JP2585420Y2 - 刃先位置変更可能な切削工具装置 - Google Patents

刃先位置変更可能な切削工具装置

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JP2585420Y2
JP2585420Y2 JP1993020180U JP2018093U JP2585420Y2 JP 2585420 Y2 JP2585420 Y2 JP 2585420Y2 JP 1993020180 U JP1993020180 U JP 1993020180U JP 2018093 U JP2018093 U JP 2018093U JP 2585420 Y2 JP2585420 Y2 JP 2585420Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は刃先位置変更可能な切削
工具装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】刃先位置変更可能な切削工具装置が従来
より知られている。例えば、図9,10において、21
0はアダプタであり、212はチップ214を保持する
チップホルダであり、216は図示しない工作機械の主
軸に設けられた孔に軸方向に移動可能に嵌合されたロッ
ドである。
【0003】アダプタ210は、ボルト220によって
主軸に固定され、主軸と一体的に回転させられる。アダ
プタ210の中央部には主軸の回転軸線Lと平行かつ同
心の孔222が形成されている。孔222には回転偏心
体228がベアリング230を介して嵌合されている。
回転偏心体228は概して円筒状をなしており、底部2
32と筒部234とを備えている。底部232には雌ね
じ孔236が形成されている。また、筒部234の周壁
の厚さは一様ではなく、肉厚部238と肉薄部240と
を備えている。すなわち、筒部234の内周側の円形断
面は、外周側の円形断面の中心線、すなわち、主軸およ
びアダプタ210の回転軸線Lから偏心しているのであ
る。
【0004】チップホルダ212は、係合部244にお
いて移動部材246に固定されている。移動部材246
は、円筒部252と円板部254とを備えており、円筒
部252においてベアリング256を介して回転偏心体
228の内周部に嵌合されている。また、円筒部252
の内周側は嵌合孔258とされている。円板部254に
は半径方向に沿って図示しない長穴が形成され、ピン2
60を介してアダプタ210に係合させられている。す
なわち、移動部材246はアダプタ210に対して半径
方向に相対移動可能に、かつ、相対回転不能に取り付け
られているのである。ロッド216の先端にはリード角
の大きい多条の雄ねじ部262が設けられており、雄ね
じ部262は回転偏心体228の雌ねじ孔236に螺合
され、嵌合孔258に嵌入させられている。ロッド21
6は図示しないモータが連結され、ロッド216は駆動
装置により軸方向に移動させられる。
【0005】以上のように構成された切削工具装置にお
いて、チップ214が図9に示す位置にある状態におい
て、ロッド216が軸方向に移動させられると回転偏心
体228が回転軸線L回りに回転させられる。それに伴
って移動部材246およびチップホルダ212が半径方
向にアダプタ210に対して相対移動させられ、チップ
214が図10に示す位置に移動させられる。チップ2
14の主軸の回転軸線Lに対する半径方向の位置が距離
dだけ内周側に移動させられるのである。また、主軸の
回転に伴ってアダプタ210,チップホルダ212,移
動部材246等回転部が一体的に回転させられる。
【0006】しかし、上記切削工具装置は高速加工(回
転)に適さないという問題があった。チップホルダ21
2および移動部材246が半径方向に移動させられるた
め、切削工具装置全体の回転軸線Lに対する動バランス
を保つことができないのである。たとえ、図9に示す状
態において回転軸線Lに対する動バランスがとられてい
ても、図10に示す状態に変更されると、回転軸線Lに
対する動バランスがくずれるからである。したがって、
切削工具装置の回転速度が小さい間は、動バランスが保
たれていなくても遠心力が小さいためそれほど問題には
ならないが、回転速度が大きくなると遠心力が大きくな
るため切削精度の低下等の問題が生じるのである。
【0007】一方、チップホルダ212および移動部材
246(工具保持体)をアダプタ210(工具装置本
体)に対して半径方向に移動させることなくチップ21
4(切削工具の刃先)の半径方向における位置を変更す
る切削工具装置が、特開平3─35906号公報に記載
されている。この切削工具装置は、(a) 工作機械の主軸
に取り付けられて主軸と一体的に回転させられ、回転軸
線と平行でかつ偏心した円形断面の第一嵌合部を備えた
工具装置本体と、(b) その工具装置本体の第一嵌合部に
第二嵌合部において相対回転可能に嵌合され、工具保持
部に刃先位置が前記第二嵌合部の中心線から偏心した状
態で切削工具を保持する工具保持体と、(c) それら工具
装置本体と工具保持体との相対回転位相を変更する位相
変更装置とを備えたものである。
【0008】この切削工具装置においては、切削工具の
刃先の半径方向における位置が、工具装置本体と工具保
持体との相対回転位相を変更することによって変更され
る。すなわち、工具保持体を工具装置本体に対して半径
方向に移動させなくても刃先位置を変更することができ
るはずである。
【0009】この特徴を利用すれば、工具保持体および
工具装置本体の主軸の回転軸線に対する動バランスが、
刃先位置が変更されても保たれるように製造することが
可能である。しかし、上記公報には、そのような思想が
記載されていない。
【0010】
【考案が解決しようとする課題】本考案は、以上の事情
を背景として、高速加工時において切削精度の低下を回
避し得る刃先位置の変更可能な切削工具装置を得ること
を課題としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】そして、本考案の要旨
は、前記(a) 工具装置本体と、(b) 工具保持体と、(c)
位相変更装置とを含む刃先位置の変更可能な切削工具装
置において、工具保持体の第二嵌合部の中心線に対する
動バランスをとるとともに、工具保持体と工具装置本体
との組立体の工具装置本体の回転軸線に対する動バラン
スもとったことにある。
【0012】
【作用】上記のように構成された切削工具装置におい
て、切削工具の刃先の半径方向における位置が、位相変
更装置が工具装置本体と工具保持体との相対回転位相を
変更することによって変更される。工具保持体を工具装
置本体に対して半径方向に移動させなくても切削工具の
刃先位置が変更されるのである。しかも、工具保持体の
第二嵌合部の中心線に対する動バランスがとられてお
り、工具保持体と工具装置本体との組立体の工具装置本
体の回転軸線に対する動バランスもとられているため、
切削工具の刃先位置が変更されても組立体の動バランス
が保たれる。
【0013】
【考案の効果】以上のように本考案の切削工具装置によ
れば、刃先位置が変更されても動バランスを保つことが
できる。そのため、高速加工時にも、振動が起こること
が回避され、切削精度の低下が回避される。また、この
利点を特に有効に享受することができる用途の一つは、
直径が比較的大きく変わる段付孔の高速加工である。
【0014】
【実施例】以下、本考案をドリル兼用中ぐり装置に適用
した場合の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、10はドリル兼用中ぐり装置の主軸であ
る。主軸10はベアリング12,シール14等を介して
ハウジング16に回転可能に保持されている。主軸10
のハウジング16から突出した後端部にはVプーリ18
が相対回転不能に取り付けられている。ハウジング16
は図2に示すようにスライド20上に載置されており、
スライド20の後部には複数本のボルト22によって高
さ調節可能にプレート24が取り付けられるとともに、
そのプレート24上にモータ26が載置されている。モ
ータ26の出力軸にはVプーリ28が固定されており、
Vプーリ18とVプーリ28とにVベルト30が巻き掛
けられることにより、モータ26によって主軸10が回
転させられるようになっている。
【0015】主軸10は軸方向に延びる中心穴32を備
えており、ロッド34が軸方向に移動可能に嵌合されて
いる。ロッド34はピン36によって2つの軸部材が連
結されたものである。中心穴32の先端部は大径の嵌合
孔37とされており、ここにアダプタ38の嵌合突部4
0が精度よく嵌合されている。アダプタ38は主軸10
の端面42にボルトにより固定されており、アダプタ3
8の嵌合突部40とは反対側の端面46には嵌合突部4
0と同心に嵌合突部45が設けられている。この嵌合突
部45に円筒状のケーシング44が嵌合孔47において
精度よく嵌合されボルトによりアダプタ38に固定され
ている。すなわち、アダプタ38は主軸10に、嵌合突
部40の中心線が主軸10の軸心と一致した状態で取り
付けられ、ケーシング44はアダプタ38に、嵌合孔4
7の中心線がアダプタ38の嵌合突部45の中心線と一
致した状態で取り付けられることになる。また、これら
は互いにボルトによって固定され相対回転不能とされて
いるため、主軸10,アダプタ38およびケーシング4
4は、同一の回転軸線回りを一体的に回転する。この回
転軸線,すなわち、主軸10の軸心,嵌合突部40の中
心線,嵌合孔47の中心線を符号N(図6参照)で表
す。
【0016】ロッド34の先端部は主軸10の軸心Nに
対して一定量偏心させられた雄ねじ部48とされてお
り、アダプタ38を軸方向に貫通する段付の貫通穴50
を通ってケーシング44の偏心嵌合孔51に嵌入させら
れている。偏心嵌合孔51は前記嵌合穴47に対して偏
心して形成されており、偏心嵌合孔51の中心線Mは前
記回転軸線Nとは一致しない。雄ねじ部48は4条ねじ
等の多条ねじとされており、ねじ山のリード角が大きく
設定されている。また、ロッド34の雄ねじ部48の基
端部近傍には面取り52が4箇所に施され、貫通穴50
の角穴部53に嵌合されてロッド34とアダプタ38と
の相対回転が防止されている。
【0017】雄ねじ部48は、偏心孔51内において、
偏心回転部材54の嵌合軸部55の中央部に形成された
貫通穴56の雌ねじ孔部58に螺合されている。偏心回
転部材54は前記嵌合軸部55と工具保持部57とを備
えており、嵌合軸部55において偏心嵌合孔51にベア
リング60,62を介して雄ねじ部48の軸心まわりに
回転可能に保持されている。すなわち、図6に示すよう
に、偏心回転部材54の軸心(嵌合軸部55の中心線)
は偏心嵌合孔51の中心線Mと一致させられ、主軸10
およびアダプタ38の軸心Nに対して前記雄ねじ部48
の偏心量と同量だけ偏心させられているのであり、雄ね
じ部48の前進・後退によって、偏心回転部材54がケ
ーシング44に対して偏心した軸心Mのまわりに正・逆
両方向に回転させられる。
【0018】また、偏心回転部材54の工具保持部57
は偏心嵌合孔51から突出させられており、工具保持部
57にはチップホルダ68が固定されている。チップホ
ルダ68は、先端部に切削工具たるチップ64,66を
嵌合軸部55の中心線Mから偏心した状態で備えてい
る。偏心回転部材54の貫通穴56の雌ねじ孔部58と
は反対側の端部には頭部が花弁形を成す係合部材70の
軸部が嵌合されており、チップホルダ68には、係合部
材70の頭部と一定の相対位相では軸方向に嵌合・離脱
可能であるが、他の位相では嵌合・離脱不能である形状
の係合穴72が形成されている。したがって、この係合
穴72に係合部材70を係合させ、偏心回転部材54に
設けられた図示しない引込機構によって係合部材70を
偏心回転部材54内へ引き込むことにより、チップホル
ダ68を偏心回転部材54に固定し得るのであり、その
状態ではチップホルダ68が偏心回転部材54と一体的
に回転する。すなわち、本実施例においては、アダプタ
38およびケーシング44が工具装置本体73を構成
し、チップホルダ68および偏心回転部材54等が工具
保持体75を構成する。そして、偏心嵌合孔51が第一
嵌合部であり、嵌合軸部55が第二嵌合部である。工具
保持体75は嵌合軸部55の中心線Mに対して、後述の
ように、動バランスがとられた状態で嵌合軸部55にお
いて偏心孔51に嵌合され、工具装置本体73と工具保
持体75との組立体が、嵌合突部40の中心線Nに対し
て動バランスがとられた状態で、嵌合突部40において
主軸10の嵌合孔37に嵌合されている。
【0019】図3および図4に拡大して示すように、チ
ップ64,66はチップホルダ68のホルダ本体74か
ら突出した小径のチップ保持部76の先端部に取り付け
られている。チップ保持部76の外周面には軸方向に延
びる切屑排出溝78,80が形成されている。チップ6
4,66は各すくい面がほぼチップホルダ68の軸心M
を含む一平面上に位置する状態で取り付けられているの
である。
【0020】前記Vプーリ18の後端にはケーシング1
00が固定されるとともに、ケーシング100には更に
別のケーシング102が固定されている。ロッド34の
後端部の外周面には、直径方向に隔たった4箇所に面取
り104が施され、ケーシング102に形成された矩形
の貫通穴106に相対回転不能に嵌合されることによっ
て、ロッド34の主軸10に対する回転が防止されてい
る。ケーシング102はハウジング16から後方に延び
出させられたアーム108に固定のケーシング110と
相対回転可能に嵌合されている。
【0021】ロッド34には後端面から軸方向穴112
が形成されており、ここにねじ軸114の前端部が嵌入
させられている。ねじ軸114は、その後方に配設され
ているモータ116の出力軸118に連結されている。
一方、ケーシング110には軸方向に延びる貫通穴12
0が形成されており、貫通穴120の内部には移動部材
122が摺動可能に嵌合されている。移動部材122は
軸方向穴124を備え、その後端部にはねじ軸114と
螺合されたナット126が固定されるとともに、前端部
においてベアリング128,130を介してロッド34
を回転可能かつ軸方向に移動不能に保持している。
【0022】したがって、モータ116によりねじ軸1
14が回転させられれば、ナット126および移動部材
122が貫通穴120内を移動し、それに伴ってロッド
34が軸方向に移動させられる。ロッド34が前進させ
られれば、偏心回転部材54が回転させられ、それに伴
ってチップホルダ68も回転し、チップ64が主軸10
の半径方向外側に移動させられ、偏心回転部材54が1
80度回転させられたときに最も外側に位置する。ま
た、チップ66は逆に最も主軸10の軸心に近い状態と
なる。この180度の回転の最初と最後においては、チ
ップ64,66の先端が主軸10の軸心と偏心回転部材
54の軸心とを含む一平面上に位置するようにされてい
るのであり、この回転に伴うチップ64,66の先端の
主軸10の半径方向における移動量は、上記両軸心の偏
心量の2倍である。逆にロッド34が後退させられれ
ば、偏心回転部材54およびチップホルダ68が逆回転
させられ、チップ64が主軸10の半径方向内側へ、チ
ップ66が半径方向外側へ移動させられる。このよう
に、チップ64,66の半径方向における位置が、偏心
回転部材54およびチップホルダ68の半径方向の移動
を伴うことなく変更されるのである。また、雄ねじ部4
8,雌ねじ孔部58等が位相変更装置を構成しているの
である。
【0023】ここで、動バランスについて説明する。動
バランスをとるためには、回転体の慣性主軸を回転軸に
一致させる必要があり、静バランスをとるためには、回
転体の重心を回転軸上にする必要がある。したがって、
動バランスをとれば静バランスがとられていることにな
る。本実施例においては、まず、図6に示すように、工
具保持体75の嵌合軸部55の中心線Mに対する動バラ
ンスを図示しない釣合い試験機を利用してとる。その
後、工具保持体75を工具装置本体73に嵌合し、工具
装置本体73と工具保持体75との組立体の嵌合突部4
0の中心線Nに対する動バランスをとる。そして、動バ
ランスがとられた状態の組立体を嵌合突部40を嵌合孔
37に嵌合し、ボルトによって端面46に固定する。し
たがって、工具保持体75の工具装置本体73に対する
相対回転位相が変更されても、組立体の回転軸線Nに対
する動バランスが保たれることになる。
【0024】釣合い試験機は、軸受け,モータ,不釣合
い検出装置等を備えたものであり、回転体を軸受けで支
持し、モータによって高速回転させる。その場合に生じ
る軸受けの振動が検出され、その検出値に基づいて不釣
合いが不釣合い検出装置によって検出される。回転体の
動バランスがとられていない場合には、回転体の回転に
伴って軸受けが振動させられる。その振動の位相および
振幅に基づいて不釣合いの方向(不釣合い面)および大
きさが演算により求められる。その結果に基づいて回転
体の偏心質量を調整するのである。本実施例において
は、工具保持本体75においては、図6に示すX部付近
の一部を切削することによって質量バランスがとられ、
組立体においては、Y部付近の一部を切削することによ
って質量バランスがとられるのである。
【0025】図2において、ハウジング16が載置され
たスライド20は、ガイドレール140上を移動可能と
されている。ガイドレール140は、基台142上に設
けられた案内台144上に主軸10の軸心に平行な方向
に配設されている。スライド20の下側に、ブラケット
146によって取り付けられたナット148には、モー
タ150によって回転駆動される送りねじ152が螺合
されており、スライド20が送りねじ152の回転によ
って案内台142上を移動させられることにより、ハウ
ジング16が主軸10の軸方向に送られるようになって
いる。
【0026】モータ116および150は、図5に示す
制御装置160によって制御される。制御装置160
は、CPU162,RAM164およびROM166を
備えており、エンコーダ168,170,モータ116
を駆動するための駆動回路172およびモータ150を
駆動するための駆動回路174が接続されている。制御
装置160は、それぞれエンコーダ168,170によ
り検出されるモータ116,150の回転量が目標回転
量と等しくなるように、駆動回路172,174を介し
てモータ116,モータ150を制御する。
【0027】以上のように構成されたドリル兼用中ぐり
装置によって被加工物の穴あけおよび中ぐり加工を行う
場合には、制御装置160のRAM164に被加工物に
施すべき穴あけおよび中ぐり加工に関するデータを入力
することにより、モータ116,150が制御されて所
定の量ずつ回転し、チップ64,66が主軸10の軸方
向および半径方向に移動させられて切削を行う。工具装
置本体73はモータ26の駆動によって回転させられ、
工具装置本体73と一体的に工具保持体75およびチッ
プ64,66等も回転させられる。
【0028】チップ64,66が主軸10と共に前進、
すなわち正方向に移動させられる際には、偏心回転部材
54が一定量回転させられ、図7に示すように、一点鎖
線で示す主軸10の軸心(回転軸線N)に対してチップ
64がチップホルダ68の軸心Mと同じ側に、また、チ
ップ66が反対側に位置する状態とされ、主軸10の回
転に伴ってチップ64の先端が描く円軌跡の直径がチッ
プ66のそれより大きくされる。すなわち、チップ66
の最も外側の切刃eは、チップ64の最も外側の切刃a
より半径方向においても軸方向においても引っ込んだ位
置にあるため、切削には関与しない。チップ64の切刃
のうちaおよびcで示す部分と、チップ66の切刃のう
ちbおよびdで示す部分とにより被加工物の穴あけが行
われるのである。
【0029】一方、チップ64,66が前進端に達した
後、後退、すなわち逆方向に移動させられる際には、図
8に示すように、主軸10の軸心Nに対してチップ66
がチップホルダ68の軸心Mと同じ側に、また、チップ
64が反対側に位置する状態とされる。これにより、チ
ップ66の切刃fがチップ64の切刃aよりも半径方向
外側に位置させられ、前進時に切刃aが描いた円軌跡の
直径Aと後退時に切刃fの描く円軌跡の直径Fとの関係
がA<Fとなり、切刃fによって、前進時にチップ6
4,66によりあけられた穴の中ぐり加工が行われる。
すなわち、本実施例においては、主軸10の1回の往復
移動により穴あけおよびその穴の中ぐりが行われるので
ある。
【0030】この際、工具保持体75の動バランスがと
られており、さらに、組立体の動バランスがもられてい
るため、チップ64,66が半径方向のどの位置にあっ
ても動バランスは保たれる。そのため、モータ26の回
転数を大きくしても振動が起こることが回避され、切削
精度が低下させられることが良好に回避されるのであ
る。
【0031】なお、上記実施例においては、工具保持体
75の工具装置本体73に対する回転が動力によって行
われるようにされていたが、手動で行われるようにして
もよい。また、必ずしも、嵌合突部を第一嵌合部とし、
嵌合孔を第二嵌合部とする必要はなく、逆にしてもよ
い。すなわち、工具保持体が有する嵌合突部を工具装置
本体が有する嵌合孔に嵌合させてもよいのである。
【0032】さらに、上記実施例におけるドリル兼用中
ぐり装置においては、穴あけと中ぐりとの切り換えのた
めに刃先位置が変更されるようにされていたが、中ぐり
装置において、加工終了後、中ぐり工具を原位置へ戻す
場合に仕上げ面にかえりマークが付くことを回避するた
めのリトラクトや寸法公差を満たすための刃先位置の微
小調節等に本考案を適用することも可能である。その
他、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した
態様で本考案を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例である切削加工装置の主要部
を示す正面断面図である。
【図2】上記装置の全体を示す正面図(一部断面)であ
る。
【図3】上記装置の刃具周辺を示す一部正面断面図であ
る。
【図4】上記装置の側面図である。
【図5】上記装置の電気制御部を示すブロック図であ
り、
【図6】上記装置の組立体の概略図である。
【図7】上記装置の刃具の切刃を拡大して示す正面図で
ある。
【図8】上記装置の刃具の切刃を拡大して示す正面図で
ある。
【図9】従来の切削工具装置の断面図である。
【図10】従来の切削工具装置の断面図である。
【符号の説明】
10 主軸 38 アダプタ 44 ケーシング 48 雄ねじ部 51 偏心嵌合孔 54 偏心回転部材 55 嵌合軸部 58 雄ねじ孔部 64,66 チップ 68 チップホルダ 73 工具保持体 75 工具装置本体

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工作機械の主軸に取り付けられて主軸と
    一体的に回転させられ、回転軸線と平行でかつ偏心した
    円形断面の第一嵌合部を備えた工具装置本体と、 その工具装置本体の第一嵌合部に第二嵌合部において相
    対回転可能に嵌合され、工具保持部に刃先位置が前記第
    二嵌合部の中心線から偏心した状態で切削工具を保持す
    る工具保持体と、 それら工具装置本体と工具保持体との相対回転位相を変
    更する位相変更装置とを含む刃先位置の変更可能な切削
    工具装置において、 前記工具保持体の前記第二嵌合部の中心線に対する動バ
    ランスをとるとともに、工具保持体と工具装置本体との
    組立体の工具装置本体の回転軸線に対する動バランスも
    とったことを特徴とする刃先位置の変更可能な切削工具
    装置。
JP1993020180U 1993-03-25 1993-03-25 刃先位置変更可能な切削工具装置 Expired - Fee Related JP2585420Y2 (ja)

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