JP2533884B2 - 柱状硬化体の施工方法 - Google Patents

柱状硬化体の施工方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、土木・建築物の基礎として用いられる杭状
物の施工方法に関するものである。
(従来技術と解決すべき課題) 従来より、可撓性筒状体と水硬性スラリーを用いて地
盤中に柱状硬化体を造成することは試みられていた。し
かし、可撓性筒状体を地盤中に挿入・設置するには地盤
の削孔工程と筒状体の押込み・挿入工程との二工程に分
割して段階的に行うものであったために、工程が煩雑
で、長時間の施工となっていた。
更に、地盤が砂質土地盤である場合には、孔壁が崩壊
し易く、筒状体の挿入が困難な場合が少なくない。それ
ばかりでなく、地盤中に礫等が混入する場合には、筒状
体の地盤中の挿入に際し、筒状体に欠陥部となり得るよ
うな傷が発生する等の問題を生じていた。
また、筒状体内部への水硬性スラリーの注入方法も、
例えば昭和61年1月6日付の建設技術新聞の記事のよう
に筒状体と同程度以上の長さの注入管を用いて底部より
注入管を徐々に引き上げつつ水硬性スラリーを注入しな
ければならず、やはり工程が複雑で実用性に欠け、しか
もスラリーの充填に際し、筒状体内のスラリー圧を高め
ることが困難であるために、筒状体の拡大膨張率も小さ
く、各部分に於ける膨張状態の信頼性も劣るものであっ
た。
本発明の目的は、従来技術の欠点を解消すべく、簡便
かつ確実に高品質の柱状硬化体を造成する方法を提供す
ることである。
(課題を解決するための手段) 本発明の柱状硬化体の造成方法は、使用する中空管が
可撓性筒状体の周長以下の外周長を有するものであり、
上部から下部まで略同径である状態の可撓性筒状体の閉
塞した先端部にアンカーを装着した状態で、先端部が閉
塞した該可撓性筒状体を内側に収納せしめた中空管を予
め掘削孔を造成すること無く地盤中の所定深度まで挿入
した後、該中空管のみを地上に引き上げた後、地盤中に
残存する該可撓性筒状体の上部開放端より水硬性スラリ
ーを圧入することによって、該筒状体を拡大膨張させ、
最終的に該中空管の外周長以上の外周長を有する柱状硬
化体を造成することを特徴とする施工方法である。
第1図に本発明による施工方法の概略を示し、第2図
にその一部の構造を詳細に示す。
本発明に用いられる可撓性筒状体1は、上部から下部
まで略同径の状態のものであり、先端が閉塞された構造
のものである。そして繊維、プラスチツクフイルム、金
属膜等の素材からなり、筒状体内部へのスラリー圧入に
際し、その内部圧力に耐え得る程度の引張強度を有する
筒状体が最も利用範囲が広い。
このように本発明に用いる可撓性筒状体1の先端は、
第2図に示すように、筒状体内部に充填するスラリーが
とどまるように、例えばホース・バンド・ひも・ワイヤ
ー等の閉塞具7を用いて閉塞しておく必要がある。閉塞
具7の材質及び閉塞方法については特に制約されるもの
ではない。
本発明で用いる中空管2は、可撓性筒状体の周長以下
の外周長を有するものである。素材としては地盤中への
挿入の際の荷重に耐え得るような素材強度を有するもの
であれば特に節約はない。また、取り扱い易さ等の理由
から、中空管2は円形・正多角形断面のものが好まし
い。
また、本発明で用いる中空管2は、第2図に示すよう
に、先端面に少なくとも可撓性筒状体1を通すための開
孔部6を有することが、後述するアンカー4の筒状体1
への取り付け作業性の点で好ましい。
更に、筒状体1の先端部付近には、該筒状体を地盤中
に定着するためのアンカー4が装着されている。このア
ンカー4の形状については特に制約はなく、アンカー4
の周辺部が、例えば第2図に示すように、中空管2の外
周より少なくとも一部突出し、筒状体1の引き上げの
際、そこに残り可撓性筒状体1の地中定着の機能を有す
るように構成されることが好ましい。
なお、可撓性筒状体1とアンカー4との連結方法につ
いても特に限定はないが、例えば第2図に示すように、
可撓性筒状体1の先端部を中空管2の先端の開孔部6か
ら引き出し、可撓性筒状体1の先端部付近の一部をアン
カー4に設けたバー13の穴等に通し、閉塞具7を利用し
て可撓性筒状体1の先端部を閉塞することにより可撓性
筒状体1とアンカー4とを連結する方法が、簡便であり
好ましい。このような連結方法による場合は、前述した
ように、アンカー4の周辺部が、例えば第2図に示すよ
うに、中空管2の外周より少なくとも一部突出した姿に
することにより、更には中空管2は可撓性筒状体の周長
以下の外周長を有するものであることにより、中空管2
が回転した場合でも、その回転に従って内部に収納され
た可撓性筒状体1も回転し、中空管2の回転による可撓
性筒状体1の捩じれが生じない。
なお、本発明において、可撓性筒状体1の中空管2内
への収納は、一般的には、中空管2の上部から行われる
が、後のスラリー注入工程を容易に行うために可撓性筒
状体1が捩じれないように収納しておくことが好まし
い。
更に、可撓性筒状体1の先端部に装着されたアンカー
4は、例えば第2図に示すように、中空管2を地盤中に
挿入する際に、中空管2の先端面に設けた開孔部6の間
隙から土粒子等が浸入しないように、該開孔部6をアン
カー4で密閉するようにセットすることが好ましい。
本発明による可撓性筒状体1を収納した中空管2を、
予め掘削孔を造成することなく地盤中に挿入するには、
軟弱な地盤の場合は中空管本体をそのまま機械力で押し
込むことも可能であるが、地盤がそれほど軟弱でない場
合には第1図(a)に示すように中空管2を回転させて
挿入を行う。
中空管2を回転しながら地盤中へ挿入する場合には、
中空管2の先端面にセットしたアンカー4の突出部分12
がビットの代用にもなり得るが、中空管本体の先端部付
近の外周面に1個以上のビット5を設置することが好ま
しい。
また、中空管2の引き上げ工程では、可撓性筒状体2
が回転しないように気をつけて引き上げることが好まし
い。
このようにして先端部が閉塞した可撓性筒状体2は先
端部にアンカーを装着した状態で、地盤中に残存するこ
とになる。
以上のようにして可撓性筒状体1の外径よりも小さな
径の中空管2を用いて可撓性筒状体1の挿入を行えば、
硬化体を造成しようとする地盤が砂質土地盤であって
も、孔壁の崩壊によって筒状体の挿入が不可能になるこ
とはなく、また、筒状態の挿入に際し、地盤中の礫等に
よって筒状体本体に欠陥部となりえるような傷の発生の
問題等も生じずに、迅速かつ確実に可撓性筒状体を地盤
中に挿入できる。
次にアンカーを装着した状態で地盤中に残存してい
る、先端部が閉塞した可撓性筒状体の上部開放端より圧
入する水硬性スラリーは、圧力注入を図れるものであれ
ば、セメント系、石膏系、石灰系、ポゾラン系、スラグ
系及びその他の材料を単独あるいは組み合わせて使用す
ることが可能であるが、経済性、流動性、強度特性等の
面からセメント系のモルタルやコンクリートが好まし
い。
この筒状体内部への水硬性スラリーの充填方法は、第
1図(c)に示す地上付近の該筒状体上部の開放端8よ
り、例えばポンプ等を用いて圧入する。このポンプ等を
用いての圧入方法が最も簡便かつ迅速で経済的である。
なお、筒状体内部に水硬性スラリーを高圧注入を図る
ために、ポンプのホース9の先端と該筒状体の上部開放
端8とはジョイント10で確実に連結することが好まし
い。このジョイント10として、一般にホース連結用に使
用されているピクトリツクジヨイントあるいはホースバ
ンド等を用いてもよい。またホース先端部にパツカーを
装着して一定の気密状態を保持することも可能である。
このように筒状体内部に水硬性スラリーが高圧注入で
きることにより、該筒状体を拡大膨張させ、最終的に該
中空管の外周長以上の外周長を有する姿に造成される硬
化体の形状を径の大きなものとでき、造成された硬化体
と地盤との密着性を高くすることができ、造成された柱
状硬化体の支持性能も優れたものとなる。
なお、本発明と異なり、可撓性筒状体の外径よりも小
さな径の中空管を用いて可撓性筒状体の挿入を行え中空
管内に筒状体を挿入し、中空管を引き上げつつ水硬性ス
ラリーを圧入すると、最初に中空管が取り除かれた筒状
体の下部部分が大きく膨張し、中空体の下部で膨張した
筒状体が中空管の下部に接する部分で、中空管の下端部
の存在により筒状体が損傷し、そこから水硬性スラリー
が漏れ、上部の筒状体を充分に膨張させることが不可能
になる。このように可撓性筒状体の外径よりも小さな径
の中空管を用いて可撓性筒状体1の挿入を行え中空管内
に筒状体を挿入し、中空管を引き上げつつ水硬性スラリ
ーを圧入した場合は、満足な柱状硬化体の造成は不可能
となる。
また、可撓性筒状体の外径よりも大きな径の中空管を
用いて可撓性筒状体の挿入を行え中空管内に筒状体を挿
入し、中空管を引き上げつつ水硬性スラリーを圧入した
場合は、可撓性筒状体の径が中空管の径よりも小さく、
中空管により乱された地盤の径よりもそれ程大きく筒状
体が膨張することができず、造成された硬化体と地盤と
の密着性がそれほど高くなく、造成された硬化体の支持
性能も小さなものとしかならない。
更に、上記したいずれの場合も、中空管を完全に引き
上げる前に、水硬性スラリーが注入されるので、中空管
内で筒状体が膨張し、中空管に内壁に完全に接する状態
になり、中空管の引き上げに非常に時間がかかり、施工
を迅速に実施することが不可能になる。
(実施例) 第1図に示すように、外径190.7mm,肉厚5.5mm,内周長
596mm,長さ5000mmの鋼管を第2図に示す中空管として使
用し、その内側に周長950mmの長さ5000mmの引張強度約2
00Kgf/cmのナイロン製筒状体を収納し、第2図に示すよ
うに該筒状体の先端部をホースバンドで閉塞させ、アン
カーを装着した。
中空管の先端外周面には、第2図に示すように、30×
50×9mmの鋼製ビットが取り付けられている。
このようにナイロン製筒状体を内部に収納した中空管
を回転しながら所定の一まで沈設した。その後、中空管
を回転せずにそのまま引き抜き、ナイロン製筒状体の底
部を所定の位置に設置した。
次いで、該ナイロン製筒状体の上部開放端にモルタル
ポンプに連結された注入ホースを取り付け、ポンプによ
り該筒状体内部にモルタルを注入し、モルタルが約500
注入された時点でポンプを止めた。このポンプ停止直
前の注入圧力は15Kgf/cm2であった。
なお、このモルタルは、セメント/砂の重量比が0.5,
水/セメントの重量比が0.6の通常使用されるモルタル
である。
後日、掘削調査した結果、径が約310mm、長さが5000m
mの柱状モタル硬化体が形成されていた。
なお、比較例として、実施例で用いた鋼管と形状と寸
法を持ち、かつ外周面にビットを有しているが先端面が
完全に閉塞された鋼管を用いて、予め地盤に掘削孔を設
け、その後、6×65×125mmの断面を有する長さ5000mm
の溝型鋼を用いて、実施例で使用したものと同様なアン
カーが先端部に付けられた実施例と同じナイロン製筒状
体を、該アンカーを該溝型鋼の先端に引っ掛けて、予め
設けた掘削孔内に挿入しようとしたが、先端部から約30
00mm付近までしか筒状体が挿入できず、高止まりしてし
まった。
本実施例及び比較例を行った地盤は、地盤調査の結
果、地表面から深度2〜3mにかけて軟弱な砂層が存在し
ていた。
比較例ではこの砂層部分が崩壊して、予め掘削した掘
削孔内が閉塞したため、3mまでしか筒状体の挿入を行う
ことができなかった。
(発明の効果) 本発明の柱状硬化体の造成方法は、使用する中空管が
可撓性筒状体の周長以下の外周長を有するものであり、
上部から下部まで略同径である状態の可撓性筒状体の閉
塞した先端部にアンカーを装着した状態で、先端部が閉
塞した該可撓性筒状体を内側に収納せしめた中空管を予
め掘削孔を造成すること無く地盤中の所定深度まで挿入
した後、該中空管のみを地上に引き上げた後、地盤中に
残存する該可撓性筒状体の上部開放端より水硬性スラリ
ーを圧入することによって、該筒状体を拡大膨張させ、
最終的に該中空管の外周長以上の外周長を有する柱状硬
化体を造成することを特徴とする施工方法であるので、
以下のような利点を有する。
可撓性筒状体の外径よりも小さな径の中空管の内部
に、中空管の径よりも大きな径の可撓性筒状体を収納し
ているので、筒状体内部に水硬性スラリーが高圧注入で
きることにより、該筒状体を拡大膨張させ、最終的に該
中空管に外周長以上の外周長を有する姿に造成される硬
化体の形状を径の大きなものとすることができ、造成さ
れた硬化体と地盤との密着性を高くすることができ、造
成された柱状硬化体の支持性能も優れたものとなる。
可撓性筒状体の外径よりも小さな径の中空管を使用
しているので、径が小さいだけその沈設圧が少なくて済
む。それにもかかわらず、に示したように優れた支持
力が得られる。
地盤中の所定深度まで挿入した後、中空管のみを地
上に引き上げた後、地盤中に残存する可撓性筒状体の内
部に水硬性スラリーを圧入する方法であるので、水硬性
スラリーの圧入により、下端が閉塞された筒状体を損傷
することなく、所定の大きさに膨張することができる。
更に、先端部が閉塞し、かつ上部から下部まで略同径で
ある可撓性筒状体を使用しているので、上記のように所
定の大きさに膨張することができる。
地盤中の所定深度まで挿入した後、中空管のみを地
上に引き上げた後、地盤中空管の引き上げの際に大きな
径を持つ筒状体内に水硬性スラリーが存在せず、中空管
の引き上げの際に大きな径を持つ筒状体が共上がりする
ことを防止できる。
予め掘削孔を造成すること無く、可撓性筒状体を内
側に収納せしめた中空管を地盤中の所定深度まで挿入す
るという一工程で筒状体の挿入・設置を行うため、施工
が簡単・迅速である。また、筒状体を高止まりなく、設
置できる。
可撓性筒状体の外径よりも小さな径の中空管を使用
し、中空管の径よりも大きな径の可撓性筒状体を中空管
の内部に収納して沈設し、中空管のみを地上に引き上げ
た後、地盤中に残存する可撓性筒状体の内部に水硬性ス
ラリーを圧入する方法であるので、所定位置への沈設に
際しても、水硬性スラリーの圧入に際しても、筒状体の
表面を磨耗、破損させることがなく、筒状体を所定の大
きさに膨張することができる。
このように本発明に従えば、所定の深度に底部が存
在した状態で造成された硬化体と地盤との密着性を高く
することができ、造成された柱状硬化体の支持性能も優
れたものとなる。しかもその施工は簡単かつ迅速に実施
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による柱状硬化体の施工の手順の一例を
示す図であり、(a)は削孔しながら挿入する工程、
(b)は中空管の引き抜き工程、(c)は可撓性筒状体
内部への水硬性スラリーの圧入工程を示し、(d)は硬
化後の柱状硬化体の概略図を示す。 第2図は、閉塞した先端部にアンカーを装着した可撓性
筒状体を内側に収納した中空管の一例を一部破断した姿
で示した側面図とその底面図である。 図中の符号は以下のとおりである。 1……可撓性筒状体、2……中空管 3……可撓性筒状体の先端閉塞部、4……アンカー 5……削孔用ビット、6……中空管の先端開孔部 7……筒状体の閉塞具、8……可撓性筒状体の上部開放
端 9……ポンプホース、10……ジヨイント 11……水硬性スラリーの硬化体、12……アンカーの突出
部分 13……アンカーに設けたバー

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】使用する中空管が可撓性筒状体の周長以下
    の外周長を有するものであり、上部から下部まで略同径
    である状態の可撓性筒状体の閉塞した先端部にアンカー
    を装着した状態で、先端部が閉塞した該可撓性筒状体を
    内側に収納せしめた中空管を予め掘削孔を造成すること
    無く地盤中の所定深度まで挿入した後、該中空管のみを
    地上に引き上げた後、地盤中に残存する該可撓性筒状体
    の上部開放端より水硬性スラリーを圧入することによっ
    て、該筒状体を拡大膨張させ、最終的に該中空管の外周
    長以上の外周長を有する柱状硬化体を造成することを特
    徴とする柱状硬化体の施工方法
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