JPH05261167A - クラブヘッドとシヤフトとの接合構造 - Google Patents

クラブヘッドとシヤフトとの接合構造

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JPH05261167A
JPH05261167A JP4091720A JP9172092A JPH05261167A JP H05261167 A JPH05261167 A JP H05261167A JP 4091720 A JP4091720 A JP 4091720A JP 9172092 A JP9172092 A JP 9172092A JP H05261167 A JPH05261167 A JP H05261167A
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JP
Japan
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shaft
club
mounting hole
tip
shape memory
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Application number
JP4091720A
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English (en)
Inventor
Masashi Kobayashi
正志 小林
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Maruman Golf Co Ltd
Original Assignee
Maruman Golf Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 クラブヘッド11のネック部12に該ネック
部の先端に開口する取付穴13を形成し、該取付穴の開
口部に所定曲率半径Rの曲面にほぼ沿った曲面状拡径部
14を設け、該取付穴にクラブシャフト15の先端部を
挿入して固定する。曲率半径Rは次式に従い設定する。 【数1】R=D・E/(σtd−σcd) ここで、Dは取付穴の曲面状拡径部の始点位置における
シヤフトの外径、Eはシャフト材料のヤング係数、σtd
はシャフト材料の弾性域内の引張応力設定値、σcdはシ
ャフト材料の弾性域内の圧縮応力設定値(但し引張側を
正符号とする)である。 【効果】 シャフトが撓むときにシャフトと取付穴との
接触点が位置aから取付穴の先端に向かって順次移動す
るので、シャフトの一断面のみに曲げモーメント荷重に
よる応力集中が生じることを緩和でき、各接触点のシヤ
フト断面の弾性変形によるエネルギー吸収限界を高める
ことができる。したがって、曲げ破壊耐力および疲労破
壊強度が高まる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクラブヘッドとシャフト
の接合構造に関し、特にウッドクラブ、アイアンクラブ
等飛球用ゴルフクラブに好適に適用し得るヘッドとシャ
フトの接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は従来の一般的な飛球用クラブヘッ
ドとシャフトの接合構造を示したものである。同図を参
照すると、クラブヘッド1のネック部2にはその先端に
開口する取付穴3が形成され、クラブシャフト4はその
先端部が取付穴3に嵌合され、エポキシ樹脂等の接着剤
5によりネック部2に固定されている。そしてクラブシ
ャフトの先端部外周が円筒状の場合、従来のシャフト取
付穴3はその底部から開口部まで全長にわたりシャフト
4の先端部と適合する円筒状に形成され、またシャフト
の先端部外周が僅かにテーパの付いたテーパ状の場合、
従来のシャフト取付穴3はその底部から開口部まで全長
にわたりシャフト4の先端部と適合する僅かにテーパの
付いたテーパ状に形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に飛球用のゴルフ
クラブでスイングしたとき、スイートスポットから外れ
てボールを叩いたとき、或いはヘッドを地面に打ち込ん
だとき、ヘッドは回転するので、ヘッドの回転に伴って
シャフトには曲げモーメント荷重が衝撃的に加わり、シ
ャフトは撓む。特にボールとの打点位置がヘッドのヒー
ル寄り若しくはネック部寄りにずれていると、ヘッドの
重心は打点位置よりもクラブのスイング半径の外方に位
置するため、ヘッドは打点位置を中心としてスイング方
向と同方向に回転する。このときヘッドは打点位置がト
ウ寄りのときよりも大きく回転するので、シャフトに加
わる曲げモーメント荷重もより大きなものとなる。
【0004】図9はヘッドの回転に伴ってシャフトに加
わる曲げモーメントの分布特性を模式的に示したもので
ある。同図に示すように、従来の接合構造においては、
シャフトが撓むときシャフトに加わる曲げモーメントM
はネック部先端位置のシャフト断面S1において最大に
なるので、シャフトの断面に生じる引張歪εtおよび圧
縮歪εcは同様にネック部先端位置のシャフト断面S1
おいて最大となる。したがって、特にシャフト断面S1
の引張応力および圧縮応力がシャフト材料の降伏点に到
達するような大きな曲げモーメント荷重が加わった場
合、ネック部先端位置のシャフト断面S1のみにおいて
引張歪および圧縮歪が急速に増大し、その結果、シャフ
トがネック部先端の位置S1で折れ曲がったり折れたり
する。また、シャフトに加わる曲げモーメント荷重がシ
ャフトの弾性応力状態を保つような小さなものであって
も、ネック部先端位置のシャフト断面S1のみに応力集
中が生じるため、クラブシャフトの疲労破壊強度が低下
するという問題が生じていた。
【0005】ネック部先端位置のシャフト断面への応力
集中によるクラブシャフトの破損や疲労破壊を防止する
ための方法としては、シャフトの嵌合部の肉厚および外
径を大きくし、ネック部先端位置から遠ざかるに従って
シャフト肉厚および外径を徐々に減少させる方法が考え
られるが、クラブシャフトの先端部分にこのような肉厚
および外径の変化する部分を形成することは一般に困難
であり、特に、クラブ番号や所望のクラブ長に合わせて
シャフトの先端部を切断してヘッドに接合する形式のク
ラブシャフトの場合、そのような破損防止対策を講じる
ことができない。
【0006】したがって、本発明の目的は、クラブシャ
フトの先端部を特殊形状に加工する必要なく、クラブシ
ャフトの一断面のみに曲げモーメント荷重による応力集
中が生じることを緩和できるクラブヘッドとシャフトと
の接合構造、すなわちクラブシャフトの曲げ破壊耐力お
よび繰返し曲げモーメント荷重に対する疲労破壊強度を
高めることができるクラブヘッドとシャフトとの接合構
造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、クラブヘッドのネック部に
該ネック部の先端に開口する取付穴を形成し、該取付穴
にクラブシャフトの先端部を挿入して固定するゴルフク
ラブのヘッドとシャフトとの接合構造において、取付穴
の開口部に次式により定まる曲率半径Rの曲面にほぼ沿
った曲面状拡径部を設けたことを特徴とする。
【0008】
【数3】R=D・E/(σtd−σcd) ここで、Dは取付穴の曲面状拡径部の始点位置における
シャフトの外径、Eはシャフト材料のヤング係数、σtd
はシャフト材料の弾性域内の引張応力設定値、σcdはシ
ャフト材料の弾性域内の圧縮応力設定値(但し引張側を
正符号とする)である。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の接
合構造において、クラブシャフトの先端部内に挿入した
形状記憶合金の形状記憶効果によりクラブシャフトの先
端部とクラブヘッドのネック部とを圧接固定したことを
特徴とする。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1記載の接
合構造において、取付穴の曲面状拡径部とクラブシャフ
トとの間の隙間をエラストマー材料で塞いだことを特徴
とする。
【0011】請求項4記載の発明は、クラブヘッドのネ
ック部に該ネック部の先端に開口する取付穴を形成し、
該取付穴にクラブシャフトの先端部を挿入して固定する
ゴルフクラブのヘッドとシャフトとの接合構造におい
て、クラブシャフトの先端部内に、形状記憶効果により
クラブシャフトの先端部とクラブヘッドのネック部とを
圧接固定する形状記憶合金を挿嵌し、該形状記憶合金の
先端部をネック部の先端より突出せしめるとともに、形
状記憶合金の先端部に次式により定まる曲率半径Rの曲
面にほぼ沿った曲面状縮径部を設けたことを特徴とす
る。
【0012】
【数4】R=D・E/(σtd−σcd) ここで、Dは形状記憶合金の曲面状縮径部の始点位置に
おけるシャフトの外径、Eはシャフト材料のヤング係
数、σtdはシャフト材料の弾性域内の引張応力設定値、
σcdはシャフト材料の弾性域内の圧縮応力設定値(但し
引張側を正符号とする)である。
【0013】
【作用】請求項1記載のゴルフクラブのヘッドとシャフ
トとの接合構造においては、取付穴に挿入され固定され
たクラブシャフトに曲げモーメント荷重が作用していな
いとき、シャフトは曲面状拡径部の始点位置で取付穴の
内面に接触している。そして、クラブシャフトに曲げモ
ーメント荷重が加わると、シャフトが撓んで取付穴の内
面との接触点が曲面状拡径部の始端位置から取付穴の開
口端に向かって順次移動する。このようにシャフトと取
付穴との接触点を順次移動させることで各接触点のシャ
フト断面における曲げモーメントをほぼ一定値に維持し
つつ最大曲げモーメント領域を増大させることができる
ので、シャフトの一断面のみへの応力集中を緩和でき、
曲げ破壊耐力を高めることができる。また、曲げモーメ
ント荷重が作用したときにシャフトの一断面のみへの応
力集中を緩和できるので、繰返し曲げモーメント荷重に
対する疲労破壊強度を高めることができる。
【0014】しかも、曲面状拡径部は上記数3の関係を
満たす曲率半径Rの曲面にほぼ沿った形状であるので、
シャフトが撓むとき曲面状拡径部の始点位置のシャフト
断面に生じる引張応力および圧縮応力がシャフト材料の
弾性域内の設定値σtd,σcdに達したときにシャフトと
取付穴との接触点が上述したごとくネック部の開口端に
向かって順次移動するため、曲面状拡径部の始点位置の
シャフト断面に生じる応力はシャフトと取付穴との接触
点がネック部先端に達するまでシャフト材料の弾性域内
の設定値σtd,σcdに保たれ得る。また、このような現
象は各接触点のシャフト断面において生じるのである。
このように各接触点のシャフト断面の応力が撓みの進行
中にシャフト材料の弾性域内の設定値σtd,σcdに保た
れることは、シャフトの弾性変形によるエネルギー吸収
限界が高まることを意味する。また、シャフトと取付穴
との接触点の移動中各接触点のシャフト断面の内部応力
の増加が大きく抑えられるので、クラブをスイングした
プレーヤの手に伝わる感触をソフトなものにすることが
できる。
【0015】上記構成のゴルフクラブのヘッドとシャフ
トとの接合構造において、クラブシャフトは接着剤でク
ラブヘッドの取付穴に接合固定してもよいが、接着剤が
硬化性樹脂の場合、余剰の接着剤が取付穴の曲面状拡径
部とクラブシャフトの外周面との間の隙間を埋めてしま
うと接触点移動による応力分散作用が低下することも考
えられる。したがって、クラブシャフトとネック部との
接合にはドライ接合を採用することが好ましい。そこ
で、請求項2に記載の接合構造においては、クラブシャ
フトの先端部内に挿入した形状記憶合金の形状記憶効果
によりクラブシャフトの先端部とクラブヘッドのネック
部とを圧接固定するようにしたので、取付穴の曲面状拡
径部に対するクラブシャフトの接触点移動による応力分
散作用を損ねることなくシャフトとネック部とを強固に
固定できる。また、形状記憶合金による接合は樹脂接着
剤を用いる場合に比べて短時間で行うことができ、さら
に経時変化による劣化もないので結合強度の安定した接
合構造となる。
【0016】請求項3記載のゴルフクラブのヘッドとシ
ャフトとの接合構造においては、取付穴の曲面状拡径部
とクラブシャフトとの間の隙間をエラストマー材料で塞
いでいるので、該隙間に砂等が詰まって接触点移動によ
る応力分散作用が損なわれることを防止できることとな
る。
【0017】請求項4記載のゴルフクラブのヘッドとシ
ャフトとの接合構造においては、クラブシャフトの先端
部内に挿嵌された形状記憶合金の形状記憶効果によって
クラブシャフトとクラブヘッドのネック部とを強固に接
合固定できる。また、シャフトが曲げモーメント荷重に
よって撓むときに、シャフトと形状記憶合金との接触点
が形状記憶合金の先端部の曲面状縮径部に沿って順次移
動するので、各接触点のシャフト断面における曲げモー
メントをほぼ一定値に維持しつつ最大曲げモーメント領
域を増大させることができる。したがって、シャフトの
一断面のみへの応力集中を緩和でき、曲げ破壊耐力を高
めることができる。また、曲げモーメント荷重が作用し
たときにシャフトの一断面のみへの応力集中を緩和でき
るので、繰返し曲げモーメント荷重に対する疲労破壊強
度を高めることができる。
【0018】しかも、形状記憶合金の先端部の曲面状拡
径部は上記数4の関係を満たす曲率半径Rの曲面にほぼ
沿った形状であるので、シャフトが撓むときに曲面状縮
径部の始点位置のシャフト断面に生じる引張応力および
圧縮応力がシャフト材料の弾性域内の設定値σtd,σcd
に達したときにシャフトと取付穴との接触点が上述した
ごとく形状記憶合金の先端に向かって順次移動するた
め、曲面状縮径部の始点位置のシャフト断面に生じる応
力はシャフトと形状記憶合金との接触点が形状記憶合金
の先端に達するまでシャフト材料の弾性域内の設定値σ
td,σcdに保たれ得る。また、このような現象は各接触
点のシャフト断面において生じるのである。このように
各接触点のシャフト断面の応力が撓みの進行中にシャフ
ト材料の弾性域内の設定値σtd,σcdに保たれること
は、シャフトの弾性変形によるエネルギー吸収限界が高
まることを意味する。また、シャフトと取付穴との接触
点の移動中各接触点のシャフト断面の内部応力の増加が
大きく抑えられるので、クラブをスイングしたプレーヤ
の手に伝わる感触をソフトなものにすることができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例につき説明する。図1
は本発明をウッドクラブタイプの飛球用ゴルフクラブに
適用した場合の第1実施例を示したものであり、図2は
図1に示す接合構造のシャフトの撓み特性を説明するた
めの図である。
【0020】これらの図を参照すると、クラブヘッド1
1のネック部12にはその先端に開口する取付穴13が
形成され、取付穴13の開口部には所定曲率半径Rの曲
面14が形成されている。符号aは曲面14の始点位置
を示す。この始点位置aから取付穴13の底部までの区
間は内径一定の円筒状穴となっている。クラブシャフト
15はその先端部が取付穴3に挿入されており、曲面1
4の始点位置aから取付穴13の底部近傍までの区間に
おいてシャフト15が取付穴13の内面に密着嵌合して
いる。シャフト15の先端部が外径一定の円筒状である
場合、取付穴13の底部から曲面14の始点位置までの
区間はシャフト形状に合わせて内径一定の円筒状に形成
し、また、シャフト15の先端部に僅かなテーパが付け
られている場合には、取付穴13の底部から曲面14の
始点位置までの区間はシャフトのテーパ形状に合わせて
テーパ穴状に形成するとよい。この実施例ではシャフト
15とネック部12は曲面14を除く取付穴13の内面
とシャフト15の外周面との間に塗着された例えばエポ
キシ系接着剤(図示省略)にて固着されている。
【0021】上記構成の接合構造において、取付穴13
に形成する曲面14の曲率半径Rは次式の関係を満たす
ように設定される。
【0022】
【数5】R=D・E/(σtd−σcd) ここで、Dは取付穴の曲面状拡径部の始点位置における
シャフトの外径、Eはシャフト材料のヤング係数、σtd
はシャフト材料の弾性域内の引張応力設定値、σcdはシ
ャフト材料の弾性域内の圧縮応力設定値(但し引張側を
正符号とする)である。
【0023】取付穴12との接合部におけるシャフト1
5の外径は一般に約8mmである。また、ヤング係数Eは
使用するシャフト材料によって定まり、例えばステンレ
ススチールの場合21000であり、炭素繊維強化樹脂
(CFRP)の場合約6000である。一方、数5にお
ける応力設定値σtd,σcdは使用するシャフト材料に応
じて弾性域内の任意値に設定することができる。例えば
ステンレススチールの場合、引張側降伏点σtyが約50
kg/mm2であり、圧縮側降伏点σcyが約−50kg/mm2であ
るから、応力設定値σtd,σcdはそれぞれ降伏点σty
σcyを越えない範囲内の値、例えば約40kg/mm2および
約−40kg/mm2に設定すればよい。同様に、CFRPの
場合、引張側降伏点σtyが約120kg/mm2であり、圧縮
側降伏点σcyが約−120kg/mm2であるから、応力設定
値σtd,σcdはそれぞれ降伏点σty,σcyを越えない範
囲内の値、例えば約100kg/mm2および約−100kg/m
m2に設定すればよい。ステンレススチールシャフトを用
いたときのシャフト外径Dを8mmとし、応力設定値
σtd,σcdを40kg/mm2および−40kg/mm2とすると、
取付穴13に形成する曲面14の曲率半径Rは約210
0mmとなり、CFRPシャフトを用いたときのシャフト
外径Dを8mmとし、応力設定値σtd,σcdを100kg/m
m2および−100kg/mm2とすると、取付穴13に形成す
る曲面14の曲率半径Rは約240mmとなる。
【0024】次に、取付穴13の先端から曲面14の始
点位置aまでの区間長さLは長いほど良いが、ネック部
先端の外周からシャフトの外周までの距離および取付穴
13の全長に制約があり、さらに接合強度上の制約によ
り取付穴の曲面始点位置から底部までの接合区間を所要
寸法に設定する必要があるため、これらの条件を考慮し
て上記区間長さLを設定すればよい。
【0025】上記構成の接合構造において、今、クラブ
シャフト15にヘッドの回転による曲げモーメント荷重
Pが加わると、シャフト15が撓んで取付穴13との接
触点が曲面状拡径部の始点位置aから取付穴13の開口
端に向かって位置b,c,dへと連続的に順次移動す
る。そして、シャフト15と取付穴13との接触点が例
えば位置aから位置bへと順次移動するとき、位置aに
おけるシャフト15の曲げモーメントMaの比例的増加
が抑えられ、位置bにおける曲げモーメントMbとほぼ
同一値に保たれる。同様に、シャフト15と取付穴13
との接触点がさらに位置bから位置cへと移動すると
き、位置bのシャフト断面における曲げモーメントMb
の比例的増大が抑えられ、位置cのシャフト断面におけ
る曲げモーメントMcとほぼ同一値に保たれる。このよ
うにシャフト15と取付穴13との接触点を順次移動さ
せることで各接触点のシャフト断面における曲げモーメ
ントをほぼ一定値に維持しつつ最大曲げモーメント領域
を増大させることができるので、シャフト15の一断面
のみへの応力集中を緩和でき、曲げ破壊耐力を高めるこ
とができる。また、このように曲げモーメント荷重が作
用したときにシャフト15の一断面のみへの応力集中を
緩和できるので、繰返し曲げモーメント荷重に対する疲
労破壊強度を高めることができる。
【0026】図10はシャフトが撓むときにシャフトと
取付穴との接触点のシャフト断面に生じる引張応力の時
間変化を示したものであり、図中Aは上述した従来の接
合構造における応力変化特性、Bは本発明による接合構
造における応力変化特性である。従来の接合構造の場
合、ネック部先端位置におけるシャフト断面に生じる引
張応力σtがシャフト材料の降伏点σtyに達した後、該
断面に加わる曲げモーメントの増大に伴って断面の応力
σtはさらに増大し、やがて時間t1にて極限応力σtu
達して破断する。このとき、特性Aの応力σtを時間0
から時間t1まで積分した値はシャフトが弾性変形およ
び塑性変形により吸収したエネルギーの大きさに相当す
る。
【0027】一方、本発明による接合構造の場合、曲面
14の始点位置aのシャフト断面に生じる引張応力σt
がシャフト材料の降伏点σtyより小さい設定値σtdに達
したときにシャフト15と取付穴13との接触点が上述
したごとく位置aから位置b,c・・・へと移動するた
め、曲面14の始点位置aのシャフト断面に生じる応力
σtはシャフト材料の降伏点σtyより小さい設定値σtd
に達した後、シャフト1 5と取付穴13との接触点が
取付穴13の開口端に達する時間t2までほぼ一定 値に
保たれ得る。また、このような現象は他の接触点b,c
・・・のシャフト断面においても生じる。そして特性B
の応力σtを時間0から時間t2まで積分した値はシャフ
トが弾性変形のみにより吸収したエネルギーの大きさに
相当する。
【0028】以上、引張応力を例にとって説明したが、
シャフト断面の圧縮応力σcについても同様の現象が生
じることは容易に理解できるであろう。
【0029】上述したようにシャフトの撓みが進行して
いる間、各接触点のシャフト断面の応力がシャフト材料
の弾性域内の設定値σtdにほぼ保たれることは、シャフ
ト15の弾性変形によるエネルギー吸収限界が高まるこ
とを意味し、この弾性吸収限界エネルギーはヘッドの回
転による力積エネルギーよりも大きなものとなり得るの
で、シャフト15の破断や折れ曲がりを防止できるので
ある。また、上述したように接触点の移動中シャフト1
5の内部応力σt,σcの増加が大きく抑えられるので、
クラブをスイングしたプレーヤの手に伝わる感触をソフ
トなものにすることができるのである。
【0030】図3は本発明の第2実施例を示したもので
ある。この実施例ではクラブヘッド11のネック部12
に形成される取付穴13の開口部に、所定曲率半径Rの
曲面に近似した段階状曲面部14a、すなわち所定曲率
半径Rの曲面にほぼ沿うように内径が取付穴13の開口
端に向かうに従って段階的に増大する段階状曲面部14
aが形成されている。このような形状においても、シャ
フト15が撓むとき、取付穴13の内面に対するシャフ
ト15の接触点は段階状曲面部14aの始端位置aから
取付穴13の開口端に向かって位置b,c,dへと順次
移動するので、上記実施例と同様にシャフト15の一断
面のみへの応力集中を緩和させることができ、各接触点
のシャフト断面に生じる応力を弾性域内にとどめること
ができる。したがって、本発明における曲面状拡径部は
第1実施例のような所定曲率半径Rの正確な曲面14に
限られず、このような段階状曲面部14aや曲率の変化
する曲面等であってもよい。そして曲面状拡径部を正確
な一定曲率半径の曲面以外の形状にするときは、上記数
5における設定応力を若干低めに設定したときの曲率半
径Rの算出値にその形状を近似させるとよい。
【0031】図4は本発明の第3実施例を示したもので
ある。同図において第1実施例と同様の構成要素には同
一の参照符号が付してある。この実施例ではクラブシャ
フト15とネック部12との接合に棒状の形状記憶合金
16が用いられている。すなわち、シャフト15の先端
部内に形状記憶合金16が挿嵌されており、この形状記
憶合金16の形状記憶効果によってシャフト15がソー
ルの半径方向外方に加圧されネック部12の取付穴13
の曲面14の始端位置aから底部近傍までの内面に圧接
固定されている。図示するように、形状記憶合金16の
上端は取付穴13の曲面14の始端位置aより上方に延
在していてもよいが、この場合形状記憶合金16によっ
てシャフト15の撓みを妨げることがないように、形状
記憶合金16の上端部をテーパ状若しくは曲面状に縮径
させておくことが重要である。
【0032】この実施例ではクラブシャフト15と取付
穴13との接合固定に形状記憶合金16によるドライ接
合法を採用しているので、取付穴13の曲面14に対す
るシャフト15の接触点移動による応力分散作用を損ね
ることなくシャフト15とネック部12とを強固に固定
できる。また、形状記憶合金16による接合は樹脂接着
剤を用いる場合に比べて短時間で行うことができ、さら
に経時変化による劣化もないので結合強度の安定した接
合構造となる。
【0033】形状記憶合金16としては例えばFe系の
ものやNi−Ti系のものがある。Ni−Ti系形状記
憶合金はFe系形状記憶合金よりも膨張率が大きいが、
常時−10℃以上で使用する必要がある。一方、Fe系
形状記憶合金は安価であるが、記憶形状に戻すために一
度は350℃以上の温度に加熱する必要がある。したが
って、シャフト15とヘッド11の双方がスチール製の
ときはFe系形状記憶合金が好適であり、シャフト15
又はヘッド11の何れかがFRP製のときはNi−Ti
系形状記憶合金が好適である。
【0034】図5は本発明の第4実施例を示したもので
あり、図6は本発明の第5実施例を示したものである。
これらの実施例ではネック部12の取付穴13の所定曲
率の曲面14とクラブシャフト15との間の隙間がゴム
等のエラストマー材料17で塞がれている。図5に示す
実施例では隙間にエラストマー材料17が充填されてい
るがシャフト15よりも軟らかいため、シャフト15の
撓み或いは取付穴13の内面に対するシャフト15の接
触点移動作用に重大な影響を及ぼすものではない。一
方、図6に示す実施例ではエラストマー材料17がキャ
ップ状に形成されてシャフト15に装着されており、取
付穴13の曲面14とシャフト15との間に隙間が確保
されている。
【0035】これらの実施例においては、取付穴13の
曲面14とシャフト15との間の隙間がエラストマー材
料17で塞がれているので、該隙間に砂等が詰まって接
触点移動による応力分散作用が損なわれることを防止で
きる。
【0036】図7は本発明の第6実施例を示したもので
ある。この実施例ではクラブヘッドのネック部12に該
ネック部12の先端に開口する取付穴13が形成され、
該取付穴13にクラブシャフト15の先端部が挿入さ
れ、クラブシャフト15の先端部内に、形状記憶効果に
よりクラブシャフト15の先端部とクラブヘッドのネッ
ク部12とを圧接固定する棒状の形状記憶合金16が挿
嵌されている。そして、この実施例では形状記憶合金1
6の先端部がネック部12の先端より突出しているとと
もに、形状記憶合金16の先端部に所定曲率半径Rの曲
面18すなわち曲面状縮径部が設けられている。曲面1
8の曲率半径Rは次式の関係を満たすように設定され
る。
【0037】
【数6】R=D・E/(σtd−σcd) ここで、Dは形状記憶合金の曲面状縮径部の始点位置に
おけるシャフトの外径、Eはシャフト材料のヤング係
数、σtdはシャフト材料の弾性域内の引張応力設定値、
σcdはシャフト材料の弾性域内の圧縮応力設定値(但し
引張側を正符号とする)である。
【0038】したがって、この実施例においては、上述
した第3実施例と同様に、クラブシャフト15の先端部
内に挿嵌された形状記憶合金16の形状記憶効果によっ
てシャフト15とクラブヘッドのネック部12とを強固
に接合固定できる。また、シャフト15が曲げモーメン
ト荷重によって撓むときに、第1実施例と同様の原理で
シャフト15と形状記憶合金16との接触点が形状記憶
合金16の先端部の曲面18に沿って順次移動するの
で、各接触点のシャフト断面における曲げモーメントを
ほぼ一定値に維持しつつ最大曲げモーメント領域を増大
させることができる。したがって、シャフト15の一断
面のみへの応力集中を緩和でき、曲げ破壊耐力を高める
ことができる。また、このように曲げモーメント荷重が
作用したときにシャフト15の一断面のみへの応力集中
を緩和できるので、繰返し曲げモーメント荷重に対する
疲労破壊強度を高めることができる。
【0039】以上各実施例につき説明したが、本発明は
上記実施例の態様のみに限定されるものではなく、特許
請求の範囲に記載した発明の範囲内でその構成要素に種
々の変更を加えることができる。例えば、シャフト先端
部、取付穴、形状記憶合金等に適度(例えば1/50)
のテーパをつけてもよい。また、上述したように、形状
記憶合金の先端部に設ける曲面状縮径部は曲面に近似し
た各種形状であってもよい。さらに本発明はウッドクラ
ブ、アイアンクラブ等の飛球用ゴルフクラブに適用して
好適であるが、クラブヘッドとシャフトとの接合構造を
有するものであれば、他の打球用クラブ、ラケット等に
も同様に適用することができる。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明かなように、本発明に
よれば、クラブシャフトの先端部を特殊形状に加工する
必要なく、クラブシャフトの一断面のみに曲げモーメン
ト荷重による応力集中が生じることを緩和できるクラブ
ヘッドとシャフトとの接合構造、すなわちクラブシャフ
トの曲げ破壊耐力および繰返し曲げモーメント荷重に対
する疲労強度を高めることができるクラブヘッドとシャ
フトとの接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す飛球用ゴルフクラブ
のヘッドとシャフトとの接合構造の要部縦断面正面図で
ある。
【図2】図1に示す接合構造のシャフトの撓み特性を示
す説明図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す飛球用ゴルフクラブ
のヘッドとシャフトとの接合構造の要部縦断面図であ
る。
【図4】本発明の第3実施例を示す飛球用ゴルフクラブ
のヘッドとシャフトとの接合構造の要部縦断面正面図で
ある。
【図5】本発明の第4実施例を示す飛球用ゴルフクラブ
のヘッドとシャフトとの接合構造の要部縦断面図であ
る。
【図6】本発明の第5実施例を示す飛球用ゴルフクラブ
のヘッドとシャフトとの接合構造の要部縦断面図であ
る。
【図7】本発明の第6実施例を示す飛球用ゴルフクラブ
のヘッドとシャフトとの接合構造の要部縦断面図であ
る。
【図8】従来の飛球用ゴルフクラブのヘッドとシャフト
との接合構造の要部縦断面正面図である。
【図9】図8に示す接合構造のシャフトの撓み特性を示
す説明図である。
【図10】本発明による接合構造と従来の接合構造のシ
ャフトの撓みに伴う内部応力の時間的変化特性を比較し
て示す説明図である。
【符号の説明】
11 クラブヘッド 12 ネック部 13 取付穴 14 曲面(曲面状拡径部) 14a 段階状曲面部(曲面状拡径部) 15 クラブシャフト 16 形状記憶合金 17 エラストマー材料 18 曲面(曲面状縮径部)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラブヘッドのネック部に該ネック部の
    先端に開口する取付穴を形成し、該取付穴にクラブシャ
    フトの先端部を挿入して固定するクラブヘッドとシャフ
    トとの接合構造において、取付穴の開口部に次式の関係
    を満たす曲率半径Rの曲面にほぼ沿った曲面状拡径部を
    設けたことを特徴とするクラブヘッドとシャフトとの接
    合構造。 【数1】R=D・E/(σtd−σcd) ここで、Dは取付穴の曲面状拡径部の始点位置における
    シャフトの外径、Eはシャフト材料のヤング係数、σtd
    はシャフト材料の弾性域内の引張応力設定値、σcdはシ
    ャフト材料の弾性域内の圧縮応力設定値(但し引張側を
    正符号とする)である。
  2. 【請求項2】 クラブシャフトの先端部内に、形状記憶
    効果によりクラブシャフトの先端部とクラブヘッドのネ
    ック部とを圧接固定する形状記憶合金を挿嵌してなる請
    求項1記載の接合構造。
  3. 【請求項3】 取付穴の曲面状拡径部とクラブシャフト
    との間の隙間をエラストマー材料で塞いだことを特徴と
    する請求項1記載の接合構造。
  4. 【請求項4】 クラブヘッドのネック部に該ネック部の
    先端に開口する取付穴を形成し、該取付穴にクラブシャ
    フトの先端部を挿入して固定するクラブヘッドとシャフ
    トとの接合構造において、クラブシャフトの先端部内
    に、形状記憶効果によりクラブシャフトの先端部とクラ
    ブヘッドのネック部とを圧接固定する棒状の形状記憶合
    金を挿嵌し、該形状記憶合金の先端部をネック部の先端
    より突出せしめるとともに、形状記憶合金の先端部に次
    式により定まる曲率半径Rの曲面にほぼ沿った曲面状縮
    径部を設けたことを特徴とするクラブヘッドとシャフト
    との接合構造。 【数2】R=D・E/(σtd−σcd) ここで、Dは形状記憶合金の曲面状縮径部の始点位置に
    おけるシャフトの外径、Eはシャフト材料のヤング係
    数、σtdはシャフト材料の弾性域内の引張応力設定値、
    σcdはシャフト材料の弾性域内の圧縮応力設定値(但し
    引張側を正符号とする)である。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014233303A (ja) * 2013-05-30 2014-12-15 ダンロップスポーツ株式会社 ゴルフクラブ
JP6186093B1 (ja) * 2015-10-28 2017-08-23 株式会社遠藤製作所 金属製中空ゴルフクラブ
JPWO2020145293A1 (ja) * 2019-01-08 2021-10-07 日本製鉄株式会社 外装パネルおよび外装パネルを備える自動車

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