JP2585833B2 - 電子レンズ - Google Patents

電子レンズ

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JP2585833B2
JP2585833B2 JP2091887A JP9188790A JP2585833B2 JP 2585833 B2 JP2585833 B2 JP 2585833B2 JP 2091887 A JP2091887 A JP 2091887A JP 9188790 A JP9188790 A JP 9188790A JP 2585833 B2 JP2585833 B2 JP 2585833B2
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magnetic
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武彦 柳田
武雄 田中
正弘 富田
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Hitachi Ltd
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電子レンズに係り、特に透過型電子顕微鏡で
対物レンズとして用いられる電子レンズに関する。
〔従来の技術〕
一般に、電子レンズの磁路は上下に分割され、その分
割された磁路の間に励磁コイルが収納されている。そし
て、励磁コイルに通電することによりポールピース間に
強い磁界を発生させ、この磁界で電子ビームを集束させ
るようになっている。
ところで、電子顕微鏡の対物レンズ等では、励磁コイ
ルで発生した熱が磁路を経て試料台に伝達されると、こ
の熱により試料台が熱変形して像のドリフトが起こる。
これを防ぐためには励磁コイルと磁路との間を断熱構造
にする必要がある。そのような断熱構造をなす電子レン
ズとして、実開昭63−87758号公報には励磁コイルの上
面側、下面側および内周面側に真空部を設けたものが、
実開平1−79258号公報には内部を真空にした熱遮断容
器内に励磁コイルを収納したものがそれぞれ提案されて
いる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記従来技術のうち、励磁コイルの上
面側、下面側および内周面側に真空部を設けたもので
は、真空部のある側は断熱されるが、真空部のない励磁
コイルの外周面側は断熱されない。しかも、励磁コイル
の上面側、下面側、内周面側には、水で冷却されたコイ
ル巻枠があるので、これらの側の温度はあまり高くなら
ないが、励磁コイルの外周面側にはコイル巻枠がないの
で、励磁コイル外周面の温度は高くなる。また励磁コイ
ル外周面と磁路との隙間は非常に狭く、励磁コイル外周
面から磁路へ伝熱され易い。さらに、その伝熱が試料台
に最も近い箇所で行われるため、磁路に伝わった熱は直
ちに試料台に流れてドリフトの原因となる。
また、磁路にはコイル巻枠に冷却水を流すための流路
が固定されているので、冷却水の流れの乱れ(脈動な
ど)が磁路に伝わり易く、これもドリフトの原因となっ
ている。
そして、以上のような原因でドリフトが起こると、画
像が安定するまで長時間を要し、その間は写真撮影など
を行うことができないという問題がある。
また、熱遮断容器内に励磁コイルを収納したもので
は、熱遮断容器内の気密を保持したまま冷却水配管やコ
イル配線を引き出さなければならないため、熱遮断容器
が大型化して、その分だけ励磁コイルが小型化されてし
まうという問題がある。励磁コイルが小型化されれば、
励磁コイルの巻数が減ってしまい。電子レンズとしての
性能が低下する。電子レンズの性能を高く維持するため
には、励磁コイルに流す電流を増やさなければならない
が、電流を増やすと励磁コイルからの発熱量が増加して
冷却が困難になる。
本発明の目的は、励磁コイルを小型化することなく、
励磁コイルから磁路へ熱が伝達されるのを押さえ、かつ
冷却水の流れの乱れによる振動が磁路へ伝わるのを防止
して、ドリフトを最小限にすることが可能な電子レンズ
を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明は、上下に分割さ
れた磁路を互いに接合して両磁路間に形成される円環状
の空間内に、円環状の励磁コイル部が収納され、かつ円
環状の空間と励磁コイル部は縦断面がほぼ矩形をなし、
収納した励磁コイル部の上・下面側及び内・外周面側に
は磁路との間に隙間が形成され、さらに磁路を貫通して
励磁コイル部に冷却流路が配設され、外部から供給され
冷却流路内を流れる冷媒で励磁コイル部を冷却するとと
もに、励磁コイル部で発生する磁界により、磁路中央の
高真空部を通る電子ビームを収束させる構成の電子レン
ズにおいて、円環状空間両側に沿って両磁路の分割面に
設けたシール部材によって空間を密閉するとともに、励
磁コイル部を断熱性部材上に設置し、空間を真空にする
ことにより、励磁コイル部の上・下面側及び内・外周面
側の隙間のほぼ全てを真空状態とし、かつ冷却流路と外
部配管との接合部を柔軟材を介して磁路に支持したもの
である。
また、本発明は、励磁コイル部外周面に輻射防止用の
板材を付加したものである 〔作用〕 上記構成によれば、励磁コイルの全周囲が真空状態と
なり、対流などが生じないため、励磁コイルから磁路へ
の伝熱を低減することができる。特に励磁コイル外周面
から磁路への伝熱を押さえるのに有効である。また励磁
コイル外周面と磁路との隙間は非常に狭く、この隙間を
介して輻射により熱が伝達され易いため、励磁コイルの
外面に輻射防止用の板材を設けておけば、励磁コイル外
周面から磁路への伝熱を最小限に押えることができる。
これにより、熱による画像のドリフトを防止することが
可能となる。
さらに、冷却流路と外部配管との接合部を柔軟材を介
して磁路に支持するようにすれば、冷却流路内を流れる
流体の脈動等による振動を柔軟材で吸収・軽減すること
ができ、振動による画像のドリフトを防止することが可
能となる。
〔実施例〕
以下に本発明の一実施例を図面を参照しながら説明す
る。
第1図は本発明の電子レンズの縦断面を示している。
図に示すように、磁路は上磁路1と下磁路2に分割さ
れ、上磁路1と下磁路2の間にはコイル巻枠4に巻かれ
た励磁コイル3が収されている。コイル巻枠4とそれに
巻かれた励磁コイル3とは励磁コイル部を形成する。励
磁コイル3の上面、下面および内周面はコイル巻枠4の
一部で覆われているが、励磁コイル3の外周面は露出し
ている。また励磁コイル3の外周面と上磁路1の内周面
との隙間は1mm程度に形成されている。
上磁路1の上部には試料台10が配設され、観察用の試
料は試料台10に取り付けられて、電子ビームの通る高真
空部5に挿入される。高真空部5の上方にはポールピー
ス11a,11bが設けられ、励磁コイル3に電流を流すと、
上磁路1と下磁路2の内部に磁束が通り、ポールピース
11a,11b間に強い磁界が発生するようになっている。
励磁コイル3が収納された部分と高真空部5とを仕切
るために、上磁路1には非磁性部材12が機密に接合さ
れ、かつ非磁性部材12と下磁路2との間にOリング13が
設けられている。上磁路1と下磁路2の接合部にはOリ
ング14が設けられ、このOリング14により、上磁路1の
内面、下磁路2の内面、コイル巻枠4の外面および励磁
コイル3の外周面で形成される空間15が外部と遮断され
ている。空間15は上磁路1を貫通する配管9を介して図
示していない真空ポンプに接続され、空間15内の真空が
保持されている。但し、空間15内の真空は断熱のための
真空なので、高真空部5より低い真空度となっている。
コイル巻枠4の下部は樹脂26Aと継手26で形成されて
いる。樹脂26Aの内部には冷却水配管6が配設され、こ
の冷却水配管6は継手26を介して出入口配管7に連結さ
れている。コイル巻枠4は下磁路2に敷かれた断熱性部
材としての断熱性のシート8の上に設置されている。な
お、第2図は冷却水配管6を含む面でのコイル巻枠4の
下部横断図を示している。
またコイル巻枠4に通電するための配線は図示されて
いないが、ハーメチックシールを経て外部に接続されて
いる。
第3図は出入口配管7の取付け部の詳細を示してい
る。フランジ部7Aを有する出入口配管7の先端はコイル
巻枠4の継手26に嵌合され、フランジ部7Aはボルト18に
よって上磁路1に固定されている。出入口配管7と継手
26との接続部は冷却水が漏出しないようにOリング16に
よって封止され、フランジ部7Aと上磁路1との間は空間
15を真空に保つためにOリング17によって封止されてい
る。この場合、Oリング17は径が大きめで硬度の低い材
質のものが用いられている。
次に本実施例の作用について説明する。
励磁コイル3に通電すると励磁コイル3は発熱する。
コイル巻枠4の冷却水配管6内を流れる冷却水によって
励磁コイル3は冷却されるが、励磁コイル3の発熱量が
大きいため、コイル巻枠4および励磁コイル3の外周面
の温度は上昇する。ところが、コイル巻枠4の外面およ
び励磁コイル3の外周面には空間15が存在し、この空間
15は真空が保たれているため、コイル巻枠4および励磁
コイル3の外周面から上磁路1および下磁路2へ伝達さ
れる熱はごくわずかである。伝達される熱としては、空
間15を介しての輻射熱とシート8を介しての伝導熱など
がある。特に励磁コイル3の外周面と上磁路1の内面と
の間は非常に狭いが、この間の空間15が真空になってい
ることにより、励磁コイル3の外周面から上磁路1の内
周への伝熱量がごくわずかに押さえられる。これによ
り、励磁コイル3の温度上昇にもかかわらず上磁路1の
温度を低く維持することができ、上磁路1に取付けられ
た試料台10の温度上昇を押さえドリフトを小さくするこ
とが可能となる。この場合、励磁コイル3の外周面に輻
射防止用の板材を設けておくと、励磁コイル3の外周面
から上磁路1への伝熱をより一層効果的に押さえること
ができる。
また、本実施例によれば、冷却水の水温が変動した場
合、上磁路1と下磁路2の温度変動を押さえることがで
きるので、この場合にもドリフトを小さくすることが可
能となる。
さらに、Oリング17を介して出入口配管7を上磁路1
に固定したので、冷却水に脈動が生じても、その脈動に
よる振動はOリング17で吸収・軽減され、振動が上磁路
1へ伝わるのを最小限に押さえることができる。これに
より、冷却水の脈動によって発生する画像のドリフトに
対しても、そのドリフトを小さくすることが可能とな
る。
第4図は出入口配管7の取付け部の他の実施例を示し
ている。本実施例では、穴付きのフランジ20がボルト18
によって上磁路1に固定され、このフランジ20の穴に出
入口配管7が挿通されている。フランジ20と出入口配管
7との間にはOリング21が、フランジ20と上磁路1の間
にはパッキン19がそれぞれ設けられ、空間15内の真空が
保持されている。また出入口配管7の先端にはテーパネ
ジ部24が形成され、このテーパネジ部24がコイル巻枠4
の継手26に螺合されている。そして、冷却水が漏出しな
いように螺合部にはシール用のテープが巻かれている。
このような構成においても、出入口配管7からの振動
をOリング21で吸収・軽減できるので、その振動が上磁
路1へ伝わるのを最小限に押さえることができ、ドリフ
トを小さくすることが可能となる。
第5図は出入口配管7の取付け部の更に他の実施例を
示している。本実施例では、フランジ20とカバー23を有
するベローズ22を用いて出入口配管7が上磁路1に固定
されている。そして、フランジ20と上磁路1の間にOリ
ング17が、カバー23と出入口配管7の間にOリング21が
それぞれ設けられている。また出入口配管7の先端には
ネジ部25が形成され、このネジ部25がコイル巻枠4の継
手26に螺合されている。出入口配管7の先端と継手26の
間にはOリング16が設けられ、冷却水の漏出が防止され
ている。
本実施例によれば、柔軟性の高いベローズ22により出
入口配管7が上磁路1に固定されるため、冷却水の脈動
などによる振動をかなり吸収でき、振動軽減が重要な場
合に効果的である。
なお、第1図の実施例で対物レンズ部の試料台とし
て、サイドエントリ形の試料台を示したが、トップエン
トリ形の試料台を用いてもよい。トップエントリ形の試
料台はサイドエントリ形の試料台に比べて振動に強いた
め、第3図および第4図の実施例の構造で十分に効果が
ある。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、励磁コイル部
の上・下面及び内・外周面と磁路内面との間に形成され
た隙間の全てが真空状態となるので、励磁コイルで発生
した熱が磁路に伝達されるのを最小限に抑えることがで
きるとともに、冷却水の温度変化による磁路の温度変動
も最小にすることができる。また冷却流路と外部配管と
の接続部が柔軟材を介して磁路に支持されているので、
冷媒の流れの乱れ等による磁路の振動を防ぐことができ
る。
また、励磁コイル部外周面に輻射防止用の板材を設け
ることにより、励磁コイル部外周面と磁路内面との小さ
い隙間を介して伝達される輻射熱を大幅に抑制すること
ができる。
以上のように、本発明は励磁コイルから磁路への熱伝
達と冷媒の流れの乱れ等による磁路の振動を防ぐことが
でき、これにより、ドリフトを低減できるため、短時間
で写真撮影を行うことが可能となる。特に高分解能で写
真撮影する際に効果的である。
さらに、励磁コイルを小型化する必要がないので、所
定の磁界の強さを得るのに小さい電流で済み、励磁コイ
ルの温度上昇が少なく、コイル絶縁材の寿命の点で有利
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の電子レンズの縦断面図、第2図はコイ
ル巻枠下部の横断面図、第3図は出入口配管の取付け部
の詳細縦断面図、第4図は出入口配管の取付け部の他の
実施例を示す詳細縦断面図、第5図は出入口配管の取付
け部の更に他の実施例を示す詳細縦断面図である。 1……上磁路、2……下磁路、3……励磁コイル、4…
…コイル巻枠、5……高真空部、6……冷却水配管、7
……出入口配管、8……シート、9……配管、10……試
料台、11a,11b……ポールピース、12……非磁性体部
材、13,14,16,17,21……Oリング、15……空間、18……
ボルト、19……パッキン、20……フランジ、22……ベロ
ーズ、23……カバー、24……テーパネジ部、25……ネジ
部、26……継手、26A……樹脂。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺門 貞夫 茨城県勝田市市毛882番地 株式会社日 立製作所那珂工場内 (56)参考文献 特開 昭63−87758(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上下に分割された磁路を互いに接合して両
    磁路間に形成される円環状の空間内に、円環状の励磁コ
    イル部が収納され、かつ円環状の前記空間と励磁コイル
    部は縦断面がほぼ矩形をなし、収納した前記励磁コイル
    部の上・下面側及び内・外周面側には前記磁路との間に
    隙間が形成され、さらに前記磁路を貫通して前記励磁コ
    イル部に冷却流路が配設され、外部から供給され前記冷
    却流路内を流れる冷媒で前記励磁コイル部を冷却すると
    ともに、前記励磁コイル部で発生する磁界により、前記
    磁路中央の高真空部を通る電子ビームを収束させる構成
    の電子レンズにおいて、 前記円環状空間両側に沿って前記両磁路の分割面に設け
    たシール部材によって前記空間を密閉するとともに、前
    記励磁コイル部を断熱性部材上に設置し、前記空間を真
    空にすることにより、前記励磁コイル部の上・下面側及
    び内・外周面側の前記隙間のほぼ全てを真空状態とし、
    かつ前記冷却流路と外部配管との接合部を柔軟材を介し
    て前記磁路に支持したことを特徴とする電子レンズ。
  2. 【請求項2】上下に分割された磁路を互いに接合して両
    磁路間に形成される円環状の空間内に、円環状の励磁コ
    イル部が収納され、かつ円環状の前記空間と励磁コイル
    部は縦断面がほぼ矩形をなし、収納した前記励磁コイル
    部の上・下面側及び内・外周面側には前記磁路との間に
    隙間が形成され、さらに前記磁路を貫通して前記励磁コ
    イル部に冷却流路が配設され、外部から供給され前記冷
    却流路内を流れる冷媒で前記励磁コイル部を冷却すると
    ともに、前記励磁コイル部で発生する磁界により、前記
    磁路中央の高真空部を通る電子ビームを収束させる構成
    の電子レンズにおいて、 前記円環状空間両側に沿って前記両磁路の分割面に設け
    たシール部材によって前記空間を密閉するとともに、前
    記励磁コイル部を断熱性部材上に設置し、前記空間を真
    空にすることにより、前記励磁コイル部の上・下面側及
    び内・外周面側の前記隙間のほぼ全てを真空状態とし、
    かつ前記冷却流路と外部配管との接合部を柔軟材を介し
    て前記励磁コイル部に支持するとともに、前記励磁コイ
    ル部外周面に輻射防止用の板材を設けたことを特徴とす
    る電子レンズ。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の電子レンズにおい
    て、 前記柔軟材を硬度の低いOリングで構成したことを特徴
    とする電子レンズ。
  4. 【請求項4】請求項1又は2に記載の電子レンズにおい
    て、 前記柔軟材をベローズで構成したことを特徴とする電子
    レンズ。
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