JP2582195Y2 - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents
内燃機関の燃料噴射装置Info
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- JP2582195Y2 JP2582195Y2 JP1993007343U JP734393U JP2582195Y2 JP 2582195 Y2 JP2582195 Y2 JP 2582195Y2 JP 1993007343 U JP1993007343 U JP 1993007343U JP 734393 U JP734393 U JP 734393U JP 2582195 Y2 JP2582195 Y2 JP 2582195Y2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、燃料噴射装置のノズ
ルバルブシートの内方に燃焼ガスが逆流することを防止
する構造に関するものである。
ルバルブシートの内方に燃焼ガスが逆流することを防止
する構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジン等に用いられる燃料
噴射装置としては、比較的低圧の燃料を燃料ポンプのプ
ランジャ室に供給してプランジャで加圧し、発生した高
圧の燃料をプランジャ室から燃料通路に送出して機関の
燃焼室内に噴射する構造が一般的である。上記の燃料通
路には燃料の逆流を防ぐ逆止弁が上流に設けられると共
にノズルバルブが下流に設けられており、燃料の圧力が
ノズルバルブのスプリングに抗してノズルバルブを開弁
させるに足る大きさ以上になると、ノズルバルブが開弁
してその先端の噴孔から燃料が噴射され、プランジャバ
レルのバレルポートにプランジャのリードが連通すると
プランジャ室内の圧力が低下し、ノズルバルブが閉弁し
て噴射が停止し、燃料圧送行程が終了する。
噴射装置としては、比較的低圧の燃料を燃料ポンプのプ
ランジャ室に供給してプランジャで加圧し、発生した高
圧の燃料をプランジャ室から燃料通路に送出して機関の
燃焼室内に噴射する構造が一般的である。上記の燃料通
路には燃料の逆流を防ぐ逆止弁が上流に設けられると共
にノズルバルブが下流に設けられており、燃料の圧力が
ノズルバルブのスプリングに抗してノズルバルブを開弁
させるに足る大きさ以上になると、ノズルバルブが開弁
してその先端の噴孔から燃料が噴射され、プランジャバ
レルのバレルポートにプランジャのリードが連通すると
プランジャ室内の圧力が低下し、ノズルバルブが閉弁し
て噴射が停止し、燃料圧送行程が終了する。
【0003】このような構造の場合、ノズルバルブが完
全に閉弁しないうちにそのノズルバルブシートの内方の
圧力が燃焼室内の圧力よりも低くなると、燃焼ガスがノ
ズルバルブシートの内方に侵入し、ノズルバルブシート
面に腐食が発生して燃料噴射特性や耐久性を劣化させる
という問題が生ずる。この問題は、特に燃料噴射弁と燃
料ポンプとが一体となった構造で燃料通路が短いユニッ
トインゼクタの場合に顕著に発生する。
全に閉弁しないうちにそのノズルバルブシートの内方の
圧力が燃焼室内の圧力よりも低くなると、燃焼ガスがノ
ズルバルブシートの内方に侵入し、ノズルバルブシート
面に腐食が発生して燃料噴射特性や耐久性を劣化させる
という問題が生ずる。この問題は、特に燃料噴射弁と燃
料ポンプとが一体となった構造で燃料通路が短いユニッ
トインゼクタの場合に顕著に発生する。
【0004】この考案は上述のような問題点に着目し、
ノズルバルブシートの内方への燃焼ガスの逆流を防止す
ることを課題としてなされたものである。
ノズルバルブシートの内方への燃焼ガスの逆流を防止す
ることを課題としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の課題を達成するた
めに、この考案では、燃料を逆止弁とノズルバルブを備
えた燃料通路を経て噴孔から燃焼室に噴射する燃焼噴射
装置において、上記プランジャ室と上記燃料通路とが燃
料送出口を有する隔壁で仕切られると共に、上記逆止弁
が隔壁の下流側に配置されて上記燃料送出口を開閉する
ように構成されており、逆止弁の径及び逆止弁と隔壁と
の間隔によって決まる逆止弁の開弁時における逆止弁の
上流側の実質的な通路面積が、逆止弁より下流側の燃料
通路の太さ及び長さによって決まる逆止弁の開弁時にお
ける逆止弁の下流側の実質的な通路面積より小さくなる
ように選定することにより、噴射終了時には上記逆止弁
がノズルバルブより先行して閉弁するように構成し、噴
射終了時におけるノズルバルブシートの内方の圧力低下
を防いでノズルバルブシートより内方への燃焼ガスの侵
入を防止するように構成している。
めに、この考案では、燃料を逆止弁とノズルバルブを備
えた燃料通路を経て噴孔から燃焼室に噴射する燃焼噴射
装置において、上記プランジャ室と上記燃料通路とが燃
料送出口を有する隔壁で仕切られると共に、上記逆止弁
が隔壁の下流側に配置されて上記燃料送出口を開閉する
ように構成されており、逆止弁の径及び逆止弁と隔壁と
の間隔によって決まる逆止弁の開弁時における逆止弁の
上流側の実質的な通路面積が、逆止弁より下流側の燃料
通路の太さ及び長さによって決まる逆止弁の開弁時にお
ける逆止弁の下流側の実質的な通路面積より小さくなる
ように選定することにより、噴射終了時には上記逆止弁
がノズルバルブより先行して閉弁するように構成し、噴
射終了時におけるノズルバルブシートの内方の圧力低下
を防いでノズルバルブシートより内方への燃焼ガスの侵
入を防止するように構成している。
【0006】
【0007】また、上記逆止弁の閉弁時において逆止弁
の上流側と下流側とを連通する燃料絞り通路を設けると
共に、この逆止弁を第1の逆止弁としてその上流側に燃
料絞り通路が設けられていない第2の逆止弁を設け、第
1の逆止弁の開弁時における下流側の実質的な通路面積
に対して、上記第2の逆止弁の開弁時における上流側の
実質的な通路面積を大きく選定している。
の上流側と下流側とを連通する燃料絞り通路を設けると
共に、この逆止弁を第1の逆止弁としてその上流側に燃
料絞り通路が設けられていない第2の逆止弁を設け、第
1の逆止弁の開弁時における下流側の実質的な通路面積
に対して、上記第2の逆止弁の開弁時における上流側の
実質的な通路面積を大きく選定している。
【0008】
【作用】燃料圧送行程の終了時にノズルバルブの閉弁よ
りも早く逆止弁が閉じるため、ノズルバルブの閉弁が遅
れても燃焼ガスが侵入するほどノズルバルブシートの内
方の圧力が低下することがなく、燃焼ガスの逆流が防止
される。この逆止弁の先行閉弁は、開弁時における逆止
弁の上流側の実質的な通路面積を下流側の実質的な通路
面積より小さく選定することで実現されている。
りも早く逆止弁が閉じるため、ノズルバルブの閉弁が遅
れても燃焼ガスが侵入するほどノズルバルブシートの内
方の圧力が低下することがなく、燃焼ガスの逆流が防止
される。この逆止弁の先行閉弁は、開弁時における逆止
弁の上流側の実質的な通路面積を下流側の実質的な通路
面積より小さく選定することで実現されている。
【0009】また逆止弁の上流側と下流側とを連通する
燃料絞り通路を設けることにより、逆止弁が急激に閉じ
ることによって生ずる残圧の振動が防止される。この構
成の場合には、燃料絞り通路があるためにプランジャが
燃料吸入行程に移行すると燃料通路内に燃焼室内の空気
が吸入される可能性があり、燃料通路内にキャビテーシ
ョンを生ずる原因となり、あるいは機関の始動性が損な
われるという問題が生じやすくなるが、吸入行程では第
2の逆止弁が閉弁するので空気の吸入は確実に防止され
る。
燃料絞り通路を設けることにより、逆止弁が急激に閉じ
ることによって生ずる残圧の振動が防止される。この構
成の場合には、燃料絞り通路があるためにプランジャが
燃料吸入行程に移行すると燃料通路内に燃焼室内の空気
が吸入される可能性があり、燃料通路内にキャビテーシ
ョンを生ずる原因となり、あるいは機関の始動性が損な
われるという問題が生じやすくなるが、吸入行程では第
2の逆止弁が閉弁するので空気の吸入は確実に防止され
る。
【0010】
【実施例】次にこの考案の実施例を説明する。図1は燃
料噴射弁と燃料噴射ポンプとが一体となったユニットイ
ンゼクタにおける実施例の全体の断面図、図2及び図3
は要部の拡大断面図である。
料噴射弁と燃料噴射ポンプとが一体となったユニットイ
ンゼクタにおける実施例の全体の断面図、図2及び図3
は要部の拡大断面図である。
【0011】図において、1は燃料噴射弁2、燃料噴射
ポンプ3から構成されたユニットインゼクタ、4は燃料
噴射ポンプ3の本体、5はプランジャバレル、6はプラ
ンジャ、7はプランジャ6に形成されているリード、8
はプランジャ室、9は本体4の燃料ポート、10はプラ
ンジャバレル5のバレルポート、11はバレルポート1
0の外周に設けられたスピルプロテクタである。この燃
料噴射ポンプ3は、機関の回転に応じて揺動するロッカ
ーアーム(図示せず)によりそのタペットプレート12の
上面が押圧されてプランジャ6が駆動されるようになっ
ている。
ポンプ3から構成されたユニットインゼクタ、4は燃料
噴射ポンプ3の本体、5はプランジャバレル、6はプラ
ンジャ、7はプランジャ6に形成されているリード、8
はプランジャ室、9は本体4の燃料ポート、10はプラ
ンジャバレル5のバレルポート、11はバレルポート1
0の外周に設けられたスピルプロテクタである。この燃
料噴射ポンプ3は、機関の回転に応じて揺動するロッカ
ーアーム(図示せず)によりそのタペットプレート12の
上面が押圧されてプランジャ6が駆動されるようになっ
ている。
【0012】15は燃料噴射弁2の本体、16は本体1
5の先端に設けられた噴孔、17は燃料通路、18はこ
の燃料通路17を開閉するノズルバルブ、19はそのス
プリング、20は燃料噴射ポンプ3と燃料噴射弁2の間
に設けられた隔壁、21は隔壁20に形成された燃料送
出口、22は逆止弁であり、燃料送出口21から噴孔1
6までは逆止弁22及びノズルバルブ18を介して燃料
通路17によって連通している。逆止弁22は燃料送出
口21を開閉する円板状のもので、隔壁20の下面に形
成された弁室23に配置されており、本体15に形成さ
れた台座24により上下方向の移動ストロークを制限さ
れた状態になっており、その中心に燃料送出口21より
も十分に小径の燃料絞り通路25が設けられている。
5の先端に設けられた噴孔、17は燃料通路、18はこ
の燃料通路17を開閉するノズルバルブ、19はそのス
プリング、20は燃料噴射ポンプ3と燃料噴射弁2の間
に設けられた隔壁、21は隔壁20に形成された燃料送
出口、22は逆止弁であり、燃料送出口21から噴孔1
6までは逆止弁22及びノズルバルブ18を介して燃料
通路17によって連通している。逆止弁22は燃料送出
口21を開閉する円板状のもので、隔壁20の下面に形
成された弁室23に配置されており、本体15に形成さ
れた台座24により上下方向の移動ストロークを制限さ
れた状態になっており、その中心に燃料送出口21より
も十分に小径の燃料絞り通路25が設けられている。
【0013】30はユニットインゼクタ1が取り付けら
れている機関のシリンダヘッド、31は燃焼室であっ
て、燃料はシリンダヘッド30に形成された燃料供給通
路32から燃料ポート9を囲む環状の燃料供給路33を
経てプランジャ室8内に供給される。そしてプランジャ
6で加圧されて燃料噴射弁2に圧送され、その圧力でノ
ズルバルブ18が開かれて噴孔16から燃焼室31に噴
射される。この噴射は、プランジャ6のリード7がバレ
ルポート10に達して圧力が低下することにより停止
し、同時にスピル燃料が燃料供給通路32に排出され、
ノズルバルブ18が閉じる。
れている機関のシリンダヘッド、31は燃焼室であっ
て、燃料はシリンダヘッド30に形成された燃料供給通
路32から燃料ポート9を囲む環状の燃料供給路33を
経てプランジャ室8内に供給される。そしてプランジャ
6で加圧されて燃料噴射弁2に圧送され、その圧力でノ
ズルバルブ18が開かれて噴孔16から燃焼室31に噴
射される。この噴射は、プランジャ6のリード7がバレ
ルポート10に達して圧力が低下することにより停止
し、同時にスピル燃料が燃料供給通路32に排出され、
ノズルバルブ18が閉じる。
【0014】逆止弁22は燃料通路17側からプランジ
ャ室8側への燃料の逆流を防止するものであり、燃料噴
射時にはその圧力で下方にリフトして開弁しており、プ
ランジャ室8側の圧力が低くなると自動的に閉弁する
が、この実施例では、開弁状態での逆止弁22上面の隔
壁20側の通路Aの実質的な面積を下面のノズルバルブ
18側の通路Bの実質的な面積より小さくしてある。図
2の構造の場合は、通路Aの実質的な面積は逆止弁22
の上面に形成されている円盤状の空間の外周部の面積、
すなわち逆止弁22の直径をD、隔壁20との間隔をh
とするとπDhで決まり、通路Bの実質的な面積は弁室
23に開口している燃料通路17の大きさ、すなわち円
弧状に開口している燃料通路17の太さをw、円周方向
の長さをLとすると2wLで決まるので、πDh<2w
Lの関係が成立するように各部の寸法が選定されること
になる。このため、プランジャ室8側の圧力が低くなっ
て噴射が停止し、更に燃料の逆流が始まろうとする瞬間
には上流と下流の通路面積の差によって逆止弁22に上
向きの圧力がいち早く作用し、まだノズルバルブ18が
閉まらないうちに隔壁20に密着した状態となって閉弁
するのである。
ャ室8側への燃料の逆流を防止するものであり、燃料噴
射時にはその圧力で下方にリフトして開弁しており、プ
ランジャ室8側の圧力が低くなると自動的に閉弁する
が、この実施例では、開弁状態での逆止弁22上面の隔
壁20側の通路Aの実質的な面積を下面のノズルバルブ
18側の通路Bの実質的な面積より小さくしてある。図
2の構造の場合は、通路Aの実質的な面積は逆止弁22
の上面に形成されている円盤状の空間の外周部の面積、
すなわち逆止弁22の直径をD、隔壁20との間隔をh
とするとπDhで決まり、通路Bの実質的な面積は弁室
23に開口している燃料通路17の大きさ、すなわち円
弧状に開口している燃料通路17の太さをw、円周方向
の長さをLとすると2wLで決まるので、πDh<2w
Lの関係が成立するように各部の寸法が選定されること
になる。このため、プランジャ室8側の圧力が低くなっ
て噴射が停止し、更に燃料の逆流が始まろうとする瞬間
には上流と下流の通路面積の差によって逆止弁22に上
向きの圧力がいち早く作用し、まだノズルバルブ18が
閉まらないうちに隔壁20に密着した状態となって閉弁
するのである。
【0015】図3はノズルバルブ18の先端部を示した
ものであり、ノズルバルブ18の先端の円錐部とこれに
対応して本体15に設けられた弁座とでノズルバルブシ
ート18aが構成されている。なお、本体15に形成さ
れている燃料通路17,17は円板状の逆止弁22の中
心軸線に関して対称に設けてあり、閉弁時に逆止弁22
のシート面が片当たりしないようにしてある。
ものであり、ノズルバルブ18の先端の円錐部とこれに
対応して本体15に設けられた弁座とでノズルバルブシ
ート18aが構成されている。なお、本体15に形成さ
れている燃料通路17,17は円板状の逆止弁22の中
心軸線に関して対称に設けてあり、閉弁時に逆止弁22
のシート面が片当たりしないようにしてある。
【0016】図4は横軸に時間(クランク角度)を、縦軸
に逆止弁22とノズルバルブ18のリフト量及び燃料通
路17内の圧力を示したグラフであり、圧力が時刻t1
にピークに達して低下し始めると逆止弁22はすぐに閉
まり始め、ノズルバルブ18のリフト量が零になる時刻
t3よりも前の時刻t2には閉弁を終了している。すなわ
ち、質量が大きく、構造的にも閉弁動作に時間的な遅れ
が生じやすいノズルバルブ18の閉弁が遅れても、燃焼
室31の燃焼ガスが侵入するほど燃料通路17内の圧力
が低下することがなく、噴孔16からノズルバルブシー
ト18aより上流側に燃焼ガスが逆流することが防止さ
れるのである。なお、破線は閉弁時の燃料通路17内の
残圧である。
に逆止弁22とノズルバルブ18のリフト量及び燃料通
路17内の圧力を示したグラフであり、圧力が時刻t1
にピークに達して低下し始めると逆止弁22はすぐに閉
まり始め、ノズルバルブ18のリフト量が零になる時刻
t3よりも前の時刻t2には閉弁を終了している。すなわ
ち、質量が大きく、構造的にも閉弁動作に時間的な遅れ
が生じやすいノズルバルブ18の閉弁が遅れても、燃焼
室31の燃焼ガスが侵入するほど燃料通路17内の圧力
が低下することがなく、噴孔16からノズルバルブシー
ト18aより上流側に燃焼ガスが逆流することが防止さ
れるのである。なお、破線は閉弁時の燃料通路17内の
残圧である。
【0017】ユニットインゼクタはインラインポンプの
ような高圧管が不要で噴射が安定しており、高圧化が容
易であり、噴射の切れがよい等の特長があり、機関の性
能を向上できるメリットがある反面、燃料通路内の圧力
降下速度が早く、また残圧が小さいために燃焼ガスがノ
ズルバルブシート18aの内方に侵入しやすいのである
が、上記の実施例のような構成であれば、ユニットイン
ゼクタの特長を活かしながら燃焼ガスの逆流を防止し、
耐久性に優れた製品を得ることができるのである。な
お、この実施例では弁室23に台座24が形成されて逆
止弁22の移動ストロークが制限されており、逆止弁2
2が隔壁20に吸着された状態になるのに要する時間が
短縮されているので、この点からも逆止弁22の閉弁が
速やかに行われるようになっている。
ような高圧管が不要で噴射が安定しており、高圧化が容
易であり、噴射の切れがよい等の特長があり、機関の性
能を向上できるメリットがある反面、燃料通路内の圧力
降下速度が早く、また残圧が小さいために燃焼ガスがノ
ズルバルブシート18aの内方に侵入しやすいのである
が、上記の実施例のような構成であれば、ユニットイン
ゼクタの特長を活かしながら燃焼ガスの逆流を防止し、
耐久性に優れた製品を得ることができるのである。な
お、この実施例では弁室23に台座24が形成されて逆
止弁22の移動ストロークが制限されており、逆止弁2
2が隔壁20に吸着された状態になるのに要する時間が
短縮されているので、この点からも逆止弁22の閉弁が
速やかに行われるようになっている。
【0018】また、逆止弁22の中心に設けられた小径
の燃料絞り通路25により、逆止弁22が急激に閉じた
場合に生じやすい残圧の振動が防止される。すなわち、
燃料絞り通路25を設けてない場合には、逆止弁22が
急に閉じることにより燃料通路17内を逆流方向に移動
しかけていた燃料の運動エネルギーが圧力に変換され、
図4に破線で示すような圧力の振動が燃料通路17内に
生じ、次の正常な噴射動作に悪影響を与えたりすること
がある。これに対してこの実施例では、逆止弁22が閉
じた状態でも燃料絞り通路25によってプランジャ室8
側と燃料通路17側とが連通しているのでこれを通じて
圧力差が吸収され、圧力振動が継続して発生することが
なくなるのである。
の燃料絞り通路25により、逆止弁22が急激に閉じた
場合に生じやすい残圧の振動が防止される。すなわち、
燃料絞り通路25を設けてない場合には、逆止弁22が
急に閉じることにより燃料通路17内を逆流方向に移動
しかけていた燃料の運動エネルギーが圧力に変換され、
図4に破線で示すような圧力の振動が燃料通路17内に
生じ、次の正常な噴射動作に悪影響を与えたりすること
がある。これに対してこの実施例では、逆止弁22が閉
じた状態でも燃料絞り通路25によってプランジャ室8
側と燃料通路17側とが連通しているのでこれを通じて
圧力差が吸収され、圧力振動が継続して発生することが
なくなるのである。
【0019】この燃料絞り通路は逆止弁22でなく他の
位置に設けることもできる。図5はその一例を示したも
ので、燃料絞り通路25a及び25bを隔壁20と燃料
噴射弁2の本体15にそれぞれ設けて逆止弁22がバイ
パスされるようにしてある。また他の例としては、例え
ば逆止弁22と隔壁20が互いに接触してシート面を形
成する部分の一部に若干の隙間が形成されるようにし、
これを燃料絞り通路とすることも可能である。
位置に設けることもできる。図5はその一例を示したも
ので、燃料絞り通路25a及び25bを隔壁20と燃料
噴射弁2の本体15にそれぞれ設けて逆止弁22がバイ
パスされるようにしてある。また他の例としては、例え
ば逆止弁22と隔壁20が互いに接触してシート面を形
成する部分の一部に若干の隙間が形成されるようにし、
これを燃料絞り通路とすることも可能である。
【0020】この考案は上述の実施例のようなユニット
インゼクタではなく、燃料噴射ポンプとは別体の燃料噴
射弁2aに適用することもできる。図6はその一例であ
り、燃料噴射ポンプから燃料が圧送される高圧管(図示
せず)が接続される接続金具36の燃料通路17側に逆
止弁22を配置してある。この接続金具36は上述の実
施例における隔壁20に対応している。37は逆止弁2
2を閉弁方向に付勢するスプリングであり、この実施例
ではスプリング37で逆止弁22の閉弁を促進するよう
にしてあるが、前述の実施例に準じて逆止弁22の前後
の通路面積に差を設ける構造とすればスプリング37を
省略することもできる。
インゼクタではなく、燃料噴射ポンプとは別体の燃料噴
射弁2aに適用することもできる。図6はその一例であ
り、燃料噴射ポンプから燃料が圧送される高圧管(図示
せず)が接続される接続金具36の燃料通路17側に逆
止弁22を配置してある。この接続金具36は上述の実
施例における隔壁20に対応している。37は逆止弁2
2を閉弁方向に付勢するスプリングであり、この実施例
ではスプリング37で逆止弁22の閉弁を促進するよう
にしてあるが、前述の実施例に準じて逆止弁22の前後
の通路面積に差を設ける構造とすればスプリング37を
省略することもできる。
【0021】ところで、上述の各実施例において逆止弁
22の上流側と下流側を連通するように設けられた燃料
絞り通路25等は、逆止弁22の閉弁時に動的には閉じ
た状態となる。しかしプランジャが燃料吸入行程に移行
した段階では、これを通じて燃料通路17内に燃焼室内
の空気が吸入され得る状態となり、この吸入空気のため
に燃料通路17内にキャビテーションを生じたり、機関
の始動時においては始動性が損なわれるという問題が生
ずる可能性がある。図7は逆止弁を2段構成としてこれ
を防止した実施例である。
22の上流側と下流側を連通するように設けられた燃料
絞り通路25等は、逆止弁22の閉弁時に動的には閉じ
た状態となる。しかしプランジャが燃料吸入行程に移行
した段階では、これを通じて燃料通路17内に燃焼室内
の空気が吸入され得る状態となり、この吸入空気のため
に燃料通路17内にキャビテーションを生じたり、機関
の始動時においては始動性が損なわれるという問題が生
ずる可能性がある。図7は逆止弁を2段構成としてこれ
を防止した実施例である。
【0022】図において、41は第1の逆止弁となる逆
止弁22の上流側、すなわち隔壁20の直後に設けられ
た第2の逆止弁である。この第2の逆止弁41は隔壁2
0の下面に形成された弁室42に配置され、弁室42は
連絡流路43と第2の燃料送出口44を経て逆止弁22
の弁室23に通じているが、この逆止弁41には燃料絞
り通路25に相当する通路は設けてない。また開弁状態
での逆止弁22の上流側通路Aの実質的な面積は、上述
の実施例と同様に下流側通路Bの実質的な面積より小さ
くしてあるが、逆止弁41については開弁状態での隔壁
20側、すなわち上流側の通路Cの実質的な面積を逆止
弁22の下流側通路Bの実質的な面積より大きくしてあ
る。
止弁22の上流側、すなわち隔壁20の直後に設けられ
た第2の逆止弁である。この第2の逆止弁41は隔壁2
0の下面に形成された弁室42に配置され、弁室42は
連絡流路43と第2の燃料送出口44を経て逆止弁22
の弁室23に通じているが、この逆止弁41には燃料絞
り通路25に相当する通路は設けてない。また開弁状態
での逆止弁22の上流側通路Aの実質的な面積は、上述
の実施例と同様に下流側通路Bの実質的な面積より小さ
くしてあるが、逆止弁41については開弁状態での隔壁
20側、すなわち上流側の通路Cの実質的な面積を逆止
弁22の下流側通路Bの実質的な面積より大きくしてあ
る。
【0023】従って、噴射が終了して第1の逆止弁22
が速やかに閉じた時には、第2の逆止弁41はまだ開い
ているが、燃料吸入行程に移行すると第2の逆止弁41
も閉弁し、燃料通路17内に燃焼室内の空気が吸入され
ることがない。このため、空気の吸入により燃料通路1
7内にキャビテーションを生じたり、機関の始動性が損
なわれたりするという問題を確実に防止することができ
るのである。なお、45は図6のスプリング37と同様
な逆止弁22の閉弁用のスプリングであるが、これは逆
止弁22の前後の通路面積を適切に選定することによっ
て省略することもできる。
が速やかに閉じた時には、第2の逆止弁41はまだ開い
ているが、燃料吸入行程に移行すると第2の逆止弁41
も閉弁し、燃料通路17内に燃焼室内の空気が吸入され
ることがない。このため、空気の吸入により燃料通路1
7内にキャビテーションを生じたり、機関の始動性が損
なわれたりするという問題を確実に防止することができ
るのである。なお、45は図6のスプリング37と同様
な逆止弁22の閉弁用のスプリングであるが、これは逆
止弁22の前後の通路面積を適切に選定することによっ
て省略することもできる。
【0024】
【考案の効果】以上の説明から明らかなように、この考
案は、燃料噴射弁に設けられた逆止弁を噴射終了時にノ
ズルバルブより先行して閉弁するようにしたものであ
る。従って、ノズルバルブの閉弁が遅れてもノズルバル
ブシートの内方の圧力が低下することが防止され、噴射
弁内への燃焼ガスの逆流で燃料噴射特性や耐久性が劣化
するということがなくなる。特にこれらの問題が生じや
すいユニットインゼクタの場合でもその特長をそのまま
発揮しながら上記の問題をなくし、性能を向上すること
ができるのである。また上記の逆止弁の先行閉弁を、開
弁時における逆止弁の上流側の実質的な通路面積を下流
側の実質的な通路面積より小さく選定することで実現し
ているので、特に別の部品を追加する必要がなくコスト
アップがない。
案は、燃料噴射弁に設けられた逆止弁を噴射終了時にノ
ズルバルブより先行して閉弁するようにしたものであ
る。従って、ノズルバルブの閉弁が遅れてもノズルバル
ブシートの内方の圧力が低下することが防止され、噴射
弁内への燃焼ガスの逆流で燃料噴射特性や耐久性が劣化
するということがなくなる。特にこれらの問題が生じや
すいユニットインゼクタの場合でもその特長をそのまま
発揮しながら上記の問題をなくし、性能を向上すること
ができるのである。また上記の逆止弁の先行閉弁を、開
弁時における逆止弁の上流側の実質的な通路面積を下流
側の実質的な通路面積より小さく選定することで実現し
ているので、特に別の部品を追加する必要がなくコスト
アップがない。
【0025】更にプランジャ室側とノズルバルブ側とを
連通する燃料絞り通路を設けたものでは、逆止弁の閉弁
に伴って生ずる残圧の振動で噴射動作が悪影響を受ける
ことが防止され、燃料絞り通路を設けたことによって燃
料吸入行程で燃料通路内に空気が吸入される可能性は、
逆止弁を2段構成とすることによってなくすことができ
るのであり、高性能の燃料噴射装置を得ることが容易と
なる。
連通する燃料絞り通路を設けたものでは、逆止弁の閉弁
に伴って生ずる残圧の振動で噴射動作が悪影響を受ける
ことが防止され、燃料絞り通路を設けたことによって燃
料吸入行程で燃料通路内に空気が吸入される可能性は、
逆止弁を2段構成とすることによってなくすことができ
るのであり、高性能の燃料噴射装置を得ることが容易と
なる。
【図1】この考案の一実施例の全体の断面図である。
【図2】同実施例の逆止弁部分の拡大断面図である。
【図3】同実施例のノズルバルブシート部分の拡大断面
図である。
図である。
【図4】同実施例の動作を説明するグラフである。
【図5】別の実施例の逆止弁部分の拡大断面図である。
【図6】他の実施例の一部破断断面図である。
【図7】更に他の実施例の逆止弁部分の拡大断面図であ
る。
る。
6 プランジャ 8 プランジャ室 16 噴孔 17 燃料通路 18 ノズルバルブ 18a ノズルバルブシート 20 隔壁 21 燃料送出口 22,41 逆止弁 25,25a,25b 燃料絞り通路 31 燃焼室
Claims (2)
- 【請求項1】 プランジャ室内の燃料をプランジャで加
圧し、発生した高圧の燃料を逆止弁とノズルバルブを備
えた燃料通路を経て噴孔から燃焼室に噴射する形式の燃
焼噴射装置であって、上記プランジャ室と上記燃料通路
とが燃料送出口を有する隔壁で仕切られると共に、上記
逆止弁が隔壁の下流側に配置されて上記燃料送出口を開
閉するように構成されており、逆止弁の径及び逆止弁と
隔壁との間隔によって決まる逆止弁の開弁時における逆
止弁の上流側の実質的な通路面積が、逆止弁より下流側
の燃料通路の太さ及び長さによって決まる逆止弁の開弁
時における逆止弁の下流側の実質的な通路面積より小さ
くなるように選定することにより、噴射終了時には上記
逆止弁がノズルバルブより先行して閉弁するように構成
し、噴射終了時におけるノズルバルブシートの内方の圧
力低下を防いでノズルバルブシートより内方への燃焼ガ
スの侵入を防止することを特徴とする内燃機関の燃料噴
射装置。 - 【請求項2】 上記逆止弁の閉弁時において逆止弁の上
流側と下流側とを連通する燃料絞り通路を設けると共
に、この逆止弁を第1の逆止弁としてその上流側に燃料
絞り通路が設けられていない第2の逆止弁を設け、上記
第1の逆止弁の開弁時における下流側の実質的な通路面
積に対して、上記第2の逆止弁の開弁時における上流側
の実質的な通路面積を大きく選定した請求項1記載の内
燃機関の燃料噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1993007343U JP2582195Y2 (ja) | 1993-02-02 | 1993-02-02 | 内燃機関の燃料噴射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1993007343U JP2582195Y2 (ja) | 1993-02-02 | 1993-02-02 | 内燃機関の燃料噴射装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0660768U JPH0660768U (ja) | 1994-08-23 |
JP2582195Y2 true JP2582195Y2 (ja) | 1998-09-30 |
Family
ID=11663304
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1993007343U Expired - Lifetime JP2582195Y2 (ja) | 1993-02-02 | 1993-02-02 | 内燃機関の燃料噴射装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2582195Y2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62291464A (ja) * | 1986-06-09 | 1987-12-18 | Diesel Kiki Co Ltd | 燃料噴射ポンプ |
-
1993
- 1993-02-02 JP JP1993007343U patent/JP2582195Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0660768U (ja) | 1994-08-23 |
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Legal Events
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