JP2567727B2 - 床材用接着剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本願は貼付け可能時間が長く、施工し易い溶剤型床材
用接着剤に関する発明である。

（従来技術とその問題点） 従来より酢酸ビニル（酢ビ）樹脂系溶剤型接着剤は、
アスベスト存在下で界面活性剤を添加し、酢ビ−バーサ
チック酸ビニル（または酢ビ−バーサチック酸ビニル−
アクリル）、酢ビ−エチレンコポリマーを個々単独でバ
インダーとし、メタノール等の極性有機溶剤等を含む配
合であった。

上記の溶剤型接着剤にはアスベストが、それ自身がア
ルカリ性を有すことや、チキソトロピー性を示すことな
どから、充填剤として多用されてきたが、その反面、労
働安全衛生法で有害な鉱物性粉塵に指定されており、作
業環境上の問題が生じ、現在使用されない傾向にある。

ところが、充填剤からアスベストを除くと、貼付け可
能時間が極端に短くなり、施工上の問題点が多く残っ
た。

また、特公昭46−4838号公報には、酢酸ビニル−エチ
レンコポリマーの添加されたアルコール溶剤型接着剤が
開示されているが、酢ビホモポリマーを含んでいる為、
アルカリ水で加水分解され、全体の接着強度が不充分で
あった。また、上記明細書中にはアスベストが含有され
ているので、環境安全上好ましくなかった。

（問題点を解決する方法） 本願発明は、上記問題点を解決した発明で、充填剤か
らアスベストを除去してもオープンタイムが極端に短く
ならず、施工性は良く、接着強度も大な溶剤型接着剤に
関し、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルコポリマーま
たは酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル−アクリルコポ
リマーと酢酸ビニル−エチレンコポリマーをバインダー
とし、アスベストを除いた充填剤と界面活性剤が配合さ
れていることを特徴とする溶剤型床材用接着剤をその要
旨とする。

本願発明に使用する合成樹脂バインダーは、酢ビ−バ
ーサチック酸ビニルコポリマーまたは酢ビ−バーサチッ
ク酸ビニル−アクリルモノマーコポリマーと、酢ビ−エ
チレンコポリマー（EVA）との混合物である。

アクリルモノマーは例えば、アクリル酸エステル、メ
タクリル酸エステルを主成分とする通常のアクリル系モ
ノマーとする。

酢ビ−ベオバまたは酢ビ−ベオバーアクリル:EVAの重
量比で1:10〜10:1、さらに好ましくは1:1〜2:1で配合さ
れる。

本願において溶剤は、メタノール、エタノール等の低
級アルコールが使用される。

本願発明において、充填剤中にアスベストは除かれて
おり、その他の充填剤としては、アタパルジャイトやセ
ピオライトなどを上記合成樹脂バインダー100重量部に
対して、５〜20重量部配合し、それら以外の充填剤とし
ては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、ケイソウ土
等、アスベスト以外の従来公知の物質を使用でき、これ
らは労働安全衛生法上、無害な物質である。これらの充
填剤は必要に応じて１種もしくは２種以上使用でき、使
用する場合には、たとえばバインダー樹脂100重量部に
対して通常20〜400部、好ましくは約50〜250部配合され
る。

本発明において、貼付け可能時間を延長するために、
界面活性剤を用いる。

上記界面活性剤を本願接着剤組成物においてバインダ
ー樹脂の0.1〜５重量％、更に好ましくは0.5〜1.5重量
％を添加することにより、更に貼付け可能時間を延長し
て、床材等の接着剤として使い易くすることができる。

本発明における貼付け可能時間は、可使時間であり、
塗布してから使用可能な液状または粘着状態を保つ期間
である。

これらの界面活性剤としては、その具体例として、
（Ｉ）ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキ
シエチレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチ
ルエーテル等、（II）ソルピタンモノラウレート、ソル
ピタンモノパルミテート、ソルピタンモノステアレート
等、（III）ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリ
オキシエチレンモノステアレート、ポリオキシプロピレ
ンモノラウレート等、（IV）ソジウムラウリルサルフェ
ート、ラウリルアルコール硫酸エステルトリエタノール
アミン塩、カリウムステアリルサルフェート等、（Ｖ）
ミリスチルフォスフェートカリウム塩、ジラウリルフォ
スフェートソジュウム塩、パルミチルフォスフェートソ
ジュウム塩等を挙げることができる。

本願構成は、酢ビ−バーサチック酸ビニルコポリマ
ー、または酸ビ−バーサチック酸ビニル−アクリルコポ
リマーとEVAの混合物である本発明バインダーに、低級
アルコール溶液を添加し、アスベストを除いた充填剤を
配合する接着剤組成物であり、接着剤の貼付け可能時間
が長く、とくにPVCの接着性が向上し、PVC床材用接着剤
として適しに、耐水、耐アルカリ性も向上し、高温でも
低温でも極めて実用的な貼付け可能時間を示す。

（実施例） 第１表に示されるように、組成の実施例１、２、比較
例１〜４に示される接着剤を得た。

上記接着剤をスレート板（アルカリを含む）に塗布
し、床材を貼り、その剥離強度を測定した。

得られた接着剤の性能を第２表に示した。

実施例１、実施例２については、適当な粘度を有し、
特に20℃、30℃においても貼付け可能時間が比較例１、
２と比較して大幅に延長された。また実施例１、２の状
態及び耐水における剥離強度は、良好な結果が得られ
た。

また環境安全性も優れており、総合して優れた性態の
接着剤が得られた。

一方、比較例１、２では、貼付け可能時間が20℃でも
短く、30℃では極端に短くなり、夏場での施工性が劣っ
た。

比較例３では、30℃における貼付け可能時間が実施例
よりも短く、剥離強度が低下した。

また比較例４は、アスベストを使用しており、接着剤
としては不適当であった。

上記の結果、本発明接着剤は、高温（夏期）における
施工が優れており、アスベストを添加することなく、優
れた剥離強度と環境安全性が得られた。

（発明の効果） アスベストを添加しなくても良好な性能が得られ、環
境安全上良好であった。

チキソトロピー性があって、塗布性が良好で、高い強
度と長い貼付け可能時間が得られた。

高温時においては、充填剤にアスベストを含んでいる
接着剤よりも長い貼付け可能時間が得られ、夏場の床材
施工がさらに効果的であった。

耐水・耐アルカリ性接着力が優れていた。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−25587（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−116040（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−152770（ＪＰ，Ａ) 特公 昭48−43179（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭49−23812（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルコポリ
   マーまたは酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル−アクリ
   ルコポリマーと酢酸ビニル−エチレンコポリマーをバイ
   ンダーとし、アスベストを除いた充填剤と界面活性剤が
   配合されていることを特徴とする溶剤型床材用接着剤。