JP2582161B2 - トルクセンサの製造方法 - Google Patents

トルクセンサの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本発明は、ソレノイドコイルを有する検出回路により
磁気歪みを検出する非接触型のトルクセンサの製造方法
に関するものであり、特に高感度かつ高信頼性などを得
ることができるトルクセンサの製造方法に関する。
《従来の技術》 従来より、例えば自動車をはじめ工作機械,ロボット
等の各種の技術分野において、回転軸にかかるトルクを
正確に検出したいというニーズが多くある。
このような場合の検出体すなわちトルクセンサは、原
理的には、周知のように回転軸にトルクが加わると回転
軸の外周上などに設けられた磁性材料にも回転方向に対
して45゜の方向に歪みが発生し、それが磁気的な異方性
となって磁束検出方向による透磁率の差を生ずるため、
磁気ヘッド等の磁束検出器を用いてその透磁率の変化を
検出することにより、回転軸にかかったトルクを検出す
るものである。
しかして、この種のトルクセンサとしては、回転軸に
トルクセンサが接触しない非接触型のものが適してお
り、中でもソレノイドコイルを用いるトルクセンサが優
れているとされている。
すなわち、回転軸上の磁歪材料部分を覆うソレノイド
コイルのインダクタンスの変化を検知して行なうもので
あり、ソレノイドコイルには交流電流が流され、電流
値,コイル巻数,周波数などによって、回転軸に与えら
れたトルクに依存した電気信号出力が得られる。
また、正逆トルクの判別のために、回転軸に2枚の磁
歪材料を貼り付けるとともに、この磁歪材料の一方には
予め+45゜方向,他方には−45゜方向の一軸異方性を付
与しておき、トルクによる歪みの影響が互いに逆に変化
するようにし、それぞれの磁歪材料に設けた検出巻線を
逆直列に結合して、トルクの方向も識別できるように構
成される。
このように、ソレノイドコイルを用いるトルク検出法
は、回転軸上の磁性体と局部的な磁気回路を構成する磁
束検出磁路を持たず、回転軸上の磁性体全体の平均的な
透磁率を検出するのが特徴で、軸の回転に伴う磁路空隙
の変動の影響を避けた回転変動のない優れた検出方法で
あり、上記したように非接触型のトルクセンサとして好
適な構成のものであるが、この場合、回転軸上に設けら
れる磁性体の形成用磁性材料の選択が著しく重要とな
る。
《発明が解決しようとする課題》 従来、係る場合の磁性材料として、例えば特開昭59−
166827号公報などにより、磁歪係数が大きく,透磁率も
大きい鉄系アモルファス合金の薄帯を用いたものが開示
されているが、本発明者らの研究によれば、アモルファ
ス磁性合金の薄帯はヒステリシスおよび熱的安定性に問
題を有している。
また、アモルファス合金以外で従来多用されてきた磁
性材料、例えば鉄系合金材料では磁歪係数が小さく充分
な出力特性が得られない。
さらに磁区構造が制御されていない普通のニッケル系
合金では、磁歪係数は大きいが出力の再現性および熱的
安定性が得られないなどの問題点を有している。
このため、本発明者らは、ソレノイドコイル状の検出
巻線を用いてトルクを検出する非接触型のトルクセンサ
に適した磁性材料として、メッキ法による鉄−ニッケル
合金よりなるパーマロイ膜が最適であることを先に提案
した(特開昭62−206421号公報参照)。
しかしながら、このトルクセンサにあっても、その一
軸異方性は円周方向を磁化容易軸とし、かつ軸方向を磁
化困難軸とするものであるため、出力の直線性,正逆ト
ルクの判別などの点で解決すべき課題を残している。
このように、従来よりソレノイドコイルを有する検出
回路により磁気歪みを検出するトルクセンサは、適切な
磁歪材料と適切な一軸異方性および異方性付与方法が見
出だされていなかったために、その感度および信頼性に
欠け、また正逆トルクの判別性およびトルク変換出力の
直線性などの面において改善の余地を有していた。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、ソレノイドコイルを有
する検出回路により磁気歪みを検出するトルクセンサの
製造方法において、高感度かつ高信頼性で正逆トルクの
判別とトルク変換出力の直線性の良好なトルクセンサの
製造方法を提供することにある。
《問題点を解決するための手段》 本発明は、上記のような目的を達成するために、回転
軸の外周上に鉄とニッケルの合金よりなるメッキ磁性膜
が設けられ、メッキ磁性膜は磁化容易軸方向が円周方向
より+15゜〜+40゜の範囲内にある領域と−15゜〜−40
゜の範囲内にある領域とよりなるとともに、回転軸に挿
嵌されるパイプ状の非磁性金属基台上に層形成され、メ
ッキ磁性膜の磁気特性の変化をソレノイドコイルを有す
る検出回路により非接触的に検出し、回転軸に加わるト
ルクを検出するトルクセンサの製造方法において、メッ
キ磁性膜に設けられる磁化容易軸方向は、少なくとも回
転軸上に設けられるメッキ磁性膜を一旦拡径した後、固
定化しつつ捩じり加工して付与されることを特徴とす
る。
すなわち、本発明は特にトルクセンサの磁気歪み検出
体の磁性材料の選択と上記検出体に付与される磁気異方
性を最適化することによって、この種センサの有する各
種問題点を解決せんとするものである。
磁性体に応力が作用した場合においてその磁化特性が
変化する現象は、次のように考えられている。
まず、磁性体は多くの磁区より形成されるが、個々の
磁区が自発磁化を持つとともに、この自発磁化は異方性
磁界Kuで糊付けされている。
この異方性磁界Kuの原因は、結晶異方性,誘導磁気異
方性,形状磁気異方性など様々であるが、応力が作用す
ると応力誘導磁気異方性が加わりこれによって異方性磁
界Kuにおける糊付けが変わってくる。
このような磁気歪み効果は、10-6オーダという非常に
小さな寸法の変化に伴う現象であって、外力に対し著し
く敏感であるのでトルク等の外力によって変化する。
従って、磁歪式のトルク検出においては、磁気歪み検
出体を形成する磁性材料の選択とその構成が著しく重要
となる。
本発明のトルクセンサに用いる磁性材料は、歪みに敏
感な材料として一般に知られている磁性材料、例えばニ
ッケル,ニッケルと鉄の合金,ニッケルとコバルトの合
金,コバルトと鉄の合金,鉄とアルミニウムの合金,鉄
とニッケルとコバルトの合金などの結晶質材料、および
鉄とニッケルとボロンとシリコンを含むアモルファス合
金などをいずれも用いることができる。
また、メッキにより作られた磁性膜は、歪みに対する
磁気感応特性が非常に良好であり、トルクセンサ用磁性
膜として最も好適であるが、メッキ磁性膜の中では鉄と
ニッケルの合金特にパーマロイを用いたものが磁性材料
として最も好ましいため、本発明にあってはこの磁性材
料が選択される。
さらに、磁性膜を例えば左右側の領域1,2に分けて一
軸異方性を付与する方法は種々考えられるが、形状磁気
異方性を用いるのが最も一般的である。
すなわち、薄い磁性材料を細長い形状に形成し、長さ
方向を磁化容易軸方向とするとともに、幅方向を磁化困
難軸方向とする原理の応用として、例えば一方の領域に
は左向きのストリップを、また他方の領域には右向きの
ストリップとなる磁性体を用いれば実現可能となる。
その際、ストリップの傾きが磁気異方性の方向を、ま
たその長さと幅が磁気異方性の大きさを決めることにな
るので、実用上は使用目的や使用対象物等の構造に適し
た形状磁気異方性を付与する必要がある。
なお、この場合にはパーマロイ膜をストリップ状に加
工することによって磁区構造が変化し、特にストリップ
端部の磁区構造は、反磁界の発生によってトルク検出に
作用する磁束を著しく減少させるので注意が必要であ
る。
トルクセンサの磁気歪み検出体として要求される主な
事項を列記すると、次の通りである。
(1)感度が高いこと。
感度に対しては、磁性材料の磁歪係数と磁区構造が関
係し、また磁性材料の動作磁束のレベルが関係する。
さらに、励磁周波数を最適化することによって磁気歪
み感度を高めることができるので、これらを選択するこ
とが大切となる。
(2)正逆トルクが判別できること。
正逆トルクの判別に関しては、特開昭62−206421号に
開示されたような方法での単独の異方性膜では、トルク
変換出力の直線性が劣りトルク検出範囲が狭いのが欠点
である。
また、電気的な手段でバイアス磁界を操作して正逆ト
ルクを判別することも原理的に可能であるが、電気回路
が高価となり実用的でない。
従って、先述したように異方性の傾きが+と−に分け
られた2つの領域を設けて、それぞれを覆うソレノイド
コイルの変換出力を電気的なブリッジ回路で比較するこ
とにより、正逆トルクを判別するのが実際的となる。
この場合、領域1と領域2に付与する一軸異方性の大
きさと方向は、磁気歪み検出体の性能に関係するので最
適条件を選ぶことが大切となる。
(3)トルク変換特性が直線的であること。
変換特性の直線性に関しては、感度と同様に磁性材料
の磁歪係数と磁区構造が関係する。
磁励における磁化機構が磁壁移動型であるか、磁区回
転形であるかによってトルク変換特性は異なり、励磁電
流,励磁周波数が関係するのでこれらを選択することが
大切である。
(4)ヒステリシスが小さいこと。
このためには、外部からの応力に対して磁化が可逆的
に変化することが要求される。
一軸異方性を有する磁性材料を、磁化困難軸方向およ
びそれに近い方向で励磁すると可逆的な回転磁化が優勢
で、これは同時に外部からの応力に対しても可逆的に変
化することが知られているので、磁化困難軸に近い励磁
が好ましい。
(5)温度変化の小さいこと。
磁性材料の磁気特性の温度特性と磁気歪み検出体を形
成する金属材料の機械的性質の温度特性が関係するの
で、これらの選択が大切である。
しかして、本発明による磁気歪み検出体は、鉄とニッ
ケルの合金によるメッキ磁性膜として形成されるととも
に、2つの領域における磁気異方性の向きを磁化容易軸
が一方は円周方向から+15゜〜+40゜、また他方は−15
゜〜−40゜の範囲内(特に最適方向としては±30゜)に
傾けられており、トルクセンサの磁気歪み検出体として
要求される上記5つの事項を全て具備することが知見さ
れた。
《作用》 本発明に係るトルクセンサは、磁性膜としてメッキパ
ーマロイ膜を用い、かつ該磁性膜は2つの領域に分けら
れるとともに、各領域には円周方向からそれぞれ+と−
の方向に15゜〜40゜の角度だけ傾いた異方性が付与され
ているので、正逆トルクの判別が可能であり、かつ可逆
回転磁界に適したトルクセンサを得ることができる。
この場合、トルクと電気信号出力との関係で、特に感
度,直線性,ヒステリシス,検出範囲,温度を含む使用
環境に対しての信頼性の向上など多くの効果が得られ
る。
また、2つのソレノイドコイルによる出力の差動検出
により、正逆トルクに対して正負の電気出力を得ること
ができる。
従って、上記の如きトルクセンサを使用する場合に
は、従来のものに比べて全体構成を著しく簡単にするこ
とができるとともに、高性能のトルク検出を行なうこと
ができる。
また、本発明によれば、回転軸に対する磁気歪み検出
体の形成が挿嵌作業によって行なえるので、上記効果を
有するトルクセンサをより一層容易に作製することがで
きる。
さらに、本発明によれば、メッキ磁性膜を一旦拡径し
た後固定化しつつ捩じり加工するので、従来のように拡
径せず単に捩じった場合には円周方向に対する異方性の
方向は45゜角度にのみ付与されてしまうが、種々の方向
付けを行ない得る製造方法を提供することができる。
《実施例》 以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明す
る。
第1図は本発明に係わるトルクセンサの一例における
概略構成を示す断面図である。
図中1は回転軸2にかかったトルクを電気信号として
検出するトルクセンサの磁気歪み検出体である。
なお、検出体1は非磁性金属の回転軸2上に直接形成
しても良いが、説明の都合上図示したような構成の検出
体(以下、MSパイプという)として説明する。
しかして、このMSパイプ1は、非磁性金属棒を切削,
研磨してパイプ状の金属基台を作製し、これを洗浄して
メッキ前処理を行い、しかる後にスルファミン酸などを
用いたメッキ液で上記金属基台の外周に鉄とニッケルの
合金による厚さ10μm程度のメッキ磁性膜を形成した。
次いで、金属基台とメッキ磁性膜の界面の整合とメッ
キ磁性膜の残留応力の緩和を図るために熱処理を施し、
金属基台である不銹網とメッキ磁性膜との密着を完全な
ものとなし、繰り返しの回転応力に対する剥離性の防止
を図るとともに、メッキ磁性膜に残留する内部応力を低
減化して歪みに対する磁気感応特性の向上を図る。
しかるのち、エッチングの手法により上記メッキ磁性
膜にスリットを入れて形状磁気異方性を付与するが、こ
のメッキ磁性膜は磁化容易軸方向が円周方向より+15゜
〜+45゜の範囲内にある領域と、−15゜〜−45゜の範囲
内にある領域を有するように形成される。
最後に、耐湿などの環境条件を考慮してメッキ磁性膜
上に保護膜を塗布する。
なお、このようなトルクセンサは、駆動源と負荷との
間を継ぐシャフトの一部に組み込まれて使用されるのが
普通であり、トルクセンサにおけるMSパイプ1は回転軸
2の外周に固定して用いるのが一般的であるが、構造に
よっては回転軸2の内部にトーションバーとして設ける
ことも可能である。
ここで、本発明にかかわるトルクセンサの概略構成を
説明する。
回転軸2は、軸受6,6′を介して枠5で支えられてお
り、この回転軸2にかかったトルクは機械的結合により
MSパイプ1に伝達され、さらにMSパイプ1の表面のメッ
キ磁性膜に伝達される。
3,3′はソレノイドコイルであり、第2図に示すよう
なMSパイプ1の磁気異方性の方向が7a,7bのように互い
に異なる領域1および領域2の磁束と交差する。
また、4,4′はソレノイドコイル3,3′のリード線であ
り、このトルクセンサに用いる電気回路は、第3図のブ
ロック図に示すように入力回路9,ブリッジ回路10,出力
回路11からなる。
入力回路9はソレノイドコイル3,3′に電力を供給す
るためのもの、ブリッジ回路10はコイル3と3′の差動
出力を取り出すためのもの、出力回路11は差動出力を変
換しかつ同期整流して直流出力を得るためのものであ
る。
なお、ブリッジ回路10における8,8′はトルク負荷が
ないときブリッジ回路10の電流の平衡をとるための抵抗
である。
以下、上記MSパイプ作製の実施例を説明する。
実施例−1 第4図はメッキ磁性膜作製用装置の概略構成図であ
る。
同装置において12はメッキ槽、12aはメッキ液の循環
方向、13はメッキ液貯層、14は温度コントローラ、15は
ポンプ、16はフィルタ、17は流量計である。
また、18はメッキされる陰極で試料となるステンレス
管である。
19はステンレス管18を取り囲むように配置された陽極
でニッケル板である。
20は被メッキ物であるステンレス管18を回転する歯車
であり、21はそのモータである。
22は通電用導体であり、ステンレス管18の部分に円周
方向の磁界を発生するための銅棒である。
磁性合金メッキは、上記装置によりステンレス管18の
円周方向に磁界を与えながら、かつその方向の回転を与
えながら電気メッキによって作製される。
具体的には、外径25mm,内径19mm,長さ70mmのステンレ
ス管18(材料JIS規格SUS32)の外周面を機械加工によっ
て平滑に仕上げ、その後アルカリ脱脂洗浄液に浸漬し、
続いて第4図に示した装置のメッキ槽12内でステンレス
管18に回転を与えながら磁性合金を電気メッキした。
使用したメッキ液を第1表に示す。
次いで、これを水素雰囲気中で300℃×30分の熱処理
を行なってから、エッチングマスクとして不溶性のワッ
クスを用い、エッチング加工した。
第5図にエッチング用のマスクパターンの展開図の一
例を示す。
使用したエッチング液は、塩化第二鉄40%の水溶液に
少量の塩酸を加えたもので、エッチング温度60℃,エッ
チング時間2分で所望のパターンを得た。
なお、ステンレス管18の表面に残されたメッキパーマ
ロイのストリップは、その幅aと間隔bおよび傾斜角ψ
で規定される。
また、実験に用いるために磁性膜のパターン寸法ψ,a
およびbを変えて、第2表のように10通りの試料(No.1
〜No.10)を作製した。
次いで、ポリイミド樹脂のコーティングを行ない、15
0℃で乾燥してから各試料を第1図に示したトルクセン
サに組み込んだ。
以上のようにして作製したトルクセンサを、第6図に
示すようなトルクセンサ性能試験装置にセットし、検出
範囲,検出感度,直線性,ヒステリシス,回転変動,温
度特性などを調べた。
なお、トルクセンサ性能試験装置は、同図に示すよう
に試料であるMSパイプが組み込まれたトルクセンサ装着
箇所31は、カップリング37を介してロータリーモータ駆
動装置32に供給され、またカップリング38を介してロー
タリーモータ負荷装置33に結合されている。
ロータリーモータ駆動装置32の回転軸は、ベアリング
35により、ロータリーモータ負荷装置33の回転軸はベア
リング36により、またトルクセンサ装置箇所31の回転軸
2はベアリング34,34′により、それぞれ架台39に回転
可能に支持されている。
以上のようなトルクセンサ試験装置を用いて、回転数
600rpm,負荷を0〜20Nmの範囲に変えて測定した。
なお、第1図に示すトルクセンサの構造で回転軸2と
試料が分担するトルク比は2:1にとったので、試料にか
かるトルクは全トルクの1/2であり、0〜10Nmの範囲で
測定したことに相当する。
一方、トルクセンサのソレノイドコイル3,3′に流す
電流は、ほぼ半波の正弦波でその実効値は約100mA,励磁
周波数は100KHzとした。
実験の結果、各試料のトルク−出力電圧特性は、第7
図に示すようにほぼ同じ原点を中心に上下左右対象の特
性を示し、10Nm以下のトルクでの直線性は良好である。
第8図に示すグラフは、スリットの傾斜角ψを横軸
に、トルクT=10Nmを与えたときの出力電圧を縦軸にと
って整理した結果である。
このグラフからも明らかなように、試料の表面に形成
したメッキ磁性膜のストリップパターンの傾斜角ψを、
円周方向から軸方向へ傾けることによって出力電圧が変
化することが判る。
しかして、出力電圧は傾斜角15゜〜40゜の範囲で大き
く、特に30゜付近で大きい出力電圧が得られる。
この理由は、傾斜角ψが小さいときには2コイル差動
方式のトルク変換出力は傾斜角sinψにほぼ比例するこ
とと、他方傾斜角ψが45゜に近づくとストリップ状のメ
ッキ磁性膜の有する反磁界が磁区構造の乱れを生み、実
効的な透磁率が大幅に低下するためである。
ψ=15゜〜40゜の範囲で出力電圧が大きく、特に30゜
付近で最大であるが、そこでは試料の軸方向の励磁で回
転磁化が優勢で2コイル差動方式の出力電圧が大きく、
トルクセンサ用磁性体として格好のものであることを示
している。
実施例−2 外径25mm,内径21mmの無酸素銅パイプの表面に厚さ0.0
1mmのNi−Fe合金膜を幅70mmに亘って一様にメッキし
た。
使用したメッキ磁性膜作製用装置,メッキ液,メッキ
条件などは上記実施例−1で用いたものと同じである。
次いで、300℃で熱処理を行なってから以下に述べる
実験に供した。
まず、試料に円周方向を磁化容易軸方向とする異方性
を付与するために、押し込みプラグで内径を拡径する拡
管加工を施した。
拡管による残留歪みをストレンゲージで測定し、0.1
%〜0.5%の範囲で調整した歪み率εを試料に与え
た。
次いで、異方性の方向を傾けるために上記各試料を第
9図(a),(b)に示すようなMSパイプの応力誘起異
方性を調整するための異方性調整用具にセットした。
同図(a)は上記治具の概略構成を示す正断面図であ
り同図(b)はその側面図を示す。
この異方性調整具を使用する目的は、無酸素銅パイプ
上に施したNi−Fe合金によるメッキ磁性膜の中央部を境
として、左右の領域1,2に円周方向に対してそれぞれ+
と−に傾いた応力誘起異方性を容易に付与するためのも
のである。
その付与方法は、試料の両端を固定し、中央部を強く
捩ることによって達成される。
なお、試料を拡管せずに捩った場合には、その異方性
は45゜方向に付与されてしまう。
上記異方性調整治具の構成は、試料の保持台となる円
柱棒41と、それを支持するための枠42、および試料の中
央部を挾んで試料全体を捩るためのチャック式のフラン
ジ43からなる。
しかして、試料はその両端が円柱棒41と枠42と一緒に
固定ピン44で止められており、チャック式フランジ43は
強いトルク力が与えることができる構造とされている。
これにより、試料には、中央部を境にして左右別々の
領域1,2に1回の捩じり操作で+と−の方向が異なりか
つ大きさの等しい歪みを与えることができる。
すなわち、無酸素銅の弾性限を越えて捩じりトルクを
与えてから、トルクを解放するとわずかな変化が残り、
その変形は試料の主応力の方向である+45゜方向に伸
び、それと直角な−45゜方向に縮む。
このような変形量を、ストレンゲージ法で確認し、0.
1〜0.5%の歪みを与える条件を見出だし、これに基づい
て試料のメッキ磁性膜に調整した歪み率εを与えた。
第3表は実験に用いた試料のε1の組み合わせを
示す。
以上の方法で、最初の拡管加工で与えた円周方向の歪
みεと後加工で与えた±45゜方向の歪みεで、試料
のメッキ磁性膜には円周方向から一定角度だけ傾いた応
力誘起磁気異方性すなわち15゜〜45゜の傾斜を与えるこ
とができる。
この場合、応力誘起磁気異方性Kuは、最初の拡管加工
により付与された円周方向の異方性K1と、後加工で付与
された45゜方向の異方性K2のベクトル和であって、 ここでkは常数,λはメッキ磁性膜の磁歪係数,ε1,
εは変形率、ψは応力誘起磁気異方性の円周となす角
度で、ψは の関係があるので、第3表にこれらの値で併記して示し
た。
次いで、ポリイミド樹脂のコーティングを行ない、15
0℃で乾燥してから実施例−1と同じ要領でトルクセン
サ性能試験を行なった。
第10図はこの実施例に係る試料のトルク−出力電圧特
性の一例を示す。
ほぼ原点を中心に上下左右対象の特性を示し、10Nm以
下のトルクでの直線性は良好である。
なお、本実施例に示す試料では、試料とトルクセンサ
の回転軸が分担するトルク比率は1:5であり、試料に係
るトルクは0〜2Nmの範囲で測定したことに相当する。
第11図は、応力誘起磁気異方性の傾斜角ψを横軸に、
またトルクT=10Nmを与えたときの出力電圧を縦軸にと
って整理した結果である。
実験結果が示すように、試料の表面に形成したメッキ
磁性膜の応力誘起異方性の傾斜角ψを、円周方向から軸
方向へ傾けることによって出力電圧が変化し、特に傾斜
角が30゜で大きい出力電圧が得られることが明らかであ
る。
この理由は、傾斜角ψが小さいときは、2コイル差動
方式のトルク変換出力は傾斜角sinψにほぼ比例するこ
とと、他方傾斜角が45゜に近づくとメッキ磁性膜の磁区
構造に90゜磁区が発生するようになり、高周波励磁にお
ける透磁率が大幅に低下するためである。
ψ=15゜〜40゜の範囲で出力電圧が大きく、特に30゜
近辺で最大であるが、そこでは回転磁化による透磁率が
大きく、かつ一軸磁気異方性の傾斜角ψに依存する2コ
イル差動方式の出力電圧が大きくとれることにあり、ト
ルクセンサ用磁性体として恰好のものであることを示し
ている。
《発明の効果》 以上説明したように、本発明によれば、回転軸の外周
上に形成される磁性膜は、鉄とニッケルの合金によるメ
ッキ磁性膜により形成され、かつ該メッキ磁性膜は磁化
容易軸方向が円周方向より+15゜〜+40゜の範囲内にあ
る領域と−15゜〜−40゜の範囲内にある領域とよりなる
ように形成されているので、トルク対電気信号出力との
関係で直線性,感度,ヒステリシス,トルク検出範囲な
どに優れた高感度かつ高信頼性を有するトルクセンサを
得ることができる。
また、2つのソレノイドコイルによる出力の差動検出
により、正逆トルクに対して正負の電気出力を得ること
ができる。
従って、上記の如きトルクセンサを使用する場合に
は、従来のものに比べて全体構成を著しく簡単にするこ
とができるとともに、高性能のトルク検出を行なうこと
ができる。
また、本発明によれば、特に回転軸に対する磁気歪み
検出体の形成を挿嵌作業によって行なえるので、トルク
センサをより一層容易に作製することができる。
さらに、本発明によれば、メッキ磁性膜を一旦拡径し
た後固定化しつつ捩じり加工するので、従来のように拡
径せず単に捩じった場合には円周方向に対する異方性の
方向は45゜角度にのみ付与されてしまうが、種々の方向
付けを行ない得る製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係わるトルクセンサの概略構成を示す
断面図、第2図は同トルクセンサにおけるメッキ磁性膜
の異方性を示す説明用斜視図、第3図は同トルクセンサ
の電気信号検出回路を示すブロック図、第4図は同メッ
キ磁性膜作製用装置の概略構成図、第5図は本発明に係
わるトルクセンサにおけるメッキ磁性膜の異方性付与パ
ターンの作製を示す平面展開図、第6図はトルクセンサ
性能試験装置を示す概略構成図、第7図は本発明に係る
トルクセンサのトルク−出力電圧特性を示すグラフ、第
8図は同トルクセンサの異方性角度と出力電圧との関係
を示すグラフ、第9図(a),(b)は異方性調整治具
の概略構成を示す説明用断面図およびその側面図、第10
図は本発明の他の実施例におけるトルク−出力電圧特性
を示すグラフ、第11図は同実施例における異方性角度と
出力電圧との関係を示すグラフである。 1……MSパイプ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸の外周上に鉄とニッケルの合金より
    なるメッキ磁性膜が設けられ、上記メッキ磁性膜は磁化
    容易軸方向が円周方向より+15゜〜+40゜の範囲内にあ
    る領域と−15゜〜−40゜の範囲内にある領域とよりなる
    とともに、上記回転軸に挿嵌されるパイプ状の非磁性金
    属基台上に層形成され、上記メッキ磁性膜の磁気特性の
    変化をソレノイドコイルを有する検出回路により非接触
    的に検出し、上記回転軸に加わるトルクを検出するトル
    クセンサの製造方法において、 上記メッキ磁性膜に設けられる磁化容易軸方向は、少な
    くとも上記回転軸上に設けられる上記メッキ磁性膜を一
    旦拡径した後、固定化しつつ捩じり加工して付与される
    ことを特徴とするトルクセンサの製造方法。
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