JP2566545B2 - 弾塑性ダンパ - Google Patents

弾塑性ダンパ

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JP2566545B2 JP1283209A JP28320989A JP2566545B2 JP 2566545 B2 JP2566545 B2 JP 2566545B2 JP 1283209 A JP1283209 A JP 1283209A JP 28320989 A JP28320989 A JP 28320989A JP 2566545 B2 JP2566545 B2 JP 2566545B2
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英敏 吉田
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Description

【発明の詳細な説明】 (a).産業上の利用分野 本発明は地震エネルギを吸収して構造物における地震
時の揺れを極力小さくすることの出来る弾塑性ダンパに
関する。
(b).従来の技術 従来、この種のダンパとしては、特開昭63-268839、6
3-268838等において、金属材料の塑性変形を利用したも
のが提案されている。
(c).発明が解決すべき問題点 しかし、こうした装置は、エネルギ吸収能力の割に大
型でかつその構造も複雑であり、構造物の各層に設置し
て使用するには問題が有った。
本発明は、前述の欠点を解消すべく、小型でエネルギ
吸収能力の高い弾塑性ダンパを提供することを目的とす
るものである。
(d).問題点を解決するための手段 ベースプレート(15、15)及び所定の板厚を有する板
状に形成された1個以上の振動エネルギ吸収格子(16)
を有し、前記ベースプレート(15)と前記振動エネルギ
吸収格子(16)との間に両者を接続する接続部(7b)
を、前記振動エネルギ吸収格子(16)の板厚方向とは直
角な第1の方向(矢印A、B方向)に沿って形成すると
共に、該接続部により前記ベースプレートと前記振動エ
ネルギ吸収格子を前記第1の方向に直角な断面方向にお
いて屈曲した形で接続し、前記振動エネルギ吸収格子
(16)に、互いの間にスリット(16a)を介在させる形
でエネルギ吸収体(16b)を前記ベースプレート(15、1
5)間を接続する形で前記第1の方向に複数個並列に設
け、前記ベースプレート(15)の前記第1の方向に直角
な断面方向における前記接続部(7b)の反対側に接続手
段(20)を設けて構成される。
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素
を示す、便宜的なものであり、従って本記述は図面上の
記載に限定拘束されるものではない。以下の「(e).
作用」の欄についても同様である。
(e).作用 上記した構成により、本発明は、振動エネルギ吸収格
子(16)が塑性変形することにより振動エネルギが吸収
されるように作用する。
(f).実施例 以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
第1図は本発明による弾塑性ダンパが用いられるフレ
ーム組み込み型制振装置の一例を示す図、 第2図はフレーム組み込み型制振装置の一例を示す
図、 第3図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を
示す図、 第4図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を
示す図、 第5図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を
示す図、 第6図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を
示す図、 第7図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を
示す図、 第8図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を
示す図、 第9図は本発明による弾塑性ダンパの一実施例を示す
図、 第10図は第9図の側面図、 第11図は粘弾性ダンパの一例を示す断面図である。
構造物1は、第1図に示すように、所定の間隔で立設
された柱2を有しており、各柱2間にはそれ等柱2間を
接続する形で梁3が水平に設けられている。図中左右方
向に隣接する柱2、2及び上下方向に隣接する梁3、3
間に囲まれた空間にはプレキャストコンクリート製の壁
5が設けられており、壁5の図中上下両側にはダンパ取
付用の切欠き5aが4カ所形成されている。各切欠き5aの
内、図中上方の切欠き5a、5aと図中上方の梁3との間に
は粘弾性ダンパ6、6が設けられており、図中下方の切
欠き5a、5aと図中下方の梁3との間には弾塑性ダンパ
7、7が設けられている。なお、壁5の粘弾性ダンパ6
及び弾塑性ダンパ7に支持された部位以外の部位は、周
囲の柱2及び梁3との間に間隙9が形成されている。
一方、粘弾性ダンパ6は、第11図に示すように、壁5
側にベースプレート8を介して固着された断面L字形の
取付部材10、10が、部材装着面10a、10aを互いに対向し
かつ図中紙面と直角方向に伸延する形で設けられてお
り、部材装着面10a、10a間には断面がT字形の取付部材
11が部材装着面11a、11aを各取付部材10の部材装着面10
aに対向する形で、図中紙面と直角方向に伸延する形で
設けられている。取付部材11の図中上部はベースプレー
ト13を介して梁3に固着されており、各部材装着面10
a、11a間には粘弾性材料からなる粘弾性部材12が図中紙
面と直角方向、即ち、第1図矢印A、B方向に両装着面
10a、11a間を接続する形で設けられている。
また、弾塑性ダンパ7は、第9図及び第10図に示すよ
うに、断面がC字形に形成されたフレーム7a、7aを有し
ており、各フレーム7aはベースプレート15、15を有し、
各ベースプレート15は、図中上方が壁5側に、図中下方
が梁3側に装着されている。各ベースプレート15、15間
には、第10図に示すように、所定の板厚を有する板状に
形成された振動エネルギ吸収格子16が、壁厚方向に2
枚、ベースプレート15、15を接続する形で固着されてお
り、振動エネルギ吸収格子16は、図中上下方向に複数の
スリット16aが形成されている。更に、振動エネルギ吸
収格子16には、それ等スリット16aを互いの間に介在さ
せることにより複数のエネルギ吸収体16aが上下方向、
即ちベースプレート方向にそれ等ベースプレート間を接
続する形で、振動エネルギ吸収格子16の板厚方向とは直
角な方向である第9図の矢印A、B方向に複数個並列に
形成されている。ベースプレート15と振動エネルギ吸収
格子16との間には、両者を接続する形で接続部7bが第9
図の矢印A、B方向に沿って形成されている。そして、
該接続部7bによりベースプレート15と振動エネルギ吸収
格子16は矢印A、B方向に直角な断面方向において、第
10に示すように、屈曲した形で接続されている。また、
各フレーム7aは、第10図に示すように、ベースプレート
15の外側端部、即ち該ベースプレート15の矢印A、B方
向に直角な断面方向における前記接続部7bの反対側に設
けられたスタッドボルト20を介して梁3及び壁5と接続
しており、各フレーム7aのベースプレート15と振動エネ
ルギ吸収格子16との接続部7b、7bは、壁5及び梁3に対
して図中上下方向に移動変形し得る形に構成されてい
る。
構造物1等は以上のような構成を有するので、地震や
風等により構造物1に、第1図矢印A、B方向に振動が
生じた場合には、梁3と壁5との間で矢印A、B方向に
相対的な振動が生じるが、当該振動が小さいうちは、図
中上方の梁3と壁5との間に設けられた、第11図に示す
粘弾性ダンパ6の取付部材10、11間の粘弾性部材12が変
形して当該振動エネルギを吸収する。また、矢印A、B
方向の振動が大きくなり、粘弾性ダンパ6の粘弾性部材
12だげでは振動を吸収することが出来ない程度になった
場合には、第1図下方の梁3と壁5との間に設けられた
弾塑性ダンパ7の振動エネルギ吸収格子16のエネルギ吸
収体16bが、第9図矢印A、B方向に塑性変形して当該
エネルギを吸収する。なお、この場合においても粘弾性
ダンパ6による振動エネルギの吸収動作は継続される。
また、弾塑性ダンパ7のエネルギ吸収体16bの矢印A、
B方向の塑性変形は、フレーム7aの上下のベースプレー
ト15、15間の距離Wが短くなるように作用するので、何
らの対策も行なわない場合には、ベースプレート15と梁
3及び、壁5との接続部に大きな応力が図中上下方向に
作用し、弾塑性ダンパ7と梁3及び壁5との間の接続が
破壊され、適正な振動エネルギの吸収動作を行なえなく
なる危険性が有る。しかし、弾塑性ダンパ7のフレーム
7aは、梁3及び壁5に対して、接続部7bが、第10図上下
方向に移動し得る形で設けられているので、フレーム7a
は図中1点鎖線に示すように、各接続部7bが壁5及び梁
3に対して浮き上がる形で塑性変形し、ベースプレート
15と梁3及び、壁5との接続部に大きな応力が図中上下
方向に作用して、弾塑性ダンパ7と梁3及び壁5との間
の接続が破壊され、適正な振動エネルギの吸収動作を行
なえなくなる事態の発生を未然に防止することが出来
る。
なお、上述の実施例は、上下方向に隣接する梁3、3
間に壁5をその上部を粘弾性ダンパ6を介して、下部を
弾塑性ダンパ7を介して支持した場合について述べた
が、壁5の支持態様は壁5と周囲の柱2又は梁3間を粘
弾性ダパ6及び弾塑性ダンパ7を介して支持する限りど
のような態様でもよいことは勿論である。
例えば、第3図に示すように、図中上下に設ける各ダ
ンパ6、7の数及びその設置位置は適宜決定することが
出来る。即ち、第3図の場合には、弾塑性ダンパ7を、
第1図の場合と同様に壁5の下部両側に2個設け、粘弾
性ダンパ6を壁5の中央上部に設けたものである。ま
た、第2図に示すように、壁5の図中下端面5bを梁3に
固定して設け、壁5の上部両側の切欠き5a、5aに粘弾性
ダンパ6及び弾塑性ダンパ7を直列に接続して設けるこ
とも可能である。更に、第4図に示すように、壁5の下
端面5bを梁3に固定すると共に、上部に3カ所の切欠き
5aを設け、それ等切欠き5aに粘弾性ダンパ6及び弾塑性
ダンパ7を梁3と壁5を接続する形で設けることも出来
る。同様に、第5図に示すように、各ダンパ6、7の数
を求められる制振性能に応じで適宜増減することも可能
である。
なお、上述の実施例は、耐震要素部材として壁5を設
けた場合について述べたが、耐震要素部材としては壁5
に限らず、第6図に示すように、ブレース17を用いた場
合にも適用が可能である。この場合、柱梁交差部4、4
間を連結するブレース17、17の交差部にフランジ17a、1
7aを水平に設け、それ等フランジ部1a、17a間を接続す
る形で粘弾性ダンパ6及び弾塑性ダンパ7を上下方向に
直列に接続して設けている。また、第7図に示すよう
に、フランジ17a、17a間に粘弾性ダンパ6及び弾塑性ダ
ンパ7を水平方向に並列に設けることも可能である。更
に、第8図に示すように、図中下部の梁3の中央部3aか
ら上方の梁3に向けて腕19をピン3cを介して設けると共
に腕19の下部にブレース17、17を上方の柱梁交差部4、
4からピン3bを介して枢着し、更に該腕19と上部梁3と
の間に弾塑性ダンパ7をベースプレート15及びピン19a
を介して設置し、弾塑性ダンパ7のベースプレート15の
両側と図中下方の柱梁交差部4、4との間に粘弾性ダン
パ6、6を枢着させて構成することも可能である。この
場合、粘弾性ダンパ6は、例えば第11図に示す、取付部
材10、10の図中紙面と直角方向の端部をロッド6aに、取
付部材11の図中紙面と直角方向の反対側端部をロッド6b
に装着して構成する。
なお、各ダンパ6、7の設置態様を判り易くするため
に、梁3、3と壁5との間のダンパ6、7の設置態様
が、第1図、第2図、第3図、第6図、第8図に示すよ
うに、粘弾性ダンパ6と弾塑性ダンパ7が上下方向に配
置された形のものを直列型と称し、第4図、第5図及び
第7図に示すように、粘弾性ダンパ6と弾塑性ダンパ7
が水平方向に配置された形のものを並列型と称する。
(g)発明の効果 以上説明したように本発明によれば、ベースプレート
15、15及び所定の板厚を有する板状に形成された1個以
上の振動エネルギ吸収格子16を有し、前記ベースプレー
ト15と前記振動エネルギ吸収格子16との間に両者を接続
する接続部7bを、前記振動エネルギ吸収格子16の板厚方
向とは直角な、矢印A、B方向などの第1の方向に沿っ
て形成すると共に、該接続部により前記ベースプレート
と前記振動エネルギ吸収格子を前記第1の方向に直角な
断面方向において屈曲した形で接続し、前記振動エネル
ギ吸収格子16に、互いの間にスリット16aを介在させる
形でエネルギ吸収体16bを前記ベースプレート15、15間
を接続する形で前記第1の方向に複数個並列に設け、前
記ベースプレート15の前記第1の方向に直角な断面方向
における前記接続部7bの反対側に接続手段20を設けて構
成したので、鋼板にスリット16aを形成するだけで任意
の数、従って所望のエネルギ吸収能力を有するエネルギ
吸収体16bの設けられた振動エネルギ吸収格子16を簡単
に形成することが出来る。また鋼板にスリットを形成す
るだけなので、機械的な可動部分も無く構造が極めて簡
単であり、高密度のエネルギ吸収体16bを形成すること
が出来、小型で、エネルギ吸収能力の高い粘弾性ダンパ
の提供が可能となる。更に、振動エネルギ吸収格子16が
矢印A、B方向に変形することにより、ベースプレート
15と梁3又は壁5との間に生じる、第10図上下方向の応
力も、ダンパ7が接続部7b付近を中心に上下方向に塑性
変形することにより吸収されるので、ダンパ7と梁3及
び壁5との間の接続が破壊されてしまうことが無く、振
動エネルギの吸収動作を円滑に行なうことが出来る。
更に、「ベースプレートと前記振動エネルギ吸収格子
との間に両者を接続する接続部を、前記振動エネルギ吸
収格子の板厚方向とは直角な第1の方向に沿って形成す
ると共に、該接続部により前記ベースプレートと前記振
動エネルギ吸収格子を前記第1の方向に直角な断面方向
において屈曲した形で接続し、前記振動エネルギ吸収格
子に、互いの間にスリットを介在させる形でエネルギ吸
収体を前記ベースプレート間を接続する形で前記第1の
方向に複数個並列に設け」たので、該接続部7bを振動エ
ネルギ吸収格子16のエネルギ吸収体16bの設置方向に沿
う形で、全エネルギ吸収体16bの設置幅に対応する幅で
形成することが出来る。これにより、振動エネルギ吸収
格子16の矢印A、B方向の変形が大きくなってベースプ
レート間の距離Wが短かくなるように作用した場合で
も、ベースプレート15と梁3又は壁5との間に作用する
第9図上下方向の応力を極力緩和することができ、接続
部7bが破断するなどの不測の事態を招来する危険性を極
力回避することが出来、ダンパとしてのエネルギ吸収能
力を最大限に発揮することが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による弾塑性ダンパが用いられるフレー
ム組み込み型制振装置の1例を示す図、 第2図はフレーム組み込み型制振装置の一例を示す図、 第3図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を示
す図、 第4図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を示
す図、 第5図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を示
す図、 第6図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を示
す図、 第7図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を示
す図、 第8図はフレーム組み込み型制振装置の更に別の例を示
す図、 第9図は本発明による弾塑性ダンパの一実施例を示す
図、 第10図は第9図の側面図、 第11図は粘弾性ダンパの一例を示す断面図である。 7……弾塑性ダンパ 7b……接続部 15……ベースプレート 16……振動エネルギ吸収格子 16a……スリット 16b……エネルギ吸収体 20……接続手段(スタッドボルト)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベースプレート及び所定の板厚を有する板
    状に形成された1個以上の振動エネルギ吸収格子を有
    し、 前記ベースプレートと前記振動エネルギ吸収格子との間
    に両者を接続する接続部を、前記振動エネルギ吸収格子
    の板厚方向とは直角な第1の方向に沿って形成すると共
    に、該接続部により前記ベースプレートと前記振動エネ
    ルギ吸収格子を前記第1の方向に直角な断面方向におい
    て屈曲した形で接続し、 前記振動エネルギ吸収格子に、互いの間にスリットを介
    在させる形でエネルギ吸収体を前記ベースプレート間を
    接続する形で前記第1の方向に複数個並列に設け、 前記ベースプレートの前記第1の方向に直角な断面方向
    における前記接続部の反対側に接続手段を設けて構成し
    た弾塑性ダンパ。
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