JP2576205B2 - 4輪駆動車の前後輪差動制御装置 - Google Patents

4輪駆動車の前後輪差動制御装置

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JP2576205B2
JP2576205B2 JP17020888A JP17020888A JP2576205B2 JP 2576205 B2 JP2576205 B2 JP 2576205B2 JP 17020888 A JP17020888 A JP 17020888A JP 17020888 A JP17020888 A JP 17020888A JP 2576205 B2 JP2576205 B2 JP 2576205B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、4輪駆動車の前後輪差動制御装置に係り、
特に、前後輪の回転数を検出する手段と、該前後輪の回
転数の差を求める手段と、を備え、前記前後輪の回転数
の差が所定値以上のときに前後輪の差動を制限するよう
に構成した4輪駆動車の前後輪差動制御装置の改良に関
する。
【従来の技術】
4輪駆動車の前後輪差動制御装置としては、 2輪駆動状態及び4輪駆動状態のいずれかを差動制
御クラツチによつて切換え可能としたもの、 2輪駆動状態〜4輪駆動状態を伝達容量可変の差動
制御クラツチによつて段階的又は連続的に切換え可能と
したもの、 前後輪間にセンタデフアレンシヤル装置を備え、そ
の差動の許可又は禁止のいずれかを差動制御クラツチに
よつて切換え可能としたもの、 前後輪間にセンタデフアレンシヤル装置を備え、そ
の差動の許可〜制限(禁止を含む)状態を伝達容量可変
の差動制御クラツチによつて段階的又は連続的に切換え
可能としたもの、 等が提案されている。 これらの前後輪差動制御装置を具体的に制御する場
合、a)車両の全走行時、又はほとんどの走行時に、前
記前後輪の差動を制限あるいは禁止し、この差動制限あ
るいは禁止を車両の走行状態に応じて適宜に解除(又は
制限の程度を変更)するように構成することができる
又、b)通常時においては前後輪の差動が可能な状態に
維持して置き、車両の走行状態に応じて適宜に該前後輪
の差動を制限するように構成することもできる。 車両の走行状態に応じて前後輪の差動を制御する例と
しては、例えば前後輪の一方がスリツプした場合に、前
後輪の差動を制限して当該スリツプを抑えるという技術
が提案されている(特開昭63-87319)。 この特開昭63-87319においては、車両がスリツプ状態
にあるかどうかを検出するために、単に前後輪の回転数
の差を検出するだけでなく、前後輪の回転数のいずれか
小さい方が所定値以下という条件を付している。これは
次の理由によつている。一般に、前後輪のタイヤの動的
有効半径は、前後輪にかかる荷重の差、タイヤの空気圧
の差、摩耗の程度の差、あるいはチエーンの装着等によ
り若干異なつてくる。高速走行時においては、このタイ
ヤの有効径の差に起因した差動がかなり大きくなること
がある。従つて、もし一般走行時まで含んで前後輪の回
転数の差のみによつてスリツプを検出するようにした場
合、このようなタイヤの有効径の差に起因した差動が発
生しているときに差動制限が実行されないようにするた
め、スリツプと判定する際の閾値をかなり高く設定せざ
るを得ず、スリツプが実際にかなり発生した後でなけれ
ば差動制限を実行できないことになる。特開昭63-87319
は、この不具合を防止するために、前後輪の回転数のい
ずれか小さい方が所定値以下であるという条件を付加
し、発進時におけるスリツプをより早期且つ適性に検出
できるようにしているものである。 なお、この特開昭63-87319には、このようにして前後
輪の差動が実施された後、前後輪の回転数のいずれもが
所定値以上になつたときには該前後輪の差動を低減する
という技術が併せて開示されている。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特開昭63-87319で開示された技
術は、この制御自体特に不具合はないものの、万一、例
えば前後輪の回転数のうちの一方のセンサ系が故障した
場合は、一般走行中においても前後輪の回転数のいずれ
かが零、即ち所定値以下であり、且つ、前後輪の回転数
の差が所定値以上という条件が満足されてしまうという
不具合があつた。このような状態が例えば旋回中に発生
すると、差動制限によつてタイトコーナブレーキング現
象が発生してしまうことになる。
【発明の目的】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたも
のであって、スリツプ時における前後輪の差動制御を適
正に実行しながら、且つ、万一センサ系にトラブルが発
生したような場合であつても、不測のときに差動制限が
実行されたりするのを防止することのできる4輪駆動車
の前後輪差動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1図にその要旨を示す如く、前後輪の回
転数を検出する手段と、該前後輪の回転数の差を求める
手段と、を備え、前記前後輪の回転数の差が所定値以上
のときに前後輪の差動を制限するように構成した4輪駆
動車の前後輪差動制御装置において、前記前後輪の回転
数のいずれか大きい方が所定値以上の場合には、前記前
後輪の回転数の差が所定値以上のときの前後輪の差動の
禁止する手段と、を備えたことにより、上記目的を達成
したものである。
【発明の作用及び効果】
前後輪の回転数の差が所定値以上のとき、前後輪のス
リツプを抑えるべく前後輪の差動が制限される。この場
合、本発明においては、前後輪の回転数のいずれか大き
い方が所定値以上であつたときには、この差動制限が禁
止される。これにより高速走行中において回転数センサ
の故障により前後輪の回転数のいずれか一方が零である
と誤検出されたときに、差動制限制御の実行条件が成立
してしまうのを防止することができるようになる。即
ち、例えば、スリツプ制御(差動制限制御)の最も必要
となる発進時におけるスリツプの場合、スリツプしてい
る側の回転数は車速換算にしてそれ程高くなるものでは
ない。従つて、例えば、この所定値を40km/hに設定する
ことにより、40km以上で前後輪いずれかのセンサ系に故
障があつたとしても、スリツプ制御(差動制限制御)の
実行条件が成立してしまうのを防止することができる。
【実施例】
以下添付の図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説
明する。 第2図は本発明に係る4輪駆動車の前後輪差動制御装
置が適用された車両用4輪駆動装置を示すスケルトン図
である。 この4輪駆動装置は、エンジン10、自動変速機20、セ
ンタデフアレンシヤル装置30、フロントデフアレンシヤ
ル装置40、トランスフア装置50、リヤデフアレンシヤル
装置60、差動制御クラツチ70、制御装置80、及び各種入
力系90を備える。 エンジン10は車両の前部に横置きにされている。エン
ジン10の出力は自動変速機20に伝達される。 自動変速機20は、流体式トルクコンバータ21及び補助
変速部22を備え、油圧制御部23によつて前進4段、後進
1段の変速段を自動的に切換える周知の構成とされてい
る。前進4段のうちの最高速段(第4速段)はオーバー
ドライブ段となつている。油圧制御部23は、制御装置80
の指令によつて制御される。自動変速機20を経た動力は
出力ギヤ24を介してセンタデフアレンシヤル装置30の入
力ギヤ31に伝達される。 センタデフアレンシヤル装置30は、この入力ギヤ31と
一体化されたデフアレンシヤルケース32を備える。デフ
アレンシヤルケース32には、周知の噛合構成によりピニ
オン軸33、2つの差動ピニオン34、35、後輪出力用サイ
ドギヤ36及び前輪出力用サイドギヤ37が取付けられてい
る。後輪出力用サイドギヤ36はトランスフア装置50のト
ランスフアリングギヤ51に連結されている。前輪出力用
サイドギヤ37は、中空の前輪駆動軸41に連結されてい
る。 フロントデフアレンシヤル装置40は、この前輪駆動軸
41と一体化されたデフアレンシヤルケース42を備える。
このデフアレンシヤルケース42には周知の噛合構成によ
りピニオン軸43、2つの差動ピニオン44、45、左側前輪
出力用サイドギヤ46及び右側前輪出力用サイドギヤ47が
取付けられている。左側前輪駆動用サイドギヤ46には左
側前輪車軸48が、又、右側前輪出力用サイドギヤ47には
右側前輪車軸49がそれぞれ連結されている。 一方、トランスフア装置50は、センタデフアレンシヤ
ル装置30の後輪出力用サイドギヤ36に連結されたトラン
スフアリングギヤ51、このトランスフアリングギヤ51と
噛合するドリブンピニオン52、このドリブンピニオン52
とプロペラシヤフト53を介して一体的に回転するトラン
スフア出力回転ギヤ54を備える。トランスフア出力ギヤ
54はリヤデフアレンシヤル装置60に連結されている。 リヤデフアレンシヤル装置60は、トランスフア出力ギ
ヤ54と噛合するリングギヤが一体的に形成されたデフア
レンシヤルケース61を備える。このデフアレンシヤルケ
ース61には、周知の噛合構成によりピニオン軸62、2つ
の差動ピニオン63、64、左側後輪出力用サイドギヤ65及
び右側後輪出力用サイドギヤ66が取付けられている。左
側後輪出力用サイドギヤ65は左側後輪車軸67に、右側後
輪出力用サイドギヤ66は右側後輪車軸68にそれぞれ連結
されている。 差動制御クラツチ70は、前記センタデフアレンシヤル
装置30の入力部材であるデフアレンシヤルケース32と該
センタデフアレンシヤル装置30の出力部材である前輪駆
動軸41とをトルク伝達関係に接続するものである。この
差動制御クラツチ70は、湿式の多板クラツチ部71及びこ
れを制御する油圧制御部72とから主に構成されている。 第3図に示されるように、多板クラツチ部71には油圧
サーボ部73が付設されている。この油圧サーボ部73の油
室74にサーボ油圧が供給されるとサーボピストン75がリ
ターンスプリング76のバネ力に抗して図中右方へ移動す
る。これによつて多板クラツチ部71が押圧され、該多板
クラツチ部71を介してデフアレンシヤルケース32と前輪
駆動軸41とがトルク伝達関係に接続される。又、油室74
に供給されるサーボ油圧の増減に応じてその伝達トルク
容量が比例的に増減される。油圧サーボ部73の油室74に
対するサーボ油圧の供給は油圧制御部72によつて行われ
る。油圧制御部72の構成は未公知であるため、以下に詳
細に説明する。 第4図〜第7図にこの油圧制御部72の構成を示す。 第4図〜第7図において、符号160が調圧弁、190が第
1切換え弁、210が第2切換弁、SD1及びSD2はこれら第
1、第2切換え弁190、210を切換えるための電磁弁をそ
れぞれ示している。 調圧弁160は、段付のスプール162を有する。又、この
調圧弁160は、入口ポート164、ドレンポート165、第
1、第2ブーストポート166、168、フイードバツクポー
ト170、及び出口ポート174を備える。 調圧弁160の入口ポート164には、ライン圧供給油路15
8よりエンジン10の負荷に応じて増減する一般的なライ
ン油圧が常に供給される。又、第1ブーストポート166
にもライン油圧供給油路158よりライン油圧が常に供給
される。これに対し、第2ブーストポート168には後述
の第1切換え弁190及び第2切換え弁210を介してライン
油圧が選択的に供給されるようになつている。又、フイ
ードバツクポート170には、絞り178を有する油路176に
よつて出口ポート174の出口油圧がフイードバツク供給
される。 調圧弁160は、スプール162に作用する図中上向きの力
と下向きの力とのバランスに応じて、入口ポート164及
びドレンポート165の出口ポート174に対する連通度合が
制御される。この連通度合の制御により、入口ポート16
4からのライン油圧が調圧され、この調圧された油圧、
即ちモジユレート油圧が出口ポート174から取出され
る。スプール162に作用する図中上向きの力は、第1ブ
ーストポート166及び第2ブーストポート168に与えられ
る油圧によつて発生される。又、スプール162に作用す
る図中下向きの力は、フイードバツクポート170に与え
られる油圧及び圧縮コイルバネ172のバネ力によつて発
生される。 第1ブーストポート166にのみライン油圧が供給され
ているときには、第8図に示されるような油圧特性のモ
ジユレート油圧Pm2が出口ポート174に発生され、第1ブ
ーストポート166に加えて第2ブーストポート168にもラ
イン油圧が供給されているときには(同一スロツトル開
度のときに)前記モジユレート油圧Pm2より高いモジユ
レート油圧Pm1が出口ポート174に発生される。 調圧弁160の出口ポート174は、油路180によつて第1
切換え弁190の第2入口ポート194に接続されている。 第1切換え弁190は、パイロツトポート196に油圧が供
給されているか否かによつてスプール192が上下動し、
各ポート194、200、202、204、206の接続関係を切換え
るものである。 パイロツトポート196には油路184よりライン油圧がそ
の途中に設けられた電磁弁SD2の開閉に応じて選択的に
供給されるようになつている。油路184の途中には絞り1
88が設けられている。これにより、電磁弁SD2がOFFとさ
れ、これが閉弁状態であるときにはライン圧供給油路15
8からのライン油圧が油路184を経てパイロツトポート19
6に与えられる。又、電磁弁SD2がONとされ、これが開弁
状態であるときには油路184のライン油圧はドレンさ
れ、パイロツトポート196には実質的な油圧は与えられ
なくなる。 パイロツトポート196に油圧が供給されているときに
は、第4図及び第5図に示されているように、スプール
192が圧縮コイルバネ198のバネ力に抗して図中下方に移
動させられる。そのため、第1入口ポート(油路182か
らライン油圧が供給されるポート)200が閉じ、第2入
口ポート(油路180からモジユレータ油圧が供給される
ポート)194が第1出口ポート202に連通され、又、第2
出口ポート204がドレンポート206に連通される。 これに対し、パイロツトポート196に油圧が供給され
ていないときは、第6図及び第7図に示されるように、
スプール192は圧縮コイルバネ198のバネ力によつて図中
上側に移動させられる。そのため第1入口ポート200と
第1出口ポート202とが連通され、又、第2入口ポート1
94と第2出口ポート204とが連通される。 第1切換え弁190の第1出口ポート202は、油路208に
よつて第2切換え弁210の第1入口ポート214に連通され
ている。又、第1切換え弁190の第2出口ポート204は、
油路226によつて第2切換え弁210の第2入口ポート220
に連通されている。 第2切換え弁210は、パイロツトポート216に油圧が供
給されているか否かによつてスプール212が上下動し、
第1、第2入口ポート214、220、第1、第2出口ポート
219、222、及びドレンポート224の各ポートが切換えら
れるようになつている。 第2切換え弁210のパイロツトポート216には油路228
からライン油圧がその途中に設けられた電磁弁SD1の開
閉に応じて選択的に供給されるようになつている。又油
路228の途中には絞り232が設けられている。これによ
り、電磁弁SD1がOFFとされ、これが閉弁状態であるとき
には、ライン圧供給油路158からのライン油圧が油路228
を経てパイロツトポート216に供給される。これに対
し、電磁弁SD1がONとされ、これが開弁状態であるとき
には、油路228のライン圧がドレンされ、パイロツトポ
ート216には実質的な油圧が与えられなくなる。 パイロツトポート116に油圧が供給されているときに
は、第4図及び第6図に示されているように、スプール
212が圧縮コイルバネ218のバネ力に抗して図中下側に移
動させられる。そのため第1入口ポート214と第1出口
ポート219とが連通され、第2入口ポート220が第2出口
ポート222に連通される。 これに対し、パイロツトポート216に油圧が供給され
ていないときには、第5図及び第7図に示されるよう
に、スプール212が圧縮コイルバネ218のバネ力によつて
図中上側に移動させられる。そのため第1出口ポート21
9がドレンポート224に連通され、又、第2出口ポート22
2が第2入口ポート220に連通される。 第2切換え弁210の第1出口ポート219は、油路234を
介して前述の調圧弁160の第2ブーストポート168に連通
されている。又、第2切換え弁210の第2出口ポート222
は、油路236を介して前述の油圧サーボ部73の油室74に
連通されている。 次に、上述の如き構成からなる油圧制御部72の作用に
ついて説明する。この油圧制御部72は、2つの電磁弁SD
1及びSD2に対する通電が後述する制御装置80によつて個
別的に制御されることにより行われる。 電磁弁SD1及びSD2のいずれにも通電がなされず、2つ
の電磁弁SD1及びSD2が共に閉弁状態となつているときに
は、第4図に示される如く、第1切換え弁190のスプー
ル192及び第2切換え弁210のスプール212が共に下側に
移動する。このとき、第2切換え弁210の第2出口ポー
ト222は第2入口ポート220及び油路226を経て第1切換
え弁190の第2出口ポート204に連通され、又この第2出
口ポート204はドレンポート206に連通される。従つて、
油圧サーボ部73の油室74に供給される油圧、即ちクラツ
チ油圧Pcはドレンされ、Pc=0になる。 電磁弁SD1にのみ通電が行われ、電磁弁SD2が閉弁、電
磁弁SD1が開弁している状態のときは、第5図に示され
ている如く、第1切換え弁190のスプール192が下方に移
動され、第2切換え弁210のスプール212が上方に移動す
る。このとき、第2切換え弁210の第2出口ポート222
は、第1入口ポート214、油路208、第1切換え弁190の
第1出口ポート202及び第2入口ポート194、油路180を
介して調圧弁160の出口ポート174に連通する。その結
果、第2出口ポート222からは、調圧弁160の出口ポート
174に生じるモジユレート油圧が出力されるようにな
る。 調圧弁160の第2ブーストポート168は、油路234、第
2切換え弁210の第1出口ポート219を介してドレンポー
ト224に連通されていることから、調圧弁160の第2ブー
ストポート168には油圧が供給されず、第1ブーストポ
ート166にのみ油圧が供給されている。従つて、このと
きの調圧弁160の出口ポート174から取出される油圧は、
第8図にて符号Pm2にて示されている低めの油圧とな
り、この低めの油圧Pm2がクラツチ油圧Pcとして前記油
圧サーボ部73の油室74に供給されるようになる。 電磁弁SD2にのみ通電が行われ、該電磁弁SD2が開弁、
電磁弁SD1が閉弁状態となつているときには、第6図に
示されるように、第1切換え弁190のスプール192が上方
に移動し、第2切換え弁210のスプール212が下方に移動
するようになる。このとき、第2切換え弁210の第2出
口ポート222は、第2入口ポート220、油路226、第1切
換え弁190の第2出口ポート204、第2入口ポート194、
及び油路180を介して調圧弁160の出口ポート174に連通
する。その結果、第2出口ポート222からは調圧弁160の
出口ポート174に生じるモジユレート油圧が出力される
ようになる。 調圧弁160の第2ブーストポート168は、油路234を介
して第2切換え弁210の第1出口ポート219を経て第1入
口ポート214に連通されている。この第1入口ポート214
は油路208を介して第1切換え弁190の第1出口ポート20
2から第1入口ポート200に連通されている。従つて第2
ブーストポート168にはライン油圧が供給されるように
なる。そのため調圧弁160の出口ポート174には第8図に
おいて符号Pm1にて示される高めのモジユレート油圧が
発生し、この高めのモジユレート油圧Pm1がクラツチ油
圧Pcとして前記油圧サーボ部73の油室74に供給されるよ
うになる。 電磁弁SD1及びSD2のいずれもがOFFとされ、該電磁弁S
D1及びSD2が共に開弁状態とされているときは、第7図
に示される如く、第1切換え弁190のスプール192及び第
2切換え弁210のスプール212が共に上方に移動するよう
になる。このとき、第2切換え弁210の第2出口ポート2
22は、第1入口ポート214、油路208を介して第1切換え
弁190の第1出口ポート202に連通される。この第1出口
ポート202は、第1入口ポート200に連通していることか
ら、第1出口ポート222には、ライン油圧が直接供給さ
れる。従つて、ライン油圧PLがクラツチ油圧Pcとして油
圧サーボ部73の油室74に供給されるようになる。 以上の構成により、電磁弁SD1、SD2を第8図上欄に示
したように切換えることにより、そのときのライン圧に
応じ、差動制御クラツチ70のクラツチ油圧Pc(=差動制
御力)を「HIGH」「MIDDLE」「LOW」「FREE」の4段階
に制御することができる。 ここで「FREE」は全く自由な差動が許される油圧、
「LOW」は駆動系のガタを抑えたり、通常走行における
路面の細かな外乱の影響を吸収したりできるが、一方、
タイトコーナブレーキング現象を発生することなく自由
に旋回し得る程度の油圧、「MIDDLE」は、「LOW」より
強力な差動制限、例えば発進加速時の制御等を行うのに
充分な差動制限を加え得る油圧、「HIGH」は更にそれよ
りも強力な差動制限を行い得る油圧は相当している。 再び第2図の説明に戻る。 制御装置80は、入力系90からの各入力信号に応じて前記
油圧制御部23及び72を制御する。 この制御装置80には、スロツトル開度センサ91からの
スロツトル開度情報、マニユアルシフトポジシヨンセン
サ92からの自動変速機20のマニユアルシフトレンジ情
報、前輪回転数センサ93からの前輪回転数情報、後輪回
転数センサ94からの後輪回転数情報、操舵角センサ95か
らの車両の操舵角情報、制動センサ96からの制動情報、
O/Dスイツチ97からの運転者のオーバードライブ(第4
速段)走行の許可に関する情報が入力されている。O/D
スイツチ97がOFFとされたときは、自動変速機20は、第
4速段には変速されず、第1速段〜第3速段間で変速が
行われる。 又、制御装置80には、アイドルスイツチ98からのアイ
ドル状態(スロツトル開度全閉状態)に関する情報も入
力されている。このアイドルスイツチ98は運転者によつ
てアクセルペダルが全く踏込まれていないときにON、僅
かでも踏込まれているときにOFFとなるものである。こ
の実施例では、後述するように、この情報をエンジン負
荷に関する制御条件の判定の際に、スロツトル開度セン
サ91からのスロツトル開度情報と合わせて使用するよう
にしている。 更に制御装置80には、差動セレクトスイツチ99からの
運転者の差動制御状態の要求に関する情報も入力されて
いる。 作動セレクトスイツチ99は「FREE(フリー)」と「AU
TO(オート)」の2つのモードが選択できるようになつ
ている。FREEモードのときは差動制御クラツチ70のクラ
ツチ油圧Pcが「FREE」、即ち零(作動許可)とされる。
AUTOモードのときは車両走行状態に応じて自動的にクラ
ツチ油圧Pcが「FREE」、「LOW」、「MIDDLE」、「HIG
H」の4段階(第8図参照)に切換えられるようになつ
ている。 制御装置80は、公知の方法により、マニユアルシフト
レンジ情報と前輪回転数情報あるいは後輪回転数情報
(車速情報)とスロツトル開度情報とに応じて、予め定
められた変速パターンに従つて、自動変速機20の変速段
制御のための制御信号を油圧制御部23に出力する。 又、制御装置80は、車両の種々の走行状態に応じて、
前述の電磁弁SD1及びSD2を制御することにより、差動制
御クラツチ70のクラツチ油圧Pcを第4段階に制御し、そ
の時の走行状態に最も相応しい差動(制限)力を発生さ
せる。電磁弁SD1、SD2の制御によりクラツチ油圧Pcを4
段階に制御する構成については、既に詳述した通りであ
る。 第9図に上記実施例装置で採用されている概略制御手
順を示す。 差動セレクトスイツチ99がAUTOモード状態となつてい
ると、各種走行状態に応じて前後輪の差動を許容又は制
限する制御が行われる。その際、走行状態を検出するセ
ンサが複数あるため、差動許可の要求と差動制限の要求
とが同時に発生して互いに干渉し合うことが考えられ
る。この実施例ではこの不具合を避けるために、優先順
位の原則を採用している。この優先順位の原則とは、各
差動制御に優先順位を付け、優先順位の上位にある差動
制御を実行するときは他の下位にある差動制御を実行し
ないというものである。例えば悪路走行中(スリツプ走
行中)に操舵された場合、あるいは悪路走行中に制動及
び操舵が行われた場合等であつても、いずれか優位に立
つ差動制御において要求されている制御のみが実行され
る。その結果、各差動制御同士の干渉の発生が防止され
る。 なお、この実施例ではいずれの制御条件も成立しなか
つたときは、差動制御クラツチ70が「LOW」となるよう
にプログラムされている。 具体的に第9図の制御手順を説明する。 ステツプ250では差動セレクトスイツチ99の状態が判
定される。差動セレクトスイツチ99がFREEモードとされ
ているときにはステツプ272に進み、差動制御クラツチ7
0が「FREE」、即ち差動許可の状態とされる。 又、差動セレクトスイツチ99がAUTOモードであつた場
合には、ステツプ252に進む。ステツプ252では制動時に
おける差動制御の実行条件が成立するか否かが判定され
る。ここにおける制動時の差動制御とは、特に低摩擦係
数道路における4輪ロツクによる操舵性能の低下を防止
するために、「制動状態」の検出と共にセンタデフアレ
ンシヤル装置30の差動を許可とする制御をいう。従つ
て、この制御条件が成立したときは、差動制御クラツチ
70を「FREE」とするためにステツプ272に進み、差動制
御クラツチ70は「FREE」とされる。 制動時における差動制御の実行条件が不成立な場合
は、ステツプ254に進む。ステツプ254では差動制御クラ
ツチ70の強制解除制御の実行条件が成立するか否かが判
定される。ここにおける強制解除制御とは、差動が制限
されている状態のときに、即ち、電磁弁SD1、SD2の少な
くとも一方がONとされているときに、前後輪の回転数差
が所定値以下とならない状態が所定時間以上継続した場
合、差動制御クラツチ70を保護するために電磁弁SD1、S
D2を共にOFFとし、差動制御クラツチ70を「FREE」とす
る制御をいう。前記所定値及び所定時間は、差動制御ク
ラツチ70の差動制限の程度に応じて複数組設定される。
この強制解除制御の実行条件が成立したときはステツプ
272に進み、差動制御クラツチ70は「FREE」とされる。 強制解除の実行条件が成立しなかつたときはステツプ
256に進む。ここでは、N→Dシフト制御の実行条件が
成立するか否かが判定される。ここにおけるN→Dシフ
ト制御とは、停止又は停止に近い状態でN→D(N→
R、N→2、N→Lを含む)シフトが行われたとき、該
N→Dシフトの信号を検出後所定時間だけ差動制御クラ
ツチ70を「LOW」とし(ステツプ270)、該所定時間が経
過した後アイドルスイツチがONのときに差動作制御クラ
ツチ70を「HIGH」とするものである(ステツプ266)。
これにより、N→Dシフト時のガタ落ち音等を減少させ
る。 N→Dシフト制御の実行条件が成立しなかつたときに
はステツプ258に進む。ステツプ258ではスリツプ制御
(本発明に係る制御)の実行条件が成立するか否かが判
定される。ここにおけるスリツプ制御とは、前後輪のい
ずれかが脱輪、前後輪が異なる摩擦係数の路面に接地、
4輪が低μ路に接地というような状態で発進しようとし
たときに、前後輪の差動を制限することによりスリツプ
を抑制し、車両を円滑に発進させる制御をいう。具体的
には下記の条件が全て成立し、しかもそれが所定時間だ
け継続した場合に差動制御クラツチ70を「HIGH」とする
制御をいう。 前輪の平均回転数と後輪の平均回転数のいずれか小
さい方が所定値以下 前後輪の回転数差が所定値以上 アイドル接点がOFF又はスロツトル開度が所定値以
上 前輪の平均回転数と後輪の平均回転数のいずれか大
きい方が所定値以下 このような〜の条件が全て成立し、しかもそれが
所定時間継続した場合は、ステツプ266に進み差動制
御クラツチ70が「HIGH」とされる。 なお、このスリップ制御については第10図を用いて後
に詳述する。 スリツプ制御の実行条件が成立しなかつたときは、ス
テツプ260に進む。ステツプ260では高車速時制御の実行
条件が成立するか否かが判定される。ここにおける高車
速時制御とは、車速が所定値以上になつたときに、差動
制御クラツチ70を「FREE」とする制御をいう。このよう
な制御を実行するのは、高車速状態になると前後輪のわ
ずかな有効半径の違いが大きな差動として顕在化するよ
うになるため、動力循環による駆動系の耐久性低下を防
止するために、あるいは燃費を向上させるために、差動
制御クラツチ70が「FREE」とされる方が望ましいためで
ある。なお、「FREE」としたときに前後輪の実際の差動
状態を検出し、その結果前後輪の差動が所定値よりも小
さい状態が所定時間以上に亘つて継続したことが確認さ
れたときは、高車速であつても差動制御クラツチ70の耐
久性や燃費上特に問題がないため、再び標準状態である
「LOW」に切換えられるようになつている。 高車速時制御の実行条件が成立しなかつたときは、ス
テツプ262に進む。ステツプ262においては発進加速時制
御の実行条件が成立するか否かが判定される。ここにお
ける発進加速時制御とは、自動変速機20の変速段が第1
速段であり且つスロツトル開度が所定値以上の時にスリ
ツプを防止して良好な加速を得るべく差動制御クラツチ
70を「MIDDLE」とするものである。従つて、ステツプ26
2において発進加速時制御の実行条件が成立したときは
ステツプ268に進む。 ステツプ262の発進加速時制御の制御条件が成立しな
かつたときはステツプ264に進む。ステツプ264では変速
時制御の実行条件が成立するか否かが判定される。ここ
における変速時制御とは、差動制御クラツチ70を変速が
所定回数行われる毎に「FREE」とし、該差動制御クラツ
チ70の摩擦面に定期的に潤滑油を供給する制御をいう。
実行条件が成立した場合にはステツプ272に進んで差動
制御クラツチ70が「FREE」とされる。 このような制御フローが実行される結果、各制御には
優先順位が付けられ、上位に相当する差動制御の実行条
件が成立した段階でそれより下位に相当する差動制御の
成立判断が行われないことになる。その結果、差動制御
クラツチ70に関して同時に複数の制御指令が発生するこ
とがなく、制御の干渉が有効に防止される。 なお、ステツプ228のスリツプ制御が例えば第10図で
示される多くのステツプからなるように、ステツプ250
〜264の各制御の実行条件の判定及び制御の実行は、必
ずしも第9図に示されるような単純なフローによつて達
成されるものではない。 次に、第10図にステツプ258のスリツプ制御(以下本
制御という)の詳細な制御フローを示す。 この制御フローは、全体が第9図のステツプ258(及
びステツプ266)に相当している。 第9図のステツプ256において、強制解除の実行条件
が成立しなかつたときに、第10図の本制御の実行フロー
に入つてくる。 ステツプ301においては、本制御の実行に必要なフラ
グF0、F1、及びタイマTの初期化(リセツト)が行われ
る。又、ステツプ303では本制御の実行に必要な各種デ
ータが入力あるいは演算される。本制御に必要なデータ
としては、前輪平均回転数NF、後輪平均回転数NR、前後
輪の回転数差ΔNFR、アイドルスイツチのON-OFF信号、
スロツトル開度θ等がある。 ステツプ350においては、フラグF0の値が判定され
る。このフラグF0は、本制御によつて差動制御クラツチ
70が「HIGH」とされているときに1、そうでないときに
零とされるフラグである。当初は、ステツプ301の初期
化によつて零とされているため、ステツプ352に進む。 ステツプ352及び354においては、前輪回転数NF、及び
後輪回転数NRがそれぞれ所定値(第1所定値)N1と比較
され、いずれか一方でも所定値N1より小さいと判定され
た場合は、前述の条件、即ち前後輪の回転数NF、NR
いずれか小さい方が第1所定値N1以下という条件が成立
したことになるため、ステツプ358に進む。ステツプ35
2、354において前後輪の回転数NF、NRのいずれもが第1
所定値N1以上であると判定された場合は、前記条件を
満たさなかつたことになるため、フラグF1及びタイマT
がリセツトされ(ステツプ356)、本制御はここで終了
される。即ち、第9図の制御フローのステツプ260に進
み、高車速時制御の実行条件の判定に入る。なお、ここ
でフラグF1、タイマTがリセツトされているのは、ステ
ツプ376及びステツプ378において、タイマTのカウント
がスタートされ、フラグF1が1に設定された後にステツ
プ352、あるいはステツプ354における条件が不成立と
判定される場合があるためである。 ステツプ358においては、前述の条件、即ち前後輪
の回転数NF、NRの差ΔNFRが第2所定値以上か否かが判
断される。なお、この場合の前後輪の回転数NF、NRの差
ΔNFRは、NF‐NRの絶対値が用いられる。これは、前後
輪のうちいずれがスリツプすることによつて差動が発生
していたとしても、本制御は実行されるべきであるから
である。 差ΔNFRが第2所定値ΔN2より大きいと判断されたと
きは、条件が成立したことになるためステツプ362に
進むが、ΔNFR≦ΔN2であつたときは、本制御の実行条
件の1つが成立しなかつたことになるため、ステツプ36
0に進んでフラグF1、タイマTがリセツトされ、本制御
が終了される。 ステツプ358において、回転数差ΔNFRが第2所定値Δ
N2より大きいと判断されたときには、ステツプ362に進
んで条件の成立、即ちエンジン負荷が第3所定値以下
か否かが判断される。即ち、ステツプ362においてはア
イドルスイツチ98の状態が判断される。又、ステツプ36
4においてはスロツトル開度θの状態が判断される。ア
イドルスイツチ98がOFF、又はスロツトル開度θが第3
所定値θ3(スロツトル開度θをデジタル的に(例えば
8段階に)検出する場合は、最も弱くスロツトル開度が
踏込まれた状態の値)以上のいずれかが成立したとき
は、条件が成立したとして、ステツプ368に進む。ス
テツプ362及び364でアイドルスイツチがON且つスロツト
ル開度θが全閉状態と検出されたときには、条件が成
立しなかつたことになるため、ステツプ366においてフ
ラグF1、タイマTがリセツトされ、本制御を終了する。 ここで、条件を判定するために、スロツトル開度θ
のみならず、アイドルスイツチ98の状態までをも考慮す
るようにしたのは次の理由による。即ち、この実施例に
おいては、本制御を必要としている状態のときには、で
きる限りこれを実行させるために、アクセルが僅かでも
踏込まれている場合には前記条件が成立するようにし
ている。 この観点からすれば、アイドル接点のON-OFF状態を判
定しさえすれば条件の判定を行えることになる。しか
しながら、もしこのアイドル接点のON-OFFが、何らかの
状態でフエイルしている場合、他の条件、及び、
が完全に成立していたとしても、本制御は一切実行さ
れないことになつてしまう。そこで、アイドル接点のOF
Fとスロツトル開度θが第3所定値θ3以上との「OR」論
理で判定することにすれば、このような不具合の発生を
防止することができる。 なお、本制御のフエイルセーフを極めて厳格に捉え、
アクセルが解放された状態で本制御を実行しないことを
より厳しく考えるならば、の条件をアイドル接点OFF
とスロツトル開度θ≧θ3との「AND」論理で判定するよ
うにし、アイドル接点OFF、スロツロル開度θ≧θ3のう
ちいずれかが成立した場合には、本制御の条件が不成
立と判定するように構成することも当然にできる。しか
しながら、前後輪の回転数のセンサ系の故障とエンジン
負荷のセンサ系の故障とが同時に発生する確率は極めて
小さく、もともとエンジン負荷に関する条件自体がフ
エイルセーフを考慮して設けられたものであることを考
慮し、この条件を構成するセンサ系自体のフエイルに
よつて本制御そのものが実行されなくなつてしまうこと
をできるだけ防止するために、この実施例ではアイドル
接点OFFとスロツトル開度θ≧θ3との「OR」論理で判定
するようにしたものである。 ステツプ362、364において、条件が成立したと判断
されたときは、ステツプ368に進んで、条件の判定が
行われる。即ち、ステツプ368では前輪回転数NFが第4
所定値N4と比較される。又、ステツプ370においては、
後輪回転数NRが同じく第4所定値N4と比較される。ここ
で、前後輪の回転数NF、NRのいずれか一方でも該第4所
定値N4より大きいと判定された場合はステツプ372に進
んでフラグF1、タイマTがリセツトされ、本制御が終了
される。即ち、この場合は、前後輪の回転数NF、NRのう
ちの大きい方が第4所定値N4以下という条件を満足し
ないためである。 一方、ステツプ368及び370において前輪回転数NF
第4所定値N4以下で、且つ、後輪回転数NRが第4所定値
N4以下と判断されたときは、前後輪の回転数NF、NRのう
ちのいずれか大きい方が第4所定値N4より小さいという
本制御の条件を満すことになるため、ステツプ374に
進む。 ステツプ374においては、本制御の条件〜が全て
成立したことから、この状態が所定時間TAだけ継続する
か否かが判断される。 まず、ステツプ374でフラグF1が判定される。このフ
ラグF1は、本制御の条件〜が全て成立し、タイマT
がカウントされている状態であるときに1、そうでない
ときに零となるフラグである。一番最初に条件〜が
成立したときは、このフラグF1は未だ零となつているた
め、ステツプ376に進んでタイマTのカウントをスター
トさせると共に、ステツプ378でフラグF1を1に設定し
リターンする。 フラグF1が1に設定された後であつてもステツプ350
〜370における条件〜の判定が繰返される。但し、
ステツプ374においてはフラグF1が1と判定されるた
め、ステツプ382に進み、それまでにカウントされたタ
イマTと所定時間TAとが比較される。タイマTが所定時
間TAより小さいうちはリターンが繰返されるが、所定時
間TA以上となつた場合には条件〜が成立した状態が
所定時間TA継続したということからステツプ386に進ん
で差動制御クラツチ70が「HIGH」とされる。このステツ
プ386が前述第9図のステツプ266に相当しているもので
ある。 なお、ステツプ350〜370のステツプの説明で明らかな
ように、たとえ条件〜が成立した後であつても、所
定時間TAが経過する以前に条件〜のうちいずれかが
成立しなくなつたときにはその時点で本制御は終了され
る。従つて、差動制御クラツチ70が「HIGH」とされるこ
とはない。このように、条件〜の成立と同時に差動
制御クラツチ70を「HIGH」とせず、所定時間TAだけ持つ
ようにしたのは、第1にもしこの所定時間TAの間に条件
が不成立となるような場合は、もともと差動制御クラツ
チ70を「HIGH」とするまでもないこと、第2に、この所
定時間TAの間継続して条件〜が成立することを確認
し続けるが故に、例えば援護輪の回転数差ΔNFRに関す
る閾値である第2所定値ΔN2を比較的小さな値に設定し
たとしてもスリツプ状態を確実に検出することができる
こと、第3に、このような構成により、差動制御クラツ
チが短時間の間に係合・開放されるという回数をそれだ
け少なくでき、差動制御クラツチ70の油圧サーボ部72の
耐久性を向上させることができるためである。 差動制御クラツチ70が「HIGH」とされた後は、ステツ
プ390以降の解除条件の判定に入る。 本実施例においては、前後輪の回転数NF、NRのうち
いずれか小さい方が第6所定値N6より大きくなるか、又
はエンジン負荷が所定値以下(アクセルが解放)とな
つたときに本制御を解除するようにしている。 即ち、ステツプ390においては、前輪回転数NFが第6
所定値N6と比較される。又、ステツプ392においては後
輪回転数NRが同じく第6所定値N6と比較される。なお、
第6所定値N6>第1所定値N1である。NF>N6、且つNR
N6であつた場合は、解除条件の前後輪の回転数NF、NR
のうちのいずれか小さい方が第6所定値N6より大きいと
いう条件を満足することになるため、ステツプ398に進
んで差動制御クラツチ70を通常の状態、即ち「LOW」の
状態に復帰させ、ステツプ400において各フラグF0、F1
及びタイマTをリセツトして本制御を終了する。 一方、ステツプ390又は392において、前輪回転数NF
後輪回転数NRのうちいずか一方でも第6所定値N6以下と
判定されたときは、ステツプ394に進んでアイドルスイ
ツチ98の状態が判定され、更にステツプ396においてス
ロツトル開度θが判定される。ここでアイドルスイツチ
がON且つスロツトル開度が全閉と判断されると解除条件
のが成立したと判定され、ステツプ398に進む。アイ
ドルスイツチ98がOFFか又はスロツトル開度が第3所定
値以上であると判断されたときは、解除条件が未だ成立
していないと判断され、ステツプ402においてフラグF0
が1に設定されリターンされる。 一度フラグF0が1に設定されると、ステツプ350にお
いてF0=1の判定がなされるため、以降はステツプ352
以下の本制御の開始条件を判定するステツプがバイパス
され、ステツプ390の解除条件の判定が直ちに行われる
ようになる。 ここで、ステツプ394、396において、解除条件をステ
ツプ362及び364の背反条件としたのは、先に述べた趣旨
を解除条件についても考慮したためである。 解除条件として、前後輪の回転数差ΔNFRの条件を何
ら加えていないのは、例えば脱輪等で車両がまさに脱出
しようとする瞬間に(このときはΔNFRが零に近くな
る)本制御が解除され、脱出に失敗することが考えられ
るためである。 この制御フローによれば、 Min(NF、NR)≦N1、 ΔNFR≧N2、 アイドルスイツチOFF、又はスロツトル開度θ≧
θ3、 Max(NF、NR)≦N4、且つ、 〜が所定時間TA以上継続 の5つの条件が成立した場合に、 Min(NF、NR)>N6、又は、 アイドルスイツチON、且つスロツトル開度θ全閉 となるまで差動制御クラツチ70が「HIGH」とされる制
御が実行される。 この実施例によれば、第4所定値N4より高速で走行中
に前後輪のいずれかの回転数のセンサ系に故障が発生し
て回転数が「零」と捉えられ、その結果、前後輪の回転
数差ΔNFRが極めて大きく検出されたとしても、いずれ
か大きい方の回転数(そのときの車速)が第4所定値N4
以上であつた場合は本制御が成立しないため、急に差動
制限が実行されるのを防止することができる。 又、アクセルペダイルが解放されているとき(スロツ
トル開度が全閉のとき)は、どのような車速で走行して
いるときであつても本制御が実行されてしまうことがな
いため、例えばエンジンブレーキをかけながら山間地を
下つているときに前後輪のいずれかの回転数のセンサ系
に故障が発生したとしても差動制限が実行されてしまう
のを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の要旨を示すブロツク図、 第2図は、本発明が適用される4輪駆動車の動力伝達系
統を示すスケルトン図、 第3図は、センタデフアレンシヤル装置の差動を制限す
るための差動制御クラツチのスケルトン図、 第4図〜第7図は、上記差動制御クラツチの油圧サーボ
部に供給する油圧を発生させるための油圧回路図、 第8図は、該油圧回路によつて作り出される油圧の特性
及びこの油圧特性を実現するときの電磁弁のON-OFF状態
を示す線図、 第9図は、上記実施例装置で採用されている制御手順の
概略を示す流れ図、 第10図は、上記制御手順のうちのスリツプ制御に焦点を
絞つてより詳細に示した流れ図である。 10……エンジン、20……自動変速機、30……センタデフ
アレンシヤル装置、40……前輪用デフアレンシヤル装
置、50……トランスフア装置、60……後輪用デフアレン
シヤル装置、70……差動制御クラツチ、80……制御装
置、90……入力系、97……O/Dスイツチ、98……アイド
ルスイツチ、99……差動セレクトスイツチ、N1、ΔN2
θ3、N4……第1〜第4所定値、TA……所定時間、N6
…第6所定値。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前後輪の回転数を検出する手段と、該前後
    輪の回転数の差を求める手段と、を備え、前記前後輪の
    回転数の差が所定値以上のときに前後輪の差動を制限す
    るように構成した4輪駆動車の前後輪差動制御装置にお
    いて、 前記前後輪の回転数のいずれか大きい方が所定値以上の
    場合には、前記前後輪の回転数の差が所定値以上のとき
    の前後輪の差動の制限を禁止する手段と、 を備えたことを特徴とする4輪駆動車の前後輪差動制御
    装置。
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