JP2579476B2 - 複合フイルタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、ホットラインとアースラインとの間に両端
が接続された共振器の複数段を、そのホットライン側で
順次に結合手段で接続して構成された複合フィルタに関
する。

（従来の技術） 第２図はバンドパスフィルタを２つ用いた分波器、合
成器、アンテナ共用器といった用途に用いられる従来の
複合フィルタの回路図である。第２図に示される複合フ
ィルタ10は送信用バンドパスフィルタ12と受信用バンド
パスフィルタ14とを有する。送信用バンドパスフィルタ
12は、一対の入力端子18a,18bおよび一対の出力端子20
a,20bを備える。受信用バンドパスフィルタ14も同様
に、一対の入力端子22a,22bおよび一対の出力端子24a,2
4bを備える。

送信用バンドパスフィルタ12は、一方の入力端子18a
と一方の出力端子20aとの間のホットライン26と、他方
の入力端子18bと他方の出力端子20bとの間にアースライ
ン28との間にその両端を接続された共振器（例えば誘電
体同軸共振器とかストリップライン共振器、以下同
様。）30の複数段を具備する。受信用バンドパスフィル
タ14は、一方の入力端子22aと一方の出力端子24aとの間
のホットライン32と、他方の入力端子22bと他方の出力
端子24bとの間のアースライン34との間にその両端を接
続された共振器36の複数段を具備する。

送信用バンドパスフィルタ12の共振器30の複数段は、
そのホットライン26側の入力端子18aと出力端子20aとの
間で結合手段としての結合容量35で順次に接続されてい
る。受信用バンドパスフィルタ14の共振器36の複数段も
同様に、そのホットライン32側の入力端子22aと出力端
子24aとの間で結合手段としての結合容量38で順次に接
続されている。

送信用バンドパスフィルタ12の出力端子20aは分岐部3
9を介して共通の入出力端子16に接続されており、同様
に受信用バンドパスフィルタ14の入力端子22aは分岐部3
9を介して共通の入出力端子16に接続されている。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、このような分波器に使用される複合フィル
タにあっては、第３図の減衰特性（横軸を周波数、縦軸
を減衰量）に示されるように例えば送信用バンドパスフ
ィルタ12の中心周波数をf1、受信用バンドパスフィルタ
14の中心周波数をf2とし、かつf1＜f2とした場合に次に
述べる問題点が指摘されている。

ここで、この問題点の指摘のために、受信用バンドパ
スフィルタ14における分岐部39からの該フィルタ14をみ
たときの入力インピーダンスを例にとって入力インピー
ダンスの性状について考察することにする。まず、受信
用バンドパスフィルタ14にある複数の共振器36は、その
等価回路が一般にインダクタンス素子とキャパシタンス
素子との並列回路で表されるので、フィルタ14の通過帯
域からみて信号の周波数が通過帯域より低域側か高域側
かでそれぞれ誘導性となったり容量性となったりする。
一方、共振器36や結合容量38の回路定数は所望のフィル
タ特性が得られるように設計した値になっている。

このような送信用バンドパスフィルタ12および受信用
バンドパスフィルタ14を第２図に示されるような複合フ
ィルタ10に用いた場合において、送信時では、送信信号
が送信用バンドパスフィルタ12の入力端子18a,18bに入
力される。そして、その送信信号は送信用バンドパスフ
ィルタ12を介してその出力端子20a,20bから出力されて
共通の入出力端子16に導かれる。

このような場合、受信用バンドパスフィルタ14は、誘
導性である共振器36と結合容量38とインピーダンスが打
ち消しあって、その入力インピーダンスはその低域、つ
まり送信用バンドパスフィルタ12の中心周波数付近にお
いてインピーダンスが小さくなっている。これでは、送
信用バンドパスフィルタ12の帯域通過特性が大きく変化
してしまって、共通の入出力端子16を介して所定の送信
信号をアンテナから正常に送信することができなくな
る。

このような問題点に鑑みて従来では次の２つの対策・
手段をたてていた。第１に受信用バンドパスフィルタ14
の入力端子22aと分波器の分岐部39との間の電気長をケ
ーブル等で変えることでその分岐部39から受信用バンド
パスフィルタ14を見た場合の入力インピーダンスを大き
くする手段である。

第２に送信用バンドパスフィルタ12を構成している回
路素子の回路定数を変えることで送信バンドパスフィル
タ12に対する受信用バンドパスフィルタ14の入力インピ
ーダンスの影響をなくす手段である。

しかしながら、第１の手段にあっては、ケーブル等の
余分な部品が必要となるからそれだけコスト高となるの
みならず全体の物理的サイズが大きくなってしまうとい
う欠点がある。

また、第２の手段にあっては、物理的サイズの大型化
を避けることができても、フィルタ単体としての特性の
確認が難しいために回路定数の調整が困難となる結果、
その調整に大変な手間と時間とを費やす必要があるとい
う欠点がある。

そこで、本発明はコスト的に有利でかつ物理的サイズ
も必要最少限で済むようにする一方で回路定数の調整を
容易にすることを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 前記目的を達成するため、本発明の複合フィルタにお
いては、第１フィルタと、前記第１フィルタの中心周波
数より高い中心周波数を有する第２フィルタとを有して
おり、前記第１フィルタは、複数の共振器を有し、かつ
これら共振器それぞれの一端側は初段から終段までホッ
トライン内で容量を介して互いに順次に接続されている
とともに、これら共振器それぞれの他端側はアースライ
ン内で互いに共通に接続され、かつ、前記複数の共振器
のうちの終段の共振器の一端側は容量を介して分岐部に
接続されており、前記第２フィルタは、複数の共振器を
有し、かつ、これら共振器それぞれの一端側は初段から
終段までホットライン内で容量を介して互いに順次に接
続されているとともに、これら共振器それぞれの他端側
はアースライン内で互いに共通に接続され、かつ、前記
複数の共振器のうちの初段の共振器の一端側はインダク
タンスを介して分岐部に接続されており、前記分岐部は
前記両フィルタで共用される入出力端子に直接接続され
てなり、前記分岐部からの第２フィルタの入力インピー
ダンスが、該第２フィルタの通過帯域よりも低域側にお
いて前記第２フィルタの前記初段の共振器の一端側と分
岐部との間に容量が接続されている場合よりも大きいイ
ンピーダンスになっていることを特徴としている。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明す
る。第１図は、本発明の実施例に係る複合フィルタ（用
途としてはアンテナ共用器）の回路図であり、第２図と
対応する部分には同一の符号を付している。第１図にお
いて、第２図と同一の符号の部分については名称を列記
するに止どめその詳細な説明は省略する。すなわち、12
は第１フィルタである送信用バンドパスフィルタ、14は
第２フィルタである受信用バンドパスフィルタ、16は共
通の入出力端子、18a,18bは送信用バンドパスフィルタ
の入力端子、20a,20bは送信用バンドパスフィルタの出
力端子、22a,22bは受信用バンドパスフィルタ14の入力
端子、24a,24bは受信用バンドパスフィルタの出力端
子、26,32はホットライン、28,34はアースライン、30,3
6は共振器、39は分岐部である。

このような構成において、本実施例のアンテナ共用器
として用いられる複合フィルタ40は、次の構成に特徴を
有している。すなわち、この複合フィルタ40の受信用バ
ンドパスフィルタ14のホットライン側入力端子22aと初
段の共振器36のホットライン側端部との間には、結合手
段としてインダクタンス素子42が設けられている。

このように外部回路との結合手段が、結合容量38から
インダクタンス素子42に変更、すなわち容量性から誘導
性に変更される結果、分岐部39から受信用バンドパスフ
ィルタ14をみた入力インピーダンスは、該フィルタ14の
通過帯域より低域側にある送信用バンドパスフィルタ12
の中心周波数f1付近側では大きいインピーダンスとな
る。

したがって、２つの異なった中心周波数f1,f2をそれ
ぞれ個別に有する送信用バンドパスフィルタ12と受信用
バンドパスフィルタ14とでアンテナ共用器を構成するに
当たり、中心周波数が低い送信用バンドパスフィルタ12
は従来構成のままとし、中心周波数が高い受信用バンド
パスフィルタ14は初段の共振器をインダクタンス素子42
を介在させて分岐部39に接続することになるから、それ
ぞれのバンドパスフィルタの入力インピーダンスは相手
側のバンドパスフィルタの中心周波数付近で大きいイン
ピーダンスとなる。その結果、それぞれのバンドパスフ
ィルタは送信用として受信用としてそれぞれの機能を発
揮することが可能となる。

つまり、本実施例の複合フィルタ40においては、受信
用バンドパスフィルタ14で中心周波数f2の受信信号を受
信するときは、分岐部39からみた送信用バンドパスフィ
ルタ12内の複数の共振器30の入力インピーダンスは、容
量性であり、この複数の共振器30のうちの終段の共振器
30と出力端子20aとの間に容量35が接続されているか
ら、中心周波数f2の受信信号の受信時においては、送信
用バンドパスフィルタ12の分岐部39からみた入力インピ
ーダンスは大きく、一方、分岐部39からみた受信用バン
ドパスフィルタ14の入力インピーダンスも大きいから、
両バンドパスフィルタ12,14はインピーダンス整合がと
れやすいので、受信信号を正常に受信できる。

そして、本実施例の複合フィルタ40においては、送信
用バンドパスフィルタ12で中心周波数f1の送信信号を送
信するときは、分岐部39からみた受信用バンドパスフィ
ルタ14内の複数の共振器36のうちの初段の共振器36と入
力端子22aとの間にインダクタンス素子42が接続されて
いるから、中心周波数f1の送信信号の送信時において
は、受信用バンドパスフィルタ14の分岐部39からみた入
力インピーダンスは大きく、一方、分岐部39からみた送
信用パンドパスフィルタ12の入力インピーダンスも中心
周波数f1においては大きいから、両バンドパスフィルタ
12,14はインピーダンス不整合が軽減されるので、送信
信号を正常に送信できることになる。

なお、受信用バンドパスフィルタ14においては終段の
共振器36のホットライン側端部と出力端子24aとの間の
結合手段としては容量結合であってもよく、あるいはイ
ンダクタンス素子44による結合であってもよい。

（発明の効果） 以上の実施例の説明からも明らかなように本発明の複
合フィルタによれば、第２フィルタが有する複数の共振
器のうちの初段の共振器の一端側をインダクタンスを介
して分岐部に接続して、分岐部からみた第２フィルタの
入力インピーダンスを、第２フィルタの通過帯域よりも
低域側においては、第２フィルタの初段の共振器の一端
側と分岐部との間に従来のように容量が接続されている
場合よりも大きいインピーダンスとなる構成にして第１
フィルタと第２フィルタとのインピーダンス不整合を軽
減したから、従来のようにインピーダンス不整合を軽減
して正常に送信動作を可能とするため、第１に受信用バ
ンドパスフィルタの入力端子と分波器の分岐部との間の
電気長をケーブル等で変えることでその分岐部から受信
用バンドパスフィルタを見た場合の入力インピーダンス
を大きくする手段とから、第２に送信用バンドパスフィ
ルタを構成している回路素子の回路定数を変えることで
送信用バンドパスフィルタに対する受信用バンドパスフ
ィルタの低入力インピーダンスの影響をなくす手段とか
が不要となり、その結果、第１の手段で必要とされてい
たケーブル等の余分な部品が不要となるからそれだけコ
ストの低減が可能でかつ全体の物理的サイズを小さくで
き、また、第２の手段のようにフィルタ単体としての特
性の確認が難しいために回路定数の調整が困難となって
その調整に大変な手間と時間とを費やす必要があるとい
うようなことがなくなり、コスト的に有利でかつ物理的
サイズも必要最小限で済む。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る係合フィルタの回路
図、第２図は第１図と同様の従来例の回路図、第３図は
バンドパスフィルタの減衰特性図である。 12は送信用バンドパスフィルタ、14は受信用バンドパス
フィルタ、16は共通の入出力端子、18a,18b,22a,22bは
入力端子、20a,20b,24a,24bは出力端子、26,32はホット
ライン、28,34はアースライン、30,36は共振器、42はイ
ンダクタンス素子。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第１フィルタ（12）と、前記第１フィルタ
   （12）の中心周波数より高い中心周波数を有する第２フ
   ィルタ（14）とを有しており、 前記第１フィルタ（12）は、複数の共振器（30）を有
   し、かつこれら共振器（30）それぞれの一端側は初段か
   ら終段までホットライン（26）内で容量（35）を介して
   互いに順次に接続されているとともに、これら共振器
   （30）それぞれの他端側はアースライン（28）内で互い
   に共通に接続され、かつ、前記複数の共振器（30）のう
   ちの終段の共振器（30）の一端側は容量（35）を介して
   分岐部（39）に接続されており、 前記第２フィルタ（14）は、複数の共振器（36）を有
   し、かつ、これら共振器（36）それぞれの一端側は初段
   から終段までホットライン（32）内で容量（38）を介し
   て互いに順次に接続されているとともに、これら共振器
   （36）それぞれの他端側はアースライン（34）内で互い
   に共通に接続され、かつ、前記複数の共振器（36）のう
   ちの初段の共振器（36）の一端側はインダクタンス（4
   2）を介して分岐部（39）に接続されており、 前記分岐部（39）は前記両フィルタ（12,14）で共用さ
   れる入出力端子（16）に直接接続されてなり、 前記分岐部（39）からの第２フィルタ（14）の入力イン
   ピーダンスが、該第２フィルタ（14）の通過帯域よりも
   低域側において前記第２フィルタ（14）の前記初段の共
   振器（36）の一端側と分岐部（39）との間に容量が接続
   されている場合よりも大きいインピーダンスになってい
   ることを特徴とする複合フィルタ。