JP2574887B2 - 除湿熱交換設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、除湿熱交換換気設備に関するものであ
る。さらに詳しくは、この発明は、多湿状態の外気の吸
入を抑制し、屋内を快適な温湿度に保つことのできる除
湿機能付きの熱交換換気設備に関するものである。

（従来の技術） 近年、サッシ構造や断熱構造の改良、普及により一般
の住宅建物においてもその気密性、断熱性は著しく向上
してきている。また、それにともなって、建物内部の冷
暖房空調を、屋内全域の空気の対流循環を利用して効率
的に行い、外部との換気も同時に行う換気冷暖房設備が
開発されてきている。

また、気密性の向上とともに、屋内全域の換気につい
ても注意が払われるようになっており、この場合にも、
屋内全域の空気循環の観点から様々な工夫が試みられて
きている。このような試みの一つとして、たとえば第５
図に示したような、熱交換換気設備がある。

この設備は、送風ファン（ア）によって外部の新鮮な
空気を吸入し、熱交換器（イ）により屋内の排気と熱交
換して暖め、次いで屋内の各部屋へと給気する。給気さ
れた空気は、廊下や階段部等へも循環し、たとえばこの
第５図に示したように、１階天井面と２階床面の吸込口
（ウ）より排気ダクト（エ）および送風ファン（オ）を
介して熱交換され、屋外へと排気される。

たとえばこのように例示することのできる熱交換換気
設備は、屋内の全域への新鮮空気の供給と汚れた空気の
排気、およびその排気熱の利用という点において実用的
にも注目されているものである。また、熱交換の方式と
して全熱交換方式が注目されてもいる。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、このような特徴を有する熱交換換気設
備についても、依然として改善すべき課題が残されてい
る。

その一つの大きな課題は、これまでに提案されている
設備においては、外気の吸入および屋内給気にともなう
除湿が充分になし得ていないことである。

すなわち、これまでの設備、たとえば第６図に概略的
に示した全熱交換型の設備では、新鮮な外気の吸気
（カ）と排気（キ）との間で湿気交換作用を有し、冬期
の暖房時等では低湿度の外気を吸気する際に、屋内の排
気（キ）から湿気を加え、屋内の過乾燥状態を除くのに
有効であるものの、夏期冷房時には外気（キ）が高温多
湿のため、湿気交換作用が追いつかず、その能力を超え
てしまうことがある。このため、高湿の空気を屋内にと
り込んでしまい、居住者の不快感を増す。

この問題を解決するために、熱交換器（イ）を介して
の吸気ダクト系（ク）に電気ヒーター（ケ）を配備する
ことも考えられるが、除湿を行うためには大きな能力と
することが必要であり、コスト上昇が避けられず、あま
り現実的なものではない。

このため、上記の全熱交換方式によるものはもちろん
のこと、これまでの設備では除湿を効果的に、しかも低
コストで行う方策は実現されていない。

この発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたもの
であり、従来の熱交換換気設備の欠点を改善し、新鮮な
外気の吸気にともなう除湿作用に優れ、しかも簡便、安
価な、改良された除湿熱交換換気設備を提供することを
目的としている。

（課題を解決するための手段） この発明は、上記の課題を解決するものとして、吸気
した屋外空気と屋内の排気とを熱交換させる屋内換気設
備において、屋外空気の吸気ダクト系に除湿器を配設し
てなることを特徴とする除湿熱交換換気設備を提供する
ものである。

この除湿器は、着脱交換自在とすることにより、除湿
能力を一定に保つことができ、また、電気ヒーターなど
に比べてはるかに安価なものである。除湿器としては、
再使用できる吸湿および放湿機能を有するものを好まし
く用いることができ、たとえばシリカゲル等の無機質、
あるいは有機の吸湿材を使用することができる。これら
は粒状物として使用してもよいし、あるいは、多孔性の
メンブレン状のものとして用いることもできる。特にそ
の形状、構造に制限はない。

また、この除湿器については、吸湿と放湿とを時間的
または作用領域的に区分して切換使用できるようにする
と、さらに実用上の利便性の優れたものとなる。

（作用） この発明の熱交換換気設備においては、屋内空気の吸
気ダクト系に除湿器を配設することにより、これまでは
困難であった夏期の高温多湿の外気を給気する際にも、
高湿度の空気を屋内にとり込むことはない。

この除湿器は、吸湿および放湿作用を有するものとす
ることにより、再使用を可能とし、常時その除湿能力を
一定に保つことができ、しかもその能力の変更も容易で
ある。また、この発明の設備は、安価な装置として提供
される。

吸湿および放湿作用の切換機構を備えることにより、
除湿はさらに効率化され、連続的な除湿換気も可能とな
る。

（実施例） 次に、添付した図面に沿ってこの発明の除湿熱交換換
気設備についてさらに詳しく説明する。

第１図は、この発明の一実施例を示したものである。

この例においては、たとえば全熱交換型の熱交換器
（１）および送風ファン（２）を有する外部空気の吸気
ダクト系（３）に除湿器（４）を配設し、また、空気の
流れを切換える切換ダンパ（５）を設けている。

除湿器（４）としてはシリカゲルを用い、その近傍に
は、放湿用のヒーター（６）を備えている。

また熱交換器（１）には、送付ファン（７）を有する
排気ダクト系（８）が導かれている。

この構成からなる設備においては、屋外から吸入され
た新鮮空気（Ａ）は、熱交換器（１）において、排気ダ
クト系（８）からの屋内排気（Ｂ）と熱交換および湿気
交換され、送風ファン（２）によって、吸気ダクト系
（３）に送り込まれる。この時、空気（Ａ）は、シリカ
ゲル除湿器（４）によって除湿され、屋内各所へダクト
（3a）によって導かれる。切換ダンパ（５）は、この状
態では、ダクト（3a）を開き、外部放出用ダクト（3b）
を閉じた状態とする。除湿された新鮮な空気（ａ）が屋
内各所に供給される。

次いで一定の時間の後、除湿器（４）に吸湿された水
分を取り除くために、切換ダンパ（５）によってダクト
（3a）を閉じ、外部放出用ダクト（3b）を開いて、ヒー
ター（６）によってシリカゲル除湿器を加熱する。これ
により吸着されていた水分は除去され、ダクト（3b）を
通じて外部へ放出される。

切換ダンパ（５）およびヒーター（６）は、除湿器
（４）の吸湿および放湿に応じてコントローラー（９）
によって切換作動できるようにする。この時の切換にと
もなう時間区分は、除湿器（４）の吸湿能力および放湿
時間に応じて決めることができる。

この設備ではヒーター（６）は、電気的でもよいし、
あるいはその他の熱源を用いてもよい。ヒーター（６）
は吸気した空気を加熱するものでないので、加熱能力は
除湿器（４）を加熱するだけの比較的小さな能力があれ
ばよい。

この第１図の例は、時間的に吸湿および放湿を交互に
区分して行う方式を示したものであるが、この方式を含
めて、除湿器（４）は、吸気ダクト系（３）に着脱・交
換自在とすることが好ましい。

また、この時間区分方式とは異なるものとして、除湿
器（４）の作用機能を領域的に区分して切換える方式を
示したものが第２図および第３図である。

第２図に示した例は、シリカゲル等からなる吸湿材を
備えた除湿器（４）を回動自在とし、その表面の半分の
領域（4a）で吸湿を、また他の半分の領域（4b）で、ヒ
ーター（６）の加熱によって放湿するようにしている。

この２つの領域（4a）（4b）は、仕切板（10）によっ
て区分し、吸気ダクト系（３）の送風ファン（２）によ
って外気を送りながら吸湿と放湿を行わせている。この
場合には、除湿器（４）を連続的、または断続的回転さ
せることができ、ダクト（3a）から屋内各所に除湿し新
鮮な空気（ａ）を送ることができる。また、水分を含ん
だ空気はダクト（3b）から外部へ放出することができ
る。

除湿器（４）は、その中心部に回転軸を設けて回転さ
せてもよいし、または、その周縁に駆動装置（11）を設
けて回動させるようにしてもよい。回転のための切換
は、たとえば湿度センサー（12）によって除湿後の湿度
を測定し、ある設定値以上になった場合に切換えて回転
させるようにすることができる。さらにこの際に、形状
記憶合金を用いて切換を行うと、モーター等に比べて故
障も少くなる上、湿度にも強くなる。

第３図は、さらに別の例を示したものであり、この例
においては、空気の流れそのものを区別している。

除湿器（４）の吸湿のための領域（4a）と放湿のため
の領域（4b）とでは空気の流れが逆になる。この方法に
おいていは、除湿器（４）の放湿によって生じる水分を
搬送する空気（ｃ）は、屋内からの排気を利用してもよ
いし、あるいは、屋外からの吸気の一部を流通させるよ
うにしてもよい。この方式においても、外部から空気
（Ａ）は除湿されて低湿の空気（ａ）となり、これによ
って屋内の高湿の空気をとり込むことは抑止される。

もちろん、除湿器（４）の形状や構造がこれに限定さ
れることはない。たとえば、除湿器（４）の使用が必要
でないときには、吸気ダクト系（３）からスライドさせ
て取りはずしておくようにすることもできる。これを例
示したものが第４図である。

除湿が必要な時は、第４図に示した位置に除湿器
（４）を置き、必要でないときには、下方へスライドさ
せておく。放湿する時は、切換ダンパ（13）を切替え、
ヒーター（６）によって加熱して水分含有の空気は、ダ
クト（3b）より外部へ放出する。

これ以外にも様々な態様が可能であることはいうまで
もない。また、この設備を空調と組合せてもよいことは
もちろんのことである。

（発明の効果） この発明により、以上詳しく説明したように、簡便、
安価な設備で、良好な除湿が実現される。

夏期の高温多湿時においても快適な温湿度の条件を維
持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の一実施例を示した断面図であり、
第２図は、別の例を示した断面図である。 第３図および第４図は、各々、さらに別のこの発明の実
施例を示した斜視図と断面図である。 第５図および第６図は、各々、従来の換気設備の全体と
その具体例を示した断面図である。 １……熱交換器 ２……送風ファン ３……吸気ダクト系 ４……除湿器 ５……切換ダンパ ６……ヒーター ７……送風ファン ８……排気ダクト系 ９……コントローラー 10……仕切板 11……駆動装置 12……湿度センサー 13……切換ダンパ

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】吸気した屋外空気と屋内の排気とを熱交換
   させる屋内換気設備において、屋外空気の吸気ダクト系
   に除湿器を配設してなることを特徴とする除湿熱交換換
   気設備。
2. 【請求項２】除湿器を着脱自在としてなる請求項（１）
   記載の除湿熱交換換気設備。
3. 【請求項３】吸湿材を有する除湿器を配設してなる請求
   項（１）記載の除湿熱交換換気設備。
4. 【請求項４】吸湿と放湿とを時間切換および／または領
   域切換する切換機構を備えてなる請求項（１）記載の除
   湿熱交換換気設備。
5. 【請求項５】加熱器を配した放湿域と吸湿域とに、吸着
   材を有する回動除湿器を切換移動させてなる請求項
   （３）または（４）記載の除湿熱交換換気設備。
6. 【請求項６】請求項（１）記載の除湿熱交換換気設備を
   備えてなる屋内空気の対流循環による熱交換換気冷暖房
   設備。