JP2579318B2 - 布帛筒状体を用いた柱状硬化体の地中造成方法 - Google Patents

布帛筒状体を用いた柱状硬化体の地中造成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、土木、建築構造物を構築する際に用いられ
る布帛筒状体を利用した基礎杭の地中造成方法に関す
る。
(従来の技術) 従来、布帛筒状体のような袋状物を利用して、地中に
杭を造成する方法において、特開昭58−156620号公報の
ように、袋状物を中空管外周に装着させた状態で、地中
に挿入定着させる方法があった。また、注入方法におい
ては、前記特開昭58−156620号公報において、挿入完了
後、中空管を通して袋状物の底部より、コンクリート等
の水硬性材料を注入しながら、中空管を引上げ硬化体、
すなわち杭を造成するものであった。
(発明が解決しようとする問題点) 上記、従来技術において中空管の外周に袋状物が装着
されているため、予め掘削した孔中に挿入しても、直
接、周辺地盤に袋状物が接触するので、袋状物を破損し
てしまう危険性を有していた。更に、この方法におい
て、挿入された袋状物内にコンクリート等の注入材を注
入する際、袋状物の底部より、中空管を引上げながら注
入するので、工程が煩雑で,しかも注入時に袋状物内部
の注入圧を高めることが困難であり、袋状物の膨みが少
なく造成した硬化体と周辺地盤の密着性に劣るものであ
った。
(問題解決のための手段) 本発明は、上記、従来技術の欠点を解消すべくなされ
たもので、袋状物を地中に挿入し、定着させる際、安価
でかつ確実な方法を提供すると共に、簡便かつ高品質の
柱状硬化体を地中に造成することを目的とするものであ
る。
即ち、本発明は、地盤に円形の削孔1を形成したの
ち、この削孔中に、水平方向に延びた部材を有する定着
用アンカー2を先端部に装着した布帛筒状体3を、全長
にわたって開口部を有した形鋼4に沿って収納し、アン
カー2の水平に延びた部材を形鋼4の先端で押すことに
より、布帛筒状体3を削孔1内に挿入し、該筒状体3の
先端部10を定着用アンカー2にて掘削長以深に定着さ
せ、ついで、形鋼4を引上げて後、該筒状体の地上部開
放端より、水硬性材料を圧入することにより、該筒状体
を膨張させながら、略円柱硬化体を地中に形成すること
を特徴とする布帛筒状体を用いた柱状硬化体の地中造成
方法である。本発明では、予め掘削孔を設けて、形鋼を
挿入用ロッドとして用いて布帛筒状体を挿入するが、こ
のとき、挿入用ロッドとして用いる形鋼は全長にわたっ
て長さ方向に保護用となるフランジ部を有していると共
に開口部を有している。この開口部によって布帛筒状体
を施工現場で簡便に収納し易くしたものであり、孔壁が
崩壊して挿入用ロッドである形鋼内に泥土が進入しても
容易に摩擦を切ることができる。この理由で、挿入用ロ
ッドとして、みぞ形鋼、I形鋼、H形鋼のような形鋼を
使用する。
更に、形鋼は、開口部を有しているので、掘削長以深
に挿入用ロッドである形鋼を押込んだ際、掘削長以深部
に位置する形鋼の先端部の開口部より形鋼の凹部内に土
が進入して、挿入用ロッドである形鋼を引上げる際に、
この土圧により定着用アンカーが下方に押さえられて、
かつ形鋼であるが故に一辺が開口しており、布帛筒状体
と挿入用ロッドとの間の摩擦力によって上に上がるとい
う共上り現象を防止することができ、布帛筒状体の下端
を地中に確実に定着できる。
また、本発明で挿入用ロッドとして用いる形鋼は、第
4図に示すように、形鋼には3辺に部材が存在するため
に、削孔中に布帛筒状物を挿入する際に保護の役割を果
たしている。
上記のような効果を図を参照しながら説明する。第1
図(a)に示すように、挿入用ロッドである形鋼4に
て、定着用アンカー2の水平方向に延びた部材を押しな
がら、布帛筒状体3を掘削長以深8に押込む。すると形
鋼は開口部を有するので、この部分より掘削底部の土が
進入する。次ぎに第1図(b)に示すように、挿入用ロ
ッドである形鋼4を引上げる際、侵入したアンカー上部
の土は、定着用アンカー2を下方に押下げ、また、挿入
用ロッドである形鋼4と布帛筒状体3の隙間に侵入した
土は、脱落していく。しかるに、布帛筒状体は共上がり
をせずに定着できるのである。
また、定着用アンカー2は、挿入用ロッドである鋼材
4の引上げの際に、更には布帛筒状体内部に水硬性材料
を注入して膨張させる際に、定着用アンカー2と布帛筒
状体3の先端部が一体となって地中に定着させておく必
要がある。例えば、アンカーに孔を開けて布帛筒状体の
先端をこの穴に通してアンカーのプレートの穴との空間
部に接着剤等を用いて固着させる方法、あるいは、施工
現場にてアンカーの下端に布帛筒状体の先端をワイヤー
グリップ、ホースバンド等のストパーを用いて装着させ
る方法、更に、第3図に示すように、二対のL形鋼9で
布帛筒状体の先端部10を挟み、ボルト11で締付ける方法
等のいずれの方法でも良い。
また、定着用アンカー2の水平張り出し部等の大きさ
は、挿入時に周辺孔壁を崩壊させない大きさであること
が好ましい。更に、掘削長以深に押込んだ際に土圧を受
けやすいことが必要であるために、材質は剛性のある金
属製である平鋼がよい。
本発明で用いる布帛筒状体の素材としては天然繊維
(綿、麻など)、合成繊維(ナイロン、ポリエステル、
アクリル、ポリスチレン、ポリプロピレンなど)の繊維
材料、ゴム材料及び樹脂材料等からなる布帛製の筒状体
である。筒状体の外径は、10cm〜50cmであれば、注入時
に周辺地盤を押広げながら膨張するので地盤との密着性
が向上する。
また、地上より布帛筒状体に注入する水硬性材料は、
セメント系、石膏系、石灰系、ポゾラン系、スラグ系及
びその他の材料を単独あるいは組み合せて使用すること
ができる。しかし、経済性、流動性等の面からセメント
系のモルタルが最も望ましい。
更に注入方法は、筒状体の上部開放端よりポンプ圧入
する方法が最も簡便かつ迅速で経済的である。
なお、水硬性材料を注入することによって、筒状体が
充分膨張したかどうかの判定は、ポンプの圧力及び注入
量で行う。圧力は地盤によって異なるが、10〜50kg/cm2
程度が好ましい。
以下に本発明の施工手順を図面を参照しながら説明す
る。
まず地盤中に所定深度まで所定径の掘削を行い、削孔
を形成する。(第2図(イ))。次に、水平方向に延び
た部材を有する定着用アンカー2を先端部に装着した布
帛筒状体3を、形鋼4に収納し、該形鋼4の先端部でア
ンカー2の水平に延びた部材を押すことにより、布帛筒
状体3を削孔1内に挿入する(第2図(ロ))。
このようにして削孔中に挿入させ、所定深度に達した
ならば、挿入用ロッドである形鋼4の上端を機械力で押
込むか、回転させて掘削孔以深に定着させる(第2図
(ハ))。
ついで挿入ロッドである形鋼4を引上げ回収し、布帛
筒状体の挿入を完了する(第2図(ニ))。
次に、布帛筒状体の上部開放端より水硬性材料6を圧
入し(第2図(ホ))、布帛筒状体を膨張させながら柱
状硬化体の造成を完了する(第2図(ヘ))。
(実施例) 本発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。
まず第2図(イ)に示すように、地盤を掘削して、長
さ5、000m、外径200mmの掘削孔1を形成した。
ついで、第2図(ロ)に示すように、水平方向に延び
た部材を有する定着用アンカー2を先端部に装着した布
帛筒状体3を、形鋼4に収納し、該形鋼4の先端部でア
ンカー2の水平に延びた部材を押すことにより、布帛筒
状体3を削孔1内に挿入した。このときに使用した布帛
筒状体3は、長さ6,000mm、内径300mmのナイロン製織布
を用い、定着用アンカー2は第3図のものを使用し、挿
入用ロッドとしての形鋼4は、二辺の突出長さが65mm、
二辺間の距離が165mm、鋼材の厚みが6mmのみぞ形鋼を使
用した。
次に、第2図(ハ)に示すように、挿入用ロッドであ
る形鋼4を掘削長以深(地表部より5,200mmの地点)ま
で押込んだ後、第2図(ニ)に示すように、挿入用ロッ
ドである形鋼4を引上げて、布帛筒状体3の挿入と定着
を完了した。このとき、布帛筒状体3の共上がりは発生
せず、スムーズに挿入用ロッドである形鋼4を引上げる
ことができた。
次に第2図(ホ)に示すように、布帛筒状体3の上部
開放端より注入管5を通して水硬性材料6を圧入し、第
2図(ヘ)に示すように布帛筒状体3を膨張させて略円
柱状の硬化体7を地中に造成し、施工を完了した。この
ときの注入方法は、水硬異性材料6としてW/C=60%の
1:2モルタルを使用し、モルタルポンプにて注入した。
またモルタル圧入によって、ナイロン製織布の筒状体が
充分膨張したかの判断は、ポンプ圧入圧及びモルタル注
入量により行った。今回の場合、ポンプ圧入圧は15kg/c
m2、注入量は450リットルであり、この注入量は計算
上、筒状体の長さである6mの平均内径が310mmになった
ことに相当する。
後日、上記柱状体を引抜いた結果、ほぼ全長にわたっ
て膨張しており、平均300mmの柱状硬化体が造成された
ことが確認された。
(発明の効果) 使用する形鋼は、開口部を有しているので、掘削長
以深に挿入用ロッドである形鋼を押込んだ際、掘削長以
深部に位置する形鋼の先端部の開口部より形鋼の凹部内
に土が進入して、挿入用ロッドである形鋼を引上げる際
に、この土圧により定着用アンカーが下方に押さえられ
て、かつ形鋼であるが故に、一辺が開口しており、布帛
筒状体と挿入用ロッドとの間の摩擦力によって上に上が
るという共上り現象を防止することができ、布帛筒状体
の下端を地中に確実に定着できる。
従って、大型施工機械を用いたり、共上り防止装置を
新たに付加する必要がなく、施工管理が容易で、経済
性、施工性が向上する。
挿入用ロッドとして使用する形鋼には3辺に部材が
存在するために、円形の削孔中に布帛筒状物を挿入する
際に保護の役割を果たしている。それ故、布帛筒状体を
損傷させることなく挿入でき、布帛筒状体の膨みも充分
なものとなる。
挿入用ロッドである形鋼にて、定着用アンカーの水
平方向に延びた部材を押しながら、布帛筒状体を掘削長
以深に確実に押込むので、布帛筒状体の下端を地中に確
実に定着できる。
布帛筒状体に、水硬性材料を充填するために、水硬
性材料が直接地盤に接することがなく、良質の硬化体が
得られる。
水硬性材料は、地上部の筒状体の上部開放端よりポ
ンプ圧入することによって行われるため、施工が迅速か
つ簡便であり経済的である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明工法における布帛筒状体の定着方法及
び共上り防止効果の概略図で、(a)は挿入時に土が侵
入した状況、(b)は挿入ロッドである形鋼の引上げ時
に、アンカーを土が押している状況を示しているもので
ある。 第2図は、本発明の施工工程を示す概略図であり、
(イ)は地盤に形成した掘削孔、(ロ)は布帛筒状体の
よう挿入工程、(ハ)は挿入用ロッドである形鋼を掘削
長以深部に押込み、布帛筒状体の先端部を地中に定着さ
せた状況、(ニ)は挿入ロッドである形鋼の引上工程、
(ホ)は水硬性材料の注入工程、(ヘ)は布帛筒状体を
充分膨張させた本発明工法の完成図。 第3図は定着用アンカーの一実施例で、(a)は側面
図、(b)は平面図である。 第4図は挿入ロッドである形鋼の各種を布帛筒状体が収
納された状態で示す断面図であり、(a)はみぞ形鋼、
(b)はI形鋼、(c)はH形鋼である。 図中、1は掘削孔、2は定着用アンカー、3は布帛筒状
体、4は形鋼、5は注入管、6は水硬性材料、7は略円
柱硬化体、8は掘削長以深部、9はL形鋼を使用した定
着用アンカー、10は布帛筒状体先端部、11はボルトであ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地盤に円形の削孔1を形成したのち、この
    削孔中に、水平方向に延びた部材を有する定着用アンカ
    ー2を先端部に装着した布帛筒状体3を、全長にわたっ
    て開口部を有した形鋼4に沿って収納し、アンカー2の
    水平に延びた部材を形鋼4の先端で押すことにより、布
    帛筒状体3を削孔1内に挿入し、該筒状体3の先端部10
    を定着用アンカー2にて掘削長以深に定着させ、つい
    で、形鋼4を引上げて後、該筒状体の地上部開放端よ
    り、水硬性材料を圧入することにより、該筒状体を膨張
    させながら、略円柱硬化体を地中に形成することを特徴
    とする布帛筒状体を用いた柱状硬化体の地中造成方法。
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