
ら中間膜(13)やFe−Al−Si系合金薄膜(14)は真空薄
膜形成技術により形成され、特にFe−Al−Si系合金薄膜
(14)は30μm程度堆積される。
続いて第3図Cに示すように、上記Fe−Al−Si系合金
薄膜(14)上に酸化防止のためにSiO2等からなる酸化防
止膜(15)を被着して、上記溝(12)による陥没部にガ
ラス等の非磁性材(16)を埋め込む。
なお、この酸化防止膜(15)や前述の中間膜(13)は
場合によってはなくともよい。
しかる後、基板(11)の表面を平面研磨し、基板(1
1)の平坦面上のFe−Al−Si系合金薄膜(14)を取り除
くとともに、第3図Dに示すように斜面(12a)上に被
着されるFe−Al−Si系合金薄膜(14)の端面を露出させ
る。
次に、第3図Eに示すように、上記斜面(12a)上のF
e−Al−Si系合金薄膜(14)を残して基板(11)にトラ
ック幅規制溝(17)を切削し、磁気ギャップのトラック
幅を規定する。このトラック幅規制溝(17)は、例えば
45°程度の傾斜を有する溝とする。
このように溝加工され、トラック幅がおおよそ規定さ
れた基板(11)に、第3図Fに示すように、その全面を
覆う如く前記Fe−Al−Si系合金薄膜(14)よりも高い飽
和磁束密度を有する軟磁性合金薄膜(18)を被着し、さ
らにギャップを形成するために非磁性材(図示は省略す
る。)を形成する。上記軟磁性合金薄膜(18)には、高
飽和磁束密度を有するFe−Ga−Si−Ru等の機能材料が使
用され、やはりスパッタ等の真空薄膜形成技術により被
着される。
上述の工程を経て作製された磁気コア半体ブロック
(21),(22)のうち一方に、コイル巻線溝(19)及び
融着ガラスを挿入するためのガラス溝(20)を切削加工
し、第3図Gに示すように、上記軟磁性合金薄膜(18)
が相対峙するように突き合わせ、ガラス融着により接着
した後、トラック−トラック間の中央部(図中X1−X1
及びX2−X2線位置)で切断し、第1図及び第2図に示す
磁気ヘッドを得る。
ここで、基板(11)が磁気ヘッドの磁気コア部
(1),(2)に対応しており、Fe−Al−Si系合金薄膜
(14)が第1の軟磁性合金薄膜(3),(4)に、軟磁
性合金薄膜(18)が第2の軟磁性合金薄膜(5),
(6)に対応している。
ところで、本発明磁気ヘッドの作製方法としては、上
述の工程に限定されるものではなく、種々の方法が考え
られる。例えば、先の例ではFe−Al−Si系合金薄膜を被
着した後にトラック幅規制溝を切削したが、予め基板に
トラック幅規制溝を切削した後にFe−Al−Si系合金薄膜
を被着するようにしてもよい。
すなわち、先ず第4図Aに示すように、先の例と同様
に基板(31)に斜面(32a)を有する溝(32)を切削し
た後、直ちに第4図Bに示すようにこの斜面(32a)の
両端にトラック幅規制溝(33),(34)を切削する。
次いで、第4図Cに示すように、Fe−Al−Si系合金薄
膜(35)を被着形成した後、第4図Dに示すように平面
研磨を施し、さらに第4図Eに示すように基板(31)前
面に前記Fe−Al−Si系合金薄膜(35)よりも高い飽和磁
束密度を有する軟磁性合金薄膜(36)及びギャップスペ
ーサとなる非磁性材(図示は省略する。)を被着する。
その後、先の例と同様に、これら軟磁性合金薄膜(3
6)同士が相対峙するように突き合わせ、ガラス融着し
て磁気ヘッドを完成する。
なお、この場合にも上記Fe−Al−Si系合金薄膜(35)
と基板(31)の間に中間膜等を形成してもよいことは言
うまでもない。
以上の工程により作製される磁気ヘッドの磁気記録媒
体対接面は、第5図に示すようなものである。
すなわち、第1の軟磁性合金薄膜であるFe−Al−Si系
合金薄膜(35)は、斜面(32a)上ばかりでなく、トラ
ック幅規制溝(33),(34)により形成される斜面(33
a),(34a)上にも被着形成され、トラック幅を確保す
るとともに、磁気ギャップ近傍部の高飽和磁束密度材の
容積を確保する役割を果している。また、第2の軟磁性
合金薄膜である軟磁性合金薄膜(36)は、先の例と同様
に磁気ギャップを挟んで相対峙しており、磁気ギャップ
近傍における磁束の飽和を防止している。なお、トラッ
ク幅規制溝(33),(34)により形成される空間には、
ガラス融着によりガラス等の非磁性材(37)が充填され
ている。
かかる磁気ヘッドにおいても、軟磁性合金膜が2層構
造となっていることから、磁束の飽和や擬似ギャップ、
ヒビ等の問題が解消される。
以上の説明からも明らかなように、酸化物磁性材料と
軟磁性合金薄膜との複合材よりなる磁気ヘッドにおい
て、特に酸化物磁性材料と接する部分をある程度膜厚を
確保することが可能な軟磁性合金材料により構成すると
ともに、これらの接合界面を磁気ギャップに対して傾斜
させているので、擬似ギャップの問題が解消され、同時
にある程度広いトラック幅を確保することが可能とな
る。また、磁気ギャップ近傍を高飽和磁束密度を有する
軟磁性合金材料により構成しているので、磁束の飽和が
起こり難くなり、またこの軟磁性合金材料の膜厚も少な
くて済むことからヒビの発生も抑えられる。
したがって、本発明によれば、記録・再生能力が高
く、しかも信頼性や歩留りの点で優れた磁気ヘッドを提
供することが可能となる。
なお、本発明の磁気ヘッドは、ギャップスペーサとな
る非磁性膜の形成前に当該非磁性膜と同様の手法により
高飽和磁束密度を有する軟磁性合金薄膜を被着形成する
だけなので、製造工程や製造コストをさほど増大するこ
ともなく、生産性の点でも問題はない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を適用した磁気ヘッドの外観斜視図、第
2図はその磁気記録媒体対接面を示す平面図である。 第3図Aないし第3図Gは第1図に示す磁気ヘッドの製
造するための製造工程の一例を工程順に従って示すもの
で、第3図Aは溝形成工程を示す側面図、第3図Bは第
1の軟磁性合金薄膜形成工程を示す側面図、第3図Cは
ガラス充填工程を示す側面図、第3図Dは平面研磨工程
を示す側面図、第3図Eはトラック幅規制溝切削工程を
示す側面図、第3図Fは第2の軟磁性合金薄膜形成工程
を示す側面図、第3図Gは磁気コア半体ブロック接合工
程を示す斜視図である。 第4図Aないし第4図Eは磁気ヘッドの製造方法の他の
例を工程順に示す側面図であり、第4図Aは溝形成工
程、第4図Bはトラック幅規制溝切削工程、第4図Cは
第1の軟磁性合金薄膜形成工程、第4図Dは平面研磨工
程、第4図Eは第2の軟磁性合金薄膜形成工程をそれぞ
れ示す。第5図は第4図Aないし第4図Eの工程により
作製される磁気ヘッドの磁気記録媒体対接面を示す平面
図である。 1,2……磁気コア部(酸化物磁性材料) 3,4……第1の軟磁性合金薄膜 5,6……第2の軟磁性合金薄膜 I,II……磁気コア半体

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物磁性材料と軟磁性薄膜とにより磁気
    コア半体が構成され、前記磁気コア半体が突き合わされ
    てなる複合磁気ヘッドにおいて、 前記軟磁性薄膜は、Fe−Al−Si系合金からなる第1の軟
    磁性薄膜と、前記第1の軟磁性薄膜の飽和磁束密度より
    大きい飽和磁束密度を有するFe−Ga−Si系合金、Fe−Al
    −Ge系合金、Fe−Ga−Ge系合金、Fe−Si−Ge系合金、Fe
    −Co−Si系合金又はFe−Co−Si−Al系合金からなる第2
    の軟磁性薄膜とよりなり、 磁気ギャップ部において上記第2の軟磁性薄膜同士が相
    対峙し、前記酸化物磁性材料と前記第1の軟磁性薄膜の
    接合界面は磁気ギャップ形成面と非平行部を有し、かつ
    前記第1の軟磁性薄膜と前記第2の軟磁性薄膜の接合界
    面は磁気ギャップ形成面と略平行部を有することを特徴
    とする複合磁気ヘッド。
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