JP2584220Y2 - ゴルフクラブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ゴルフクラブのシャフ
トに対する柔軟性を向上させたゴルフクラブに関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は、従来のゴルフクラブ２の要部断
面形状を示す。このゴルフクラブ２は、クラブヘッド４
と、該クラブヘッド４のホーゼル６に連結されるシャフ
ト８とから構成される。前記クラブヘッド４内には、発
泡樹脂等からなる芯材５が充填されている。前記シャフ
ト８とクラブヘッド４とを連結する場合、クラブヘッド
４のホーゼル６に挿入されるシャフト８の連結部位を研
磨し、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤９を前記研磨し
た部位に付着して、該シャフト８をホーゼル６に挿入し
て強固に接着固定している。なお、シャフト８が挿入さ
れる前記ホーゼル６の連結部位の肉厚は厚さｄで一様に
形成されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、従来技術に
係るゴルフクラブ２では、ホーゼル６に挿入されたシャ
フト８の先端部側が前記ホーゼル６の厚さｄの分だけ肉
厚に構成されている。従って、ゴルフクラブ２は、シャ
フト８自体に柔軟性があってもホーゼル６との連結部位
に柔軟性がないことから、打球の飛距離を充分に伸ばす
ことができないという不都合がある。さらに、インパク
ト時の応力がホーゼル６の端部に集中してシャフト８が
折損するという不都合もある。

【０００４】一方、前記クラブヘッド４とシャフト８と
の連結部位に柔軟性を持たせるために、ホーゼル６の部
分を短縮し、あるいはホーゼル６の部分をなくして直接
クラブヘッド４にシャフト８を固定することが考えられ
る。しかし、インパクト時において、ゴルフボールがク
ラブヘッド４のスイートスポットに当接しなかった場
合、クラブヘッド４が不安定となったり、あるいは前記
と同様の理由から、クラブヘッド４の端部に応力が集中
し、シャフト８が折損する等の不都合が生じている。

【０００５】本考案は、前記の不都合を克服するために
なされたものであって、クラブヘッドとシャフトとの連
結部位に柔軟性を持たせることにより、打球の飛距離を
増加させることが可能であるとともに、前記連結部位に
応力が集中することをなくして、シャフトが折損する等
のおそれのないゴルフクラブを提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本考案は、クラブヘッドのホーゼルにシャフトが
連結されたゴルフクラブにおいて、前記ホーゼルに挿入
されるシャフト先端部の所定範囲を、クラブヘッドに指
向して縮径し且つ徐々に薄肉となるテーパ状に形成し、
一方、前記シャフト先端部の所定範囲の外周面に接触す
るホーゼルの所定範囲を前記テーパ状に対応させ、前記
ホーゼルの開口部に指向して拡径し且つ徐々に薄肉に形
成するとともに、前記ホーゼルの内壁部の肉厚が最も厚
い部位の厚さと、前記ホーゼルと前記シャフトの肉厚を
それぞれ併せた連結部位の厚さとが略同一に形成される
ことを特徴とする。

【０００７】

【作用】本考案に係るゴルフクラブでは、クラブヘッド
のホーゼルに挿入されるシャフト先端部の所定範囲を徐
々に薄肉となるテーパ状に形成するとともに、前記シャ
フト先端部の所定範囲の外周面が接触するホーゼルの所
定範囲を、前記ホーゼルの開口部に指向して拡径し且つ
徐々に薄肉に形成する。従って、インパクト時におい
て、シャフトの先端部および前記拡径した孔部とが接触
して形成された連結部位はシャフトの他の部位と同様に
柔軟に変形し、しかもその復元力によってゴルフボール
に充分な力が付与される。

【０００８】さらに、前記シャフトの先端部を徐々に薄
肉となるテーパ状に形成することにより、シャフトの先
端部から前記シャフトとホーゼルとの連結部位付近に至
るまでの部位に生じる応力は略一定となる。従って、前
記連結部位付近に応力が集中することがなく、該連結部
位付近でシャフトが折損することを防止することができ
る。

【０００９】

【実施例】本考案に係るゴルフクラブについて、好適な
実施例を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説
明する。

【００１０】図１において、参照符号１０は、本実施例
に係るゴルフクラブを示し、このゴルフクラブ１０は、
基本的には、ゴルフボールとのインパクト面であるフェ
イスを有するクラブヘッド１２と、前記クラブヘッド１
２に設けられたホーゼル１４を介して連結されるシャフ
ト１６とから構成される。前記シャフト１６の一端部に
は、図示しないグリップが形成されている。なお、クラ
ブヘッド１２内には、発泡樹脂等からなる芯材１７が充
填されている。

【００１１】前記クラブヘッド１２のホーゼル１４の孔
部１８に挿入されるシャフト１６の先端部には、図２に
示すように、クラブヘッド１２に指向して直径が徐々に
小さくなるようにテーパ部２０が形成され、且つクラブ
ヘッド１２に指向して徐々に薄肉となるように形成して
いる。一方、前記ホーゼル１４の孔部１８の中、シャフ
ト１６のテーパ部２０に接触する面は、前記テーパ部２
０の傾斜面に対応し、ホーゼル１４の開口部２２に指向
して拡径する内壁部２４が形成されるとともに、この内
壁部２４は開口部２２に指向して徐々に薄肉となってい
る。この場合、前記テーパ部２０にエポキシ樹脂系等の
接着剤２６を付着させることにより、前記テーパ部２０
を有するシャフト１６の先端部をホーゼル１４の孔部１
８内に固着することができる。前記拡径して形成された
ホーゼル１４の内壁部２４の肉厚が最も厚い部位は厚さ
ｄに形成され、また、ホーゼル１４の開口部２２近傍で
のホーゼル１４とシャフト１６とを合わせた肉厚は厚さ
ｄ’に形成されている。なお、前記肉厚の厚さｄとｄ’
は、ｄ≒ｄ’に設定されている。

【００１２】前記シャフト先端部のテーパ部２０は、シ
ャフト１６の製造時に予めテーパ状として形成してもよ
いし、あるいはカーボンシャフトの場合、クラブヘッド
１２のホーゼル１４内にシャフト１６を挿入する前に研
削加工してもよい。前記シャフト１６の材質として、炭
素繊維を熱硬化性樹脂で保持したカーボンシャフト等が
好適である。前記シャフト１６には、例えば、ボロン、
チタン、アモルファス金属、ケブラー、ベクトラン、チ
ラノ等が含有されていてもよい。

【００１３】本実施例に係るゴルフクラブ１０は、基本
的には以上のように構成されるものであり、次にその動
作、並びに作用効果について説明する。

【００１４】図３は、ティーアップされたゴルフボール
２８にクラブヘッド１２のフェイスが当接するインパク
トの瞬間を示す一部断面図であり、図４は、インパクト
後の状態を示す一部断面図である。

【００１５】ゴルファーがゴルフクラブ１０のグリップ
を保持しテイクバックからスイングを開始した後、クラ
ブヘッド１２がゴルフボール２８に当接するに至る。前
記クラブヘッド１２がゴルフボール２８にヒットするイ
ンパクトの瞬間において、図３に示すように、ゴルフボ
ール２８の慣性力により、シャフト１６が湾曲するとと
もに、前記シャフト先端部に形成されたテーパ部２０と
ホーゼル１４の孔部１８の内壁部２４とが接合して形成
された連結部位が湾曲した状態となる。この場合、前記
テーパ部２０を形成するシャフト先端部は、その先端部
に指向して徐々に薄肉となるように形成されている。一
方、前記先端部が挿入されたホーゼル１４は、シャフト
１６の上部に指向して徐々に薄肉に形成されている。従
って、シャフト１６は、その先端部まで略同一の弾性特
性を有していると見做すことができる。そのため、ホー
ゼル１４によって拘束されない場合と同様な柔軟性を得
ることができる。この結果、ゴルフボール２８には、ク
ラブヘッド１２からの力が付与されるとともに、柔軟な
シャフト１６の復元力が付加され、ボルフボール２８
は、これらの力によって充分遠方まで飛ばされることに
なる。

【００１６】さらに、前記テーパ部２０が形成されたシ
ャフト１６は先端部に指向して徐々に薄肉となっている
ため、先端部からホーゼル１４とシャフト１６との連結
部位付近に至る範囲にはインパクト時に発生する応力が
分散して一様となり、前記応力が連結部位付近に集中す
ることがない。特に、ホーゼル１４の開口部２２近傍に
おいてシャフト１６に過大な応力集中が生じることがな
いため、前記連結部位からシャフト１６が折損すること
を防止することができる。

【００１７】

【考案の効果】本考案に係るゴルフクラブによれば、以
下の効果が得られる。

【００１８】すなわち、シャフト先端部の所定範囲に形
成されたテーパ状の部分と、前記テーパ状の部分に対応
してホーゼルの開口部に指向して拡径して形成される孔
部とを連結し、しかも、前記ホーゼルの内壁部の肉厚が
最も厚い部位の厚さと、前記ホーゼルと前記シャフトの
肉厚をそれぞれ併せた連結部位の厚さとを略同一に形成
した相乗作用により、インパクトの瞬間、シャフトに柔
軟性を持たせることができる。この結果、ゴルフボール
をヒットした場合に飛距離をより一層増大させることが
できる。

【００１９】さらに、シャフトとホーゼルとの連結部位
付近にインパクト時に発生する応力が集中しないため、
前記連結部位付近におけるシャフトの折損を防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るゴルフクラブを示す断面
図である。

【図２】図１に示すゴルフクラブの部分拡大断面図であ
る。

【図３】クラブヘッドのフェイスがゴルフボールにヒッ
トするインパクトの瞬間を示す断面図である。

【図４】図３のインパクト後の状態を示す断面図であ
る。

【図５】従来例に係るゴルフクラブを示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１０…ゴルフクラブ １２…クラブヘッド １４…ホーゼル １６…シャフト １７…芯材 １８…孔部 ２０…テーパ部 ２２…開口部 ２４…内壁部 ２６…接着剤 ２８…ゴルフボール

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クラブヘッドのホーゼルにシャフトが連結
   されたゴルフクラブにおいて、 前記ホーゼルに挿入されるシャフト先端部の所定範囲
   を、クラブヘッドに指向して縮径し且つ徐々に薄肉とな
   るテーパ状に形成し、一方、前記シャフト先端部の所定
   範囲の外周面に接触するホーゼルの所定範囲を前記テー
   パ状に対応させ、前記ホーゼルの開口部に指向して拡径
   し且つ徐々に薄肉に形成するとともに、前記ホーゼルの
   内壁部の肉厚が最も厚い部位の厚さと、前記ホーゼルと
   前記シャフトの肉厚をそれぞれ併せた連結部位の厚さと
   が略同一に形成されることを特徴とするゴルフクラブ。