JPS6245079Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はデイーゼルエンジン用のポペツト型燃
料噴射弁に係り、より詳しくは、ポペツト型ニー
ドル弁のリフト量に応じて燃料噴霧の広がり角が
変るような改良されたポペツト型燃料噴射弁に関
する。

デイーゼルエンジン用燃料噴射弁としてはピン
トル型、スロツトル型、ホール型等が一般的であ
るが、最近ではポペツト型のものが知られている
（SAEペーパー800509）。従来のポペツト型燃料
噴射弁を第１図を参照して説明すると、ポペツト
型ニードル弁とスプリング２を収容した中空のノ
ズルボデー３には袋ナツト４により燃料パイプ５
の一端が接続されており、燃料パイプ５の他端は
図示しない燃料ポンプに接続される。燃料ポンプ
により加圧された高圧燃料は燃料取入口６を経て
ノズルボデー３の内部空洞に流入し、燃料圧力は
ポペツト弁断面に作用してスプリング２に抗して
ポペツト弁１を下方にリフトさせる。その結果、
ポペツト弁の弁頭７に形成された弁当たり面８は
ノズルボデー３の弁座９から離れるので、燃料は
噴口１０と弁頭７との間の環状のオリフイスから
噴射される。燃料ポンプから分配された燃料圧力
が所定値以下に降下すると、スプリングの作用に
よりポペツト弁は復帰してその当たり面は弁座に
着座し、噴射は終了する。

このようなデイーゼルエンジン用のポペツト型
燃料噴射弁は、ピントル型においてニードル弁が
ノズルボデー内部に向つてリフトするのと異なり
ポペツト型においてはノズルボデー外部に向つて
リフトするので噴射弁を小型化することができる
こと、ピントル型においては環状オリフイスの最
大直径は約0.5mmと小さいのに対しポペツト型で
は約５mmと大きくすることができるので噴霧の広
がり角を大きくすることができること、噴射弁開
弁圧力を低くすることができること、等の種々の
利点がある。

ところが、従来のポペツト型燃料噴射弁は燃料
噴霧を燃焼室内に広く拡散させるよう設計されて
いることから、機関の低負荷時（すなわち、燃料
噴射量が小さい時）においても高負荷時（噴射量
が大きい時）においても噴霧の広がり角は比較的
大きいまま一定不変である。

しかしながら、機関の高負荷時においては噴霧
の広がり角が大きいと燃料の着火遅れが短かくな
るため、燃料が空気と十分混合される前に着火が
起り、燃焼における空気の利用率が低下して出力
が低下する。

本考案は、機関の低負荷時には噴霧の広がり角
は従来どおり大きくすることができるが、高負荷
時にはその広がり角を小さくして燃焼における空
気の利用率を向上させ得るようなデイーゼルエン
ジン用ポペツト型燃料噴射弁を提供することを目
的とするものである。

このため、本考案は、ポペツト弁の先端部は、
円柱形のピントル部と、該ピントル部下端から先
細りに縮径したくびれ部と、該くびれ部下端から
所定角度で末広がりに拡径し弁当たり面を形成す
る弁頭部とで構成し、ノズルボデーの噴口は、ポ
ペツト弁ピントル部に共軸的でピントル部外径よ
り大きな内径を有するピントルオリフイスと、該
ピントルオリフイス下端から前記所定角度とほぼ
同じ角度で末広がりに拡径した弁座部とで構成
し、前記ポペツト弁のリフト量の小さい機関低負
荷時には前記弁頭部と弁座部との間に末広がりの
環状オリフイスが形成され、前記リフト量の大き
い機関高負荷時には前記ピントル部とピントルオ
リフイスとの間に軸方向に平行な環状オリフイス
が形成されることを特徴とするものである。

次に、第２図を参照して本考案の実施例を説明
するに、ポペツト弁１１の先端部には円柱形のピ
ントル部１２が設けてあり、その下端に隣接して
先細りに縮径したくびれ部１４が形成してある。
くびれ部１４の下端には所定テーパ角αをもつて
末広がりに拡径した弁頭部１６が隣接しており、
この弁頭部１６の円錐形外周面は弁当たり面をも
構成する。弁頭部１６の下方には先細りの円錐截
頭形部分１８を形成してもよい。

ノズルボデー２０の噴口はピントルオリフイス
２２と弁座部２４とから成る。ピントルオリフイ
ス２２はポペツト弁のピントル部１２と共軸的な
円柱形であると共に、ピントル部外径より大きな
内径を有する。弁座部２４は弁頭部１６のテーパ
角と同じ角度をもつた円錐面により形成されてい
る。必要に応じ、弁座部２４の下方にはさらにテ
ーパ角の大きな部分２６を形成してもよい。

次に、動作を説明するに、燃料圧力が設定値以
下の時には第２図に示すようにポペツト弁の弁頭
部１６すなわち弁当たり面は弁座部２４に着座し
ており、燃料は噴射されない。次に燃料圧力が設
定値を超えるとポペツト弁は下方にリフトする
が、そのリフト量は燃料噴射量に依存している。
機関の軽負荷時には燃料噴射量は小さいから、ポ
ペツト弁は第３図に示したように小さなリフト量
をもつてリフトする。この位置では、弁頭部１６
と弁座部２４との間に最小開口面積の環状オリフ
イスが形成されるのであり、燃料の流速はこの環
状オリフイスにおいて最大となる。このため、ノ
ズルボデー内の加圧された燃料はくびれ部１４に
沿つて弁の軸心に向う速度成分を与えられた後、
弁頭部１６に押しつけられるように環状オリフイ
スに流れ、次いで弁頭部１６と弁座部２４によつ
て案内されかつ微粒化されながら噴射される。こ
の場合の噴霧の広がり角α′は弁頭部１６のテー
パ角αと等しいかまたはそれよりやや大きくな
る。

次に、機関の高負荷運転に当たり噴射量が大と
なれば、第４図に示したようにポペツト弁のリフ
ト量は大となる。この位置では、ポペツト弁のピ
ントル部１２とノズルボデーのピントルオリフイ
ス２２との間に最小開口面積の環状オリフイスが
形成され、燃料流速はここで最大となる。このた
め、燃料は専ら噴射弁軸心に平行な方向の速度の
みを与えられながら噴出する。噴出した燃料の一
部は弁頭部１６の先端に衝突するが、噴霧の広が
り角βはαより小さな値をとる。また、この場
合、燃料は弁頭部１６と弁座部２４との間の狭い
隙間を通らないので、微粒化の程度は小リフト時
より少なく、高負荷時の燃焼には好都合である。
さらに、ポペツト弁の最下部に円錐截頭形部分１
８を設けた場合には、流体が表面に沿つて流れよ
うとするコアンダ効果により燃料の流れに軸心方
向の速度成分を与えることができ、着火遅れを更
に大きくすることに寄与できる。

以上から明らかなように、本考案のポペツト型
燃料噴射弁は、リフト量に応じて噴霧の広がり角
が変り、特に機関の低負荷時には広がり角を大と
なし高負荷時には小となし得るように構成したか
ら、従来のポペツト型燃料噴射弁の利点をそのま
ま享受しながら高負荷時の燃焼における空気利用
率を向上させることができ、出力の向上、燃費の
改善、排気エミツシヨンの低減を図ることができ
る。

なお、本考案のポペツト型燃料噴射弁は過流室
型のデイーゼルエンジンに使用し得るのみならず
半球形燃焼室を備えた直噴型のデイーゼルエンジ
ンにも特に効果的に使用し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のポペツト型燃料噴射弁の模式的
な一部断面立面図、第２図は本考案の実施例の一
部の一部断面立面図、第３図および第４図は第２
図同様の図であつて夫々軽負荷時および高負荷時
におけるポペツト弁のリフト状態を図解したもの
である。 １，１１……ポペツト弁、２……スプリング、
３，２０……ノズルボデー、５……燃料パイプ、
１２……ピントル部、１４……くびれ部、１６…
…弁頭部、１８……円錐截頭形部分、２２……ピ
ントルオリフイス、２４……弁座部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 末広がりの弁座を一部に含む噴口と燃料取入
   口とを有する中空のノズルボデーと、前記弁座
   と協働して前記噴口を閉開するポペツト弁と、
   該ポペツト弁を弁座に着座させるべくポペツト
   弁を付勢する付勢手段とを備えて成るデイーゼ
   ルエンジン用ポペツト型燃料噴射弁において、 前記ポペツト弁の先端部は、円柱形のピント
   ル部と、該ピントル部下端から先細りに縮径し
   たくびれ部と、該くびれ部下端から所定角度で
   末広がりに拡径し弁当たり面を形成する弁頭部
   とを有し、 前記噴口は、ポペツト弁ピントル部に共軸的
   でピントル部外径より大きな内径を有するピン
   トルオリフイスと、該ピントルオリフイス下端
   から前記所定角度と実質的に同じ角度で末広が
   りに拡径した弁座部とを有して成り、前記ポペ
   ツト弁のリフト量の小さい機関低負荷時には前
   記弁頭部と弁座部との間に末広がりの環状オリ
   フイスが形成され、前記リフト量の大きい機関
   高負荷時には前記ピントル部とピントルオリフ
   イスとの間に軸方向に平行な環状オリフイスが
   形成されることを特徴とするデイーゼルエンジ
   ン用ポペツト型燃料噴射弁。 ２ 前記ポペツト弁先端部は該弁頭部下端から先
   細りに延長する円錐截頭形部分を有する実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の噴射弁。