JP2579149Y2 - シールド掘進機のスクリュウコンベヤ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は急曲線に沿って掘進が
可能なシールド掘進機のスクリュウコンベヤ装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来トンネルを掘削するシールド掘進機
には、急曲線に沿って掘進が可能なものがある。上記シ
ールド掘進機は、図１に示すようにシールド本体ａが例
えば２分割されていて、前部シールドｂと後部シールド
ｃの間がアーティキュレートジャッキｄにより屈曲自在
となっている。また前部シールドｂの前面には、回転自
在なカッタヘッドｅが設けられていて、このカッタヘッ
ドｅで掘削された土砂はチャンバｆ内へ取込まれた後ス
クリュウコンベヤｇによりチャンバｆ内より搬出され、
さらにベルトコンベヤなどの土砂搬送装置ｎにより後方
へ搬送されるようになっている。

【０００３】一方土圧式シールド掘進機では、チャンバ
ｆ内の土圧を保持するため、スクリュウコンベヤｇのケ
ーシングｈ内に土砂のプラグを形成している。プラグを
形成する方法としては、スクリュウコンベヤｇのケーシ
ングｈ後端を延長してプラグ形成ゾーンｉを形成し、さ
らにプラグ形成ゾーンｉの後端に開閉シリンダｊにより
上下方向へ開閉するゲートｋを設けたものが提案されて
いる。例えば実公平１−８６４０号公報など。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかし上記従来のよう
にスクリュウコンベヤｇのケーシングｈ後端を延長して
プラグゾーンｉを形成したものでは、急曲線施工すべく
図２に示すように前部シールドｂと後部シールドｃの間
を屈曲した場合、図３に示すように開閉シリンダｋやゲ
ートｋがトンネル内壁を覆工するセグメントｍと干渉し
てゲートｋが開放できず、土砂の搬出が困難となった
り、土砂の排土口の位置が土砂搬送装置ｎよりずれるた
め、排出された土砂が土砂搬送装置よりこぼれて飛散す
るなどの不具合があった。この考案は上記不具合を改善
するためになされたもので、排土口の設けられたゲート
部がセグメントと干渉しないようにしたシールド掘進機
のスクリュウコンベヤ装置を提供することを目的とする
ものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案は上記目的を達
成するために、アーティキュレートジャッキにより屈曲
自在な前部シールドと後部シールドよりなるシールド本
体の前部に回転自在なカッタヘッドを設けて、このカッ
タヘッドで掘削した土砂をチャンバ内へ取込んだ後、ス
クリュウコンベヤによりチャンバ内より搬出するように
したシールド掘進機において、上記スクリュウコンベヤ
のケーシング後端を延長してプラグ形成ゾーンを形成
し、かつこのプラグ形成ゾーンの後端に球面継手を介し
てゲート部を接続すると共に、ゲート部の排土口に開閉
シリンダにより開閉自在なゲートを設けたものである。

【０００６】

【作用】上記構成により急曲線施工時、球面継手よりゲ
ート部を屈曲させることにより、ゲート部がトンネル内
壁を覆工するセグメントと干渉することがないため、ゲ
ートの開閉に支障をきたすことがない。

【０００７】

【実施例】この考案の一実施例を図４以下に示す図面を
参照して詳述する。図４は急曲線施工が可能なシールド
掘進機の断面図、図５は図４のＡ−Ａ線に沿う断面図、
図６は図４のＢ方向からの拡大矢視図、図７はゲート部
付近の拡大断面図である。図４において１はシールド本
体で、前部シールド１ａと、後部シールド１ｂより構成
され、これらシールド１ａ、１ｂの間に設けられた複数
のアーティキュレートジャッキ２により屈曲自在となっ
ている。

【０００８】上記前部シールド１ａの前面には、カッタ
ヘッドモータ３により回転駆動されるカッタヘッド４が
設けられていて、このカッタヘッド４によりシールド本
体１の前方の切羽を掘削すると共に、掘削された土砂は
チャンバ１ｃ内へ取込まれた後スクリュウコンベヤ５に
よりチャンバ１ｃ内より搬出された後、ベルトコンベヤ
のような土砂搬送装置６により後方へ搬送されるように
なっている。

【０００９】一方上記スクリュウコンベヤ５は前端側が
低くなるよう傾斜するケーシング５ａと、このケーシン
グ５ａ内に設けられたスクリュウ５ｂよりなり、ケーシ
ング５ａの前端はチャンバ１ａ内に開口されている。ま
たケーシング５ａの後端側には駆動源８が設けられてい
て、この駆動源８により減速機９を介して上記ケーシン
グ５ａ内のスクリュウ５ｂが回転されると共に、ケーシ
ング５ａの後端は延長されてプラグ形成ゾーン５ｃが形
成されている。

【００１０】そしてこのプラグ形成ゾーン５ｃの後端
に、球面継手１０を介してゲート部１１が接続されてい
る。上記球面継手１０は図７に示すようにプラグゾーン
５ｃの端部外周に固着された球面リング１０ａと、この
球面リング１０ａの外周面に摺動自在に設けられた摺動
部材１０ｂよりなり、摺動部材１０ｂ内には泥水などが
漏れるのを防止するシール１２が設けられている。上記
摺動部材１０ｂはゲート部１１側に接続されていて、プ
ラグ形成ゾーン５ｃに対してゲート部１１が球面継手１
０により任意な方向へ回動自在となっていると共に、プ
ラグ形成ゾーン５ｃに突設されブラケット５ｄとゲート
部１１の間は、両側と上方に配置された複数のターンバ
ックル１３により連結されていて、これらターンバック
ル１３を調整することにより、ゲート部１１の方向が自
由に変えられるようになっている。

【００１１】一方上記ゲート部１１にはプラグ形成ゾー
ン５ｃより押し出された土砂を排出する排土口１１ａが
開口されていると共に、この排土口１１ａに複数の開閉
シリンダ１５により上下方向に開閉されるゲート１１ｂ
が設けられている。またゲート部１１には排土口１１ａ
より排出される土砂を土砂搬送装置６上へ案内するスカ
ート１６が取付けられている。

【００１２】次に作用を説明すると、直進掘進の場合
は、スクリュウコンベヤ５の軸線とゲート部１１の中心
軸が一致するようにターンバックル１３を調整する。こ
れによってスクリュウ５ｂによりケーシング５ａ内を搬
送される土砂は、プラグゾーン５ｃ内にプラグに形成さ
れた後、ゲート部１１の排土口１１ａよりゲート１１ｂ
の開放とともに土砂搬送装置６へ排出され、土砂搬送装
置６により後方へ搬送される。

【００１３】一方急曲線施工を行う場合は、急曲線に合
せて、球面継手１０よりゲート部１１を屈曲させる。す
なわちプラグ形成ゾーン５ｃとゲート部１１間を結合し
ているターンバックル１３を調整して、ゲート部１１が
トンネル内壁を覆工するセグメント１７と干渉しない方
向へ屈曲させる。そしてこの状態でアーティキュレート
ジャッキ２により前部シールド１ａと後部シールド１ｂ
の間を屈曲させて急曲線施工を行うもので、前後部シー
ルド１ａ、１ｂの間を屈曲させてもゲート部１１がセグ
メント１７と干渉することがないため、ゲート１１ｂが
自由に開閉できるようになる。

【００１４】

【考案の効果】この考案は以上詳述したように、スクリ
ュウコンベヤのケーシングを延長させて形成したプラグ
形成ゾーンとゲート部の間に球面継手を設けて、ゲート
部を任意な方向へ屈曲自在としたことから、急曲線施工
の際急曲線に合せてゲート部を屈曲させることにより、
ゲート部がトンネル内壁を覆工するセグメントと干渉す
るのを防止することができる。これによって急曲線施工
時ゲートが開閉できなくなることがないので、掘進作業
が能率よく行えると共に、排土口が土砂搬送装置上より
ずれることがないので、排土口より排出される土砂が土
砂搬送装置よりこぼれて周囲へ飛散することもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来のシールド掘進機の断面図である。

【図２】従来のシールド掘進機の作用説明図である。

【図３】従来のシールド掘進機の作用説明図である。

【図４】この考案の一実施例になるシールド掘進機の断
面図である。

【図５】図４のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図６】図４のＢ方向からの拡大矢視図である。

【図７】この考案の一実施例になるスクリュウコンベヤ
のゲート部付近の拡大断面図である。

【符号の説明】

１ シールド本体 １ａ 前部シールド １ｂ 後部シールド １ｃ チャンバ ２ アーティキュレートジャッキ ４ カッタヘッド ５ スクリュウコンベヤ ５ａ ケーシング ５ｃ プラグ形成ゾーン １０ 球面継手 １１ ゲート部 １１ａ 排土口 １１ｂ ゲート １５ 開閉シリンダ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 アーティキュレートジャッキ２により屈
   曲自在な前部シールド１ａと後部シールド１ｂよりなる
   シールド本体１の前部に、回転自在なカッタヘッド４を
   設けて、このカッタヘッド４で掘削した土砂をチャンバ
   １ｃ内へ取込んだ後、スクリュウコンベヤ５によりチャ
   ンバ１ｃ内より搬出するようにしたシールド掘進機にお
   いて、上記スクリュウコンベヤ５のケーシング５ａ後端
   を延長してプラグ形成ゾーン５ｃを形成し、かつこのプ
   ラグ形成ゾーン５ｃの後端に球面継手１０を介してゲー
   ト部１１を接続すると共に、ゲート部１１の排土口１１
   ａに開閉シリンダ１５により開閉自在なゲート１１ｂを
   設けてなるシールド掘進機のコンベヤ装置。