JP2573446B2 - 非直線抵抗体 - Google Patents

非直線抵抗体

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JP2573446B2
JP2573446B2 JP3260645A JP26064591A JP2573446B2 JP 2573446 B2 JP2573446 B2 JP 2573446B2 JP 3260645 A JP3260645 A JP 3260645A JP 26064591 A JP26064591 A JP 26064591A JP 2573446 B2 JP2573446 B2 JP 2573446B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、避雷器等に用いられる
非直線抵抗体に係り、特に酸化亜鉛を主成分とする素子
の表面に形成される高抵抗層を改良した非直線抵抗体に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来よく知られているように、避雷器は
電力系統において発生する異常電圧を抑制し電力系統を
保護するために用いられる。この避雷器には非直線抵抗
体、すなわち正常な電圧では絶縁特性を示し、異常電圧
が印加された時には低い抵抗値を呈するものである。非
直線抵抗体は通常、バリスタと呼ばれ、その代表的なも
のに酸化亜鉛を主成分としたものがある。
【0003】一般に避雷器等に用いられる金属酸化物か
らなる非直線抵抗体は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分と
し、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、コバルト
(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、クロ
ム(Cr)、けい素(Si)の酸化物等からなる副成分
を含んだ構成とされている。
【0004】そして非直線抵抗体の製造は、上記各原料
を水および有機バインダとともに十分混合した後、スプ
レードライヤ等で造粒し、成形を行い、仮焼結した後、
この仮焼結体の表面に、沿面閃絡を防止する目的で、焼
成後高抵抗になる物質を塗布し、焼成し高抵抗層を形成
し、さらに両端面を研磨し、電極を取付けることにより
行われている。
【0005】なお、製法としては、(1)二酸化けい素
(SiO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化アン
チモン(Sb)を水および有機バインダとともに
混合し、仮焼体表面に塗布した後、1000〜1200
℃で焼結し、高抵抗層を形成する方法と、(2)例えば
特開平2−7401号に示されているように、無機高分
子もしくは有機金属化合物を主成分とした物質を塗布
し、350℃で脱水縮合、加水分解、重縮合あるいは熱
分解させて表面高抵抗層を形成する等の方法とが知られ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年の電力系統は送電
コスト低減のために大容量化、高電圧化が進み、それに
伴って避雷器についても500kV程度のものが実用化
されている。さらに近い将来には1000kV(UH
V)用避雷器も計画されている。
【0007】これらの避雷器に使用される非直線抵抗体
は、極めて大きなサージエネルギを処理する必要があ
り、非直線抵抗体の大容量化、並列接続枚数の増加等の
手段が用いられる。
【0008】しかし、並列接続枚数の増加は、電流分担
のアンバランスを招き易い等の特性上の問題から、並列
接続枚数は制限され、必然的に非直線抵抗体の大容量化
が図られなければならない。しかし、厚みは避雷器の制
限電圧等によって制限されるので、素子径を大きくしな
ければならない。このようにして、500kV用等の非
直線抵抗体の形状は、直径が100〜120mm、肉厚が
焼結時の変形および経済性から20〜45mmにもなる。
【0009】このような非直線抵抗体は焼結が難しく、
しばしば電気特性のばらつきとなって現れる。例えば前
記の(1)の方法で製造される非直線抵抗体では、工業
的に量産製造する場合に、非直線抵抗特性の低下やその
特性上のばらつきだけでなく、放電耐量特性等のばらつ
きが発生するという問題があり、素子特性の安定化に種
々苦慮している。
【0010】また、(2)の方法で製造される非直線抵
抗体は優れた特性となる場合が多く、放電耐量特性は大
幅に向上するが、これらの高抵抗層は単層であるため、
希に部分的な構造の欠陥、例えばポア、ピンホール等の
存在により特性が悪化する場合がある。
【0011】このように従来では、仮焼した素体に焼成
後高抵抗になる物質を塗布した後、焼成して高抵抗層を
形成して構成されることから、素体の適性な焼成温度と
高抵抗層形成のための適性な温度が合致しない場合が多
く現れ、安定した電気特性を有する素子が望まれてい
た。
【0012】本発明はこのような事情に基づいてなされ
たもので、焼結時の影響が少なく、放電耐量特性を大幅
に向上することができる非直線抵抗体を提供することを
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段および作用】発明者におい
ては、優れた放電耐量特性をもつ非直線抵抗体を得るた
め種々の研究を行ってきた。その結果、次のことが明ら
かとなった。
【0014】すなわち従来の非直線抵抗体では、高抵抗
層が、仮焼した素体への焼成後高抵抗となる物質の塗
布、およびその後の焼成によって得られているが、素体
の適正焼成温度と高抵抗層形成の適性温度とは合致しな
いものである。したがって、従来では素体に適する焼成
温度に合わせることになり、その結果良好な高抵抗層が
形成されず、放電耐量特性が低下していることが分かっ
た。
【0015】ところで、オルトリン酸アルミニウム等
は、一般のAlの焼成温度に比べて極めて低い温
度で脱水結合反応させた場合、−P−O−P−構造や、
金属イオンの周囲にリン酸塩分子がOをもって配位す
る−P−O−M−O−P−のような分子構造、例えばA
lH10・nHOで表される耐熱性、耐水性
に優れた高抵抗物質となる。
【0016】したがって、このような無機高分子構造を
有するセラミック、またはアルミニウムおよびシリコン
を主成分とする無機高分子構造を有するセラミックを、
焼結素体の表面に塗布して脱水結合反応させれば、優れ
た高抵抗層が形成できるものと考えられる。
【0017】一方、金属アルコシキド等は、200℃以
下の低温で加水分解、重縮合反応を起こし、非晶質の耐
熱性、対水性に優れた物質となる。
【0018】したがって、金属アルコシキド等を、無機
高分子構造を有するセラミックからなる高抵抗層のさら
に上層として塗布して加水分解、重縮合反応させれば、
非晶質の耐熱性、対水性に優れたセラミックコーティン
グ膜を形成するものと考えられる。
【0019】さらに、金属アルコキシドはアルコール溶
液のため浸透性が良く、無機高分子構造を有するセラミ
ックからなる高抵抗層のポア、ピンホール等の欠陥部分
に入り、硬化強化する働きをすることも考えられる。
【0020】したがって、以上の2種類の層を用いれ
ば、欠陥部分の極めて少ない良好な2層のセラミックコ
ーティング膜が形成され、かつ適正な膜厚に制御すれ
ば、放電耐量特性が良好で、かつ耐量特性のばらつきが
小さくなると考えられる。
【0021】以上の知見に基づき、請求項1の発明は、
酸化亜鉛を主成分とする焼結体の表面に高抵抗層を設け
た非直線抵抗体において、前記高抵抗層は無機高分子構
造を有するセラミックコーティング膜である第1の層
と、この第1の層上に設けられた非晶質のセラミックコ
ーティング膜である第2の層とからなることを特徴とす
る。
【0022】なお、請求項1の発明において、第1の層
となる無機高分子構造を有するセラミックコーティング
膜の材料としては、オルトリン酸アルミニウムが好適で
あり、他にリン酸塩基を変えたピロリン酸アルミニウ
ム、トリポリン酸アルミニウム、テトラポリン酸アルミ
ニウム等が適用できる。
【0023】リン酸は一般式としてMn+2PnO
3n+1で表わされる。ここでMは金属、Pはリン、O
は酸素、nは自然数である。このMには、Mg,Ca,
Cu,Zr,Si等を適用することができる。
【0024】また、第2の層となる非晶質構造を有する
セラミックコーティング膜の材料としては、金属アルコ
キシドの一種であるイソプロパキシシリカが好適であ
り、他にイソプロパキシシリカのアルキル基を変えて、
メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基を採用することも可能である。
【0025】金属アルコキシドは一般式M(PR)nで
表わされる。ここでMは金属、Oは酸素、、Rはアルキ
ル基、nは自然数である。そして、金属Mとしては、T
i,Al,Zr,Cr,Mgとし、アルキル基をメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基等が採用できる。
【0026】なお、非直線抵抗体の添加物としては酸化
物原料が好適であるが、焼成して酸化物になり非直線特
性を向上させるものであれば、他の成分を加えてもよ
い。
【0027】ところで、高抵抗層が70×70−7/℃
を超える熱膨張係数を有するセラミックコーティング膜
では放電耐量特性が劣り、素体が破壊したり、亀裂が入
る虞れがある。その原因は次のように推察される。
【0028】すなわち、非直線抵抗体のようなセラミッ
クスを焼結すると、残留応力が存在することがある。原
因としては、混合工程における不均質混合、焼成工程に
おける不均一温度分布、雰囲気むら等がある。これらが
影響しあって、素体が不均一な収縮をすることによっ
て、残留応力が生じるものと考えられている。
【0029】ところが、熱膨張係数の異なる高抵抗層材
料を塗布したものを焼結すると、それだけで残留応力が
生じる。素体よりも小さい熱膨張数の材料を塗布、焼結
すると素体は十分に収縮しきれず引張り応力が残り逆に
高抵抗層は素体の収縮力の影響を受け、過剰に収縮する
ことから圧縮応力が残る。非直線抵抗体の熱膨張係数測
定を行ったところ、70×70−7/℃であった。した
がって、70×70-7/℃以下の材料を塗布すれば高抵
抗層に圧縮応力が残り、それ以上のものであれば引張り
応力が残ることになる。
【0030】また、外周部から入る破壊や亀裂に対して
高抵抗層の圧縮応力は有効に作用する。放電耐量試験に
よる外周部で発生する破壊や亀裂は、印加エネルギによ
って素体が熱膨脹するために発生すると考えられてい
る。
【0031】したがって、素体最外周部のセラミックコ
ーティング膜に圧縮応力が残る素体に耐量エネルギを印
加しても、圧縮応力がなくなるまでのエネルギに消費さ
れることから見掛け上、放電耐量特性は大きな値を示す
ことになる。
【0032】そこで、請求項2の発明は、酸化亜鉛を主
成分とする焼結体の表面に高抵抗層を設けた非直線抵抗
体において、前記高抵抗層は無機高分子構造を有するセ
ラミックコーティング膜である第1の層と、この第1の
層上に設けられた非晶質のセラミックコーティング膜で
ある第2の層とからなり、両層ともに70×70−7
℃以下の熱膨張係数を有することを特徴とする。
【0033】請求項2の発明によれば、セラミックコー
ティング膜である第1の層と、この第1の層上に設けら
れた非晶質のセラミックコーティング膜である第2の層
とが、ともに70×70−7/℃以下の熱膨張係数を有
する非直線抵抗体としたことにより、放電耐量特性に優
れた、信頼性の高い非直線抵抗体を提供することができ
る。
【0034】なお、請求項2の発明において、第1の層
となる無機高分子構造を有するセラミックコーティング
膜の材料としては、ピロリン酸アルミニウムが好適であ
り、熱膨張係数が合えば他のリン酸塩が適用できる。
【0035】また、第2の層となる非晶質構造を有する
セラミックコーティング膜の材料としては、金属アルコ
キシドの一種であるメトキシシリカが好適であり、熱膨
張係数が合えば他の金属アルコキシドでもよく、非晶質
の膜を形成するアルカリ金属塩等のセラミック材料を採
用することも可能である。
【0036】なお、非直線抵抗体の添加物としては酸化
物原料が好適であるが、焼成して酸化物になり非直線特
性を向上させるものであれば、他の成分を加えてもよ
い。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0038】実施例1 本実施例は避雷器として適用される非直線抵抗体につい
てのもので、図1に本実施例による非直線抵抗体の断面
構成を示している。
【0039】本実施例の非直線抵抗体は、焼結体である
円盤状の素体1と、この素体1の軸方向各端面に設けら
れた電極2と、素体1の外周面に形成された高抵抗層で
ある第1の層3およびこの第1の層上に設けられた第2
の層4とを有する構成とされている。なお、この非直線
抵抗体の直径は100mm肉厚は22mmである。
【0040】素体1は、酸化亜鉛を主成分とする焼結体
によって構成され、電圧非直線性を有している。
【0041】また、第1の層3は、無機高分子構造を有
するセラミックコーティング膜によって構成されてい
る。
【0042】さらに、第2の高抵抗層4は非晶質のセラ
ミックコーティング膜によって構成されている。
【0043】このような構成の非直線抵抗体は以下の方
法で製造されたものである。
【0044】まず、素体1の製造方法を説明する。
【0045】酸化亜鉛(ZnO)に、酸化ビスマス(B
)、酸化マンガン(MnO)、二酸化けい素
(SiO)、酸化クロム(Cr)を、それぞれ
0.5モル%、酸化コバルト(Co)、酸化アン
チモン(Sb)、酸化ニッケル(NiO)をそれ
ぞれ1モル%添加する。これらの原料を水や分散材等の
有機バインダ類とともに混合装置に入れ、混合する。
【0046】次に、上記の混合物をスプレードライヤで
例えば粒径が100μmになるように噴霧造粒する。そ
して、これらの造粒粉を金型に入れて加圧し、直径12
5mm、厚さ30mmの円盤に成形した後、添加した有機バ
インダ類を除くため空気中で500℃で焼成し、さらに
空気中で1200℃で焼成する。これにより素体1を得
る。
【0047】次に、高抵抗層である第1,第2の層3,
4の製造方法を説明する。
【0048】まず、無機高分子構造を形成するセラミッ
クコーティング材料、例えばオルトリン酸アルミニウム
(Al(HPO)の水溶液を、スプレーガン等
によって上述した素体1の外周面に塗布する。塗布の
後、素体1を例えば350℃の温度で、1〜2時間乾燥
して硬化させる。これによって素体1の外周面に、高抵
抗層である第1の層3が形成される。
【0049】次に、非晶質のセラミックコーティング膜
を形成する材料、例えば金属アルコキシドの一種である
イソパキシシリカ(Si(OCH7))を前記同様
にスプレーガン等によって第1の層3の外周側に塗布す
る。その後、350℃で乾燥して硬化させ、これによっ
て第1の層3の外周側に非晶質の膜からなる第2の層4
を形成する。
【0050】以上の方法で得られた焼結素体の軸方向両
端面を研磨し、その両端面にアルミニウムを溶射して電
極2を形成する。これにより、図1に示した非直線抵抗
体を得ることができる。
【0051】図2は、以上の方法で製造された本実施例
による非直線抵抗体の放電耐量特性の測定値を、従来の
非直線抵抗体と比較して示したものである。すなわち、
縦軸に度数を現し、横軸に素子が耐えたエネルギの値を
現し、分布図として示している。本実験では、完成した
非直線抵抗体に2.5msの矩形波電流を5回印加し
て、放電耐量の測定を行った。
【0052】図2の曲線Aは本実施例の非直線抵抗体の
放電耐量特性を示し、曲線Bは従来の製造方法による非
直線抵抗体の放電耐量特性を示す。同図から明らかなよ
うに、従来の非直線抵抗体では、放電耐量特性のばらつ
きが大きく、耐量エネルギも小さいのに対し、本実施例
による非直線抵抗体では、放電耐量特性のばらつきが小
さく、同特性が良好であることが分かる。
【0053】したがって第1の層3として、無機高分子
構造を有するセラミックコーティング膜、第2の層4と
して非晶質のセラミックコーティング膜を有する本実施
例によれば、従来の非直線抵抗体に比べて放電耐量特性
が向上できる。
【0054】本実施例により、優れた放電耐量特性をも
つ非直線抵抗体が得られる理由は、次のように考えられ
る。
【0055】すなわち、従来では、仮焼した素体に焼成
後高抵抗になる物質を塗布した後、焼成し高抵抗層を形
成しているため素体の適性な焼成温度と高抵抗層形成の
適性温度が合致せず、その結果素体に適する焼成温度に
合わせることになり良好な高抵抗層ができず、放電耐量
特性が低下している。
【0056】しかし、本実施例のように、焼結素体の表
面に塗布されたオルトリン酸アルミニウムの場合は、一
般のAlの焼成塗膜の焼成温度に比べて極めて低
い温度で脱水結合反応により−P−O−P−構造や、金
属イオンの周囲にリン酸塩分子がOをもって配位して
−P−O−M−O−P−のような分子構造、例えばAl
10・nHOで表される耐熱性、耐水性に
優れた高抵抗の硬化被膜が形成される。さらにその上層
としての、金属アルコシキドはやはり300℃以下の低
温で加水分解、重縮合反応を起こし、非晶質の耐熱性、
対水性に優れたセラミックコーティング膜を形成する。
【0057】 Si(OC+HO→Si(OH)+4COH Si(OH)→SiO+2HO↑ これらの金属アルコキシドは非晶質の第2層を形成する
だけでなく、アルコール溶液のため浸透性が良く、第1
層のポア、ピンホール等の欠陥部分に入り、硬化強化す
る働きもすることから欠陥部分の極めて少ない良好な2
層のセラミックコーティング膜が形成され、かつ適正な
膜厚に制御することから、放電耐量特性が良好で、かつ
耐量特性のばらつきが小さくなると考えられる。
【0058】以上の実施例によれば、素体1の表面に第
1の層3として無機高分子構造を有するセラミックコー
ティング膜を形成し、さらにその上層に第2の層4とし
て非晶質構造を有するセラミックコーティング膜を形成
することにより放電耐量特性に優れた信頼性の高い非直
線抵抗体を提供することができた。
【0059】なお、本実施例においては、無機高分子構
造を有するセラミックコーティング膜の材料としてオル
トリン酸アルミニウムを使用したが、リン酸塩基を変え
てピロリン酸アルミニウム、トリポリン酸アルミニウ
ム、テトラポリン酸アルミニウムでも良好な特性を示す
ことが認められた。
【0060】リン酸は一般式としてMn+2PnO
3n+1で表わされる。ここでMは金属、Pはリン、O
は酸素、nは自然数である。このMとして、Mg,C
a,Cu,Zr,Si等を適用しても前記実施例と同様
の効果が奏されることが認められた。すなわち、一般の
リン酸塩を材料とすることが可能である。
【0061】また、第2の層となる非晶質構造を有する
セラミックコーティング膜の材料としては、金属アルコ
キシドの一種であるイソプロパキシシリカが好適である
が、他にイソプロパキシシリカのアルキル基を変えて、
メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基を採用しても前記実施例と同様の効果が奏されること
が認められた。
【0062】金属アルコキシドは一般式M(PR)nで
表わされる。ここでMは金属、Oは酸素、、Rはアルキ
ル基、nは自然数である。そして、金属Mとしては、T
i,Al,Zr,Cr,Mgとし、アルキル基をメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基等を採用しても前記実施例と同様の効果が奏さ
れることが認められた。
【0063】なお、非直線抵抗体の添加物としては酸化
物原料が好適であるが、これに限らず、焼成して酸化物
になるものであればよい。さらに、前記実施例で示した
もの以外の添加物を加えてもよい。例えば非直線特性を
向上させる目的で他の成分を加えてもよい。
【0064】なお、前記実施例では非直線抵抗体の直径
を100mmとし、肉厚を22mmとしたが、これよりも容
量が小さなもの、あるいは大きなものでも前記同様の効
果が奏されることが確認できた。
【0065】実施例2 本実施例も避雷器として適用される非直線抵抗体につい
のもので、図3に本実施例による非直線抵抗体の断面構
成を示している。
【0066】本実施例の非直線抵抗体は、焼結体である
円盤状の素体11と、この素体11の軸方向各端面に設
けられた電極12と、素体11の外周面に形成された高
抵抗層である第1の層13およびこの第1の層上に設け
られた第2の層14とを有する構成とされている。な
お、この非直線抵抗体の直径は100mm肉厚は22mmで
ある。
【0067】素体11は、酸化亜鉛を主成分とする焼結
体によって構成され、電圧非直線性を有している。
【0068】また、第1の層13は、無機高分子構造を
有するセラミックコーティング膜によって構成されてい
る。
【0069】さらに、第2の高抵抗層14は非晶質のセ
ラミックコーティング膜によって構成されている。
【0070】そして、第1の層13と、この第1の層1
3上に設けられた非晶質のセラミックコーティング膜で
ある第2の層14とが、ともに70×70−7/℃以下
の熱膨張係数を有する非直線抵抗体とされている。
【0071】このような構成の非直線抵抗体は以下の方
法で製造されたものである。
【0072】まず、素体11の製造方法を説明する。
【0073】酸化亜鉛(ZnO)に、酸化ビスマス(B
)、酸化マンガン(MnO)、二酸化けい素
(SiO)、酸化クロム(Cr)を、それぞれ
0.5モル%、酸化コバルト(Co)、酸化アン
チモン(Sb)、酸化ニッケル(NiO)をそれ
ぞれ1モル%添加する。これらの原料を水や分散材等の
有機バインダ類とともに混合装置に入れ、混合する。
【0074】次に、上記の混合物をスプレードライヤで
例えば粒径が100μmになるように噴霧造粒する。そ
して、これらの造粒粉を金型に入れて加圧し、直径12
5mm、厚さ30mmの円盤に成形した後、添加した有機バ
インダ類を除くため空気中で500℃で焼成し、さらに
空気中で1200℃で焼成する。これにより素体11を
得る。
【0075】次に、高抵抗層である第1,第2の層1
3,14の製造方法を説明する。
【0076】まず、無機高分子構造を形成するセラミッ
クコーティング材料、例えばピロリン酸アルミニウム
(Al12)の水溶液を、スプレーガン等
によって上述した素体11の外周面に塗布する。塗布の
後、素体11を例えば350℃の温度で、1〜2時間乾
燥して硬化させる。これによって素体11の外周面に、
高抵抗層である第1の層13が形成される。
【0077】次に、非晶質のセラミックコーティング膜
を形成する材料、例えば金属アルコキシドの一種である
メトキシシリカ(Si(OCH)を前記同様にス
プレーガン等によって第1の層13の外周側に塗布す
る。その後、350℃で乾燥して硬化させ、これによっ
て第1の層13の外周側に非晶質の膜からなる第2の層
14を形成する。
【0078】以上の方法で得られた焼結素体の軸方向両
端面を研磨し、その両端面にアルミニウムを溶射して電
極2を形成する。これにより、図1に示した非直線抵抗
体を得ることができる。
【0079】ここで使用した無機高分子構造を形成する
セラミックコーティング材料の熱膨張係数は60×10
−7/℃であり、非晶質構造を形成するセラミックコー
ティング材料の熱膨張係数は50×10−7/℃であっ
た。
【0080】図4は、以上の方法で製造された本実施例
による非直線抵抗体の放電耐量特性の測定値を、従来の
非直線抵抗体と比較して示したものである。すなわち、
縦軸に度数を現し、横軸に素子が耐えたエネルギの値を
現し、分布図として示している。本実験では、完成した
非直線抵抗体に2.5msの矩形波電流を5回印加し
て、放電耐量の測定を行った。
【0081】図4の曲線Cは本実施例の非直線抵抗体の
放電耐量特性を示し、曲線Dは従来の製造方法による非
直線抵抗体の放電耐量特性を示す。同図から明らかなよ
うに、従来の非直線抵抗体では、放電耐量特性のばらつ
きが大きく、耐量エネルギも小さいのに対し、本実施例
による非直線抵抗体では、放電耐量特性のばらつきが小
さく、同特性が良好であることが分かる。
【0082】したがって第1の層13として、無機高分
子構造を有するセラミックコーティング膜、第2の層1
4として非晶質のセラミックコーティング膜を有する本
実施例によれば、従来の非直線抵抗体に比べて放電耐量
特性が向上できる。
【0083】本実施例により、優れた放電耐量特性をも
つ非直線抵抗体が得られる理由は、次のように考えられ
る。
【0084】すなわち、従来では、仮焼した素体に焼成
後高抵抗になる物質を塗布した後、焼成し高抵抗層を形
成しているため素体の適性な焼成温度と高抵抗層形成の
適性温度が合致せず、その結果素体に適する焼成温度に
合わせることになり良好な高抵抗層ができず、放電耐量
特性が低下している。
【0085】しかし、本実施例のように、焼結素体11
の表面に塗布されたピロリン酸アルミニウムの場合は、
一般のAlの焼成塗膜の焼成温度に比べて極めて
低い温度で脱水結合反応により高分子構造の硬化被膜が
形成される。さらにその上層としての、金属アルコシキ
ドはやはり300℃以下の低温で加水分解、重縮合反応
を起こし、非晶質の耐熱性、対水性に優れたセラミック
コーティング膜を形成する。
【0086】これらの金属アルコキシドは非晶質の第2
層を形成するだけでなく、アルコール溶液のため浸透性
が良く、第1層のポア、ピンホール等の欠陥部分に入
り、硬化、強化する働きもすることから欠陥部分の極め
て少ない良好な2層のセラミックコーティング膜が形成
され、かつ適正な膜厚に制御することから、放電耐量特
性が良好で、かつ耐量特性のばらつきが小さくなると考
えられる。
【0087】さらに加えて、本実施例においては、第2
の層14に70×70−7/℃以下の熱膨張係数を有す
るセラミックコーティング膜を用いたが、これは70×70
-7/℃を超える熱膨張係数を有するセラミックコーティ
ング膜では放電耐量特性が劣り、素体が破壊したり、亀
裂が入る虞れがある。その原因は次のように推察され
る。
【0088】すなわち、非直線抵抗体のようなセラミッ
クスを焼結すると、残留応力が存在することがある。原
因としては、混合工程における不均質混合、焼成工程に
おける不均一温度分布、雰囲気むら等がある。これらが
影響しあって、素体が不均一な収縮をすることによっ
て、残留応力が生じるものと考えられている。
【0089】ところが、熱膨張係数の異なる高抵抗層材
料を塗布したものを焼結すると、それだけで残留応力が
生じる。素体よりも小さい熱膨張数の材料を塗布、焼結
すると素体は十分に収縮しきれず引張り応力が残り逆に
高抵抗層は素体の収縮力の影響を受け、過剰に収縮する
ことから圧縮応力が残る。ところで、非直線抵抗体の熱
膨張係数測定を行ったところ、70×70−7/℃であ
った。したがって、70×70−7/℃以下の材料を塗
布すれば高抵抗層に圧縮応力が残り、それ以上のもので
あれば引張り応力が残ることになる。
【0090】外周部から入る破壊や亀裂に大して高抵抗
層の圧縮応力は有効に作用する。放電耐量試験による外
周部で発生する破壊や亀裂は、印加エネルギによって素
体が熱膨脹するために発生すると考えられている。
【0091】したがって、素体最外周部のセラミックコ
ーティング膜に圧縮応力が残る素体に耐量エネルギを印
加しても圧縮応力がなくなるまでのエネルギに消費され
ることから見掛け上、放電耐量特性は大きな値を示すこ
とになる。
【0092】図5にセラミックコーティング膜の熱膨張
係数と放電耐量特性との関係を示したが、70×70
−7/℃を超えると特性が悪化することが分かる。
【0093】以上の実施例によれば、素体11の表面に
第1の層13として無機高分子構造を有するセラミック
コーティング膜を形成し、さらにその上層に第2の層1
4として非晶質構造を有するセラミックコーティング膜
を形成し、両層がともに70×70−7/℃以下の熱膨
張係数を有するものとしたことにより、放電耐量特性に
優れた、信頼性の高い非直線抵抗体を提供することがで
きる。
【0094】なお、本実施例において、第1の層13と
なる無機高分子構造を有するセラミックコーティング膜
の材料として、ピロリン酸アルミニウムを適用したが、
熱膨張係数が合えば他のリン酸塩が適用することができ
る。
【0095】また、第2の層14となる非晶質構造を有
するセラミックコーティング膜の材料として、金属アル
コキシドの一種であるメトキシシリカを適用したが、熱
膨張係数が合えば他の金属アルコキシドでもよく、非晶
質の膜を形成するアルカリ金属塩等のセラミック材料を
採用することも可能である。
【0096】なお、非直線抵抗体の添加物としては酸化
物原料が好適であるが、焼成して酸化物になり非直線特
性を向上させるものであれば、他の成分を加えてもよ
い。
【0097】なお、前記実施例では非直線抵抗体の直径
を100mmとし、肉厚を22mmとしたが、これよりも容
量が小さなもの、あるいは大きなものでも前記同様の効
果が奏されることが確認できた。
【0098】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、焼結体の表面に第1の層として無機高分子構造を有
するセラミックコーティング膜を形成し、さらにその上
層に第2の層4として非晶質構造を有するセラミックコ
ーティング膜を形成することにより、放電耐量特性に優
れた信頼性の高い非直線抵抗体を得ることができる。
【0099】また、請求項2の発明によれば、焼結体の
表面に第1の層として無機高分子構造を有するセラミッ
クコーティング膜を形成し、さらにその上層に第2の層
として非晶質構造を有するセラミックコーティング膜を
形成し、両層がともに70×70−7/℃以下の熱膨張
係数を有するものとしたことにより、放電耐量特性に優
れた、信頼性の高い非直線抵抗体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による被直線抵抗体を示す断
面図。
【図2】同実施例による非直線抵抗体の放電耐量特性を
示すグラフ。
【図3】本発明の実施例2による被直線抵抗体を示す断
面図。
【図4】同実施例による非直線抵抗体の放電耐量特性を
示すグラフ。
【図5】同実施例による非直線抵抗体の放電耐量特性を
示すグラフ。
【符号の説明】
1 素体(焼結体) 3 第1の層 4 第2の層 11 素体(焼結体) 12 第1の層 13 第2の層

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛を主成分とする焼結体の表面に
    高抵抗層を設けた非直線抵抗体において、前記高抵抗層
    は無機高分子構造を有するセラミックコーティング膜で
    ある第1の層と、この第1の層上に設けられた非晶質の
    セラミックコーティング膜である第2の層とからなるこ
    とを特徴とする非直線抵抗体。
  2. 【請求項2】 酸化亜鉛を主成分とする焼結体の表面に
    高抵抗層を設けた非直線抵抗体において、前記高抵抗層
    は無機高分子構造を有するセラミックコーティング膜で
    ある第1の層と、この第1の層上に設けられた非晶質の
    セラミックコーティング膜である第2の層とからなり、
    両層ともに70×70−7/℃以下の熱膨張係数を有す
    ることを特徴とする非直線抵抗体。
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