JP2574528Y2 - ソレノイドバルブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、たとえば各種油，空圧
機器等の制御に用いられるソレノイドバルブに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種のソレノイドバルブとして
は、たとえば図４に示すようなものがある。すなわち、
このソレノイドバルブは、コア１０５と、このコア１０
５を取り囲むように配置されるコイル１０１と、コア１
０５と同軸的に配置されコア１０５と対向して設けられ
る可動の弁体１０４と、前記コイル１０１の外周を取り
囲むケース１００と、を備えている。このコア１０５の
端部は弁座部１０７となっていて、流路１０８が開口し
ている。また、前記コア１０５，ケース１００及び弁座
部１０７が磁性材料により一体成形されていた。

【０００３】そして、コイル１０１に通電すると、ケー
ス１００とコア１０５と可動の弁体１０４を通る閉塞し
た磁路が形成され、弁体１０４がコア１０５端部の弁座
部１０７の座面１０６に磁気吸引されて流路１０８が閉
塞される。一方、電流をオフすると、弁体１０４が流体
力によって押され、流路１０８が開くようなノーマルオ
ープンタイプの構成となっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来技術の場合には、ケース１００，コア１０５，弁
座部１０７が磁性体製で一体であるため、各部品の製作
性が悪く、質量的にも大きくなるという欠点があった。

【０００５】また、磁性体である弁座部１０７に流路１
０８を設けているため、鉄粉等のコンタミの付着といっ
た性能の悪化を持たらす要因も有している。

【０００６】さらに、弁体１０４と磁性体製の弁座面１
０６が直接接触するため、電流オフ時、すなわち、非励
磁時に残留磁気により弁体１０４の応答性が鈍くなる。

【０００７】この改善方法として、従来は非磁性体製の
シム１０９を弁座面１０６上に設けていた。ところが、
このシム１０９によって、弁体１０４と弁座面１０６の
接触を無くし、残留磁気による影響を小さくするできる
ものの、部品点数の増加という問題があった。

【０００８】本考案は上記した従来技術の課題を解決す
るためになされたもので、その目的とするところは、軽
量化を図ると共に製作の容易化を図り、さらにコンタミ
の付着を防止し、また応答性の向上を図り得るソレノイ
ドバルブを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案にあっては、コイルと、 前記コイルにより発
生する磁束の磁路となるコアと、 前記コアを流れる磁束
により磁気吸引されて移動する弁体と、 前記弁体が対向
して接離する弁座面及びこの弁座面に開口する流路とを
有する弁座と、を備えたソレノイドバルブにおいて、前
記弁座とコイルを巻つけるためのボビンとを樹脂によっ
て一体成形すると共に前記コアを埋設し、 前記弁座面
は、樹脂により成形され弁体側に突出した高弁座面と、
この高弁座面に隣接する低弁座面とを備え、 前記コア
は、磁路におけるコイルから離れた側の端部が前記低弁
座面に配置されることを特徴とする

【００１０】また、前記コアの磁路におけるコイルから
離れた側の端部は、前記低弁座面において露出している
ことが好適である。

【００１１】

【作用】上記構成のソレノイドバルブにあっては、弁座
をコイル巻付け用のボビンと樹脂によって一体成形する
と共にコアを埋設したので、製作が極めて容易になる。

【００１２】また、樹脂部によって弁座を構成すること
によって、軽量化を図ることができる。

【００１３】さらに、弁座に設けられる流路が樹脂で覆
われることになり、鉄粉等のコンタミも付着しにくい。

【００１４】また、弁座の高弁座面をコアより弁体側に
突出させることにより、コアと弁体が磁気吸引時に直接
接触せず、残留磁気による影響を小さくでき、応答性の
向上が図れる。したがって、従来のようにシムを設ける
必要がなくなって、部品点数の削減を図ることができ
る。

【００１５】

【実施例】以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明
する。本考案の一実施例に係るソレノイドバルブを示す
図１乃至図３において、１はソレノイドバルブを示して
おり、このソレノイドバルブ１は磁性体製の弁体として
のプランジャ２をコイル３の励磁，非励磁によって弁座
面４に対して接離し、弁座面４を有する弁座としてのバ
ルブシート部５に設けられた入力側流路６を開閉するも
のである。

【００１６】ソレノイドバルブ１の概略構成は、磁性体
製のケース７と、そのケース７内に設けられるコイル３
と、このコイル３を巻きつけるためのボビン８と、バル
ブシート部５と、ボビン８の中空部８１内に往復動自在
に挿入される弁体としてのプランジャ２と、コアとして
のサイドリング１０と、から構成されている。

【００１７】そして、コアとしてのサイドリング１０と
ケース７とが別体で、サイドリング１０とコイル巻付け
用のボビン８とを樹脂によって一体成形し、サイドリン
グ１０が埋設される樹脂部９によって弁座としてのバル
ブシート部５を構成すると共に、樹脂部９にプランジャ
２によって開閉される入力側流路６が設けられている。

【００１８】ケース７は円筒状で、サイドリング１０を
介してボビン８を保持するための内向きフランジ部７１
を有している。そして、そのケース７内に樹脂製のボビ
ン８が設けられ、そのボビン８にコイル３が巻きつけら
れている。

【００１９】また、このボビン８の中空部８１内には、
スリーブ１１を介して円柱状のプランジャ２が往復動自
在に挿入されており、プランジャ２の外周部には流体を
出力側に流す出力側流路２１が設けられ、内周部２２は
バルブシート部５の弁座面４側に突出している。そし
て、このプランジャ２の軸方向の動きを規制するために
出力ポート１２を有したストッパープレート１３がケー
ス７の内周面まで伸びて設けられている。

【００２０】弁座面４を有するバルブシート部５はボビ
ン８と同一の樹脂製の円筒形状で、弁座面４がボビン８
の中空部８１に入り込み、プランジャ２の内周部２２の
端面と対向面となるかたちで一体成形され樹脂部９を成
している。そして弁座面４は図２(b) に示すように段差
を有しており、中央部がプランジャ２側に突出した高弁
座面４１で周辺部が低弁座面４２となっている。またバ
ルブシート部５の内部には高弁座面４１まで伸びる入力
側流路６が設けられている。

【００２１】そして、ボビン８とバルブシート部５とか
ら成る樹脂部９にプランジャ２を往復駆動させるための
上記サイドリング１０が埋設されており、このサイドリ
ング１０はプランジャ２からケース７まで磁路を案内す
るような形状となっている。このサイドリング１０は、
図３に示すように、円板部１０ａとその円板部１０ａの
中央部に円筒部１０ｂが連続して設けられている。また
円板部１０ａには軸方向に貫通するボビン８とバルブシ
ート部５を一体成形できるよう樹脂流れ用穴１０ｃが複
数設けられている。

【００２２】そして、このサイドリング１０の円筒部１
０ｂの先端面１０ｄはバルブシート部５の弁座面４の低
弁座面４２まで伸びプランジャ２側に露出している。ま
た、円板部１０ａの外周面１０ｅはケース７の内周面に
当接し、円板部１０ａの外端面１０ｆはケース７の内向
きフランジ部７１の内端面に当接してケース７に接続
し、円板部１０ａの内端面１０ｇにはボビン８の下面部
８２が一体的に設けられている。

【００２３】また、ボビン８の上面部８３とストッパー
プレート１３の間にケース７からプランジャ２に磁路を
案内する環状のアッパープレート１４が介在している。

【００２４】したがって、コイル３を励磁することによ
り、ケース７，アッパープレート１４，プランジャ２，
サイドリング１０とから磁路が形成され、プランジャ２
がサイドリング１０のプランジャ２側に露出している先
端面１０ｄに磁気吸引され、プランジャ２の内周部２２
の端面と弁座面４の樹脂部９の高弁座面４１に当接し、
バルブシート部５の入力側流路６が閉ざされる。

【００２５】一方、コイル３が非励磁時には、入力側流
路６からの流体の流体圧によりプランジャ２の内周部２
２の端面が高弁座面４１から離れ、入力側流路６が開か
れ、プランジャ２の出力側流路２１を介して出力ポート
１２に流れる。

【００２６】上記構成のソレノイドバルブにあっては、
サイドリング１０を設けることによりバルブシート部５
を樹脂製とすることができソレノイドバルブ本体１の軽
量化を図ることができた。

【００２７】また、ボビン８とバルブシート部５をサイ
ドリング１０の樹脂流れ用穴１０ｃを介して一体成形す
ることができ、製作の容易化が図れた。

【００２８】そして、バルブシート部５が樹脂製である
ため、バルブシート部５に設けられる入力側流路６が樹
脂で覆われることになり、鉄粉等のコンタミも付着しに
くくなり、従来のコンタミに対する問題点を廃除でき
る。さらにバルブシート部５に設けられている弁座面４
をサイドリング１０の先端面１０ｄよりプランジャ２側
に突出させ高弁座面４１としているので、従来技術のシ
ム１０９の機能を果たし、サイドリング１０磁気吸引
時、プランジャ２の内周部２２の端面が低弁座面４２に
露出しているサイドリング１０の先端面１０ｄに直接接
触することがないため残留磁気による影響も小さくで
き、プランジャ２の応答性が鈍くならず性能の向上が図
れた。

【００２９】

【考案の効果】以上説明したように、本考案にあって
は、弁座をコイル巻付け用のボビンと樹脂によって一体
成形すると共にコアを埋設したので、製作が極めて容易
になり、生産性向上を図ることができる。

【００３０】また、樹脂部によって弁座を構成すること
によって、従来のようにコアによって弁座を構成する場
合に比べて軽量化を図ることができる。

【００３１】さらに、弁座に設けられる流路が樹脂で覆
われることになり、鉄粉等のコンタミも付着しにくい。
また、弁座の高弁座面をコアより弁体側に突出させるこ
とにより、残留磁気による影響を小さくでき、応答性の
向上が図れるので、従来のようにシムを設ける必要がな
くなって、部品点数の削減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の一実施例に係るソレノイドバル
ブの要部縦断面図である。

【図２】図２(a) は図１の樹脂部とコアを構成するサイ
ドリングを示す要部縦断面図であり、同図(b) は同図
(a) の弁座面を示す要部拡大縦断面図である。

【図３】図３(a) は図１のサイドリングを示す上面図で
あり、同図(b) は同図(a) の縦断面図である。

【図４】図４は従来のソレノイドバルブの要部縦断面図
である。

【符号の説明】

１ ソレノイドバルブ ２ プランジャ（弁体） ２１ 出力側流路 ２２ 内周部 ３ コイル ４ 弁座面 ４１ 高弁座面 ４２ 低弁座面 ５ バルブシート部 ６ 入力側流路 ７ ケース ７１ 内向きフランジ部 ８ ボビン ８１ 中空部 ８２ 下面部 ８３ 上面部 ９ 樹脂部 １０ サイドリング（コア） １０ａ 円板部 １０ｂ 円筒部 １０ｃ 樹脂流れ用穴 １０ｄ 先端面 １０ｅ 外周面 １０ｆ 外端面 １０ｇ 内端面 １１ スリーブ １２ 出力ポート １３ ストッパープレート １４ アッパープレート

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 コイルと、 前記コイルにより発生する磁束の磁路となるコアと、 前記コアを流れる磁束により磁気吸引されて移動する弁
   体と、 前記弁体が対向して接離する弁座面及びこの弁座面に開
   口する流路とを有する弁座と、を備えた ソレノイドバル
   ブにおいて、前記弁座とコイルを巻つけるためのボビンとを樹脂によ
   って一体成形すると共に前記コアを埋設し、 前記弁座面は、樹脂により成形され弁体側に突出した高
   弁座面と、この高弁座面に隣接する低弁座面とを備え、 前記コアは、磁路におけるコイルから離れた側の端部が
   前記低弁座面に配置される ことを特徴とするソレノイド
   バルブ。
2. 【請求項２】 前記コアの磁路におけるコイルから離れ
   た側の端部は、前記低弁座面において露出していること
   を特徴とする請求項１に記載のソレノイドバルブ。