JP2580522B2 - 振動吸収性木質ボード - Google Patents

振動吸収性木質ボード

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JP2580522B2
JP2580522B2 JP5281062A JP28106293A JP2580522B2 JP 2580522 B2 JP2580522 B2 JP 2580522B2 JP 5281062 A JP5281062 A JP 5281062A JP 28106293 A JP28106293 A JP 28106293A JP 2580522 B2 JP2580522 B2 JP 2580522B2
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resin
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徹 海老原
秀昭 高麗
修三 末吉
真理雄 外崎
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RINYACHO SHINRIN SOGO KENKYUSHOCHO
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RINYACHO SHINRIN SOGO KENKYUSHOCHO
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  • Building Environments (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた振動吸収性を有
し、床衝撃音の少ない振動吸収性木質ボードに関する。
【0002】
【従来技術】近年、ダニの発生など衛生的な面及び自然
志向から、床仕上げ材としてカーペットに替わり木質系
の仕上げ材(一般に「木質フローリング」と称される)
が集合住宅、戸建て住宅に多用されるようになってい
る。
【0003】ところが、この木質フローリングブームに
伴って、特に集合住宅などにおいて問題となる上階の歩
く音などが響くという騒音公害が発生し、社会的な問題
となった。
【0004】このため、木質フローリングである合板表
面にナラなどのツキ板を貼ったものに、更に制振ゴムシ
ート、樹脂発泡体などのクッション材を裏貼りした防音
性の床板が開発され、マンションなどの集合住宅、およ
び戸建て住宅の上階の床衝撃音対策のために用いられて
きている。木材は、金属材料に比べると振動吸収性能
(制振性能)に優れるが、防音床板、制振鋼板などのよ
うに、振動吸収材(制振材)を積層することにより振動
吸収性を持たせた材料は知られているが、これらの積層
構造の素材はその適用対象等において制約がある。しか
し、木質系ボードそれ自身の制振性能を高めた木質系の
素材は従来提供されていない。
【0005】また、合板、パーティクルボードなどの木
質の板材料が、床・屋根・壁下地材として住宅などに多
用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記した
床衝撃音問題を解決するためには、例えば床下地材等に
振動吸収性を持たせれば、床の遮音性能は著しく改善さ
れること、また、従来のパーティクルボード、ファイバ
ーボードなどの木質ボードと同様の強度的性質を有しか
つ振動吸収性を持つ木質ボードが開発されれば、下地ば
かりでなく多用な用途に利用出来ることから、ボード自
体が優れた振動吸収性をもつ木質系ボードを提供するこ
とを目的として本発明を開発したものである。
【0007】 上記の目的を達成する本発明よりなる振
動吸収性木質ボードの特徴は、厚さ0.2〜0.6mm
で長さ数mm〜70mmの木材小片の100重量部に対
して、1〜5mmの粒状に成形した合成樹脂素材からな
振動エネルギー吸収材を40〜150重量部含有する
と共に、これに木材小片の全乾重量に対して5〜15%
の接着剤を含有し、板状に熱圧成形されてなるところに
ある。
【0008】上記の木材小片(パーティクル)は、小径
木、工場廃材のほか、住宅解体材、廃パレットなどを原
料として得ることができ、その大きさは例えば厚さ0.
2〜0.6mm,長さ数mm〜70mm,好ましくは1
0〜30mm程度の大きさのものを、我国の原料事情、
製造ラインを考えると用いることができる。
【0009】上記振動エネルギー吸収材は、ブチルゴ
ム,ポリノルボルネン,ポリ塩化ビニル系の合成樹脂を
素材として製造することができるが、経済性、加工性か
らポリ塩化ビニル系樹脂が好ましく用いることができ
る。ポリ塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独重合体、
および塩化ビニルと酢酸ビニル、エチレンとの共重合体
などを素材として挙げることができる。またこの樹脂と
共に、可塑材,石油樹脂などを混合して用いることもで
きる。
【0010】これらの樹脂素材を用いて、押し出し加工
製造した後、例えば1〜5mm程度、好ましくは1〜2
mm程度の粒径として、上記の振動エネルギー吸収材と
することができ、木材小片100重量部に対して、4
〜150重量部の範囲で配合することができる。振動エ
ネルギー吸収材の配合量が少ないと、振動吸収性が十分
でないという問題があり、反対に配合量が多過ぎると強
度,剛性が低下するという問題を招いて好ましくない
で上記範囲とされる
【0011】振動エネルギー吸収材と共に配合される接
着剤としては、ユリア樹脂、ユリア−メラミン樹脂、フ
ェノール樹脂、イソシアネート樹脂系接着剤などを使用
することができ、特に好ましくはイソシアネート樹脂で
ある。この接着剤の添加量は、パーティクルの全乾重量
に対して5〜15%以下程度とすることがよく、通常1
0%程度の添加で良好な性能が得られる。
【0012】これらの各原料を用いて熱圧成形した木質
ボードの製造は、従来から知られている方法、例えば木
材小片(パーティクル),木材繊維(ファイバー)にユ
リア樹脂やユリア−メラミン共縮合樹脂接着剤などを添
加し熱圧成形して得られるパーティクルボード、ファイ
バーボードの製造法に準拠して行うことができる。
【0013】すなわち、その製造法を一例的に説明すれ
ば、木材チップよりリングフレーカで切削し調整した木
材小片(パーティクル)と、粒状の振動エネルギー吸収
材とを所定割合で混合し、この混合物に接着剤をブレン
ダー中で撹拌しながら噴霧塗布し、接着剤塗布後振動吸
収材が木材パーティクル中に均一に分散するようにフォ
ーミングし、熱圧締により成板することができる。
【0014】
【作用】本発明の木質ボードの制振性能は、振動エネル
ギーを吸収材自身が吸収して熱エネルギーに変換する能
力、すなわち、通常材料の粘弾性測定によって求められ
る損失係数(tanδ=損失弾性率(E”)/貯蔵弾性
率(E’))で表され、振動エネルギー吸収性は損失係
数が大きいほど良い。したがって、振動エネルギー吸収
材を多く含有した本発明の木質ボードは、優れた振動吸
収性を有する。また、振動エネルギー吸収材の含有程度
を制御することによって振動吸収の程度を選択出来る。
【0015】
【実施例】
実施例1 以下の素材を用い、以下の条件で振動吸収性の木質ボー
ドを製造した。
【0016】素材: 木材小片 …アカマツパーティクル(長さ約20mm、
巾4mm、厚さ0.5mm) 振動吸収材…ポリ塩化ビニル系樹脂(東ソー(株)社
製) 接着剤 …イソシアネート樹脂(NLE−4002:
日本化成(株)社製) 熱圧成形の条件 熱板温度180℃、圧締圧力35kg/cm2 とし、熱
圧時間10分で厚さ15mmのボードを成形した。
【0017】以上の方法により、比重が0.7で一定
で、振動ネルギー吸収材(制振材)の含有量を変えた種
々の木質ボードを作成し、これらの木質ボードの損失係
数の変化を測定した。結果を図1に示す。
【0018】この図1の結果から分かるように、制振材
含量が0の制振材を含まない対照ボードの損失係数に対
し、振動吸収材を分散含有した木質ボードの損失係数は
大きく、また制振材含量の増加に伴い大きくなる傾向を
示した。
【0019】また、振動エネルギー吸収材含量が40%
の木質ボードを、その比重を種々変化させて上記方法に
より製造し、その動的ヤング係数、損失係数を測定し
て、木質ボードの比重との関係を図2に示した。
【0020】この図2の結果から、本例の振動エネルギ
ー吸収材を含有する木質ボードのヤング係数は、ボード
比重の増加とともに直線的に大きくなること、損失係数
はボード比重によらず一定であり、対照ボードに比ベ優
れた振動吸収性を示すことが分かる。
【0021】実施例2 振動エネルギー吸収材の粒子径の違いによるボードの損
失係数の変化を確認するために、振動吸収材の粒径を変
えた他は実施例1と同様にして木質ボードを製造し、動
的弾性率、損失係数を測定した。結果を下記表1に示し
【0022】
【表1】
【0023】この表1から分かるように、粒子径が小さ
い方が木質ボードの制振性能は良好であることが分か
る。
【0024】
【発明の効果】本発明の木質ボードは、優れた振動吸収
性を持つので住宅の床、屋根、壁下地材として用いるこ
とにより、遮音性能など住宅の性能向上に寄与すること
ができるという効果があり、更に以下の効果を奏する。
【0025】 従来のパーティクルボードと同様の製
造工程で振動吸収性木質系ボードを製造できる。
【0026】 木材パーティクルと振動吸収材の混合
割合を変えることにより、制振性能(振動吸収性)の異
なるボードを製造できる。すなわち制振性能を制御でき
る。
【0027】 振動吸収材の粒子径を変えることによ
っても振動吸収性を変えることができる。
【0028】 振動吸収材の材質を変えることによっ
てもボードの性能を変えることができる。
【0029】 熱圧工程で混合したポリ塩化ビニル樹
脂が溶融するので、木材と塩ビの接着に寄与する。
【0030】 原料である木材パーティクルは、小径
木、工場廃材のほか、住宅解体材、廃パレットなどを原
料とすることができる。
【0031】 振動吸収材のポリ塩化ピニル系樹脂
は、農業用資材などの廃プラスチックを原料として製造
可能であるので、廃棄物処理間題など環境問題に貢献で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における木質ボードの比重を0.7で一
定とし、振動吸収材(制振材)の含有量を変えたときの
ボードの損失係数の変化を示した図、
【図2】本発明の実施例1の木質ボードにおいて、制振
材含量を40%とした木質ボードの動的ヤング係数、損
失係数とボード比重の関係を示した図。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さ0.2〜0.6mmで長さ数mm〜
    70mmの木材小片の100重量部に対して、1〜5m
    mの粒状に成形した合成樹脂素材からなる振動エネルギ
    ー吸収材を40〜150重量部含有すると共に、これに
    木材小片の全乾重量に対して5〜15%の接着剤を含有
    し、板状に熱圧成形されてなることを特徴とする振動吸
    収性、衝撃緩衝性を有する木質ボード。
  2. 【請求項2】 請求項1において、振動エネルギー吸収
    材が、ポリ塩化ビニル系の振動吸収材であることを特徴
    とする振動吸収性、衝撃緩衝性を有する木質ボード。
JP5281062A 1993-11-10 1993-11-10 振動吸収性木質ボード Expired - Lifetime JP2580522B2 (ja)

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