JP2570197Y2 - ボビン空転防止装置における外釜 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は回転釜のボビンのな空
転を防止する空転防止装置が設けられたミシンにおいて
上糸の回転釜のくぐり抜けを適正なものとするボビン空
転防止装置における外釜に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ミシンには縫製終了時において縫い糸
（上糸、下糸）の切断をなすよう針板の下方に糸切断装
置が設けられていて、この糸切断装置は、針板と回転釜
との間の縫い糸を捕捉して引き出す駆動メスと、駆動メ
スの駆動経路に設置され復帰移動時の駆動メスとにより
縫い糸を切断する固定メスと、を備えて構成されてい
る。

【０００３】ところで上述の糸切断装置により縫い糸の
切断をなす際、ボビンに回動自在に装着される縫い糸の
下糸においては、糸切断装置（駆動歯）の引き込みによ
ってボビンが空転し、ボビンから繰り出されることにな
る。この繰り出される下糸は駆動メスの駆動量に応じた
長さ分だけが繰り出されることが好ましいが、ボビンが
慣性力により必要以上に回転する、すなわち必要以上の
下糸が繰り出されてしまうことがあり、必要以上に繰り
出された下糸はボビンのケース内で絡みついたり、糸切
断時において弛んでしまい適正に切断出来ない等の不都
合を生じる。

【０００４】こうしてたボビンの不要な空転（下糸の不
要な繰り出し）を防止するために、今日ではボビンの空
転防止装置が提案されている。次にボビン空転装置装置
の概要を図３および図４により説明する。図３において
Ｂはボビン、そして１はボビンＢのボビンケースであ
り、このボビンＢには下糸（不図示）が巻装されてい
て、これらボビンケース１およびボビンＢは周知の中釜
（不図示）の上に設置されている。そしてボビン空転防
止装置に設置される回転釜のボビンケース１にあって
は、側面部にボビン係止体２が設けられている。

【０００５】このボビン係止体２は同図（ｂ）に示すよ
う、ボビンケース１に形成され弾性部材から形成される
バネ板２ｂよりなり、このバネ板２ｂは中央部をボビン
ケース１より突出し一端をネジ２ａによりボビンケース
に固定され、先端部２ｃは貫通穴１ａからボビンケース
１内に挿入し、常には矢符に示すよう外方向に向けて付
勢力を有し、その先端部２ｃをボビンケース１の内壁部
に当接している。

【０００６】一方図４に示すＡはボビン空転防止装置の
ピッカーであり、このピッカーＡは上述の糸切断装置に
おける駆動歯（不図示）を回動するよう駆動させるため
の駆動歯回動軸３に固定されていて、この駆動歯回動軸
３の回動により駆動歯とともに矢符に示すよう往復回動
をなすようになっている。そしてピッカーＡは回動時、
すなわち糸切断装置の駆動時において先端部を上述のボ
ビン係止体２（バネ板２ｂ）に当接してこれを押し動か
し、ボビンケース１内のボビンＢを係止体２によって係
止（空転不可能）状態にするとこが出来るようになって
いる。

【０００７】なお縫い針Ｎから供給される上糸５を捕捉
する剣先４ａを備え、ボビンケース１を囲い込み、ボビ
ンケース１の回りで回転駆動をなす回転釜の外釜４は、
ボビン空転防止装置のピッカーＡと緩衝することがない
よう、図に示すようにピッカーＡの駆動経路を切り取っ
た切り取り部７を備えている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のボビン空転装置における外釜にあっては次のような問
題がある。図４に示すようにミシンの回転釜は、縫い針
Ｎの昇降運動により針板６の下方に供給された上糸５
（上糸ループ）を、外釜４の剣先４ａにより捕捉して、
この上糸５をボビンケース１内の下糸と交差させること
で縫い目を形成するが、両糸を交差させるにあっては上
糸５を点線で示すようボビンケース１の上面に乗り上げ
ボビンケース１をくぐり渡す必要がある。

【０００９】しかしながら切り取り部７が形成された従
来の外釜４においては、上糸５のくぐり渡しの際、上糸
５が外釜４の切り取り部７に滑動しつつ案内されてしま
い、図の実線に示すようにボビンケース１の側面に当接
し、このボビンケース１に係止されてスムーズに外釜を
渡らないため、切断してしまうという重大な不都合を生
じた。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この考案に係るボビン空
転装置装置を備えたミシンの外釜は、上記従来の課題を
解決するためになされたもので、回転釜の外釜にボビン
空転防止装置のピッカーに当接することがないよう切欠
部を形成し、この切欠部の上方には上方に向かうに従い
ボビンケース方向に傾き、ボビンケース上面高さ近くま
で至る糸案内部を形成して上記従来の課題を解決しよう
とするものである。

【００１１】

【作用】この考案に係るボビン空転防止装置を備えた外
釜は、切欠部によりボビンケース空転防止装置のピッカ
ーの駆動を妨げることなく糸切断時に適正にボビンの空
転を防止する。そしてこの切欠部からボビンケースの上
面高さ近くまで至り、上方に向かうに従いボビンケース
方向に向けて傾斜する糸案内部により、捕捉した上糸を
適正にくぐり渡すよう適正に案内する。

【００１２】

【実施例】図面にもとづいてこの考案の実施例を説明す
る。なお従来例と同一箇所には同一符号を付して重複説
明は省略する。図１および図２はこの考案に係るボビン
空転防止装置を備えたミシンの外釜の一実施例を示す図
である。図１に示す回転釜の外釜４は、ボビン空転防止
装置のピッカーＡが駆動する際ピッカーＡと当接するこ
とがないように、ピッカーＡの駆動経路部分を切欠する
よう形成した切欠部８を有している。

【００１３】この切欠部８によって上述で説明したよう
にピッカーＡは糸切断時にボビン係止体２（図３参照）
を押し動かし、ボビンＢの不要な空転を適正に防止する
ことが出来る。一方この切欠部８の上方、すなわちピッ
カーＡの駆動経路外となる切欠部８の上方部分には、図
１に示すようボビンケース１の上面に至る高さ近くまで
伸びる糸案内部Ｃが形成されている。また図２は図１に
示すｘ−ｘ線の断面図であり、糸案内部Ｃは図に示すよ
うに上方に向かうに従いボビンケース１方向に傾くよう
に傾斜をなして形成されている。

【００１４】以上説明した糸案内部Ｃを備えた外釜４
は、図１に示すようにミシン駆動時に剣先４ａにより捕
捉した上糸５を糸案内部Ｃに滑動させつつボビンケース
１の上面に送る、すなわち上糸５のくぐり抜けを適正な
ものとすることが出来る。

【００１５】

【考案の効果】この考案に係るボビン空転防止装置にお
ける外釜は、以上説明したようにボビン空転防止装置の
ピッカーと当接することがないよう切欠部を形成し、こ
の切欠部の上方には上方に向かうに従いボビンケース方
向に傾き、ボビンケース上面高さ近くまで至る糸案内部
を形成したので、上糸に糸切れを生じることなく適正に
回転釜にくぐり渡すことが出来、縫製品質を安定したも
のとすることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係るボビン空転防止装置における外
釜の一実施例を示す外観斜視図である。

【図２】図１に示したボビン空転防止装置における外釜
のｘ−ｘ線断面図である。

【図３】従来のボビン空転防止装置を備えたミシンに使
用されるボビンケース等を示す図で、（ａ）は外観斜視
図、（ｂ）は一部断面図である。

【図４】従来のボビン空転防止装置を備えたミシンの外
釜を示す外観斜視図である。

【符号の説明】

Ａ ピッカー Ｂ ボビン Ｃ 糸案内部 １ ボビンケース ５ 上糸 ８ 切欠部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ミシンの針板の下方に設けられ、回転釜
   と針板との間の縫い糸を捕捉して引き出した上で切断を
   なす糸切断装置を備えるとともに、この糸切断装置とと
   もに駆動をなし、回転釜に格納されるボビンの回転を防
   止するよう、ボビンに係合してボビンの回転を阻止する
   ピッカーを備えたボビン空転防止装置を備えたミシンに
   おける回転釜の外釜であって、 上糸を捕捉する剣先部を有した外釜の外周部に、ボビン
   空転防止装置のピッカーと当接することがないよう切欠
   部を形成し、この切欠部の上方には上方に向かうに従い
   ボビンケース方向に傾き、ボビンケース上面高さ近くま
   で至る糸案内部を形成したことを特徴とするボビン空転
   防止装置における外釜。