JP2571055B2 - 自動車のドア開閉構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は自動車のドア開閉構造に関し、前側回転リン
クと後側回転リンクとからなる４節回転リンク機構によ
りドアを車体に開閉自在に支持したドア開閉構造に関す
るものである。

〔従来技術〕

一般に、自動車のドアはリンク機構などを介して車体
に開閉自在に取付けられているが、トラックなど狭い路
地等でドアを開閉する必要のある自動車では、自動車の
側方に障害物があっても極力ドアの開度を大きくとり且
つドアを任意の開度で保持することが出来るように、前
側回転リンクとこの前側回転リンクよりも後方に位置す
る後側回転リンクとからなる４節回転リンク機構を用い
たドア開閉構造を用いる場合が多く、このドア開閉構造
では前側回転リンクが後側回転リンクよりも前方に配置
されている関係上、ドアを全開位置に開いた場合にドア
開口縁の前端縁を構成するフロントフェンダなどの外側
車体パネルと前側回転リンクとが干渉しないように設定
する必要がある。

そこで、例えば実開昭60−61366号公報には、上記４
節回転リンク機構を用いたサイドドアヒンジ機構におい
て、前側回転リンクの前端の車体への連結点をフロント
フェンダの後端（ドア開口縁の前端縁）よりも前方に配
置し、前側回転リンクの外側を覆うフロントフェンダ部
分をフロントフェンダ本体から分割して前側回転リンク
とともに回動する可動フェンダとしたサイドドアヒンジ
機構が記載されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記公報に記載されたサイドドアヒンジ機構において
は、フロントフェンダの一部を前側回転リンクとともに
回動する可動フェンダに構成するので、回転リンク機構
を構成する上での自由度は拡大するけれども、分割した
可動フェンダを車体側に回動自在に支持する機構などを
設けなければならず構造が複雑化するだけでなく、フロ
ントフェンダに関するデザイン上の自由度が制約される
などの欠点がある。

また、ドアを開いた時にドアは可動フェンダの前後幅
だけ外方に離れて位置するので、後側回転リンクとして
非常に長さの長い部材を用いなければならず実用性に欠
けるという欠点がある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明に係る自動車のドア開閉構造は、前端と後端が
夫々車体とドアに回転自在に連結された前側回転リンク
と、前端と後端が夫々前側回転リンクの前端と後端より
も後方に位置し、前端と後端が夫々車体とドアに回転自
在に連結された後側回転リンクとを備えた４節回転リン
ク機構によりドアを車体に開閉自在に支持したドア開閉
構造において、上記前側回転リンクの車体側連結部を外
側車体パネルのドア開口縁の前端縁よりも前方に配置す
るとともに、上記ドア開口縁の前端縁よりも前方に延び
る外側車体パネルに前側回転リンクが侵入可能なスリッ
トを設けたものである。

〔作用〕

本発明に係る自動車のドア開閉構造においては、上記
前側回転リンクの車体側連結部を外側車体パネルのドア
開口縁の前端縁よりも前方に配置するとともに、上記ド
ア開口縁の前端縁よりも前方へ延びる外側車体ハネルに
前側回転リンクが侵入可能なスリットを設けてあるの
で、ドアを開く際に前側回転リンクは車体パネルのスリ
ットに侵入して回動するので、前側回転リンクと車体パ
ネルとの干渉が起こらない。

〔発明の効果〕

本発明に係る自動車のドア開閉構造によれば、以上説
明したように外側車体パネルに前側回転リンクの侵入を
許すスリットを形成するという極めて簡単な構成によ
り、前側回転リンクと外側車体パネルとの干渉を防ぎド
アの開度を大きくすることが出来ること、これと同時に
ドア開口縁の前端縁を形成する外側車体パネルやドアの
構造に対する設計の自由度を大きくすることが出来るこ
となどの効果が得られる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基いて説明する。

本実施例は第１図に示すようなワゴン型自動車の回動
開閉式のサイドドア１のドア開閉構造に本発明を適用し
た場合の実施例である。

第１図から第４図に示すように、上記サイドドア１を
開閉自在に車体に支持する４節リンク機構は、上下１対
の後側回転リンク２と、下段の後側回転リンク２の上方
近傍部に設けられた一つの前側回転リンク３とを備えて
おり、上記各後側回転リンク２の前端部はヒンジピラー
４の外側面に固着されたブラケット５に鉛直方向のピン
部材６を介して回転自在に連結され、また各後側回転リ
ンク２の後端部はサイドドア本体部1Aの前端壁７に固着
されたブラケット８に鉛直方向のピン部材９を介して回
動自在に連結されており、上記前側回転リンク３の前端
部はヒンジピラー４の外側面に固着されたブラケット10
に上記ピン部材６よりも前方に位置する鉛直のピン部材
11を介して回動自在に連結されており、前側回転リンク
３の後端部はドア本体部1Aの前端壁７に固着されたブラ
ケット12に上記ピン部材９よりも前方に位置する鉛直の
ピン部材13を介して回動自在に連結されている。

上記後側回転リンク２は金属板を断面コ字状に成形し
てなり、また前側回転リンク３は金属板を細長い棒状に
打ち抜いて形成したものであってその金属板の面方向を
水平方向に向けて配置されている。

そして、上記ブラケット５は金属板を成形してなるも
ので、その１対の取付部5aをヒンジピラー４にビス止め
して固定され、またブラケット８も同様に金属板を成形
してなり、その１対の取付部8aをドア本体部1Aの前端壁
７にビス止めすることにより固定されている。また、下
段の後側回転リンク２の前端部を支持するブラケット５
とブラケット10とは金属板を成形して一体形成され、こ
の一体化されたブラケット５・10はその１対の取付部5a
をヒンジピラー４にビス止めすることにより固定され、
また下段の後側回転リンク２の後端部を支持するブラケ
ット８と上記ブラケット12とは金属板を一体成形して構
成され、これら一体化されたブラケット８・12は１対の
取付部8aをドア本体部1Aの前端壁７にビス止めすること
により固定されている。

ここで、第４図に示すように、上記ヒンジピラー４の
前側約1/2部分の外方には所定距離あけてフロントフェ
ンダ15の後端部が配設され、サイドドア１を閉じた状態
でドアのアウタパネル16が嵌まるドア開口部の前端縁17
は上記フロントフェンダ15の後端縁で構成されており、
サイドドア１を閉じた状態ではドアのアウタパネル16と
フロントフェンダ15とがほぼ同一面をなすように構成さ
れている。

そして、上記後側回転リンク２の前端部を支持するブ
ラケット５はフロントフェンダ15の後端縁17より少し後
方の位置においてヒンジピラー４に取付けられ、また前
側回転リンク３の前端部を支持するブラケット10はフロ
ントフェンダ15の後端縁より所定距離だけ前方の位置に
おいてヒンジピラー４に取付けられている。

こうして、後側回転リンク２の前端部は上記後端縁17
よりも後方位置でヒンジピラー４に連結され、また前側
回転リンク３の前端部は上記後端縁17よりも所定距離だ
け前方位置でヒンジピラー４に連結されている。

上記のように前側回転リンク３の前端部をフロントフ
ェンダ15の後端縁17よりも前方に位置させると、ドアを
開いた時にフロントフェンダ15と前側回転リンクと３が
干渉するので、それを防ぐため前側回転リンク３に対応
する高さ位置においてフロントフェンダ15の後端縁部に
はドアを開く時に前側回転リンク３の侵入を許すスリッ
ト18が後端縁より前方へ所定の長さに亙って切り込まれ
ている。

以上説明したドア開閉構造においては、前側回転リン
ク３と後側回転リンク２とを備えた４節回転リンク機構
によりドアを支持しているので、サイドドア１を開くと
きに後側回転リンク２と前側回転リンク３とが、第４図
に仮想線で図示のように前方へ回動しサイドドア１が開
かれることになる。この場合、サイドドア１の回動角の
割にドアの開度が大きくなり、サイドドア１を開けた状
態においてその開状態が安定的に保持されることにな
る。

しかも、前側回転リンク３の前端部をフロントフェン
ダ15の後端縁17よりも前方に位置させ、上記スリット18
を介してフロントファンダ15と前側回転リンク３との干
渉を防止するようにしたので、前側回転リンク３とフロ
ントフェンダ15との干渉の虞れがなくサイドドア１の開
度を一層大きくとることが出来る。

尚、上記スリット18を形成する位置においてフロント
フェンダ15とフロントバンパ19などの間の間隙が形成さ
れる場合には、その間隙をスリット18として活用しても
よいし，或いはスリット18として活用し得るこの種の間
隙のある高さ位置に前側回転リンク３を配設してその間
隙をスリット18として活用してもよい。

ここで、上記実施例の一部を次のように変形すること
も有り得る。上段の後側回転リンク２に代えて、下段の
後側回転リンク２及び前側回転リンク２と同様のものを
設ける。また、第５図に示すように前側回転リンク３の
前端部を支持するブラケット10を後側回転リンク２の前
端部を支持するブラケット５とは独立に形成する。

そして、前側回転リンク３の後端部を支持するブラケ
ット12も後側回転リンク２の後端部を支持するブラケッ
ト８とは独立に構成する。このようにすると、前側回転
リンク３を所望の位置に設けることが可能となる。ま
た、第６図に示すように上記実施例の４節回転リンク機
構に代えて図示のような一般に用いられている回転リン
ク機構を採用してもよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図はワゴン型
自動車の部分斜視図、第２図は同一部切欠部分側面図、
第３図は４節回転リンク機構の斜視図、第４図は第２図
IV−IV線断面図、第５図・第６図は夫々変形例に係る４
節回転リンク機構の斜視図である。 １……サイドドア、２……後側回転リンク、３……前側
回転リンク、４……ヒンジピラー、15……フロントフェ
ンダー、17……後端縁（ドア開口部の前端縁）、18……
スリット。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】前端と後端が夫々車体とドアに回転自在に
   連結された前側回転リンクと、 前端と後端が夫々前側回転リンクの前端と後端よりも後
   方に位置し、前端と後端が夫々車体とドアに回転自在に
   連結された後側回転リンクとを備えた４節回転リンク機
   構によりドアを車体に開閉自在に支持した自動車のドア
   開閉構造において、 上記前側回転リンクの車体側連結部を外側車体パネルの
   ドア開口縁の前端縁よりも前方に配置するとともに、 上記ドア開口縁の前端縁よりも前方へ延びる外側車体パ
   ネルに前側回転リンクが侵入可能なスリットを設けたこ
   とを特徴とする自動車のドア開閉構造。