JP2585255Y2 - 帯体縫い付け用ミシン - Google Patents

帯体縫い付け用ミシン

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JP2585255Y2
JP2585255Y2 JP3593693U JP3593693U JP2585255Y2 JP 2585255 Y2 JP2585255 Y2 JP 2585255Y2 JP 3593693 U JP3593693 U JP 3593693U JP 3593693 U JP3593693 U JP 3593693U JP 2585255 Y2 JP2585255 Y2 JP 2585255Y2
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誠 内田
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Yamato Sewing Machine Mfg Co Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、ショーツ、ブリーフの
製造において、股ぐり部に帯状をなすレースゴムを縫い
付ける場合等、縫製生地の連続的に屈曲する側縁に帯体
を重ね合わせて縫い付ける用途に適用される帯体縫い付
け用ミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】図7は、ショーツの製造工程の説明図で
ある。ショーツの製造においては、夫々図示の如く裁断
された胴囲部生地Aと股下部生地Bとを用い、まず図7
(a)に示す如く、胴囲部生地Aの前身頃側の股下縁部
に、股下部生地Bの対応する側の端縁を重ねて縫い合わ
せる。次いで、図7(b)及び(c)に夫々示す如く、
胴囲部生地Aと股下部生地Bとにより形成される両側の
股ぐり部の周縁と、胴囲部生地Aの上側開口部(ウエス
ト部)の周縁とに、帯状をなすレースゴムRを縫い付け
る。最後に、胴囲部生地A及び股下部生地Bを裏返し、
胴囲部生地Aの後身頃を合わせて縫着し、更に、図7
(d)に示す如く、胴囲部生地Aの後身頃側の股下縁部
に、股下部生地Bの他側端縁を重ねて縫い合わせる。
【0003】以上の如きショーツの製造において、股ぐ
り部及びウエスト部へのレースゴムRの縫い付けは、該
レースゴムRに適正な張力を付与した状態で行われる必
要がある。このような縫い付けを高能率にて行うべく、
レースゴムRの如き帯体を連続的に送り出す帯体送り装
置をミシンベッド上部の針落ち位置の前側に備えた専用
のミシン(帯体縫い付け用ミシン)が、従来から用いら
れている。前記帯体送り装置は、ミシンベッド上での生
地の送りに同期して回転駆動される一対の送りローラ間
にレースゴムRを挾持し、両送りローラの回転により送
りを付与する構成を有し、レースゴムRの送り速度は、
前記送りローラの駆動源となるパルスモータの回転制御
により適宜に設定できるようになしてある。
【0004】このような帯体縫い付け用ミシンによるレ
ースゴムRの縫い付けは、帯体送り装置にセットされた
レースゴムRの先端をミシンベッド上に引出し、縫着対
象となる生地の側縁に重ね、これらを押え金により挾圧
保持させた後にミシンを起動して、押え金下での送り機
構の動作により生地に送りを加えると共に、この送りに
同期した帯体送り装置の動作によりレースゴムRを送り
出しつつ行われる。この送り出し速度は、前記送りロー
ラの回転制御により、ミシンベッド上での生地の送り速
度よりも低い速度に保たれており、前記レースゴムR
は、帯体送り装置の送りローラとミシンベッド上の押え
金との間にて一定の張力が付与された状態で生地の側縁
に縫い付けられる。
【0005】また、本願出願人により特願平4−316245
号等に提案された帯体縫い付け用ミシンは、前述した動
作をなす帯体送り装置を備えると共に、ミシンベッド上
の針落ち位置の前側に、生地の側縁の所定の送り込み経
路に対する位置ずれを検出する生地端センサと、針落ち
位置前の生地を上下から挾持して回転し、送り方向と略
直交する向きの移動力を付与する生地端制御ローラとを
備え、該生地端制御ローラを前記生地端センサの検出結
果に基づいて駆動して、縫い付け対象となる前記側縁の
位置ずれを自動補正しつつ針落ち位置への生地の送り込
みを行う構成となっている。
【0006】このミシンを使用した場合、針落ち位置へ
の生地の送り込みが常時適正な姿勢を保って行われるよ
うになり、縫製作業者は、帯体送り装置から引き出した
帯体を縫製対象となる生地の側縁に重ねてミシンベッド
上にセットする作業を必要とするのみであり、レースゴ
ムR等の帯体の縫い付けが略完全に自動化でき、更なる
高能率化が達成される。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】ところが、このような
帯体縫い付け用ミシンを前述したショーツの製造に適用
する場合、以下の如き問題が生じる。図8は、図7
(b)に示す段階での胴囲部生地A及び股下部生地Bの
平面展開図であり、図示の如く、レースゴムRの一方の
縫い付け対象となるウエスト部は、平面視にて略直線状
をなす側縁A′を有するのに対し、他方の縫い付け対象
となる股ぐり部は、適宜の曲率を有して一側に連続的に
屈曲する側縁B′を有している。
【0008】図9は、ショーツの股ぐり部の側縁等、平
面視にて一側に連続した屈曲形態をなす側縁K′を有す
る生地Kにおいて、前記側縁K′に対するレースゴムR
の縫い付けの実施状態を示す平面図である。この縫い付
けは、前記側縁K′の一側端部を、ミシンベッド1a上の
針落ち位置の前に図示の如く位置決めし、図示しない帯
体送り装置から引き出したレースゴムRの先端に重ね合
わせて押え金11の下部に挾持せしめ、ミシンを起動する
手順にて行われる。
【0009】針落ち位置の前側のミシンベッド1a上に
は、該ミシンベッド1aの上面に沿って針落ち位置に送り
込まれる生地Kに上方から転接し、送り方向に沿う水平
軸回りの回転により、前記生地Kに送り方向と直交する
向きの移動力を付与する生地端制御ローラ32が配してあ
る。また、針落ち位置直前のミシンベッド1a上には、側
縁K′を沿わせるべき正規の送り経路を挾んで一対の光
センサを配し、これらの光センサの配設位置での明暗判
定により前記送り経路に対する側縁K′の位置ずれを検
出する生地端センサ4が設けてある。
【0010】前記縫い付けは、生地端センサ4の検出結
果に基づいて生地端制御ローラ32を回転駆動し、針落ち
位置前の生地Kの姿勢を正しつつ実行され、前述した如
き屈曲形状を有する側縁K′は、針落ち位置前において
正規の送り経路に正しく沿うようになり、上方から針落
ち位置に送り込まれるレースゴムRは、適正な縫い幅を
保って生地Kに縫い付けられる。
【0011】このような縫い付けは、ミシンベッド1aが
針落ち位置の前側に大きく広がり、図9中に実線にて示
す如く、生地Kを平面的に載置し得る場合には問題なく
行われる。ところが、針落ち位置の前側へのミシンベッ
ド1aの広がりが小さく、生地Kは、ミシンベッド1aの前
側エッジEから垂れ下がった状態となる。そして、この
垂れ下がり部において前記生地Kは、重力の作用によ
り、図9中に2点鎖線にて示す如く、屈曲の向きと逆側
に折れ曲がり易くなっており、このような状態のままミ
シンベッド1a上への送り込みがなされた場合、生地端セ
ンサ4は、前記折れ曲がりにより生じた縁(折れ曲がり
縁K″)を正規の側縁K′と誤検出し、この誤検出に応
じて生地端制御ローラ32の回転制御が実行されて、レー
スゴムRが折れ曲がり縁K″に縫い付けられた不良縫製
品が多発する不都合がある。
【0012】このようなことから、従来においては、屈
曲した側縁K′を有する生地KへのレースゴムRの縫い
付けに際し、生地K及びレースゴムRのセット後、前述
した折れ曲がりが生じないように、作業者の手により生
地Kの送りを補助するようにしており、このことが、作
業能率の向上を阻害する一因となっている。
【0013】本考案は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、ショーツの股ぐり部へのレースゴムの縫い付け
等、適宜の曲率を有して屈曲する側縁に対する帯体の縫
い付けを、作業者の手作業に頼ることなく確実に行い得
る帯体縫い付け用ミシンを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本考案に係る帯体縫い付
け用ミシンは、ミシンベッド上での生地の送りに連動す
る送り装置の動作により、ミシンベッドの上方から針落
ち位置に帯体を送り込み、送りの方向に対して一側に連
続的に屈曲する前記生地の側縁に重ね合わせて縫い付け
る帯体縫い付け用ミシンにおいて、前記ミシンベッドの
前方に、前記針落ち位置に対して前記帯体の縫い付け側
に偏って配設され、前記生地の一部を吸着保持する保持
手段を具備することを特徴とする。
【0015】
【作用】本考案においては、ミシンベッドの前方におけ
る帯体の縫い付け側に偏った位置に保持手段が配してあ
り、ミシンベッド上にて生地の先端部側縁に帯体を重ね
てセットした後、生地の末端近傍の一部を前記保持手段
に吸着保持せしめた状態で縫製が行われる。この縫製の
間、前記生地は保持手段とミシンベッドとの間に緩く架
け渡された状態となり、保持手段の位置が帯体の縫い付
け側に偏らせてあることから、重力の作用による折れ曲
がりを防ぎつつミシンベッド上に生地が送り込まれるよ
うになる。
【0016】
【実施例】以下本考案をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図1は本考案に係るゴム付け用ミシンの正
面図である。図中1はミシン本体、1aはミシンベッドで
ある。ミシン本体1は、ミシンベッド1aの上面に平行を
なして延びるミシンアーム1bを備えており、該ミシンア
ーム1bの先端部には、複数本の針10,10…(図2参照)
と、これら夫々に対応する針落ち孔を有する押え金11
(図2参照)とがミシンベッド1aに向けて垂下支持され
ている。
【0017】ミシンベッド1aとミシンアーム1bとの間に
は、帯体送り装置2及び生地端制御装置3が、これらを
一括して搭載する基台1cと共に取付けてある。該基台1c
の一側は、ミシン本体1の前面に固定されたブラケット
1dに略鉛直な枢軸回りに回動自在に枢支してあり、同じ
く他側は、ミシンアーム1bの先端側前面に固定されたブ
ラケット1eにねじ止め固定してある。即ち基台1cは、ブ
ラケット1eへの止めねじを外した場合、ブラケット1dの
枢軸回りの回動によりミシン本体1の前側に引き出すこ
とができ、帯体送り装置2及び生地端制御装置3の調整
及び保守は、基台1cを前述の如く引き出して行われる。
【0018】図2は、基台1c上に搭載された帯体送り装
置2及び生地端制御装置3の構成を示す斜視図である。
帯体送り装置2は、図1中に2点鎖線により示す如く、
ミシンアーム1bの上方から供給されるレースゴムRに送
り力を付与し、ミシンベッド1a上に送り出す動作をなす
ものであり、図1及び図2に示す如く、基台1cに固定さ
れたローラ台20に前後一対の送りローラ21,22を架設
し、これらの上側に前後一対のガイド棒23,23を架設し
てなる。
【0019】送りローラ21,22の内、一方(後側)の送
りローラ21は、ローラ台20の一側に固設された送りモー
タ24の出力軸にタイミングベルト25を介して連結され、
該送りモータ24からの伝動により軸心回りに回転駆動さ
れる駆動ローラである。他方(前側)の送りローラ22
は、ローラ台20の両側に夫々の基端を枢支されて同軸上
にて揺動するリンク部材26,26の先端部間に、送りロー
ラ21と平行な軸回りに回動自在に枢支されている。リン
ク部材26,26の揺動軸は、ローラ台20の他側外面に突設
され、この突設端には、リンク部材26,26の揺動操作の
ための操作レバー27が固定されている。
【0020】而して前記送りローラ22は、通常時には、
前記操作レバー27にその一端を係止された付勢ばね28の
ばね力により、リンク部材26,26と共に後方に引かれ、
送りローラ21に押し付けられており、該送りローラ21に
追従して回転する従動ローラとして機能するが、付勢ば
ね28のばね力に抗した操作レバー27の操作、具体的に
は、操作レバー27の上部を後方に押圧する操作が行われ
た場合、これに伴うリンク部材26,26の揺動により、送
りローラ21の前方に離反する。
【0021】前述した如くミシンアーム1bの上方から帯
体送り装置2に供給されるレースゴムRは、ガイド棒2
3,23間と送りローラ21,22間とに順次挿通されて後下
方に引き出され、ミシンベッド1a上の押え金11の下部に
後述の如くセットされる。送りローラ21,22間へのレー
スゴムRの挿通は、操作レバー27の前述した操作により
送りローラ22を離反せしめた状態で行われ、挿通後のレ
ースゴムRは、操作レバー27の操作解除により送りロー
ラ21,22間に挾圧される。このように帯体送り装置2に
セットされたレースゴムRは、送りモータ24の駆動に伴
う送りローラ21の回転により送り力を付与され、ミシン
ベッド1a上に送り出される。
【0022】図3は、生地K及びレースゴムRのセット
状態を示す側面図である。図示の如く、押え金11下側の
ミシンベッド1a上には針板12が架設してあり、針板12の
下側には、ミシンベッド1aに内蔵された公知の駆動機構
の動作に応じて鉛直面内での長円運動を行う前後一対の
送り歯13,13が配してある。また押え金11の上部には、
これと共にミシンアーム1bの先端に垂下支持された複数
本の針10,10…(図3には1本のみ図示)が位置してお
り、これらの針10,10…は、ミシンアーム1bの内部に構
成された公知の駆動機構の動作に応じて所定ストローク
の昇降動作を行うようになしてある。
【0023】前記レースゴムRの縫い付け対象となる生
地Kは、針10,10…の下降位置(針落ち位置)前のミシ
ンベッド1a上に図示の如く載置され、また、帯体送り装
置2から前述の如く引き出されたレースゴムRは、ミシ
ンベッド1aの上方から斜め下向きに押え金11の前部に導
かれており、これら両者は、針落ち位置の直前において
相互に重ね合わされて、針板12とこれの上部に降下する
押え金11との間に挾圧保持される。
【0024】以上の如くセットされた生地Kは、前後の
送り歯13,13の動作により送り力を付与され、針落ち位
置での縫い付けにより一体化されたレースゴムRと共
に、図中に白抜矢符にて示す向きに送られる。一方この
間、帯体送り装置2の前記送りローラ21は、送りモータ
24からの伝動により、送り歯13,13の送り動作に同期し
て回転駆動されるが、この回転速度は、両送り歯13,13
の動作速度よりもやや小さく設定されている。従って、
押え金11と針板12との間に挾圧されたレースゴムRに
は、針落ち位置後での送り歯13,13の動作による送り速
度と、針落ち位置前での前記送りローラ21の動作による
送り速度とが同時に作用し、両者の差に対応する一定の
張力が付与されることになり、生地Kへの縫い付けはこ
の状態で行われる。なお、以上の如き送りローラ21の動
作は、これの駆動用モータたる送りモータ24として、高
精度での回転制御が可能なステップモータを用いること
により実現できる。
【0025】帯体送り装置2と共に基台1cに搭載された
生地端制御装置3は、このように行われる縫い付けの
間、針落ち位置下での生地KとレースゴムRとが、平面
視にて常に適正な幅だけ重ね合わされるように、針落ち
位置前の生地Kの姿勢を正す動作をなす。図1及び図2
に示す如く生地端制御装置3は、帯体送り装置2の下部
前側に沿ってミシンベッド1aの先端に向けて延設された
揺動アーム30を備えている。該揺動アーム30の基端に
は、帯体送り装置2の送りモータ24の下側に固設された
生地端制御モータ31の出力軸が、ミシンベッド1a上での
生地Kの送り方向に沿って略水平に嵌挿されており、揺
動アーム30は、生地端制御モータ31の出力軸を枢軸とし
て鉛直面内にて揺動するようになしてある。
【0026】揺動アーム30の先端部には、生地端制御モ
ータ31の出力軸と平行をなす略水平な軸回りでの回動自
在に生地端制御ローラ32が枢支してあり、該生地端制御
ローラ32の枢軸と前記生地端制御モータ31の出力軸と
は、揺動アーム30の内部において両軸間に巻架されたタ
イミングベルト33により連結されている。而して、生地
端制御ローラ32は、揺動アーム30の揺動に応じて昇降動
作をなし、また、タイミングベルト33を介して伝達され
る生地端制御モータ31の回転に応じて正逆両方向に回転
駆動される。
【0027】図3に示す如く、ミシンベッド1aは、揺動
アーム30の揺動に伴う生地端制御ローラ32の下降位置に
凹所を備えており、この凹所内には、生地端制御ローラ
32と平行をなす軸回りに回動自在に従動ローラ34が枢支
されている。該従動ローラ34の上部は、ミシンベッド1a
の表面上にわずかに突出させてあり、また、生地端制御
ローラ32を支持する揺動アーム30は、これの枢支部近傍
に取付けた図示しない付勢ばねにより先端側が下向きと
なるように付勢されている。この付勢により生地端制御
ローラ32は下降し、ミシンベッド1a上の生地Kを挾んで
前記従動ローラ34に転接することになり、この状態で生
地端制御モータ31を駆動し、生地端制御ローラ32を回転
せしめた場合、従動ローラ34との間に挾持された生地K
には、前記送りの方向と直交する向きの移動力が付与さ
れる。
【0028】揺動アーム30の基端部には、ミシン本体1
側に向けて押し上げ板35が突設してあり、この押し上げ
板35の上部には、ボックス型のエアシリンダである昇降
シリンダ36が固定してある。昇降シリンダ36は、上下方
向に進退動作する出力ロッドを有しており、この出力ロ
ッドは、図示しないエア源からの給気により進出動作を
なし、該給気の遮断により退入動作をなす。昇降シリン
ダ36が進出動作した場合、前記押し上げ板35、即ち揺動
アーム30の基端部が下向きに押圧され、該揺動アーム30
は、前記付勢ばねのばね力に抗して揺動する。これによ
り前記生地端制御ローラ32は上昇し、図3中に破線にて
示す如く、従動ローラ34から適宜に離反した位置に退避
する。ミシンベッド1a上への生地Kのセットは、この状
態で行われる。
【0029】生地端制御ローラ32の回転による前記移動
力の付与は、生地端センサ4による生地Kの側縁K′の
位置ずれ検出に応じて行われる。図2及び図3に示す如
く生地端センサ4は、押え11の前方のミシンベッド1a上
に埋設され、上向きの発光を行う一対の発光部40,41
と、これら夫々の上方に適長離隔して対向する一対の受
光部42,43とを備えた光センサである。
【0030】図4及び図5は、生地端センサ4による検
出原理の説明図である。これらの図に示す如く、ミシン
ベッド1a上には、生地Kの側縁K′を沿わせるべき基準
送り線Cが、中央の針10の針落ち位置の延長線Dの内側
(送り方向に向かって右側)に所定幅だけ偏倚して設定
してあり、生地端センサ4の発光部40,41(及び受光部
42,43)は、この基準送り線Cを挾んだ両側に近接配置
されている。
【0031】受光部42,43は、夫々に対応する発光部4
0,41からの発光を捉え、各別の受光量に応じた出力を
発するが、この出力レベルは、前記発光部40,41からの
発光が生地Kにより遮られているか否かに応じて変化す
る。生地Kの側縁K′の基準送り線Cに対する位置ずれ
は、前記受光部42,43の出力レベルに基づく夫々の配設
位置での明暗判定により、以下の如く検出される。
【0032】図4に示す如く、側縁K′が基準送り線C
に正しく沿っている場合、外側の発光部40のみが生地K
により覆われるから、受光部42の出力レベルは低く、暗
と判定され、受光部43の出力レベルは高く、明と判定さ
れる。一方、図5(a)に示す如く、側縁K′が基準送
り線Cの内側にずれている場合、両方の発光部40,41が
生地Kにより覆われ、また、図5(b)に示す如く、側
縁K′が基準送り線Cの外側にずれている場合、両方の
発光部40,41の発光は生地Kにより遮られることなく受
光部42,43に達し、前者の場合、受光部42,43の出力レ
ベルは低く、共に暗と判定され、逆に後者の場合、受光
部42,43の出力レベルは高く、共に明と判定される。
【0033】このように、受光部42の出力レベルが低
く、暗と判定され、受光部43の出力レベルが高く、明と
判定された場合が正規の送り状態、即ち、生地Kの側縁
K′が基準送り線Cに正しく沿っている状態であり、両
受光部42,43の出力レベルが共に低く、暗と判定された
場合(又は共に高く、明と判定された場合)には、前記
側縁K′が基準送り線Cの内側(又は外側)に位置ずれ
していることになる。
【0034】生地端制御装置3の生地端制御ローラ32及
び従動ローラ34の平面的な配設位置は、図4及び図5中
に示す如く、生地端センサ4よりも前方であって、基準
送り線Cの外側、即ち、前記位置ずれの如何に拘わらず
生地Kが必ず存在する位置に設定してある。従って、生
地端制御ローラ32を下降させた場合、生地Kは従動ロー
ラ34との間に確実に挾持され、この状態で生地端制御モ
ータ31を駆動することにより、前記生地Kを内側又は外
側に移動させることができる。
【0035】而して、生地端センサ4の検出結果に応じ
て生地端制御モータ31を駆動し、前記位置ずれが内側に
生じている場合には生地Kに外側への移動力を加え、逆
に、前記位置ずれが外側に生じている場合には生地Kに
内側への移動力を加えることにより、生地Kの側縁K′
を基準送り線Cに沿わせた正規の送り状態を保つことが
でき、生地Kは帯体送り装置2からのレースゴムRと適
正な幅だけ重ね合わされて針落ち位置に送り込まれ、レ
ースゴムRとの縫い付けが確実に行われる。
【0036】以上の如き縫い付けは、生地端センサ4に
よる側縁K′の検出が誤りなく行われることが前提とな
っており、前記図9に示す如く、縫い付け対象となる生
地Kが平面視にて一側に屈曲する側縁K′を有し、ミシ
ンベッド1aの前側エッジEからの生地Kの垂れ下がり部
分が重力の作用により折れ曲がっている場合、これに伴
って形成される折れ曲がり縁K″が生地端センサ4によ
り検出され、この検出に基づいて生地端制御ローラ32の
回転制御が実行される結果、正常な縫い付けが行われな
い不都合がある。
【0037】本考案に係る帯体縫い付け用ミシンは、こ
のような不都合を解消する手段として、図1及び図3に
示す如く配設された保持手段5を備えている。該保持手
段5は、ミシンベッド1a及びミシン本体1を一括して支
えるミシンテーブルT上に立設された基台50と、該基台
50の上部に取り付けた吸着ノズル51と、該吸着ノズル51
に一端を接続された吸気ホース52と、該吸気ホース52の
中途部に介装された真空エジェクタ53とを備えてなる。
【0038】基台50に取り付けられた吸着ノズル51は、
上向きに開口する吸着口を備えており、この吸着口は、
図3に示す如く、ミシンベッド1aの上面と略等しい高さ
にてミシンベッド1aの前方に適長離隔し、また、図1中
に矢符Dにより示す針落ち位置よりもレースゴムRの縫
い付け側にやや偏った位置に位置決めされている。
【0039】前記真空エジェクタ53は、電磁式の開閉弁
54を介して図示しないたエア源に接続してあり、該エア
源からの給気を開閉弁54の開放に応じて吸気ホース52中
に吹き出し、該吸気ホース52の内部を減圧せしめる動作
をなす。この減圧は、吸気ホース52が接続された前記吸
着ノズル51からの吸気を伴って生じる。即ち、吸着ノズ
ル51の吸着動作は、開閉弁54の開放に応じて行われる。
【0040】基台50の上部には、図3に示す如く、吸着
ノズル51の後側に並べて吸着センサ6が取り付けてあ
る。この吸着センサ6は、上向きの発光をなす発光部と
該発光部に並設された受光部とを備えた光センサであ
り、発光部の上を覆う生地Kの存在を、該生地Kからの
反射光を捉える受光部の出力レベルの変化により検出す
る構成となっている。吸着センサ6の検出結果は、前記
開閉弁54の開閉制御に用いられており、開閉弁54の開放
に伴う吸着ノズル51の吸着動作が、吸着センサ6による
生地Kの検出に応じて生じるようになしてある。従っ
て、吸着センサ6及び吸着ノズル51の上部を生地Kによ
り覆った場合、該生地Kは吸着ノズル51により下側から
吸着保持されることになり、この吸着は、吸着センサ6
上からの生地Kの除去によって自動解除される。
【0041】以上の如く構成された保持手段5は、ショ
ーツの股ぐり部の側縁等、平面視にて一側に連続した屈
曲形態をなす側縁K′を有する生地Kを縫い付け対象と
する場合、この生地Kのセットに際して用いる。図6
は、このセット状態を示す平面図である。ミシンベッド
1a上での生地Kのセットは、前述した如く、側縁K′の
一側端部をミシンベッド1a上の針落ち位置の前に位置決
めし、帯体送り装置2から引き出したレースゴムRの先
端に重ね合わせ、押え金11の下部に挾持せしめて行われ
るが、この後、本考案に係る帯体縫い付け用ミシンにお
いては、前記側縁K′の他側端部近傍の生地Kの一部
を、保持手段5の吸着ノズル51に吸着保持させる。この
吸着保持は、前述した如く、上向きに開口する吸着ノズ
ル51の吸着口に所要部分を載せ、吸着センサ6の上部を
覆うことにより容易に達成される。
【0042】このようにセットされた生地Kは、図3に
示す如く、ミシンベッド1aの上面と前記吸着ノズル51と
の間に緩く架け渡された状態となり、ミシンベッド1aの
前側エッジEから垂れ下がるが、前記吸着ノズル51によ
る保持位置が、レースゴムRの縫い付け側、即ち、生地
Kの側縁K′の屈曲側に偏らせてあることから、垂れ下
がり部分の折れ曲がりを防ぐことができる。従って、こ
の状態で縫製を開始することにより、生地Kは、折れ曲
がることなくミシンベッド1a上に送り込まれ、ミシンベ
ッド1a上での生地端制御ローラ32の前述した動作によ
り、側縁K′へのレースゴムRの縫い付けが確実になさ
れる。
【0043】つまり、前記保持手段5は、生地Kの折れ
曲がりを防ぐべく、作業者の手により行われていた送り
の補助を、吸着ノズル51の吸着保持により代行するもの
であり、縫い付け作業中に作業者の手を煩わせることが
なくなる。また、吸着ノズル51による吸着保持は、前述
した如く極めて容易になし得る。従って、本考案に係る
帯体縫い付け用ミシンを用いた場合、屈曲した側縁K′
を有する生地Kに対するレースゴムRの縫い付けが、高
能率にて、しかも確実に行えるようになる。
【0044】このような縫い付けの進行に応じて、ミシ
ンベッド1aと吸着ノズル51との間の架け渡し部分に徐々
に張りが生じ、所定の張りが生じた後の生地Kは、ミシ
ンベッド1a上での送り歯13,13の送り動作により引っ張
られて吸着ノズル51の上部から外れ、これに伴って吸着
ノズル51の吸着動作も解除される。吸着ノズル51による
吸着保持は、セット状態においてミシンベッド1aの前側
エッジEから垂れ下がる生地Kの重さを支え得る強さで
行われておればよく、ミシンベッド1a上での送りによる
生地Kの引っ張りが阻害されることはない。また、吸着
ノズル51による吸着の解除後に生地Kは、ミシンベッド
1aの前側エッジEから垂れ下がる状態となるが、この垂
れ下がり部分は短いことから、生地Kに折れ曲がりが生
じる虞は小さく、生地KへのレースゴムRの縫い付け
は、該生地Kの末端に至るまで良好に行われる。
【0045】なお本実施例においては、ショーツの股ぐ
り部の側縁に伸縮性を有するレースゴムRを縫い付ける
用途への適用例について述べたが、本考案の適用範囲は
これに限らず、ミシンベッドの上方から針落ち位置に送
り込まれる帯体を生地の屈曲した側縁に縫い付ける用途
全般に広く適用できることは言うまでもない。
【0046】また本実施中に示す保持手段5は、上部に
載置された生地Kを下側から吸着保持する構成とした
が、上側又は横側から吸着保持するようにしてもよい。
但し、本実施例の構成によれば、生地Kを保持手段5の
上部に被せるという単純な操作により吸着がなされるの
に対し、他の構成によった場合、生地Kを吸着せしめる
ための余分な操作が必要となる。
【0047】
【考案の効果】以上詳述した如く本考案に係る帯体縫い
付け用ミシンにおいては、ミシンベッド前方に配した保
持手段が、縫製中の生地の一部を帯体の縫い付け側に偏
った位置にて吸着保持するから、縫製中の生地が保持手
段とミシンベッドとの間に架け渡された状態で支持さ
れ、折れ曲がりのない生地がミシンベッド上に送り込ま
れて、屈曲した側縁に対する帯体の縫い付けが、作業者
の手作業に頼ることなく確実に行い得るようになる等、
本考案は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る帯体縫い付け用ミシンの正面図で
ある。
【図2】帯体送り装置及び生地端制御装置の構成を示す
斜視図である。
【図3】本考案に係る帯体縫い付け用ミシンにおける生
地及びレースゴムのセット状態を示す側断面図である。
【図4】生地端センサによる検出原理の説明図である。
【図5】生地端センサによる検出原理の説明図である。
【図6】本考案に係る帯体縫い付け用ミシンにおける生
地のセット状態を示す平面図である。
【図7】ショーツの製造工程の説明図である。
【図8】レースゴムの縫い付け段階における胴囲部生地
及び股下部生地の平面展開図である。
【図9】従来の帯体縫い付け用ミシンにおける生地のセ
ット状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ミシン本体 1a ミシンベッド 2 帯体送り装置 3 生地端制御装置 4 生地端センサ 5 保持手段 6 吸着センサ 10 針 11 押え金 12 針板 13 送り歯 21 送りローラ 22 送りローラ 24 送りモータ 30 揺動アーム 31 生地端制御モータ 32 生地端制御ローラ 36 昇降シリンダ 51 吸着ノズル 52 吸気ホース 53 真空エジェクタ 54 開閉弁 A 胴囲部生地 B 股下部生地 C 基準送り線 E 前側エッジ K 生地 K′ 側縁 R レースゴム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D05B 35/06 D05B 35/10

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミシンベッド上での生地の送りに連動す
    る送り装置の動作により、ミシンベッドの上方から針落
    ち位置に帯体を送り込み、送りの方向に対して一側に連
    続的に屈曲する前記生地の側縁に重ね合わせて縫い付け
    る帯体縫い付け用ミシンにおいて、前記ミシンベッドの
    前方に、前記針落ち位置に対して前記帯体の縫い付け側
    に偏って配設され、前記生地の一部を吸着保持する保持
    手段を具備することを特徴とする帯体縫い付け用ミシ
    ン。
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