JP2577882B2 - 有色豆腐の製造方法 - Google Patents

有色豆腐の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は天然色素あるいは合成着色剤により着色され
た豆腐の製造方法に関する。
(従来の技術) 従来、豆腐は原料大豆を加水状態の基に磨砕した後、
煮沸すると共に濾過し、得られた豆乳を固形分濃度7〜
10体積%、比重1.0〜1.2、pH5.0〜5.4に調整し、凝固剤
を添加し、これを冷却・固化することにより製造されて
いた。
しかし、上記方法で得られる豆腐は、白色を呈し変化
に乏しいものであった。
そこで、磨砕時あるいは豆乳に着色剤を添加し、有色
豆腐を製造する方法が考えられるが、このように磨砕時
あるいは豆乳に着色剤を単に加えただけにあっては、着
色状態が部分的に塊まり、全体に均一に分散せず、全く
商品価値のない豆腐になる。
(問題を解決する手段) 本発明は、上記の如き問題点を解決すべく発明したも
ので、原料大豆から得られた豆乳を、固形分濃度10〜15
体積%、比重1.2〜1.5、pH5.5〜6.2に調整した状態で天
然色素または合成着色剤を添加し、次いで70〜75℃に加
熱して凝固剤を添加することを特徴とするものである。
斯くて前記のように固形分濃度10〜15体積%、比重1.
2〜1.5、pH5.5〜6.2に調整した豆乳に天然色素あるいは
合成着色剤を添加することにより、有色豆腐が作られる
のであって、pHを5.5〜6.2に調整したことにより溶解性
が増大すると共に固形分濃度を10〜15体積%と高濃度に
調整していることと相俟って加熱処理によるゲル化が可
能となる。
更に、このように豆乳を調整することにより、天然色
素等を添加した際、天然色素等の豆乳中でも均一分散が
可能となる。
従って、天然色素等を豆乳中に均一分散させたのち、
豆乳を固化させることができ、全体的に同一色調の豆腐
を得ることができる。
なお、天然色素を用いた場合、素材との馴染みが良好
で、均一な淡い色調を呈するが、合成着色剤の場合、天
然色素に比較して分散状態がやや劣っていた。
以下本発明の製造方法を詳細に説明する。
先ず原料大豆を水洗いして水浸漬する。この浸漬は通
常20℃で12〜15時間行うのであるが、季節により水温管
理が困難な場合は、吸水により、原料大豆の浸漬後の重
量が、浸漬前の重量の2.0〜2.5倍となるまで浸漬を行
う。
次いで浸漬大豆を磨砕する。この磨砕はなるべく迅速
に処理する。このとき原料大豆100重量部に対し300〜45
0重量部の水を添加する。又この磨砕時、更に、炭酸ナ
トリウム、炭酸カルシウム等を添加し、pH5.7〜6.0に調
整される。
更に、通常、グリセリン脂肪酸エステル系、その他食
用シリコン樹脂等の消泡剤が、原料大豆100重量部に対
し1〜3重量部、好ましくは2重量部添加される。具体
的には、理研ビタミン社から商品名Emulgy-Sで市販され
ている。
次いで、95〜100℃に加熱して3〜5分間煮沸する。
この加熱は、磨砕後の状態、即ち呉の状態で長く放置せ
ず、泡が消えれば直ちに行い、又呉内品温が均一となる
よう静かに攪拌する。
然る後木綿袋、麻袋、あるいはステンレス製ストレー
ナ−等で搾汁濾過して、豆乳を作る。なお、この濾過は
75〜90℃の温度範囲内で行うようにする。
上記の様にして得られた豆乳を、水を添加することに
より、固形分濃度10〜15体積%、比重1.2〜1.5となるよ
うに調整すると共に、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム
等を添加することにより、pH5.7〜6.2に調節しつつ、常
温(20〜25℃)にまで放冷する。
なお、上記固形分濃度は、下記の方法で測定されたも
のである。
まず、大豆蛋白を主成分とする固形分濃度が既知の豆
乳(株式会社紀文社製)を数種類(例えば、0.5体積
%、10体積%、15体積%、20体積%、30体積%)を用意
し、手持屈折計(例えば、ATAGO Co.,Ltd製 商品名「0
6-030-001 N−1型)を用いて、上記体積%が既知の豆
乳の屈折率を測定し、横軸に濃度(体積%)、縦軸に屈
折率としたグラフを作成する((0,0)を通る1次関数
となる)。
そして、測定したい豆乳の屈折率を、手持ち屈折計を
用いて測定し、上記作成したグラフから体積%を得る。
更に、天然色素又は合成着色剤を常温水に溶解し、得
られた溶解水を前記豆乳に添加する。この際、天然色素
又は合成着色剤の添加量が、豆乳中、0.3〜3重量%と
なるように、溶解水の天然色素又は合成着色剤濃度を調
整するのが望ましい。
なお、この添加は短時間で全体の均一に拡散するよう
に行うのが望ましい。
豆乳の主成分である大豆蛋白質の溶解性はpHに大きく
影響され、例えば水抽出処理下でのpHによる溶解性およ
びゲル強度、保水性はpH4〜5で最小値を示すことにな
る。又、大豆蛋白質をゲル化させるには、豆乳の固形分
濃度が8体積%以上で70〜75℃以上の加熱処理が必要で
ある。そのため、上記のように豆乳のpHを5.7〜6.2に調
整して、天然着色剤又は合成着色剤が、豆乳中、全体的
に均一に分散するようにしていると共に、豆乳中、固形
分濃度を10〜15体積%に調整して、70〜75℃の加熱によ
る固化を可能にしているものである。
前記天然色素としては、「くちなし」より抽出して精
製された「クチセン」、「ざくろ」より抽出して精製さ
れた「ゼニポサイド」、「しそ」汁液を濃縮して得られ
た「マローニシソニン」、コチニール色素から得られる
「カルミン酸」、「かんきつ」類の原液もしくは濃縮液
から得られた黄色系の天然色素、「キウィフルーツ」類
の原液もしくは濃縮液から得られた緑色系の天然色素、
「茶」の抽出液から得られた緑色系の天然色素等が用い
られる。なお、この天然色素の粉末及び微細切片を混入
添加すべくしてもよい。
これらの天然色素を得る方法は、果実種子、葉等を、
アルコールや有機溶媒に浸漬し、色素を抽出し、その後
アルコール等を加熱等により除去し、得る方法の他、果
実種子、葉等を、特殊な菌を用いて腐食させ、これをア
ルコールや有機溶媒に浸漬し、色素を抽出し、その後ア
ルコール等を加熱により除去し、得る方法等が挙げられ
る。
一方合成着色剤としては、豆類加工品に使用許可され
ている色素剤が用いられ、例えば、食品赤色3号(別名
「エリスロシン」、C20H6Na2O5I4・H2O)、食用赤色104
号(別名「フロキシン」、C20H2Na2O5Br4Cl4)、食用赤
色105号(C20H2Na2O5I4Cl4)、食用黄色5号(1−フェ
ニルアゾ−2−ナフトール−4′,6−ジスルホン酸ジナ
トリウム)、食用青色2号(別名「5,5′−インジゴチ
ンジスルホン酸ジナトリウム」C16H8Na2N2O8S2)、β−
カロチン(C14H56)等が挙げられる。
なお、この天然色素又は合成着色剤とを併用してもよ
い。
次いで天然色素又は合成着色剤を添加した豆乳を、炭
酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の添加により、pH5.5
〜5.7に調整した状態で、70〜75℃に加熱しつつ、該豆
乳に、更に硫酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコノ
デルタラクトン等の凝固剤を、豆乳100重量部に対し、
0.5〜1.5重量部添加し、均一の混合すべく強く攪拌した
後、10〜15分静置する。
この後型詰を行う。型詰はサンドイッチ状に混入静置
して固化させたり、又適宜形状の型枠内に充填静置して
固化する。この時静置したまま固化させることにより、
絹ごし豆腐が得られ、加圧(通常1.5〜3kg)して固化さ
せることにより、もめん豆腐が得られるのである。な
お、前記のごとくサンドイッチ状に混入して型詰を行う
場合、各層ごとに色を変えることにより、豆腐料理によ
り一層の変化を与えうるものである。
(実施例1) 原料大豆200重量部を水洗い後、重量が2.2倍となるま
で水に浸漬した。
次いで、得られた浸漬大豆を磨砕した。このとき650
重量部の水及び消泡剤(理研ビタミン社製 商品名Emul
gy-S)を6重量部添加した。
この際、炭酸カルシウムを4重量部添加し、pHを6に
調整した。次いで、100℃に加熱して5分間煮沸した。
その後、80℃以下で木綿袋を用いて搾汁濾過して、豆乳
を得た。
得られた豆乳の固形分濃度は11体積%、比重は1.3、p
Hは6であった。
得られた豆乳に、豆乳100重量部に対して、くちなし
から抽出された黄色系の天然色素を0.3重量部を添加し
た後、73℃に保持しつつ凝固剤としてグルコノデルタラ
クトンを0.5重量部添加し、均一に混合すべく強く攪拌
した後、10分間放置した。
これを、型詰し固化させて豆腐を得た。
得られた豆腐は、黙視観察したとことろ部分的に色調
が固まったところもなく、均一に着色されていた。
(比較例1) 炭酸カルシウムの添加量を添加しないこととした以外
は実施例1と同様にして豆腐を得た。
得られた豆乳の固形分濃度は11体積%、比重1.3、pH
4.5であった。
得られた豆腐を黙視観察したところ、色むらが発生し
ており美観に劣るものであった。
(比較例2) 炭酸カルシウムの代わりに10重量%NaOH(aq)を4重
量部添加した以外は実施例1と同様にして豆腐を得た。
得られた豆乳の固形分濃度は11体積%、比重1.3、pH
6.7であった。
得られた豆腐を黙視観察したところ、着色は薄く色調
も不均一であり美観に劣るものであった。
(比較例3) 浸漬大豆へ添加した水量を910重量部とした以外は実
施例1と同様にして豆腐を得た。
得られた豆乳の固形分濃度は7体積%、比重0.9、pH6
であった。
得られた豆腐を黙視観察したところ、着色は薄く色調
も不均一であり美観に劣るものであった。
(比較例4) 浸漬大豆へ添加した水量を550重量部とした以外は実
施例1と同様にして豆腐を得た。
得られた豆乳の固形分濃度は18体積%、比重1.5、pH6
であった。
得られた豆腐を黙視観察したところ、色調が不均一で
あり美観に劣るものであった。
(発明の効果) 以上説明した如く本発明によるときは、白一辺到であ
った豆腐を着色することができ、所謂ファッショナブル
な豆腐として提供することができ、豆腐料理に変化を与
え得るに至ったのである。
又、前記の如く、豆腐を着色するにあたって、色調が
部分的に塊まったりするようなことがなく、全体として
淡い色調で色彩効果の高い豆腐が得られるのである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料大豆を加水状態の基に磨砕した後、煮
    沸すると共に濾過して豆乳を作り、この豆乳を、固形分
    濃度10〜15体積%、比重1.2〜1.5、pH5.5〜6.2に調整し
    た状態で天然色素または合成着色剤を添加し、次いで70
    〜75℃に加熱して凝固剤を添加し、然る後冷却・固化す
    ることを特徴とする有色豆腐の製造方法。
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