JP2584497B2 - 炭素質繊維シート - Google Patents

炭素質繊維シート

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はEMI材、帯電防止材、触媒担体、精密フィル
ター、炭素繊維−炭素複合材の中間材料等に使用される
炭素質繊維シート、紙、フィルム等(これらを総称して
本発明ではシートという)に関する。
〔従来の技術〕
炭素質繊維シートとしては従来PAN(ポリアクリロニ
トリル)系やピッチ系の炭素繊維チョッパをランダムに
薄く敷き、エポキシ樹脂などをバインダーにして結着し
たもの、或は前記チョップにパルプなどを混合し、抄造
したものがある。
炭素繊維(以下CFという)には前記の外、気相法によ
るものがあり、この方法によると短時間に微細な繊維を
得ることができる。気相法のCFは電気伝導性、熱伝導
性、結晶性がよいなど優れた性質を有する。
気相法炭素繊維(VGCFという)についてもペーパーに
する試みがなされ、例えばVGCFに少量のフェノール樹脂
等のバインダーを加え、あるいはパルプを加え抄造等に
よりシートにする方法が可能である。
〔発明が解決しようとする課題〕
CFやVGCFを樹脂でシート化すると繊維が樹脂で覆われ
て繊維の特徴が減殺され、特にVGCFでは結晶性の良さが
失われる。
またパルプを添加してシートをつくる方法では、熱処
理により強度が大幅に低下すること、パルプは灰分を多
く含有しているので、これらは焼成或は黒鉛化した高純
度の炭素質シートを目的とする場合には具体が悪い。
PAN系やピッチ系のCFにVGCFを直接添加し、シートに
することも考えられるが、両者は共に炭化したものであ
って、太さがオーダー的に異なるとともに両者とも絡み
付く性質にかけるため、うまくいかなかった。
本発明の目的はCFの特徴を生かし、高純度にして導電
性、熱伝導性および強度の高い炭素質繊維シートを提供
することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明はCFとりわけVGCFをシート化するに際し、CF等
の特徴を損なうことなく、CF等を結着し、かつそれ自体
も繊維状であるバインダーについて研究した結果、フィ
ブリル状ポリアクリロニトリル系(以下FANという)繊
維が有効であることの発見に基づいてなされたのであ
る。
FAN繊維はPAN或はその共重合体の繊維を通常湿式磨砕
で細く枝分かれさせたもので、通常直径0.1〜10μm、
長さ50〜500μm程度のものである。
使用に際してはヘンシェルミキサー等で解砕しておく
ことが望ましい。この繊維は加熱していくと途中で部分
的に融着するが炭化して炭素繊維化する。
本発明はCFとこのFAN繊維との混合物を主成分とする
炭素質繊維シートおよびこれを炭化あるいは黒鉛化した
炭素質繊維シートである。
CFとしてはPAN系、ピッチ系なども使用できるが、好
ましいのはFANとあまり大きさが異ならず、またシート
にした場合の柔軟性にも優れたVGCFである。勿論、PAN
系等とVGCFの混合物も使用できる。PAN系やピッチ系の
場合は数cm以下程度のチョップにして使用する。
VGCFは例えば特公昭62−242の方法によって得られる
ものは長さ1mm以下、直径1μm以下であり、多くは長
さ50〜500μm、直径0.1〜0.5μmのものである。この
繊維は生成した状態は綿状に集合しているので使用に際
してはヘンシェルミキサーで解砕する。
本発明の炭素質繊維シートはこれらのCFにFAN繊維を
混合し、これを主体としてシート状にしたもので、FAN
繊維の含有量は好ましくは3〜50%(重量%、以下同
じ)である。3%未満ではFANのバインダーとしての効
果が十分でなく、シートの強度が弱くなり、また50%を
越えるとCF、特にVGCFの優れた特性の効果が小さくなる
からである。そして特に好ましいのは50〜20%である。
その他必要により少量の樹脂等のバインダーや添加剤を
含有させることができる。
シートにする方法は、混合繊維を水中に分散し、ミキ
サー等でよく混合し、抄造することが挙げられる。その
他混合繊維を乾式でシート状に熱プレス成形することも
可能である。シートは次に乾燥して製品となる。抄造し
たシートは結着性をよくするため180〜230℃で熱プレス
することが好ましい。この製品は導電性シートとして高
温でない状態で使用に供することができる。しかし、多
くの場合はこのシートを炭化あるいは黒鉛化して製品と
される。炭化は300℃位までは酸化性雰囲気でも非酸化
性雰囲気でもよいが、それ以上の温度は非酸化性雰囲気
で行う。300℃位までを酸化性雰囲気で行うとFAN繊維は
不融化し、その後の加熱によりそのままの形で炭化す
る。不融化しない場合は1部融着はするがその後の加熱
により炭化し、大部分は繊維化する。このシートにおい
て融着する場合は勿論、不融化の場合でも繊維同志が接
触している部分は不融化が進まず融着が起こるので、繊
維の絡み合った状態での結合が良好となり、強度向上の
効果をもたらす。
炭化温度は800℃以上、好ましくは1000℃以上、黒鉛
化温度2500℃以上である。
本発明において、FANがCFのバインダー的な作用をす
るが、通常の液状バインダーと違って繊維であり、これ
がCF間に入り乱れて配列し、かつFAN自体が結着してい
るので、シートとしての保形性、強度が高まる。
(実施例) 実施例1 FAN繊維(旭化成(株)製、カシミロンA104、直径0.1
〜5μm、長さ10〜500μm)30gをヘンシェルミキサー
で5分間乾式解砕し、これに解砕したVGCF(直径0.2〜
0.4μm、長さ5〜50μm)170gを添加、混合し、1mmの
隙間から振動させながら混合物を吐出させ、ステンレス
板上に厚さ1mmの積層物をつくる。
積層後、200℃、1kg/cm2で圧接して厚さ150μmのシ
ートとした。これを試料Aとする。
実施例2 ボールミルで30分間解砕した以外は実施例1と同様に
してシートを得た。これを試料Bとする。
実施例3 ヘンシェルミキサーで処理した実施例1と同じ混合物
に少量の界面活性剤(商品名リポノックス)を加え、水
に分散し、抄造して厚さ150μmのシートをつくり、200
℃、1kg/cm2で熱圧接した。これを試料Cとする。
実施例4 混合物に2重量%のフェノール樹脂を含むエチルアル
コールを5重量%添加した外は実施例1と同じにしてシ
ートを得た。これを試料Dとする。
実施例5〜12 試料A〜Dを夫々アルゴン雰囲気で1200℃にて熱処理
し、シートを得た。これらを試料A′〜D′、A″〜
D″とする。
実施例13〜15 VGCFの1/3をPANのCF(直径7μm、長さ20μm)で置
き換え、実施例3と同じ方法でシートを得た。またこれ
と同じシートを実施例5と同じに熱処理してシートを得
た。これらを試料F、F′、F″とする。
比較例1〜3 VGCFにFANの代りに紙パルプ10%を加え、実施例3と
同様にしてシートを得た。これを試料Gとする。Gと同
じものを実施例5と同様に熱処理したシート試料G′、
G″とする。
以上の試料について引っ張り強度(g/cm)を測定し、
また曲げたときのしなやかさを目視判定した。その結果
を第1表に示す。
(発明の効果) 本発明の炭素質繊維シートは炭素繊維を結合している
ものが、従来のように粉末や液状バインダーあるいはそ
の炭化物でなく、微細な繊維あるいは炭化物であるの
で、繊維の絡み合い、結着性がよく、従って強度が高
い。特にVGCFでは繊維の太さがFANと大差がないため、
これらの効果が大きい。また炭化あるいは黒鉛化したシ
ートも高純度のものが得られ、電池の触媒担体等に使用
する場合に好ましい。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長さ50〜500μm、直径0.1〜0.5μmの気
    相法炭素繊維に長さ50〜500μm、直径0.1〜10μmのフ
    ィブリル状ポリアクリロニトリル繊維を3〜50重量%添
    加した混合シートを焼成炭化することを特徴とする炭素
    質繊維シート。
JP63197732A 1988-08-08 1988-08-08 炭素質繊維シート Expired - Lifetime JP2584497B2 (ja)

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JPH0247347A JPH0247347A (ja) 1990-02-16
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JPH0247347A (ja) 1990-02-16

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