JP2582731Y2

JP2582731Y2 - 印刷用原板用カバー

Info

Publication number: JP2582731Y2
Application number: JP3533992U
Authority: JP
Inventors: 弘高見; 恒夫安井
Original assignee: Brother Industries Ltd
Current assignee: Brother Industries Ltd
Priority date: 1992-05-27
Filing date: 1992-05-27
Publication date: 1998-10-08
Anticipated expiration: 2007-05-27
Also published as: JPH0593847U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は印刷用原板用カバーに関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、孔版印刷のスタンプ装置に用いら
れる孔版印刷用原板として、本件出願人が実願平４ー６
５０５号の願書に添付した明細書及び図面により提案し
たものがある。この孔版印刷用原板について図５を参照
して説明する。

【０００３】孔版印刷用原板５０は、熱可塑性フィルム
５２と多孔性支持体５４からなる感熱性孔版原紙５６
と、インクを含浸させた含浸体５８と、その含浸体５８
を取り囲むような開口部を有した枠体６０と、インク不
透過性の基材であるフィルム６２とを順次積層して構成
されている。そして、孔版印刷用原板５０は、例えばサ
ーマルヘッドを用いた製版装置により、感熱性孔版原紙
５６の熱可塑性フィルム５２面を加熱溶融することによ
り穿孔画像を形成される（以下、穿孔画像の形成を製版
と称する）。

【０００４】つぎに、製版された孔版印刷用原板５０
は、グリップを備えたスタンプ部材に装着され、印刷用
紙に対してスタンプ部材を押下することにより、孔版印
刷をおこなうようになっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うな従来の孔版印刷用原板は、感熱性孔版原紙側を下に
して置くと、感熱性孔版原紙を破損したりインクが滲み
出し感熱性孔版原紙や周囲を汚したりする虞れがあっ
た。また感熱性孔版原紙側を上にして置くと含浸体中の
インクは下に集まり、孔版印刷を行う時にインクの供給
不足が生じるという問題がある。また、ユーザーが使い
易いインクとして速乾性のインクを含んでいる場合、製
版後は室温でもインクが乾燥し、使用できなくなるとい
う虞れもあった。

【０００６】本考案は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、印刷用原板の印面側を下にして
置いてもその印面を破損したり、インクが滲み出して印
刷用原板自身やその周囲を汚したりすることがなく、ま
た、製版後でもインクが乾燥することのない印刷用原板
用カバーを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本考案の請求項１記載の印刷用原板用カバーは、内部
に含浸されたインクを透過可能な部分と非透過な部分と
から成る印刷用原板に対して取付られる印刷用原板用カ
バーであって、前記印刷用原板に対して着脱可能であ
り、印刷用原板の印面を保護すると共に、内部に含浸さ
れているインクの気密性を保持するための気密保持部材
を有しており、さらに、その気密保持部材は、印刷用原
板用カバーの印刷用原板と対向する面に構成され、前記
印刷用原板に密着する。

【０００８】また、請求項２記載の印刷用原板用カバー
においては、前記気密保持部材は、印刷用原板用カバー
の印刷用原板と対向する面に形成されたクッション層に
よって構成されている。

【０００９】また、請求項３記載の印刷用原板用カバー
においては、前記クッション層は、印刷用原板用カバー
が印刷用原板に取り付けられたとき、印刷用原板の周囲
に密着する。

【００１０】また、請求項４記載の印刷用原板用カバー
においては、前記クッション層は、印刷用原板と対向す
る面に粘着剤層を備えている。

【００１１】

【作用】上記の構成を有する本考案の請求項１記載の印
刷用原板用カバーは、気密性保持部材を有しており、さ
らにこの気密保持部材は、印刷用原板用カバーの印刷用
原板と対向する面に構成され、前記印刷用原板に密着す
るので、印刷用原板の印面を下にした状態で保管する際
に、印面を保護し、損傷するのを防ぐ。また、内部に含
浸されているインクの気密性が保持される。

【００１２】また、請求項２記載の印刷用原板用カバー
は、気密性保持部材が、印刷用原板用カバーの印刷用原
板と対向する面に形成されたクッション層によって構成
されているので、簡単な構成で確実に印面が保護され
る。

【００１３】また、請求項３記載の印刷用原板用カバー
は、印刷用原板用カバーが印刷用原板に取り付けられた
ときに、クッション層が印刷用原板の周囲に密着するよ
うに構成されているので、印刷用原板の印面を下にした
状態での保管時に特に損傷する可能性のある印面周囲が
確実に保護される。さらに、印刷用原板の周囲が確実に
密閉されるので、内部に含浸されているインクの気密性
が保持される。

【００１４】また、請求項４記載の印刷用原板用カバー
は、クッション層が、印刷用原板と対向する面に粘着剤
層を備えているので、クッション層が確実に印刷用原板
に対して密着する。

【００１５】

【実施例】以下、本考案を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。図１に本実施例の孔版印刷用原板１
０とカバー２０（本考案の請求項１に係る印刷用原板用
カバーを構成）の断面図を、図２にその分解斜視図を示
す。

【００１６】孔版印刷用原板１０は、大きく分けると感
熱性孔版原紙１２と、インクが含浸された含浸体１４
と、その含浸体１４を取り囲むような開口部を有する枠
体１６と、インク不透過性の基材であるフィルム１８か
ら構成される。

【００１７】感熱性孔版原紙１２は図３に示すように、
熱可塑性フィルム２８と、接着剤層３０と、多孔性支持
体３２とから構成されている。本実施例の熱可塑性フィ
ルム２８は、厚さ２μのポリエチレンテレフタレートフ
ィルム（ＰＥＴフィルム）であるが、他には例えばポリ
プロピレン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体等の
フィルムが挙げられる。ＰＥＴフィルムの厚みとして
は、１μｍ〜４μｍが好ましい。１μｍ未満のものは、
製造コストが高く強度も弱く実用的ではなく、４μｍ以
上のものでは、定格が５０ｍＪ／ｍｍ2程度の一般のサ
ーマルヘッドでは厚すぎて穿孔できないからである。

【００１８】多孔性支持体３２は、例えばマニラ麻、こ
うぞ、みつまた等の天然繊維、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等
の合成繊維、レーヨン等の半合成繊維を主原料とした多
孔性薄葉紙が用いられる。このように構成された感熱性
孔版原紙１２は、枠体１６と図２に示すように４辺を接
着剤層３４により接着されている。

【００１９】枠体１６は、図２に示すように中央部に含
浸体１４の大きさに応じた開口部１６ａを有すると共
に、感熱性孔版原紙１２側を下にして孔版印刷用原板１
０を置いたとき、感熱性孔版原紙１２がその置いた面に
接触しないようにする高さの、レール対１６ｂを有して
いる。本実施例では含浸体１４に含浸されているインク
は油性インクであるため、枠体１６の材質としては、油
性インクに侵されない塩化ビニル、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレ
ートなどが用いられる。

【００２０】含浸体１４には、油性インクが飽和状態で
含浸されており、圧力が加わると含浸されたインクが滲
み出すようになっている。本実施例の含浸体１４は、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレ
ートなどの合成繊維を用いている。含浸体１４の厚み
は、枠体１６の開口部１６ａにおける厚みをｃとした場
合、ｃの２分の１以上、３倍以下に設定するのが好まし
い。厚みが薄すぎると、製版時に感熱性孔版原紙１２が
枠体１６の開口部１６ａの内部に入りこんでしまいサー
マルヘッドと接触しなくなり、穿孔できなくなる。ま
た、厚みが厚すぎると、サーマルヘッドの押圧力で含浸
体１４が圧縮されても、枠体１６の開口部１６ａよりと
び出てしまう。このような状態になると、製版時に枠体
１６で搬送できなくなるので、含浸体１４の厚みのバラ
ツキにより、孔版印刷用原板１０の搬送送りピッチにム
ラが生じたり、斜行して搬送するなどの問題が生ずる。
製版時には、サーマルヘッドの押圧力により含浸体１４
の厚みが、圧縮されて枠体１６の開口部１６ａの厚みｃ
と同じになるように設定するのが好ましい。

【００２１】インク不透過性の基材であるフィルム１８
は、上面（図２斜線部）に接着剤層３６が塗布されてお
り、枠体１６および含浸体１４と接着されている。本実
施例のフィルム１８は、油性インクに侵されない塩化ビ
ニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテ
レフタレートなどの樹脂フィルムが用いられる。

【００２２】次にカバー２０について説明する。カバー
２０は４個の爪部２０ａ乃至２０ｄにより孔版印刷用原
板１０と係合可能にされている。またカバー２０には、
枠体１６に係合された時に感熱性孔版原紙１２を取り囲
むような形状の、クッション層２４（本考案の請求項１
に係る気密保持部材を構成）が接着剤層２６によって接
着されている。更にこのクッション層２４には粘着剤層
２２が設けられており、クッション層２４と感熱性孔版
原紙１２との密着性を高める働きをする。

【００２３】クッション層２４の材質としては軟質ポリ
ウレタンフォームや、天然ゴム系、クロロプレンゴム系
およびエチレンプロピレンゴム系などのゴムスポンジが
上げられる。また粘着剤層２２の粘着力は、感熱性孔版
原紙１２を破損することなくカバー２０を取り外す事が
できる程度が望ましい。

【００２４】次に作用を説明する。まず孔版印刷用原板
１０は、図示しない製版装置により製版される。製版装
置としては、例えばサーマルヘッドにより感熱性孔版原
紙１２の熱可塑性フィルム２８面を印字情報に応じて鏡
像印字し、熱可塑性フィルム２８を加熱溶融することに
より穿孔する装置が用いられる。

【００２５】このようにして、製版された孔版印刷用原
板１０は、図４に示すようにスタンプ部材３８に装着さ
れる。スタンプ部材３８は、取手部４０と、クッション
層４２と、粘着剤層４４とから構成されている。孔版印
刷用原板１０は、孔版印刷用原板１０のフィルム１８面
側をスタンプ部材３８の粘着剤層４４に粘着することに
より装着される。この状態でスタンプ部材３８を印刷用
紙４６に対して押圧することにより、含浸体１４が圧縮
され、含浸されたインクが印面の穿孔部分より滲み出て
印刷用紙４６にインクを転写する。

【００２６】製版後、孔版印刷用原板１０にカバー２０
を各爪部２０ａ乃至２０ｄを係合させて取り付ける。こ
の時クッション層２４が圧縮されて、粘着剤層２２が感
熱性孔版原紙１２に密着することで感熱性孔版原紙１２
の印面の気密性が保たれる。以上、詳述したことから明
らかなように、本実施例のカバー２０を、製版後の孔版
印刷用原板１０に装着することで感熱性孔版原紙１２の
被製版面を保護すると共に、クッション層２４及び粘着
剤層２２が製版後の含浸体１４の気密性を保持すること
で、インクの乾燥を防止するので、孔版印刷用原板１０
の感熱性孔版原紙１２側を下にして保管しても、感熱性
孔版原紙１２を破損したり、インクが滲み出してその感
熱性孔版原紙１２や周囲を汚すことがなく、また製版後
も長期保存ができる。

【００２７】尚、本考案は以上詳述した実施例に限定さ
れるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲の変更は
可能である。

【００２８】

【考案の効果】以上、詳述したことから明らかなよう
に、本考案の請求項１記載の印刷用原板用カバーによれ
ば、気密性保持部材を有しており、さらにこの気密保持
部材は、印刷用原板用カバーの印刷用原板と対向する面
に構成され、前記印刷用原板に密着するので、印刷用原
板の印面を下にした状態で保管しても印面が保護され、
損傷するのを防ぐことができ、また、内部に含浸されて
いるインクの気密性を保持することができ、製版後も長
期間保存することが可能になる。

【００２９】また、請求項２記載の印刷用原板用カバー
によれば、気密性保持部材が、印刷用原板用カバーの印
刷用原板と対向する面に形成されたクッション層によっ
て構成されているので、簡単な構成で確実に印面を保護
することができ、クッション層に使用する材質を適切に
選択することで、無理のない圧力で気密性保持部材を印
面に密着させることができる。

【００３０】また、請求項３記載の印刷用原板用カバー
によれば、印刷用原板用カバーが印刷用原板に取り付け
られたときに、クッション層が印刷用原板の周囲に密着
するように構成されているので、印刷用原板の印面を下
にした状態での保管時に特に損傷する可能性のある印面
周囲を確実に保護することができ、さらに、印刷用原板
の周囲が確実に密閉されるので、内部に含浸されている
インクの気密性を保持することができる。

【００３１】また、請求項４記載の印刷用原板用カバー
によれば、クッション層が、印刷用原板と対向する面に
粘着剤層を備えているので、クッション層を確実に印刷
用原板に対して密着させることができ、内部に含浸され
ているインクの気密性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例の孔版印刷用原板及びカバーの断面図
である。

【図２】同分解斜視図である。

【図３】感熱性孔版原紙の断面図である。

【図４】孔版印刷用原板をスタンプ部材に実装した状態
を説明する側面図である。

【図５】従来の孔版印刷用原板の断面図である。

【符号の説明】

１０孔版印刷用原板１２感熱性孔版原紙１４含浸体１６枠体１８基材２０カバー２２粘着剤層２４クッション層２８熱可塑性フィルム３２多孔性支持体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B41K 1/32 B41L 13/02 B41N 1/24

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】内部に含浸されたインクを透過可能な部
分と非透過な部分とから成る印刷用原板に対して取付ら
れる印刷用原板用カバーであって、前記印刷用原板に対して着脱可能であり、印刷用原板の
印面を保護すると共に、内部に含浸されているインクの
気密性を保持するための気密保持部材を有し、その気密保持部材は、印刷用原板用カバーの印刷用原板
と対向する面に構成され、前記印刷用原板に密着するこ
とを特徴とする印刷用原板用カバー。
【請求項２】前記気密保持部材は、印刷用原板用カバ
ーの印刷用原板と対向する面に形成されたクッション層
であることを特徴とする請求項１に記載の印刷用原板用
カバー。
【請求項３】前記クッション層は、印刷用原板用カバ
ーが印刷用原板に取り付けられたとき、印刷用原板の周
囲に密着することを特徴とする請求項２に記載の印刷用
原板用カバー。
【請求項４】前記クッション層は、印刷用原板と対向
する面に粘着剤層を備えたことを特徴とする請求項２も
しくは３に記載の印刷用原板用カバー。