JP2582709Y2 - ボールペン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ボールペンのキャップ
嵌合の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ボールペン軸筒の先方と後方にキ
ャップを着脱自在に嵌着することは公知となっている。
１として、単純にキャップを軸筒の先方と後方に摩擦係
合を有して嵌着するもの、此のものは寸法のばらつきで
嵌合が強過ぎたり、弱過ぎたりし、止着感に乏しい。
又、軸筒に傷が付きやすい欠点がある。２として、口金
又は軸筒の先方外周に突部と溝部より成る係合部を設
け、キャップの内孔部にそれと係止する係合部を設けて
嵌着するもの、軸筒の後方には摩擦等で被嵌又は軸筒の
後端に尾栓を止着して尾栓の外周に係合部を設けてキャ
ップを止着したものがある。３として、軸筒の先方外周
と後方外周に突部と溝部より成る係合部を設けて、キャ
ップの内孔部に係合部を設けて夫々係止可能とするもの
もある。しかしながら、２及び３のものはキャップの内
孔部に係合部が一か所のみ設けられて、軸筒の先方、後
方に係止可能とするものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】本考案はボールペンの
キャップ嵌合の改良であって、一般に広く普及した机上
用のボールペンを対象とする。この種のボールペンは多
量に、安価に提供可能とするために、軸筒及びキャップ
は樹脂成形品で形成され、成形のための金型は極めて大
きな取り数となっている。従って、軸筒とキャップの嵌
合の組み合わせ数は二乗となり、キャップと軸筒前後の
嵌合を考えるとその更に倍となる。全てを均一化するこ
とは至難の技で、従来は金型寸法の調整、成形条件のコ
ントロールでばらつきを極力制御している。又、特に軸
筒とキャップを透明にする場合には割れ憎く弾性に優
れ、係合部の磨耗がし憎く、透明度の高い、そして材料
費が安いものが要求され、この様な条件を満たす成型用
樹脂は種類も限られ、このことが一層対応を難しくして
いる。本考案は以上の観点からキャップと軸筒との嵌合
を従来より楽な条件で達成可能とすることを目的として
いる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為に
案出された本考案のボールペンは、チップを突出して軸
筒の後端に尾栓が止着されたボールペンであって、軸筒
は透明な樹脂成形品でその先方と後方に突部と溝部より
成る係合部とキャップの挿入で当接する段部が夫々形成
され、キャップは弾性に優れた透明な樹脂成形品で軸筒
の段部と当接する段部を有し、内孔部に軸筒の夫々の係
合部と係止する係合部が別個に独立した位置に一体で形
成されて、キャップが軸筒の先方と後方に夫々段部を当
接した状態で着脱自在に嵌着されるように構成したこと
を特徴とする。

【０００５】

【実施例】図１乃至図３は本考案の実施例を示してい
る。先ず、図に示すように軸筒１は透明な樹脂成形品
で、その先方外周に突部と溝部とより成る係合部２と、
係合部２の後端に、後述するキャップ１０の端部１４が
当接する段部３が形成されている。又、軸筒１の後方外
周に上記と同様に突部と溝部とより成る係合部４と、係
合部４の前端にキャップ１０の端部１４が当接する段部
５が形成されている。

【０００６】又、継ぎ手８は、前半に直線状のリブが所
要箇所に設けられた圧入筒部が設けられ、リブの後端に
はリング状の鍔部が形成されて、リブの後端は鍔部の外
径と略同一接続されている。又、後半に嵌合筒部を有
し、嵌合筒部にはインク収容管９が固着されている。
又、圧入筒部先端のチップ嵌着孔には先端ボールを抱持
したチップ７が後端側から圧入されている。

【０００７】又、継ぎ手８は弾性変形可能な合成樹脂に
より一体成形で構成されており、前記チップ嵌着孔に連
通して後方に弁室が設けられている。弁室の後部には円
錐状のボール受け座が設けられている。又、弁室は、チ
ップ嵌着孔の内周に収まる状態で、弁室の孔の軸心をチ
ップ嵌着孔の軸心に対し適宜偏心させると共に弁室孔の
一側に溝部が設けられ、弁室内にはボール弁が遊嵌され
る。又、弁室の後方にはボール受け座と連通する導孔が
形成されている。

【０００８】又、嵌合筒部の外周には筒状のインク収容
管９がその先端を鍔部の後端に当接して圧入固着され、
インク収容管９の内径部が継ぎ手８の導孔に連通してい
る。インク収容管９内には静的には高い粘性を有し、筆
記時の先端ボールの回転で粘性が低下してインクが流出
可能となる剪断減粘性を有したインクが充填され、更
に、インクの後端にインクの蒸発を防止すると共に、イ
ンクの消耗と共にインク面に接触して追随して移動可能
な透明又は半透明のグリース状のフォロアが充填されて
いる。又、上記フォロア内にはフォロアと略同等の比重
を有したパイプ材が浸漬されている。又、軸筒１の後端
には尾栓１５が止着されている。

【０００９】次に、軸筒１の先端から継ぎ手８にチップ
７とインクと前記フォロアを充填したインク収容管９を
固着したリフィールを挿入して、軸部の前面に継ぎ手８
の鍔部の後端縁を衝合させて、前記圧入筒部の所要箇所
に設けた直線状のリブの外周を口金６の内段部に食い付
き状に衝合せしめた状態で口金６を軸筒１の軸部に螺着
させている。

【００１０】ところで、軸先に被嵌されるキャップ１０
は弾性に優れた透明な樹脂成形品でその外周側面にクリ
ップ１３を位置させて後端の筒部を後端孔に圧着してい
る。又、筒部の後端には通気孔が貫通している。又、キ
ャップ１０の内孔後方に小室を有した筒状のインナーキ
ャップが設けられ、インナーキャップは内孔部との間に
所要数設けたリブで一体に形成されている。以上によ
り、リブとリブとの間を通じてキャップ挿入口から通気
孔に連通した通気路が形成される。又、キャップ１０は
挿入側の内孔部に突条の係合部１１と１２が夫々別個の
独立した位置に形成されている。又、インナーキャップ
の小室の先端には非吸液性で非連続気泡の弾性体よりな
るシール栓体が固定され、チップ７と口金６の先方が小
室で密嵌されると共に、先端ボールがシール栓体に適宜
圧接される。

【００１１】

【作用】図２に示すように、キャップ１０をチップ７側
に嵌着した状態ではキャップの端部１４が軸筒１の段部
３に当接した状態で係合部１１が係合部２に弾性変形で
位置決め係止される。図１に示すように、キャップ１０
を尾栓１５側に嵌着した状態ではキャップの端部１４が
軸筒１の段部５に当接した状態で係合部１２が係合部４
に弾性変形で位置決め係止される。即ち、軸筒１の先方
と後方の外周に係合部と共に段部を形成したことで、キ
ャップ１０の別個の係合部１１と１２が夫々の軸筒の係
合部に確実に種分けされて係止可能となる。

【００１２】

【考案の効果】本考案のボールペンの構成及び作用は以
上の如くであり、キャップの内孔部に別個に独立した係
合部を形成したことで、極めて組み合わせの多い嵌合調
整が軸筒の先方と後方を分けて行うことが可能となり、
金型の寸法調整、成形条件のコントロールが軽減され
る。又、従来のようにキャップの一か所の係合部で軸筒
の二か所の係合をしないので、軸筒の二か所の係合部の
寸法間にギャップがあってもキャップと軸筒の係止に不
具合（一方の嵌合の強い方に矯正されて、他方が緩くな
る）が生じない効果がある。又、キャップの係合部が二
箇所にあるのでその磨耗が軽減される。又、透明なキャ
ップで係合部が潰れたり、磨耗して見苦しくなる傾向が
軽減される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例であるボールペンの半断面図
で、キャップを軸筒の後方に嵌着した状態を示してい
る。

【図２】本考案の実施例であるボールペンの前半部を拡
大した断面図で、キャップを軸筒の先方に嵌着した状態
を示している。

【図３】本考案の実施例であるボールペンの後半部を拡
大した断面図である。

【符号の説明】

１ 軸筒 ２ 係合部 ３ 段部 ４ 係合部 ５ 段部 ６ 口金 ７ チップ ８ 継ぎ手 ９ インク収容管 １０ キャップ １１ 係合部 １２ 係合部 １３ クリップ １４ 端部 １５ 尾栓

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸筒の先端にチップを突出し、軸筒の後
   端に尾栓が止着されたボールペンに於いて、軸筒は透明
   な樹脂成形品で、その先方と後方に突部と溝部より成る
   係合部とキャップの挿入で当接する段部が夫々形成さ
   れ、キャップは弾性に優れた透明な樹脂成形品で、上記
   軸筒の段部と当接する段部を有し、内孔部に軸筒の夫々
   の係合部と係止する係合部が別個に独立した位置に一体
   で形成されて、キャップが軸筒の先方と後方に夫々段部
   を当接した状態で着脱自在に嵌着されるように構成され
   たことを特徴とするボールペン。