JPH10212982A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JPH10212982A
JPH10212982A JP9032970A JP3297097A JPH10212982A JP H10212982 A JPH10212982 A JP H10212982A JP 9032970 A JP9032970 A JP 9032970A JP 3297097 A JP3297097 A JP 3297097A JP H10212982 A JPH10212982 A JP H10212982A
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shift
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哲弘 山下
Takuji Fujiwara
卓治 藤原
Tomoyuki Hirao
知之 平尾
Hajime Oyama
一 大山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンのトラクション制御が行なわれる場
合と行なわれない場合とで異なる変速制御が要求され
る。そのいずれの場合にも対応し得る自動変速機の制御
装置の提供を課題とする。 【解決手段】 トラクション制御装置側のコントロール
ユニット40はエンジン−変速機側のコントロールユニ
ット30にパルス信号Aを出力して目標のトルクダウン
量を指令する。ECU30はその指令信号Aに基づいて
制御実行部30cで燃料噴射弁12や点火プラグ13を
制御する。ECU30はパルス信号を受ける判定部30
aで該信号Aが正常なトラクション制御信号かどうかを
判定し、正常なときはマップ変更部30fで変速マップ
をトラクション制御実行時の変速マップに変更し、そう
でないときにはトラクション制御非実行時の変速マップ
に変更して、そのいずれかのマップに基づいて目標変速
段を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機、特に
低速段側の変速段への変速規制が可能なように構成され
た自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車に搭載される自動変速機
は、トルクコンバータと変速歯車機構とを組み合わせ、
この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ
等の複数の摩擦要素の選択的作動により切り換えて、所
定の変速段に自動的に変速するように構成したものであ
るが、この種の自動変速機には、例えば特公平4−52
381号公報に開示されているように、自動車の発進時
や加速時等に駆動輪が過大な駆動トルクによりスリップ
して加速性が低下するのを防止するために所謂トラクシ
ョン制御を行なうようにしたものがある。
【0003】このトラクション制御は、過大な駆動トル
クに起因して駆動輪に過剰スリップ状態が発生したとき
に、例えばエンジン出力を低下させることにより、該駆
動輪の回転速度に基づいて算出したスリップ量を所定の
目標値に収束させるもので、このとき、エンジン出力を
低下させる方法として、一般に、点火時期の遅角(リタ
ード)や燃料噴射制限(燃料カット)が行なわれる。そ
の場合に、例えば駆動輪のスリップ量に基づいて制御レ
ベルが算出されると共に、予め制御レベルをパラメータ
として設定されたエンジン出力低減用のテーブルに従っ
て、点火時期がリタードされ、また所要数の気筒に対す
る燃料噴射が停止されることになる。
【0004】一方、この種の自動車は、車速センサやス
ロットルセンサが備えられ、予め車速とスロットル開度
(エンジン負荷)とをパラメータとして設定された変速
段決定用のマップ(変速特性)に上記センサで検出され
る実測値を当てはめることにより、現在の運転状態に適
した目標変速段が割り出され、そしてその割り出された
目標変速段が達成されるように自動変速機の油圧制御回
路に変速信号が出力されて、変速歯車機構の動力伝達経
路が該目標変速段用に切り換えられるようになってい
る。
【0005】そのとき、上記変速特性は、通常、発進時
等の低車速領域においては、大きなエンジンの出力トル
クが得られる1速が選択されるように設定されており、
したがって、通常は、自動車の発進時には、1速で発進
することになるが、例えば雪道等の路面摩擦係数の低い
道路で発進する場合は、スリップを抑制するためにエン
ジンの出力トルクのより小さな2速で発進する方が好ま
しいことがあり、そのような2速発進を可能にするもの
として、特開昭62−106162号公報には、例えば
通常の1速から4速までの自動変速が行なわれるDレン
ジの他に、変速特性がほぼ全領域に渡って2速とされた
2速固定モードが達成される2レンジを備えた自動変速
機が開示されている。これによれば、自動車の発進時に
2レンジを選択して2速固定モードとしておけば、車速
が0又は低い領域でも目標変速段として2速が割り出さ
れて2速発進が可能となり、スリップを抑制できて発進
が円滑化されることになる。
【0006】しかしながら、このような2速固定モード
ないし2レンジを備えた自動変速機において、前述のト
ラクション制御が行なわれた場合には、次のような不具
合が発生する。すなわち、2速発進時であっても駆動輪
がスリップするとトラクション制御が行なわれてエンジ
ン出力が低減されることになるが、2速の変速段では1
速のときに比べてギア比が小さいからエンジン回転数が
低く、このような状態で点火時期のリタードや燃料カッ
トが行なわれると、エンジンの運転状態が不安定となっ
て、ついにはエンジンが停止してしまう場合が生じる。
また、エンジン停止を回避するために、エンジン回転数
ないしエンジン出力を一定値以下に低下させないように
すると、トラクション制御の効果が充分に得られず、結
局、駆動輪のスリップ量をそれほど低減させることがで
きなくなり、トラクション制御自体の性能が低下してし
まう。
【0007】また、一般に、2速時は1速時に比べてト
ルクコンバータの滑り量が大きいため、エンジントルク
に対する車輪の慣性モーメントが大きくなって、制御量
の変動に対して車輪に伝わる駆動力の応答遅れが大きく
なる。その結果、初期スリップを抑えたのちのトルク回
復の反応が遅く、失速又はエンジン停止の懸念が大きく
なると共に、制御のハンチングが起きやすくなるのであ
る。
【0008】このような問題は、2速固定モードが達成
される2レンジを備えた自動変速機に限らず、例えば、
1速から4速までの間で変速が可能なDレンジでオン操
作されることにより変速段を3速に固定したり、1速か
ら3速までの間で変速が可能なSレンジでオン操作され
ることにより変速段を2速に固定したりするホールドス
イッチや、上記Dレンジでオン操作されることにより1
速を禁止して達成可能な変速段を2速から4速までに制
限するスノースイッチ等が備えられた自動変速機におい
ても同様に発生し得る問題である。つまり、Dレンジ又
はSレンジでホールドスイッチをオン操作して発進する
と、通常の1速発進ではなくそれより高速段の3速発進
又は2速発進が可能となり、またDレンジでスノースイ
ッチをオン操作して発進すると、やはり1速発進ではな
く2速発進が可能となるからである。
【0009】これに対し、上記のような低速段側の変速
段への変速を規制する2レンジ、あるいはホールドスイ
ッチやスノースイッチ等(低速段規制手段)を備えた自
動変速機であっても、トラクション制御が行なわれない
場合には、上記のような不具合が発生しない。したがっ
て、トラクション制御を実行するトラクション制御シス
テム(TCS)が搭載される自動車においては、上記不
具合を回避するために、ホールドスイッチ等がオン操作
されても高速段での発進を規制して低速段での発進を許
容し、一方、TCSが搭載されない自動車においては、
上記不具合が発生しないのであるから、ホールドスイッ
チ等がオン操作されたときにはその操作通りに高速段で
の発進を許容して低速段での発進を規制するようにそれ
ぞれ異なる変速制御とすることが考えられる。
【0010】また、近年では、以上のような自動変速が
達成されるオートモードの他に、例えばシフトレバーを
所定レンジ内で車両前後方向に揺動操作する等、運転者
の所定の手動操作によって変速段を一段づつ切り換える
ことのできるマニュアルモードが備えられた自動変速機
が提案されているが、このマニュアルモード付きの自動
変速機においても、例えば、該マニュアルモードにおけ
るシフトレバー操作で変速段を2速としたままで停車
し、次にこの状態で発進した場合には1速発進ではなく
2速発進となって、このときTCSが搭載されていると
やはり上記と同様の不具合が発生するので、TCSが搭
載されているかどうかによって異なる変速制御とするこ
とが考えられる。
【0011】なお、以上は発進時の場合を主として例に
説述したが、この問題は、発進時のみならず、発進直後
や停止直前、あるいは低車速での定常走行中等、通常で
あれば変速段が低速段に切り換えられるところを、低速
段規制手段により、又はマニュアルモードにおけるシフ
トレバー操作により、変速段が高速段のまま固定、維持
されているような場合に一般に発生し得る問題である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、周知のよう
に、自動車に搭載される各種各様の制御システムには、
それぞれ前述の車速センサやスロットルセンサ、あるい
は車輪速センサや水温センサ、エアフローセンサ、O2
センサ等からの信号を入力して予め設定されたプログラ
ムに基づいて処理し、その結果を油圧制御回路上に配置
されたオンオフソレノイドバルブやデューティソレノイ
ドバルブ、あるいはエンジンの点火プラグや燃料噴射弁
のソレノイド等に出力する各制御システム用のコントロ
ールユニット(ECU)が備えられる。
【0013】したがって、これらの各ECUには、その
制御の種類や内容に応じてそれぞれ異なる制御プログラ
ムやテーブル、あるいはマップ等がそのROM等のメモ
リに書き込まれることになる。すると、上記のようにT
CS搭載車と非搭載車とで相互に異なる変速制御を行な
うようにするためには、それぞれのECUに独自の制御
プログラムを格納しなければならないことになり、結果
的に、TCS搭載車用のECUと、TCS非搭載車用の
ECUとの二種類が必要となって、生産コストの増大を
招くことになる。
【0014】そこで、本発明は、TCSが搭載される自
動車と搭載されない自動車との両方に共通使用でき、も
って生産コストの低減が図れ、且つTCS搭載車におい
ては、高速段発進時等であってもトラクション制御の性
能を損なわず、且つエンスト等の不具合を回避すること
のできる自動変速機の制御装置の提供を課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では次のような手段を用いる。
【0016】まず、本願の特許請求の範囲の請求項1に
記載した発明(以下「第1発明」という。)は、車速に
関する値を検出する車速検出手段と、スロットル開度に
関する値を検出するスロットル開度検出手段と、予め車
速に関する値とスロットル開度に関する値とに応じて設
定された変速特性と上記両検出手段の検出結果とに基づ
いて変速段を決定して該変速段に変速する変速制御手段
とを有する自動変速機の制御装置であって、運転者の所
定の操作を受けて低速段側の所定の変速段への変速を規
制する低速段規制手段と、当該車両の駆動輪にスリップ
が検出されたときに該スリップ量を所定の目標値に近づ
けるようにエンジン出力を低下させるトラクション制御
装置が当該車両に備えられているか否かを判定する判定
手段と、該判定手段でトラクション制御装置が備えられ
ていると判定されたときには上記規制手段による所定変
速段への変速の規制を解除する変速規制解除手段とが備
えられていることを特徴とする。
【0017】また、請求項2に記載した発明(以下「第
2発明」という。)は、上記第1発明において、変速規
制解除手段は、車速が所定値以下であるときにのみ、低
速段規制手段による変速規制を解除することを特徴とす
る。
【0018】さらに、請求項3に記載した発明(以下
「第3発明」という。)は、上記第1発明において、低
速段規制手段及び変速規制解除手段は、それぞれ上記変
速特性を変更することにより、所定変速段への変速を規
制し、該変速規制を解除するものであることを特徴とす
る。
【0019】そして、請求項4に記載した発明(以下
「第4発明」という。)は、上記第3発明において、低
速段規制手段は、車速とスロットル開度とが所定範囲に
あるときは1速が選択されるように設定された第1の変
速特性を、車速とスロットル開度とがいかなる範囲にあ
っても1速が選択されないように設定された第2の変速
特性に変更することにより、1速への変速を規制し、変
速規制解除手段は、上記第2の変速特性を第1の変速特
性に変更することにより、1速への変速規制を解除する
ものであることを特徴とする。
【0020】一方、請求項5に記載した発明(以下「第
5発明」という。)は、上記第1発明において、判定手
段は、上記トラクション制御装置が生成する所定の信号
を検出することにより、該制御装置が備えられていると
判定することを特徴とする。
【0021】また、請求項6に記載した発明(以下「第
6発明」という。)は、上記第1発明において、上記ト
ラクション制御装置が正常に作動しない状態にあるか否
かを判定する作動状態判定手段が備えられ、変速規制解
除手段は、この作動状態判定手段でトラクション制御装
置が正常に作動しない状態にあると判定されたときに
は、判定手段でトラクション制御装置が当該車両に備え
られていると判定されたときであっても、低速段規制手
段による変速規制を解除しないことを特徴とする。
【0022】さらに、請求項7に記載した発明(以下
「第7発明」という。)は、上記第6発明において、上
記作動状態判定手段は、エンジンが始動前であるとき、
エンジン水温が所定値以下であるとき、エンジン回転数
が所定値以上であるとき、エンジン補機が異常であると
き、トラクション制御が継続して所定時間以上行なわれ
たとき、運転者がトラクション制御を希望しない場合に
作動するスイッチが作動中であるときの少なくともいず
れかのときに、トラクション制御装置が正常に作動しな
い状態にあると判定することを特徴とする。
【0023】そして、請求項8に記載した発明(以下
「第8発明」という。)は、車速に関する値を検出する
車速検出手段と、スロットル開度に関する値を検出する
スロットル開度検出手段と、予め車速に関する値とスロ
ットル開度に関する値とに応じて設定された変速特性と
上記両検出手段の検出結果とに基づいて変速段を決定し
て該変速段に変速する自動変速制御手段と、運転者の所
定の操作に応じて変速段を決定して該変速段に変速する
手動変速制御手段とを有する自動変速機の制御装置であ
って、当該車両の駆動輪にスリップが検出されたときに
該スリップ量を所定の目標値に近づけるようにエンジン
出力を低下させるトラクション制御装置が当該車両に備
えられているか否かを判定する判定手段と、該判定手段
でトラクション制御装置が備えられていると判定され、
且つ車速が所定値以下であるときには、上記手動変速制
御手段により変速段が1速とされていなくても、変速段
を1速に切り換える低速段強制手段とが備えられている
ことを特徴とする。
【0024】上記の手段を用いることにより、本願各発
明はそれぞれ次のように作用する。
【0025】まず、第1発明によれば、駆動輪のスリッ
プ時にエンジン出力を低下させるトラクション制御装置
が当該車両に備えられているか否かを判定する判定手段
が備えられ、この判定手段によって上記制御装置が当該
車両に備えられていると判定されたときには、低速段規
制手段によって低速段側の所定変速段への変速規制が行
なわれても、変速規制解除手段によってその変速規制が
解除されるので、結局、低速段への変速が許容されるこ
とになり、高速段での発進時や低車速走行中等にトラク
ション制御が行なわれることによるエンジン停止あるい
は該制御性能低下等の不具合が回避されることになる。
【0026】また、上記判定手段によってトラクション
制御装置が当該車両に備えられていると判定されないと
きには、低速段規制手段による変速規制が解除されない
ことになるので、この場合は、結局、低速段への変速が
規制されて、規制手段による規制通りの高速段での発進
や走行となり、且つ、トラクション制御装置が当該車両
に備えられておらず、したがってトラクション制御が行
なわれないのであるから、規制手段による規制通りの高
速段での発進や走行が行なわれても、エンジン停止ある
いは該制御性能低下等の不具合が発生しないことにな
る。
【0027】そして、このような判定手段と変速規制解
除手段とを備えることによって、トラクション制御装置
が当該車両に備えられている場合と備えられていない場
合とで相互に異なる変速制御のそれぞれに対応すること
が可能となるので、ECUの共通化が図れて生産コスト
を低減することができる。
【0028】その場合に、第2発明によれば、変速規制
解除手段は、車速が所定値以下であるときにのみ上記の
変速規制の解除を行なうので、特に、車速が低く、した
がってエンジン回転数の小さい発進時等においてのみ、
トラクション制御が行なわれることによるエンジン停止
あるいは該制御性能低下等の不具合が効果的に回避され
ると共に、それ以外の通常走行時等においては、変速規
制が維持されて、規制手段による規制通りの走行が実現
することになる。
【0029】また、第3発明によれば、低速段規制手段
及び変速規制解除手段は、それぞれ上記変速特性を変更
することによって、上記の変速規制又はその解除を行な
うので、車速やスロットル開度等に基づいて規制動作や
解除動作が誤りなく実行されることになる。
【0030】特に、第4発明によれば、低速段規制手段
が、1速が選択可能な第1の変速特性を1速がカットさ
れた第2の変速特性に変更することにより1速への変速
を規制するものであり、変速規制解除手段が、上記の1
速がカットされた第2の変速特性を1速が選択可能な第
1の変速特性に変更することにより1速への変速規制を
解除するものであるから、通常発進時等に用いられる1
速の変速段が車速やスロットル開度等に基づいて誤りな
く目標変速段として決定されて、この1速への変速が許
容されることになる。
【0031】一方、第5発明によれば、判定手段は、ト
ラクション制御装置が生成する所定の信号を検出するこ
とにより該制御装置が当該車両に備えられていると判定
するので、トラクション制御装置の存在が誤りなく合理
的に判定されることになる。なお、このときの上記信号
とは、例えば、エンジントルクの目標値を指令する制御
パルス信号等、トラクション制御装置が存在していれば
必然的に生成されるはずの信号が選ばれる。
【0032】次に、第6発明によれば、トラクション制
御装置が正常に作動しない状態にあるか否かを判定する
作動状態判定手段が備えられ、この作動状態判定手段で
トラクション制御装置が正常に作動しない状態にあると
判定されたときには、変速規制解除手段は、判定手段で
トラクション制御装置が当該車両に備えられていると判
定されたときであっても、低速段規制手段による変速規
制を解除しないから、エンジン停止等の不具合の発生原
因であるトラクション制御が正常に作動する状態にない
のにも拘らず、単にトラクション制御装置が備えられて
いるというだけで低速段規制手段による変速規制が解除
されるというような不合理な事態が回避でき、信頼性の
高い制御が実現されることになる。
【0033】その場合に、第7発明によれば、作動状態
判定手段がトラクション制御装置が正常に作動しない状
態にあると判定する条件が具体化され、エンジンが始動
前であるときのようにトラクション制御をそもそも行な
うことができないような場合や、エンジン水温が所定値
以下であるときのようにエンジンの状態からトラクショ
ン制御を行なわない方がよいような場合や、エンジン回
転数が所定値以上であるときのようにトラクション制御
を行なうと排ガス温度が上がって排ガス浄化用触媒等に
悪影響を及ぼすような場合や、エアフローセンサやO2
センサ等の基本的なエンジン管理に欠かせないエンジン
補機が異常であるときのようにエンジン側の信頼性が低
くトラクション制御を行なってもその制御の効果が充分
には得られないような場合や、トラクション制御が継続
して所定時間以上行なわれたときや運転者がトラクショ
ン制御を希望しない場合に作動するスイッチが作動中で
あるときのようにトラクション制御自体が中止させられ
たような場合に、トラクション制御が正常に作動しない
状態にあると判定されることになる。
【0034】そして、第8発明によれば、マニュアルモ
ード付きの自動変速機において、該マニュアルモードの
1速以外での発進時や低速走行時等にトラクション制御
が行なわれることによるエンジン停止あるいは該制御性
能低下等の不具合が回避されることになる。
【0035】すなわち、上記第1発明ないし第8発明と
同様、駆動輪のスリップ時にエンジン出力を低下させる
トラクション制御装置が当該車両に備えられているか否
かを判定する判定手段が備えられ、この判定手段によっ
て上記制御装置が当該車両に備えられていると判定さ
れ、且つ車速が所定値以下であるときには、マニュアル
モードで変速段が通常発進時等に用いられる1速ではな
く2速や3速等の高速段とされていても、低速段強制手
段によってその高速段側の変速段が1速に切り換えられ
るので、結局、変速段は通常発進時等に用いられる1速
となり、2速や3速等の高速段での発進時や低速走行中
等にトラクション制御が行なわれることによるエンジン
停止あるいは該制御性能低下等の不具合が回避されるこ
とになる。
【0036】また、上記判定手段によってトラクション
制御装置が当該車両に備えられていると判定されないと
きには、高速段側変速段から1速への変速段の切換えが
行なわれないことになるので、この場合は、結局、高速
段側変速段が維持されることになると共に、トラクショ
ン制御が行なわれないのであるからエンジン停止あるい
は該制御性能低下等の不具合が発生しないことになる。
【0037】そして、このような判定手段と低速段強制
手段とを備えることによって、トラクション制御装置が
備えられている場合と備えられていない場合とで相互に
異なる変速制御のそれぞれに対応することが可能となる
ので、ECUの共通化が図れて生産コストを低減するこ
とができる。
【0038】また、低速段強制手段は、車速が所定値以
下であるときに、上記の1速への変速段の切換えを行な
うので、特に、車速が低く、したがってエンジン回転数
の小さい発進時等において、トラクション制御が行なわ
れることによるエンジン停止あるいは該制御性能低下等
の不具合が効果的に回避されると共に、それ以外の通常
走行時等においては、高速段側変速段が維持されて、運
転者のシフトレバー操作通りの走行が実現することにな
る。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0040】図1に示すように、この実施の形態におけ
る自動車のエンジン10の吸気通路には運転者のアクセ
ルペダルの踏込操作によって開閉制御されるスロットル
バルブ11が、また各気筒には燃料噴射弁12…12及
び点火プラグ13…13が配設されている。一方、この
エンジン10と共にパワーユニットを構成する自動変速
機20は、エンジン10の出力軸14に連結されたトル
クコンバータ21と、該トルクコンバータ21の出力ト
ルクが入力される変速機構22と、複数の摩擦要素に選
択的に作動油圧を供給することにより上記変速機構22
のギア比(変速段)を切り換える油圧制御回路23とで
構成されている。
【0041】また、この自動車には、A/Dコンバータ
やディジタル入力バッファ等からなる入力インターフェ
ース、CPUやROM、RAM及び入出力ポート等から
なるコンピュータ部、並びに出力信号増幅回路等からな
る出力インターフェースで構成された上記エンジン10
及び自動変速機20に対する各種制御のための統合コン
トロールユニット(以下、「ECU」という)30が備
えられ、このECU30に、エンジン10側からは、吸
入空気量を検出するエアフローセンサ31、スロットル
開度を検出するスロットルセンサ32、エンジン冷却水
の温度を検出する水温センサ33、エンジン回転数を検
出するエンジン回転数センサ34及び排気ガス中の酸素
濃度を検出するO2センサ35等からの信号が、また自
動変速機20側からは、タービン回転数を検出するター
ビン回転数センサ36及び変速機構22の出力回転数を
検出する出力回転数センサ37等からの信号が、さら
に、シフトレバーのレンジ選択位置を検出するインヒビ
タスイッチ38、並びに、Dレンジが選択された状態で
オン操作されることにより達成可能な変速段を1速〜4
速から2速〜4速に制限するスノースイッチ39等から
の信号が入力されて、ECU30はこれらの各種信号に
基づいてエンジン10に対しては燃料噴射制御や点火時
期制御(エンジン制御)を、自動変速機20に対しては
油圧制御回路23に配置された各種のソレノイドバルブ
24…24の制御(変速制御)を行う。
【0042】さらに、この自動車には上記ECU30と
相互に信号A,Bを授受し合うトラクション制御用のコ
ントロールユニット(以下「TRCU」という)40が
備えられ、このTRCU40に左右の駆動輪1,2及び
従動輪3,4の車輪速を検出する車輪速センサ41〜4
4等からの信号が入力されて、TRCU40はこれらの
信号に基づいて算出した駆動輪1,2のスリップ量が所
定の目標値に収束するようにエンジン10の出力を低下
させる周知のトラクション制御を上記ECU30を介し
て行う。
【0043】すなわち、図2に示すように、TRCU4
0は制御量決定部40aで駆動輪1,2のスリップ量が
所定の目標値となるエンジントルクを求め、これを制御
要求トルク出力部40bから信号AとしてECU30に
出力すると共に、ECU30はこの信号Aを後述するト
ラクション制御装置(TCS)搭載判定部30aを介し
て入力し、制御要求トルク算出部30bでエンジントル
クの目標値を算出したのち、エンジントルク制御実行部
30cで上記目標トルクと現在の実トルクとを比較する
等して燃料噴射の制限量や点火時期のリタード量を決定
し、燃料噴射弁12…12及び点火プラグ13…13に
その制御信号を出力する。また、ECU30はその制御
後の実トルクを算出部30dで求め、これを信号Bとし
てTRCU40に出力すると共に、TRCU40はこの
信号Bを実トルク入力部40cを介して入力して、その
値を参考に次の制御量を決定部40aで決定する。な
お、このようなエンジン10のトルク制御と共に駆動輪
1,2のブレーキ制御を併用してもよい。
【0044】その場合に、TRCU40からECU30
に出力される上記信号Aは、例えば10m秒周期で最大
12V最低0Vのパルスが出力されるパルス信号であっ
て、トルクダウン量が0%のときにパルスデューティが
3%、トルクダウン量が100%のときにパルスデュー
ティが95%等とされる。またTRCU40はエンジン
10が始動されたのちは常時トラクション制御を行い、
したがってエンジン10が運転中は自動車が停車中でト
ルクダウン量が0%であっても数ボルトのパルス信号が
一定周期でECU30に出力される。ただし、この自動
車にはTCSオフスイッチ45が設けられており、該ス
イッチ45がオン操作されたときにはオフランプ46が
点灯してトラクション制御が中止される。なお、ECU
30からTRCU40に出力される信号Bも同様のパル
ス信号とされている。
【0045】ここでECU30が行う変速制御を説明す
ると、ECU30は出力回転数センサ37からの信号に
基づいて車速を算出し、この車速とスロットル開度とを
予めこれらの値をパラメータとして設定された変速マッ
プに当てはめることにより目標変速段を決定して、該目
標変速段が達成されるように変速実行部30gから油圧
制御回路23の油路を切り換えるソレノイドバルブ24
…24に対して制御信号を出力する。その場合に、上記
変速マップとしては、Dレンジにおいては図3に概念的
に示すように達成可能な変速段として1速〜4速が設定
された変速マップが用いられ、またスノースイッチ39
がオン操作されたときには図4に概念的に示すように上
記Dレンジ用変速マップから1速が禁止され、達成可能
な変速段が2速〜4速に制限された変速マップが用いら
れる。さらに、この自動車には走行レンジとして上記D
レンジの他に2レンジが備えられており、この2レンジ
においては図5に概念的に示すように全領域が2速に固
定された変速マップが用いられる。したがって、この自
動車においては、上記2レンジを選択することにより又
はDレンジを選択してスノースイッチ39をオンするこ
とによりいずれの場合においても2速発進や2速低速走
行等が可能となる。このような変速マップの変更は、イ
ンヒビタスイッチ38やスノースイッチ39等からの信
号を受けてECU30の変速マップ変更部30fにて行
われる。なお、図3、図4では便宜上ヒステリシスを省
略してある。
【0046】次に、TRCU40側から出力されるパル
ス信号Aを入力するECU30のTCS搭載判定部30
aについて説明すると、この判定部30aは、図6にそ
の制御プログラムの内容を示すように、エンジン10の
始動後であって、TRCU40側から受け取った上記パ
ルス信号Aが、所定時間以上、周期異常であるか、パル
スデューティ異常であるか、又はパルスの割り込みが無
いローレベル一定の状態であるかのいずれか一に該当す
るときは、当該自動車がTCS非搭載車又はTCS通信
異常であると判定する一方、いずれにも該当しないとき
には、当該自動車がTCS搭載車であると判定する。
【0047】またECU30にはこの判定部30aの他
にトラクション制御の禁止条件を判定する判定部30e
が設けられ、この判定部30eは、図7にその制御プロ
グラムの内容を示すように、エンジン10が始動前でト
ラクション制御自体がそもそも実行不可能であるか、エ
ンジン水温がトラクション制御の許可温度以下である
か、エンジン回転数がトラクション制御の許可回転数以
上であるか、エアフローセンサ31やO2センサ35等
のような基本的なエンジン10の制御に欠かせないエン
ジン補機が異常であるか、トラクション制御がすでに所
定時間以上連続作動しているかのいずれか一に該当する
とき、換言すればTCSが正常に作動しない状態にある
ときは、トラクション制御が禁止状態であると判定する
一方、いずれにも該当しないときには、トラクション制
御が許可状態であると判定する。
【0048】そして前述のエンジントルク制御実行部3
0cは、TCS搭載判定部30aで当該自動車がTCS
搭載車であると判定され、且つトラクション制御禁止条
件判定部30eでトラクション制御が許可状態であると
判定されたときに、前述の燃料噴射制御や点火時期制御
を行うが、いずれかの判定部30a,30eでそうでは
ないと判定されたときには、上記の燃料噴射制御や点火
時期制御を行わないようになっている。
【0049】また前述の変速マップ変更部30fにおい
ても上記判定部30a,30eの判定結果に応じて変速
マップの変更が行われる。すなわち、まず、この変速マ
ップ変更部30fは、図8にその制御プログラムの内容
を示すように、シフトレバーで2レンジが選択されてい
るか又はDレンジでスノースイッチ39がオンされてお
り、且つ車速が所定車速以下であるか否かを判定し、そ
うである場合は当該自動車が特定状態モードにあると判
定する一方、そうでない場合には特定状態モードにない
と判定する。つまり通常のDレンジが選択されているだ
けの場合であれば図3に示すDレンジ用の変速マップか
ら変速段が1速とされるような状態において、図4又は
図5に示すスノーモード用又は2レンジ用の変速マップ
が用いられる結果、変速段が2速のままとされているよ
うなときには特定状態モードと、それ以外のときには非
特定状態モードと判定するのである。
【0050】そして変速マップ変更部30fは、エンジ
ン10が始動されてから所定時間が経過しており、且
つ、上記TCS搭載判定部30aで当該自動車がTCS
搭載車であると判定され、トラクション制御禁止条件判
定部30eでトラクション制御が許可状態であると判定
され、さらに当該自動車が特定状態モードにあると判定
したときには、図4又は図5に示すスノーモード用又は
2レンジ用の変速マップを1速付きの変速マップに変更
する一方、いずれかの条件が満たされていないときに
は、そのような変速マップの変更は行わない。その場
合、図4に示すスノーモード用の変速マップは例えば図
3に示すDレンジ用の変速マップに、また図5に示す2
レンジ用の変速マップは例えば図9に示すような低車速
領域が1速に設定された変速マップに変更される。な
お、上記において、変速マップ変更部30fがエンジン
10の始動後所定時間が経過していることを条件とする
のは、TCS搭載判定部30aでの判定、及びトラクシ
ョン制御禁止条件判定部30eでの判定が、エンジン1
0の始動直後の不安定な検出結果に基づくものではない
ことを確認するためである。
【0051】このような制御により、変速マップが変更
されたときには変速段が1速に切り換えられ、またトラ
クション制御も実行される。この場合、トラクション制
御が実行されても変速段は1速であるので、2速のまま
での発進時や低速走行時にトラクション制御が実行され
るときに懸念されるエンストやトラクション制御の性能
低下等の不具合は起こらない。一方、当該自動車がそも
そもTCSを搭載していないか、あるいは搭載していて
も該TCSが正常に作動しない状態にあるときには、変
速段は2速のまま維持されるが、この場合はトラクショ
ン制御が行われないのであるから上記不具合はもともと
発生しない。そして、このECU30は上記のような判
定部30a,30eを有し、その判定結果に応じたエン
ジン10に対するトルク制御及び自動変速機20に対す
る変速制御を行うので、このECU30をTCS搭載車
と非搭載車とのいずれにも共通使用することができて、
自動車の生産コストの低減を図ることが可能になる。
【0052】なお、この実施の形態においては、図2に
示したように、TRCU40側にもトラクション制御の
禁止条件を判定する判定部40dが設けられ、この判定
部40dは、図10にその制御プログラムの内容を示す
ように、エンジン10が始動後であり、ECU30から
のパルス信号Bが周期、デューティ、割り込みの点で正
常であり、エンジン10側がトラクション制御許可状態
であり、且つTCSオフスイッチ45が作動していない
ときには、トラクション制御が許可状態であると判定す
る一方、いずれかがそうでないときには、トラクション
制御が禁止状態であると判定する。そして、その結果、
トラクション制御が許可状態であると判定されたときに
は、制御要求トルク出力部40bに対してECU30へ
のパルス信号Aの出力を許可する一方、トラクション制
御が禁止状態であると判定されたときには、該パルス信
号Aの出力を禁止する。このとき、ECU30からのパ
ルス信号Bには、実トルクに関する情報だけでなく、エ
ンジン10側のトラクション制御の許可あるいは禁止に
関する情報も含まれており、TRCU40の判定部40
dは制御量決定部40aに入ったこのパルス信号Bを監
視しているのである。
【0053】次に本発明の第2の実施の形態を説明す
る。なお、上記の第1の実施の形態と同じ構成要素もし
くは相当する構成要素には同じ符号を用い、また重複す
る部分の説明は省略する。
【0054】図11に示すように、この第2の実施の形
態におけるECU30には第1の実施の形態の構成に加
えて、さらにMレンジスイッチ51からの信号と、シフ
トアップスイッチ52及びシフトダウンスイッチ53か
らの信号とが入力される。インヒビタスイッチ38は、
シフトレバーがPレンジ、Rレンジ、Nレンジ、及びD
レンジの各レンジ選択位置に切り換えられたことを検出
するのに対し、Mレンジスイッチ51はシフトレバーが
手動変速操作が行われるMレンジに切り換えられたこと
を検出する。そしてシフトレバーがこのMレンジに切り
換えられ、該Mレンジ選択位置内で車両前後方向に揺動
操作されることによって、上記シフトアップスイッチ5
2又はシフトダウンスイッチ53がオン操作されて変速
段が一段シフトアップ又はシフトダウンされるようにな
っている。
【0055】そしてそれに対応してこのECU30に
は、自動変速時に用いる変速マップの変更を行う前述の
マップ変更部30fに加えて、手動変速時の上記シフト
レバーのMレンジ内での車両前後方向の揺動操作に応じ
て変速段を決定する変速段決定部30hが備えられてお
り、この変速段決定部30hは、図12にその制御プロ
グラムの内容を示すように、手動変速操作により現変速
段が2速以上で、且つ車速が所定車速以下であるか否か
を判定し、そうである場合は当該自動車が特定状態モー
ドにあると判定する一方、そうでない場合には特定状態
モードにないと判定する。つまりDレンジが選択されて
通常の自動変速の場合であれば図3に示すDレンジ用の
変速マップから変速段が1速とされるような状態におい
て、運転者による手動変速操作の結果、変速段が2速以
上の高速段のままとされているようなときには特定状態
モードと、それ以外のときには非特定状態モードと判定
するのである。
【0056】そして変速段決定部30hは、TCS搭載
判定部30aやトラクション制御禁止条件判定部30e
等の判定結果と共に、当該自動車が特定状態モードにあ
るか否かを判定し、全ての条件が満たされているとき
は、変速段を現在の高速段から1速に切り換える一方、
いずれかの条件が満たされていないときには、そのよう
な1速への変速段の切換えは行わない。
【0057】このような制御により、この第2の実施の
形態においては、2速以上の現在の変速段が変速段決定
部30hによって1速に切り換えられたときにはトラク
ション制御も実行され、この場合、トラクション制御が
実行されても変速段は1速であるので、2速以上の高速
段のままでの発進時や低速走行時にトラクション制御が
実行されるときに懸念されるエンストやトラクション制
御の性能低下等の不具合は起こらない。一方、当該自動
車がそもそもTCSを搭載していないか、あるいは搭載
していても該TCSが正常に作動しない状態にあるとき
には、変速段は2速以上の高速段のまま維持されるが、
この場合はトラクション制御が行われないのであるから
上記不具合はもともと発生しない。そして、このECU
30は上記のような判定部30a,30eを有し、その
判定結果に応じたエンジン制御及び手動変速制御を行う
ので、このECU30をTCS搭載車と非搭載車とのい
ずれにも共通使用することができて、自動車の生産コス
トの低減を図ることが可能になる。
【0058】なお、この第2の実施の形態においては、
手動変速モードへの切換えや、該手動変速モードにおけ
る変速操作が、運転者によるシフトレバーの揺動操作に
よって行なわれるものであったが、これに限らず、運転
者によるボタン操作やスイッチ操作等によって行なわれ
るものであってもよい。また、以上の実施の形態におい
て、ECU30はエンジン10及び自動変速機20を統
括制御する統合ユニットとされたが、エンジン10用の
ECUと、自動変速機20用のECUとに分離独立され
たものであってもよい。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本願の第1発明によれ
ば、駆動輪のスリップ時にエンジン出力を低下させるト
ラクション制御装置が当該車両に備えられているか否か
が判定され、備えられているとの判定時には、低速段側
の所定変速段への変速規制が行なわれても、その変速規
制が解除されるので、結局、低速段への変速が許容され
ることになり、高速段での発進時や低車速走行中等にト
ラクション制御が行なわれることによるエンジン停止あ
るいは該制御性能低下等の不具合が回避される。
【0060】また、上記トラクション制御装置が当該車
両に備えられていないとの判定時には、上記変速規制が
解除されないことになるので、この場合は、結局、低速
段への変速が規制されて高速段での発進や走行となり、
且つ、トラクション制御装置が当該車両に備えられてお
らず、したがってトラクション制御が行なわれないので
あるから、規制通りの高速段での発進や走行が行なわれ
ても、エンジン停止あるいは該制御性能低下等の不具合
が発生しないことになる。
【0061】そして、このようにトラクション搭載車と
非搭載車とのそれぞれに対応可能であるから、ECUの
共通化が図れて生産コストを低減することができる。
【0062】また、第2発明によれば、車速が所定値以
下であるときにのみ上記の変速規制の解除が行なわれる
ので、特に、車速が低く、したがってエンジン回転数の
小さい発進時等においてのみ、トラクション制御が行な
われることによるエンジン停止あるいは該制御性能低下
等の不具合が効果的に回避されると共に、それ以外の通
常走行時等においては、変速規制が維持されて、規制手
段による規制通りの走行が実現することになる。
【0063】また、第3発明によれば、上記の変速規制
又はその解除が、それぞれ上記変速特性の変更によって
行なわれるので、車速やスロットル開度等に基づいて規
制動作や解除動作が誤りなく実行されることになる。
【0064】また、第4発明によれば、通常発進時等に
用いられる1速の変速段が車速やスロットル開度等に基
づいて誤りなく目標変速段として決定されて、この1速
への変速が許容されることになる。
【0065】また、第5発明によれば、トラクション制
御装置が生成する所定の信号の検出により該制御装置が
当該車両に備えられていると判定されるので、トラクシ
ョン制御装置の存在が誤りなく合理的に判定されること
になる。
【0066】また、第6発明によれば、トラクション制
御装置が当該車両に備えられていると判定されても、該
制御装置が正常に作動しない状態にあると判定されたと
きには、上記変速規制を解除しないから、エンジン停止
等の不具合の発生原因であるトラクション制御が正常に
作動する状態にないのにも拘らず、単にトラクション制
御装置が備えられているというだけで上記変速規制が解
除されるというような不合理な事態が回避でき、信頼性
の高い制御が実現されることになる。
【0067】また、第7発明によれば、その場合のトラ
クション制御装置が正常に作動しない状態にあると判定
する条件が具体化される。
【0068】そして、第8発明によれば、マニュアルモ
ード付きの自動変速機において、上記第1発明ないし第
8発明と同様の効果が上記マニュアルモードで得られる
ことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における自動車の制御シ
ステム図である。
【図2】 同制御システム中におけるエンジン−自動変
速機側コントロールユニット及びトラクション側コント
ロールユニットの構成図である。
【図3】 Dレンジの変速制御で用いられる変速マップ
の概念図である。
【図4】 スノーモードの変速制御で用いられる変速マ
ップの概念図である。
【図5】 2レンジの変速制御で用いられる変速マップ
の概念図である。
【図6】 エンジン−自動変速機側コントロールユニッ
トにおけるTCS搭載判定部の制御動作の内容を示す説
明図である。
【図7】 同じくトラクション制御禁止条件判定部の制
御動作の内容を示す説明図である。
【図8】 同じく変速マップ変更部の制御動作の内容を
示す説明図である。
【図9】 上記変速マップ変更部で変更された後の2レ
ンジ用変速マップの概念図である。
【図10】 トラクション側コントロールユニットにお
けるトラクション制御禁止条件判定部の制御動作の内容
を示す説明図である。
【図11】 手動変速制御装置付き自動車の制御システ
ム中におけるエンジン−自動変速機側コントロールユニ
ットの構成図である。
【図12】 上記エンジン−自動変速機側コントロール
ユニットにおける変速段決定部の制御動作の内容を示す
説明図である。
【符号の説明】
10 エンジン 20 自動変速機 30 エンジン−自動変速機制御用統合コン
トロールユニット 30a トラクション制御装置搭載判定部 30e,40d トラクション制御禁止条件判定部 30f 変速マップ変更部 30h 変速段決定部 38 インヒビタスイッチ 39 スノースイッチ 40 トラクション制御用コントロールユニ
ット 40a 制御要求トルク出力部 51 Mレンジスイッチ 52 シフトアップスイッチ 53 シフトダウンスイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F16H 59:44 59:50 (72)発明者 大山 一 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車速に関する値を検出する車速検出手段
    と、スロットル開度に関する値を検出するスロットル開
    度検出手段と、予め車速に関する値とスロットル開度に
    関する値とに応じて設定された変速特性と上記両検出手
    段の検出結果とに基づいて変速段を決定して該変速段に
    変速する変速制御手段とを有する自動変速機の制御装置
    であって、運転者の所定の操作を受けて低速段側の所定
    の変速段への変速を規制する低速段規制手段と、当該車
    両の駆動輪にスリップが検出されたときに該スリップ量
    を所定の目標値に近づけるようにエンジン出力を低下さ
    せるトラクション制御装置が当該車両に備えられている
    か否かを判定する判定手段と、該判定手段でトラクショ
    ン制御装置が備えられていると判定されたときには上記
    規制手段による所定変速段への変速の規制を解除する変
    速規制解除手段とが備えられていることを特徴とする自
    動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 変速規制解除手段は、車速が所定値以下
    であるときにのみ、低速段規制手段による変速規制を解
    除することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の
    制御装置。
  3. 【請求項3】 低速段規制手段及び変速規制解除手段
    は、それぞれ上記変速特性を変更することにより、所定
    変速段への変速を規制し、該変速規制を解除するもので
    あることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制
    御装置。
  4. 【請求項4】 低速段規制手段は、車速とスロットル開
    度とが所定範囲にあるときは1速が選択されるように設
    定された第1の変速特性を、車速とスロットル開度とが
    いかなる範囲にあっても1速が選択されないように設定
    された第2の変速特性に変更することにより、1速への
    変速を規制し、変速規制解除手段は、上記第2の変速特
    性を第1の変速特性に変更することにより、1速への変
    速規制を解除するものであることを特徴とする請求項3
    に記載の自動変速機の制御装置。
  5. 【請求項5】 判定手段は、上記トラクション制御装置
    が生成する所定の信号を検出することにより、該制御装
    置が備えられていると判定することを特徴とする請求項
    1に記載の自動変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】 上記トラクション制御装置が正常に作動
    しない状態にあるか否かを判定する作動状態判定手段が
    備えられ、変速規制解除手段は、この作動状態判定手段
    でトラクション制御装置が正常に作動しない状態にある
    と判定されたときには、判定手段でトラクション制御装
    置が当該車両に備えられていると判定されたときであっ
    ても、低速段規制手段による変速規制を解除しないこと
    を特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  7. 【請求項7】 上記作動状態判定手段は、エンジンが始
    動前であるとき、エンジン水温が所定値以下であると
    き、エンジン回転数が所定値以上であるとき、エンジン
    補機が異常であるとき、トラクション制御が継続して所
    定時間以上行なわれたとき、運転者がトラクション制御
    を希望しない場合に作動するスイッチが作動中であると
    きの少なくともいずれかのときに、トラクション制御装
    置が正常に作動しない状態にあると判定することを特徴
    とする請求項6に記載の自動変速機の制御装置。
  8. 【請求項8】 車速に関する値を検出する車速検出手段
    と、スロットル開度に関する値を検出するスロットル開
    度検出手段と、予め車速に関する値とスロットル開度に
    関する値とに応じて設定された変速特性と上記両検出手
    段の検出結果とに基づいて変速段を決定して該変速段に
    変速する自動変速制御手段と、運転者の所定の操作に応
    じて変速段を決定して該変速段に変速する手動変速制御
    手段とを有する自動変速機の制御装置であって、当該車
    両の駆動輪にスリップが検出されたときに該スリップ量
    を所定の目標値に近づけるようにエンジン出力を低下さ
    せるトラクション制御装置が当該車両に備えられている
    か否かを判定する判定手段と、該判定手段でトラクショ
    ン制御装置が備えられていると判定され、且つ車速が所
    定値以下であるときには、上記手動変速制御手段により
    変速段が1速とされていなくても、変速段を1速に切り
    換える低速段強制手段とが備えられていることを特徴と
    する自動変速機の制御装置。
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