JP2584592Y2 - パラペットの構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は北国の住宅等に採用され
ているウイング状の無落雪屋根に設けられるパラペット
の構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、北国の住宅等に採用されているウ
イング状の無落雪屋根においては、例えば図６に示した
ように壁パネル１０と屋根パネル１２との納まり部分に
パネル状のパラペット１５が設けられている。すなわ
ち、外面側に外装材１９が取り付けられた壁パネル１０
の上端には屋根の勾配をとるための勾配桁１１を介して
屋根パネル１２が取り付けられ、勾配桁１１の上面でか
つ屋根パネル１２の端面には、壁パネル１０の外面側と
略面一となるように調整材１３が配置されている。そし
て、調整材１３及び屋根パネル１２の端面側の上面には
調整材１４を介して、略矩形状の枠体１５ａの両面に平
板１５ｂが貼られてなるパラペット１５が設けられてい
る。

【０００３】なお、パラペット１５の上方には、パラペ
ット１５の上部側の枠体１５ａ上に載置された調整材１
６を介して笠板１７が内面側に向けて傾斜した状態で配
置されており、笠板１７上にはパラペット１５の外面側
全体及び外装材１９の上端を覆う状態で断面略逆Ｌ字状
の雨仕舞い板１８が取り付けられている。

【０００４】ところで従来、このようなパラペット１５
には、屋根パネル１２の下面側の下方、すなわち屋根裏
空間２０の換気を図るために、調整材１３及び屋根パネ
ル１２の端面側に跨がって屋根裏空間２０に向けて斜め
に通気孔２１を開け、雨仕舞い板１８と外装材１９との
間及び通気孔２１を介して屋根裏空間２０と外部とを連
通していた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら上記した
パラペットの構造ではパラペット１５の内部の換気が図
られておらず、パラペット１５の腐食等を招きやすいと
いう問題があった。またパラペット１５の腐食を防止す
べく調整材１６及びパラペット１５の上部側の枠体１５
ａに通気用の孔を開けようとすると、その部分の構造が
複雑になってしまうため現場施工に頼らざるを得ず、手
間がかかるうえに調整材１６の強度も低下してしまうと
いう問題があった。本考案は上記課題に鑑みてなされた
ものであり、パラペットの内部の換気を図ることがで
き、しかも手間がかかることなく簡単に施工できるパラ
ペットの構造を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本考案は、略矩形状の枠体の両面に平板が貼られてな
るパラペットのその上部側の枠体に通気孔が形成される
と共に、該パラペットの上方には笠板を介して雨仕舞い
板が取り付けられ、かつ前記パラペットの外面側には所
定寸法の隙間を介して外装材が設けられたパラペットの
構造において、前記笠板と前記パラペットとの間に、前
記通気孔と連通する状態で側面視略Ｌ字状にベントガラ
リを配置したものであって、該ベントガラリは、縦方向
と横方向に連通した空気層を多層積層してなるガラリ本
体と、そのガラリ本体の最下面に空間を境にして連通す
る状態で設けられた短尺状の二つのガラリピース体とか
らなるもので、一方のガラリピース体を前記パラペット
の上部側の枠体上に載置し、かつ他方のガラリピース体
を前記外装材の外面側に当接して、外部とパラペットの
内部とを前記ベントガラリ及び前記パラペットの通気孔
を介して連通すると共に、前記平板と前記外装材との間
の隙間と、外部とパラペットの内部とを前記ベントガラ
リの各ガラリピース体を介して連通したものである。

【０００７】

【作用】本考案によれば、パラペットと笠板との間に配
置されたベントガラリと前記パラペットの通気孔によっ
て、外部と前記パラペットの内部とが連通しているの
で、前記パラペットの内部の空気は前記通気孔を通過し
て前記ベントガラリのガラリ本体の空気層内に入り、該
空気層を経て外部に出ると同時に、前記通気孔を通過し
た空気は一方のガラリピース体内に入り、前記ベントガ
ラリの最下面の空間及び他方のガラリピース体を経て外
部に出る。また反対に外部の空気は、前記ガラリ本体の
空気層から前記通気孔を経て前記パラペットの内部に入
ると同時に、前記他方のガラリピース体、前記空間、前
記一方のガラリピース体及び前記通気孔を順に経てパラ
ペットの内部に入る。

【０００８】また、前記パラペットの平板と外装材の間
の隙間と、外部と前記パラペットの内部も連通している
ので、前記隙間の空気は前記ベントガラリの最下面の空
間から前記各ガラリピース体に入り、前記一方のガラリ
ピース体から外部へ出、また前記他方のガラリピース体
から前記パラペットの通気孔を介して前記パラペットの
内部に入る。反対に外部及び前記パラペットの内部の空
気はそれぞれ、前記各ガラリピース体から前記空間を介
して前記隙間に入る。従って、前記パラペットの内部と
前記パラペットの平板と外装材の間の隙間の換気が同時
に図られることとなる。

【０００９】さらに、前記ベントガラリは空気層が多層
積層された構造となっているので強度が強く、前記笠板
を確実に支持する。きる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案に係るパラペットの構造の実施
例を図面に基づいて説明する。図１は本考案のパラペッ
トの構造の一例を示した概略断面図であり、図２は図１
におけるＡ−Ａ線断面図である。また図３はパラペット
の一例を示した概略平面図である図例の如く、略矩形状
の枠体３０ａの両面に合板等の平板３０ｂが貼られてな
るパラペット３０は、その上部側の枠体３０ａに例えば
平面視略矩形状の通気孔３０ｃが所定間隔で形成されて
おり、パラペット３０の外面側の平板３０ｂには、所定
間隔で取り付けられた縦胴縁３１を介してサイディング
等の外装材３２が設けられている。つまり、パラペット
３０の外面側と外装材３２との間には、縦胴縁３１の厚
み分の隙間３４が形成された状態となっている。

【００１１】また、パラペット３０の上部側の枠体３０
ａ上でかつパラペット３０の内面側には調整材３３が配
置されており、パラペット３０の上部側の枠体３０ａ上
でかつパラペット３０の外面側には、後述する如く通気
孔３０ｃに連通した状態で、例えばポリプロピレン等か
らなるベントガラリ４０が側面視略Ｌ字状に配置されて
いる。このベントガラリ４０は、図４に示したように縦
方向と横方向に連通した空気層４２を多層積層してなる
ガラリ本体４１と、そのガラリ本体４１の最下面に空間
４４を隔てて連通する状態で設けられた短尺状の二つの
ガラリピース体４３とからなっており、予め工場等で図
５に示した状態に作製される。

【００１２】すなわち、ベントガラリ４０のガラリ本体
４１は折り曲げられておらず、その空気層４２が一端か
ら他端にかけて直線的に連通した状態で作製される。ま
たガラリ本体４１の最下面には、ガラリ本体４１の一端
側と他端側に短尺状のガラリピース体４３が空間４４を
挟んでそれぞれ対向状態で設けられ、またガラリ本体４
１の最上面のガラリ本体４１折り曲げ位置には例えばＶ
字状の溝４５が形成される。

【００１３】上記ベントガラリ４０は、空気層４２が積
層された構造となっているため強度的に強く、またポリ
プロピレン等からなっているためそのガラリ本体４１を
容易に折り曲げることができる。従って、上記の如く予
め作製されたベントガラリ４０は、現場にて溝４５に沿
って折り曲げて図１及び図４に示したように側面視略Ｌ
字状に成形することができる。そして、側面視略Ｌ字状
に成形されたベントガラリ４０は、一方のガラリピース
体４３をパラペット３０の上部側の枠体３０ａ上に載置
させ、かつ他方のガラリピース体４３を外装材３２の外
面側に当接させた状態でパラペット３０の上部側の枠体
３０ａ上でかつパラペット３０の外面側に配置されてお
り、これによって、ベントガラリ４０のガラリ本体４１
及びガラリピース体４３は通気孔３０ｃに連通した状態
となっている。

【００１４】さらに、上記の如くパラペット３０の上部
側の枠体３０ａ上に載置された調整材３３及びベントガ
ラリ４０上には、笠板３５が内面側に向けて傾斜した状
態で設けられており、笠板３５上にはベントガラリ４０
の外面側全体及び外装材３２の上端を覆う状態で断面略
逆Ｌ字状の雨仕舞い板３６が取り付けられている。上記
したパラペット３０の構造においては、パラペット３０
と笠板３５との間に配置されたベントガラリ４０とパラ
ペット３０の通気孔３０ｃによって、外部とパラペット
３０の内部とが連通しており、しかもパラペット３０の
平板３０ｂと外装材３２の間の隙間３４と、外部とパラ
ペット３０の内部とが連通している。

【００１５】すなわち、パラペット３０の内部の空気は
通気孔３０ｃを通過して、ベントガラリ４０のガラリ本
体４１の空気層４２内に入り、空気層４２を経て外部に
出ると同時に、通気孔３０ｃを通過した空気は一方のガ
ラリピース体４３内に入り、ベントガラリ４０の最下面
の空間４４及び他方のガラリピース体４３を経て外部に
出る。また反対に外部の空気は、ガラリ本体４１の空気
層４２から通気孔３０ｃを経てパラペット３０の内部に
入ると同時に、他方のガラリピース体４３、空間４４、
一方のガラリピース体４３及び通気孔３０ｃを順に経て
パラペット３０の内部に入る。

【００１６】またパラペット３０の平板３０ｂと外装材
３２との間の隙間３４の空気は、ベントガラリ４０の最
下面の空間４４から各ガラリピース体４３に入り、一方
のガラリピース体４３から外部へ出、他方のガラリピー
ス体４３からパラペット３０の通気孔３０ｃを介してパ
ラペット３０の内部に入る。反対に外部及びパラペット
３０の内部の空気はそれぞれ、各ガラリピース体４３か
ら空間４４を介して隙間３４に入る。なお、パラペット
３０の下部側の枠体３０ａとその下部に配置されている
屋根パネルには、それらに跨がって通気孔が設けられて
おり、パラペット３０の内部は通気孔を介して屋根裏空
間と連通している。従ってパラペット３０の内部の通気
を図ることによって屋根裏空間の通気も図られることと
なる。

【００１７】以上のように本実施例のパラペットの構造
によれば、空気層４２を多層積層したベントガラリ４０
を用いており、通気路が多く設けられた状態となってい
るので、換気量を十分に確保することができる。従っ
て、パラペット３０の内部の換気が十分に図られること
となるため、パラペット３０の腐食等を防止することが
できる。また、ベントガラリ４０においてはガラリ本体
４１の最下面に短尺状の二つのガラリピース体４３が設
けられているので、パラペット３０の平板３０ｂと外装
材３２との間の隙間３４の換気も図ることができ、パラ
ペット３０や外装材３２の腐食等も防止することができ
る。

【００１８】さらに、ベントガラリ４０は空気層４２が
多層積層された構造となっており、強度的に強いため、
本実施例のように笠板３５を支持する調整材の一つとし
て用いることができる。しかもベントガラリ４０はポリ
プロピレン等からなり、現場で所要の角度に容易に折り
曲げて成形できるので、手間がかかることなく簡単に施
工することができる。

【００１９】

【考案の効果】以上説明したように本考案のパラペット
の構造によれば、ベントガラリを用いることによって通
気路が多く設けられた状態となっているので、パラペッ
トの内部の換気を十分に図ることができ、前記パラペッ
トの腐食等を防止することができる。また、前記ベント
ガラリにおいては二つのガラリピース体が設けられてい
るので、前記パラペットの平板と外装材との間の隙間の
換気も図ることができ、前記パラペットや前記外装材の
腐食等も防止することができる。さらに前記ベントガラ
リは空気層が多層積層された構造となっており、強度的
に強いため、笠板を支持する調整材の一つとしても用い
ることができ、しかも前記ベントガラリは現場で所要の
角度に容易に折り曲げて成形できるので、手間がかかる
ことなく簡単に施工することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のパラペットの構造の一例を示した概略
断面図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図３】パラペットの一例を示した概略平面図である。

【図４】図１におけるベントガラリの概略斜視図であ
る。

【図５】パラペット上に配置する前のベントガラリの状
態を示した概略斜視図である。

【図６】従来のパラペットの構造の一例を示した概略断
面図である。

【符号の説明】

３０ パラペット ３０ａ 枠体 ３０ｂ 平板 ３０ｃ 通気孔 ３２ 外装材 ３４ 隙間 ３５ 笠板 ３６ 雨仕舞い板 ４０ ベントガラリ ４１ ガラリ本体 ４２ 空気層 ４３ ガラリピース体 ４４ 空間

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 略矩形状の枠体の両面に平板が貼られて
   なるパラペットのその上部側の枠体に通気孔が形成され
   ると共に、該パラペットの上方には笠板を介して雨仕舞
   い板が取り付けられ、かつ前記パラペットの外面側には
   所定寸法の隙間を介して外装材が設けられたパラペット
   の構造において、 前記笠板と前記パラペットとの間に、前記通気孔と連通
   する状態で側面視略Ｌ字状にベントガラリを配置したも
   のであって、 該ベントガラリは、縦方向と横方向に連通した空気層を
   多層積層してなるガラリ本体と、そのガラリ本体の最下
   面に空間を境にして連通する状態で設けられた短尺状の
   二つのガラリピース体とからなるもので、 一方のガラリピース体を前記パラペットの上部側の枠体
   上に載置し、かつ他方のガラリピース体を前記外装材の
   外面側に当接して、外部とパラペットの内部とを前記ベ
   ントガラリ及び前記パラペットの通気孔を介して連通す
   ると共に、 前記平板と前記外装材との間の隙間と、外部とパラペッ
   トの内部とを前記ベントガラリの各ガラリピース体を介
   して連通したことを特徴とするパラペットの構造。