JP2580903Y2 - 負圧ブースタにおける弁筒への弁体保持筒取付構造 - Google Patents

負圧ブースタにおける弁筒への弁体保持筒取付構造

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JP2580903Y2
JP2580903Y2 JP331193U JP331193U JP2580903Y2 JP 2580903 Y2 JP2580903 Y2 JP 2580903Y2 JP 331193 U JP331193 U JP 331193U JP 331193 U JP331193 U JP 331193U JP 2580903 Y2 JP2580903 Y2 JP 2580903Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、自動車、自動二輪車等
のマスタシリンダを倍力作動する負圧ブースタにおける
弁筒への弁体保持筒取付構造、即ち、ブースタピストン
に前端部を結合して後端を開放した弁筒に、その内周面
に嵌合されて制御弁の弁体を保持する弁体保持筒を取付
ける取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の負圧ブースタでは、例えば実公平
4−12852号公報に開示されているように、弁筒内
に嵌合された弁体保持筒を固定するに際し、弁体保持筒
の後端を押えるサークリップを弁筒内周面の環状溝に装
着している。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】従来構造では、上記の
ようにサークリップが不可欠である上、これの環状溝へ
の装着には工具を必要とするので、組立性が良好である
とは言えない。
【0004】そこで本考案は、サークリップ等の専用の
押え部品を用いることなく弁体保持筒を弁筒へ容易に取
付けることができる前記取付構造を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案は、弁筒の内周面には、弁筒の開放端から始
まって軸方向に延び弁筒の周方向に並ぶ一対の軸方向溝
と、これら両軸方向溝の中間部を互に連通する周方向溝
とを形成し、また弁体保持筒の外周面には、前記一対の
軸方向溝にそれぞれ摺動自在に嵌合する一対の軸方向突
条と、これら両軸方向突条の後端を互いに一体に連結し
て前記周方向溝に弾性係合する周方向突条とを形成した
ことを特徴とする。
【0006】
【実施例】以下、図面により本考案の一実施例について
説明する。
【0007】図1は負圧ブースタBの縦断面図である。
同図において、負圧ブースタBのブースタシェル1前面
には、該ブースタにより作動されるブレーキ用マスタシ
リンダMが取付けられる。
【0008】ブースタシェル1は、開放端を相互に結合
する前部シェル半体2及び後部シェル半体3から構成さ
れる。ブースタシェル1内は、それに前後往復動可能に
収容される鋼板製のブースタピストン4と、その後面に
重合されるダイヤフラム5とにより、前側の負圧室6と
後側の作動室7とに区画される。ダイヤフラム5は、そ
の外周ビードを両シェル半体2,3の結合部に挟着さ
れ、その内周ビードは、ブースタピストン4の中心ボス
4aと共に円筒状の弁筒8外周に嵌合され、係止環9で
固定される。弁筒8は、ブースタピストン4の中心ボス
4aを貫通して後方へ延出しており、後部シェル半体3
の後壁に連設された後方延長筒3aに平軸受10及びシ
ール部材11を介して摺動自在に支承される。
【0009】負圧室6は負圧導入管12を介して負圧源
である内燃機関の吸気マニホールド(図示せず)に常時
連通し、作動室7は弁筒8内に設けられる制御弁13に
より負圧室6または後方延長筒3a端部の大気導入口1
4に交互に連通切換えされる。
【0010】ブースタピストン4は負圧室6に縮設され
た戻しばね15により常時後退方向、即ち作動室7側に
弾発され、その後退限はダイヤフラム5の背面に隆起し
た環状配列の多数の突起5aがブースタシェル1の後壁
内面に当接することにより規制される。
【0011】弁筒8内には、ブレーキペダル16に連な
る入力杆17と、これにより操作される前記制御弁13
が次のように設けられる。即ち、弁筒8内の前部には弁
ピストン18が摺動自在に嵌合され、この弁ピストン1
8には、前記大気導入口14を貫通した入力杆17の前
端が首振り可能に結合される。また弁筒8の内面には環
状の第1弁座191 が形成され、これに囲繞される環状
の第2弁座192 が弁ピストン18の後端面に形成さ
れ、これら弁座191 ,192 と協働する弁体20が弁
筒8内に配設される(図2を併せて参照)。弁体20は
ゴム製であって、前後両端を開放した筒状をなしてお
り、その後端部即ちビード状の基端部20aは、弁筒8
内に嵌合する弁体保持筒21の前端部外周に形成された
環状の保持溝21aに装着されて弁筒8内周面との密着
状態に保持される。弁体保持筒21の取付構造について
は後述する。
【0012】弁体20は、上記基端部20aから半径方
向内方へ屈曲した薄肉の可撓部20b、及びこの可撓部
20bの前端に連なる厚肉の弁部20cを備えており、
その弁部20cは前記第1及び第2弁座191 ,192
に対向して配置される。弁部20cは可撓部20bの変
形により前後移動が可能であって、前進時には第1及び
第2弁座191 ,192 に着座し、後退時には弁体保持
筒21の前端で受止められる。
【0013】弁部20cには環状の補強板22が埋設さ
れ、これと入力杆17との間には、弁部20cを両弁座
191 ,192 に向って付勢する弁ばね23が縮設され
る。
【0014】また弁筒8の内面には、負圧室6に連なる
第1ポート241 が第1弁座191の外側で、また作動
室7に連なる第2ポート242 が同弁座191 の内側で
それぞれ開口する。また第2弁座192 の内側は弁体2
0及び弁体保持筒21の中空部を通して大気導入口14
と連通する。
【0015】而して、弁体20、弁ばね23及び第1,
第2弁座191 ,192 により制御弁13が構成され
る。
【0016】入力杆17及び弁体保持筒21間には、入
力杆17をその後退限に向って付勢する戻しばね25が
縮設される。入力杆17の後退限は、入力杆17に進退
調節可能に螺合したストッパ板26が後方延長筒3aの
端壁3b内面に当接することにより規制される。したが
って、ストッパ板26を回せば、ストッパ板26と入力
杆17との螺合位置が変わるので、入力杆17の後退限
を前後に調節することができる。この調節後のストッパ
板26の固定は、同じく入力杆17に螺合したロックナ
ット27の緊締により行なわれる。上記ストッパ板26
には、これが大気導入口14を閉塞しないように通気孔
28が穿設される。
【0017】弁筒8には、大気導入口14から弁筒8内
に取入れる空気を濾過するためのエアフィルタ29が入
力杆17を取巻いて装着される。このエアフィルタ29
は入力杆17及び弁筒8の相対変位を妨げないように適
度な柔軟性を有する。
【0018】さらに弁筒8には、その前面に開口する有
底の大シリンダ孔30と、この大シリンダ孔30の底面
から隆起する円筒状凸部31と、この凸部31を貫通す
る小シリンダ孔32とが設けられる。大シリンダ孔30
にはカップ状の出力ピストン33が摺動自在に嵌合さ
れ、またこの出力ピストン33内には、ゴム等の弾性材
34を充填して前記凸部31が摺動自在に嵌合される。
また小シリンダ孔32には、前記弁ピストン18の前端
面に突設された反力ピストン35が摺動自在に嵌合され
る。
【0019】出力ピストン33の前面には出力杆36が
突設されており、この出力杆36は前記マスタシリンダ
Mのピストン37に連接される。
【0020】さて、弁体保持筒21の弁筒8への取付構
造について図2ないし図4により説明する。図2は図1
における弁筒及び弁体保持筒部分の拡大図、図3は図2
の3矢視図、図4は要部の分解斜視図である。
【0021】弁筒8及び弁体保持筒21は、いずれも熱
可塑性または熱硬化性合成樹脂を材料として成形され
る。その際、弁筒8の内周面には、その周方向に等間隔
を置いて並ぶ複数個のH形溝40,40‥が形成され
る。各H形溝40は、弁筒8の開放端から始まってその
所定深さの位置で終わり弁筒8の周方向に並ぶ一対の軸
方向溝41,41と、これら両軸方向溝41,41の中
央部を相互に連通するように弁筒8の周方向に延びる周
方向溝42とから構成される。
【0022】一方、弁体保持筒21の外周面には、上記
H形溝40,40‥に対応してそれと同数のコ字形突条
43,43‥が形成される。各コ字形突条43は、対を
なす前記軸方向溝41,41に摺動自在に嵌合してそれ
らの終端41a,41aに当接する一対の軸方向突条4
4,44と、これら両軸方向突条44,44の後端相互
を一体に連結して前記周方向溝42に弾性係合する周方
向突条45とから構成される。
【0023】さらに弁体保持筒21の後端には、相隣る
コ字形突条43,43間に切欠46が設けられ、これに
よって周方向突条45の周方向溝42への係脱を可能に
する弾性が各周方向突条45周辺部に付与される。
【0024】再び図2おいて、角度θで示すように、互
いに嵌合する弁筒8の外周面及び弁体保持筒21の内周
面は、それぞれ前記弁体20の基端部20aとの所定の
密着部から後方(図では右方)開放端に向って拡径する
テーパ面に形成される。
【0025】次にこの実施例の作用について説明する。
先ず、負圧ブースタBの休止状態では、図1に示すよう
に、入力杆17は後退限に位置し、制御弁13では、弁
体20の弁部20cを第1及び第2弁座191 ,192
に着座させて作動室7を負圧室6及び大気導入口14の
いずれとも不通にした中立状態になっており、このよう
な制御弁13により、負圧室6には負圧導入管12を通
して供給された負圧源の負圧が蓄えられ、作動室7に
は、大気により適当に希釈された負圧が保持される。し
たがってブースタピストン4には、負圧室6及び作動室
7間に生じる気圧差により僅かな前進力が与えられる
が、この前進力と戻しばね15の弾発力とが釣合ってブ
ースタピストン4は後退限から僅かに前進したところで
停止している。
【0026】いま、車両を制動すべくブレーキペダル1
6を踏込み、入力杆17及び弁ピストン18を前進させ
れば、当初、ブースタピストン4は不動であるから、第
2弁座192 が弁部20cから直ちに離れて作動室7を
大気導入口14に連通させる。その結果、大気が大気導
入口14から第2弁座192 及び第2ポート242 を通
って作動室7に流入して該室7を大気圧にするので、負
圧室6及び作動室7間に生じた気圧差に基づく前進力を
得てブースタピストン4は戻しばね15の力に抗して前
進し、出力杆36を介してマスタシリンダMのピストン
37を前方へ駆動し、車両に制動力をかけることができ
る。
【0027】このような制動中、入力杆17と共に弁ピ
ストン18も前進し反力ピストン35を介して弾性材3
4に当接するが、その弾性材34は、出力杆36の作動
反力を出力ピストン33を介して受けて小シリンダ孔3
2側へ膨出変形し、反力ピストン35に上記反力の一部
を作用させるので、その力は弁ピストン18及び入力杆
17を介してブレーキペダル16側へフィードバックさ
れ、操縦者は出力杆36の出力、即ち制動力の大きさを
感知することができる。
【0028】次に、ブレーキペダル16への踏力を解放
すると、先ず入力杆17が戻しばね25の弾発力により
弁ピストン18と共に後退し、第2弁座192 を弁部2
0cに着座させると共に弁部20cを第1弁座191
ら大きく引き離すので、作動室7が第1及び第2ポート
241 ,242 を介して負圧室6と連通して両室6,7
間の気圧差が無くなる。したがってブースタピストン4
は戻しばね15の弾発力をもって後退し、マスタシリン
ダMの作動を解除していく。そして、入力杆17がスト
ッパ板26を延長筒3aの端壁3cに当接させる後退限
まで戻ると、ブースタピストン4は、一旦ダイヤフラム
5の突起5aをブースタシェル1の後壁に当接させる後
退限まで戻って、第1弁座191 を弁部20cに着座さ
せると共に弁筒8を第2弁座から僅かに離間させるの
で、第2ポート242 を通して再び作動室7に大気が導
入される。しかしながら、その大気導入により生じた気
圧差によってブースタピストン4が僅かに前進すると、
第2弁座192 及び弁部20c間の小間隙は無くなり、
制御弁13を当初の中立状態にする。こうして作動室7
には大気に希釈された負圧が保持され、負圧ブースタB
は図1の休止状態となる。
【0029】このような負圧ブースタBにおいて、弁筒
8に弁体保持筒21を取付けるには、先ず弁体20の基
端部20aを弁体保持筒21の保持溝21aに装着し、
その弁体20を先頭にして弁体保持筒21を弁筒8内に
その後方から嵌入する。このとき、弁体保持筒21の各
コ字形突条43において、軸方向突条44,44の前端
は周方向突条45よりも前方に位置しているので、最初
に軸方向突条44,44を弁筒8の各H形溝40の軸方
向溝41,41に嵌合させる。そして、これら軸方向突
条44,44及び軸方向溝41,41の嵌合の下で弁体
保持筒21を弁筒8内に更に嵌入すれば、コ字形突条4
3の周方向突条45が弁筒8の開放端に当接して一旦停
止する。そこで、適当な治具等によりコ字形突条43,
43‥の各後端を半径方向内方へ撓ませながら弁体保持
筒21を更に嵌入すると、軸方向突条44,44が軸方
向溝41,41の終端41a,41aに付き当ったと
き、周方向突条45は、自己の復元力により周方向溝4
2に自動的に係合し、これにより弁筒8からの弁体保持
筒21の離脱が阻止される。
【0030】ところで、周方向突条45及び周方向溝4
2の周方向位置は、それらの係合に先立って軸方向突条
44が軸方向溝41に嵌合することにより、確実に合致
させられるので、周方向突条45及び周方向溝42の係
合を容易、確実に行うことができる。また、その際、軸
方向突条44,44が軸方向溝41,41の終端41
a,41aに当接することにより、周方向突条45が周
方向溝42を行き過ぎるのを防止することができる。
【0031】さらに各コ字形突条43において、周方向
突条45は、その両端に一体に連結した一対の軸方向突
条44,44に補強されるため、大なる軸方向荷重にも
耐えることができ、折損の虞れがない。
【0032】さらに互いに嵌合する弁筒8の内周面及び
弁体保持筒21の外周面は前述のようにテーパ面に形成
されているので、弁体保持筒21を弁筒8に無造作に嵌
入しても、弁体20の基端部20aは弁筒8内周のテー
パ面に誘導されて弁筒8内周面との所定の密着個所に的
確にセットされ、損傷を受けることがなく、したがって
弁筒8内周面と弁体20間のシール状態を確保すること
ができる。しかも、弁体20及び弁体保持筒21は、弁
筒8への所定の固定位置に達するまでは弁筒8内周のテ
ーパ面と強く摩擦することがないから、その嵌入を容易
に行うことができる。
【0033】さらに弁筒8内周面の複数のH形溝40,
40‥は環状に連ならず、相互に独立しているから、弁
筒8の成形と同時にこれを容易に形成することができ、
これらH形溝40,40‥に係合するコ字形突条43,
43‥を弁体保持筒21に一体に形成したことゝ相俟っ
て製作費の低減を図ることができる。
【0034】
【考案の効果】以上のように本考案によれば、弁筒の内
周面には、弁筒の開放端から始まって軸方向に延び弁筒
の周方向に並ぶ一対の軸方向溝と、これら両案内溝の中
間部を互に連通する周方向溝とを形成し、また弁体保持
筒の外周面には、前記一対の軸方向溝にそれぞれ摺動自
在に嵌合する一対の軸方向突条と、これら両軸方向突条
の後端を互いに一体に連結して前記周方向溝に弾性係合
する周方向突条とを形成したので、弁体保持筒の弁筒へ
の嵌入時、最初に軸方向突条の軸方向溝への嵌合により
周方向突条の周方向溝との位置決めを行うことにより、
周方向突条の周方向溝への係合を容易、確実に行うこと
ができる。しかも、周方向突条は、その両端に結合した
一対の軸方向突条により補強されるので、大なる軸方向
荷重にも充分に耐え、折損の虞れがない。また、軸方向
及び周方向突条の弁体保持筒への一体形成によりサーク
リップ等の専用の押え部品が不要となり、コスト低減に
寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す負圧ブースタの縦断側
面図
【図2】図1における弁筒及び弁体保持筒部分の拡大図
【図3】図2の3矢視図
【図4】弁筒及び弁体保持筒の分解斜視図
【符号の説明】
B 負圧ブースタ 4 ブースタピストン 8 弁筒 13 制御弁 20 弁体 21 弁体保持筒 40 H形溝 41 軸方向溝 42 周方向溝 43 コ字形突条 44 軸方向突条 45 周方向突条

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブースタピストン(4)に前端部を結合
    して後端を開放した弁筒(8)に、その内周面に嵌合さ
    れて制御弁(13)の弁体(20)を保持する弁体保持
    筒(21)を取付ける取付構造であって、 弁筒(8)の内周面には、弁筒(8)の開放端から始ま
    って軸方向に延び弁筒(8)の周方向に並ぶ一対の軸方
    向溝(41)と、これら両軸方向溝(41)の中間部を
    互に連通する周方向溝(42)とを形成し、また弁体保
    持筒(21)の外周面には、前記一対の軸方向溝(4
    1)にそれぞれ摺動自在に嵌合する一対の軸方向突条
    (44)と、これら両軸方向突条(44)の後端を互い
    に一体に連結して前記周方向溝(42)に弾性係合する
    周方向突条(45)とを形成したことを特徴とする、負
    圧ブースタにおける弁筒への弁体保持筒取付構造。
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