JP2567676B2 - ストロボ撮影装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、眼科等で使用される眼底撮影装置における
撮影光源の光量を制御するストロボ撮影装置に関するも
のである。

［従来の技術］ 従来、例えば眼底カメラで被検眼を撮影する場合に、
撮影光量は反射率の個人差を無視して、使用フィルムの
感度や撮影倍率等だけを考慮して手動により調節されて
いる。しかし、この手動調節は煩わしいものであり、か
つ撮影光源は経時変化による劣化で発光量が変化してし
まい、手動調節ではこの発光量の変化に応じた撮影光量
の補正を行うことは不可能である。また、人種の差によ
る眼底色素量の差や、被検眼の散瞳の程度等によって眼
底からの反射光束が変化し、常に適正な露光量で撮影を
行えるとは限らない。

そこで、眼底等の被写体からの反射光量を計測して、
適正な露光量を自動的に調節する制御装置が開発されて
おり、このような制御装置を組み込んだ眼底カメラ等の
ストロボ撮影装置が既に提案されている。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら、眼底周辺部を眼底カメラで撮影する場
合に、フレアやゴーストが生じ易く、また光量不足で影
が発生したりする。そして、従来の撮影光量制御装置は
このような障害の影響を受けてしまい、適正露光の被写
体像を得ることが困難であり、実際の医師の診断に必要
な部位の情報が正確に得られないという欠点がある。ま
た、一般のポートレート型のストロボ撮影においても、
測光を画面の中央で重点的に行う場合に、周辺部に外乱
光が入ると適正露光の映像が得られない。

［発明の目的］ 本発明の目的は、上述の欠点を解消し、例えばフレア
やゴースト、光量不足による影、又は外乱光等の影響を
できるだけ少なくして、特に眼底の撮影倍率が変化した
場合でも、その倍率に応じて自動的に適切な撮影光量で
撮影が行えるようにしたストロボ撮影装置を提供するこ
とにある。

［発明の概要］ 上述の目的を達成するための本発明に係るストロボ撮
影装置は、照明光の眼底による反射光量を時間積分して
露光量を求め記録媒体への撮影光源の光の遮断を行うオ
ートストロボ回路を有する眼底撮影装置用のストロボ撮
影装置において、撮影倍率を含む撮影に関する条件を設
定する設定手段と、該設定手段による設定条件の情報内
の少なくとも設定された前記倍率条件に応じて前記撮影
光源の光の遮断を行うタイミングの期間の幅を決定する
演算手段と、該演算手段で得られた期間内で前記オート
ストロボ回路による前記撮影光源の光遮断のタイミング
を示す信号が得られた場合には該タイミングで前記撮影
光源の光の遮断を行い、前記期間内で前記光遮断のタイ
ミングを示す信号が得られない場合には前記期間内の所
定の時間で前記撮影光源の光の遮断を行うように実行す
る制御手段とを備えたことを特徴とする。

［発明の実施例］ 本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。

第１図は眼底カメラの構成図であり、ハロゲンランプ
から成る観察光源１の光路L1上にコンデンサレンズ２、
ストロボ管から成る撮影光源３、コンデンサレンズ４、
ミラー５、イングスリット６、リレーレンズ７、８、穴
開きミラー９が順次に設置されている。穴開きミラー９
と被検眼Ｅとの間に対物レンズ10が配列され、穴開きミ
ラー９の後方の光路L2にはフォーカスレンズ11、撮影レ
ンズ12、ハーフミラー13、可動ミラー14、シャッタ15、
フィルム16が順次に配置されている。

可動ミラー14が光路L2上に挿入されたときの反射方向
には、フィールドレンズ17、ミラー18が設けられ、ミラ
ー18の反射方向にアイピース19が設置されている。ま
た、ハーフミラー13の反射方向には受光素子20が設置さ
れ、受光素子20の出力は増幅器21、積分器22、比較器23
に順次に接続され、演算回路24に入力されている。演算
回路24には撮影条件等の情報信号を入力する入力部25の
出力を接続され、演算回路24の出力はトリガ発生回路26
を介して発光停止回路27に接続されている。また、発光
停止回路27の出力は撮影光源３に接続され、全体として
１つの閉ループが形成されている。なお、Fe、Fbは眼底
蛍光撮影に際して、光路L1、L2にそれぞれ挿入されるフ
ィルタである。

このような構成において、観察時には観察光源１が発
光し、この観察光はコンデンサレンズ２で集光され撮影
光源３を透過した後に、再びコンデンサレンズ４で集光
されミラー５を介してリングスリット６の近傍に結像さ
れる。次いで、リレーレンズ７、８によりリングスリッ
ト６の環状開口の像が、穴開きミラー９の近傍に結像さ
れ、穴開きミラー９により観察光は反射されて被検眼Ｅ
に向って進行し、対物レンズ10を介して被検眼Ｅの眼底
Efを照明する。眼底Efからの反射光は行の光路を逆行
し、対物レンズ10により一旦結像し、穴開きミラー９の
穴部を通過して、フォーカスレンズ11及び撮影レンズ12
によって結像される。反射光は更に光路L2上に挿入され
た可動ミラー14によって上方に反射され、フィールドレ
ンズ17、ミラー18、アイピース19を介して検者ｅにより
観察されるので、検者ｅは撮影前のアライメントやピン
ト合わせを行う。

また、撮影時には観察光源１とコンデンサレンズ２に
関してほぼ共役の位置にある撮影光源３が点灯される。
このとき、可動ミラー14は回動し点線で示すように光路
L2上から外れており、眼底Efからの反射光はシャッタ15
が開くと同時にフィルム16を感光することになる。

撮影レンズ12の後方に設置されたハーフミラー13は、
眼底Efからの反射光の一部を反射して受光素子20上に導
光し、受光素子20は反射光の一部に相当する光量を電気
信号に変換する。この電気信号は増幅器21で増幅され、
積分器22で積分される。比較器23は予め設定されている
フィルム16の露光量の適正値よりも、積分された信号が
大きくなる時間t0を求める。そして、この時間t0におい
て比較回路23の出力により、演算回路24はトリガ発生回
路26、発光停止回路27を介して撮影光源３による発光を
停止する。

第２図（ａ）は撮影光源３を流れる電流波形であり、
時間t0で（ｂ）に示すように比較器23からパルスを出力
することにより、演算回路24の指令により発光停止回路
27が動作して、（ｃ）に示すように撮影光源３の発光が
停止する。このようにして、撮影光源３の発光を停止す
る閉ループの所謂オートストロボ機構が形成される。

ところが、眼底Efの周辺部などを撮影する場合や、被
検眼Ｅが小瞳孔径の場合には、フレアやゴーストが入っ
たり、光量が不足したりする虞れがある。そして、この
場合に被検眼Ｅによる反射光は正常な場合と異なり、比
較器23の出力は第３図に示すように時間t0で出力する正
常な場合を（ａ）とすると、フレアやゴーストが入った
場合には（ｂ）に示すように早くパルスを出力し、光量
不足の場合には（ｃ）に示すように遅くパルスを出力す
る。

そこで、この問題点を解消するために、撮影光源３の
発光を停止することが可能な期間Ｔを、第３図（ｄ）に
示すようにt1〜t2とし、この期間Ｔでしか発光停止のた
めのトリガパルスが発生しないようにする。つまり、こ
の発光停止期間Ｔは撮影条件、撮影光源３の経時変化に
よる劣化、及び被検眼Ｅの個人差を考慮した上で考えら
れる適正な露光量を得るために必要とする時間の変動範
囲であり、この期間Ｔの範囲外で撮影光源３の発光停止
信号が出力されるということは、フィルム16に対して適
正な露光量が与えられないことを意味する。

この発光停止期間Ｔ及びこの期間Ｔを開始する時間t1
は、入力部25から入力されるフィルム16つまり記録媒体
の種類、感度、撮影光学系の倍率、眼底周辺部等の撮影
部位、アライメント状況、撮影の種類等の撮影条件を、
MPUを含む演算回路24によって演算して決定する。

第４図は発光停止期間Ｔ及びこの期間Ｔの開始時間t1
の一例を示したものである第４図（ａ）における期間T
a、開始時間taを基準撮影条件とすると、この基準撮影
条件よりも高い感度の記録媒体を用いた場合又は撮影倍
率を小さくした場合には、（ｂ）に示すように開始時間
tbをtaよりも早くし、逆に低い感度の記録媒体を用いた
場合及び撮影倍率を大きくした場合には、（ｃ）に示す
ように開始時間tcをtaよりも遅くする。また、撮影部位
が周辺部でアライメントが不良の場合に、フレアやゴー
ストといった外乱光及び光量不足の影が発生し易くなる
ので、（ｄ）に示すように発光停止期間TdをTaよりも長
くし、逆に安定した後極撮影やアライメントが正常であ
る場合には、（ｅ）に示すようにTeがTaよりも短くなる
ようにする。

ここで、第５図（ａ）に示すように発光停止期間Ｔを
演算部24が設定したとする。比較器23からのパルス出力
が（ｂ）に示すように期間Ｔの範囲内であれば、演算回
路24は被検眼Ｅが外乱の影響を受けていないと判断し
て、（ｃ）に示すようにトリガ発生回路26からトリガパ
ルスをそのまま出力する。そして、（ｄ）に示すように
発光停止期間Ｔよりも前に比較器23からパルス信号が入
力された場合には、演算回路24は被写体がフレア、ゴー
スト等の外乱を受けたと判断して、（ｅ）に示すように
期間Ｔ内の所定の時間例えばt0でトリガパルスを出力す
る。また、（ｆ）に示すように期間Ｔよりも遅くに比較
器23からパルス信号が出力された場合、つまり時間t2ま
でに比較器23から何らの信号も入力されなかった場合
に、演算回路24は（ｇ）に示すように時間t2でトリガ発
生回路26からトリガパルスを出力させる。

また他の実施例として、撮影光量の一部を測定する受
光素子20を複数の受光素子により構成して、各受光素子
ごとに撮影光の照射を停止する光量を設定してもよい
し、また各受光素子ごとに発光停止期間Ｔを設け、複数
の光源を用いてそれぞれの設定時間に基づいて撮影光の
照射を停止してもよい。また、撮影光源３の発光を停止
する手段として電気的にスイッチングを行う代りに、機
械的なシャッタ等を用いて撮影光や被写体からの反射光
を所定の時間で遮光するようにしてもよい。

なお、実施例では記録媒体をフィルムとしたが、例え
ば磁気記録媒体であってもよいことは勿論である。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明に係るストロボ撮影装置
は、予め決定したタイミング期間内で光遮断のタイミン
グを示す信号が得られた場合のみ、この光量に基づいた
タイミングで光遮断を行い、それ以外では光量に拘わら
ずに所定期間内の所定時間で光遮断を行うようにしたこ
とで、フレアやゴースト、光量不足による影等に極力影
響されずに目的部位を適正光量で撮影できる。特に、こ
のタイミング期間の幅を設定するために撮影倍率を条件
としているので、眼底の撮影倍率が変化した場合も、そ
の倍率に応じて自動的に適切な撮影光量で撮影が行え
る。例えば、状況によってフレアやゴースト、光量不足
による影等が発生し易い眼底周辺部が含まれる低倍率撮
影においては、多少の影等の発生によって頻繁に光遮断
のタイミングを光量と無関係にすることを防止するため
にタイミング期間を大き目とし、撮影領域が狭くなって
フレアやゴースト、光量不足による影等が発生し難い高
倍率撮影においては、発生そのものを問題視して期間を
小さ目にして、これらの影響をより受けないようにす
る、といった制御が可能となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係るストロボ撮影装置の実施例を示し、
第１図は本発明を実施した眼底カメラの構成図、第２図
はオートストロボ機構の原理図、第３図は比較器からの
パルス出力及び発光停止期間のタイムチャート図、第４
図は発光停止期間の設定方法のタイムチャート図、第５
図は発光停止期間、比較器のパルス出力及びトリガ発生
回路のトリガパルス出力のタイムチャート図である。 符号１は観察光源、３は撮影光源、６はリングスリッ
ト、９は穴開きミラー、10は対物レンズ、13はハーフミ
ラー、14は可動ミラー、15はシャッタ、16はフィルム、
20は受光素子、22は積分器、23は比較器、24は演算回
路、25は入力部、26はトリガ発生回路、27は発光停止回
路である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 和浩 神奈川県川崎市中原区今井上町53番地 キヤノン株式会社小杉事業所内 (56)参考文献 特開 昭62−144634（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−106136（ＪＰ，Ａ) 実開 昭58−157312（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】照明光の眼底による反射光量を時間積分し
   て露光量を求め記録媒体への撮影光源の光の遮断を行う
   オートストロボ回路を有する眼底撮影装置用のストロボ
   撮影装置において、撮影倍率を含む撮影に関する条件を
   設定する設定手段と、該設定手段による設定条件の情報
   内の少なくとも設定された前記倍率条件に応じて前記撮
   影光源の光の遮断を行うタイミングの期間の幅を決定す
   る演算手段と、該演算手段で得られた期間内で前記オー
   トストロボ回路による前記撮影光源の光遮断のタイミン
   グを示す信号が得られた場合には該タイミングで前記撮
   影光源の光の遮断を行い、前記期間内で前記光遮断のタ
   イミングを示す信号が得られない場合には前記期間内の
   所定の時間で前記撮影光源の光の遮断を行うように実行
   する制御手段とを備えたことを特徴とするストロボ撮影
   装置。