JPH1036179A - 多孔質炭素板の製造法 - Google Patents

多孔質炭素板の製造法

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JPH1036179A
JPH1036179A JP19376496A JP19376496A JPH1036179A JP H1036179 A JPH1036179 A JP H1036179A JP 19376496 A JP19376496 A JP 19376496A JP 19376496 A JP19376496 A JP 19376496A JP H1036179 A JPH1036179 A JP H1036179A
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Shigeru Murakami
繁 村上
Tatsuya Inada
達也 稲田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気伝導性、熱伝導性に優れ、圧縮強度が高
く、濡れにくく、適切な気孔径を持つ燃料電池用多孔質
炭素板を提供すること。 【解決手段】 炭素化可能な熱可塑性樹脂と固相炭化可
能な有機高分子繊維とを固形分として含むスラリーを抄
紙後、該抄紙シートに熱硬化性樹脂を含浸させ、焼成炭
素化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池の電極な
どに使用される多孔質炭素板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池用多孔質炭素板は、一般的に
は、レーヨン繊維などのいわゆる有機繊維を抄紙し、フ
ェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸後、硬化もしく
は積層圧着硬化し、焼成することにより製造されてい
る。しかし、該多孔質炭素板は、燃料電池自体の高性能
化、低コスト化、品質の均一化、あるいはさまざまな種
類の燃料電池への対応などといった目標を達成するため
の障害となる以下のような問題点を有しており、これら
を順次解決していく必要がある。
【0003】(1)多孔質炭素板の気孔径を調整するこ
とが困難。燃料電池の種類により、多孔質炭素板の気孔
径の好適範囲が異なるが、これを調整した多孔質炭素板
を製造するのは難しかった。ちなみに、リン酸型燃料電
池では、気孔径の小さい方が電池の寿命に好影響を与え
る。 (2)多孔質炭素板の厚み方向の電気伝導性および熱伝
導性が不十分。多孔質炭素板は、通常数枚のシートを貼
り合わせて作製するため、シート間を接着しなければな
らない。ところが、接着剤として作用する熱硬化性樹脂
は、通常電気伝導性および熱伝導性に乏しいため、多孔
質炭素板の厚み方向の電気伝導性および熱伝導性が不足
していた。
【0004】(3)多孔質炭素板は、使用中に圧縮クリ
ープが発生しやすい。多孔質炭素板は、通常数枚のシー
トを貼り合わせて作製されている。燃料電池は、複数の
炭素板を締めあげる形で使用するため、シート間のズレ
などにより圧縮クリープが発生しやすかった。 (4)多孔質炭素板がリン酸に濡れやすい。リン酸型燃
料電池では、炭素板のリン酸に対する濡れやすさが電池
の寿命に影響する。濡れにくい炭素板の方が、リン酸の
保持能力が高く、電池の寿命も長くなる。従来の多孔質
炭素板は、リン酸に濡れやすいものが多かった。
【0005】これらの問題点を改良する目的で、これま
でに多くの特許出願がなされている。例えば、特開平2
−184510号、特開平3−103375号、特開平
5−254957号、特開平5−67469号、特開平
5−194056号、特開平6−60884号、特開昭
62−7617号、特開昭61−236664号などを
挙げることができる。しかしながら、いずれの提案にお
いても、多孔質炭素板の持つ問題をすべて解決するには
至っていない。
【0006】そこで、従来の製法について詳細に検討し
直したところ、いくつかの知見を得ることができた。 (1)熱硬化性樹脂の含浸量を増すと、強度、電気伝導
性、熱伝導性などの物性が向上し、気孔径が小さくなる
傾向を示す。しかし、積層圧着工程で樹脂を含浸したシ
ートが潰れやすくなり、かさ高いシートを得ることが難
しくなる。 (2)熱硬化性樹脂液中に炭素粉末を混合し含浸する
と、電気伝導性、熱伝導性などの物性は向上する。しか
し、炭素繊維間のバインダーが減少するため、強度は低
下する。
【0007】(3)抄紙の工程で炭素粉末、あるいは炭
素繊維を混合して抄紙すると、含浸液中に炭素粉末、あ
るいは炭素繊維を混合して含浸する場合に比べて電気伝
導性、熱伝導性などの物性はより向上するが、強度はよ
り低下する。 (4)従来の製法による気孔径の支配因子は、原料の有
機繊維の太さであり、微妙な気孔径のコントロールは難
しい。 (5)一般的な有機繊維およびフェノール樹脂を原料と
する従来の製法においては、濡れ性の支配因子は熱処理
温度であり、3000℃近くになって初めて濡れ性が大
きく改善される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の点に鑑み、本発
明は、電気伝導性、熱伝導性に優れ、圧縮強度が高く、
濡れにくく、適切な気孔径を持つ燃料電池用多孔質炭素
板を製造することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
抄紙用スラリーの原料として、炭素化可能な熱可塑性樹
脂と、固相炭化可能な有機高分子繊維とを使用すること
を特徴とするものであり、これにより抄紙シート間の結
合が強固になり、圧縮強度が高く、電気伝導性、熱伝導
性にも改善のみられる多孔質炭素板が得られる。請求項
2記載の発明は、抄紙用スラリーの原料として、炭素化
可能な熱可塑性樹脂と、炭素粉末もしくは炭素繊維と、
固相炭化可能な有機高分子繊維とを使用することを特徴
とするものであり、これにより抄紙シート間の電気およ
び熱の伝導性が向上し、請求項1の炭素板よりも電気伝
導性および熱伝導性に優れた多孔質炭素板が得られる。
請求項3記載の発明は、炭素粉末もしくは炭素繊維を熱
硬化性樹脂にあらかじめ混合しておき、これに抄紙シー
トを含浸することを特徴とするものであり、これにより
シート間の電気および熱の伝導性がさらに向上し、請求
項1および2の炭素板よりもさらに電気伝導性および熱
伝導性に優れた多孔質炭素板が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、詳細に説
明する。炭素化可能な熱可塑性樹脂をあらかじめスラリ
ーに配合することで、従来の多孔質炭素板の製法の多く
の問題点を改善することができる。すなわち、従来の製
法においては、多孔質炭素板中の繊維間のバインダーと
して作用する熱硬化性樹脂の含浸量を増やすと、積層圧
着したグリーン積層板をかさ高にすることが難しく、得
られる多孔質炭素板もかさ高にはできなかった。本発明
の製法においては、熱可塑性樹脂がバインダーとして作
用する。焼成炭素化などの高温処理を行うと、熱可塑性
樹脂は溶融炭化することで繊維間のバインダーとして働
き、その結果かさ高い多孔質炭素板を得ることができ
る。
【0011】本発明に係る多孔質炭素板の第1の製造法
は、炭素化可能な熱可塑性樹脂と、固相炭化可能な有機
高分子繊維とを固形分として含むスラリーを抄紙後、該
抄紙シートに熱硬化性樹脂を含浸させ、焼成炭素化する
ことを特徴とする。
【0012】炭素化可能な熱可塑性樹脂としては、塩化
ビニール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ビニロン樹脂、ア
クリル樹脂、ナイロンなどが挙げられる。いずれの樹脂
も、残炭率40%以上のものが好ましい。樹脂の形態と
しては、粉状、薄片状、繊維状など、抄紙可能な形態で
あれば使用することができる。抄紙性を考慮した場合は
粉状、繊維状が好ましい。粉状の場合は、粒径0.5m
m以下、繊維状の場合は、1〜50デニール、2〜30
mmカット品を使用することはさらに好ましい。熱可塑
性樹脂は、スラリー中に含まれる固形分のうち1〜50
重量%とすることが好ましい。1重量%を下回ると、バ
インダーとしての機能を発現しにくくなり、50重量%
以上では、焼成炭素化などの高温処理時に潰れやすくな
り、かさ高い多孔質炭素板を得るのが難しくなる。
【0013】固相炭化可能な有機高分子繊維としては、
レーヨン繊維、フェノール樹脂繊維、不融化処理された
ポリアクリロニトリル繊維、ピッチ繊維などが挙げられ
る。コスト面、作業性を考慮すると、レーヨン繊維、フ
ェノール樹脂繊維などが好ましい。
【0014】抄紙工程においては、抄紙性を考慮し、パ
ルプなどの一般的に使用される原料を必要に応じて添加
することができる。これらの配合量は、欲する多孔質炭
素板の物性に大きな影響を及ぼさない程度であればよ
い。添加量が多すぎると、かさ高い抄紙シートを得にく
くなり、添加量が少なすぎると、抄紙性の改善が認めら
れなくなる。
【0015】得られた抄紙シートを熱硬化性樹脂に含浸
する。この時用いることのできる熱硬化性樹脂の例とし
て、フェノール樹脂、フラン樹脂などを挙げることがで
きる。熱硬化性樹脂を含浸させた抄紙シートは、そのま
ま、もしくは積層した状態で荷重下で加熱される。ここ
で、積層圧着は、原料として使用した熱可塑性樹脂の軟
化点より高い温度で行うとよい。これにより、熱可塑性
樹脂はシート間のバインダーとしての機能を発揮し、圧
縮クリープの発生を減少させることができると考えられ
る。
【0016】こうして得られたグリーン成形体を常法に
従って黒鉛板などに挟持し、非酸化性雰囲気下で焼成炭
素化する。前述の知見においては、一般的な有機繊維、
フェノール樹脂を原料とした従来の製法では、3000
℃近くの処理温度になって初めてリン酸に対する濡れ性
が改善されるとのことであったが、本発明に係る製造法
では、焼成炭素化を2000℃以上で行えば、濡れにく
い多孔質炭素板が得られる。焼成炭素化を2500℃以
上で行うことはさらに好ましい。すなわち、パッキング
コークス、N2ガスなどの非酸化性雰囲気下、グリーン
成形体を黒鉛板などで挟持して800〜1000℃で焼
成後、真空炉、ガス置換炉、アチソン炉などを用いて2
000℃以上で処理する。室温から2000℃以上まで
一度で処理できるタイプの炉であれば、1回で焼成して
も差し支えない。ただし、炭素骨格が仕上がるまでの8
00℃程度までは、急激な昇温を行うと、多孔質炭素板
に反りやヒビが発生しやすくなるので、1分当たり10
℃以下で昇温を行うことが好ましい。
【0017】本発明に係る多孔質炭素板の第2の製造法
は、炭素化可能な熱可塑性樹脂と、炭素粉末もしくは炭
素繊維と、固相炭化可能な有機高分子繊維とを固形分と
して含むスラリーを抄紙後、該抄紙シートに熱硬化性樹
脂を含浸させ、焼成炭素化することを特徴とする。
【0018】前述の知見によれば、炭素粉末および炭素
繊維は、多孔質炭素板の電気伝導性、熱伝導性などの向
上に効果があるが、従来の製法では、高い強度を持つ多
孔質炭素板を得ることは困難であった。本発明では、熱
可塑性樹脂と、炭素粉末もしくは炭素繊維を共存させる
ことで、高い強度を持つ多孔質炭素板を得ることができ
る。炭素粉末および炭素繊維の配合量は、抄紙性、多孔
質炭素板の物性などを考慮すると、スラリー中に含まれ
る固形分のうち1〜10重量%とすることが好ましい。
また、炭素粉末および炭素繊維は、入手可能なものを適
宜使用すればよいが、抄紙性を考慮すると、炭素粉末は
粒径30μm以下のものが好ましく、炭素繊維は、長さ
1mm以下のピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル
系炭素繊維、気相法炭素繊維などが好ましい。
【0019】熱可塑性樹脂は、炭素粉末もしくは炭素繊
維と共存する場合、スラリー中に含まれる固形分のうち
5〜50重量%とすることが好ましい。5重量%を下回
ると、多孔質炭素板の強度向上が難しくなり、50重量
%を越えると、焼成炭素化などの高温処理持に潰れやす
くなり、かさ高い多孔質炭素板を得るのが難しくなる。
【0020】本発明に係る多孔質炭素板の第3の製造法
は、第1および第2の製造法で得られた抄紙シートを、
炭素粉末もしくは炭素繊維を熱硬化性樹脂にあらかじめ
混合したものに含浸することを特徴とする。
【0021】前述の知見の通り、炭素粉末および炭素繊
維は、熱硬化性樹脂に混合して使用しても、多孔質炭素
板の電気伝導性、熱伝導性などの向上に効果がある。従
来の製法では、高い強度を持つ多孔質炭素板を得ること
は困難であったが、本発明では、熱可塑性樹脂と併用す
ることで、高い強度を持つ多孔質炭素板を得ることがで
きる。炭素粉末および炭素繊維は、熱硬化性樹脂を15
0℃で30分間硬化させたときに得られる固形分に対し
て、8〜40重量%とすることが好ましい。8重量%を
下回ると、電気伝導性、熱伝導性などの向上が認められ
ず、40重量%を越えると、強度の低下が見られる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。以下に示すAからEまでの抄紙シートを作製し
た。また、比較用として抄紙シートFを作製した。な
お、木材パルプ、アバカパルプ(マニラ麻)は、効率的
に抄紙するため、適度に叩解して使用した。
【0023】(抄紙シートA)塩化ビニール樹脂粉末
(日本カーバイド工業(株)製、粒径0.3mm)30
重量部、レーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、
15デニール×8mm)50重量部、木材パルプ10重
量部、アバカパルプ10重量部を混合したスラリーを抄
紙し、米坪量100g/m2、厚さ0.5mmのシート
を得た。
【0024】(抄紙シートB)アクリル繊維(旭化成
(株)製、3デニール×5mm)10重量部、レーヨン
繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、8デニール×5m
m)70重量部、木材パルプ20重量部を混合したスラ
リーを抄紙し、米坪量110g/m2、厚さ0.5mm
のシートを得た。
【0025】(抄紙シートC)アクリル繊維(旭化成
(株)製、3デニール×5mm)25重量部、レーヨン
繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、8デニール×5m
m)70重量部、木材パルプ20重量部を混合したスラ
リーを抄紙し、米坪量110g/m2、厚さ0.5mm
のシートを得た。
【0026】(抄紙シートD)塩化ビニール樹脂粉末
(日本カーバイド工業(株)製、粒径0.3mm)30
重量部、レーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、
15デニール×8mm)50重量部、木材パルプ10重
量部、アバカパルプ10重量部、炭素粉末(昭和電工
(株)製、粒径10μm)5重量部を混合したスラリー
を抄紙し、米坪量110g/m2、厚さ0.5mmのシ
ートを得た。
【0027】(抄紙シートE)アクリル繊維(旭化成
(株)製、3デニール×5mm)10重量部、レーヨン
繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、8デニール×5m
m)70重量部、木材パルプ20重量部、炭素繊維(昭
和電工(株)製、気相法炭素繊維)7重量部を混合した
スラリーを抄紙し、米坪量100g/m2、厚さ0.5
mmのシートを得た。
【0028】(抄紙シートF)レーヨン繊維(ダイワボ
ウレーヨン(株)製、8デニール×5mm)70重量
部、木材パルプ20重量部を混合したスラリーを抄紙
し、米坪量100g/m2、厚さ0.5mmのシートを
得た。
【0029】抄紙シートを含浸する熱硬化性樹脂につい
ては、以下の3種類を用意した。 (熱硬化性樹脂)フェノール樹脂(昭和高分子(株)
製、BXS743)を使用。 (熱硬化性樹脂)フェノール樹脂(昭和高分子(株)
製、BXS743)に、炭素粉末(昭和電工(株)製、
粒径5μm)を15重量%混合した。 (熱硬化性樹脂)フェノール樹脂(昭和高分子(株)
製、BXS743)に、炭素繊維(昭和電工(株)製、
気相法炭素繊維)を15重量%混合した。
【0030】実施例として、抄紙シートAからEの5種
類と熱硬化性樹脂3種類の組み合わせ、計15通りにつ
いて検討した。また、比較例として、抄紙シートFと熱
硬化性樹脂3種類の組み合わせ、計3通りについて検討
した。
【0031】
【表1】
【0032】表1において、含浸量は、熱硬化性樹脂に
含浸した抄紙シートを150℃で30分間乾燥し、該抄
紙シートの重量増加分から算出した。含浸量は、全ての
シートにおいて55%とすることを目標とし、熱硬化性
樹脂にメタノールを添加して希釈することで調整した。
【0033】得られた含浸済み抄紙シートは、100℃
で3分間予備乾燥を行い、それぞれ5枚ずつ積層状態に
したものを150℃で30分間加熱圧着し、グリーン成
形板とした。この時加圧圧力は、全てのグリーン成形板
において、かさ密度が0.6g/cm3となることを目
標とし、0.5〜1.0kg/cm2の範囲で調整し
た。
【0034】得られたグリーン成形板を黒鉛板に挟持
し、窒素雰囲気下、毎分5℃ずつ1000℃まで昇温さ
せ、10日間焼成した。その後、アチソン型黒鉛化炉
で、2500℃で3時間処理した。得られた多孔質炭素
板は、いずれも良好な外観を呈していた。それぞれの多
孔質炭素板について、物性を測定した。その結果を表2
に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2において、気孔径は、水銀圧入法を用
いて測定した。固有抵抗は、四端子法を用いて測定し
た。熱伝導率は、レーザーフラッシュ法を用いて、室温
にて測定した。圧縮クリープは、多孔質炭素板に、30
0℃において10kg/cm2の荷重をかけ、500時
間経過後の初期厚さに対する厚さ変化率で示した。かさ
密度は、重量と体積から算出した。リン酸吸収速度は、
多孔質炭素板に105%ポリリン酸0.03gを滴下し
た時、ポリリン酸が多孔質炭素板に吸収されるまでの時
間で示した。
【0037】まず第1に、炭素化可能な熱可塑性樹脂の
スラリーへの添加による物性の変化を判断するため、比
較例1と、実施例4とを比較すると、圧縮クリープは、
0.04%から0.01%以下(測定限界値以下)に、
リン酸吸収速度は、3秒から18秒に、それぞれ改善さ
れていることがわかる。さらに、固有抵抗は5600か
ら3300に、熱伝導率は2.5から4.7に改善され
ている。すなわち、炭素化可能な熱可塑性樹脂の添加に
より、多孔質炭素板の物性は好ましい方向へ大きく変化
したことがわかる。
【0038】第2に、炭素粉末のスラリーへの添加によ
る物性の変化を判断するため、実施例1と、実施例10
とを比較すると、固有抵抗は3800から2800に、
熱伝導率は4.5から6.2に改善されている。すなわ
ち、炭素粉末の添加により、さらに好ましい多孔質炭素
板が得られていることがわかる。
【0039】第3に、炭素化可能な熱可塑性樹脂の量の
変化については、実施例4と実施例7を比較すればよ
い。すると、気孔径が35μmから25μmへと小さく
なっていることがわかる。このことは、熱可塑性樹脂の
量を調整することで、ある程度の範囲で気孔径をコント
ロールできるという可能性を示唆するものである。
【0040】第4に、炭素粉末の熱硬化性樹脂への添加
による物性の変化を判断するため、実施例1と、実施例
2とを比較すると、固有抵抗は3800から2900
に、熱伝導率は4.5から5.7に改善されている。す
なわち、炭素粉末を熱硬化性樹脂に添加することで、い
っそう好ましい多孔質炭素板が得られていることがわか
る。
【0041】
【発明の効果】上述のごとく、本発明は従来の製法の持
つ問題点を一挙に解決し、高性能な多孔質炭素板を安定
的かつ安価に製造することができるようになった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素化可能な熱可塑性樹脂1〜50重量
    %と、固相炭化可能な有機高分子繊維50〜99重量%
    とを固形分として含むスラリーを抄紙後、該抄紙シート
    に熱硬化性樹脂を含浸させ、2000℃以上で焼成炭素
    化することを特徴とする多孔質炭素板の製造法。
  2. 【請求項2】 炭素化可能な熱可塑性樹脂5〜50重量
    %と、炭素粉末もしくは炭素繊維1〜10重量%と、固
    相炭化可能な有機高分子繊維40〜94重量%とを固形
    分として含むスラリーを抄紙後、該抄紙シートに熱硬化
    性樹脂を含浸させ、2000℃以上で焼成炭素化するこ
    とを特徴とする多孔質炭素板の製造法。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂を150℃で30分間硬化
    させたときに得られる固形分に対して、8〜40重量%
    の炭素粉末もしくは炭素繊維を該熱硬化性樹脂にあらか
    じめ混合しておき、これに抄紙シートを含浸することを
    特徴とする請求項1または2に記載の多孔質炭素板の製
    造法。
JP19376496A 1996-07-23 1996-07-23 多孔質炭素板の製造法 Withdrawn JPH1036179A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1305154C (zh) * 2005-03-18 2007-03-14 清华大学 利用热塑性树脂为粘合剂制备燃料电池双极板的方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1305154C (zh) * 2005-03-18 2007-03-14 清华大学 利用热塑性树脂为粘合剂制备燃料电池双极板的方法

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